著者
高橋 篤司
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

性能とともに信頼性を従来よりも格段に向上させた集積回路を設計,製造するための設計方法論を確立することを目的とし,回路の遅延分布をできる限り精度を保ちつつ,より高速に得るための遅延分布見積もり手法を開発するとともに,遅延エラー検出回復方式に基づき様々な回路の可変レイテンシ化した場合の性能および性能向上率などを評価することで,高性能高信頼性集積回路を効率良く実現するための指針を得た.
著者
工藤 眞由美 金田 章宏 狩俣 繁久 木部 暢子 佐藤 里美 山東 功 林 明子 吉村 裕美 吉村 裕美 三ツ井 崇
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、国際的にも大いに多様化の進んでいる日本語のバリエーションの問題について、言語類型論(Language Typology)、言語接触論(Contact linguistics)の立場から包括的に考察を試みた。具体的には、格やとりたて構造に関する言語項目調査について、諸方言に適用できる「統一した調査票」の改善についての検討を行った。また、ボリビア共和国サンタクルス県オキナワ移住地を対象とする言語的日常実践を描くエスノグラフィー的研究や、ドイツをフィールドワークとする、言語接触論的観点からの在外駐在日本人の言語生活調査を実施した。
著者
鈴木 靖民 佐藤 長門 酒寄 雅志 石見 清裕 田中 史生 酒寄 雅志 石見 清裕 佐藤 長門 田中 史生 馬 一虹 王 海燕 葛 継勇
出版者
国学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

『入唐求法巡礼行記』を中心として古代の東アジア世界における交流・交通の諸相を研究することを目的として、第一に『入唐求法巡礼行記』自体の詳細かつ丹念な検討を進め、諸本の校訂を経て、データベースを作成した。また、『入唐求法巡礼行記』の記載と円仁の行程を追跡し、具体的な交通路を復原することを目的に現地調査を行った。それらの成果は研究会やシンポジウムで広く社会に公開し、その一端を『円仁とその時代』として一書にまとめた
著者
武部 純 石橋 寛二 伊藤 創造
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

我々は、純チタン表面へ陽極酸化と水熱処理を行うことで陽極酸化皮膜表面上にハイドロキシアパタイト(HA)を析出させる表面処理(SA処理)法について検討してきた。その結果、SA処理インプラント体表面では初期の骨形成能が高く、口腔インプラント治療への有用性が示唆されてきた。しかし、SA処理チタンインプラント表面上での骨形成メカニズムについては不明確であることから、平成16、17、18年度の3年間に渡る研究プロジェクトでは、骨伝導性に関わるSA処理表面性状・構造の解析、骨形成関連遺伝子マーカーを用いた遺伝子レベルでの解析を行った。SA処理を施すことで表面の陽極酸化皮膜は多孔質化となるとともにHA結晶が析出する。SA処理により析出したHA結晶は、結晶性の高い六方晶系であること、六方晶系を呈するHA結晶の特徴であるa軸・c軸の分極による生体内体液のPとCaイオンの吸着現象の促進化、陽極酸化皮膜表面構造のぬれ性の向上と極性・表面エネルギーなどの向上など、種々の骨伝導能を促進させる因子を有する特徴があることが明らかとなってきた。一方、骨芽細胞培養モデルを用いた細胞外基質生成と石灰化形成の過程においては、SA処理により析出したHA結晶形態、HA結晶内部のPとCaの結合エネルギー、HA皮膜の構造に変化は認められないことが示された。さらに未処理チタンに比較してSA処理チタン上での骨基質形成関連遺伝子の発現は高まる傾向を示し、さらに遺伝子発現パターンも異なっていることが推察された。SA処理表面の陽極酸化皮膜から析出したHA結晶を含むHA皮膜の微細構造(表面形状・性状)は骨芽細胞内のシグナル伝達系に作用することで骨芽細胞の分化調節機構を活性化させ、その結果、骨芽細胞の分化・機能は促進されて骨伝導能を高める要因となり、早期のオッセオインテグレーションが獲得されるメカニズムとなっていることが推察された。
著者
挽 文子 伊藤 克容
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

