著者
錦野 将元
出版者
独立行政法人日本原子力研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

超短パルス・超高強度レーザー技術による高輝度X線光源とX線光学素子を組み合わせて細胞程度まで集光可能な軟X線マイクロビーム照射装置を開発し、細胞試料に照射して誘発される放射線生物損傷の生成メカニズムに関する研究を実施した。また、マイクロビーム照射や軟X線顕微鏡へも応用可能な高原子番号金属材料を用いたレーザープラズマ軟X線源の開発や軟X線用フレネルゾーンプレートを用いた軟X線顕微法の開発を行った。
著者
土田 幸恵
出版者
常磐会短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

昼食と夕食の"摂取量"と"摂取時間"のバランスが翌日の朝食の糖質の消化吸収に及ぼす影響について実験した。夕食の摂取時間の違いによる実験では、夕食を遅く摂取した場合、早く摂取した時と比較して翌朝の糖質の非消化吸収率が低い傾向にあり、このことは食後血糖が高値を示したことと関連していたものと考えられる。また前日の昼食と夕食の摂取量のバランスの違いによる翌朝の糖質の非消化吸収効率と消化管活動、血糖変化、呼吸商については有意な違いが見られなかった。
著者
小笠原 康悦 佐々木 啓一 中山 勝文
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

近年、医療用生体材料の多くが開発され、広く用いられている。金属は加工が容易であり、金属は剛性、弾性、及び延性を有するため、金属は、歯科治療における生体材料の構成成分として用いられる。歯科において、金属はしばしば義歯、インプラントと歯冠修復物の一部として使用される。また、それは、血管ステントおよび医学分野にいて人工関節の材料としても利用される。しかし、金属は、口腔疾患、炎症及びアレルギー性皮膚炎を引き起こすために、その危険性は、以前から指摘されてきた。近年、医療や歯科技術の向上により、金属材料の使用頻度が高くなっており、また、ネックレス、イヤリングなどの装飾品をつける人が増加しているために、金属によって引き起こされるアレルギー性皮膚炎または炎症の患者が増加している。しかしながら、金属によって引き起こされる疾患の病因はよく理解されていない。本研究では、実験動物モデルを用いて、金属により引き起こされる遅延型過敏症や炎症に対する新しい診断法を開発することを目指した。また、我々は、金属アレルギーや炎症の開発のための分子機構を探った。金属アレルギーの診断のためのリンパ球刺激試験において、我々は、CTLA-4を阻害することにより、患者の末梢血を使用することによって感度が向上することを見出した。この方法では、金属アレルギーの診断のためのリンパ球刺激試験の新しい方法を開発することができると考えられた。金属アレルギーマウスモデルでは、ヒト病理に近い金属アレルギーの新たな動物モデルを開発することができた。
著者
水落 正明
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

わが国では年金財政の安定化のため、年金受給開始年齢を引き上げると同時に、高齢者の雇用確保を行っている。こうした改革は、若壮年の雇用を悪化させる一方、高齢者が長く働くことで健康が維持される効果もあり得る。実証分析から次のことがわかった。第1に、高齢者の雇用確保は新規学卒者の正規職への就職確率を低下させる。さらに高年齢者の雇用確保によって新規学卒者が初職で正規職に就けなかった場合、その後の年収が7-8%程度減少する。第2に、定年退職は高年齢男性の精神的健康を悪化させる。その悪影響は、定年退職から2年以上経過した後で現れる。
著者
吉野 博 小林 仁 久慈 るみ子 佐藤 洋
出版者
東北大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

