著者
真喜屋 清 石黒 虎男 高橋 美和子 大橋 昭任 竹下 三喜男 彭城 郁子
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.39-46, 1986-03-01

水田皮膚炎の原因となる烏類住血吸虫セルカリアの中間宿主ヒメモノアラガイについて, 乾燥した水田の稲株で越冬する集団, 初夏の水田で越冬貝がら発育した大型貝集団および産卵後に生じた新生貝集団の水田内における分布様式を明らがにすると同時に, 越冬集団の分布を左右する土壌水分量および土壌粒子の組成との関連について解明した. 越冬貝, 大型貝および新生貝の各集団とも水田内では均一に分布せず負の二項型に適合する集中性の不均一な分布をし, 集中度は新生貝>越冬貝>大型貝個体群の順に強かった. 分布様式と集中度から考えると, 翌春水が張られた後稲株から出た越冬貝集団がこの水田の中央部寄りで成熟, 産卵後に分散して行き, 水田周縁部に集まったものと考えられた. 秋の繁殖期に産出された稚貝は, 土壌水分のより多い場所を選び稲株の地下茎に潜入することによって, 乾燥した冬の水田で生きのびるものと考えられ, また,水分の多い場所の土壌はそうでない場所に比べて細砂の割合が高く, 粗砂の少ない組成をしていた.(1985年11月5日 受付)
著者
高橋 暁生
出版者
社会経済史学会
雑誌
社會經濟史學 (ISSN:00380113)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.189-210, 2002-07-25

Rouen, the capital of Normandy, showed a firm and unchanging loyalty despite the fluctuating nature of the French Revolution and of its government in particular. The political leaders of Rouen found it necessary to observe the actions of the government and react to them with prudence. Claude MAZAURIC, one of the most famous specialists on the French Revolution, explains this loyalty by pointing to 'the national viewpoint' of the local leaders, and 'the union of the state' that they considered it vital to sustain. But why was it vital for them to sustain 'the union of the state'? This can only be understood through an examination of the regional background of Rouen. In this article, the author therefore investigates the problem of the supply of gain to th city. Rouen depended on government help for its supply of gain, especially in 1793 and 1794. This economic situation and dependence on the government had a great influence on the political stance and the choices open to Rouen, and was the reason behind its loyalty to the government.
著者
増田 元 高橋 努 米澤 誠 村田 輝
出版者
大学図書館研究編集委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.55, pp.38-53, 1999-03

大学図書館の過去のデータをNACSIS総合目録データベースへ遡及入力する際の方式を比較し、オンライン自動登録方式の特徴、問題点およびその有効性について考察した。遡及入力ツールとしての自動登録システムの有効性を検証するため、国立大学図書館協議会次期電算化システム専門委員会が開発した新目録所在情報システム対応目録自動登録クライアント(CATP-Auto)を用いて、カード目録データおよび機械可読データによる遡及入力実験を行い、その結果を分析した。最後に各大学図書館が効率的に遡及入力を進めるための指針を示した。
著者
鈴木 博人 高橋 日出男
出版者
日本自然災害学会
雑誌
自然災害科学 (ISSN:02866021)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.161-173, 2008-08-31
被引用文献数
1

Detection of the spatial scale of heavy precipitation is important for the prevention of disasters. This study analyzed the spatial scale of heavy precipitation based on observed data at the railway observational stations and the meteorological stations in Kanto Plain. The results can be summarized as follows: The simultaneous occurrence area of precipitation becomes smaller when the criterion of precipitation and/or the distance increases. Heavy precipitation exceeding 30mm (130mm) during 1-hour (24-hour) occurs simultaneously within the distance of about 4km (>30km) at the probability of 0.5. The spatial scale of heavy precipitation is larger in case of typhoon rather than front, low, and thunderstorm. The simultaneous occurrence area of precipitation seems to have southwest-northeast oriented long axis. Moreover, the spatial scale of heavy precipitation is larger in southeastern part rather than in northwestern part of Kanto Plain.
著者
安井 夏生 高田 信二郎 松井 好人 高橋 光彦 二川 健 谷口 寿章
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