企業においては複数の管理会計システムが運用されているが、それらは環境、経営理念、経営哲学、組織風土および経営戦略などの要因と相互作用の中で機能している。そのため、個々の管理会計システムあるいはその総体からなるトータルシステムとしての管理会計の機能の仕方は同じではない。本研究は、北米進出日系企業を研究対象として、上述のような関係性のなかで管理会計がどのように進化してきたのか、その進化の過程を解明した。
著者
岡村 仁 松川 寛二
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,主任研究者らが開発した速度フィードバック療法システが認知症高齢者の認知機能障害改善に有効かどうかを無作為化比較試験により検証すること,およびマルチチャンネル近赤外光酸素モニターを応用して,上記認知機能障害改善システムの有効性を脳科学・生理学的に明らかにすることを目的とした。得られた結果は以下の通りである。(1)認知機能障害改善システムの有効性に関する臨床的検討適格基準を満たした認知症高齢者90名を,介入群45名,対照群45名に無作為に割付け,対照群には標準的な自転車エルゴメーター駆動,介入群には速度フィードバック療法を行った。介入前,介入終了直後,介入終了1ヵ月後のMini-Mental State Examination(MMSE),N式老年者用日常生活動作評価尺度(N-ADL),認知症高齢者QOLスケール(QOL-D)の各評価尺度得点における両群問の差を検討するため,各評価尺度の得点の変化量を従属変数とした二元配置分散分析を行った結果,MMSE, N-ADL, QOL-Dの各評価尺度得点の変化において両群間に有意な差が認められ,本研究で作成した速度フィードバック療法システムの有効性が示唆された。(2)高次脳機能評価システムの開発健常成人8名に対して,エルゴメーター運動の前後にストループテストを行い,その際の前頭葉脳酸素代謝動態を測定した。測定にあたっては,近赤外線分光装置を用い,脳神経活動に付随した局所酸素代謝を示すと考えられる酸化型ヘモグロビン濃度(Oxy-Hb),還元型ヘモグロビン濃度(Deoxy-Hb),総ヘモグロビン濃度(Total-Hb)を計測した。2組の光グローブは,ストループテスト中に機能するといわれる頭頂葉部位に照射させるよう前額部左右の眉上に装着し,リアルタイムで同時測定を行った。その結果,40%強度の運動中にOxy-Hbの有意な増加が認められ,その増加は持続した。ストループテスト所要時間は40%強度の運動後に短縮し誤答数は運動前後で変わらなかったことから,40%強度の動的運動により認知機能が向上すること,その認知機能の向上と前頭葉脳酸素動態は関連することが示唆された。
著者
鈴木 康夫
出版者
中部大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

