著者
吉田 正人 山本 浩之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

樹木の姿勢はあて材に発生する成長応力で調整されている。しかし、木材にあて材が含まれると、割れ・反りが大きくなり、高度利用の障害となる。そこで本研究は、針葉樹のあて材がどのように形成するのかを遺伝子発現の立場から理解することを目指した。細胞壁リグニンの合成に関連する遺伝子を調べたところ、あて材が形成されるときだけに発現する遺伝子を発見し、これをCoLac1と命名した。この遺伝子はあて材の細胞壁においてリグニン増加と密接な関係にあることを明らかにした。また、次世代シーケンサであて材形成時の遺伝子発現を網羅し、あて材形成の理解を深めた。
著者
山本 圭
出版者
名古屋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

本年度は英国University of Essex, Department of GovernmentにてAletta J. Norval博士のもとで研究課題を遂行した。まずは研究課題である闘技的民主主義の諸相を捉えるべく、一般に「闘技理論」としてカテゴライズされる政治理論-ハンナ・アーレント、シャンタル・ムフ、ウィリアム・コノリー-のマッピングを行った。これらを比較検討することにより、それぞれのあいだの差異、つまりは闘技理論の様々な可能性を吟味出来たと同時に、これらのあいだに見出される共通点を闘技理論の特徴として抽出することが可能となった。続いて闘技理論を批判する熟議民主主義の議論を検討した。熟議民主主義は今日、単に対立のモメントを拒絶しているわけではなく、むしろ対立をどのように熟議のうちに取り込むかに関心をもっていることに着目し、それらの議論を二つのタイプに分けることを試みた。すなわち第一に、熟議のうちにも対立の契機が存在することを主張するもの、そして第二には如何なる闘技も一定の合意に基づいたフレームワーク、ないしは熟議の結果としてのルールを前提とせざるをえない、というものである。これらの議論を検討することで、通常熟議/闘技として認知されている現代民主主義理論の二項対立の有効性を疑問に付し、この二分法を超えるパースペクティブの必要性を提示した。この成果は、Kei Yamamoto, "Beyond the Dichotomy of Agonism and Deliberation",(Multiculturalism, Nagoya University, Graduate School of Languages an and Cultures, No. 11, pp. 159-183, 2011)として発表された。
著者
栗山 昭子 山田 理恵子 山岡 テイ 栗山 直子 吉田 隆夫 乾 清可
出版者
芦屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

「世代間交流による患児への遊び・学び支援プログラム」の実践的研究では「病院の子ども憲章」に基き入院中の子どもたちの保有する「遊び・学び」を支援した。5つの病院の協力のもとに、12人の高齢者ボランティアを養成し三年間、月2-3回「遊び・学び」の支援を行ってきた。徐々に子どもからのニーズが高まり、教材や遊び道具をベッドサイド用に開発してきた。手乗り紙芝居や発達に応じて使用できるドリルなどである。ボランティアはこれらの開発道具を携え定期的に病院の子どもたちに「遊びと学び」の支援を行った。医療関係者とも相互理解が深まりモデルプログラムとして定着した。このプログラムはカプラン氏からも注目されている。
著者
溝渕 健一
出版者
松山大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、地球温暖化や昨今の電力不足の課題に対して、規制が難しい家計部門を対象に、省エネルギー行動をどのように促進していけば良いのかについて、経済学に基づいた手法の検討を行った。具体的には、節電行動に対して、報酬(インセンティブ)を付与すると、付与しない場合に比べてどの程度行動に差が出るのかを、社会実験により検証した。結果として、報酬を付与するグループは、付与しないグループよりも約4%節電率が高くなることが分かった。
著者
小田 亮 福川 康之 平石 界
出版者
名古屋工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ホスピタリティの心理的基盤について、調査と実験の両面から明らかにした。(1) 職業上発揮されるホスピタリティの程度には日頃関わりのある相手への利他行動の頻度が影響していた。(2) ホスピタリティの基盤となっている利他性が、目の絵のような抽象的な刺激によって促進されることが、実験室とフィールドにおいて示された。(3) 大規模調査データの分析から、個人レベルの互恵性が主観的健康を向上させる効果は、集団レベルの互恵性が低い場合により強いことが明らかとなった。
著者
山崎 晃司 後藤 優介 小池 伸介 釣賀 一二三 泉山 茂之 セオドーキン イワン ゴルシコフ ディミトリー ソウティリナ スベトラーナ ミケール デール
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ロシア沿海地方において,ツキノワグマと,ヒグマの種間関係研究に着手した。2016年に必用な許認可が揃い, 2017年春までに計11頭の捕獲に成功し,内9頭(ツキノワグマ5頭,ヒグマ4頭)に衛星通信型首輪を装着した。首輪に内蔵した近接検知センサーにより,種間の遭遇時の動きを記録できた(n=5)。遭遇時には互いに回避を行い,不要な闘争を避けていた。追跡個体の利用クラスター調査では,ツキノワグマおよびヒグマの計148個の糞分析を終えた。共通品目も多かったが,より樹上生活に適応したツキノワグマでは木本の果実であるサクラ属,開放的環境を好むヒグマではコケモモやスグリの地上性の食物に依存していた。
著者
蒲島 郁夫 池田 謙一 小林 良彰 三宅 一郎 綿貫 譲治
出版者
東京大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
1993