<家兎実験>家兎脛骨を用いて骨延長実験を行い、術直後よりbisphosphonate(minodronate)を腹腔内投与し、延長仮骨における骨吸収を抑制した。また延長終了時に仮骨内にFibroblast Growth Factor(bFGF)などの骨成長因子を局所投与し、骨癒合に及ぼす影響を観察した。それぞれの実験でテトラサイクリン2重標識を行い、骨形態計測にて延長仮骨のリモデリングを観察した。対照群(生理食塩水投与群)では延長仮骨は典型的な3層構造を呈したが、bisphosphonate投与群では骨吸収層(骨改変層)が消失し、延長仮骨は骨透明層とそれをはさむ骨硬化層の2層構造を呈した。FGF投与群では骨癒合が有意に促進された。骨形態計測によるとbisphosphonate投与群では延長仮骨での骨吸収が著明に抑制されているが、骨形成は対照群と比べて差が無かった。FGF投与群では骨形成が著明に充進していた。DEXAおよびp QCTで延長仮骨の骨密度を測定したところ、bisphosphonate投与群もFGF投与群も対照群に比して有意に高い骨密度を示し、結果的に骨癒合期間の短縮が見られた。延長終了後3週間で抜釘し、3点曲げ試験にて延長仮骨の強度測定を行った結果、bisphosphonat投与群の仮骨はコントロール群の仮骨に比して有意に高い骨強度を示した。以上の結果から骨延長における骨吸収の抑制と骨形成の促進は、ともに延長仮骨の骨癒合を促進し、結果的に治療期間を短縮させると結論した(Bone 2006印刷中)。<マウス実験>マウス下腿骨を延長するために小型のリング型創外固定器を独自に開発した。このシステムの確立により遺伝子改変動物の骨延長が可能となった。マウスでも延長仮骨は中央にfibrous interzoneを有する層状構造をとり、延長を停止すると速やかに骨癒合が完成した。またbisphosphonate投与によりマウスでもリモデリングが抑制され、骨癒合が促進される傾向にあった。骨延長に伴う下腿三頭筋の長さや質量の変化を計測したところ、延長量に比例して両者は増加することが分かった。ただし筋肉の断面積は延長中いったん減少し、延長を停止すると元にもど回復する傾向がみられた。Chondromodulineやosteoactivinのノックアウトマウスやトランスジェニックマウスを用いて行った骨延長の実験結果については論文作成中である。
著者
大石 久史 高橋 智
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、(1)膵内分泌細胞特異的大Maf群転写因子欠損マウス(MafA/MafB二重欠損マウス)を得るために必要な、floxed MafB マウスの作製。(2)In vivo imagingを使ったβ細胞の可視化による新生β細胞の定量的スクリーニング法の確立。(3)マウス肝組織からのインスリン産生細胞の誘導において、MafAとMafBの効果を比較し、MafAがより効率的に誘導可能であること の3つを明らかにした。
著者
山口 恒夫 高橋 知音 鷲塚 伸介 上村 惠津子 森光 晃子 小田 佳代子
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

自閉症スペクトラム障害(以下ASD)と注意欠陥多動性障害(以下ADHD)の傾向に関わる困り感と支援ニーズを把握するための質問紙を実施し、その特徴及び信頼性、妥当性を検討した。ASD困り感質問紙ADHD困り感質問紙は、既存の自己評価質問紙の項目に加え、事例報告論文、当事者の手記等から行動特徴、困難経験を表す記述を抜き出したものを項目化し、それらの困り感を4段階評定で問う質問紙であった。分析の結果、十分な信頼性が示され、外的変数との関連から妥当性に関する証拠も得られた。
著者
押野 武志 畑中 健二 土屋 忍 山崎 義光 野坂 昭雄 森岡 卓司 高橋 秀太郎 野口 哲也
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

