著者
大滝 精一 NGUYEN Chinghia 王 疆
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

農村開発や地域の振興は社会状況に対する不満(Strain)から引き起こされるが、貧しい生活に対する人々の不満だけで社会企業活動が始まるわけではないことも明らかになっている。社会的課題のプロセスは意識・問題との対話・解決案の創造・評価という4つの段階で捉えることができる。課題を解決していく中、起業活動は、農村地域の住民(女性とか)の地域コミュニティー運営参加への内発的動機づけを高めるという傾向が見て取れた。また、コミュニティーにおける創業活動の拡散を促進するうえで,模倣が重要な役割を果たした。
著者
楢崎 正也 藤本 佳子 谷口 浩司 柏原 士郎 横田 隆司 鈴木 克彦
出版者
摂南大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

阪神・淡路大震災において被災した分譲マンションの復興過程に関して平成9年度から継続して行ってきた調査結果の分析を行い、最終結果としてまとめる作業を行った。これまでの調査結果を一度展開した上で、被災からの時間経過に伴った以下のストーリーで集約し直し、それぞれの項目に関して、調査結果に基づく分析・検討を行った。1.マンションの被災状況2.震災後の居住者の対応行動3.被災マンションの復興過程における事例4.マンション復興における法的諸問題5.被災マンションの管理組合の対応6.被災マンションに対する管理組合の対応7.復興過程における住民の合意形成過程とコンサルタント・設計事務所の役割8.復興過程における住民の合意形成過程とまちづくり協議会9.建替えマンションの建物状況と居住者の生活実態10.被災マンションの復興再生方策特に、本研究の着目している「合意形成過程」に関しては、管理組合自身での合意形成過程の調査のみならず、そこに係わっていたコンサルタント・設計事務所・住民組織への聞き取り調査を行い、行政との橋渡しなど様々な側面でのその役割が大きかったことを明らかにした。また、平成10年度までの研究で不十分であった項目に関する今年度の補足調査としては「9.建替えマンションの生活実態」を行い、震災から5年が経過した現状での生活実態について明らかにした。
著者
土居 晴洋 山崎 健 香川 貴志 木本 浩一
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,現代中国において改革開放政策導入以後,急速に展開されている住宅改革の実態と都市地域構造の変化における意味を明らかにすることを目的としていた。本研究の具体的な研究テーマは,中国における住宅改革の特質を明らかにすること,中国国内における都市の住宅の市場化の地域的特質を明らかにすること,北京と上海における住宅開発のタイプとその開発の地域的特質を明らかにすること,住宅建材を含めた中国独特の住宅供給構造を明らかにすることの4点である。これらのテーマに関して,代表者と各研究分担者は海外共同研究者の協力を得て,中国現地において不動産企業や行政機関などへの聞き取り調査や統計・文献資料の収集と整理を行った。土居は住宅改革およびその市場化に関して,文献・統計資料を用いて全国的な動向を把握して北京市と上海市の全国的な位置づけを確認するとともに,北京市における不動産企業への聞き取り調査を進めて,住宅開発が行われるメカニズムを明らかにした。山崎は北京市における住宅開発の地域的動向を統計資料と開き取り調査によって明らかにし,住宅開発が北京市の都市地域構造の変化に持つ意味について考察した。香川は上海市における住宅開発の地域的動向を分析するとともに,インターネットを通じた住宅物件情報の整備状況を調査した。木本は建設業者や内装設備等の関連業者への聞き取り調査を進め,日本とは異なる中国独自の住宅開発プロセスおよび住宅産業の特質を明らかにした。なお,香川と木本は共同で北京市,上海市において,住宅入居者に対するアンケート調査を用い,住宅購入の動機や住宅選択の要因などを考察した。以上の研究成果を通じて,経済成長が急速に進む中国の大都市において,居住環境の改善を求めて住宅を購入する市民,中国独自の土地・住宅制度のもとで住宅開発を行う住宅開発企業,さらに社会主義的特質の維持にも努力する政府・行政機関それぞれの特質と3者の相互関係が明らかになるとともに,このような住宅市場の形成によって都市地域構造が急速に変容していることが確認された。
著者
ROSER Barry・P
