著者
高橋 克行 森田 裕人 土用下 和之 丸野 要 宮島 伸宜 酒井 滋
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.90-93, 2001-01-25 (Released:2009-08-24)
参考文献数
15

われわれは術前CODE療法,放射線療法および温熱療法にて切除しえた正岡分類IVb期の浸潤型胸腺腫の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.症例は33歳,女性.右前胸部腫瘤を主訴に来院,精査にて浸潤型胸腺腫,肺転移,縦隔臓器浸潤を伴う正岡分類IVb期の診断にて入院,生検にてthymoma, mixed cellular typeと診断された.術前にCODE療法,放射線療法および温熱療法を施行したところ腫瘍は著明に縮小し,拡大胸腺胸腺腫摘出術を施行.腫瘍は大部分が硝子化していた.
著者
佐藤 康邦 谷 隆一郎 三嶋 輝夫 壽 卓三 山田 忠彰 勢力 尚雅 高橋 雅人 熊野 純彦 下城 一 船木 享 湯浅 弘
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

哲学的概念としての「形態」に関する問題は古くて新しい。形態という概念は、内容に対して事物の表面に漂う外面的なものを指す一方で、「かたち」という和語からして、かたいもの・確固とした真理という含意もある。西洋思想では、プラトンのイデア、アリストテレスのエイドスなど、古代ギリシアに遡りうる概念である。近世以降、機械論や還元主義を特徴とする自然科学の立場から、形態概念は排斥されがちであったが、美的形態や有機体の形態を扱うカントの『判断力批判』は、近代思想における形態論の先行例といえる。その形態論的発想は、むしろ、現代では、最先端の科学において見出される。構造主義生物学、ゲシュタルト心理学、認知心理学、量子論、熱力学(シナジェティクス)、複雑システムなどの多領域において、形態論の復権の動きが認められ、自然科学と人文科学との積極的対話の可能性が開かれつつある。倫理学においても、この観点から新たに検討されねばならないだろう。本研究では、形態という概念を手がかりに、人文科学としての倫理学の独自の意義と使命とを問い直すことを意図した。倫理思想史上の諸学説を形態論の観点から再考しつつ、応用倫理学や規範学という狭い領域に限定せず、現代の科学論における形態論復権の動向に対応する新しい倫理学の可能性を探究した。(1)古代ギリシア思想(2)古代ユダヤ思想(3)中世キリスト教思想(4)カントの形態論(5)近代思想(ドイツ観念論・イギリス経験論)(6)現代思想(7)科学論(8)藝術・文藝(9)日本近代思想(和辻哲郎・西田幾多郎・三木清)。以上の分野を専門とする研究分担・協力者を(若手研究者の研究発展にも寄与すべく特に留意)組織し、毎年度数回の全体会議において、各々の個別研究をふまえた対話・討論を行った。以上の研究成果は、最終年度に論集(成果報告書)としてまとめられたほか、別項11にある各員の業績を通じて公表された。
著者
高橋 延昌
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.20, 2012 (Released:2012-06-11)

スータブル・ギア・デザインとは、デザインの地域活性化に関わり方を便宜的に語るために、筆者が提案したい概念である。筆者は以前から地域に関わるデザイン教育研究に携わってきたが、デザインと地域との関わり方を新しい概念でとらえながら実践的に検証し続けてきた。今回はキャラクターをコアとしてとらえ、震災復興および風評被害対策に立ち向かう福島県の事例を通して、その概念を考察してみる。結果、とくに地方では単独のギアではうまくまわらず、複数のギアが関わり合いながら全体としてまわると考えられる。
著者
和泉 諭 栗山 大 三浦 祐太朗 安田 尚史 四倉 涼 加藤 靖 高橋 薫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.523, pp.19-24, 2007-01-26

高血圧や肥満といった生活習慣病の人々が増加している現代において,その予防策が求められている.本研究では,健康に関するオントロジを導入し,生活習慣病改善を目指す人々を支援するシステムの構築を行う.このシステムでは,センサデバイスやモバイル端末を利用し,ユーザの身体データの取得や管理を行い,さらに,取得した身体データを利用し,健康に関するドメインオントロジに基づいて推論を行うことで,ユーザに適した健康アドバイスを導出する.本稿では,支援システムの設計と実装について述べる.
著者
石井 仁 渡邉 慎一 堀越 哲美 植村 崇史 河合 大喜 関谷 友里 高橋 奈津子
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間-生活環境系シンポジウム報告集
巻号頁・発行日
vol.36, pp.247-250, 2012-11-21

