著者
高橋 清德
出版者
京都大学
巻号頁・発行日
2005-03-23

新制・論文博士
著者
竹蓋 幸生 水光 雅則 土肥 充 高橋 秀夫 竹蓋 順子 水町 伊佐男 田中 慎 西垣 知佳子 大木 充 大塚 達雄 村田 年
出版者
千葉大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2000

顕著な教育効果が期待できる教育方法の一つとして、CALLはすでに1960年代から外国語教師の間で知られていた。しかし、いわゆるLLと呼ばれる教育機器がそうであったように、CALLも長い間その期待に応えられる教育効果を示すことができなかった。それは、どちらも「教材の提示システム」としては素晴らしい可能性を持っていながら、妥当な「教材がない」からだと言われてきた。しかし教材不足の原因をさらに探っていくと、聴解力を中心とした基礎力及び総合力の教育法に関する「理論の不在」が原因であることが明らかとなった。我々はこの問題点を直視し、まずCALL教材の制作にも活用できる、「三ラウンド・システム」という緻密な指導理論を独自に開発した。特定領域研究の計画研究として行われた我々の研究はこの理論をベースにCALL教材を高度化し、外国語によるコミュニケーション能力の真に効果的な養成を可能にすることを目指したものである。本研究は、英語、独語、仏語、日本語の4言語グループでそれぞれのニーズに応じたCALL教材の高度化の研究を行ったが、開発された教材は、実験的試用の結果、どのグループのものも学習者、教師に好評であったと報告されている。英語グループは高度化された複数のCD-ROM教材を大学の通常の英語授業で約5ヶ月間試用し、学習効果を客観的な外部テストであるTOEICで測定した。その結果、上位群で大きなスコアの上昇が見られ、教材を試用しなかったクラスの成績との有意差も認められた。英語教材はすでに東京大学、京都大学をはじめ23大学での通常の授業への導入が予定されている。また日本語グループは国際学会での報告でも高く評価されたと聞いており、日本語教材は現在、米国、台湾を含め、5カ国で実験的試用が計画され、独語教材も北海道大学、都立大学、九州大学、立命館大学での導入が予定されている。
著者
高橋 克 清水 章 菅井 学
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

我々は、新規BMP拮抗分子USAG-1欠損マウスにおいて、歯数が増加するphenotypeを見出した。歯数増加は上顎切歯において解析したUSAG-1欠損マウス25例中全例で認められたため、以下の解析は、上顎切歯部において行った。胎生13週から生後3日まで、同部位をHE標本を用いて、組織学的評価を行った。野生型では、痕跡的な乳切歯が胎生15週まで発生が進むが、以後縮小、消失して行くのに対し、USAG-1欠損マウスでは、胎生15週以降も発生が進み、一部エナメル質形成を伴った歯牙の形成を認めた。胎生15週でTUNEL法にてApoptosisを比較したところ歯間葉細胞おいて多く認められ、過剰歯は、同部でUSAG-1欠損によりBMPの機能が亢進されたため歯間葉細胞のApoptosisが抑制されたためと考えられた。痕跡的な乳切歯の歯上皮細胞ではBMP2,BMP4,BMP6、また歯間葉細胞ではBMP4,BMP6の発現が認められた。また同部の歯間葉細胞ではリン酸化smad1/5/8抗体陽性細胞数がUSAG-1欠損マウスで有意に多く、whole mount in situ hybridization法ではBMPシグナリングの下流の分子であるMsx1とDlx2の発現の充進が認められた。USAG-1欠損マウスの上顎切歯部の器官培養において歯数増加を認めたが、BMP拮抗分子の一つであるnogginを添加したところ、歯数増加のphenotypeはrescueされ正常な歯数となった。以上の結果より過剰歯の形成は、同部でUSAG-1欠損によりBMPの機能が亢進されたためと考えられた。ヒトにおいても痕跡的な第3歯堤の存在が報告されており、USAG-1を標的分子として歯牙再生を目指す新しいアプローチとなる可能性を示唆した。
著者
渡邉 義浩 大上 正美 辛 賢 稀代 麻也子 池澤 優 小島 毅 竹下 悦子 高橋 康浩 安藤 信廣 池田 知久 三浦 國雄 仙石 知子 石井 仁 堀池 信夫
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