現在、アジア、中近東、ヨーロッパ、アフリカにまで拡大と世界12力国においてヒトへ伝播した高病原性トリインフルエンザウイルスのヒトへの伝播機構の解明を目的とし、2年間で下記の結果を得た。1)中国およびベトナムでヒトから分離された高病原性トリインフルエンザウイルスは、ヒトの上気道に主に存在するウイルス受容体(シアル酸2-6ガラクトースを含む糖鎖)にも結合できる変異を遂げていることを初めて明らかにした。また、ベトナムの分離株はヒトーヒト感染が可能である臨床的成績を得た。2)抗インフルエンザ薬(タミフル:インフルエンザウイルスノイラミニダーゼ阻害薬)を予防的に服用した患者から分離されたウイルスにはタミフル抵抗性株が含まれることを見いだした。3)ヒトインフルエンザウイルスの機能的レセプターであるシアリル2-6ガラクトースを生成する酵素、ヒトシアル酸転移酵素(ST6Gal)の大量発現系の構築に成功し、これを高発現させた細胞にはヒトウイルスがより効率良く感染増殖することを見いだした。4)高病原性トリインフルエンザウイルスがヒト世界でパンデミックを起こすウイルスに変異するための分子変異シグナルを同定した。すなわち、様々な分離高病原性トリインフルエンザウイルス、その変異ウイルスを用いて、高病原性トリインフルエンザウイルスヘマグルチニン分子内のわずか1〜2ヶ所のアミノ酸置換がヒト気道上に存在するシアロ糖鎖受容体認識に関わることを発見し、そのアミノ酸(182,192,139番目など)を同定した。これらの成果により、パンデミック発生を事前に予知出来ることが初めて可能となった。5)ヒト気道上皮培養細胞にはヒト間で流行しているインフルエンザウイルス(IFV)のシアロ糖鎖受容体(sialy1α2-6Ga1-)の他に、高病原性鳥IFVの受容体(sialylα2-3Ga1-)も存在することを見いだした。6)高病原性トリインフルエンザウイルスのヒトへの伝播を可能とする変異を監視する新しい技術を開発した。本方法は、高価な機器を用いないので、東南アジア諸国でも、現在流行している高病原性トリインフルエンザウイルスのヒトへの伝播を可能とする変異を監視できるものであり、今後の有効利用が期待される。
著者
久保 隆文 荻田 信二郎 笹本 浜子 川合 伸也 荻田 信仁郎
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、(1)アカマツ(Pinus densiflora)の不定胚形成細胞(ECs)誘導および不定胚形成、(2)スギ(Cryptomeria japonica)の不定胚形成とその制御要因、(3)プロトプラスト化、細胞融合による体細胞雑種作出と植物体再生系、(4)FLORICAULA/LEAFY遺伝子と相同性を持つスギ由来のCjNdly遺伝子の単離と解析、について検討し、多くの成果を得ることができた。(1)未成熟胚から誘導されたアカマツのECsの継代には、1250mg/l濃度のL-glutamine及び1000mg/lのPVPを添加したmDCR培地が、不定胚の形成には30μMのABA、6%のマルトース、及び10%のPEG8000を添加したmDCR培地が効果的であった。(2)カラマツ、エゾマツ、スギ培養細胞の組織形態観察と内生アミノ酸のHPLC定量により、各培養細胞特異性が分かった。この結果を受けて外生アミノ酸を適宜改変することにより、難培養スギにおいて不定胚からの植物体再生系が確立できた。すなわち、内生アミノ酸量をモニターすることで細胞の分化特性解析・評価および、高分化性細胞の早期選抜ができると結論した。(3)微小培養シャーレを用いたプロトプラストアッセイ手法によってカラマツ、スギのプロトプラストの単離・最適培養条件が早期に検索できた。また、プロトプラスト中の微量内生植物ホルモン量を定量することによって培養条件検索の効率化が可能になった。さらに、針葉樹プロトプラストの融合可能、カロース特殊繊維の形成条件を明らかになった。(4)花芽分化に関与する転写因子をコードする遺伝子族FLORICAULA/LEAFY familyと相同性を有するスギ(Cryptomeria japonica D, Don)の遺伝子CjNdlyの単離と解析を行い、CjNdlyは被子植物においてFLORICAULA/LEAFY familyが花芽分化に重要な役割を果たすのと同様な機能を裸子植物であるスギにおいても果たしていると推察した。
著者
金浜 耕基 金山 喜則 西山 学
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

シュッコンカスミソウの開花は遠赤色LED光によって促進され、LED光による開花促進効果はFLOWERING LOCUS T の発現においても認められた。また、遠赤色単独よりも、遠赤色光に、単独では開花促進効果を示さない赤色光や青色光を混合すると、著しい開花促進効果のあることが示された。シュッコンカスミソウのほかに、トルコギキョウや四季成性イチゴにおいても同様の傾向が示された。LED混合光の開花促進効果は電球型のLED光源(試作品)においても認められた。
著者
生田 茂 菅野 和恵 江口 勇治 篠原 吉徳 熊谷 恵子
出版者
大妻女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

「音声や音をドットコード化し, 画像やテキストとともに編集し, カラープリンタで普通紙に印刷する」ソフトウエア技術と, 「印刷されたドットコードをなぞって, 音声や音を取込んだそのままに再生する」ハードウエア技術を活用して, 子どもたちや先生の「生の声」を用いて教材を作成し, 教育実践活動を行った。知的障害児の通う特別支援学校や肢体不自由児の通う特別支援学校, 通常学校に設置された「きこえとことばの教室」などにおいて教育実践活動を行い, 発音を持たない生徒とクラスメイトとの対話を実現し, 教室に居場所を見つけることに成功した
著者
前川 功一 小瀧 光博 矢野 順治 椿 康和 宣名眞 勇 北岡 孝義 高林 喜久生
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1994