2つの野外音楽イベント会場において温熱環境の測定を行い,その実態把握と評価を行った。さらにイベント来場者の熱中症対策ならびに防寒対策の実態調査を行った。7月開催のイベントは熱中症の発症する危険性があり,積極的な休憩や十分な水分補給などの対策が必要な温熱環境であった。 10月開催のイベントは熱中症の発症する危険性は少ないが運動や労働をする際には水分補給が必要な温熱環境であった。気象庁の観測データではイベント会場のWBGTを精度よく推定することは困難であった。来場者へのアンケート調査から携行した熱中症対策および寒さ対策の物品ならびに熱中症予防および防寒対策の実態を把握した。両イベントとも熱中症対策の物品としては「タオル」,「水・お茶・その他飲み物」,「帽子」,「うちわ・扇子」の携行率が高く,熱中症予防として「水を飲む」,「適度な休憩をとる」,「日陰に入る」,「涼しい場所に行く」の実施率が高かった。
著者
田中 雅人 高橋 嘉夫
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2013年度日本地球化学会第60回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.35, 2013 (Released:2013-08-31)

ヒ素水質汚染の主な原因は天然由来の亜ヒ酸・ヒ酸などの無機ヒ素化合物である。一方で、有機ヒ素化合物は除草剤や農薬の用途で使用され環境中に存在しており、これらもまたヒ素水質汚染の原因となり得る。土壌中におけるヒ素化合物の吸着挙動を理解することは、ヒ素化合物による水質汚染の機構の解明や予測モデルを作成する上で重要であると考えられる。しかし、土壌中における有機ヒ素化合物の吸着挙動についてはあまり研究がなされていない。本研究では、土壌中における有機ヒ素化合物の吸着挙動を理解するために、メチルヒ素化合物(メチルアルソン酸(MMA)、ジメチルアルシン酸(DMA))およびフェニルヒ素化合物(フェニルアルソン酸(PAA)、ジフェニルアルシン酸(DPAA))について土壌への吸着実験を行い、広域X線吸収微細構造(EXAFS)測定および量子化学計算により吸着構造の解析を行った。それらの結果をフェリハイドライトへの吸着構造解析との比較を行った。
著者
高橋 勇 小西 達裕 伊東 幸宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.63-73, 2001 (Released:2002-02-28)
参考文献数
19
被引用文献数
2 1

In this paper, we discuss a planning and plan recognition approach to generate advice in a Micro- World. A Micro-World should be able to guide a learner who is in impasse. When a learner meets some trouble, a Micro-World should guide the learner by giving some advices. In order to generate appropriate advice, it should have an ability to construct a correct plan to achieve the learner’s goal, and to recognize the learner’s plan by observing the learner’s actions. Therefore we discuss the ability of planning and plan recognition in a Micro-World. We point out some problems concerning to unobservable actions and bad effectual actions, and propose methods to solve the problems. Then we introduce our experimental system. We take chemistry as our domain subject and the system can let a learner learn a chemical experiment with acid-base reactions.
著者
鬼澤 陽子 小松崎 敏 吉永 武史 岡出 美則 高橋 健夫
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.439-462, 2008-12-10