93年総選挙における投票行動を起点にして、その後の政治変動と、選挙制度改革が、有権者の政治的態度にどの様な影響を及ぼしているかを正確に知るためには、同一有権者に繰り返し質問するパネル調査が必要である。われわれ研究グループは、93年総選挙直前から96年総選挙直後まで、7回にわたって全国的なパネル調査を行い、有権者の意識と行動の変容を探った。7回に及ぶ全国的なパネル調査というのは世界的にも類がなく、その上、これらの調査が日本政治の重要な時期をカヴァーしているのは極めて貴重である。この一連の調査の結果、政権交代をもたらした有権者の投票行動と、その後の政治変動が有権者の政治意識にどのような影響を与えたかを明らかにすることができた。研究発表の全容については別紙を参照されたいが、前年度に引き続き本年度も、科学研究費出版助成を受けて、(1)蒲島郁夫『政権交代と有権者の態度変容』、(2)三宅一郎『政党支持の構造』、(3)蒲島郁夫他『JES IIコードブック』の3冊の研究書を出版した。
著者
長谷川 明洋
出版者
山口大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では肺組織内での細胞の動き・ゆらぎと細胞間相互作用の形成による炎症巣の場の決定メカニズムを解明することを目的として、独自に開発したマウス肺内in vivo live imagingシステムを用いて解析を行い、今年度に以下の結果を得た。1.マウス肺内in vivo live imagingシステムを用いた樹状細胞の抗原分子取り込み過程の動的挙動解析:樹状細胞のみが蛍光を発するトランスジェニックマウスに対して、異なる色で蛍光標識した抗原分子を吸入させて肺組織内で抗原を取り込む課程の時間的定量的解析を行ったところ、抗原提示細胞は抗原吸入20分後には抗原分子の取り込みを開始することが明らかになったことから、抗原を取り込む過程をビデオ撮影して抗原取り込み過程の動的挙動解析を行った。2.抗原提示細胞とTh細胞の細胞間相互作用のダイナミクス解析:抗原を取り込んだ樹状細胞と肺に集積してきた抗原特異的Th2細胞の細胞間相互作用についてタイムコースを追った実験を行い、また細胞集団形成における役割を解析した。3.マウス肺内in vivo live imagingシステムによる喘息肺でのリンパ球の動的挙動解析:Th1やTh2細胞について抗原吸入後の肺組織内での動的挙動解析を行って差異を検討した。また同様の実験を劇症型急性肺炎モデルを用いて行い、種々の免疫細胞分画の動的挙動解析を行った。
著者
嶋矢 貴之
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、近時の日本における刑事立法について、解釈論的観点から調査・研究を行うものである。日本では、この10年の間、刑事立法が非常に活発化しており、それを実定法解釈論研究者の立場から、研究することの意義は非常に大きい。本研究では、それら刑事立法のプロセス、そこで行われた議論、もたらされた帰結・状況を研究し、一般化可能な立法に関する命題を探求した。具体的成果としては、後述のとおり、違法ダウンロードに関する研究報告、不正指令電磁的記録等作成罪の注釈書執筆等において明らかにしている。
著者
松元 賢 土屋 健一 セイン・サン・エ ハ・ヴィエト・クオン
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究では、まず、熱帯アジア土壌病害調査として、ベトナム北部紅河流域やミャンマー中山間地区の病害調査を行い、熱帯地区をモデルとした土壌病害発生シミュレーションの基礎データを収集した。また、高温障害の植物根圏に及ぼす影響解析では、九州大学ファイトトロン(人工気象装置)において擬似的な熱帯環境を構築し、熱帯の水田環境におけるイネ紋枯病の発生様相についてのモニタリングに成功した。さらに、香草植物や薬用植物の抗菌・殺菌成分を素抽出し、土壌燻蒸による土壌病害の生物的防除への利用可能性について検討した結果、極めて殺菌・抗菌作用の高い植物成分として、オイゲノールや精油成分の抽出に成功した。
著者
SEAN・M Chidlow
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、医療に関する文学作品や映画を日本語と英語の二ヶ国語で紹介するウェブサイト上のデータベース、医療人文学データベース日本版(Medical Humanities Database Japan;以下MHDJ)を構築することであった。本研究によって、英語で書かれた文学作品25本、日本語で書かれた文学作品20本、映画作品21本を収録した英語と日本語の二ヶ国語のウェブサイト上のデータベースを構築した。本研究で製作したMHDJはhttp://www.medicalhumanitiesjapan.com. で公開している。
著者
山田 哲 吉敷 祥一 島田 侑子 石田 孝徳
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、大地震時に鉄骨造建物が倒壊に至るまでの3次元挙動を明らかにし、耐震設計における安全余裕度を明らかにすることである。そのためには、構成部材の現実的な挙動を反映した応答解析を行う必要があることから、主要部材であり耐震要素でもある柱と梁を対象に、地震時の現実的な条件を反映した実験を実施し、3次元応力下で部材が最大耐力に到達し、その後復元力を喪失するまでの挙動を把握した。そして、部材の挙動を反映した数値解析を行うための、解析プログラム作成に取り組んだ。
著者
伊東 正浩
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

