著者
中島 健次 江草 周三 中島 東夫
出版者
日本魚病学会
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.83-86, 1970
被引用文献数
6

The reproductive emergence of Philometroides seriolae (ISHII, 1931) YAMAGUTI, 1935(nematode) from the yellowtail, Seriola quinqueradiata, was observed in a large exhibition tank of the Ohita Marine Palace from the middle of August to the beginning of September, 1969. From the observations the following process was suggested. A matured P. seriolae comes out from the interior of the fish body through a small hole made in the skin and hungs down from the hole for a few weeks or more by Ieavng one end of the body under the skin. The part of the worm body exposed to the outside loses elasticity and color and flattens. The end of the exposed part collapsed and thus the larvae are released. and scattered about widely owing to the swimming of the host. The number of the larvae carried by a mother worm varies with the size of the worms, being about 6 to 8 millions in worms measured over 30cm in length.
著者
吉村 美紀
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.160-163, 2017 (Released:2017-08-25)
参考文献数
23
被引用文献数
1
著者
中西 裕也 山崎 博史
出版者
日本地学教育学会
雑誌
地学教育 (ISSN:00093831)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.73-83, 2016-12-30 (Released:2017-10-01)
参考文献数
13

高等学校地学基礎において,実際の空間の中での体験を通して,その空間像のイメージを形成することで地層の広がりを把握するための地層観察の模擬体験活動を考案した.その際,複数の露頭情報を総合して考え,水平方向・鉛直方向の地層のつながりを考えることを意図して立体的に考えることができるワークシートを作成・活用した.この活動は,ほとんどの生徒に肯定的に受け入れられており,地層のつながりや重なりを考えることや他の地点と組み合わせて地層の広がりを考えさせるうえで有効な手立てとなりうることが確認された.
著者
大友 広幸 横田 理央
雑誌
研究報告ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC) (ISSN:21888841)
巻号頁・発行日
vol.2021-HPC-180, no.7, pp.1-9, 2021-07-13

NVIDIA TensorCore は最大 300TFlop/s 以上の性能を持つ混合精度行列積演算回路である.TensorCore は深層学習からの高い行列積需要に対応するために開発されたが,線型方程式の反復解法やフーリエ変換など,深層学習以外の分野への応用も研究されている.密行列積計算も深層学習に限らず幅広い分野において重要な計算である.TensorCore は入力として半精度(FP16)行列をとるため,これを用いて単精度(FP32)密行列積計算を行う場合は,はじめに入力行列を半精度へ変換する必要がある.しかしこの操作によって単精度度行列積の計算精度が劣化する.そこで入力行列を半精度へ変換する際に失われる仮数部を別の FP16 変数で保持し,これを用いて単精度行列積の計算精度を補正する手法が考案された.この手法では単精度演算器を用いた行列積と比較して高速に計算可能ではあるが,誤差の蓄積が大きく計算精度が悪いという問題が確認されている.本研究ではこの誤差蓄積の原因となる 2 つの問題に着目し,それらの改善を行うことで,単精度演算器で計算した場合と同等の計算精度でより高速な単精度行列積手法を開発した.この手法をオープンソースの行列積ライブラリである NVIDIA CUTLASS に実装し,様々な入力行列での計算精度・計算性能の評価を行った.計算性能では 40TFlop/s 以上の性能を実現した.
著者
落合 信寿 佐藤 昌子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.85-94, 2002-11-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
19

本研究は,赤,橙,黄の安全色3色の探索に及ぼす周辺刺激の色とその配置,ならびに背景輝度の影響について検討した。刺激画像は視角40°の広視野に位置された色指標の配列によって構成され,80インチスクリーン上に提示された。妨害指標の色配置は,目標指標と妨害指標間の類似度,妨害指標間の類似度の関係に応じて4種類を設定した。目標指標色,妨害指標数,妨害指標の色配置の関数として反応時間が測定された。その結果,背景輝度が異なっていても,橙は妨害指標数の増加に伴い探索が著しく困難になるが,赤と黄は妨害指標数の影響をほとんど受けないことが明らかとなった。探索に及ぼす色配置の影響は,目標指標と妨害指標間の類似度に依存しており,また安全色によってその影響が異なっていた。すなわち,橙は色配置の影響を著しく受けるが,赤・黄は比較的影響を受けにくいことが明らかになった。これらの結果は,安全色の橙が,周辺環境の視覚刺激によって影響を受けやすい傾向にあることを示唆している。
著者
尾崎 承一
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.696-698, 1994-12-31 (Released:2009-02-13)
参考文献数
7
著者
市井 誠 小川 秀人
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_70-3_76, 2015

