著者
加藤 克知 沖田 実 田原 弘幸
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-5, 2001-03

65歳男性遺体の右膝に見いだされた円板状外側半月を観察し,特に関節内付属靱帯との関係を記載した.円板状外側半月は比較的幅広く,脛骨の外側顆上関節面をほぼ完全に被い,肉眼的観察およびX線撮影ではその損傷や石灰化などの異常は見られなかった.本例では,全体的に半月の固定に関係する靱帯の発達が良好であった.すなわち,半月の前角と後角は靱帯を介して強固に脛骨に付着し,さらに,強い半月横靱帯が内・外側半月の前部を連結していた.後方では外側半月後角から起こる太い後半月大腿靱帯が認められた.加えて,内側・外側半月の前角から起こり前十字靱帯に合流する靱帯小束が認められたが,これらは半月の前部固定に関与すると考えられた.
著者
Kato Katsutomo Okita Minoru Tahara Hiroyuki Manabe Yoshitaka Kitagawa Yoshikazu Oyamada Joichi Rokutanda Atsushi
雑誌
長崎大学医療技術短期大学部紀要 (ISSN:09160841)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.1-5, 2001-03-31

65歳男性遺体の右膝に見いだされた円板状外側半月を観察し,特に関節内付属靱帯との関係を記載した.円板状外側半月は比較的幅広く,脛骨の外側顆上関節面をほぼ完全に被い,肉眼的観察およびX線撮影ではその損傷や石灰化などの異常は見られなかった.本例では,全体的に半月の固定に関係する靱帯の発達が良好であった.すなわち,半月の前角と後角は靱帯を介して強固に脛骨に付着し,さらに,強い半月横靱帯が内・外側半月の前部を連結していた.後方では外側半月後角から起こる太い後半月大腿靱帯が認められた.加えて,内側・外側半月の前角から起こり前十字靱帯に合流する靱帯小束が認められたが,これらは半月の前部固定に関与すると考えられた.The right knee, from a male cadaver aged 65, with discoid lateral meniscus was carefully dissected. The meniscus and its anatomical relationships with some associated ligaments of the knee are described. The discoid meniscus was a wide structure covering nearly the articular surface of the tibia and was almost intact macroscopically. Neither meniscal calcification nor ossification was demonstrated by radiography. There were strong transverse ligament, solid attachments from both anterior and posterior horns to the tibia, distinct posterior menisco-femoral ligament, and ligamentous slips from both anterior horns of the medial and lateral menisci to the anterior cruciate ligament. The knee anatomy was characterized by the well-development attachment system of the menisci. The medial meniscus was anatomically normal.
著者
米森 由佳 倉本 宣
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.527-530, 2000-03-30
被引用文献数
7 7

多摩川中流域の河川改修後の低水路護岸3箇所において,1998年8月の増水によって堆積した土砂と植物遺体に含まれる種子を実生発生法により同定したところ,61種の実生が確認され,そのうち28種46%は帰化植物であった。 1999年5月と8月に行った群落調査においても出現種の多くが帰化植物であった。河川改修時の低水路護岸の緑化は,人工的に植栽をしなくても増水時の種子供給により可能であるが,帰化植物の扱いについての十分な検討が必要であることが示唆された。
著者
両角 良子
出版者
北海道大学
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.101-115, 2009-03-12

子育て世帯が,政府による子育て支援を目的とした所得保障を受ける場合には,いったん,他の非労働所得とプールした上で非労働所得の配分を考える。そのため,子育て世帯が所得保障で得た非労働所得を子ども向けの財の消費に使うことは,標準的なミクロ経済学の需要理論では必ずしもいえない。日本政府は1999年に子育て世帯に対して,居住地域にある小売店で買い物をすることができる地域振興券を交付した。地域振興券の交付の目的の一つは,若い親の層の子育てを金銭的に支援することであった。そこで本研究では,地域振興券政策に着目し,子育て支援が目的である旨を政策にラベル付けすることで,政府による所得保障が子ども向けの財の消費に結びつくか,すなわち、ラベリング効果(labeling effect)が存在するかを検証した。その際,子ども向けの財として,子どもの被服消費に焦点を当て,『家計調査』(総務省)の個票データを使って検証した。分析の結果,地域振興券の利用が認められている期間に,世帯の被服消費額に占める子どもの被服消費額の割合が一時的に上昇していることがわかった。この結果は、ラベリング効果があったことを示している。
著者
小沢 朝江
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.59, no.463, pp.175-182, 1994
被引用文献数
4 4

