著者
山本 興太朗
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

傾斜屈性を示すシロイヌナズナ突然変異体hy5 の側根を用いて、傾斜屈性が生ずる機構を調べた。その結果、側根では成長とともに根端のオーキシン濃度が低下し、それに従って成長方向が傾斜方向から下方へ転換するが、hy5 ではオーキシン濃度の低下が遅れる結果、野生型より長い間、傾斜屈性が維持されるとみられる。また、hy5 側根傾斜屈性を抑制する遺伝子座の位置を5番染色体の下腕、14遺伝子を含む領域にまで絞り込んだ。
著者
飯田 直樹
出版者
公益財団法人大阪市博物館協会(大阪文化財研究所、大阪歴史博物館、大阪市立美術館、大阪市立東洋陶磁美術
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

2017年度は、まず大阪府方面委員創設前に設立された社会事業施設(大阪養老院など)や方面活動を契機に設立された社会事業施設(四恩学園など)における事業内容について、方面活動との連携などに留意しながら検討した。特に警察主導で設立された社会事業については、徳風・有隣の両夜学校(いずれも1911年開校)での事業を念頭において、事業対象者に対して画一的・強制的・取締り的な限界を持っていたと評価したことあったが、感化矯正施設である大阪府立修徳館(1908年開館)の事業を検討することを通じて、警察事業にはそのような評価では収まらない性格(例えば家族主義や普通教育重視など)があることを確認した。また各施設には、これまでの方面委員研究ではほとんど利用されていない資料、例えば各方面が月番に当たった際に過去一年間の活動内容をまとめた方面委員事業概況(概要とも)などが所蔵されていることが判明し、施設所蔵資料が方面委員研究にとっても重要な意味を持っていることを確認した。次いで、方面委員がいわゆる「行き倒れ」に対して、どのように対応したのかを具体的に検討し、以下の知見を得た。(1)方面委員によって救護された行旅病人には、警察や区役所から引き渡された者が多く、また他の行旅病人同様に、財団法人弘済会大阪慈恵病院に収容された。(2)行旅病人が複数の警察署や区役所、方面委員間で往復させられ、その扱いが「たらい回し」にされる場合があった。(3)他府県でも行旅病人の救護を方面委員が担っており(長野県)、他府県の委員から行旅病人の情報について大阪府委員に寄せられることがあった。(4)行旅病人をめぐる方面委員の活動についても、他の活動同様に「個別性」が確認されたこと。(5)行旅病人の中には、「定住性」(寺の境内に長期間居住する)や「常習性」(毎年のように来阪して救護を受ける)が認められる者がいたこと。以上である。
著者
宇佐美 誠 嶋津 格 長谷川 晃 後藤 玲子 常木 淳 山田 八千子 吉原 直毅 那須 耕介
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、法と経済学に関して、法哲学を基軸としつつ経済哲学的・実定法学的な視点も導入した学際的視座から、総合的かつ多角的な考察を実施した。(1)学問方法については、効率性・正義等の基本概念の分析、経済学的法観念と法学的法観念の比較検討、経済学的人間モデルの吟味、法解釈学の射程の論定、厚生経済学の批判的精査を、(2)学問対象については、経済学的研究が従来未開拓だった公的扶助、学校教育、民事訴訟での立証責任分配に関する分析を行った。
著者
山下 修一 魚住 武司 日比 忠明
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