本研究では衣服内の空気は動くものとして捉え、建物内部の換気量測定法であるトレーサーガス法を、衣服内換気量の測定に適用できるかどうかについて検討を行った(1)簡易温熱マネキンの製作:簡易温熱マネキンは、表面温度のコントロールのために、サーミスタ温度計をマネキン表面(胸部・背部・上腕部・前腕部・大腿部・下腿部)に貼付し、体幹部以外は左右別々に、発熱を制御できるようにスライダックを通して調整を行った。(2)ガス発生方法の検討結果:測定はトレーサーガスとしてCO_2を用い、定量発生法で行った。実験室内の温熱環境条件は、室温20.1℃〜24.5℃である。実験被服は、塩ビフィルム製の袖なしワンピース型とした。ガス発生方法の検討の結果、チャンバー(150*90*90cm)を用い間接的にガスを発生させる方法を考案した。チャンバーでの測定結果では、衣服内ガス濃度と外気のガス濃度との差は550〜670ppmの範囲にあるが、各実験において、同一条件下では衣服内のガス濃度は一様に分布し、各実験ごとの測定点間のガス濃度の標準偏差は±6.37ppmと小であった。この方法によると、チャンバー内でガスを完全拡散させることが可能となり、チャンバー内と衣服内のガス濃度はほぼ一定となることがわかった。また、室温が高くなると換気が促進されて、衣服内ガス濃度は低くなり、両者は反比例する。また、実験の再現性は高く、衣服の着せ替えによる影響はなかった。マネキン平均表面温度とチャンバー内温度の差と衣服内平均ガス濃度についてみると、温度差が大になると、やや衣服内濃度が高くなる傾向にあることがわかった。塩ビ衣服の換気量を求めたところ、発生量は平均0.065L/min.であることから、6〜7m^3/h.であると算出される。以上の結果より、チャンバーを用いて間接的にガスを発生する方法は有効であると考えられる。
著者
小野 崇人 江刺 正喜
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究では、テラヘルツ波を発生検出するデバイスをMEMS技術で作製し、ナノメートルの分解能をもつ顕微鏡に応用する。テラヘルツの発生と検出を半導体技術で小型、集積化することで、余計な光学系が不要で、自由度が高い計測システムが実現できる。熱型センサの最小検出能は、検出する輻射光の揺らぎによるショットノイズ、センサから恒温浴への熱伝導に起因する熱揺らぎ、センサ自身の熱機械ノイズなどによって制限され、原理的に理論的な限界が存在する。このため、高感度な熱型の輻射センサは液体窒素や液体ヘリウムで冷却して利用する。一方、熱量の変化を機械的なそりとして変化として検出するバイメタル式センサが知られている。しかし、この場合も同様に周囲の熱による熱機械ノイズが最小検出感度を制限する。そこで、本研究では、レーザー光を利用した光熱力を利用し、応答を増幅して高感度化を図った。テラヘルツ波の発生と検出のため、スパッタZn0を用いた光導電性アンテナを開発した。Siの上にアンテナ構造を作製するため、Siと相性のいい、Zn0をスパッタにより作製した光導電性アンテ光伝導層として利用した。このZn0膜上に金属のパターンを形成し、光導電性アンテナを形成した。作製したアンテナを評価した結果、Zn0膜がTHz波の検出および発生に使えることを示した。また、THzの近接場を形成するため、THzアンテナ上に金属で覆われたシリコンの探針を形成し、微小な開口を設けた。この近接場プローブにて信号が検出できることを確認した。
著者
松本 有記雄
出版者
長崎大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

