著者
青木 一勝
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

三波川変成帯最高変成度岩石の昇温および後退変成作用の温度-圧力-時間(P-T-time)条件を明らかにするため、三波川変成帯の模式地である四国中央部汗見川地域の最高変成度地域に産するザクロ石と石英が主要構成鉱物であるガーネタイトの岩石学的および熱力学的研究を行った。その結果、この岩石の最高変成P-T条件は、P=15-19kb,T=500-520℃であり、エクロジャイト相変成作用を被ったことを明らかにした。さらに、この地域に産する変成岩中に現在観察される鉱物組み合わせは、変成帯上昇時においてP=7-11kb,T=460-510℃(緑簾石角閃岩相)の条件で加水後退再結晶作用を被ったことにより生成したことも明らかにした。更に、Nano-SIMS(東大、佐野研設置)を用いてジルコンU-Pb年代分析を行った結果、その加水後退再結晶作用が85.6±3.0Maに起きたことが分かった。以上のことから、汗見川地域に産する最高変成度岩石は、エクロジャイト相の変成作用を被った後、上昇過程で85.6±3.0Maに緑簾石角閃岩相の条件で加水後退再結晶作用を被ったことが示された。以上の結果とこれまでに明らかにしてきた結果を組み合わせ,三波川変成帯の変成・形成プロセスを考えると、三波川変成岩の原岩は、沈み込み後、累進変成作用が進み、120-110Maに変成ピークを向え、最高変成度部では、エクロジャイト相に達した。その後、造山帯の走向と直交した南方向に、薄いスラブ状に上昇を開始し、66-61Ma頃に地殻中部(15-17km深度)で下位の四万十変成岩の上位に定置し、貫入を停止した。上昇中に昇温変成作用が進行している四万十変成岩から大量の流体が三波川変成岩を通過することにより、加水後退再結晶が進行し、三波川変成岩の多くは再結晶化して、累進的な構造、鉱物、年代の記録を失った。その後、地殻の隆起が起こり、50Ma頃に表層に露出し、現在に至ったと考えられる。
著者
丸居 夕利佳 青木 美幸 田原 岳治 小川 鶯修 相馬 俊雄
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.D3P1505-D3P1505, 2009

【はじめに】近年,糖尿病(以下,DM)患者やその家族などを対象に,様々な取り組みが実施されている.当院では,毎月DM教室を行い,理学療法士(以下,PT)等が,講義やDMウォークラリー(以下,DM-WR)などを開催している.そこで今回,当院におけるDM-WRの活動内容の紹介と,参加者のセルフエフィカシー(以下SE)について調査・検討したので報告する.<BR><BR>【対象】対象は,平成20年5月及び9月に開催されたDM-WRに参加した28名(DM罹患者15名,DM非罹患者13名:男性5名,女性23名,平均年齢66.0±14.6歳)対象者には,調査に先立ち調査の内容を説明し同意を得た.<BR><BR>【方法】対象者は血圧および血糖値測定後,全長約3.5kmのコースをウォーキングした.途中,水分補給およびDMクイズを約15分実施した.約60分でゴールし,血圧測定後,アンケートの記入を行った.<BR><BR>【アンケート内容】アンケートは3因子で構成されており,疾患に対する対処行動の積極性(14項目),健康に対する統制感(9項目),運動に対する積極性(7項目)の合計30の質問項目になっている.回答は5件法で行い,得点が高いほど自己効力感が高いことを示す.アンケートはDM-WR終了後,その場で回答し,1ヶ月後に同様のアンケートを使用し郵送で追跡調査を行った.<BR><BR>【結果】アンケートの各因子の平均値は,疾患に対する対処行動の積極性・健康に対する統制感・運動に対する積極性の順に実施直後:4.2点,4.1点,4.3点,1ヵ月後:4.3点,4.0点,4.3点であった.各回の最高得点項目と最低得点項目の平均値はそれぞれ,実施直後で「DMの自己管理に運動が必要であることを知っている」4.8点,「適度な運動を計画通りに続けることができる」3.7点で,1ヵ月後で「医師や看護師を信頼できる」4.9点,「適度な運動を計画通りに続けることができる」と「規則正しい生活を送ることができる」3.6点であった.<BR><BR>【考察】この調査を実施する過程では,1ヶ月後のSEの点数が実施直後よりも低下すると考えていたが,著明な変化は見られなかった.DM-WRの参加者は元々DM治療に主体的に参加していると考えられるため,DM-WRがSEを向上させる程の刺激に成り得なかった可能性がある.運動継続性のSEに関しては,実施直後と1ヶ月後共に点数が低い傾向が見られた.今回のDM-WRのような企画型イベントに参加するだけでは,自ら運動を計画し,継続する啓発効果までは十分に得られないと推測される.このことから行動変容に対する介入が重要であると考えられた.今後はSEアンケートの妥当性の検討,DM-WR前後のSEの調査及び検討,行動変容に対する効果判定など更なる検討が必要だと考える.

