著者
常田 夕美子
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

本研究の成果は、インド地方都市における中間層女性の「理想の生き方」や「生きがい」についての考え方や価値観は、急速に変動する社会経済状況のなかで個々人によってそれぞれ独自に再検討され、自らがおかれている関係性のネットワークのありかたやそれまでの人生経験と密接にかかわっているのが明らかになったことである。グローバル化や近代化に対する希望を持つと同時に伝統的な宗教実践に新たな価値を見出す動きもみられた
著者
庄司 達也 山岸 郁子 中澤 弥 須藤 宏明 山口 直孝 平野 晶子 掛野 剛史 須藤 宏明 中沢 弥 平野 晶子 山口 直孝 和泉 司 杉山 欣也 松村 良
出版者
東京成徳大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

研究活動は、合計13回に及んだ勉強会の開催と、関西地方を中心とした実地踏査を2本の柱として展開した。また、本研究課題が対象とした改造社を取り上げ活動する他の研究グループとの連携を進め、情報交換や合同研究会の開催を行うなどした。これらにより、短期間に全国で斉に行われた宣伝活動の実態を広く把握することができ、改造社のみではない、他の出版社による同様の活動に対する広範な情報の収集とその分析の必要性を明らかにした。また、関連する資料の収集により、以後に反復される同種の出版企画についての考察を深めた。
著者
松田 かおり
出版者
関西看護医療大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

女性にとってむくみ(下肢浮腫)は日常的におこるマイナートラブルであり、妊婦においても健康な妊婦でも70~80%、妊娠高血圧症候群妊婦では約85%に浮腫が認められるほどである。臨床的には、体重の増加と浮腫の程度を脛骨稜を手指で圧迫して判定している。しかし、その判断、方法は主観に左右され正確に定量化されていない。また、対処法の効果についても検討されているものはほとんどない。本研究目的は、妊婦の下肢浮腫を部位別多周波生体電気インピーダンス法(SBIA法)を下腿に限局して用いて下腿水分の細胞内外比で評価し、その改善法を検討することである。1)合併症のない健康な妊婦の調査を行った。縦断的に調査した研究対象者においても、妊娠高血圧症候群、貧血などの合併を起こした者はいなかった。また、部位別多周波生体電気インピーダンス法(SBIA法)を実施中に気分不良や起立性低血圧を起こした対象者は見られなかった。今回の対象者の中には脛骨稜を手指で圧迫して判定する浮腫の程度では、++の判定になる症例はいなかった。調査の結果、妊婦のむくみ(下肢浮腫)の自覚と部位別多周波生体電気インピーダンス法(SBIA法)から算出した細胞外液量は相関を認めた。以上から、SBIA法における妊婦の個体のむくみの客観的評価は今後有用であると考えられる。2)成人女性への対処法の検討の結果、下肢挙上は、仰臥位に比べ、SBIA法においても、自覚的にもむくみは軽減した。また、足浴において、グレープフルーツオイルの有無で比較検討したところ、むくみの改善はグレープフルーツオイルの有無で統計的に差は認めなかった。しかし、足浴は、自覚的にもSBIA法によってもむくみに効果的であった。以上から、下肢挙上および足浴の効果が客観的にも明らかとなった。
著者
山田 浩之 斎藤 一郎 美島 健二 井上 裕子 小原 久実
出版者
鶴見大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

Superoxide dismutase(SOD)は、活性酸素種の一つであるスーパーオキシドを消去する抗酸化酵素である。本研究では、活性酸素種を介した唾液分泌機能障害におけるSODの予防的効果について検討したところ、唾液腺の分泌障害にはスーパーオキシドを介した機序が推察され、SODはスーパーオキシドを速やかに過酸化水素へ分解することにより唾液分泌機能障害に対し予防効果を有する可能性が示唆された。
著者
丸山 珪一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

