著者
荒木 宏
出版者
作新学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、1980年代以降の年金と医療の制度改革を事例に、「公―私」の政策変容におけるアカウンタビリティの範囲や有効性について分析を行った。年金制度改革では、年金の私有化政策が行われ、規制改革と税控除政策等により、公的年金を縮小し私的年金を拡充する政策が実施された。一方、医療制度改革では、NHSに市場原理が導入された。GPや規制機関に権限が委譲され、またNHS体制内に曖昧で複雑なネットワークが形成された。これらの事例研究から、アカウンタビリティの特徴や範囲の変化について明らかにした。
著者
増田 弘毅
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

様々な実データ時系列の背後にある確率過程の構造に関する漸近推測,その中でも特に,確率過程の二次変動の局所的性質を加味した推測方式を研究した.また,漸近推測に際して必要となる,確率過程の漸近挙動も興味の対象である.今年度は特に下記の結果を得た.1. Realized multipower variation(MPV)の長期高頻度観測版を定義し,その漸近挙動を導出した.統計への応用として,確率過程の飛躍部分が適当な条件をみたす下では,飛躍の具体的な構造に関係なく(それを局外母数として)拡散部分およびドリフト部分を同時に漸近正規性をもって推測可能であることが分かった。推定量は計算容易であり,より精度の高い推定量の構成に役立つことが期待される.種のウィーナーポアソン確率積分に関する条件付期待値の公式を導出した.これはウィーナー積分に関する既存の結果を拡張するものであり,飛躍付確率過程モデルへ "small-sigma"理論を適用する際に,その実装における基本的な道具となる.3.合ボアソン型飛躍付拡散過程の$\beta$-ミキシング性を,(ランダムな)初期条件に関係なく成立する条件を導出した.条件は全て当該確率微分方程式の係数およびレヴィ測度で表現されており,検証容易である.4. 期間で高頻度データが得られない場合での日次ボラティリティの推定方法を,ウェイト付実現ボラティリティを介して定式化し,実証分析を行った.このような推定手法は,昼休みと夜間において取引が停止する日本市場などにおいて,特に夜間の収益率変動が累積ボラティリティに及ぼす影響が大きいことが経験的に知られているため,重要である.本結果は,経済で重要なボラティリティ予測を安定して行うための道具となる.
著者
松本 尚之
出版者
横浜国立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究では、民政移管から10年目を迎えたナイジェリアにおいて、諸民族の伝統的権威者(王や首長)が国家行政のなかで持つ役割や影響力について調査研究を行った。特に三大民族の一つであるイボ人を事例とし、小規模地域集団を単位として選ばれる王(エゼ)が、地方集団を越えて行使する影響力を考察した。調査では、州政府や地方政府が、各集団の王制に対して与える影響力を把握するとともに、各政府が組織する伝統的権威者の助言会議の実態について把握することを目指した。それによって、今日のナイジェリアにおいて伝統的権威者が果たす媒介者としての役割を明らかにし、アフリカにおいて王位や首長位が持つ現代的な意味を考察した。
著者
小川 泰信
出版者
国立極地研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究課題の目的は、極域電離圏及び磁気圏で観測される極風(ポーラーウィンド)の生成機構の解明である。極風が生じ始めると考えられる極冠域の上部電離圏(400-1,000km)におけるイオン組成の高度分布と各イオン種の速度分布を、2007年夏期から2008年冬期にかけて実施した欧州非干渉散乱(EISCAT)スヴァールバルレーダー(ESR)観測データを用いて調べた結果、(1)酸素イオンに対する水素イオンの比率は、電離圏モデル(IRI-2001)値に比べて観測値の方が大きいこと(高度400-600kmでは約3倍)、(2)昼側カスプ領域より低緯度側の領域では、主イオンである酸素イオンとマイナーイオンである水素イオンにより、全上昇イオンフラックスの保存が広い高度幅で成り立っていること、等を明らかにした。
