著者
佐藤 れえ子 山岸 浩之 内藤 善久 村上 大蔵 大島 寛一 高木 久 藤田 茂 佐々木 重荘
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.46, no.7, pp.577-581, 1993-07-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
14
被引用文献数
6 11

1990年5~7月. キャットフードによるビタミンD中毒が疑われた猫4頭について, 血中ビタミンD代謝産物濃度とキャットフード中のビタミンD含有量を測定し, 石灰沈着との因果関係を追究した. また, 4頭の実験猫を用いてそのキャットフードによる給与試験を実施した. 全症例は同一市販キャットフードを主体に飼育され, 症例1と2は尿毒症に陥っていた. 血漿Ca濃度は症例1の初診時を除き全症例で11mg/dl以上を, また25 (OH) D濃度は100ng/ml以上を呈した. 死亡例では全身性の石灰沈着が著明に認められ, 上皮小体の萎縮が観察された. いっぽう, キャットフード中のビタミンD含有量は5, 290IU/100gと異常な高値を示し, キャットフードの給与試験では給与開始後血漿25 (OH) D濃度は著しく上昇しCa濃度も増加した.
著者
光崎 龍子 坂口 和子 光崎 研一 高木 敬彦 森 真弓 鈴木 啓子
出版者
The Japan Society of Cookery Science
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.330-333, 1999

The appropriate picking time for dokudami (Huttuynia cordata) tea is generally considered to be at the termination of the flower-like white involucre. Therefore, we classified the growth period of dokudami into the sprouting, seed setting, and true leaf stages, analyzed the contents of inorganic components at these stages, and analyzed contents of inorganic components in the leaves and flowers in the seed setting stage. In addition, the importance of the tea picking time was evaluated by a correlation analysis and principle component analysis.<BR>Among the inorganic components of dokudam i, the content of potassium was the highest, and the contens of calcium, magnesium, iron, manganese and zinc increased with growth. The content of copper was high in the flowers after diplophase parthenogenesis.<BR>Inorganic components increased at a potassium: calciu m ratio of about 6: 1 and at a manganese: magnesium ratio of about 80: 1. The calcium: potassium ratio changed inversely to the copper content that was observed in the flowers and in the true leaf stage.<BR>A principle component analysis revealed calcium, magnesium, potassium, manganese, and copper as the principle components.<BR>These appeared to be the principle inorganic components of dokudami and to increase due to diplophase parthenogenesis. A principle component analysis a ccording to the growth stage showed that the specificity of flowers could be estimated from two-dimensional scatter diagrams. The appropriate picking time for dokudami tea is empirically considered to be at the termination of the involucre, and the analysis according to the growth stage and the analysis of the flowers and leaves confirmed this. To improve the abnormal gustatory that is sensation associated with a modern diet or with insufficient intake of inorganic components by aged persons, dokudami tea brewed from a herbal plant provides a readily drunk remedy.
著者
高木 郁子 松浦 隆文 沼田 一道
出版者
公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 (ISSN:13498940)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.149-160, 2012
参考文献数
8

複数種類のジョブと各ジョブ種の必要処理回数が与えられたとき,循環的な単位時間枠の並びに対して各ジョブをできるだけ均等に割当てるスケジューリング問題をcyclic Fair Sequence Problem(cFSP)という.cFSPは均等性を明確に定義付けていないので様々な指標が考えられている.Response Time Variability Problem(RTVP)はcFSPの代表的な問題の一つで,全ジョブ種に関して理想的な出現間隔と実際の出現間隔の差の二乗の和を最小化する問題である.Corominasらは出現間隔を直接的に列挙変数で線形表現した定式化-求解モデルを提案し,それにより単位時間枠並びの長さが40程度までの問題例についてRTVPの厳密解が求まることを報告している.しかし,この定式化は複雑で求解可能な問題サイズの拡張や他指標への応用が見込めない.本研究では出現間隔を基礎とした様々な指標に柔軟に対応でき,かつ,より大きなサイズの問題例に対して厳密解が求まる定式化-求解モデルを提案する.
著者
高木 彩
出版者
千葉工業大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