The purpose of this study was to verify the effectiveness of modified basketball games based on on-the-ball decision-making and off-the-ball movement. Two types of numerically modified basketball games, "3 on 2" and "3 on 3", were played by two 6th grade elementary PE classes. Twenty-four students participated in the 3 on 2 games, and 28 students in the 3 on 3 games. All games were videotaped, and the Game Performance Assessment Instrument (GPAI) was used for data analysis. This instrument allows counting of the frequency of on-the-ball decision-making and off-the-ball support movement, and assists in judging the performance of students in situations such as shooting, passing, ball-keeping, and supporting, as to whether or not these are appropriate. The main findings are summarized as follows: 1. The number of students who experienced on-the-ball decision-making and off-the-ball support situations, and the average frequencies of these experiences, were higher in the 3 on 2 games than in the 3 on 3 games. 2. In the 3 on 2 games, the numbers of students who performed appropriate passing, ball-keeping, and support were significantly higher than in the 3 on 3 games (p<.001). 3. The rates of appropriate shooting, passing, ball-keeping, and support were significantly higher in the 3 on 2 than in the 3 on 3 games (p<.01). The 3 on 2 basketball game was shown to be very effective, allowing upper elementary grade students to learn appropriate on-the-ball decision-making and off-the-ball support movement, in comparison with the 3 on 3 game.
著者
中川 博文 北村 純一 近藤 徹 飯沼 和三 高橋 賞
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集. A編 (ISSN:03875008)
巻号頁・発行日
vol.61, no.582, pp.466-471, 1995-02-25
被引用文献数
4

The efficiency of visual biofeedback (VFB) training method using a Photoelastic imaging system on restoring and stabilizing a standing position of stroke patients was investigated. As a stroke group, seven hemiplegics were selected with the mean of 57 year-old. Twelve age-matched healthy subjects were selected as controls. The subjects were asked to stand upright on the photoelastic apparatus and to gaze at a marker 1.5M distant on the wall. Then, VFB training was performed for ten minutes by self recognition of his own pressure patterns which were produced by photoelastic system and were monitored on a TV screen. The patterns were photographed in each different condition such as in a standing position with eyes open or closed before and after l0-minute-training with VFB, and were comparatively analysed. The results showed that (1) the ratio of affected side to unaffected definded by the number of first fringes produced increased significantly after VFB up to the control level, (2) the ratio of body weight loading on the affected side to unaffected was significantly increased after VFB, and (3) the position of center of contact pressure on the longitudinal axis of an affected sole was found to be significantly more posteriorly sifted than in the control and was remained unchanged after VFB. In conclusion, the VFB method using a photoelastic imaging system may be useful to enhance visual-contact motor balancing functions in patients with hemiplegics and also to study a restoring process of neurological impairment leading to a postural problem.
著者
高橋 好範 和野 重美 吉田 宏
出版者
岩手県農業研究センタ-
雑誌
岩手県農業研究センター研究報告 (ISSN:13464035)
巻号頁・発行日
no.3, pp.121-127, 2003-03
被引用文献数
1 1

岩手県の県中北部でも栽培可能な早生の酒造好適米品種「ぎんおとめ」について、心白発現率40%以上で検査等級1等以上を確保することと、70%搗精白米中の粗タンパク質含有率が5.7%以下となることを特に重視して栽培法を検討した。心白発現率や検査等級、および白米中粗タンパク質含有率等の酒造好適米品としての品質を確保するためには目標生育量としてm2当たり籾数で21~29千粒/m2程度とすることが重要であると判断した。これを確保するための施肥法としては、基肥は標肥とし幼形期の栄養診断指標を基に追肥の要否判定を行い、追肥を行う場合には減分期を重点時期とする。減分期追肥は幼形期追肥に比較して籾数が低下することや白米中の粗タンパク質含有率をやや上昇させる点で不利であるが、登熟歩合や心白発現率は減分期追肥が有利であることや、障害不稔に対するリスクも考慮して総合的に減分期が有利と判断した。追肥時期を減分期にすることによる粗タンパク質含有率の上昇割合は小さく、目標m2当たり籾数の範囲内であれば酒造適性基準の範囲内に十分制御可能である。「ぎんおとめ」の葉色は「たかねみのり」などに比較してかなり淡いことから、追肥の要否判定の際には注意を要する。品質を重視した刈取り適期は出穂後の積算平均気温で1000~1100℃を確保した頃である。
著者
髙橋 麻衣子 (2013-2015) 高橋 麻衣子 (2012)
出版者
東京女子大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の大きな目的は,児童・生徒の学習効率を最大限に引き上げる視聴覚メディアの在り方についての基礎的知見を提供することである。今年度も昨年度に引き続き,文字情報だけでなく音声や表情といった付加的な情報を同時に提示できる視聴覚メディアの在り方を提案すべく2つの実証研究を行なった。研究1では,視覚的な文字情報にそれを読み上げた音声情報を付与することが読解行動と理解成績に与える影響を検討した。36名の成人の参加者に,視覚的な情報のみ提示する黙読条件,音声情報を付与する音読条件と読み聞かせ条件の3つの条件下で説明的文章を読ませ,読解中の眼球運動と読解成績を測定した。その結果,黙読条件の読解成績が最も高いことが示され,成人の読み手にとっては文字情報に付与された音声情報が理解を妨げる可能性があることが指摘された。さらに各条件での読解活動中の眼球運動を分析したところ,文章読解中の視線の停留回数や停留時間は黙読条件で最も少なく,音読条件で最も多いこと,読み聞かせ条件の眼球運動は黙読条件のものに類似していることが示された。これらの結果は,成人の読み手は文字に音声情報が付与されていても,視覚的な文字情報をメインに処理して読解を行なっていることを示唆している。読みに熟達すると読み上げ音声が邪魔になる可能性があり,電子教科書の音声読み上げ機能は使用者の読解能力によって調整できるようにする必要があることが提案できた。研究2では,文字の音声情報だけでなくそれを読み上げる話者の表情動画を付与した場合,発話内容の理解にどのような影響があるのかを検討した。36名の成人を対象とした実験の結果,発話者の声の感情よりも表情そのものが受け手の理解に寄与することが示され,インターネットを介した会議などでの話者の顔の表示がコミュニケーションを円滑にする可能性が示された。
著者
高橋 佳吾 西本 卓也 嵯峨山 茂樹
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. [音楽情報科学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.53, pp.61-66, 2003-12-21
参考文献数
8
被引用文献数
9 7