3年間に渡たる研究実績は以下の通りである。研究の分野、内容、論文番号、分担者を以下に列記する。文中の番号は、本報告書の項目11「研究発表」に挙げられた論文に付された番号である。(1)理論的研究・単位根の検定方法の提案に関する論文:(論文1,2:前川、久松)・和分過程I(1)に伴う変数を含む回帰モデルの推定・検定問題に関する論文:(論文3,4:前川)非正規性のもとでの回帰モデルの推測に関する論文(論文5:前川)・季節的周期性のある時系列に於けるI(1)変数と構造変化の問題に関する論文(論文6:前川)ヨハンセンの共和分検定に関する論文(論文15:小滝)・ブ-ストラップ法と経済時系列に関する論文(論文16,17:福地)(2)応用的研究・和分共和分分析の金融時系列への応用に関する論文(論文7,8:北岡)・ARCHモデル、共和分モデルなどの時系列モデルの在庫投資理論への応用研究に関する論文(論文9,10:宣名真)・マクロ経済の実証分析への時系列モデルの応用に関する論文(論文13,14:矢野)(3)データベースの研究・経済データのデータベース化に関する研究(論文11,12:椿)
著者
松山 久義 大野 弘 鈴木 和彦 柘植 義文 山下 善之 橋本 芳宏
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

次のような成果を得た。各項目の番号は,研究報告書の章の番号に対応する。(1)2種類のCUSUM法(Crosier法とHealy法)が多数の外乱に晒されているプロセスの状態監視に有効であることを確かめることができた。(2)故障が致命的な事故を引き起こす恐れがある設備の管理において,次回の保全時期と作業内容を合理的に決定する組合せ論的アルゴリズムを開発した。(3)クラスタリング,ICA技術を利用して,汚れ,腐食の進展を検出するための新たな手法を開発し,故障した設備を取り除く作業手順の合成法を示した。(4)回分式プロセスの安全設計を支援するためのリスク評価システムを開発した。このシステムは,事象の深刻度と発生頻度から定量的にリスクを評価するだけでなく,回分式プロセスにおいて発生する可能性のあるあらゆる事故のシナリオを明確に与えることができる。(5)複合した原因によって発生した異常状態において原因を探索するアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは,化学プロセスの状態変数間の因果関係の遅れをデータとして利用することにより高い精度で異常の原因を診断することが可能である。このアルゴリズムの有効性を流動接触分解装置の動的シミュレータを用いて確かめた。(6)異常になったプロセスを正常復帰させる対応措置の自動剛性を行うアルゴリズムを開発した。このアルゴリズムは異常診断システムと連携し,原因の候補集合に共通の対応措置が見いだされた場合には,それ以上候補を絞り込むことを中止する。また,異常診断のために高次統計量を利用する方法をも開発した。(7)統合的設備管理支援システムを構成する,ストレス排除,予防保全,冗長化,運転支援システムなどの合理的な役割分担を決定する方法を開発した。
著者
信田 聡 齋藤 幸恵 STAVROS Avramidis
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

木材中の正確な水分状態を測定する方法としては全乾法による破壊的方法があったが、操作が簡単な非破壊的方法が望まれていた。本研究では近年、コンピュータによる画像処理など性能向上が著しいデジタル軟X 線マイクロスコープを用いた水分分布の非破壊計測法の開発を試みた。水分状態を知りたい時点の木材に軟X 線を照射し透過したX 線量を画像の濃淡として捉え、さらに全乾状態時に得られる同画像の濃淡の差分値をパソコン上で求めて水分分布を知る方法を確立した。またこれを用いて乾燥中の水分分布、異なる環境状態に置かれる建築材料内部の水分状態の把握などを試み、材料内部の水分拡散の解析に応用した。
著者
嶋津 克明 吉永 裕介 中田 耕
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