2018年度に引き続き、2019年度も情報分野の4つの萌芽技術(人工知能(AI)、機械学習、自動運転、仮想現実(VR))を取り上げ、そのリスク認知を規定する要因について検討を行った。2019年度は、「萌芽技術のリスク認知と感情要因との関連」を明らかにすることを目的として、2つの調査研究を実施した。1つ目の調査では、大学生を対象に予備的検討を行った。この調査では、各萌芽技術に対するイメージ(連想語)と感情要因(ポジティブ感情、ネガティブ感情)等を測定し、萌芽技術のリスク認知との関連を検討した。その分析結果からは、萌芽技術に抱くポジティブ感情が弱く、ネガティブ感情が強いほど、萌芽技術に対するリスク認知が大きい傾向にあることが示唆された。それに加え、畏怖感情(dispositional awe)の得点が高い人ほど、萌芽技術のリスクを大きく認知する傾向にあることが示唆された。以上の予備的検討の結果を踏まえ、次の研究では、より幅広い年齢層の一般市民を対象としたWEB調査を実施した。この調査では、萌芽技術のリスク認知と感情要因との関連をさらに詳しく検討するために行った。主な調査項目として、4つの萌芽技術のリスク認知、ベネフィット認知、受容態度に加え、感情要因として、対象技術への感情(ポジティブ感情、ネガティブ感情)と、個別の感情経験(畏怖、嫌悪感情など)の個人差要因を測定した。現段階では、調査を実施しデータの収集まで完了しており、これから分析に着手する予定である。
著者
高木 紘一
出版者
山形大学
雑誌
山形大学紀要 社会科学 (ISSN:05134684)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.1-8, 2008-02

本稿は、筆者が1979年8月から1980年7月にかけて米国ミシガン大学ロースクールに客員研究員として留学した際に、当時同大学に留学中の伊藤真氏(現東京大学教授・民事訴訟法、当時は名古屋大学助教授)の発案による日米比較法研究会で、筆者が報告したディスカッション・ペーパーを掲載したものである。当時、ミシガン大学ロースクールには、岸田雅雄氏(現早稲田大学法科大学院教授・商事法、当時は神戸大学助教授)、丸田隆氏(現関西学院大学法科大学院教授、当時は甲南大学助手。陪審制度の研究で著名)、巽 高英氏(現警察庁長官官房審議官)をはじめ、各界から新進気鋭の日本人留学生が学んでおり、お互いに切磋琢磨しうる環境が整っていたこともあり、単に向こうから学ぶだけでなく、こちらから貢献できることはないかということで、ロースクールの教員、大学院生に参加を呼びかけてこの研究会が立ち上がったものである。ロースクールの錚々たるプロフェッサーも交えてのコロキュアムでは、自分の決定的な語学力不足もあり、終始借りてきた猫を決めこんだわけであるが、参加者は、いずれも日本法に関心が高く研究会立ち上げは成功したとの印象を持った。 コロキュアムは計5回開催され、日本側から私を含めて5名の者がそれぞれの専門分野からの報告を行なった(報告タイトルは、伊藤 真"Comparative Analysis of Out-of-Court Insolvency Procedures in the U.S. and in Japan",岸田雅雄"Enforcement of Japanese Securities Regulation",丸田隆司"One Aspect of Products Liability Doctorine in Japan : The Establishment of Strict Duty of Care in Food Manufacturing",巽 高英"Police System and the Control of Organized Crime in Japan")。 筆者は、当時の日本で新しい労働法上の理論課題として浮上してきた親子会社や企業集団における使用者概念の拡張問題を取り上げたのであったが、予想以上に反響があった。研究会に参加した労働法のSt. ANTOINE教授が、アメリカでもこのような問題は、Double-BreastedOperation(親子会社方式の経営形態を「ダブルの背広」にもじった用語)として論議されていると教えてくれたのには感激した。国と場所は違っても、利益追求という資本の論理は同じということである。帰国後、労働契約における使用者概念及び労働者概念は筆者の主要な研究テーマの一つになったが、懐かしい思い出の一コマである。
著者
川上 善久 大山 拓人 高木 誠司 大慈弥 裕之
出版者
一般社団法人 日本創傷外科学会
雑誌
創傷 (ISSN:1884880X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.55-64, 2016 (Released:2016-04-01)
参考文献数
20

植皮術は比較的簡便に,さまざまな創を閉創することが可能な優れた手術である。近年,陰圧閉鎖療法 ( NPWT ),塩基性線維芽細胞増殖因子 ( bFGF ) といった新しい創傷治癒を促進させる機器や薬剤が開発されており,従来の適応をこえて植皮術を安全に行うことが可能となった。それらの有用性を確認する目的で,当科における 214 例の植皮術について検討した。術前に NPWT や bFGF を使用したかどうか,また,植皮片の固定に NPWT を使用したかどうかにつき,植皮の生着率を比較した。術前の wound bed preparation については,NPWT と bFGF を併用した群において有意に植皮の生着率が高かった。また,植皮片の固定を NPWT で行った群は,それ以外の群に比較して植皮の生着率が有意に高かった。しかし,NPWT や bFGF は創傷を万能に治癒させる機器・薬剤ではないため,適応を正確に判断することが重要である。
著者
高木 基裕 大山 昭代 清水 孝昭
出版者
水産増殖談話会
雑誌
水産増殖 = The aquiculture (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.113-120, 2010-03-20
参考文献数
22
被引用文献数
1