著者
松永 知大
出版者
長崎大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

近年、夜11時以降に就寝する学童が、全体の半数以上を占めるようになるなど、子どもの夜更かしと、それにともなう睡眠障害の増加が問題視されている。また、これらの睡眠障害が、学童の注意力・忍耐力の低下を初めとした、学童に多く認められる各種の心理的・行動的問題の要因となっている可能性が指摘されている。しかし、学童の睡眠の実態把握は進んでおらず、客観的根拠に基づいた生活指導を行うのに必要とされるデータが、十分に整備されていないのが現状である。そこで、アクチグラムを用いた体動量計測による学童の睡眠の客観的評価と、行動学的手法による学童の認知情動能力の客観的計測を行なうことで、(1)学童の睡眠の実態把握を推進すると共に、(2)睡眠の質が学童の認知情動能力に与える影響を実証的に検討することを目的とし本研究を実施した。本年度は、小学3・4年生20名、小学5・6年生20名を対象に以下の測定を実施した。測定1:アクチグラフを一週間にわたり装着してもらい、客観的生活リズム測定を行った。測定2:客観的生活リズム測定終了後、標準化された行動課題(フランカー課題)を実施し、注意能力測定を実施した。測定1のデータをもとに、小学生の夜間睡眠を特徴づける睡眠パラメータ(実質睡眠時間・睡眠効率・中途覚醒回数など)を抽出した。これら睡眠パラメータと測定2で計測した注意能力との相関を分析した結果、両群で注意能力の指標となるConflicting Scoreと実質睡眠時間との間に有意な負の相関がみられた。この結果は、実質睡眠時間が短い小学生ほど、日中の注意能力が減退している可能性を示唆している。
著者
小倉 充夫 青木 一能 井上 一明 遠藤 貢 舩田 クラーセンさやか 眞城 百華
出版者
津田塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

大半のアフリカ諸国で、 国民統合は言語やエスニシティの同一性によってもたらされはしなかった。冷戦後の現代においても国民形成はアフリカでは最重要な課題であり続けている。この問題を民主化、移動、都市化と関連させて検討した。都市第一世代であった年長者に比して、現在の都市青年層はより教育を受けているが就業が困難であり、彼らの国民的そしてエスニックなアイデンティティの動向に注目する必要がある。
著者
山中 雅之
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

超新星爆発は一般的に、爆発後数週間の明るい時期が「光球期」と言われ、この時期に観測を行うと膨張大気のより外層について制限を与えることができる。Ia型超新星においては、極大絶対光度と減光速度に強い相関関係が認められ、一様な観測的特徴を示すことで知られている。このような特性を用いて、宇遠方超新星の観測から宇宙膨張は加速しているという重大な研究成果が得られている。しかしながら、爆発メカニズムや爆発する元の天体については決着がついておらず、その正体に制限を与えるような観測的研究が期待される。初年度は、広島大学宇宙科学センター付属東広島天文台にてかなた望遠鏡を用いて超新星の明るい初期に時間的に密な観測を実行した。本年度においては、爆発から200日以降の最大高度より100倍暗いフェーズにおける大口径望遠鏡を用いた観測研究を遂行した。このような爆発からおよそ一年経過した時期においては、超新星の膨張大気は光学的に薄くなり、噴出物質全体を見通した観測が可能となる。すなわち、爆発構造の最内層構造について幾何学的・物理学的に制限を与えることが可能である。私は国立天文台所有8.2m「すばる」望遠鏡での公募観測における観測提案を行い、2010年4月と2011年5月に超新星の非常に暗い状態での観測に成功した。対象となった超新星は、広島大学かなた望遠鏡、県立ぐんま天文台1.5m望遠鏡などを用いて初期に集中的に観測を行った極めて明るいIa型超新星「SN 2009dc」である。SN 2009dcは極大光度がIa型超新星としては異常に明るく、減光速度も遅く、またスペクトルにおいて炭素の吸収線が卓越した特異な超新星であることが明らかになっていた(Yamanaka et al.2009,ApJ,707L,118)。すばる望遠鏡の観測においては、このような描像に加え超新星の内部構造において、予期されぬ減光と本来外側に分布するはずのカルシウムが鉄より内側に分布していることを明らかにした。このような発見は特異なIa型超新星に強い制限を与える観測結果であり、現在論文を準備中である。