植物で希少なDNAウイルスについて病原学的性状を探究した。一本鎖DNAウイルスでは双球状のGeminiviridaeのコナジラミ伝搬のサツマイモ葉巻ウイルス(SPLCV)の純化と理化学的性状の究明を試み、これらBegomovirusの遺伝子診断のためのプライマーをデザインしPCR診断を行った。また本邦で新たに発生したtomato yellow leaf curl virus(TYLCV)について、純化、細胞内所在、遺伝子診断などを調べた。Mastrevirusでは本邦で唯一のオギ条斑ウイルス(MiSV)の媒介者の探索と遺伝子解析を行った。また、小球状分節ゲノムを有するCircovirusではレンゲ萎縮ウイルス(MDV)をアブラムシ伝搬で増殖し純化、細胞内所在を探究し、さらにsubterranean vlover stunt virus(SCSV)との血清学的関係を検討した。二本鎖DNAウイルスでは大型球状の各種Caulimovirusを本邦各地より採集しそれらの構造・形態、細胞内所在を詳細に比較研究した。ウイルスの寄生性や遺伝子機能等を解明するために、ウイルスがコードする移行蛋白質に注目し、ダイズ退緑斑紋ウイルス(SoyCMV)の遺伝子操作を種々行い、またカリフラワーモザイクウイルス(CaMV)との遺伝子キメラを作出し性状を調べた。また、両ウイルスのDNAプロモーターの生物工学的利用のために、これらを用いて病害抵抗性のための形質転換植物の作出を行った。桿菌状のBadnavirusではクジャクサボテン桿菌状ウイルス(EqBV)およびアオキ輪紋ウイルス(ARSV)について純化を行い、遺伝子解析を試みた。
著者
小泉 潤二 春日 直樹 中川 敏 栗本 英世 石川 登 花渕 馨也 春日 直樹 中川 敏 栗本 英世 中川 理 石川 登 花渕 馨也 松川 恭子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、トランスナショナルな、つまり国家、国民、民族を超える現代世界の動態的現象を人類学的に把握し分析するために、「境界」に生まれるもの、つまり境界の生産性に着目した。中米、アフリカ、東南アジア、オセアニア、ヨーロッパなど各地で現地調査を実施して経験的資料を集め、国家や民族やモダニティなど多様な要因により複雑に構築される境界の理解を進めるとともに、その境界を越える人やモノの流れの現実を明らかにした。
著者
藤井 敏信 川澄 厚志 小早川 裕子 秋谷 公博
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

研究計画で対象とした地域において、調査を実施し得られた資料をもとに分析し、次のように結果を取りまとめた。第一に、タイでのスラムコミュニティ地区での自立的な住環境改善の試みについて、コミュニティ内で組織された小規模住民組織に着目し、この組織の活動がコミュニティ全体の開発に果たす役割を分析した。第二に、台北市市街地の用途混合地域について、立体的用途混合の形成メカニズムを都市化の速度、中国の生活文化、法規制等より明らかにした。歴史生成的に形成され活性化された都市環境では、結果として「安全性」「健康性」よりも「利便性」「持続性」を評価している。
著者
栗原 麻子 桑山 由文 井上 文則 小林 功 山内 暁子 佐野 光宣 中尾 恭三 南雲 泰輔
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

ギリシア、ローマそしてビザンツにおける宗教・政治儀礼と政治体制との関係性を共通のテーマとして、個別・具体的な事例研究をおこなった。政治史的な事実と宗教儀礼とを結びつける際の危うさ踏まえたうえで、法と儀礼の相互関連性、パン・ヘレニックな祭祀拡大におけるポリス社会の関与、ビザンツ皇帝の即位における都市民衆の儀礼的関与といった具体的な個別事例について、シンポジウムで公開し、比較・検討をおこなった。
著者
竹脇 出 辻 聖晃 吉富 信太
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

東京や大阪などの大都市圏では、超高層建物の建設後に大きなレベルの地震動を経験しておらず、直下型やプレート境界型の地震動に対してどのような地震動が励起され、どのような被害が発生するかについては数値シミュレーションでしか検討されていない。また、その地震動に関連するパラメターの不確定性については確かな理論が提示されているとは言い難く、エネルギー指標の導入による地動入力のパラメター上限値の設定などの確かな理論が求められている。本研究では、極限外乱理論の展開により、従来よりも信頼性の高い建築耐震性能評価が可能となることを示した。
著者
田中 孝彦 安東 由則 上田 孝俊 倉石 哲也 福井 雅英 筒井 潤子 山内 清郎 影浦 紀子 渡邉 由之 間宮 正幸 早川 りか 西堀 涼子
出版者
武庫川女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、複数の地域で教師と教師教育者からの継続的な聴きとりを重ねた。その結果の概略は次のとおりである。①多くの教師が、子どもの生存・発達・学習への要求に応える援助的・教育的実践を、父母・住民・援助職と共に模索している。②教師教育の現場では、学び手が福祉・医療・心理臨床などの諸分野で蓄えられてきた子ども理解の経験・洞察を摂取できるように、子ども理解のカリキュラムの開拓の試みが始まっている。③教師教育者の間では、自らの人間的・専門的な成長のための自己教育についての関心が徐々に熟してきている。そして、これらの聴きとりをもとに、子ども理解のカリキュラムの構築にかかわる諸課題の理論的検討を試みた。
著者
川越 恭二 黄 宏軒
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、離散多次元時系列データの類似検索精度の飛躍的向上と、スポーツ健康科学分野での多次元時系列データ検索による新たな応用を創成することを目的として、高精度でかつ高効率な多次元時系列データ類似検索方法の考案と、スポーツ競技の指導者から選手への円滑な指導が可能なエージェントによる新たな応用開拓を行った。本研究により、選手の動きや軌跡を表現する多次元時系列データを基本に、複数の競技者に適切なタイミングで的確なプレイに関するアドバイスを可能とするシステム構成法が明らかとなった。アメリカンフットボールおよび社交ダンスを対象とするプロトタイプ群を開発した。
著者
吉川 裕之 八杉 利治 沖 明典 角田 肇 川名 敬 市川 喜仁
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