ルカーチは20世紀の世界的な思想家であり、日本でも多大の影響を受けてきたが、私たちはさらなる研究の出発点となるような、信頼に値するビブリオグラフィを持っていなかった。昨今の世界の大きな変化と新しくルカーチと取り組もうとする若い人たちの登場を念頭において言えば、正確なビブリオグラフィの必要性はますます高まっている。本課題はそれに応えようとするものである。彼のすべての著述についてその初出の現物に遡って確認・再確認することから始めなければならなかった。これはいくつもの国境を越えての難作業で、最終的に12の言語にまたがった。最難関のロシアの部分で歴史学者スティカリン氏の、イタリアの部分でハンガリーのイタリア思想研究者サボー氏の協力を得ることができ、この二年間の間にほとんどを終え、とりあえずしめくくりとして冊子にまとめた(項目1555、付録の定期刊行物索引とともに143ページ)。仕事の過程で、埋もれていたルカーチのいくつもの文献を発掘したことも後の研究にとって重要であろう。このビブリオグラフィに基づいて図書館を通じて間違いなくコピーを入手できるはずである。ただ公にして広く利用してもらうためには、一つにはなお残っている空白を埋めること(とりわけイタリアのインタヴュー)、いまひとつには文献相互の関係や多少とも内容への示唆をも含んだ注記などを工夫すべきと考えている。とくに日本の若い研究者を念頭にこのあと仕事を継続したい。それとともに、ビブリオグラフィの仕事は、文献という面からではあるが、ルカーチという思想家の全体を再考する機会でもあり、そのための少なからぬヒントをも得ることになった。とくに日本の思想界との関わりを焦点として全体像再考の仕事とも取り組むつもりである。
著者
吉田 勇
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

1 平成の町村合併は各町村の入会権の調整にどのような影響を与えたかを検証するために、一の宮町・阿蘇町・波野村が合併した阿蘇市誕生のケースと、合併協議が行われながらも合併に至らなかった小国町・南小国町のケースを比較しながら調査研究した。2 阿蘇市のケースでは、一の宮町と阿蘇町では入会権をめぐる事情に違いがあった。最も大きな違いは、一の宮町には昭和の合併時に財産区が設置されていたが、阿蘇町には財産区は設置されていなかったことである。今回の合併に際しては、旧財産区はそのまま新市に引き継がれるが、新しい財産区は設置しないという方針が合意された。財産区は設置しないが、集落の入会権の使用・処分の権利関係については、実質的な変更が加えられなかった。阿蘇市は、入会原野の貸付についても分収についても、旧阿蘇町と牧野組合との旧来の配分割合をそのまま確認している。波野村の場合には、古くから草原は畑と一体的に個人分割的に利用されてきており、村有入会地がなかったために、今回の合併に向けた入会権の調整は必要ではなかった。3 小国町と南小国町のケースではこれまでの両町の入会政策に大きな違いがあった。小国町は1950年代に入会原野の払い下げ政策(近代化政策)を積極的に進め入会原野の経済的な高度利用(造林化)を目指したのに対して、南小国町は、入会地の集落による共同利用を尊重してきたことである。この政策の違いが、現在でも、南小国町の入会原野はほとんど町有地であるのに対して、小国町には共有地が多いことにうかがわれる。しかしながら、この違いは合併協議の過程では話題になったもようであるが、両町の合併協議を妨げたわけではないというのが関係者の証言であった。
著者
中別府 雄作
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、研究代表者の中別府がこれまでに明らかにしてきた細胞障害の原因の1つである活性酸素による酸化あるいは脱アミノ化で生じた異常塩基や異常ヌクレオチドの細胞内蓄積に注目し、酸化ストレス下で引き起こされる「神経細胞死」、あるいはその前段階の「神経細胞の機能障害」の発生機序を野生型マウス、Mth1、Ogg1、MutyhそしてItpa遺伝子欠損マウス及び細胞を用いて解析した。さらに、脳における酸化ストレス応答と海馬歯状回における神経新生の制御機構の解明を目指して、AP1転写因子のサブユニットをコードするfosB遺伝子とその標的の1つであるgalectin-1の機能解析を進め以下の成果をあげた。【1】パーキンソン病モデルマウスを用い、ドパミン神経細胞の変性における核酸の酸化損傷の意義を明らかにした。【2】ミトコンドリア毒3-ニトロプロピオン酸による線条体中型有棘神経細胞の変性に核酸の酸化損傷が関与することを明らかにした。【3】核とミトコンドリアゲノムへの酸化塩基の蓄積に起因する細胞死の制御機構を解明した。【4】ミトコンドリアヌクレオチドプールの酸化に起因する細胞死とその防御機構を明らかにした。【5】酸化的脱アミノ化を受けたプリンヌクレオシド三リン酸の浄化機構を明らかにした。【6】海馬における酸化ストレス応答と神経新生の制御にfosB遺伝子が関与することを明らかにした。【7】Galectin-1が海馬歯状回における神経新生を促進することを明らかにした。
著者
小林 光一
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アデノ関連ウイルスを利用したwnt11治療によりウイルス性心筋炎マウスの生存を約3割改善することが可能であった。またその機序の解明のためマクロファージ系の培養細胞を使いwnt11を作用させたところ活性化されたマクロファージからの炎症誘導物質の産生が有意に抑制されることが確認された。副作用が少なく、持続的な発現誘導が可能なアデノ関連ウイルスを利用することでwnt11が心筋炎に対して治療効果を示すことが確認された。
著者
上向井 正裕
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

