著者
黄瀬 浩一 岩村 雅一 馬場口 登
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

あたかも物体そのものにハイパーリンクが張られているように,カメラで物体を撮影(クリック)すると,その物体の関連情報が取得できたり,また撮影した画像を介してその物体の関連情報を登録できれば,高齢者や障害者にも優しい実世界指向インタフェースが実現できる.本研究では,100万枚の平面物体,55個の小型立体物,関東および関西の歴史的な建物,および2万ページの文書を対象として,大規模高速認識・検索技術を構築することにより,この目的を実現した.
著者
水野 広祐 白石 隆 本名 純 岡本 正明 見市 建 相沢 伸宏
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

インドネシアでは1998年のスハルト体制崩壊以降、民主化と分権化の進展によって、政治経済構造が大きく変容している。本研究はこうした地殻変動の実態を、特に地方政治に焦点を合わせて分析することを目的とした。地方政治を理解するにあたり、各研究者が各地の地方政治の特徴を分析するのみならず、インドネシア科学院(LIPI)政治学研究所との協力のもと、地方議会議員の社会学的プロフィールの収集にも努めた。2008年3月末までに、1州95県・市の地方議会議員合計3455人のデータ収集に成功した。2007年末時点でインドネシアには33州464県・市の自治体があることから、県・市については総議員数のうち約20.5%のデータを集めることができた。加えて、2004年から、地方議会議員が首長を選出する制度から直接公選制になり、候補者たちの社会学的プロフィールにも変化が見られている可能性があるとの判断から、地方首長選に出馬した正副首長候補者たちのプロフィール収集も行った。2008年初頭までに行われた297の首長選のうち、64の首長選に出馬した正副首長候補者のデータ収集に成功した。一つ明らかに言えることは、民主化後、都市部の若手中間層を基盤として台頭してきたイスラーム政党・福祉正義党が躍進していることである。ジャカルタ地方議会で第1党に躍り出たことに象徴されるように、イスラーム的倫理に基づく清廉潔白さを売りにして地方議会において着実に勢力を拡張し始めただけでなく、地方首長選では他政党同様に、選挙で勝てる俳優・女優などを擁立して「普通の政党」の様相をも見せ始めつつ、高い割合で正副首長の推薦候補を当選させることに成功している。
著者
内田 九州男 竹川 郁雄 寺内 浩 山川 広司 加藤 好文 川岡 勉 加藤 国安 小嶋 博巳 河合 真澄 関 哲行 弘末 雅士 稲田 道彦 大稔 哲也 野崎 賢也 伊地知 紀子 松原 弘宣 西 耕生 田村 憲治 神楽岡 幼子 黒木 幹夫 菅谷 成子 若江 賢三 藤田 勝久 高橋 弘臣 吉田 正広 木下 卓 矢澤 知行 岡村 茂 石川 重雄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

シンポジウム・研究集会を3年開き31本の報告を実現、各発表は報告書に掲載した。巡礼の諸相の解明では、日本の四国遍路、熊野参詣、西国巡礼、海外では10巡礼地を調査し、キリスト教世界(古代東部地中海、中世ヨーロッパ、スペイン中近世、イギリス中世・現代)、古代ギリシア、アジア(中国中世、韓国現代、モンゴル中世、エジプト中世、ジャワ中世)の巡礼で実施。国際比較では、日本の巡礼とキリスト教巡礼での共通性は中近世では来世での霊的救済と現世利益の実現を願うことであることを示した。
著者
下村 吉治 北浦 靖之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