著者
須賀 健一
出版者
徳島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

腹膜硬化症モデルラットで腹膜の細胞外基質蛋白(ECM)の蓄積とともに各種インテグリンの発現が増強した。Tumor growth factor-β(TGF-β)で培養線維芽細胞を刺激するとECMの増加とともにインテグリンの発現が増強した。以上よりTGF-βにより誘導される腹膜線維芽細胞のインテグリンの発現増強が異常なECM再構築などに関与し、腹膜硬化症の発症・進展に関連することが示唆された。
著者
武田 弘志 辻 稔
出版者
国際医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

5-HT_1A 受容体作動薬の 24 時間前処置により形成される急性ストレス刺激に対する情動的抵抗性が、海馬におけるヒストン H3 のアセチル化に経時的相関があることを見出した。さらに、ヒストン脱アセチル化酵素阻害薬であるトリコスタチン A を脳室内に投与することで、ヒストン H3 アセチル化に相関するストレス抵抗性が形成された。したがって、海馬ヒストン H3 アセチル化を主軸としたエピジェネティクス制御が、ストレス性精神疾患の治療および予防に有用である可能性が示唆された。
著者
重村 力 三橋 伸夫 川嶋 雅章 三笠 友洋 西 和夫 田中 貴宏 山崎 義人 内平 隆之 佐藤 栄治
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

横浜市など南関東の都市内に残る「谷戸=やと」の地形・実態と、都市生活・都市環境に果たしている役割とその関連行政を分析した。「谷戸」は横浜市域だけで約4,600あり、典型的単位では2~30mの斜面からなるU字谷の下方に幅数十m奥行き200mほどの平地がある。市街地化したもの、緑地を維持しているものに分かれ、自然が保全されているものでは、その環境的役割・生活的社会的役割は大きく、今後の市街地環境の向上にとって貴重な資源であることを実証した。
著者
前田 泰
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究から得た結論の概要を示せば、以下の通りである。父母の有する親権は、子の福祉に適した範囲内でしか行使できない。子の利益に適しない代理権の行使は無権代理であり、無効である。そして、子の利益に適した代理権の範囲は、客観的に決定される。子の財産を純粋に減少させる贈与行為は、代理権の範囲外の行為であり、無効である。同様に、親権者の行うべき身上監護も子の利益に適した内容でなければならない。法定代理権の範囲が、子の状況に応じて客観的に決定されるのと同様に、身上監護の内容も客観的に決定される。未成年者に必要な医療を受けさせないことは、身上監護義務の違反である。未成年者に必要な医療行為を拒否する権利は、親権者にはない。未成年者の医療における親権者の同意の意義も、同じ観点から理解しなければならない。意思無能力である未成年者に対する医療行為は、医療機関と親権者との不真正第三者のためにする契約と構成されるが、この契約の締結は、親権者の法定代理権の行使により行われる。契約締結が子の利益に適するかどうかは客観的に決定され、子に必要な医療契約を締結しない権利は、親権者には存しない。医的侵襲を伴う医療行為に対しては親権者の同意が必要であるが、この同意は、親権者の身上監護義務の履行として行われる。身上監護義務の内容は客観的に決定されるから、未成年者に必要な医療行為には親権者は同意する義務がある。これを拒否する権利は親権者にはない。問題は、子の利益の内容であるが、親権者の意図とは関係なく、子の状況に応じて社会通念により客観的に決定するしかない。以上のように、まず、医療行為の可否は、客観的な未成年者の必要性により決定され、これを法律行為(契約)として構成する必要性がある限りにおいて、法定代理が登場する。法律行為以外については、身上監護義務の履行の問題である。
著者