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本州、北海道、韓国の主要なテレーンで採取した砂岩-泥岩試料は全岩化学組成の上から顕著なコントラストを示す。本州では、四万十-丹波、三波川、黒瀬川テレーンにおける砂岩-泥岩試料は主・微量成分、希土類元素に関して、比較的分化の進んだCIAまたはACM堆積物の特徴を示す。コンドライトで規格化したREEパターンはLa_N/Yb_N比平均値はそれぞれ10.4-10.9、8.2、9.2であり、また、Gd_N/Yb_N比はそれぞれ1.72-1.33、1.45、1.71と違いがある。低いGd_N/Yb_N比はジルコンやガーネットの濃集を示している。負のEu異常はこれら3テレーンのすべてに共通して認められる(Eu/Eu*平均値は0.77-0.73,0.63,0.79)。渡島半島テレーン(北海道)の珪質岩に於ける高いLa_N/Yb_N比(平均値11.00)とより大きな負のEu異常(Eu/Eu*=0.64)は比較的成熟した起源物質を示している。蝦夷層群下部イドンナップ帯岩石における低いLa_N/Yb_N比とEu/Eu*比(平均値9.74と0.69)は苦鉄質物質のより大きな影響を反映して、より上位に向かって減少(6.76と0.78)していく。Gyeongsang累層群(韓国)における平均的なLa_N/Yb_N比(13.5)は、この累層群に対比される関門層群中のもの(8.8)に比べ、より大きいが、Eu/Eu*比平均値は類似している。四万十、三波川、大島、蝦夷イドンナップテレーンのNdモデル年代は著しく異なる。四万十帯のモデル年代は、大部分が1.0-1.4Gaにはあるものの、0.74から1.6Gaの幅を示し、領家と肥後テレーンの起源物質の中間的な年代値となっている。二つの三波川結晶片岩試料は1.04と1.2Gaという類似したモデル年代を示し、四万十帯プロトリス、つまり源岩の共通性の可能性を示唆する。渡島半島テレーンのモデル年代は著しく古く(1.44-1.85Ga)、Yangtzeクラトンの年代と類似し、おそらくそれらを起源とする。下部蝦夷イドンナップテレーンのモデル年代は、渡島半島テレーンものより若く(1.05-1.31Ga)、上部蝦夷イドンナップテレーンにおいてはさらに若く(0.71-0.93Ga),このことはおそらく付加体内においてリサイクルした海洋地殻の影響が反映されているのであろう。造山帯としての日本列島の平均的な上部地殻組成(JOAUC)に対する元素組成規格値は、同じテレーンにおいて、REEやHFSEは良く類似しているにもかかわらず、ある種の元素(例えば、Fe,Mn,Mg,Ca,P,Sc,V,Cr,Niなど)は負の異常を示す。元素の枯渇は渡島半島、蝦夷イドンナップ、四万十テレーンにおいてもっとも顕著であり、また、泥岩に比べ砂岩で著しい。この異常はJOAUC平均値の中で、ある種の元素については修正しなくてはならないであろうことを示している。
著者
田村 克己 松園 万亀雄 關 雄二 岸上 伸啓 樫永 真佐夫 石田 慎一郎
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、世界各国の開発庁や国連機関、国際的なNGO やNPO とそれらの援助活動を調査することを目的として、アメリカやイギリスなど世界各国の開発庁、ワールドバンクや国連環境計画などの国連機関、グリーンピースなどの開発支援NPO・NGO の目標、基本方針、開発援助プロジェクトとその実際の活動、文化人類学など社会科学が開発援助プロジェクトの立案・実施・事後評価において果たす役割を調査し、比較した。さらに、現地の開発援助活動やそれらの諸影響をグアテマラやケニア、ミャンマー、タイなどで調査し、個々の開発援助機関の開発実践を検討した。欧米の開発援助機関では、開発の事前調査やプロジェクト立案、プロジェクトの事後評価の分野において文化人類学者や文化人類学的な知見を活用していることが判明した。
著者
柳澤 悠 井上 貴子 杉本 良男 杉本 星子 杉本 大三 粟屋 利江
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

タミルナード州、パンジャーブ州の村落調査および産業調査、現地語の新聞・雑誌や自叙伝等の分析、及び全国標本調査の分析を行い、耐久消費財は農村貧困階層にも相当程度普及し、教育や家族関係などに構造的な変動が起っていることを明らかにした。さらに、農村下層階層の安価な工業製品への消費拡大が、零細企業による工業生産の拡大を支えていることや、地域の消費変動が工業発展の重要な基礎となっていることを明らかにした。
著者
長妻 努 国武 学 坂口 歌織
出版者
国立研究開発法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