Katsurano-miya household had three villas in Rakugai(a Kyoto suburb) except Katsura Villa, and had two palaces, called Imadegawa Palace and Ishiyakushi palace, in Rakucyu(kyoto city). This is the study on the Ocha-ya in the Iraadegawa Palace.The results are as follows. (1) There were six Ocha-ya in Imadegawa Palace when Prince Yakahito lived in that palace. They were called Sekio, Unsetsu, Kairaku, Undai, Sakuyu and Machibito. They all had existed in 1758. (2) Sekio was build in 1727 at latest. This Ocha-ya was revered an anceptor, and was attached Futaba-tei tea celemony room which was the imitation of Shokin-tei tea celemony room in the Katsura Villa. (3) Compared with the Ocha-ya in Imadegawa Palace and those in the villas in Rakugai.they had something in common. Build on a height with a fine view, commanded a enjoyable scenery of rice field, and setting the space of revering an anceptor insaide. And so on.
著者
大野 正夫
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学園芸学部学術報告 (ISSN:00693227)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.33-40, 1954-09-30

昭和28年度(1953)に於て,果樹の混合花粉の適当な撒布方法を見出すへく,小型撒粉器を用いて実験を行つた.その結果は次の通りである.1.新鮮な果樹の花粉は,撒粉器ガラス球内壁面に相当に附着する.そこで,この欠点を防ぐために樹脂塗料を用いた.塗料はメラミンザボン及びシリコンオィルラッカーである.2.両者とも,包蔵する混合花粉の量が少い場合には,上の目的に役立つことがわかつたが,その量が多い場合には,その影響は顕著でなかつた.3.混合花粉を撒布する場合には,撒布距離はなるべく,その目的物に近接させるべきである.4.撒粉器使用によつて授粉した結果は苹果紅玉種には好ましいものでなかつた.これは,その開花状態に変化があることが関係しており,一方向からの撒布では,飛散花粉が花柱に不平均に着くためであると考えられる.5.富有柿ではよい結果が得られた.果実の結果歩合,含有種子数は人手による交配に比較して,少しも遜色がなかつた.
著者
熊澤 教眞 道野 徹子 高田 薫 森原 秀雄 近藤 典男 川崎 康広 谷川 孝彦
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.53, no.5, pp.955-956, 1991-10-15

イシマキガイとアマガイの軟体部乳剤からリン酸イオンの存在下で3%NaCl加BTB寒天培地上における腸炎ビブリオの増殖を阻止する活性が検出された. この抗腸炎ビブリオ活性はサザエ, クロアワビ, テングニン, マダコ, ミズダコ, シマメイカでは低レベル, アマオブネ, マガキ, アカガイ, ミミイカ,ホタルイカでは検出限界以下であった. この活性は易熱性で酸とアルカリに耐性であった.
著者
松家 茂樹 松家 洋子 山本 泰 山根 正次
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
Dental Materials Journal (ISSN:02874547)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.210-219, 332, 1984-12-25
被引用文献数
10 38

酢酸,乳酸,クエン酸および塩酸中におけるグラスアイオノマーセメントの侵食過程を化学分析,SEM観察および赤外吸光分析により検討した。各酸の陰イオンとAl又はCaとの錯体の安定度定数が大きい程あるいは,酸溶液のpHが低い程,Al,Ca,Na,SiおよびFの溶出量が多くなった。SEM観察により,0.01Mクエン酸および塩酸中ではセメントマトリックスが溶解することが分かった。0.01Mクエン酸および塩酸中では,セメント浸漬後に白色沈殿が生成した。その沈殿は,水和ケイ酸質ゲルであることがIRスペクトルによりわかった。
著者
山中 直明 塩本 公平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.98, no.240, pp.19-24, 1998-08-20

バーストの先頭にソースルーティングによるリンクリレーを付け、ノードでは、オンザフライに出力リンクをハンティングする新しいDTM(ダイナミックトランスファーモード)の提案を行う。バーストは、各ノードで出力リンクをハンティングし、できない場合は、バーストプールに蓄積され、リンクの空を待つ。リンクは、TDMスロット多重されており、どのタイムスロットであろうと、空があれば、次段ノード(ネクストホップ)へ転送される。各リンクの空タイムスロットはモニタされ、バーストの先頭のプリアンブルパターンによりトリガされ、ダイナミックにバーストの転送開始の処理へ入る。タイムスロットは、マルチタイムスロットでも転送でき、高速でオーバーヘッドの少ないトランスファーモードである。本方式に基づき、プロトタイトでも転送でき、高速でオーバーヘッドの少ないトランスファーモードである。本方式に基づき、プロトタイプを作り、基本的機能を確認した。
著者
辻 俊宏 小針 健太郎 井手 清志郎 山中 一司
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.147, pp.23-28, 2006-07-05