リン酸アルミニウムを担体とする白金触媒を作製し、これとゼオライト触媒との階層複合化を検討した。作製した複合化触媒について、水素を還元剤とした脱硝反応を行ったところ良好な特性を示した。赤外吸収により反応吸着種を評価したところ、反応過程におけるアンモニアの生成が確認され、白金触媒上で生成したアンモニアがゼオライト触媒上に吸着し、疑似NH_3-SCR的に脱硝が進行することで良好な特性が得られることがわかった。
著者
高田 洋子 高田 滋 高田 滋
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

わが国では介護保険制度導入後,在宅ケアを中軸とした地域福祉システムの再構築が始まっている。地域福祉の主体である自治体,市民,福祉・介護及び保健・医療専門職の連携が求められている。この点で先行する幾つかの自治体および福祉団体の事例を調査検討して,その優れた有用性と課題を把握し,今後の研究の課題を明らかにした。
著者
磯田 則生 久保 博子 都築 和代 東 実千代 光田 恵 佐々 尚美 萬羽 郁子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

省エネルギーと個人の適応能力に着目し、住居の最適空調環境を明らかにするため、一連の温熱環境実測調査と空気環境調査、人工気候室での環境適応実験と空気質実験を行った。その結果、冬期のトイレや浴室環境の劣悪さ、環境共生住宅や半地室の快適性や断熱改修の高齢者の健康生活への効果を示した。又、空気環境の悪化の懸念と臭気環境の制御の重要性が明らかになった。さらに、省エネルギーを意識すると、夏期の快適温度が1℃上昇することや、寒さに弱い被験者や高齢者の温熱的特性について示した。
著者
西原 大輔
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