日本の1960年代において、文学概念の再編が社会的・思想的・政治的な諸言説と重層的に干渉し合いながら、どのように行われたのかを総合的に究明した。純文学/大衆文学、カルチャー/サブカルチャー、文学/政治、事実/虚構といった1960年代の文学をめぐる新たな境界の生成を1930年代前後の諸言説と対照させながら、60年代の文学が何を構造的に反復していたのかという、戦前と戦後を貫く近代日本の知的言説の歴史的特質も明らかにした。
著者
大林 稔 落合 雄彦 松浦 さと子 遠藤 貢 武内 進一 牧野 久美子 戸田 真紀子 栗本 英世 船田クラーセン さやか 川端 正久 児玉谷 史朗 高橋 基樹
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、現代アフリカ社会のダイナミズムにおけるメディアの位置と機能を確定するための基礎的作業であり、90年代以降のアフリカの構造変化に、メディアの発展がどのような影響を及ぼしているかを検証するものである。上記の研究目標達成のため、サハラ以南アフリカ数カ国(フランス語圏二カ国を含む)で、現地研究者の協力を得て進められた。アフリカにおけるメディアの発展史の整理、政治・社会的発展、特に民主化・紛争・経済の自由化及び開発との相互関係を主なテーマとした。またメディアの種類として、新聞・ラジオ・テレビ・携帯電話を含むICTを対象としたが、伝統的な口誦(oral)および筆記(chirographic)メディアは扱わなかった。そこから次のような成果を得た:(1)1990年代の政治的自由化前後より、メディアは政治過程に大きな影響を及ぼすようになった。(2)メディア自由化は一直線には進まず、その速度と深度は政府と市民社会の力関係に依存する。(3)メディアの自由化が始まってから、旧メディア市場への新規参入と新メディアの発展により、メディアの数と種類の増加、到達範囲の拡大が著しい。(4)メディアの発展は情報アクセス量を増加させたが、都市と農村、貧富の格差は縮小していない。(5)自由化により政治以外の分野でもメディアの役割に関心が広がった。とりわけ開発におけるメディアの重要性が認識されるようになった。(6)メディアが社会と(エリートではなく)普通の人々の行動に影響を及ぼし始めている。(7)メディアの今後の発展には、自由化の徹底と人材育成および経営基盤の確立が重要だ。本研究は、メディア自由化の進展により、社会経済発展において情報とそれを伝達するメディアの重要性が増加していることに注意を向けた。今後、政治・経済・文化・社会・開発など全ての分野におけるアフリカ研究において、メディアと情報の役割はますます重要となると思われ、研究の提示した視角は今後の研究発展に貢献できるものと考える。メディアの多様化と情報アクセスの増加につれて、今後、人々とメディアが相互にどのように影響しあっていくのかが注目される。
著者
白井 裕泰 小野 泰 林 英昭 藤田 香織 栗子 岳大 奥山 智也 大西 裕也 大関 貴史 榎本 将紀 佐々木 雄也 菊池 智也 清水 元紀 山田 悠人 谷川 弘子 齋藤 嘉一 朝光 拓也 高橋 定信 高橋 和弘 高橋 直弘 千葉 恒介
出版者
ものつくり大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