野生ドジョウ9集団と人工ドジョウ2サンプルの遺伝的多様性と撹乱について3つのMSマーカーにより評価した。遺伝的多様性は集団によって異なり、平均ヘテロ接合体率(期待値)は0.435から0.834であった。釣具店,食料品販売店および重信川水系鉾田池の集団において顕著なホモ接合体過剰を示した。また,食料品販売店のサンプル(中国産)と釣具店,および鉾田池のサンプルは県内の他の自然集団と大きく遺伝的に分化した1つのクラスターを形成し,クラスター内の遺伝的距離は互いに近似した。以上のことより,食材や釣り餌として愛媛県内に持ち込まれた国外産ドジョウの定着が示唆された。
著者
周藤 祐汰 高木 正則 市川 尚
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.114-117, 2021-08-21

高等学校の次期学習指導要領で新設される科目「情報I」の研修用教材に対応した,ブラウザ上で動作するオンラインプログラミング環境の開発を行った.本環境では,WebAssembly 上で実装された Python コンパイラ,Pyodide を用いることにより実行結果がサーバを介さずに受け取ることができる.そのため,生徒全員が一斉に演習用サーバにアクセスするための十分なネットワーク帯域を確保できない場合でも,プログラミングの演習を実施できることが期待される.
著者
石川 晴香 高木 正則 市川 尚 森本 康彦
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2021, pp.45-52, 2021-08-21

著者らの大学では,数学リメディアル科目を反転授業形式で実施している.この科目では,毎回の授業の中で著者らが開発した学習計画作成支援システムを利用し,授業外学習の学習計画や学習記録を登録させている.これまでの実践では,本システムによる学習目標の達成に結びつく,実行可能性の高い学習計画の作成の支援ができていなかった.本研究では,学習計画力の向上を目的とし,過去の学習計画の実施状況の客観的な把握を促す振り返り支援機能を開発した.また,2021 年度前期に本学で実施された数学リメディアル科目において,本システムの利用実験を行った.システム評価の結果,ダッシュボードと関連付けて振り返りをさせることで,過去の学習計画や学習記録等のデータに基づいて,より実行可能性の高い学習時間に学習を計画できるようになったことが示唆された.
著者
河合 憲一 高木 寿人 真鍋 秀明 後藤 新之介 梅本 琢也
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.297-299, 2009