漢魏文化の国際的研究を行い、『魏晉南北朝における貴族制の形成と三教・文学』を刊行し、『中国新出資料学の展開』 を 2013 年 8 月に刊行する予定である。 後者は、新出土資料についての情報提供、読解・解釈・実証などの基礎的な工作に加えて、将来の両国、ひいては世界における中国出土資料研究のさらなる発展を図るために、出土資料研究について今後に遺された課題を明確に意識することを目指して行われたものである。
著者
大谷 毅 高寺 政行 森川 英明 乾 滋 徃住 彰文 柳田 佳子 宮武 恵子 矢野 海児 濱田 州博 池田 和子 鈴木 美和子 鈴木 明 正田 康博 上條 正義 松村 嘉之 菅原 正博 藤本 隆宏 肖 文陵 高橋 正人 韓 載香 金 キョンオク 李 宏偉 佐野 希美子 NAKANISHI-DERAT Emi 雑賀 静
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

日本のファッション衣料の国際プレゼンスが低い原因は、国境を超えた着用者への製品の提案力の欠如にあった。日本のmodelismeは良好だがstylisme(ことに一次設計)は脆弱だ。スタイルの代替案想起・期待・選択作業は、設計者に対し、グローバルな着用者の行動空間に関する知見を求める。これはまた事業者の決定の価値前提の問題に関係する。大規模なファッション事業者の官僚組織が生み出す「逆機能」とも密接に係る。単にブランドの問題だけではなく、事業規模・裁量・ルーチン・経営資源配分に関わることが判明した。製品展示を半年以上前倒しするテキスタイル設計過程は、衣服デザイナーの決定前提の一部を説明していた。
著者
若宮 香理 小林 芳彦 Acosta Tomas J. 高橋 昌志 奥田 潔
出版者
日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第103回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.69, 2010 (Released:2010-08-25)

【目的】Prostaglandins(PGs) は,生殖機能の調節に重要な役割を果たしている生理活性物質であり,多岐の作用が知られている。なかでも,PGE2は初期胚の発育環境を最適に保つ因子であることが報告されている一方で,子宮内膜から分泌される PGF2α(PGF) は胚の生存および発育を抑制し,妊娠率を低下させることが知られている。また,PGE2およびPGFはともに,受精卵の移送に重要な卵管の収縮運動に関係していると考えられている。ウシにおいて,夏期の気温上昇による暑熱ストレス (heat stress; HS) は,卵胞の発育異常による排卵障害,初期胚の死滅などを引き起こし,妊娠率を低下させることが報告されている。さらに,HSは初期胚の発育の場である卵管に影響を与え,初期胚の生存性に影響を与える可能性も考えられる。本研究では,卵管の機能に及ぼすHSの影響を明らかにするために,培養ウシ卵管上皮細胞を用いて以下の検討を行った。【方法】排卵後 0-5 日の卵管から単離した卵管上皮細胞を播種し,1)細胞接着後,培養液を交換した時間を 0 日とし,通常の培養温度(37.5℃)を control 区,39℃ (HS39) および 41℃ (HS41) をHS 処理区とした。HS 処理 1-4 日後に細胞を採取し,DNA assay により卵管上皮細胞の増殖を検討した。2) コンフルエントに達した卵管上皮細胞を control 区,HS39およびHS41で培養した。HS 処理 4,24,48 時間後の培養上清中PGE2およびPGF濃度をEIAにより測定した。なお,PGs 濃度は DNA (µg) あたりに換算した。【結果】1) Control 区と比較して HS41 で細胞増殖率が有意に低下した (P<0.05)。2) PGE2濃度は HS 処理 4 時間後に control 区と比較してHS41 で有意に減少し,PGF濃度は HS 処理 24 時間後に control 区と比較して HS39 で増加した(P<0.05)。本研究において,HS は卵管上皮細胞の増殖率を低下させ,卵管内における受精卵移送を困難にするとともに,PGE2 濃度の減少および PGF 濃度を増加することにより,初期胚の発達に悪影響を与え,繁殖率を低下させている可能性が示された。
著者
三田村 将史 遠藤 隆志 高橋 麗 小宮山 伴与志
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.555-563, 2003-10-01
被引用文献数
3