健康の維持増進に栄養と運動による代謝調節の必要性は極めて高く、それらに関する正確な科学的情報とメカニズムの解明が求められている。本研究では、分岐鎖アミノ酸(BCAA)投与と運動が健康の維持増進に及ぼす効果のメカニズムを明らかにするために、(1)BCAA代謝調節機構の解明、(2)廃用性筋萎縮に対するBCAA投与効果の解明、および(3)グルコース代謝に対するBCAA機能の解明を目的とした。得られた研究成果として、BCAA代謝調節因子として分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素キナーゼの未知の調節因子がラット肝臓ミトコンドリアに存在する可能性が示唆された。廃用性筋萎縮に対するBCAA投与の効果として、5%BCAA食摂取は、廃用性筋萎縮による筋重量の低下およびユビキチン-プロテアソーム系成分量に対して影響しなかったが、それらに対抗する細胞内シグナル成分の減少を抑制することが示唆された。さらに、グルコース代謝に対するBCAAの機能として、耐糖能を正常に維持するためには血中のBCAA濃度が重要な役割を果たすことが示唆された。
著者
氏家 等 朝倉 敏夫 村上 孝一 山田 伸一 池田 貴夫 會田 理人
出版者
北海道開拓記念館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

日本時代から現在に至るサハリン朝鮮民族の生活文化の変遷について、サハリン州や帰還者の住む韓国安山市において、約30名のサハリン朝鮮人の方々から基礎的情報を収集し、記録にとどめてきた。その結果、朝鮮文化のなかでも、オンドルや頭上運搬のような日本時代ないしソ連時代初期に失われた文化要素が少なくない一方で、日本→ソ連→ロシア時代を通じて、(1)日本時代を経験した多くの朝鮮人がウズベキスタンの朝鮮人から餅米を取り寄せ、臼と杵を使って餅を掲き続けてきたこと、(2)ロシア人の墓とは対照的に朝鮮人の墓は盛り土の前に墓石を立てる朝鮮半島方式を守ってきたこと、(3)還暦の行事を朝鮮方式で行い続けてきたなど、継続して守ってきた文化があったことを確認し、食文化や精神文化に関する文化要素は残り、住生活、衣生活などにおいてはその継承が難しかったことを明らかにした。一方、サハリン朝鮮民族は、多様な民族的関係史のなかで、韓国スタイル、北朝鮮スタイル、日本スタイル、ロシア・スタイルをそれぞれ重層的に取り入れた多重化したライフスタイルを構築してきた。また、ペレストロイカ以降の自由主義経済の展開を通じ、韓国人、北朝鮮人、沿海州の朝鮮人、中国人、日本人との交流関係が定着し、そのライフスタイルはより多角化の傾向にあることがわかってきた。日本時代を経験した朝鮮人、ソ連時代に生まれ育ち多くを社会主義経済下で過ごした朝鮮人、ペレストロイカ前後に生まれ育ち多くを自由主義経済下で暮らした朝鮮人など、世代間でそのライフスタイルの指向に違いが見られる事実も浮かび上がっている。韓国安山市等に帰還した元サハリン在住者の間では、周囲にロシア文化を流入させ、韓国文化を拒否する人々が相次ぐなどの課題も生じている。これら新たに生じた課題に踏み込むことにより、サハリン朝鮮民族の文化に対する理解がより深まることとなる。
著者
山中 章 廣岡 義隆 山田 雄司
出版者
三重大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

聖武天皇伊勢行幸地の中で最も長期に滞在した宿泊地が河口頓宮(740年11月2-11日)と赤坂頓宮(同月14-22日)である。前者については平成15年度に発掘調査他を実施し、その実務機関の一端を始めて明らかにした。さらに平成18年度には後者の実態を解明するため頓宮想定地の有力地である三重県亀山市関町での発掘調査を実施した。その結果、推定地の北西部から、聖武天皇の時期に壮大な規模の土木工事を実施したことを証明する重圈文軒丸瓦と共に、城壁の跡を発見することができた。城壁は観音山の山裾の谷上部を縫うようにして設けられており、(1)基底土木工事、(2)築地基底部造成工事、(3)築地構築工事の三段階に分けて行われていたことが実証され、特に、これまで全く知られていなかった城壁が装飾性と格式に富む築地塀であったことが始めて立証され、その建設時期と相まって、検出遺構が聖武天皇の宿泊施設である赤坂頓宮の囲繞施設をも兼ねていることが明らかにされた。聖武天皇の伊勢行幸はその後の美濃行幸も含めて、既存の公共機関の施設を利用、改修、解体新築して進められたことが知られている。その中心を担ったのが造伊勢行宮司である。周到に準備された「伊勢行幸」を考古学的に証明したのが今回の発掘調査の成果であり、昨年の調査で実施した朝明頓宮の成果とも会わせて、行宮造営体制や行宮の基本構造、個別行宮の特色などを一気に明らかにすることができた。また赤坂頓宮の北西隅を解明したことによって、これまで全くその存在を現すことがなかった、伊勢・鈴鹿関の位置が特定でき、三関研究にも大きな成果を得ることができた。またこうした古代の行宮(頓宮)建設が隋・等の同施設からどの様な影響を受けているのかについて、国際シンポジウムを開催し、比較研究した。さらに、近年めざましい発掘調査成果を出しているヴェトナムのタンロン王城遺跡の調査分析も実施し、日中越三国の古代王権が隋・唐をモデルにした国造りを行っていることも明かにすることができた。
著者
西田 治文 植村 和彦 栗田 裕司 朝川 毅守 山田 敏弘 植村 和彦 栗田 裕司 朝川 毅守 山田 敏弘 寺田 和雄 矢部 淳 LUIS FELIPE HINOJOSA O. MIGUEL RANCUSI Herrera
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