雄の配偶成功は性的二型などの質に依存するが、その質の差に関係なく配偶成功に極端な偏りが生じることがある。この原因の1つが雌の非独立型配偶者選択(以下、コピー戦術)である。コピー戦術を採用する雌は、他個体の配偶者選択を真似て同じ雄を選ぶため、通常の選択の基盤となる遺伝的な好みとは逆の特徴を持つ雄さえ選ぶことがある。このように、コピー戦術は既存の性淘汰の概念を覆すような重要な現象であるが、過去の研究の多くがコピー戦術か否かの報告に留まっており、その適応的意義まで実証した例は皆無である。昨年度までの研究で、ロウソクギンポ雌のコピー戦術には配偶者探索時の移動コストや捕食リスクを軽減する機能は無いことが示された。そこで、多くの種で観察される全卵食行動、すなわち保護卵が少ない場合に(ロウソクギンポでは1000個末満)、卵を保護する雄がそれらの卵を孵化まで保護せずに全て食べる行動に注目した。本種雌の場合、雌1個体の産卵数は最大でも500個程度なので、雌はすでに他の雌の卵がある巣に卵を追加産卵しなければ、自身の卵が全卵食される可能性が高い。ところが、雌が卵を確認するために、巣内に入ると雄に産卵するまで巣内に閉じ込められるリスクが生じていることが実験的に示された。コピー雌の卵が無い巣への産卵頻度は通常選択を採用した雌よりも低く、実際に孵化まで保護されるケースが多かったことから、コピー戦術には、卵を保護していない雄に強制産卵させられるリスクを回避して、自身の卵の生残率を上げる機能があると考えられた。
著者
小田切 忠人
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は,数学的な着想が個の知的活動の中でどのように発現するのかということに関心を置きながら,学習活動において子どもはどのように数学的概念を獲得するのか,できるのかということを観察することをねらいとして始めた。ここでは,「答え」の出し方を機械的に覚え込むということでなく,分かること,分かり方が研究の対象になる。その研究の方法として,数と計算の学習に困難を抱える子どもたちに治療的な教育介入を行い,その学習の様子を観察することにした。したがって,ここでの学習活動は,学校のような場における教師の意図的な教育介入のある知的な活動であり,生活や遊びの中で行われる無意識的な学びのことではない。その結果として,本研究での観察は,教師の意図的な教育介入の,求められる有様を,結果として探ることになるものともなった。本研究の成果として,数と計算の学習につまずき,低達成のままであった,学習障害などの発達障害が疑われる子どもたちや知的障害がある子どもたちを含む,数学学習にスペシャル・ニーズのある子どもたちが,基礎的な数概念や計算技能を獲得する学習の過程を,生のデータで記録に残し,それをWEB上で検索可能なデータベースにすることができた(http://plaza4ts.edu.u-ryukyu.ac.jp)。このデータベースは,一冊の報告書に載せきれるものではないほどの大きなものとなった。そして,今なお,治療的な教育介入を継続し,データの蓄積を続けている。最終年度報告書には,データベースの概要と,そのデータベースに収められている学習記録に基づいて進めた研究成果の一部を掲載した。
著者
川澄 みゆり
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、Sox17-GFPノックインノックアウトマウス(Sox17-GFPマウス)を用いてSox17の子宮における発現パターンや着床への影響について解析を行った。Sox17-GFPマウスではメス出産時の産仔数が減少する傾向にあった。そこで、まずはその原因が胚側、母側のどちらにあるのかを検討した。その結果、排卵および受精、in vitroでの胚発生は野生型由来と差が見られなかったにも関わらず、交配後6.5dpcで着床状態を確認したところ、Sox17-GFPメスマウスでは野生型に比べて着床数が減少した。また着床前胚の免疫蛍光染色の結果、Sox17は野生型と比較してその発現に差は観察されなかった。これらのことから、Sox17-GFPマウスで産仔数が減少する原因は胚ではなく母側にあり、着床の過程で何らかの異常が生じている可能性が高いことを見いだした。さらに母側の子宮において、Sox17の発現はプロゲステロン産生時期に関わらず子宮内膜に強く発現していることを確認し、続けて胚が子宮に着床する瞬間の解析を進めている。またSox17が子宮での着床時に機能しているのかどうかをより詳細に解析するため、子宮特異的にSox17を欠損するコンディショナルノックアウトマウスの作成も進め、Sox17floxマウスをプロゲステロン受容体Creマウスと交配し、Sox17子宮特異的欠損マウスを作成した。Sox17の機能相補が予想されるSox7についても同様に欠損させるため、Sox7floxES細胞を購入し、ESインジェクションによりキメラマウスの作成を行った。着床、妊娠の過程におけるSox17の役割の解明を目指し、着床および妊娠維持の機構を明らかにすることは、マウスでの体外受精の着床率の向上・安定が望め、また着床率の向上と安定はヒト不妊治療への応用も期待できることから、臨床的にも意義のある研究と言える。
著者
間藤 茂子
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2010