極域短波レーダ及び磁力計の地上観測網とNASAの内部磁気圏探査衛星を用いた地上-衛星同時観測により、Pc5地磁気脈動の励起特性に関する研究を行った。その結果、太陽風動圧急増時に太陽風中の速度と磁気圏境界の速度によって形成されるケルビン-ヘルムホルツ不安定性によって励起される圧縮性のPc5地磁気脈動が存在することを明らかにした。また、中規模の地磁気嵐時の回復相においてPc5地磁気脈動強度が増加している様子を捉えた。
著者
山本 利春 笠原 政志
出版者
国際武道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本取組では、日本の体育系大学における「学生選手におけるスポーツ医科学的健康管理」と「スポーツ医科学サポートを担う人材(以下トレーナー)育成」を結合した新たな学生教育システムの遂行を試みた。このシステムを通じて、学生は専門知識の習得だけではなく、様々な実地訓練から運営・実行に必要な実践的な経験を積むことができた。つまり、この体育系大学での実習経験は、スポーツ界および広く国民の健康づくりのサポートができる人材育成に寄与すると期待される。
著者
川崎 昭如 目黒 公郎 近藤 伸也 大原 美保 小高 暁 田平 由希子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、山間・農村地域の災害対応力向上に資する情報伝達のあり方と技術戦略を多角的に検討した。特に携帯電話の利用に着目し,SMSの一斉メール送信を使った災害情報伝達に関する社会実験を実施した.その結果,屋外スピーカーによる情報伝達が及ばない範囲においてもSMSによる情報伝達が確認できた.また、東南アジアと我が国の地方行政の水害対応を比較として,行政から住民までの情報伝達過程を,組織間の役割分担と情報マネージメントの視点から整理した.さらに、我が国の自治体での災害・避難情報伝達に関する実態調査を行い、東日本大震災後に緊急速報メールをはじめとする新たな伝達手段が広く普及したことを明らにした。
著者
赤澤 輝彦 梅田 民樹 岩本 雄二
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

電磁流体力学(MHD)を応用した海水油分離装置は,理論的な研究がほとんど行われていなかった.このため分離性能の向上が難しい状況であった.本研究で我々は,海水が電解質であると考えるイオン(移動)モデルを提案した.分離装置の磁場中での働きを明らかにするため,このモデルの数値計算を行った.さらに,この分離装置をもつ試験プラントを作成し,実験的に理論モデルの妥当性を明らかにした.これらの結果から,分離装置の改良法について提案を行った.
著者
森 茂男 レザーイーバーグビィーディー ハサン 藤元 優子 竹原 新 藤元 優子 竹原 新 アーベディーシャール カームヤール
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、現代のイラン人が保持する伝統的な祭祀・信仰に関する資料をデータベース化することにより,これまで断片的にしか提示されてこなかった当分野の研究資料を一元化し、研究の効率を格段に向上させることを目指したものである。その結果、イラン国内でのイスラム以前の遺跡をはじめとする資料収集、データベース構築に係る作業、文学論への応用研究に係る研究活動を実施した。
著者
小澤 守 松本 亮介
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