超音波原子間力顕微鏡(UAFM)の高精度化にはカンチレバーのスプリアス応答の抑制が重要である。スプリアスの主な原因はカンチレバーチップの基板のたわみ振動である。そこで制振板により基板の曲げ剛性を高める手法を提案する。その結果、共振周波数の測定精度が向上した。また水平曲げ1次(L1)モードの測定の再現性も改善した。L1モードは横接触弾性を選択的に評価できるので、たわみモードによる縦接触弾性の評価と組み合わせることで、UAFMによる組織や欠陥の方向性評価が可能になる。強誘電体単結晶PMN-PTの分域構造の評価に適用した結果、L1モードを用いた評価により分域境界でせん断弾性が著しく低下する現象が初めて見出された。
著者
小林 裕子 俣野 修身 後藤 真康
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.81-84, 1986-02-20
被引用文献数
4

Ethylenebisdithiocarbamates (EBDCs)を施用後の農作物中に残留するethylenethiourea (ETU)の分析法を確立する目的で, たまねぎ, トマト, すいかおよびレタス中のETUの残留分析法について検討した.たまねぎ, トマト, すいかおよびレタス中のETUを含水メタノールで抽出し, 溶媒を留去する.濃縮液を水酸化アンモニウム溶液あるいは水酸化ナトリウム溶液でpH8に調整し, Extrelut^[○!R]カラムで精製したのち, 紫外部吸収検出器付高速液体クロマトグラフィーで定量した.検出限界は, 0.01ppmであり, 回収率は, 76∿90%であった.この方法はExtrelut^[○!R]カラムに供する試料をフッ化カリウム等で前処理するNitzの方法より簡潔性, 迅速性等の点で優れている.
著者
小野 泱
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.263-271, 1977
被引用文献数
2

1974∿1976年の4∿11月に帯広市周辺の諸河川でブユの採集を行い, Simulium arakawaeヒメアシマダラブユに極めて類似したブユの多数の卵, 幼虫, 蛹を得た。これらを室内で飼育し成虫を羽化させた結果arakawaeと別種であると認められたので, これを記載しさらに両種の相異について比較図示した。本種とarakawaeとは雌雄のgenitalia構造に差があり, 特に雄のventral plateのventral process, dorsal processesの形態の差は著しく, 脚の形態, 色彩にも差が認められる。幼虫の頭部額板の斑紋はtobetsuensisではH字型, arakawaeでは亀甲斑型となっている。本種はS. aemulum, S. janzeni, S. venustum (s. str.)にもかなり類似し, S. rubtzovi, S. longipapleにも類似している。しかしaemulum, janzeni, venustumとは雄の交尾器のventral plateの形態, 幼虫の肛鰓の形態などにより区別でき, rubtzovi, logipalpeとは蛹の呼吸糸が8本であることで容易に区別できる。本種は北海道東部(十勝, 釧路), 南千島(国後島)に産し, 年2化と考えられるがその吸血習性は不明である。
著者
森田 学 小椋 正之 恒石 美登里 渡邊 達夫 岡田 真人 宮武 光吉 梅村 長生
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.786-793, 1999-11-30
被引用文献数
3

根管治療(抜髄・感染根管処置)に関する歯科医療費と診療行為の内容を調査した。昭和55,58,60年,平成2,6年の厚生省社会医療診療行為別調査に用いられた歯科診療報酬明細書のデータのうち,病院,一般診療所分を除いた歯科診療所分のデータを対象とした。各年の対象とした件数は,それぞれ16,145,8,831,18,028,17,165,18,294件であった。歯髄炎や歯根膜炎を主傷病名とする歯科診療報酬明細書の割合は経年的に減少し,平成6年では12〜14%であった。また,根管治療にかかわる点数の合計も年々減少しており,平成6年では,1件あたり平均117点で,総点数の8.3%であった。平成6年の歯科診療報酬明細書について根管治療にかかわる点数を検討したところ,以下の知見が得られた。1)根管治療は40歳,50歳台で最も頻繁に行われていた。また,20歳台では,ほかの年齢層と比較して,3根管歯の抜髄頻度が高いことが認められた。2)根管治療点数の占める割合が最も高い年齢層は20〜29歳であり,総点数の11%であった。しかし,老人医療においては,その割合は約4.0〜5.0%と,全年齢層中,最も低かった。3)抜髄あるいは感染根管処置に始まり根管充填で終わる一連の検査,処置を包括化し,推定点数を算出した。その結果,推定点数の最頻値は,電気的根管長測定検査,麻酔抜髄(あるいは感染根管処置),0回または1回の根管貼薬処置の後に,加圧根管充填した場合の合計点数に等しかった。4)本調査は,1ヵ月の診療報酬明細書を扱い,比較的簡単な症例のみが抽出されていることから,今後数カ月にわたる追跡の必要性が示唆された。