リファクタリングにおける振舞い保持を検証するため,プログラム等価性検証手法を提案する.提案手法は,プログラム構造の差分を抽象構文木に基づくモデルを用いて検出する.差分検出にあたり,リファクタリングにより意図された構造の変更を差分から除外するため,リファクタリングパターンに従ったモデル変換を実施する.また,提案手法をC/C++言語を対象とした検証ツールPOM/EQとして実装した.さらに,実装したツールの適用実験を行い,ある組込み製品にて実施されたリファクタリングのうち,56%を正しく判定できた.
著者
林 美希
出版者
早稲田大学多元文化学会
雑誌
多元文化 (ISSN:21867674)
巻号頁・発行日
no.7, pp.二三五-二二二, 2018-02-28
著者
清水 哲夫 川原 晋 片桐 由希子
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.782-787, 2017

本研究は,高尾山地区の観光地マネジメント構想をサポートする駐車場マネジメントシステムの提案に向けて,事前予約制駐車場を配備した場合の駐車料金に対する支払意思額の特性を,来訪者への意識調査から詳細に分析した.自動車来訪者には,当日利用した駐車場をベースに,それが事前予約制になったり遠隔地になったりする場合に支払ってもよい予約料を,公共交通来訪者には,駐車料金を仮想的に与え,それが事前に予約できる場合に支払ってもよい予約料をそれぞれ尋ねた.分析の結果,平均的には駐車料金の半額相当が予約料として支払意思があると認められ,予約料に対する支払意思が高い層として, リピーター,子供連れ,駐車場確保の確実性を重視する層などを抽出した.
著者
香山 尚子 竹田 潔
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.5, pp.741-752, 2013 (Released:2013-05-07)
参考文献数
98

消化管に慢性の炎症が生じる潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)は,食生活やライフスタイルの欧米化にともないわが国において急激な増加傾向を示す難治性疾患である.慢性炎症は多様な疾患に共通する基盤病態であり,腸管組織においても大腸癌リスク増大に関与する.近年,腸管組織において多様な自然免疫細胞が同定されるとともに,獲得免疫系の活性化を制御することで腸管組織の恒常性維持に寄与することが明らかとなった.今後,自然免疫系を標的としたIBDの病態解明および新規治療法の開発が期待される.
著者
井廻 道夫
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.1563-1564, 1989-10-30

末梢血リンパ球あるいは脾細胞を高濃度のリンパ球の分化誘導・成長因子であるリンホカイン,インターロイキン−2(IL−2)の存在下で培養すると,ナチュラルキラー(NK)細胞に抵抗性の株化癌細胞や新鮮な癌組織の癌細胞を殺すキラー細胞が4〜5日で誘導され,このようなキラー細胞はリンホカイン活性化キラー細胞(lymphokine-activated killer細胞;LAK細胞)と呼ばれる.LAK細胞の誘導には腫瘍抗原刺激は必要でなく,LAK細胞は主要組織適合遺伝子複合体(majorhistocompatibility complex;MHC)に規定されずに広範囲の腫瘍細胞を殺す.LAK細胞は不均一なキラー細胞の集団であり,大きくはMHCに拘束されない細胞傷害性T細胞(CTL)とNK細胞の2群に分かれ,IL−2との培養の初期に誘導されてくるLAK細胞は,主としてNK分画に属し,長期培養を行うとCTL分画のLAK細胞の割合が増してくる. IL−2は,1976年MorganらによりT細胞増殖因子として報告されたヘルパーT細胞により産生されるリンホカインの一種であり,CTLの分化・増殖,NK細胞の増殖・増強,γ—INFの産生誘導を促す作用を有する.1983年には遺伝子組換えIL−2(rIL−2)の生産技術により,大量のrIL−2を得ることが可能となった.
著者
中塚 秀輝
出版者
特定非営利活動法人 日本血管外科学会
雑誌
日本血管外科学会雑誌 (ISSN:09186778)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.137-140, 2018-04-25 (Released:2018-04-27)
参考文献数
12