1.臨床応用の第一歩として・ボランチア13名にこのL2ワクチンを経鼻的に投与する第I/II相試験を行い、VLP抗体および中和抗体の上昇を確認するとともに、安全性を確認した。このL2ワクチンは、最も型共通性でかつウイルスの細胞内エントリーに最も重要な役割を有する領域のペプチドである。pacebo3名、0.1mgが5名、0.5mgが5名にアジュバントなしで経鼻接種され、0.5mgの群の4名においてHPV16とHPV52のL1/L2 VLPに対する中和抗体が誘導され、有害事象はなかった(Vaccine,2003)。2.ワクチン接種の対象者や適応・end pointを決める上でHPV感染からCIN発生、CIN進展に関わる研究を行った。HPV16/52/58のうち複数のVLP抗体を有する場合にCINになりやすく、HPVの1つの型に抗体を有しても他の型の感染やそれに引き続くCIN発生を抑制しないことを示した(J Med Vjrol,2003)。3.HPV16陽性のCINと子宮頸癌において、E6塩基配列のvariationとHLA Class II allelesを検討し、E6 prototypeではDRB1^*1501とDQB1^*0602、D25E(アジア型)ではDRB1^*1502、L83V(ヨーロッパ型)ではDQB1^*03032が有意に高頻度であった(Int J Cancer,2003)。
著者
鋤柄 佐千子 與倉 弘子 松平 光男 北口 紗織
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

布の新しい価値を提案するために、布から得られる,視て触って感じる情報に関係する有効な特性値の抽出を進めた。主な試料は、西陣織物,絹、綿のちりめんである。その結果、視感では西陣織物の中に挿入される金糸の効果や織柄の特徴を識別できる評価方法をみつけた。この方法は、特定の光の当たる角度/見る角度の組み合わせで、布を回転させながら測定する。触感では、絹のちりめんの特に厚さを変えることで、適したシルエットが設計可能なことを示した。またちりめんのしぼ形状と綿素材の吸湿性能に及ぼす強い撚り糸の効果がわかり、それがさらっとした触感に寄与している。
著者
木村 和子 谷本 剛 坪井 宏仁 吉田 直子
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、カウンターフィットドラッグ(偽造薬)について、グローバル化の現状を発展途上国(カンボジア)側から検証した。その結果、先進国と発展途上国における偽造ターゲットは同じだが、実際の偽造薬の発生は、具体的製品、地域とも当該国の流通状況を反映していた。また、発展途上国では、品質不良医薬品の蔓延が非常に深刻であり、製造・流通環境の改善が喫緊であることが明示された。
著者
小林 快次 金子 勝比古
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究によって、非鳥類型恐竜類から鳥類への脳や骨の進化過程において多くの情報を得ることができ、またそれらの境界を探ることができた。脳の進化過程としては、特に嗅覚の肥大・縮小というマクロの構造変化に注目することによって、非鳥類型恐竜から鳥類への生活や食性の変化を明らかにすることができた。このことは、中生代当時の生態系において、恐竜たちがどのようにニッチを奪い合って進化してきたかをみることが可能になり、これまで考えられてきた以上に複雑な進化をしていたことがわかった。また、これらの境界にあたるグループで鳥類に属すか否かの議論がされているオビラプトロサウルス類においても、脳の構造の視点から、これは非鳥類型恐竜に属すことが考えられ、体骨格の鳥類に類似した特徴は収斂進化であることを示す。活や食性の進化と同様、恐竜は複雑な進化を遂げながら、鳥類へ移行していったことがわかった。今後の課題としては、マクロなスケールではなくよりミクロな構造を分析することである。このさらなる研究によって、脳や神経システムからみた恐竜類の進化過程がより明らかになってくるであろう。
著者
李 仁子 二階堂 裕子 金谷 美和
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、東日本大震災の津波被災地において人々の生活再建や地域の復興がどのように進むのかを明らかにするために、複数の調査地で長期にわたる文化人類学的調査を行い、被災者の移動に伴う生活相の変化や、被災者をとりまく社会的環境の変化、さらには彼らのコミュニティに生じた再生や変容を詳細に記録した。再建や復興のプロセスは一様かつ直線的なものではなく、被災の程度、行政による施策の影響、震災前から家族やコミュニティに内在していた諸条件、外部からのボランティアとの関わり方等々といった様々なファクターにより多様かつ複雑に展開するのだが、その全容を民族誌的に記述するためのデータを蓄積することもできた。
著者
千本 英史 小川 豊生 深澤 徹 大谷 俊太 礪波 美和子 伊藤 聡 柳田 征司
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