阮朝フエ王宮における昭敬殿の上部構造を以下の方法によって復原した。①昭敬殿と隆徳殿の柱間寸法の比較および基壇構造の比較によって昭敬殿が隆徳殿と同一規模、同一形式であることを明らかにした。②昭敬殿の復原は、隆徳殿の寸法計画、建築技法、細部意匠を踏襲することによって実施した。③隆徳殿と同様に復原設計に倣って原寸図を作成し、その寸法を基準に施工した。④昭敬殿の基壇は、地盤の地耐力を考慮して、隆徳殿基壇修理と同様に、各柱礎石下にレンガ積独立基礎を新設した。⑤昭敬殿の軸部および屋根の組立は、隆徳殿の施工に倣って行われた。⑥昭敬殿復原の参考資料として、復原図、基壇詳細図、原寸図、竣工写真などをまとめた。
著者
高橋 義孝
出版者
美術出版社
雑誌
美術手帖 (ISSN:02872218)
巻号頁・発行日
no.141, pp.43-55, 1958-05
著者
関口 和雄 後藤 順久 吉田 直美 生江 明 新谷 司 高橋 紘一 小椋 喜一郎 李 忻 土屋 昌
出版者
日本福祉大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「介護・福祉の経営学」の構築を目指し、サービスを提供する事業者の経営とマネジメントについて4つの焦点に絞って研究を行った。1つに、制度・政策と地域への環境対応における不確実性と不安定が揺らぎもたらし、経営の基盤の確立と自立が求められている。2つに、質の高いサービスの提供については、介護職をはじめ人材の育成と職場づくりが鍵になっている。3つに、介護・福祉人材の確保では、何よりも高い離転職に対応し定着をはかるため、職場における精神的サポートや学習支援、仕事の達成感や承認、キャリアビジョンの展望が大きく影響していた。4つに、財務・会計面について、会計ルールの確立、行政・監事・外部監査の整備といった基本的な問題が山積していた。
著者
若松 孝志 高橋 章 佐藤 一男 久保井 喬 柴田 英昭
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.75, no.2, pp.169-178, 2004-04-05
被引用文献数
6

アカマツ林の林床に^<15>NH_4^+を添加し,70日後までの林床植生,有機質・無機質土層への^<15>Nの移行量を調べた.さらに,室内培養実験により窒素の形態変化速度を測定し,^<15>Nの動態と微生物による窒素代謝との関係を調べた.^<15>N添加30日後の各プールヘの15N移行量は,林床植生5%,有機質上層56%,無機質土層44%であった.70日後には,無機質土層への移行量が増大したが,37%の^<15>Nが有機質土層に保持されていた.土壌水の観測結果から,無機質土層へ浸透する窒素の95%をNO_3^-が占めることが分かった.また,^<15>NH_4^+を添加したにもかかわらず,添加初期には土壌表層のNO_3^-のδ^<15>N値が著しく上昇し,またそのピークは時間の経過とともに下層に移動した.このことから,林床に沈着したNH_4^+のほとんどは,有機質土層で硝化によりNO_3^-に変化した後に,下層土壌へ移行することが裏付けられた.室内培養実験の結果,有機質土層(Oe-Oa層)における硝化速度(20mg N kg^<-1> d^<-1>)は,微生物の代謝によるNH_4^+の有機化と窒素無機化の速度(145mg N kg^<-1> d^<-1>)の1/7程度であった.このことから,大気由来のNH_4^+は林床に沈着した後,すべてが硝化に向うのではなく,微生物の窒素代謝のサイクルに取り込まれることが推察された.このことが,70日経週後も,添加した^<15>Nの4割が有機質土層に保持された主要な要因と考えられた.本調査地の有機質土層における窒素の形態変化速度は,ほぼ同量の窒素が大気から負荷されているオランダの森林よりも1桁程度大きかった.これには本調査地における温暖多雨な気候条件と酸性度の低い土壌条件が関与していることが推察された.
著者
小川 侃 佐藤 義之 冨田 恭彦 岩城 見一 斎藤 渉 金田 晋 吉田 和男 有福 孝岳 高橋 憲雄
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

平成12年から15年に継続された本科学研究費補助金によるプロジェクトは京都大学の研究者と京都大学以外の大学の研究者との共同作業に基づいて多くの成功した成果をあげることができた.なかでも海外からのおおくの著明な現象学的な研究者との国際的な協力と共同作業を行いえた.シュミッツ,ゲルノット・ベーメなどのようなドイツからの新しい現象学者,ヘルト,ベルネット,クリスティン,ケルックホーフェン,ダストウールがヨーロッパから共同研究に参加した.アメリカからの参加者はウエルトン,ガシェー,プルチョウなど.毎年数度の研究会を開催し,小川他が海外で共同研究を展開して成果の発表をおこなった.これらの研究プロジェクトの結果,集合心性は基本的に雰囲気と地方的もしくは地球全体の気候,天候,風土などに埋床しており,このことは,地水火風などという四つのエレメントを風土や雰囲気とくに風との連関で研究するべき新たなプロジェクトを立ち上げる必要性を示した.