佐々木 史郎 小谷 凱宣 荻原 眞子 佐々木 利和 財部 香枝 谷本 晃久 加藤 克 立澤 史郎 佐々木 史郎 出利葉 浩司 池田 透 沖野 慎二
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、北海道内の博物館に収蔵きれている、アイヌ民族資料の所在を確認し、その記録を取るとともに、その資料が収蔵された歴史的な背景を解明することを目的としていた。本研究で調査対象としたのは、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園(北大植物園)、函館市北方民族資料館、松前城資料館である。この3つの博物館が調査の対象とされたのは、資料の収集経緯に関する記録が比較的よく残されていたからである。3年にわたる調査の結果、北大植物園が所蔵する2600点に及ぶアイヌ文化関連の標本資料全点と松前城資料館が所蔵する320点余りの資料の全点について調書が作成され、写真が撮影された。また、函館市北方民族資料館では約700点(総数約2500点の内)の資料について、調書作成、写真撮影を行った。その結果、総計約3500点を超えるアイヌ文化の標本資料の詳しい調書と写真が作成された。本科研での調査研究活動では、標本資料の熟覧、調書作成、写真撮影にとどまらず、当該資料が各博物館に所蔵された経緯や背景も調べられた。植物園の資料の収集には、明治に北海道開拓指導のためにやってきた御雇外国人が関わっていたことから、彼らに関する史料をアメリカの図書館に求めた。調査の過程で、これらの博物館、資料館の資料が、明治から大正にかけての時代に収集されていたことが判明した。それは時代背景が明らかな欧米の博物館に所蔵されているアイヌ資料の収集時期と一致する。本科研の調査により、以上の3つの博物館のアイヌ資料は、すでに数度にわたる科研で調査された欧米の博物館の資料に匹敵するほどの記録と情報を備えることになった。それは、記録がない他の国内の博物館のアイヌ資料の同定、年代決定の参照に使えるとともに、アイヌ文化の振興と研究の将来の発展に大きく寄与することになるだろう。
著者
李 海峰 米谷 雅之 藤田 健
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本研究は、中国における市場経済発展の過程において社会経済がどのように変動しているか、大衆消費社会がどのように形成されているか等について、経済水準の異なる都市で消費者の生活や意識行動の調査を行い、中国における大衆消費社会の形成過程を解明するための調査研究である。本研究は計画とおりに大都市の北京市、上海市、広州市、重慶市において、各300世帯、地方都市の瀋陽市、石家荘市、武漢市において各200世帯、計1800世帯を無作為で抽出し、アンケート調査を実施した。この定量的調査研究を行うと同時に、定性的調査研究も行っている。北京市、上海市、広州市、重慶市、瀋陽市の5都市で計120世帯に対し、聞き取り調査を実施した。二通りの各調査は回収率が99%で、広範囲にわたって質の高い調査結果が得られた。回収したデータを日本に持ち帰り、分析を進めてきた。1990年代との時系列の比較、都市間比較、国際比較の観点から、解明している。従来,アメリカや日本における大衆消費市場の形成過程では,所得階層間の格差が次第に縮小し,上流階層だけではなく,多くの家庭が消費の自由選択力を持ち,消費財を絶えず買い換えたり,購買量を増やしたりする。しかし,中国は欧米や日本と異なり,都市間、所得階層間の格差が1990年代より拡大している一方、「中流階層意識」が急速に増加し、消費者はより高次の欲求の充足を求めているのは特徴である。都市における消費者ニーズは、必需品への支出から贅沢品への支出へ、モノへの支出からサービスへの支出に重点を移している。総体として「量」的欲求から「質」的欲求へと向上している。「消費生活水準の上昇」「所得増加への欲求」「今後の消費支出傾向」「消費者行動の特性」からみて,今後,中国の経済成長率は「政府」「企業」だけではなく,「消費者(家計)の力」から大きな影響を受けることになる。
著者
青井 哲人 角南 聡一郎