チリ南部の南緯33度から54度までの地域で、白亜紀後期から中新世の植物化石の採集調査を行い、鉱化ゴミ化石群という新たな概念の化石群集を含む良質の化石植物群を発見した。産出時代決定に当該地域では初めて渦鞭毛藻類による生層序区分を試み、有望な成果を得た。化石の解析から、第三紀初期のフロラが温暖な要素を含み、同時代の南極との植物地理学的関連が確認された。鉱化ゴミ化石の高解像度X線CTという新手法も試みた。
著者
神原 廣二 上村 春樹 柳 哲雄
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

インドネシアは群島国であり,島によって住む民族が異なるようにマラリア流行様式も島によって異なるだけでなく,1つの島の中でも地域によって異なる。この多様性を生み出しているのは媒介蚊の種を決定する自然環境であり,人間側の生活習慣,貧困であった。しかし現在の社会経済の発達は流行地図,様式を大きく変動させている。都市化はこの地域でのマラリアを撲滅へと導いている。この典型がジャワ島やバリ島であり,私達が調査を行なったロンボク・スンバワ島においても,これまで重要な流行をもたらしていた沿岸マラリアは,経済発達のためロンボク島では一部の未開発地域を残して減少,消滅へと向かっている。ところが人口増加,社会経済活動の変化は,海岸のすぐ背後に控える森林丘陵地帯へと人々の生活圏を拡大させた。ロンボク調査地では今やマラリア流行は森林部でこれらの人々の間で起きていることが判明した。同じようなことがスンバワ島南部の新しい入植地で起きていた。どのような条件が入植地でのマラリア流行を引き起こしたのかは現在調査中であるが,旧村落から遠く離れた三つの入植地で高いマラリア流行が起きていることが発見された。すべてに共通して言えることは,マラリア流行地は医療の手の及ばないところに発生することである。興味あることは,これまでマラリア免疫は高度流行地での繰り返し感染によってのみ獲得されるという教科書的考えがここではあてはまらないことである。ロンボク森林丘陵部のマラリア流行は中等度であるにかかわらず,10才を超えるとマラリアに抵抗できる免疫を獲得すること,新しい入植地でも入植後7〜8年を経た村では15才以上の成人には抗マラリア免疫があることが明らかになってきた。いずれの地域でも熱帯熱マラリア原虫のクロロキン耐性関連遺伝子のひとつpfcrtは100%の耐性変異,もうひとつのpfmdr-1は50%を越す耐性変異を示した。
著者
冨永 悌二 井小萩 利明 高山 和喜 牧志 渉 松浦 祐司
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

衝撃波損傷ラットモデルでは10-15MPa以上で照射側に脳内出血・壊死が認められた。その周囲では脳梁を介して反対側におよぶ広範囲で色素漏出とmatrix metalloproteinase発現増加が認められ、血管透過性亢進を示唆する所見と考えられた。対側には神経細胞の紡錘化を認め、頭蓋模擬モデル実験から頭蓋骨に反射した反射波とキャビテーションの発生が部位特有の損傷に関与するものと考えられた。グリオーマ細胞株への照射により種々の薬剤のうち、ブレオマイシンのみが照射回数依存的に細胞増殖能抑制効果を示した。
著者
大嶋 彰 新関 伸也 神林 恒道 梅澤 啓一 松岡 宏明 泉谷 淑夫 赤木 里香子
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