1 0 0 0 マニ教

著者
青木健著
出版者
講談社
巻号頁・発行日
2010
著者
古川 敬之 青木 創 藤井 豊 二瓶 和美 鈴木 学 小野 憲一郎 平尾 秀博
出版者
日本獣医がん学会
雑誌
日本獣医がん学会雑誌 (ISSN:18843344)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.29-34, 2014-12-26 (Released:2014-12-26)
参考文献数
12

A 9-year-old neutered female Miniature Dachshund had undergone lobectomy of the left frontal lobe for lung carcinoma followed by nine post-operative doses of carboplatin chemotherapy(250 mg/m2, every 3weeks). The dog was referred to the Japan Animal Referral Medical Center (Nagoya), because of lung masses in the opposite right middle and posterior lobes. Whole body contrast-enhanced computed tomography(CT)was performed and revealed lung solitary tumors in the relevant areas. No abnormal findings were observed in other lobes or intrathoracic lymph nodes. Since the possibility of metastatic lesions of lung carcinoma incompletely removed in the previous surgery was considered, we performed CT again on day 45 for evaluation of the new tumor progression. The size of both tumors increased, and right middle and posterior lung lobectomies were carried out on day 53. There were no adhesive lesions around the tumors, carcinomatous pleuritis, pleural fluid or hilar lymphadenopathy. While histopathology revealed high-grade lung adenocarcinoma with numerous mitoses, there was no evidence of intravascular invasion, suggesting complete resection. A tentative diagnosis of metastatic lung tumor(T2N0M1)was made. Adjuvant chemotherapy with carboplatin(250 mg/m2, for every 3 weeks)and piroxicam(0.3 mg/kg/3 days)was also given starting on day 21, and no evidence of recurrent lesions was observed on day 726 with a good health condition maintained. From these results, it is suggested that aggressive surgery plus adjuvant chemotherapy can be appropriate treatments for metastatic lung carcinoma.
著者
青木 洋 平本 厚
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.68, no.5, pp.501-522, 2003-01-25
被引用文献数
2

This article explores the activities of the Research Neighborhood Groups (kenkyu tonarigumi) in the context of the mobilization of science and technology during World War II, and throws light upon their influence on research collaboration in postwar Japan. Although research collaboration has recently attracted academic attention as a factor in the competitive ability of Japanese industry, its history has not yet been fully researched. The Research Neighborhood Groups scheme played a unique and symbolic role in research collaboration activities of various kinds during the War because the aim was to organize research collaboration over the length and breadth of the country. It was planned by the Cabinet Technology Agency and carried out by its extra-governmental organization. The groups were in principle organized by young and promising researchers on the same special subject. The total number of researchers enrolled rose to about 3,000. Three typical examples, the vacuum tube, and vitamin and statistical quality control groups, clearly had decisive influence on the research collaboration activities which took their place after the war. The activities of the Research Neighborhood Groups scheme built connections between researchers belonging to various institutions which went on to provide a secure basis for successful research collaboration in postwar Japan.
著者
莫 舸舸 青木 由直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 = The transactions of the Institute of Electronics, Information and Communication Engineers. D-II (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.2124-2135, 2004-12-01
被引用文献数
29

