- 著者
-
岩﨑 みすず
水野 恵理子
- 出版者
- 一般社団法人 日本看護研究学会
- 雑誌
- 日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.4, pp.4_101-4_109, 2009-09-01 (Released:2016-03-05)
- 参考文献数
- 25
統合失調症患者の地域生活において家族の支援は重要であり,今後,高齢化する親に代わってきょうだいの存在が注目される。本研究では,統合失調症患者のきょうだいの体験を明らかにすることと,支援の方向性への示唆を得ることを目的として,きょうだいへの半構成的面接を思いと対応に注目して分析した。 長い経過を経ても,病気と患者の受け入れに対する葛藤を抱えてアンビバレントな心的態度が認められ,患者のきょうだいであることを不名誉に感じることが,他者に配慮する姿勢につながっていると考えられた。しかし,患者を抱えた負担感を持ちながらも,患者のニーズとともに,自身のニーズの充足に対処しており,体験をとおして自分の存在や生き方に新たな価値観を見出していた。きょうだいが抱えるアンビバレンスの理解と,きょうだいのニーズを的確に把握して,医療や社会資源とのつながりが保てるように支援していく必要性が示唆された。