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は、台湾漢人家屋の寝室に広く観察される〈総舗〉等と呼ばれる揚床状の設備について、(A)分布・類型、(B)起源と形成過程、(C)定着と変容の過程について、植民地期における在来住居・住様式の「日本化」という観点から、主として臨地調査(実測・インタビュー)を通して解明した。日本の植民地支配は、衛生・経済政策による家族人員増加、日本家屋およびその室内意匠の文化的規範としての機能、材料流通の再編と技術移植などの回路を通して、台湾漢人の寝室・就寝様式に深く及ぶものであったことが明らかになった。
著者
菅原 俊治 横尾 真 松原 繁夫 岩崎 敦
出版者
日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では,ネットワーク上の各リソースを市場原理に基づいて公平かつ効率的に割り当てるプロトコルを,その実装に向けて評価することを目的とする.P2Pや分散センサネットワークなどのアドホックなネットワークにおけるデータ転送では,個々のノードの所有者や規格が異なる.この場合,各ノードにデータを適切に転送するための誘因(報酬)を考慮しなければならない.この報酬の決定にはしばしばオークションプロトコルが用いられる.しかし従来のプロトコルでは,あるノードが架空のノードを用いるか他ノードと共謀することで,不正に報酬を獲得できることを示した.この場合、理論的にもっとも優れているVickrey-Clarke-Grovesプロトコル(VCG)でも、不正行為は防げない。本研究では、さらに、選択されうる経路を所有しているエージェントの数に応じたペナルティをVCGに適用し、Reserve-Costプロトコル(RC)を提案し、このプロトコルが架空名義を用いた操作の影響を受けないことを理論的に明らかにした。計算機上に再現した小世界ネットワークに対して、提案プロトコルを評価し、VCGに対して約60〜80%の効率性を達成することも示した。また実際のネットワークでは,各ノードでオークションなど取得可能な情報に基づいてどこからデータを受ける(送る)べきかを決定する必要がある.これは,入札可能な対象(サーバなど)が複数あるときに,適切な入札箇所をある程度推定することに相当する.しかし、ネットワークの資源割当てのように非常にたくさんの要求が同時に起こり、かつ多くの地点から独立に処理をする必要がある.このような状況で資源割り当てプロトコルで見られる現象の解析も行った。それぞれが合理的に判断をすると全体の効率が落ちる現象があり、このために揺らぎや学習を導入することが一定の効果を上げることを示した。
著者
手代木 陽
出版者
神戸市立工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ドイツ啓蒙主義哲学において蓋然性は事象の「可能性の度合い」を意味し、それは事象の完全性に応じて規定されるが、この完全性が「無矛盾性」に基づく「両立可能性」に応じて規定される限り、決定論の疑惑が払拭できないという困難が見出される。カントは論理学が判断や推理の一般的な規準を意味する「カノン」であるとする見地から、「蓋然性の論理学」を特殊な対象の認識方法である「オルガノン」であると見なして否定したが、その一方で数学的な蓋然性(確率)を認め、これを独自の哲学的原則によって基礎づけた。その判断の必然性は絶対的ではなく、部分的に経験に基づく「仮定的必然性」であり、この点においてドイツ啓蒙主義哲学に見いだされる決定論的な困難を回避したと言える。
著者
永田 瞬
出版者
高崎経済大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、ジーンズ産業における若年層のキャリア形成と地域間ネットワークの課題を明らかにする。具体的には、①三備地区(岡山県、広島県)におけるメーカー側の製造・販売ネットワークと人材育成の分析、②若年層の就業意識と学校側カリキュラムである。三備地区の繊維産業集積における自社ブランドメーカーは、縫製加工業者や洗い加工業者と密接な取引関係を結び、産地外の織布メーカーとも取引を活発化させている。学生服メーカーは、短期需要に即応するため、国内立地を選択している。以上の事情は、他地域の産地型産業集積にとっても示唆に富む。
著者
立川 裕二