症例は95歳男性.朝7時ごろから繰り返す意識消失を主訴に17時ごろ前医を受診した.造影CTにて左後腹膜に巨大な血腫を伴う腹部大動脈破裂と診断され当院救急搬送となった.前医出発直前に心肺停止(cardiopulmonary arrest[CPA])となり無脈性電気活動(pulseless electrical activity[PEA])の状態で緊急手術を開始した.全腹部正中切開で開腹したところ左総腸骨動脈瘤破裂であった.腹部大動脈中枢側を遮断,自己心拍での循環動態の改善を確認し可及的速やかに人工血管置換術を行った.閉腹の際に腸管の浮腫が著明でありイレウス管を使用して腹腔内の減圧を行った.術後5日目まで人工呼吸管理を要したがその後は経過良好でリハビリ施行により自立歩行も可能な状態となり,術後28日目に他院へ転院した.
著者
村西 壽祥 間中 智哉 伊藤 陽一 中野 禎 桑野 正樹 新枦 剛也 高木 美紀 鳥越 智士 福田 佳生 小藤 定 小倉 亜矢子
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】リバース型人工肩関節全置換術(Reverse shoulder arthroplasty:以下,RSA)が本邦で施行されて1年以上が経過するが,現時点では術後症例数も少ないため,RSAの良好な術後機能を獲得するための理学療法を継続的に検討していくことが重要である。本研究の目的は,RSAにおける自動挙上可動域と異なる肢位での肩関節外転筋力との関係を調査し,RSAにおける筋力評価および筋力増強運動について検討することである。【方法】対象はRSAを施行した22例22関節(男性8例,女性14例)で,平均年齢77.5±5.6歳であった。なお,全例とも広範囲腱板断裂であり,修復不能または腱板断裂性関節症のためRSAが施行された。測定項目は肩関節の自動可動域(屈曲・外転),他動可動域(屈曲・外転),坐位での外転筋力(下垂位・90°位)とし,測定時期は術前および術後6ヶ月とした。自動可動域は坐位にて,他動可動域は背臥位でゴニオメータを用いて計測した。外転筋力の測定は,ハンドヘルドダイナモメータを上腕長の近位から80%の位置に当て,最大等尺性運動を行ったうち,安定した3回の平均値を体重で除した体重比筋力値を求めた。統計学的分析は,各測定項目における術前と術後6ヶ月の比較について対応のあるt検定を用い,自動可動域と各肢位での外転筋力値との関係についてピアソンの積率相関係数を算出した。【結果】術前の各測定項目において,自動可動域は屈曲52.7±29.8°,外転53.4±27.1°,他動可動域は屈曲137.4±25.0°,外転127.6±33.1°,外転筋力は下垂位0.08±0.08Nm/kg,90°位は測定困難であった。術後6ヶ月において,自動可動域は屈曲111.6±17.9°,外転101.1±20.3°,他動可動域は屈曲130.5±19.3°,外転131.4±21.5°,外転筋力は下垂位0.19±0.08Nm/kg,90°位0.06±0.06Nm/kgと他動可動域以外の各測定項目は術前より有意に改善した(p<0.05)。自動可動域と各外転筋力値との相関係数において,自動屈曲と90°位外転筋力は0.51,自動外転と90°位外転筋力は0.64と相関関係が認められたが,自動屈曲および外転と下垂位筋力との間に有意な相関関係は認められなかった。【結論】RSAは上腕骨頭と肩甲骨関節窩の凹凸面が逆転する構造となり,肩甲上腕関節の回転中心が内下方に移動することで,三角筋の張力とモーメントアームが増大して上肢の挙上運動が可能となる。本研究において,自動可動域と外転筋力は90°位で相関関係が認められ,RSAの自動可動域を獲得するためには,下垂位よりも上肢挙上位で筋力が発揮されることが重要であると考えられた。このことから,RSAの機能評価や筋力増強運動においては,上肢90°挙上位で実施することの必要性が示唆された。
著者
高木 康博
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.67, no.11, pp.966-971, 2013 (Released:2015-11-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2
著者
田村 博宣 高木 愼 矢部 孝 樋口 満 柳田 可奈子 中川 豪晴
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.520-525, 2010-09-25 (Released:2015-03-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1

含歯性嚢胞は,歯牙交換期に好発する歯原性嚢胞であり,下顎小臼歯,下顎智歯によく発生する。これまで,本嚢胞の研究では臨床統計学的研究や病理組織学的な検討がなされることが多く,含歯性嚢胞内に埋伏する歯牙に関して,萌出後の長期経過および長期予後についての報告はほとんどみあたらない。本症例は初診時において,嚢胞の大きさ,含まれる埋伏歯の深さ,埋伏歯の角度,埋伏歯の近遠心的位置のいずれにおいても深刻な状態であったが,これに対し,速やかに嚢胞を摘出し処置後10 年間の長期経過を見たところ良好な治療結果を得ることができた。これにより,含歯性嚢胞内に存在する埋伏歯は,できるだけ早期に摘出することができれば,嚢胞の大きさ,埋伏歯の深さに関わらず自然萌出が期待できることが示唆された。このことは今後の含歯性嚢胞に対する処置の参考に成りうるものであり,小児歯科臨床にとって意義のある症例であると考えたため報告することとした。
著者
高木 千恵 Takagi Chie タカギ チエ
出版者
大阪大学大学院文学研究科社会言語学研究室
雑誌
阪大社会言語学研究ノート
巻号頁・発行日
no.17, pp.39-51, 2021-03

本稿では、大阪方言の禁止形に現れる二つのアクセントを取り上げてそれぞれの用法を記述し、旧形式の意味の変容と有標化という観点から両者の使い分けについて考察した。本稿で明らかになったのは次の点である;(a)禁止形のアクセントには、後ろから2 拍目にアクセントの下がり目のあるタイプ(-2 型)と後ろから3 拍目に下がり目のあるタイプ(-3 型)がある。ただし低起無核型の2 拍動詞は-3 型を欠き、高起有核型の2 拍動詞(オル)は-2 型を欠く。(b)先行研究の記述に照らすと、-2 型が新しい終止形と、-3 型が古い終止形との共通点をもっている。(c)禁止形1(-2 型)が[指示][違反矯正][確認的指示][非難]の用法をもつのに対して、禁止形2(-3 型)は[指示][違反矯正][非難]の用法をもち、怒りやいらだちといった話し手のマイナス感情が併せて表示される。また禁止形2 には行為指示対象(聞き手)が必須である。(d)アクセントにおいて古い終止形と共通点をもつ禁止形2 のもつマイナス感情表示は、その他の項目にみられる新形式の誕生と旧形式の意味変容と軌を一にする変化である。