「国文学」という学問は二〇世紀に成立した。芳賀弥一の『国文学史十講』が冨山房から出版されたのは一八九九年の十二月である。それから百年が過ぎ、研究領域の拡大および深化は、研究方法の多様化とともに、「正当的作品」自体の意味をきわめて不安定な、宙づりな存在とした。ことは文学の一分野にとどまらない。すべての分野における「正当」なるもの、「標準」なるものの見直し、「正当」と「虚偽」二分割の思考の枠組み自体が問われようとしているといえる。こうした情況のなかでもう一度、古来の「偽書」の系譜をたどり、それぞれの作品に込められた文学史の力動を再発見し、そのことをとおしていま一度、「文学」という営為を検証しなおしたいと考えた。そのために、思想史的、歴史的文献をも含めて、個々の偽書の体系的把握が必要となる。関心が重層しながらも、多分野にわたる研究者によって、共同チームを組み、それぞれの分野での偽書を検討し、それぞれの分野の特性を明らかにし、そこで得られたもののうちから、代表的なものを選び、それに注釈作業を行い、さらにその特性を解明していった。研究期間の間に「偽書」についての興味が多分野から見られたが、たとえば「月刊言語」の特集や、佐藤弘夫氏著『偽書の精神史 神仏・異界と交感する中世』でも、いまだ「偽書」は断片的に扱われている段階である。これまでの研究の成果を生かしつつ、早急に「偽書」全体を俯瞰する叢書が提供されることが望ましい。これについてはすでに、科研メンバーを中心に、さらに幅広い研究者に呼びかけて、三〜五巻程度の叢刊の刊行を準備し、原稿も相当部分集まりつつある。諸般の事情から、いまだ第一巻の刊行も遅れている状況であるが、早急に刊行体制を再構築したい。現在確認できているところでいえば、秘伝・口伝を特徴とする中世期の「偽書」と平安〜鎌倉の人物に仮託した近世記の「偽書」(擬書)との間には、性格付けに一定の差異がみられる。両者のありようの性格的な断絶と継承の関係を、さらに成立の背後の社会的な視野を加えつつ検討する必要があると思われる。さらに中国を始めとする周辺諸国の「偽書」との比較検討は、まだ研究の緒についたばかりである。今後の進展を期したい。
著者
宮下 和士 三谷 曜子 綿貫 豊 米崎 史郎 服部 薫
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