本報告では、多重音のモノラル音響信号の基本周波数を連続的な分布として出力する手法(Specmurt法)を提案する。多重音を構成する各音が共通した周波構造パターン(高調波成分間の強度比パターン)のスペクトルを持つ場合、対数周波数軸上では、これらの互いの関係は、同一の倍音パターン形状を平行移動した関係となる。これは、多重音の基本周波数の分布と共通調波構造パターンとの対数周波数軸上の畳み込みと解釈でき、基本周波数分布を人力、共通調波構造パターンをインパルス応答とした線形系の出力と考えることができる。共通調波構造パターンを仮定して、対数周波数領域に対するフーリエ領域で除算を用いて逆畳み込みを行えば、基本周波数を連続分布として求めることができる。その結果を濃淡表示すれば、スペクトログラムに似た基本周波数分布表示が得られる。実験を通して、基本的な理論を検証し、実際の音楽信号に適用し、効果を確認した。
著者
武田 俊一 廣田 耕志 山田 亮 岡田 徹也 笹沼 博之 清水 宏泰 清水 宏泰 高橋 良輔
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

変異原性化学物質をハイスループットに検出するバイオアッセイを、ニワトリDT40細胞由来のゲノム編集細胞(DNA損傷修復遺伝子の欠損細胞)を使って創った。開発した試験の妥当性を、米国National Toxicology Program (NTP) の化学物質ライブラリー(約10,000種類)を解析した。感度および特異性ともに高いことが示された。上記の変異原性試験は、ニワトリ細胞を使っていることを問題点として指摘された。そこでCRISPR/Cas9手法を使い、OECD諸国政府が変異原性化学物質検出に使う標準ヒト細胞株(TK6)をゲノム編集し、DNA損傷修復遺伝子の欠損細胞を創った。
著者
生田 和良 作道 章一 中屋 隆明 高橋 和郎 纐纈 律子 奥野 良信 纐纈 律子 渡邉 洋平 佐々木 正大
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

H5N1亜型高病原性トリインフルエンザウイルス(HPAIV H5N1)は、一部の地域において致死率の高いヒト感染例が散発的に確認され、ヒトに対してパンデミックとなる懸念が指摘されている。エジプトは現在、世界的にも多くのHPAIV感染者を出している流行国の1つである。本研究においては、エジプトで飼育されている家禽からHPAIV分離を試み、得られた遺伝子配列から分子疫学調査を実施した。その結果、エジプトにHPAIVが初めて導入された2006年に比べて、2008-09年のウイルスはヒトに感染しやすいと考えられるα2,6 SA糖鎖親和性を獲得していた。