全国小・中学校の図画工作及び美術科における鑑賞学習の実態調査を行い、その結果を集計して『図画工作科・美術科における鑑賞学習指導についての調査報告書』を作成した。それによって、現在の学校における美術教育の問題点、指導者の鑑賞学習に対する意識、鑑賞学習の内容・方法・評価、教員養成における大学教育カリキュラムの現状と問題点が明らかになった。また、アンケートの「自由記述」では、教師の授業に対する様々な悩みや本音を読み取ることができ、理論と実践のすき間を埋める基本的な資料となった。以上の報告書をもとにして、研究分担者が各自の課題に基づき研究を進め、各学会において発表や投稿論文としてまとめることができた。その様々な研究は、図画工作や美術における鑑賞学習のカリキュラム作成をする上で必要とされる学校教育の側面はもとより、生涯学習や幼児教育、書道教育などの広い視点から進められた。また、日本の鑑賞教育だけではなく東アジアにおける鑑賞教育の実情把握と研究交流の視点から、韓国の研究者を招き「鑑賞」を中心に据えたシンポジウムを開催した。そこでは、日本の鑑賞教育の歴史的経緯や学校教育の実態などを報告しながら、両国に共通する課題や相違点を明らかにすることができた。一方、鑑賞学習のカリキュラムモデル開発のために、小・中学校を中心に鑑賞学習の事例収集及び分析を行い、それに基づきカリキュラムモデルの構造化を試みた。そのモデル化は、鑑賞学習の実践事例数をさらに増やした上で分析を行い、妥当性を検証する必要がある。今後の研究課題として、鑑賞学習を通して育てるべき能力や「総合的な学習」や「特色ある学校づくり」と結びついた具体的な学校教育における「鑑賞学習のカリキュラムモデル」の開発が必要である。
著者
ヤマンラール水野 美奈子 杉村 棟 関 喜房 小柴はるみ
出版者
龍谷大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、イスラーム世界の白羊朝(1378-1508のヤアクーブ・ベク(1478-1490の宮廷で編纂された2冊の詩画帳(ムラッカア(トプカプ宮殿美術館所蔵、登録番号H.2153, 2160の書・絵画合計2152点の作品の綿密な分析・分類・研究によって、15世紀の白羊朝を中心とした書画芸術の動向を解明した。本研究によって従来ティームール朝美術の影に隠れていた白羊朝美術の独自性が鮮明になり、白羊朝が東西交流の重要な拠点の一つであることを確認した。
著者
佐々木 晶 永原 裕子 杉田 精司 山中 千博
出版者
国立天文台
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

月岩石・隕石の実験室での反射スペクトルと月・小惑星の天体観測スペクトルには大きな違いがある。観測スペクトルは、全体的に暗く、波長が短いほど反射率が低い「赤化」の傾向があり、輝石やカンラン石に特有の1ミクロンの吸収帯が相対的に弱い。この月・小惑星表面の反射スペクトルの変化は、シリケイト中に含まれる酸化鉄が、ダスト衝突により還元されてナノメートルスケールの金属鉄微粒子となる「宇宙風化作用(Space Weathering)」と呼ばれる過程で天体表面が変成されたためと考えられている。研究申請者のこれまでの研究では、世界で初めてパルスレーザーを用いたシミュレーション実験でこの微小鉄粒子の生成を確認した。これまではサンプルをペレット状に固めるときに均等に圧力がかかるという理由で円形のサンプルホルダーを使用していた。昨年度は微小量サンプルの照射のために、皿状のサンプルホルダーを製作して使用した。本年度は、それを改良して微小量の隕石サンプルを照射できるようにした。また、導入した試料粉砕システムにより、隕石中に含まれる金属鉄も250ミクロン以下に粉砕できるようにした。この結果、これまでの隕石粉末試料照射と比較すると鉄の影響を正確に見積もることができるようになった。「はやぶさ」ターゲット天体のイトカワの反射スペクトルを再現するため、LL・Lタイプの普通コンドライトを中心として様々な隕石試料の照射実験を行った。粉末試料だけではなく、隕石固体表面へのパルスレーザー照射を行い、反射スペクトルの変化が起きることを確認した。岩石表面の色変化の確認は世界で初めてである。
著者
吉川 正俊 馬 強 浅野 泰仁 清水 敏之 岩井原 瑞穂 鈴木 優
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