特別の保炎機構を持たない管状火炎燃焼器とその周囲に水管を配置することによって高性能の小型蒸気発生器を構築し,その燃焼特性,伝熱特性,排ガス特性,燃焼の安定性など,装置設計上,必須のパラメータの把握を行った.水管としてはベローズ型フレキシブルチューブをらせん状に巻くことにより,燃焼室外壁を構成し,燃焼室長さを短く抑え,かつ十分な伝熱面積を確保することが燃焼/沸騰伝熱双方の安定性に極めて効果的であることを明らかにした.
著者
小林 泰男 竹中 昭雄 三森 真琴 田島 清 松井 宏樹
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は草食動物消化管の未培養細菌群の生理・生態を明らかにし、繊維質の消化メカニズムも解明に近づこうとするものである。主に反芻家畜(ウシおよびヒツジ)のルーメン細菌に焦点を当て、これまでDNAレベルで存在のみ認識されていた菌群の分離・培養にチャレンジした。またウマやダチョウの大腸微生物の解析も手がけた。ルーメン内繊維付着性菌群U2は独自に開発したFISH法により牧草茎部に多く存在すること、それらはナイロンバック法で茎部をルーメンに浸漬することで容易に簡易集積できること、抗グラム陰性菌用の抗生物質を添加した液体培地内でさらに集積可能なことを明らかにした。その後PCRスクリーニングを活用することで多くの菌株の中からU2に属する2株の単離に初めて成功した。これらはいずれも繊維付着能を有し、マルラーゼは持たないがセロビオヒドロラーゼを、またキシラナーゼのほかに極めて高いアラビノフラノシダーゼ活性を有することをつきとめた。以上のことから、U2に属する細菌は、単独で繊維質を分解するのではなく、セルロース分解者の近傍に位置し、セルロース分解産物を利用すること、またセルロースを取り巻くヘミセルロース、とくにその側鎖を解離することに貢献しているものと推察された。大腸の細菌遺伝子ライブラリーから、ダチョウおよびウマは既知繊維分解菌の系統的近傍に未知の菌群を多く有していること、ウマは和種馬に特有の菌群が多く存在し、それらが和種馬の繊維分解に貢献している可能性があることを示唆できた。また和種馬は軽種馬にはほとんどみられない大型の繊維分解性プロトゾアを大腸に多く有していることを見つけた。これらの結果は、草食を規定する消化管微生物相の多様性とこの研究領域の奥深さを強く示唆するものであり、いっそうの解析の必要性が感じられる。
著者
松本 健一 中村 匡秀 水野 修 森崎 修司 大平 雅雄 門田 暁人
出版者
奈良先端科学技術大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では,高い専門性を要するソフトウェア開発作業を,不特定多数の個人にインターネット技術を使って外注する「クラウドソーシング」と,それら個人間での「群集知形成」を支援する超分散開発基盤技術を開発した.具体的には,「多言語対応コミュニケーション・知識形成基盤」と「Lightweight & Massive PDCAサイクル基盤」の2つを開発し,実証実験によってその妥当性,有用性を評価した.個人を単位とした新たな超分散開発形態は,ソフトウェア開発における多重請負構造を解消し,開発リスク低減とソフトウェア品質向上をもたらす.
著者
欅田 尚樹 牛山 明 TIN・TIN Win・shwe
出版者
国立保健医療科学院
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

家庭用IH 調理機器が普及する中、その使用における電磁界曝露の生 体影響を懸念する声がある。ここでは、Merritt type coil を用いた成獣マウスあるいは妊娠 マウスへの電磁界曝露を行い、種々の生体影響評価を行った。その結果、国際非電離放射線防 護委員会が定める国際ガイドラインを越える磁界強度で電磁界曝露を行った際に、何らかの中枢神経系へのリバーシブルな刺激作用を有する可能性が示唆されたが、器質的な変化は観察さ れなかった。
著者
渡邉 義浩 大上 正美 辛 賢 稀代 麻也子 池澤 優 小島 毅 竹下 悦子 高橋 康浩 安藤 信廣 池田 知久 三浦 國雄 仙石 知子 石井 仁 堀池 信夫
出版者
大東文化大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

漢魏文化の国際的研究を行い、『魏晉南北朝における貴族制の形成と三教・文学』を刊行し、『中国新出資料学の展開』 を 2013 年 8 月に刊行する予定である。 後者は、新出土資料についての情報提供、読解・解釈・実証などの基礎的な工作に加えて、将来の両国、ひいては世界における中国出土資料研究のさらなる発展を図るために、出土資料研究について今後に遺された課題を明確に意識することを目指して行われたものである。
著者
呉 宣児 高木 光太郎 榊原 知美 余語 琢磨 伊藤 哲司 奥田 雄一郎 竹尾 和子 砂川 裕一 崔 順子 片 成男 姜 英敏 周 念麗 渡辺 忠温
出版者
共愛学園前橋国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

日本の大学と中国、韓国、ベトナムの大学がペアになり交流授業を行い、集団間の異文化理解が起こりやすい授業の方式や素材の検討を行った。授業の素材としては、映画、イラスト-によるストーリ、公的な場所での規範・ルールなどが有用であることを確認した。また異文化理解へのプロセスを検討する分析概念として 「歪んだ合わせ鏡」「対の構造」「対話の接続と遮断」「情動反応」などの用語が有効であることが示された。
著者
栗原 浩英 石井 明 白石 昌也 加藤 弘之 竹内 郁雄
出版者
東京外国語大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