道路標識は交通安全に対して大きな役割を担っている.本論文では,ドライバが標識を見落とすことを防ぐため,車内に設置されたカメラによって撮影した画像から道路標識を抽出し,道路標識の種類とタイプを認識する手法を提案する.本研究では,提案した輝度・彩度分布特徴パラメータ「輝彩度」(街値)を利用し,カラー画像から標識候補画素を抽出することにより,標識の抽出牢の向上を図っている.「シンメトリフレームワーク(symmetry framework)形状判別法」により,標識候補領域の5種類の形状を判断できることを示し,処理時間の大幅な軽減を図っている.シンボルと背景の輝度差と色度差を利用し,標識シンボル領域を抽出している.抽出した標識シンボル領域の形状判断により,標識のタイプを確定できる.また,3種類の色,5種類の形状,16タイプの標識が存在するカラー画像500枚を用いた評価実験の結果,96.2%の高抽出牢と93.3%の高認識牢を達成するとともに,平均処理時間が約0.1秒とほぼ実用的な処理時間を達成できることを示した.
著者
等々力 英美 大屋 祐輔 高倉 実 大角 玉樹 青木 一雄 佐々木 敏 勝亦 百合子
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

沖縄野菜を主体とした沖縄型食事介入による 1-2 年間の無作為割付比較試験を行った。 対象者は横浜東京在と沖縄在住の 40-60 歳代夫婦、合計 61 1 名であった。伝統的沖縄食事パターンによる短期の介入の後に、継続する情報介入を行うことで、血圧の減少が持続していた。薄味の食事摂取による集中的な教育効果と、情報介入による長期の働きかけの組み合わせは、減塩を含めた食事指導の有効なツールの1つになりうると考えられた。
著者
青木 輝勝 西村 竜一 須田 修司 木屋 善夫 坂本 琢也 野村 和男
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.25, pp.61-66, 2004-03-05
被引用文献数
2

近年、AV符号化技術やブロードバンド技術等の進化ならびにP2P通信等の新しい通信形態の普及に伴い、コンテンツ流通は世界中で急速に普及しつつある。しかしながら、これらは同時にコンテンツ管理&保護をより困難にしていることも事実である。本稿では、安全かつ利便性の高いディジタルコンテンツ流通を行うにあたっての最も基本となるコンテンツ識別技術(コンテンツID付与技術)を概観するとともにその問題点を指摘する。続いて、新しいコンテンツ管理&保護のためのコンテンツ識別技術としてCoFIP(content FInGerprinting)技術を提案する。このCoFIPは既存のコンテンツ識別技術の問題のほとんどを解決することができることに加え、従来混乱であったP2P通信のような通信形態においても威力を発揮する。Recently, content distribution is widely being spread all over the world with the progress of AV coding technologies, broadband networking technologies and the advent of new communication methods such as P2P content delivery. However, it is true that this situation poses more difficulties in management and protection of content. In this paper, we firstly review current content identification technologies and indicate the problems of them. After that, we propose an innovative copyright protection technology called "Content Fingerprinting" that offers solution to all the problems in current identification technologies and realizes management & protection of digital content even in possible new communication styles including P2P distribution.
著者
谷口 進一 青木 克比古 中 勉 高 香滋 石井 晃 大林 博一 大林 博一 中村 晃 中江 友久
出版者
金沢工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