Webサーバにおいて高品質な情報を管理するために,情報の注釈データの管理手法を開発すると共に,構造化文書の照応解析技術を開発した.知識資源を表現するRDFデータの格納及び検索システムを構築すると共に,検索エンジンと利用者生成型知識資源Wikipediaの統合利用システムを開発した.また,複数ニュースソースデータの統合利用手法として整合性提示機能提供システムおよび因果関係ネットワーク漸増構築法を開発した.
著者
築谷 朋典 妙中 義之 辻本 良信 堀口 祐憲
出版者
国立循環器病センター(研究所)
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では,従来の血液ポンプには見られない多段延伸ポンプの設計・製作を行い,血液ポンプとしての実用性を実験的に検証することを行う.本年度は,単体のポンプで血球を破壊せずに高圧を発生することが可能な血液ポンプという新たな医学的ニーズを反映した要求仕様を決定しそれに基づいてポンプの設計を行った.仕様として,特に低流量・高圧力である条件を考え,平均流量3.0L/min,発生圧力500mmHgを基準とした.従来よりも高揚程型とするために,以下にあげる特徴をもつ要素の設計を行った.1.高揚程化のためのサクションボリュート入口流路2.高圧用のインペラ翼形状(羽根枚数,出口角)3.ラジアルスラスト軽減のためのダブルボリュート出口流路ついでこれらの基本仕様にもとづいてポンプの試作を行い,基本性能を満たしていることを確認し,内部流れに関して数値流体力学を使用した解析を行い,血球破壊,血液凝固の観点から以下に示す設計変更を行った.・ 羽根車へのフロントケーシングの付与・ ダブルボリュートケーシングと羽根の距離拡大・ 案内羽根にシュラウドを設置試作機については,ポンプ内部の漏れ流量拡大等の影響により,水力学的性能は若干低下しているがその影響は軽微である.数値計算に基づいて形状変更を施した結果,ポンプ効率を大きく損なうことなくポンプ内部での溶血に関わる高いせん断応力の領域を低減し,血栓形成に関わる淀み領域の解消に成功した.
著者
菅井 勲 高木 昭 武田 泰弘 入江 吉郎
出版者
大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

研究代表者らが開発した制御型直流アーク放電法を用いて厚さ300-400.ug/cm^2のHBC-フォイルを作成し東工大の3.2MeVのDCネオンビーム、KEKの650KeVのDC負水素イオンビーム、それに米国ロスアラモス研究所の800MeVのパルス負水素イオンビームを用いて照射性能試験を行った。結果はいずれの場合でも1800K-2300Kの高温環境下に加熱されたHBC-フォイルは市販のフォイルの250倍、ナノダイヤモンドフォイルの100倍以上の寿命を示した。
著者
那須 壽 草柳 千早 土屋 淳二 榎本 環 河野 憲一 飯田 卓 木村 正人 大貫 恵佳 関水 徹平 大黒屋 貴稔
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

「知の在り方・有り様が変わりつつある」という日常的実感(仮説)を導きの糸として、25大学40年間の社会学関連シラバスに関する調査と、社会学の教育と研究に関する質問紙調査を立案・実施し、分析した。これら二つの調査研究は「知の社会学」の構想の一環であり、今日、多くの人びとによって実感されている(であろう)「知」の在り方・有り様の「変化」を見定める第一歩として、社会学知における変化をいくつかの側面から明らかにした。
著者
加納 航治
出版者
同志社大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