1.健常成人男子11名を対象として, 自転車エルゴメータによる最大パワーが発揮可能な負荷の30% (HF課題) および80% (HP課題) の負荷で10秒間の最大努力によるペダリング運動を, 20秒の休息をおいて各最大パワーが80%以下になるまで間断的に行い, 大腿直筋 (RF) ならび外側広筋 (VL) の表面筋電図の変化ならびに経頭蓋的磁気刺激によって誘発された運動誘発電位 (MEP) の変化について検討を加えた.<BR>2.最大発揮パワーはHF課題では運動課題の第一セットと比較して10.1±1.45セットで80.6±1.58%まで, HP課題では4.1±0.25セットで77.3±0.77%まで低下した.<BR>3.MEP面積に関し, RFではHF課題で有意な増加が見られなかったが, HP課題では課題前半に比して課題後半では有意な増大が観察された.一方, VLではHP課題において課題中盤から後半にMEP面積は有意に増大したが, HF課題では有意な変化は見られなかった.結果として, VLではMEP面積の変化に関しHF課題とHP課題間に有意な差が観察された.<BR>4.MEP持続時間はRFおよびVLともに10秒間のペダリング中に漸増し, さらに課題の中盤から後半にかけて有意に延長した.しかし, MEP持続時間の延長はHF課題に比してHP課題の方が有意に大きかった.<BR>5.運動開始直後の5回転についてのEMGの積算面積とその間に増加したパワーの比 (EMG/Power比) は運動課題の進行にともなって有意に増大した.さらに, VLではEMG/Power比はHF課題に比してHP課題の方が有意に大きかった.<BR>6.これらの結果は, ペダリング運動による間断的な最大パワー発揮の低下に中枢性疲労が関与し, この中枢性疲労はRFよりもVLで大きいことを示唆する.また, 低負荷での高回転運動課題では発揮パワーの低下に大脳皮質運動野以外の中枢性疲労が関与する可能性が考えられた.
著者
高橋 享子 木本 眞順美 木本 眞順美
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

卵白アレルゲン・オボムコイドは、酵素や熱に対して強い耐性を示し、低アレルゲン化が困難と考えられている卵白主要アレルゲンである。本報告者は、オボムコイドを独自の手法で低減化することに成功したが、調理や製菓作製への応用性の低いものであった。しかし、本研究の結果、卵白の応用性として最も有効と考えられるメレンゲ作製に成功し、低アレルゲン化したメレンゲを用いた加工品の作製に成功した。さらに、低アレルゲン化メレンゲを用いて、スポンジケーキを作製した結果、生卵白メレンゲを用いたスポンジケーキの9割程度まで膨化したスポンジケーキの作製に成功した。
著者
高橋 義人
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

ヨーロッパの精神史ではキリスト教と並んでグノーシス思想が大きな役割を果たしてきていること、グノーシス思想を知らなければ、ヨーロッパの哲学や文学も真に理解することはできない、と近年しばしば言われるようになってきた。本報告書の目的は、グノーシス思想をもとに、ヨーロッパの哲学や文学を読み直すことにある。しかしグノーシス思想の全体像について知らなければ、グノーシス主義と近代ヨーロッパの哲学や文学との関係を知ることはできない。そこで本報告書の前半では、グノーシス主義の概要について記した。第1章(失楽園)、第2章(二元論)、第3章(ソフィアと「男・女」)、第4章(救済された救済者)、第5章(黙示録と終末思想)、第6章(アウグスティヌスとマニ教)、第7章(スコラ学派とカタリ派)、第8章(聖杯伝説とグノーシス)、第9章(マイスター・エックハルトとグノーシス)、第10章(ヤーコプ・ベーメとグノーシス)である。本報告書の後半は、全11章からなる。ファウスト伝説がグノーシス主義者シモン・マグスに関する逸話に由来するのではないかと推測した第11章、ウィリアム・ブレイクがベーメの影響の下にグノーシス思想に親しんでいったことを跡付けた第12章、ピエティスムスの指導者エーティンガーの有するグノーシス主義的思想がドイツ観念論にいかに大きな影響を与えたかを論じた第13章、フィヒテの『浄福なる生への導き』のなかにグノーシス思想を探った第14章、シェリングの『人間的自由の本質』における善悪の問題の追究がグノーシス主義的であると論じた第15章、ヘーゲルの「キリスト教の精神とその運命」に見られるグノーシス思想が彼の「弁証法」を生み出し、さらに彼のグノーシス的思想はヘーゲル左派を通してマルクス主義へとつながり、またヘーゲル右派を通してナチズムにつながっていった経緯を明らかにした第16章、さらには自分ではグノーシス主義者とは述べていないものの、『罪と罰』などの見られる思想は明らかにグノーシス的と認められるドストエフスキーについて論じた第17章、同じく自分ではグノーシス主義者とは洩らしていないものの、『パルジファル』には明白なグノーシス思想が認められると論じた第18章、ユング派の医師によって精神病の治療を受け、グノーシス思想に接近したH・ヘッセの記念碑的小説『デミアン』について論じた第19章、タルコフスキー監督の映画『ノスタルジア』や「」サクリファイス』のなかにグノーシス思想を認めた第20章、20世紀後半のSF作家フィリップ・ディックがいかにグノーシス思想に近づいたかを論じた第21章である。
著者
高橋 鉄美 曽田 貞滋
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