コンパクトで多項目一括検査可能な2波長蛍光免疫センサへの応用を目指し、赤色および近赤外のマルチスポット表面放射集積半導体レーザの設計・作製を行った。赤色集積レーザにおいては5×5および7×7のマルチスポットが得られ、近赤外においても同様のマルチスポット出力が得られる出力結合器を作製した。またノッチフィルタとロングパスフィルタの組み合わせた励起光カットフィルタを用い、赤色・近赤外の半導体レーザ励起による蛍光検出予備実験に成功した。
著者
丹黒 章 宇山 攻 保坂 利男 清家 純一 山井 礼道 丹黒 章
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

食道癌術後、急性期(術後1週間)の栄養管理について臨床例について経静脈的栄養と経腸栄養を比較、検討したところ、術後合併症発症ならびにThl/Th2バランスに代表される免疫能には差を認めなかった。術前栄養投与に関する検証が必要であることが示唆された果実や樹皮に多く含まれるtnterpenoid(以後 ; TT)の抗腫瘍効果と抗癌剤との併用効果を食道癌cell line(yes-2)を用いたinvitroならびにin vivoで検討を行った。TTのうちbetulinic acid(BA)、ursolic acid(UA)、oleanolic acid(OA)について調べたところ、単剤のIC50はBAで13, 9μM、UAで33.3μM、OAで121.3μMで、BAが最も低く、OAが最も高かったさらに、抗癌剤(CDDP, 5-FU, CPT-11)との併用効果についても検討したところ、BAと5-FUでは相乗効果、BAとCPT-11、UAと5FUで相加効果を認め、supplementの併用投与は一部の組み合わせで、相乗、相加効果があり、抗癌剤減量の可能性が示唆された
著者
伊賀瀬 道也 三木 哲郎 田原 康玄
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

大腿筋肉量を測定すれば断面積のみであっても筋肉量の推定が可能になり、高齢者のバランスがわかる。このことから転倒のしやすさにつながる指標であることが明らかになった。つまり比較的簡便にかつ非侵襲的なCT検査を行うことで大腿筋肉量の変化が高齢者のQOLを評価しうる指標である。大腿筋肉量を維持・増加させることが骨折の予防に繋がること、高齢者の寝たきり予防につなげていくことができる。
著者
近藤 孝広 松崎 健一郎 宗和 伸行 盆子原 康博 佐々木 卓実
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

省エネ化・省資源化の実現に向けた限界設計の追求という最近の技術動向のもとで,設計段階における振動解析の必要性と重要性がより一層増大している.そのためには,より精密で実機に近い大規模自由度モデルに対する高精度の解析が不可欠である.そこで,拘束モードを利用する低次元化法を基盤として,システム内に不可避的に含まれる多種多様な非線形性をも考慮できる実用的な振動解析システムの開発を行った.
著者
疇地 宏 藤岡 慎介 重森 啓介 村上 匡克 長友 英夫 中井 光男 白神 宏之 乗松 孝好 門野 敏彦 藤田 尚徳 長井 圭治 萩行 正憲
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2006