日系ペルー人のアイデンティティに関する論文を国際スペイン語文学学会(クスコ、ペルー)にて発表した。また、もう一本の論文を学術誌で発表した。さらに、2012年5月にラテンアメリカンスタディーズ国際学会で別の論文を発表する(選考率33%)予定である。他の論文はまだ発表するに至っていないが、この研究に関するものは合計で上記以外に二本書きあげ、校正中である。さらに日系詩人に関する新たな論文に取り組んでいる。最後に、ペルー、アメリカで実のある資料集め、ペルーでは、日系ペルー人作家との会合、インタビューができた。
著者
小林 宜子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、イングランド国王ヘンリー八世の忠臣であった人文主義者ジョン・リーランド、および彼と親交のあった宗教改革期の複数の好古家の文学的活動に焦点を絞り、彼らが試みた国民文学の伝統の創出とカノン形成の企てを考察したものである。また、彼らの活動の根底にあった国民主義的な人文主義の思想がエリザベス朝の詩人たちを経てトマス・ウォートンの『英詩史』へと継承されていった過程を辿ることにより、宗教改革期から18世紀後半に至るまで連綿と受け継がれることになった英文学史観の批判的な再検証を試みた。
著者
緑川 光正 麻里 哲広 小豆畑 達也 石原 直 岡崎 太一郎
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

鉛直荷重は建築構造物の耐震性能を損なうものと一般に考えられている。柱中間部浮き上がり(CMU)機構を有するロッキング架構は,鉛直荷重を活用して地震応答低減を図る構造システムである。先行研究では,浮き上がりに伴って容易に降伏するベースプレートを柱脚部に設置したロッキング架構の地震応答低減効果や地震時挙動を明らかにした。本研究では,今までの研究成果に基づき,CMU機構を有するロッキング架構(CMU架構)の耐震性能を明らかにすることを目的として,簡易解析モデルによるCMU架構の基本力学特性,CMU機構(荷重伝達+エネルギー吸収)の静加力実験に基づく性能評価,CMU架構の地震応答特性を解明する。
著者
伊藤 宏司 湯浅 秀男 淺間 一 新 誠一 上田 完次 藤田 博之
出版者
東京工業大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1995

1.機能モジュールの開発マイクロ技術を用いて多数の素子を製作し,それらが機能モジュールを構成できるような人工システムを開発した.2.機能モジュールの理論解析1)機能モジュール群の追加・削除及び結合形態とシステム全体の安定性との関係をH∞制御におけるLMI設計法を適用し解析した.2)機能モジュール群の相互作用を反応・拡散、分散・波動などの発展方程式により記述し,秩序形成を獲得する仕組みを明らかにした.3)動物のロコモーションや上肢動作の時空間パターンの創発機構とそのモデリングを理論・実験の両面から解析した.3.人間とロボットの行動創発1)免疫ネットワークの工学モデルを構築し、未知環境における自律移動ロボットの行動発現に適用した.2)概念の相違の定義並びにその検出法を与えるとともに、ヒューマンインタラクションにおける概念構造の発見や知的操作のプロセス創発と呼び、そのプロセスを決定木により可視化することを試みた.3)ロボットが共通の座標系を獲得する問題、衝突回避問題、長尺物運搬時の経路決定問題を理論的に解析し、多様な行動パターンを生成させた.4)ロボットと環境との局所的な情報交換に着目し、その通信手段として小型可搬のインテリジェントデータキャリア(IDC)を製作した.5)自律ロボットが他のロボットと競合を起こさない適切な行動戦略を自己組織化する手法を強化学習的なアプローチにより解析した.6)数10台のマイクロロボット群を製作し、個々のロボットの知能とマクロ的な群知能の関係を実験的に検証した.4.生物指向生産/経済システム1)個体の発生・成長および生物集団の進化・適応の特徴を取り入れた生物指向型生産システムのモデリングとプロトタイプの開発を行った.2)セルラ-・オートマタによる流行モデルを提案し、初期条件の微妙な違いによって消費者の行動パターンが全く異なってくることをシミュレーションにより示した.
著者
古谷 寛治
出版者
京都大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