集団内多型の維持機構を解明することは、遺伝的多様性の維持と直結するため、進化生物学的・生理学的に重要な課題である。私は、シクリッド魚類のあるグループに見られる集団内オス色彩二型を例に、その維持機構を解明しようとしている。本研究課題では、飼育個体群を用いた連鎖解析と野生個体群を用いた関連分析を行い、二型を支配する遺伝子が組み換えの制限された狭いゲノム領域に存在することを明らかにした。しかし、二型の維持機構を解明するには至らなかった。当初、異類交配によって維持されるという仮説を設定していたが、それを支持する結果が得られなかった。このため新たな仮説を提唱し、今後の研究に筋道をつけた。
著者
高橋 真聡
出版者
愛知教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ブラックホールが作る曲がった時空における高エネルギー天体現象の理解のため、ブラックホール周辺の磁気圏の構造についての研究を深化した。銀河系中心やコンパクトX線天体の中心では激しい天体現象が発現しているが、その活動性の原因にはブラックホールが深く関与していると考えられている。ただし、そのようなブラックホールの存在は直接観測的には未だに確認されてはいない。私は、観測されているような激しい活動性を引く起こすようなブラックホールの周辺環境モデルを構築した。また、その様子をどのように観測的に確認できるのかについて、電波VLBI天文観測および近赤外線天文観測の分野と協力して、方策を検討した。
著者
松本 敏郎 高橋 徹 山田 崇恭 山田 崇恭
出版者
名古屋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

固体中に動吸振構造を有する別の材料定数を持つ固体を埋め込んだ周期構造により有効な振動遮断特性を有する構造を,数値計算の支援により創成するための方法論の開発を目的として,境界要素法による動弾性体の無限周期構造と有限周期構造に対して固有振動数を解析する方法,および動弾性体に対して形状の制御にレベルセット関数を用い,得られた境界を実際に要素分割して境界要素法により最適なトポロジーを得る方法を開発した。
著者
岸本 貴之 高橋 治久 堀田 一弘
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.2, pp.27-32, 2009-01-15

本稿では,日本語形態素解析の精度を,条件付確率場 (CRF) による係り受け解析を用いて,改善する方法を提案する.従来の確率モデルによる形態素解析は,一般的に,1 個または 2 個前までの単語の品詞情報の相関関係によって,最適な候補を絞り込むというやり方を行っていた.しかし,それだけでは解析できない事例が存在しており,もっと広い範囲での単語の相関や,構文関係などを考慮に入れたモデルを考える必要がある.本稿では,形態素解析結果の候補に対し,係り受け解析を行い,その尤度を最大にする形態素解析結果により係り受け解析を選択する方法が,精度改善に有効であることを,従来法との比較実験により示す.This paper presents a method of improving Japanese morphological analysis via Conditional Random Fields (CRFs) using the dependency analysis. Many existing probabilistic methods select a correct tokens by the correlation analysis between adjoining words and their part-of-speech. However, some instances cannot be correctly analyzed only with the correlation between adjoining words. In order to improve the accuracy, it would be needed to take into account correlation of words in wider range as well as syntactical features. We show that maximizing the likelihood of the dependency analysis for candidates of correct tokens improves the accuracy by computer experiments.
著者
高橋 伸夫
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.51, no.8, pp.487-492, 2006-08-01