本研究の目的は衝撃点火方式によるレーザー核融合の原理実証を行うものである。この原理を実証するためにはレーザー核融合用の燃料の一部を5g/ cm^3まで圧縮しながら1000km/ sまでの高速に加速できなければならない。第一に、米国海軍研究所のNIKEレーザーを用いて、燃料片を1000km/ sまで加速するという目標を達成した。また圧縮しながら加速するという実験にも成功し、大阪大学激光XII号で0. 5-0. 7g/ cm^3で、370km/ sまでの加速に成功した
著者
力石 國男 遊馬 芳雄 荒木 喬 佐藤 清一 道上 宗巳 児玉 安正
出版者
弘前大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

本研究では雪情報システム,各種気象観測機器,レ-ザ-等による降雪観測と併せて,既存のアメダスデ-タ,高層気象デ-タ,衛星画像などの解析を行った.このうち観測的研究については現在まだ実施中であるので,その他の解析によって得られた研究成果を以下に列挙する.(1)津軽地方の降雪と風向との密接な関係が明らかになった.例えば,鰺ケ沢の風向が南西の場合には津軽半島中部・北部に,西風の場合には五所川原,青森,野辺地を結ぶライン上に,北西風の場合には津軽平野中部・南部に多量の降雪が観測される.これらはいずれも局地的な風の収束帯を伴っている.(2)青森市内北西部の降雪は南部とかなり異なった降り方をしている.南部の降雪量は気温だけでなく気温の高度差(大気の不安定度の指標)と非常に良い相関があり,気温の高度差が降雪量予測のための重要なパラメ-タ-であることがわかった.(3)12時間前までの高層気象デ-タ(秋田及びウラジオスト-クの気温,等圧面高度,気温の高度差など)を用いて,青森市の日降雪量の予測式を導いた.事後予測の精度は±11cmである.(4)秋田の9時および21時の高層気象デ-タを用いて地吹雪指数の予測式を導き,地吹雪の予報が高い精度で可能であることを実証した.(5)日本列島における冬季の降水量のメソスケ-ルの特性を調べ,日本海小低気圧と降水量との関係などを明らかにした.(6)岩木山麓における長年の積雪断面観測デ-タを整理して山地での積雪特性を明らかにするとともに,札幌,新庄,長岡,富山での積雪との比較研究を行った.
著者
川本 陽一
出版者
九州大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究はゲリラ豪雨と通称される都市部での短時間集中豪雨と都 市化の関連について検討を行った。東京首都圏の夏期のゲリラ豪雨については、東京湾・ 相模湾より吹き込む南からの海風と鹿島灘より吹き込む東風の収束域で多く発生する事が 報告されている。東京首都圏の都市化の進展が東京湾からの海風進入性状に与える影響を 検討する為、高層観測による海風の現状の把握と、シミュレーションを用いた海風の性状 に対する都市化の影響の評価を行った。
著者
今村 博臣
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2010

カスパーゼに耐性の蛍光 ATP バイオセンサーを開発し、アポトーシス細胞内の ATP レベルを経時的に追跡する手法を開発した。この手法を用い、カスパーゼ 3の活性化後に細胞内 ATP レベルが減少する事を明らかにし、ATP の減少に関与する分子を同定した。さらに、細胞内 ATP がアポトーシス細胞の細胞膜動態を制御していることを明らかにした。
著者
久田 由紀子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

ゲリラ豪雨の発生特性を明らかにするため,福岡都市圏に 14 個の雨量計を設置し観測を行い,次のことが明らかとなった.福岡都市圏においては,ゲリラ豪雨は午後 1~2 時の時間帯,および午後 5 時~6 時の時間帯に多く発生する.一地点での降雨持続時間はおよそ 20~60 分であり,10 分間雨量は,平均で 10mm 程度,最大で 40mm ほどに達した.降雨の発生地点は,福岡平野南部であり,降雨帯はそこから北北東方向に進むパターンと,北西方向に進むパターンの 2 種に大別できた.
著者
長嶋 豊 志久 修 真部 広紀
出版者
佐世保工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