DNAチェックポイント機構はDNA損傷の検出にともない細胞周期進行を遅らせるだけの機構ではない。ゲノムDNA複製時に遭遇するDNA損傷に対し、適切な修復経路を誘導する。なかでもチェックポイント因子Rad9タンパク質は、他のチェックポイントタンパク質をDNA損傷部位へと繋ぎ留める事で、チェックポイント機構の発動に寄与する。一方、Rad9を損傷部位から解離させるのも重要である。わたくしたちは酵母を用いた解析から、Rad9の損傷部位からの解離が、Rad9上で起こるリン酸化フィードバックによって引き起こされる事、また、このリン酸化依存的なRad9の結合・解離制御こそがDNA複製時と修復経路の連携を制御することを見出してきた。本研究ではヒト細胞を用いた蛍光標識Rad9の動態解析から損傷部位への集積の速さを計測した。非常にゆっくりとした反応であり、DNA損傷部位に他のタンパク質が作用したのちに集積することが示唆された。また、酵母で見出した損傷部位からの解離に必要なリン酸化部位と相同の部位がヒトRad9にも存在していたためその変異タンパク質における動態解析を試みたところ、野生型に対して速く集積することが明らかとなった。今後はリン酸化フィードバックがDNA損傷への結合を遅らせるのか、解離を促進するのか検討を進める。並行して、解離に必要なリン酸化部位の分子機能を明らかにするためスクリーニングをおこない、Plk1遺伝子をツーハイブリッドにて取得した。また、質量分析の結果Plk1がヒトRad9タンパク質を二箇所リン酸化することを見出し、一方のリン酸化部位がタンパク質分解のためのユビキチン付加酵素を結合するために必要である事を見出した。今後はタンパク質分解による量的制御とダイナミクス変動の相関を見出すべく研究を進めていく。
著者
関 光
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、1)植物トリテルペン配糖体の生合成/構造多様化の過程において重要な役割を果たしている糖転移酵素(UGT)を単離し、機能を解析するとともに、各種トリテルペノイドアグリコンをインビボ生産する組換え酵母においてUGTを共発現することにより、「組換え酵母における多様なトリテルペン配糖体のインビボ生産」の実行可能性を検証することを目的とした。平成25年度内に、酵母内在の2,3-オキシドスクアレンから4-エピ-ヘデラゲニンを生産するように改変した組換え酵母に、さらにタルウマゴヤシUGT73F3遺伝子を導入することで、酵母内在の糖供与体(UDP-グルコース)を利用して4-エピ-ヘデラゲニンの28位配糖体をインビボ生産する酵母の作出に成功した。平成26年度は、同システムを利用して様々なトリテルペン配糖体を生産することを目指して、新規のトリテルペン配糖体生合成関連UGTの単離を進めた。その結果、マメ科カンゾウからグリチルレチン酸の3位および30位それぞれにグルコースを転移することが強く示唆される新規UGTを同定した。同時に、酵母が生産する糖供与体のバリエーションを増やすことを目的として、UDP-グルコースをUDP-グルクロン酸に変換するUDP-グルコースデヒドロゲナーゼの候補遺伝子をカンゾウから6種単離し機能解析を行ったところ、4種について酵母内在のUDP-グルコースを基質としてUDP-グルクロン酸を生成する活性を認めた。今後、研究代表者らがこれまでに既に作出している各種トリテルペノイド生産酵母に平成26年度内に単離した新規UGTおよびUDP-グルコースデヒドロゲナーゼ遺伝子を導入することで、組換え酵母での各種トリテルペン配糖体の生成が可能であると考えられる。
著者
茂木 洋平
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

本研究の目的は、日本国憲法上、Affirmative Action(AA)がいかなる理由から正当化されるのかにある。この点について明らかにするために、本年度は以下の点について研究を進めた。(1)AAに如何なる司法審査基準が適用されるのか、またそれは如何なる理由から判断されるのか、(2)AAの正当化理由には、過去の差別の救済と将来の利益の達成という理由が用いられるが、それらの理由に伴う問題点を明らかにすること、(3)AAの正当化理由として近年多用されている多様性の価値とは具体的にどのような内容のものか、またそれに伴う問題点となにか、(4)AAはその受益者が社会・経済的に優位な状況にある者であることが多く、真に救済の必要な者を救済していないと批判されており、その批判を回避する方法。(1)については、AAには緩やかな厳格審査が適用され、その理由はAAに偏見を解消する可能性があることだと明らかにし、その成果を公刊した。(2)については、過去の差別の救済はAAを正当化するのに強力な理由だが、救済の対象となる差別の範囲が非常に限定されており、実際に認められるのは困難であること、AAの正当化理由たる将来の利益とは、過去の差別や将来における差別といった差別を意識したものでなければならないことを明らかにし、その成果を公刊した。(3)については、AAの正当化理由としての多様性とは差別を意識したものでなければならないこと、AAを永続化する危険性等の欠点があることを明らかにした。この成果については次年度に公刊する。(4)については、その解消方法として社会・経済的な地位を意識するAAがあり、真に救済の必要な者が受益者になっていないとする批判を回避するためには、人種だけでなく、社会・経済的な地位を意識せねばならないことを明らかにした。この成果は、次年度に公刊する。
著者
佐々木 健 黒田 裕久
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