組織的教育力の効果を数理の基礎学力・ジェネリックスキルの観点から、入学から卒業までのスパンで定量的・質的に検証を行った。学力に関しては、同一の学力診断において、入学時に比べ1年後学期では成績が向上し授業効果が確認された。しかし、4年次では専門教育に力点が移り、授業効果は低下した。ジェネリックスキル自己評価では2年次で一旦多くの評価項目の自己評価が低下するが4年次では回復しほとんどの項目で最高点となることが確認された。
著者
青木 和浩 河村 剛光
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、指導現場で活用できるフィールドテスト種目の提言という観点から簡易的に測定ができる立三段跳・立五段跳に着目し、大学陸上競技者と小学生を対象に跳躍能力の評価方法としてバウンディング能力の有効性を検証した。その結果、大学陸上競技選手だけではなく、小学生においてもバウンディング能力は跳躍能力の有効な指標になることが明らかになった。さらに、疾走能力とも関係のあるテスト項目であった。
著者
青木 勇二
出版者
東京都立大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1996

遷移金属人工格子系で発見された巨大磁気抵抗効果が、近年、幾つかの希土類元素を含んだ金属間化合物でも観測されることが明らかとなってきた。両者に類似性があることから、その起源として同じメカニズムが考えられていた。本研究では、人工格子系では事実上不可能であるが金属間化合物では有力な研究手段となりうる比熱測定により、その巨大磁気抵抗効果を調べた。本研究では、巨大磁気抵抗効果が観測される金属間化合物として、UNiGaを中心に調べた。この化合物では、磁場印加によりその積層状態が、反強磁性的→強磁性的と変化するメタ磁性転移において約90%もの大きな負の巨大磁気抵抗が観測される。このメカニズムが何なのかが重要な問題であり、これまでに以下の二つの提案がなされた。つまり、(ア)同様な巨大磁気抵抗が観測されている人工格子系で提案されているスピン依存散乱、(イ)反強磁性状態でのフェルミ面上のスーパーゾーンギャップの形成である。本研究における大きな発見は、この転移で電子比熱係数が強磁性相で10%ほど増大することを初めて見出したことである。この変化は、明白にフェルミ面が変化していることを意味しており、後者の機構の直接的な証拠である。さらに、極低温で核比熱を観測し、Ga原子の核の有効磁場を求めた。この磁場から、反強磁性相での磁気構造を裏付けた。さらに本研究を、Eu、Smの希土類を含む金属間化合物に適用した。(「研究発表」参照)さらにこの様なメタ磁性転移における熱物性研究のため、定量的な磁気熱量効果測定方法の開発を進めた。CeRu2Si2における試験的実験により、磁気エントロピーの磁場依存測定が可能であることを示した。
著者
田口 哲典 青木 輝勝 安田 浩
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告オーディオビジュアル複合情報処理(AVM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.24, pp.73-78, 2003-03-07
被引用文献数
12 1

現在、服をはじめとするファッションに関する情報が発信されている場所は店頭だけではなく、雑誌やカタログなどのメディアを利用している場合もしばしば見かけられる。また、今後ネットワーク環境の更なる普及にともない、実際の商品を見ることなしに服を購入する機会や選択肢が増えると考えられる。そこで、このように多様なファッションを楽しむために、また服を購入する際に、試着という行為の負担の軽減と服の選択肢の拡大を可能にするために、実際に試着を行うことなく、あたかも試着をしているような様子を鏡のように映すシステムとして、"MIRACLE"システムを、筆者らは考案した。本稿では、"MIRACLE"システムのTシャツへの応用を考え、リアルタイムで実現可能な仮想試着アルゴリズムについて提案する。Now, the place where the information about fashions including dress is sent is often seen, not only a shop front but when media, such as a magazine and a catalog, are used. Moreover, it is thought that the opportunity and choice which purchase dress increase, without seeing actual goods with the further spread of network environment from now on. Then, we proposed the "MIRACLE" system as a system which projects like a mirror signs that it is trying on, without actually trying on, in order to enable mitigation of the burden of the act of fitting, and expansion of the choice of dress, when purchasing dress in order to enjoy various fashions. In this paper, we propose the application to the T-shirt of the "MIRACLE" system and virtual fitting algorithm realizable on real time without restricting a motion of a user.