1.ポルフィリン-パーメチル化シクロデキストリン錯体:ある種の水溶性テトラアリールポルフィリンがパーメチル化β-シクロデキストリン(TMe-β-CD)と極めて安定な1:2包接錯体を形成することを見出した。この錯体は10^<-6>M程度の希薄水溶液中においても定量的に1:2錯体を形成する。この発見により、ポルフィリン-TMe-β-CD系が種々の超分子構築に有用であることが予想された。2.ポルフィリン-TMe-β-CD錯体の生成機構:異常に安定なシクロデキストリン錯体の生成機構につき検討した。その結果、TMe-β-CDはフレキシブルなホスト分子であり、ゲスト分子の形に応じて、ホスト分子が柔軟にその形状を変えながら包接し、その結果、最大のvan der Waals接触が可能となり、酵素類似のinduced-fit type complexationが起こることが、極めて安定な包接錯体形成の原因であることを明らかにした。3.簡便なヘテロポルフィリンアレーの作成:光合成アンテナクロロフィルモデルや反応中心クロロフィルモデルの構築には、ポルフィリンを自由に集合させ、並べる手法が必要となる。従来は共有結合で複数のポルフィリンを結合させて、ポルフィリン集合体を得てきた。しかしこの古典的な手法は、大変な手間がかかる。我々は、テトラフェニルポルフィリンのメソ位のフェニル基にパーメチル化シクロデキストリンを共有結合で結びつけた複合体は水中で他のポルフィリンと混ぜるだけで、任意のヘテロポルフィリンアレーを作り、このアレー内では非常に効率の良い光エネルギー移動が進行することを見出した。4.メトミオグロビンモデルとアニオン認識:TMe-β-CDと水溶性鉄(III)ポルフィリン(Fe(III)TPPS)との2:1錯体はメトミオグロビンモデルとして機能し、さらにアニオン認識する超分子として機能することを見出した。この機能は水中でアニオンを選択的に認識するセンサーとして応用できることを示し、特許を申請した。5.ミオグロビンモデルと酸素の可逆的吸脱着:パーメチル化β-シクロデキストリン2分子をピリジンを含むリンカーでつないだCD2はFe(III)TPPSと極めて安定な1:1包接錯体を形成する。このmet-hemoCDを還元してhemoCDとし、この水溶液に酸素を吹き込むと、oxy-hemoCDが生成することを見出した。この研究は、水中で機能するヘモグロビンあるいはミオグロビンモデルとして世界で始めての例である。特許を申請した。
著者
安保 雅博 角田 亘
出版者
東京慈恵会医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

近年、経頭蓋磁気刺激(以下TMS)が脳卒中後遺症の治療目的で用いられている。特に、低頻度TMSを適用し、適用部位から対側大脳への大脳半球間抑制を軽減させ、結果的に非適用大脳の活動性を上昇させようとの考え方が注目されている。失語症患者に治療的TMSを導入する場合、言語機能を代償している部位をTMSに先立って機能的MRIで明らかにし、代償部位の対側に低頻度TMSを適用することが望ましいと考えられる。
著者
鈴木 一臣 入江 正郎 田仲 持郎 山本 敏男
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

インプラント歯科治療における骨の誘導を促すことおよびインプラント上部構造体(クラウン、ブリッジ等)の新規接着材を開発した。チタン製インプラント表面をリン酸化プルラン処理することによって、ラット脛骨に埋移入2週間後でチタン表面に新生骨の形成が促進された。一方、ウレタンジメタクリレートにアミノ酸(シスチン)誘導体を15~20%添加することで、金銀パラジウム合金に対して22.4MPa(SD:1.8)の接着強さを示し、5-55℃熱負荷2万回後においても10%の低下に止まった。
著者
赤間 亮 CLARK Timothy TOMPSON Sarah
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

全8回の現地調査により大英博物館所蔵のすべての浮世絵・画帖と関連する所蔵版本400点について、精細な画質のデジタル画像を取得することにより、網羅的にカタロギングし、全貌を把握することができた。常にレベルの高い専門学芸員が継続的に収集を続けてきた博物館であり、著名な絵師、初期作品などの知られていた名品以外にも稀少絵師、特殊フォーマットが網羅的に収集されているなど、高い質を有することが判明した。