シクロデキストリンの非共有結合性相互作用を利用する大規模自己組織化体の人工的な構築法を開発し,この手法を光合成系光集光過程の人工的モデルであるポルフィリン多量体形成に応用した。ポルフィリンのアトロプ異性を利用することにより分子の立体的な空間配置の制御が可能であり,水溶性ポルフィリンと錯形成することでポルフィリン多量体構築の際に光機能分子の配置を自由に制御できることを示した。
著者
中村 祥
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

本研究では、深部低周波微動(DLFT)の発生メカニズムを解明することを目的とした。2006年東海地域で名古屋大学と共同で行ったDLFTのアレイ観測の結果を解析し、連続的に発生している微動の短いスケールの時間変化を得ることに成功した。その結果、震源の移動は基本的にプレートの走向に平行な方向で、時速約40kmの移動とほぼ同じ位置での発生とを繰り返す様子が得られた。また、初動が不明瞭で微動の開始終了をはっきりとは定義することは困難なDLFT波動継続時間を見積もる方法を開発した。見積もられた波動継続時間の間の各アレイ観測点でのエンベロープ振幅積分をEAI値と呼び、微動の大きさの指標とした。その結果、検測された微動の多くが波動継続時間45秒前後を持ち、かつその波動継続時間においては他の波動継続時間と比較してEAI値が広い範囲にわたることが示された。この特徴的波動継続時間の存在は、DLFTのメカニズム示すうえで重要な性質である。EAI値から地震モーメントヘの変換を行い、DLFTの単位面積あたりのモーメント解放量を推定した。その結果、1日の活動でおよそ7.5x10^5(N m/m^2)という結果が得られた。DLFTと比較することでその特徴的性質を得るため、2004年紀伊半島南東地震の余震観測の際に設置された海底地震計(OBS)に記録された低周波の微動について解析を行った。決定された震源は、トラフ軸に垂直な方向に分布する。震源分布は超低周波地震の震源にほぼ平行で、相補的な位置に広がる。この結果から、この微動が超低周波地震とは別の現象であることが示された。震源が相補的に分布することは、トラフ近傍の物理過程を考えるうえで非常に重要な結果であり、共に安定、不安定すべりの遷移域である沈み込み帯深部との対応から、この現象が「浅部低周波微動」である可能性が示唆される。成果を博士論文にまとめた。
著者
塩見 淳 岩間 康夫 橋田 久 高山 佳奈子 安田 拓人 齊藤 彰子 古川 伸彦 中森 喜彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

人の死亡・傷害などの結果が発生する事態となっているにもかかわらず、これに気がつかずに救助を行わず、結果を発生させた者は、どの範囲で刑事責任を負うのかについて、また、そのような者が複数存在する場合、誰が責任を負うのかについて考えた。当該の者が結果を予見し回避できたか(注意義務の存在)を検討し、次に結果を回避する地位や権限を有していた者(作為義務の存在)を選び出すこと、その選び出しは特定の者に一定の行為をせよと強制することになるので、十分な根拠づけを必要とすること、情報の開示を怠ることを処罰する特別法の創設も考えられることを明らかにした。
著者
小川 敦司
出版者
愛媛大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

真核生物の細胞抽出液中における未成熟tRNAの末端プロセシングおよび分解速度を調査した後、その結果に基づいて、標的分子に応答して成熟化する未成熟tRNAプローブを設計し、新規分子応答性遺伝子発現システム『シュードリボスイッチ』の開発につなげた。本システムは、任意分子に対して合理的に構築可能であるだけでなく、その機構上の利点から、既存の人工システムよりも高いスイッチング効率を発揮できる。また、分子応答性を核酸に拡張し、高感度・高選択性の核酸検出バイオセンサーを開発した。さらに、非天然アミノ酸導入用tRNAプローブ骨格の合理的最適化や、発現ON時の翻訳を促進させるmRNA非翻訳領域の同定を行った。