近年の気候変動の影響により、水産資源の枯渇、海洋環境汚染の拡大等の問題が一層深刻になっており、海洋調査の必要性は高まるばかりである。本研究では、自律型海中ロボットと遠隔操縦型海中ロボットのハイブリッド化をめざして研究に取組んだ。まず、表層域では無線式(Wireless Remotely Operated Vehicle、以下WROVと略す。)、浅海域では光ケーブル式(Untethered Remotely Operated Vehicle、以下UROVと略す。)として使い分けることのできるハイブリッド型海中ロボットを開発した。UROVとして使用する場合には小型ブイを使用し、海中ロボットの機動性を向上させた。(1)WROV及びUROV用にPSoCマイコンを用いて、電子コンパス、GPS、深度、ソナーからのセンサ信号を統合、抽出し操縦に必要なデータを伝送するコンパクトな専用コントローラを開発した。(2)海中ロボット運用時の操縦者の負担軽減を図るために、位置、深度、針路等のセンサデータを見ながら操縦できるような操縦支援ソフトを開発し、実海域で実証した。(3)可変ベクトルプロペラの可変翼を従来のステンレス製矩形型から樹脂製7角形翼へ改善し、プロペラ効率を約6%向上することができた。(4)海中ロボットの脚部に取り付けて底質の泥や砂を自動的に取り込む採泥器を開発した。(5)河口表層域の海洋環境データや浅海域での水中遺跡調査で性能評価を行い良好な結果を得た。(6)光ケーブルの伸張具合をセンサで感知して、ケーブルを自動的に繰出し・巻取り可能な小形ブイを開発した。(7)FPGA(Field Programmable Gate Array)を用いた小形測距装置を開発した。(8)ROVとAUV(Autonomous Underwater Vehicle)とのハイブリッド化に備えた制御ソフトウェアの開発を行った。
著者
孫 正明 橋本 等
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

各種鉛黄銅合金を切削等の加工表面から室温において鉛ウィスカーの自然発生現象が確認された。加工面に残留応力が確認されたが、ウィスカーの発生状況との関連性が薄い。熱分析により銅合金には加熱中に鉛の融解吸熱ピークが確認されたが、冷却中に明白な放熱ピークが見られなく、鉛は過冷却状態に存在し、ウィスカーの発生原因になっている可能性を示唆している。長時間60℃の空気に晒されても、ウィスカーの発生が影響されなかった。
著者
森島 圭祐 古川 勇二 吉田 真
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

燃料電池の燃料として,バイオマスから生産されるバイオ燃料や,生物の生体触媒機能によって生産されるエネルギーを利用することで,化石燃料に依存しない発電が可能となる.このような,生体エネルギー変換機能に依存したバイオ燃料電池は,地球環境に対する適合性が高く,研究開発が盛んに行われている.本研究では,光合成細菌であるシアノバクテリアを燃料とし,その代謝反応において生産される還元物質を,導電性高分子であるポリアニリンによって細胞内から直接抽出ることで発電する,直接光合成型バイオフューエルセル(Direct Photosynthetic Bacteria Fuel Cell:DPBFC)を開発してきた.しかし,シアノバクテリア自体の還元物質生産能力が低いため,電池出力は5.3μW/cm2と低く,細胞内から還元物質が抽出されるため,細菌活性も著しく低下し,電池寿命は約2時間と短い.そこで,有機酸を炭素源として代謝を行い,遺伝子操作によって還元物質生産能力を制御することができる紅色光合成細菌Rhodopseudomonas palustrisを新たな燃料として選定し,遺伝子操作による還元物質生産能力の向上によって,DPBFCの出力向上を図った.その結果,遺伝子操作によって,細胞内での還元物質生産能力を向上させた電子蓄積型R.palustrisを使用した際、出力を向上させることができた.また,有機酸を炭素源としていることから,その供給による細菌活性の維持によってDPBFCの長寿命化を図った.有機酸の供給方法には,蒸発現象と吸水性ポリマーの吸水力による流体駆動方法を提案し,外部ポンプを用いることなく,最大流量32nl/minを得ることが出来た.この供給方法を用いた培地還流型DPBFCを試作し,電子蓄積型R.palustisを燃料として使用した結果,12時間以上の発電を確認することが出来た.さらに,試作した薄型DPBFCは、従来型の3分の1程度に厚みを減少させることに成功し,その出力が57μWと従来 のフレキシブルDPBFCとほぼ同等であることを確認した.