1.5種類のスズ修飾貴金属電極上における硝酸イオンおよび亜硝酸イオンの還元反応を検討し、活性および窒素選択生成到達度の貴金属依存性を決定した。窒素選択生成到達度は、N-O結合切断、N-NおよびN-H結合生成率をベースとしており、これより高活性かつ高N_2選択率の電極を設計する上で重要な指針が得られた。2.PtおよびPd電極上に、硝酸イオン、亜硝酸イオンおよび一酸化窒素から生成する吸着種の構造とその反応性を赤外分光法により検討した。Pt電極上に硝酸イオンが吸着すること、bridged NOに比べ linear NO の還元速度が速いこと、スズ修飾により吸着NOの還元速度が促進されことなど、硝酸イオンの還元反応機構に関連して新規で重要な情報を得た。3.多結晶金電極上にSn^<2+>イオンおよびPtおよびPd錯体を逐次的に吸着させて、Sn-貴金属二元電極を調製した。貴金属の担持量は錯体の単分子層吸着の状態で決まるため、担持量は0.3gcm^<-2>以下と極端に少ないにも関わらず、硝酸イオンの還元反応に対して高活性であった。したがって、貴金属担持量の低減化のための新規分散法として有用であることを立証できた。4.自己組織化単分子層上にSn/Pd/AuおよびSn/Ptのナノ粒子を積層した。硝酸イオンの還元反応に対して2-3層目までの反応場の拡張が可能であることがわかった。また、シクロデキストリンをテンプレートとして、反応場を微細設計する方法を開発した。原子テンプレートを使い構築したナノ制御界面では酸素分子の還元に向上がみられた。これらの結果は、電極触媒を原子・分子レベルで制御して構築できること、ならびにその重要性を示している。
著者
江頭 誠 清水 康博 兵頭 健生
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では,様々な材料をメソ・マクロポーラス化する手法を確立するとともに,電気化学デバイスへ応用することを試みた。1.メソポーラス(m-)あるいはマクロポーラス(mp-)セラミックスの調製とガスセンサへの応用通常の界面活性剤やトリブロックコポリマーの自己集合体を用いてm-SnO_2粉末を調製するとともに,その調製条件を最適化して結晶子径・細孔径をコントロールすることにより,H_2に高い応答を示すm-SnO_2センサを得た。そのm-SnO_2を既存の大粒径SnO_2粉末へ表面修飾することでH_2検知特性が改善することも明らかにした、また,アルミニウムイソプロポキシドとベヘン酸(メソ孔テンプレート)を利用して高表面積m-Al_2O_3が調製できること,これを用いた吸着式マイクロガスセンサは,現行のものに比べてアルコール応答が大幅に向上することを明らかにした。一方,サブミクロン径のポリメタクリル酸メチル(PMMA)球状微粒子を鋳型として作製したmp-SnO_2センサは,H_2およびNO_xともに高い応答を示すことを明らかにした。また,同様の手法により水晶振動子表面にmp-BaCO_3膜を取り付けNO_2検知特性を評価したところ,極めて高い応答(約30Hz/ppm-NO_2)を示すことを明らかにした。2.乾式法(パルスレーザー析出法・スパッタリング法)による多孔質酸化物膜の作製PMMA球状微粒子を鋳型として利用すると,パルスレーザー析出法やスパッタリング法といった一般的な乾式法によっても,規則性サブミクロン細孔を有するmp-酸化物膜(CeO_2,BaTiO_3,CaCu_3Ti_4O_<12>,La_<1-x>Sr_xCoO_3など)が作製できることを明らかにした。3.mp-白金膜の作製と電極特性スパッタリング法あるいは電析法によりmp-Pt電極を基板上に作製した。得られた電極は,既存の緻密Pt電極に比べて酸素還元活性が良好であることを明らかにした。また,グルコースセンサ用電極としても高い特性を有することを明らかにした。4.色素増感太陽電池に用いる多孔質チタニア電極の細孔構造の最適化PMMA球状微粒子テンプレートを用いて得られたmp-TiO_2膜を一般的なc-TiO_2電極に積層することにより,同じ膜厚のc-TiO_2電極に比べて高い電極特性を示すことを明らかにした。
著者
古田 元夫 山影 進 佐藤 安信 田中 明彦 末廣 昭 池本 幸生 白石 昌也 栗原 浩英 レ ボ・リン グエン ズイ・ズン グエン タイン・ヴァン 伊藤 未帆
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、ベトナムをはじめとするASEAN新規加盟国の地域統合の動態を、東西回廊など、これら諸国を結ぶ自動車道路を実際に走行して観察しつつ、ベトナムのダナン、バンメトート、ラオスのビエンチャンおよび東京でワークショップを開催して、現地の行政担当者や研究者と意見を交換した。こうした取り組みを通じて、ベトナムの東南アジア研究所と研究者と、この地域統合の中でベトナムが果たしている役割、それと日本との関係について意見を交換し、その成果をベトナムと日本で報告書にまとめて刊行した。
著者
黒田 彰 後藤 昭雄 三木 雅博 山崎 誠 後藤 昭雄 三木 雅博 山崎 誠
出版者
佛教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、古代幼学の実態解明に向けて、孝子伝(図)、列女伝(図)、体腔か陽など、未解明の題材を取り上げ、発展的研究を目差したものである。中で、後述日中共同研究による和林格爾後漢壁画墓の未公開の孝子伝図、列女伝図を含む、全壁画の公開報告書の公刊や、太公家教の現存全本の校本と校訂本文の作成、注解などの公刊(『太公家教注解』、汲古書院)を中心とする、学際的特色をもった成果を齎すことが出来た。
著者
二井 仁美 山崎由 可里 石原 剛志 石原 剛志
出版者
大阪教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、「不良行為をなし、またはなすおそれのある児童及び家庭環境その他の環境上の理由により生活指導等を要する児童」を対象とする児童自立支援施設の歴史に関する基礎的研究である。とくに1933年の第64回帝国議会に提出され審議された少年教護法案に焦点をあてている。同法案は、感化院関係者がみずからの手で準備し、議員によって提出されたものであり、本研究では、同法案がいかにして成立したかについて、児童自立支援施設所蔵史料によって解明した。
著者
狩野 充徳 岸田 裕之 勝部 眞人 妹尾 好信 高永 茂 伊藤 奈保子 本多 博之 西別府 元日 中山 富廣 有元 伸子 竹広 文明 古瀬 清秀 フンク カロリン 三浦 正幸 久保田 啓一 野島 永 瀬崎 圭二
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