知的財産権の評価については,経営学の立場から,実際の企業行動と市場取引に関する知見に基づき,ライセンス・ビジネス的な枠組みを提示することができる.しかしこのことは同時に,技術者が金銭という同じ土俵の上で会社側と報酬の金額を争っていたのでは,ライセンス・ビジネスの現実に打ちのめされることも意味している.技術者にとって望ましい成果配分とは何か.職務発明家が追い求めている成果とは何か.それが会社側が求めている成果とは異なる種類のものであるというところにこそ,両者の共存共栄の可能性が見出されるのである.
著者
仲栄真 礁 浪崎 直子 佐藤 崇範 高橋 志帆 森 愛理 高橋 麻美 石川 恵 田村 裕 棚谷 灯子 内藤 明
出版者
日本サンゴ礁学会
雑誌
日本サンゴ礁学会誌 (ISSN:13451421)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.75-86, 2012 (Released:2014-09-02)
参考文献数
7
被引用文献数
1

日本サンゴ礁学会若手の会・環境教育ワーキンググループでは,主に日本サンゴ礁学会会員を対象として,サンゴ礁分野における教育活動の現状と課題を明らかにするためのアンケート調査を実施した。537 名の調査対象者に対し,アンケートの回収率は 15.1%で,回答者の 69.1%が何らかの教育活動への参加経験があり,また 98.8%がこうした教育活動に関心があると回答した。また教育活動が重要であると考える理由としては,「保全活動の一環として教育活動を重要視している」とする回答が 29.2%と最も多かった。活動実施の際の課題や必要な支援に関する主な意見としては,時間的負担,予算不足,人材不足が挙げられた。加えて,若手研究者が教育活動に参加することへの正の効果についても考察し,若手学会員の視点から今後の教育活動における連携や実施の促進に向けた活動案も提案する。
著者
高須 俊明 高島 郁夫 上村 清 橋本 信夫 高橋 三雄 土井 陸雄 五十嵐 章 ANWAR Wagar 石井 慶蔵 磯村 思〓 吉川 泰弘 山内 一也 近藤 喜代太郎 YASMEEN Akba MUBINA Agbor AKRAM D.S. SHAISTA Rauf AKHTAR Ahmed AKBANI Yasmeen AGBOATWALLA Mubina AHMED Akhtar RAUF Shaista WAQAR Anwar
出版者
日本大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1988

研究代表者らは、昭和57年度以後の調査研究で、カラチでは亜急性硬化性全脳炎(SSPE)の発生頻度が日本や欧米の大多数国に比べ数十倍以上高く、また血清学的にみて日本脳炎(JE)が疑われる患者が発生していることを知った。この事実に立脚して、今回SSPE多発の要因解析とJE様脳炎の病原研究に取り組んだ。成果の概況としては亜急性硬化性全脳炎(SSPE)については著しい進展があり、特にSSPEおよび麻疹の疫学やウイルス学での成果が目立っている。しかし、日本脳炎(JE)様脳炎については目立った進展は得られなかった。1.パキスタンにおけるSSPE多発の要因解析SSPEは麻疹ウイルスが個体に持続感染している間に生じた変異株が遅発性に脳を侵して起こる疾患である。今回の研究で、パキスタンにおけるその多発の要因は、以下の点でかなり明らかになった。(1)疫学的成果:SSPE患者の麻疹罹患年齢がパキスタンでは日本や欧米の大多数国と異なりearly measles(EM;2歳未満罹患麻疹)0.353、late measles(LM;2歳以上罹患麻疹)のうち5歳未満罹患麻疹(LM5>)0.340、5歳以上罹患麻疹(LM5≦)0.307(いずれも全measlesに対する比率)とLMが大多数を占めているという事実が判明した。これに基づき麻疹罹患年齢層別に計算されたパキスタンにおける麻疹罹患者からのSSPEの発生率は、EMからは308.1×10^<-6>、LM5>からは197.4×10^<-6>、LM5≦からは585.2×10^<-6>、麻疹罹患者全体からは280.2×10^<-6>と推定され、いずれも日本におけるそれぞれの数値に比べ高く、特にLM5>は46倍、LM5≦は296倍と著しく高いことがわかった。一般人口からの麻疹発生率のパキスタン対日本比は麻疹罹患年齢で層別しても高々2倍に留まる。したがって、パキスタンにおけるSSPE多発の最大の理由は、麻疹罹患者からのSSPEの多発、特にlate measlesからの多発にあると考えられた。[高須]第2に、SSPEのcase control studyの結果、患児は対照に比べて生下時体重が低く、出生後頭部外傷やけいれんに罹患している頻度が高い傾向がみられたことから、麻疹罹患前および後の環境因子がSSPEの発生に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された