北方海洋生態系を広く回遊し,摂餌を行っている海鳥や海棲哺乳類などの高次捕食者をモデルとして,様々な計測機器や分析によりモニタリングを行った.各種において回遊や摂餌生態は個体・地域によって様々であり,このような違いが繁殖成功や生残を左右する可能性が考えられた.また,高次捕食者の生態を通じて,海洋生態系の変動を捉えることができた.今後もモニタングを続けていくことで,我々の目には見えにくい海の中での生態系変動を把握することができるようになるだろう.
著者
茂木 一司 宮田 義郎 苅宿 俊文 上田 信行 福本 謹一 阿部 寿文 熊谷 保宏 大泉 義一 稲庭 佐和子 郡司 明子 下原 美保 刑部 育子
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、日本伝統文化, 身体とメディアなどを活用したアートワークショップ(型学習)が現代の多元的共生社会に実現に有効なことが実証できた。美術、音楽、ダンス、演劇など(広義の)アートワークショップ(型学習)で起こるコミュニケーションやコラボレーションは単なる方法(手法)ではなく、自己表現と他者理解を促し、ヒトの学び(学習)を根源的に能動的に変化させ、創造的思考力(Creative thinking)を育てる。
著者
澤木 勝茂 尾崎 俊治 田畑 吉雄 竹澤 直哉 八木 恭子 佐藤 公俊
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究成果の概要は次の4点まとめることができる。(1)投資家と発行体の双方に償還ならびに権利行使のオプションが付与された条件付請求権の評価を2つの境界条件をもつ最適停止問題として定式化し、最適な償還政策と最適な権利行使政策の定性的な性質の分析を行った。(2)従来の在庫管理モデルにスポット市場での商品調達を導入し、ファイナンスと在庫管理モデルとの架橋を試みる研究を行った。最適ポートフォリオと企業の格付け理論についての研究会を実施した。(3)リアル・オプションによる企業評価モデルへの応用および実物資産に対するリアル・オプションによる評価(担当:竹澤・尾崎・八木)-リアル・オプションの接近法によるサハリン・プロジェクト2の共同開発協定の財務的評価について研究した。(4)レジューム・シフトによる資産価格過程のモデル化をおこない、従来のモデルでは説明できなかった資産評価モデルに「レジューム・シフト」を導入することによって投資家の行動と資産価格を説明するモデルの構築を行った。サプライチェーンマネジメントと資産評価モデルとの架橋を試みた。
著者
小島 廣光 寺本 義也 平本 健太 金井 一頼 工藤 剛治 梅本 勝博
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

『地域におけるNPOの知識ネットワーキング-経営学的実証研究』は,平成11年度に開始され,平成13年度に終了した。研究は,当初の実施計画にほぼそって遂行され,次のような4章からなる非常に有意義な内容の報告書を作成することができた。第1章NPOを取り巻く現状と課題我が国のNPOが直面している4つの危機((1)資金不足の危機,(2)市場競争の危機,(3)有効性の危機,(4)正当性の危機)と2つの明るい兆候が説明されるとともに,自己革新による危機の克服方法について考察された。第2章知識ネットワーキングに関する先行研究の検討組織学習,社会的学習,知識創造等の知識ネットワーキングに関する広範な先行研究が検討された。検討に際しては,未来志向のダイナミックな視点が採用された。第3章NPOの知識ネットワーキングの分析枠組NPOの知識ネットキングを分析するための枠組が提示された。この分析枠組は,(1)SECIモデル,(2)場,(3)知識資産,(4)ナレッジ・リーダーの4つの概念から成り立っており,NPO・政策形成過程・営利企業を含む広範な組織現象が分析可能な非常に有効な枠組である。第4章NPOの知識ネットワーキングに関する事例研究-NPO法立法過程の分析事例研究は,我が国のNPO法の立法過程を詳細に分析することにより,(1)本法律の特徴である市民に広く開かれた立法過程のあり方の提示,および(2)本法律の見直すべき問題点と有効な活用方法の解明を目指したものである。事例研究に際しては,全立法過程が6期に区分され,(1)政府,(2)議員・国会,(3)市民団体の3つの参加者の孑于動が詳述されるとともに,上述の枠組にもとづき詳細な分析が試みられ,次のような多くの興味ある事実が発見された。(1)NPO法立法過程は,知識ネットワーキングのプロセスであった。(2)NPO法立法過程の参加者は,見える参加者と隠れた参加者の各クラスターから成り立っている。(3)NPO法立法過程において,政策アクティビストである加藤紘一,坂本導聡,松原明が果たした役割は極めて大きい。(4)6つの政策の窓が開き,問題・政策・政治の3つの流れが合流することにより,NPO法は成立した。