多くの伝承・伝説に包まれた世界遺産・厳島は、人間社会の傍らで、人びとの暮らしとともにあった。無文字時代には、原始的宗教の雰囲気を漂わせながら、サヌカイト・安山岩交易の舞台として。有史以後には、佐伯景弘らの創造した伝説を原点に、中世では信仰と瀬戸内海交通・交易の拠点として、近世では信仰と遊興の町として、近代では軍事施設をもつ信仰と観光の町としてあった。そして、それぞれの時代に、多くの伝承・伝説が再生産されていったのである。
著者
岡崎 睦 栗田 昌和
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

身体各部位由来の正常皮膚由来線維芽細胞を用いて、瘢痕形成、色素沈着にかかわるサイトカインの発現解析を行い、線維芽細胞の部位特異性を明らかにした。特に急性期創傷治癒過程において、真皮深層の線維芽細胞は、浅層の細胞に比較して創収縮、細胞外器質の産生に有利な性質を有しており、真皮内の線維芽細胞の部位特異性は、非常に合目的的であることを報告した。さらに、解剖学的な部位による真皮線維芽細胞の特異性を明らかにするため、同一個体由来の顔面真皮線維芽細胞および体幹真皮線維芽細胞について、増殖特性および、瘢痕形成、色素沈着に深くかかわると考えられる因子(サイトカイン、マーカー、細胞外器質)の発現解析を行った。結果として、同一個体由来の顔面、体幹線維芽細胞はほぼ一致した増殖特性を示すが、瘢痕形成にかかわる因子の発現は、顔面由来の線維芽細胞で低発現であることが明らかになった。一方、体幹由来の線維芽細胞は、色素沈着に関するメラニン刺激性サイトカインであるStem cell factorを高発現していた。これらの知見は、顔のきずは体のきずに比べて、肥厚しにくく、色素沈着をきたしにくい、という臨床的な印象とよく一致し、臨床的に経験される創傷治癒の部位特異性は、線維芽細胞の部位特異性に起因することが示唆された。