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本年度も、昨年に引き続き超対称ゲージ理論の研究を超弦理論の観点を援用しつつ行った。特に、その中でも、超対称性に加えてスケール変換のもとでの不変性をもつ、超共形ゲージ理論について研究を行った。これらは、強結合であるため安直な摂動的な解析が適用できないが、ここに超弦理論の効能があらわれる。すなわち、超弦理論によれば、通常の4次元の超共形場理論は、1次元高い5次元の超重力理論をアンチドジッター空間上で考えたものと等価であることがわかる。この際、片側が強結合であればもう片側が弱結合になるため、解析が可能になるのである。具体的には、10次元のIIB型超弦理論を、5次元のアンチドジッター空間と5次元の佐々木アインシュタイン空間の積の上で考えたものを解析すれば良い。さて、そのような立場からの研究として、最大の超対称性をもつ理論に関してはこの10年に非常に沢山の研究があるが、最小の超対称性をもつものに関してはここ数年研究が深化した興味深い分野であり、今年度の私の力点はそこにあった。最小の超対称性をもつ超共形場理論の解析のために基本的なデータは、その理論の大域対称性三つの間の三角量子異常である。以上の議論から、その三角量子異常は、重力理論側のデータであらわせるはずである。超共形場理論の種別に対応するのは5次元の佐々木アインシュタイン空間の種別であるから、それら空間の幾何学であらわせるはずである。以上のような考察のもとから、S. BenvenutiとL. A. Pando Zayasの協力のもと、佐々木アインシュタイン空間の幾何学と超共形場理論の三角量子異常の関連について精密に明らかにしたものが今年度の発表論文である。これは超共形場理論の解析において今後基本的な方法となると思われる。
著者
竹内 孔一
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

動詞の語義の曖昧性を解消するために必要な事例と語義の曖昧性を記述するための動詞と名詞の定義集合を構築した.さらに事例をもとに動詞の語義を判別する自動付与システムの構築を行った.事例は新聞記事約1500文に対して約120語の動詞について動詞の語義, 名詞の語義(日本語語彙大系), 名詞の意味役割の付与を行った(整理後公開予定).さらに, 事例を元に統計的学習モデルを利用して動詞の語義と名詞の意味役割を自動付与するシステムを構築した.
著者
林 辰美 伊東 るみ 本間 学 城田 知子 稲益 建夫
出版者
中村学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

目的 幼児の食生活を含む生活習慣および食品摂取状況と年齢発達の関連を明らかにし、幼児期からの望ましい食習慣、生活習慣の確立と心身両面の健康づくりを検討することを目的とした。対象および方法 園児の保護者に対して調査票を用いて、自記入法により実施した。分析対象は16,295人である。統計解析ソフトSPSS 11.0Jを使用し、統計学的解析はX^2検定、年齢発達と生活習慣および食生活の諸要因との関連性の検討には数量化理論I類を用いた。また食品摂取状況はクラスター分析法により検討した。結果および考察 (1)朝食喫食習慣は82.6%の幼児に定着していた。朝食を食べないことが多い幼児は3.0%存在した。(2)朝食喫食習慣が定着している幼児は健康状態(X^2=65.02,df=4,p<0.001)、園の出席状況(X^2=242.96,df=6,p<0.001)も良好であった。一方、朝食欠食習慣は起床時刻、就寝時刻が遅い幼児にみられた。(3)年齢と生活習慣等の関連は、年齢(3.8±1.5歳)を目的変数とし、説明変数は生活習慣の諸要因をあげ、数量化理論論を適用すると、健康状態の偏相関係数は0.192と、高くはないが、「病気はほとんどしない」のカテゴリーウエイトは0.398であり、年齢の平均値にプラスに作用していた。(4)食品摂取状況について、クラスター形成を樹状図(デンドログラム)により解釈すると、(1)肉類、魚介類、揚げ物・妙め物のクラスターの形成が早々に見られ、副食偏重の食事がうかがえること、(2)冷凍・インスタント食品、炭酸飲料、お惣菜のクラスターの形成から簡便食の幼児が存在することが明らかとなった。結語 朝食喫食習慣の定着を図ること、また偏った食品選択の是正、主食と副食の質と量のバランスの理解を深める食育カリキュラムの内容の充実を行い、保護者を包含した食育システムやネットワーク等、食環境の整備が急務と考える。