- 著者
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近藤 良享
野津 有司
真田 久
河野 一郎
- 出版者
- 筑波大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2002
この研究は、国内外のスポーツ界における薬物等ドーピングを防止するために,教育プログラムや啓蒙を行うための基礎的資料を得ることを目的とした。本研究では,まずアンチ・ドーピング対する実態を把握するために,世界アンチ・ドーピング機構(WADA)と日本アンチ・ドーピング機構(JADA)との共同プロジェクトと絡めて、ドーピングに対する意識調査項目(60項目)を作成し、日本の体育系大学のトップレベルの選手、288名に対する予備調査を実施した。この調査結果をふまえ、JOC五輪強化指定選手およびJADA加盟団体選手に対する意識調査(調査項目を10項目に精選)を2,800名に行った。さらに,JADA加盟団体所属選手らと同じドーピングに対する意識調査を体育・スポーツ系のT大学の学生(744名)に実施した。その結果,T大学生とJADA調査との比較検討から,今後の日本におけるアンチ・ドーピング教育の多くの課題が引き出された。具体的には、アンチ・ドーピング意識が,JADA調査の選手らよりもかなり低く,アンチ・ドーピング意識が不完全であること、また,ドーピングに関する知識・情報が,大学生も日本代表選手らへの提供も全く不十分な状況が示された。アンチ・ドーピングの教育・啓蒙のための教材づくりや支援システムを構築する必要性が浮き彫りにされた。世界アンチ・ドーピング規程へのWADAとIFsの締結期限が2004年8月のアテネ開会式前日であり、これより国際レベルでのアンチ・ドーピング活動が開始された。さらにユネスコ国際条約として,2006年2月の政府関係機関の締結が終われば、アンチ・ドーピング運動が国際スポーツ団体・国家レベルで一体となって展開されることになり、ハード面のドーピング撲滅への足がかりが整うが、未だに不十分な健全なアンチ・ドーピング観の形成を行うためのソフト開発が求められる。