Pax6は眼の「マスターコントロール遺伝子」とも呼ばれ、その所以の一つは、ショウジョウバエやアフリカツメガエル胚においてPax6遺伝子やmRNAの強制発現によって異所的な眼の形成が誘導されたという知見によるものである。脊椎動物の場合、眼の複数の組織の正常形成がPax6遺伝子の機能喪失によって乱されることから、Pax6は眼の形成過程で多面的な機能を担っていると考えられている。従って、眼の形態形成過程を理解し、また将来の展開が予想される眼の組織再生に発生学的な知見を活かす上でも、Pax6のin vivoでの機能解析は必須の課題と言える。本研究では、共通の発生起源から形成される網膜色素上皮(RPE)と神経網膜の2つの眼の組織の形成過程に着目し、1)Pax6という1つの因子が、異なる2種類の組織の形成に関わっているかどうか、2)またその過程でPax6がどのような分子メカニズムを介して機能するのかを解析した。解析の結果、1)については、Pax6が実際にRPEと神経網膜の両方の形成を促すことを、一つのin vivo実験系内で観察できた。RPEと神経網膜の発生過程では、それぞれのプロセスを異なる転写因子が動かしている。本解析では、構成的活性化状態のPax6をコードする遺伝子を眼杯に導入することで、Pax6の機能が亢進した場合にRPEと神経網膜のそれぞれで特異的に発現する転写因子の両方が発現誘導されることが分かった。さらに2)について、RPEと神経網膜のそれぞれで働く転写因子の発現誘導が、Pax6タンパク質内の異なるドメインを介して活性化されることも明らかにした。これらのデータはPax6の多面的な機能メカニズムの一端を明らかにするものであり、現在論文投稿の準備中である。
著者
SCHWARTZ LAURE
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

西洋における日本美術への眼差しや研究の歴史を辿る中で、本研究では、優れた学芸員であり著名な知識人であったジョルジュ・サール(1889~1966)の思想と功績を明らかにすることができた。サールは、ルーヴル美術館初のアジア美術部門の創設に携わり、次いで同部門の国立東洋美術館(ギメ美術館)への移管を指揮し、そこで1941年より学芸員を務めた。本研究では、20世紀前半のフランスに影響を及ぼした極東美術、とりわけ日本美術の概念やその普及に関わる重要な歴史と発展について考察することができた。
著者
堀 美代 村上 和雄 坂本 成子 大西 英理子 大西 淳之 一谷 幸男 山田 一夫
出版者
公益財団法人国際科学振興財団
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

幼若期の社会的隔離によって引き起こされるストレス脆弱性に対する快情動の効果を検証した。仔ラットどうしの遊び(rough and tumble play)をモデルにしたtickling刺激は、50kHz音声の表出と側坐核のドパミン分泌を促し、恐怖条件づけの恐怖反応や自律神経系のストレス応答を軽減させた。これらのことは、幼若期において他個体との相互作用を伴う遊び行動が、快情動形成およびストレス応答性の獲得に影響を及ぼす可能性を示唆する。
著者
中村 隆
出版者
東京理科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

種々のゼータ関数に対して、普遍性、混合普遍性、自己近似性に関する研究を行った。
著者
原田 融 平林 義治 梅谷 篤史 小池 貴久
出版者
大阪電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

2重荷電交換反応である(K〓,K〓)や(π〓,K〓)などを用いたハイパー核の生成・崩壊のスペクトルを歪曲波インパルス近似の範囲で計算し、反応機構を理論的に調べた。その結果、ハイペロン混合に起因する戸口の状態を経由する1段階過程が重要であり、今後のJ-PARC実験によるデータとの比較によって〓N-ΛΛおよびΣΝ-ΛΝ結合など相互作用の性質についての貴重な情報が得られることが分かった。さらに中性子星の内部構造を解き明かす手掛かりにもなる。