2004年にベトナム・中国両国政府間で合意された越境共同開発プロジェクトが今日に至るまで進展をみないままになっている状況について調査研究を行い,双方の観点にずれがあることを究明した。ベトナムではこのプロジェクトが中国との国境地帯に限定された開発事業と理解されているのに対し,中国ではベトナム一国の枠を越え, ASEAN諸国全体を視野に入れた事業と位置づけられ,両国は妥協点を見出せないままとなっている。
著者
久米 美代子 村山 より子 小川 久貴子
出版者
東京女子医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.調査(1)中学生の健康問題への関心と対処方法の実態調査(中学生812名対象)この調査は思春期のヘルスプロモーションに関する詳細調査を行うことを目的とした。内容は思春期のセクシャリテイ、次世代の育成、家族、人間関係、学習という局面でとらえ、思春期の健康的なライフスタイルの変化と問題解決能力を獲得する要件を明らかにすることを目的にした。(2)大東町中学生の骨密度と身体発育・栄養・活動調査(中学生708名)この調査は成長期にあう中学生の骨形成の実態と、骨形成に関連する要因について明らかにする目的で中学生を対象に骨密度と身体測定、各種栄養摂取、活動、リスクファクターを明らかにした。(3)思春期の性教育に関する教員の意識調査(教員44名)この調査は学校における健康教育、特に性教育の現状と課題を明らかにするために中学校の教員が生徒の健康問題と対処をどのように認識しているかを質問紙で明らかにし、さらに今学校で起こっている性に関する問題とその解決方法、更には困っていることや今後研修などを望む内容を中心に面接調査を行い、その実態を明らかにした。2.調査報告書の作成:上記3題の調査に関して3冊の報告書作成:広報誌「だいとう」に調査結果を3回掲載・大東地域の記念館に調査データーのパネル「中学生の健康問題への関心と対処方法の実態調査」の展示3.教育講演:調査データを使い講演した。(1)テーマ「生命知時代を迎えた生と性の教育」対象者:掛川市教育委員会(1市5町の小中学校の校長・教頭・養護教諭;50名)(2)テーマ1「中学生の調査を通した健康問題」テーマ2「命・生と性」対象:中学生・保護者・教員・地域住民4.調査対象中学校の教員・教育委員会とミーティング調査3回を行う前後で計6回5.学会発表(6題)・論文発表(3)6.小冊子の作成7.健康啓発支援システムのフローチャート作成
著者
有吉 範敏 作間 逸雄 市岡 修
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

本研究の第一の成果は,Leontiefの環境経済モデルに立ち返って,政策分析に利用可能なLeontief環境経済CGEモデルの開発を手がけたことである。そこではまず,環境と経済を統合し均衡論のフレームワークで考察したLeontiefの先駆的研究を展望したあと,Leontief環境経済モデルの構造の徹底的な解析を試みた。また,Leontiefモデルの拡張や一般化ならびに応用分析についても考察を行い,経済主体の最適化行動や政府による課税を組み込んだLeontief環境経済CGEモデルの開発を手掛けた。本研究の第二の成果は,環境・経済統合勘定(SEEA)の拡張・改良版である環境SAMを構築することによって,環境SAMに基づくCGEモデルを構築し,これを用いて様々な政策分析を行ったことである。そこではまず,わが国のSEEAデータとSNAデータを用いて,詳細な「環境SAM」を構築し,その上で「帰属環境費用」に焦点をあてた簡易化された「環境SAM」のCGE分析を行なった。この環境SAMでは,労働,資本に加えて,「エコマージン」=帰属環境費用という生産要素の存在を仮説的に仮定し,実際には資本側の取り分として分配される所得の中に環境をいわば「搾取」して得た部分があり,維持費用概念に基づく帰属環境費用がその部分に該当すると考えた。この部分にコブダグラス型の関数形を当てはめて,いくつかの比較静学分析を実行した。主要な比較静学結果は3つある。(1)環境税,間接税の増税は,エコマージンを減少させる。(2)資本の外生的増加,労働の外生的増加に対するエコマージンの反応は逆になる。さらに(3)中間投入を帰属環境費用分だけ増加させた実験では,経済への影響は軽微なままエコマージンをゼロに出来る。なお,SEEAやSAMを含むSNAのフレクシビリティに関する研究や,CGE分析に用いたソフトウエア(GAMS, HERCULES)に関する詳細な解説も行った。