閉塞性動脈硬化症に代表される血管疾患は,病状の進行とともに安静時疼痛または潰瘍・壊死を伴う.とくに重症虚血肢の疼痛は強く,管理に難渋するため,薬物療法,交感神経節ブロック,硬膜外ブロック・末梢神経ブロックなどの区域麻酔,脊髄刺激電極,高気圧酸素療法などさまざまな治療を組み合わせて用いる.高齢者や重症心疾患を有する患者が多いため,循環系への影響が少ない治療が望ましい.区域麻酔は必要な範囲にのみ麻酔効果を発揮する点で有利であり,超音波ガイド下末梢神経ブロックでは効果を必要な部位に正確に限定させることができる.さらに体動時の痛みにも効果的である点で,オピオイドなどの全身投与による鎮痛に比べて非常に優れている.重症虚血肢の疼痛管理においては,薬物療法とともに,超音波ガイド下神経ブロックなどの区域麻酔との併用が有用であり,慢性化した場合には心理社会的要因も考慮して治療に当たる.
著者
Kazuhiro Nogita Mathew C. Greaves Benjamin D. Guymer Bernard B. Walsh James M. Kennedy Michael D. Duke Tetsuro Nishimura
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
Transactions of The Japan Institute of Electronics Packaging (ISSN:18833365)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.104-109, 2010 (Released:2011-04-21)
参考文献数
10
被引用文献数
3 5

The authors produced a demonstration electric vehicle, "Deep Green Research," based on a Honda Civic, in which critical electrical connections were soldered with a lead-free Sn–Cu–Ni–Ge alloy. This paper reports on the team's participation and completion in the Global Green Challenge, the world's largest solar car and eco car race, from Darwin to Adelaide, Australia that was run in late October, 2009. The successful completion of this course under the harsh conditions of the Australian outback proved the high reliability of the Sn–Cu–Ni–Ge lead-free solder joints in the control panels, cables, and connectors that had to carry the heavy current required to propel the vehicle over long distances at speeds of up to 104 km/hour. The vehicle set a new record for the longest distance travelled on a single charge by a car that satisfies relevant Australian safety regulations. This distance of 360 km was achieved using lithium-ion batteries with a total capacity of 33 kWh and resulted in an award in the category "Modified Production Class — Small Car (Electric)".
著者
松岡 由幸
出版者
特定非営利活動法人 横断型基幹科学技術研究団体連合
雑誌
横幹 (ISSN:18817610)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.9-16, 2012 (Released:2016-02-22)
参考文献数
20

This paper describes about the timeaxis design which is a new paradigm of design introducing a concept of time axis into design theory and methodology. Moreover, its social meaning along with its position in science are outlined, and a value growth design, and an unsteady and nonequilibrium system design, which are application of the timeaxis design, are described. As a means for realizing of these designs, a bio-inspired technology and service technology are described. Additionally, timeaxis models, which consist of an unsteady model, a plastic model, and a multi-time scale model, and a gray-box model as an integrated model for decision-making used for a timeaxis design are introduced. Finally, a new possibility by using the timeaxis design is indicated.
著者
マッケルウェイ マシュー P.
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
no.27, pp.57-70, 2003-03-31

「三条本洛中洛外図」は、現存する最古の洛中洛外図屏風であるために、日本美術史上、重要な位置を占めている。記録上では、洛中洛外図が初見されるおよそ二、三十年後の一五三〇年代から四〇年代までに制作されたと思われる。しかし、制作年代と作者の問題も含めて、三条本に関する多くの問題は未だ解明されていないのが現状である。小論は、本図の制作年代と発注者を断定するよりも、そこに描かれた公家や武家などの邸宅を分析し、それらの特殊な組み合わせ方が伝えてくれる手がかりを探し出すことによって、見えてくる人脈の有り様を通して本屏風の意図するものを解釈し、秘められたメッセージに光を当てようとする試みである。三条本の作者が、ある程度、足利家や細川家とその家臣について、絵の構図の中で強調していることは、以前から注目されていたことである。ただ、本図が制作された可能性が強い数十年間が、足利幕府とそれを支える細川管領家が深刻な危機に陥っていた時期でもあったこと、また、その事実が本図の制作にどのような意味をもたらしているかについては、従来からほとんど言及されていない。そもそもなぜ本図は、当時の政治的現実を否定するかのように、理想化された平和なイメージで都を描こうとしたのか。作者は、この図を通して当時の人々に、足利家を支える(サポートする)イメージを与えるための重要な方法として、建物のネットワークを描き出すことにより、足利将軍と結ぶ政治的あるいは家族的な絆を強調しようとしたのではないか。幕府の有力な官吏であった畠山家や伊勢家などの屋敷はこの絵には描かれていないものの、近衛、二条、三条西といった公家の邸宅の存在が、将軍家の地位と朝廷との関係を示唆する。同様に、宝鏡寺と曇華院といった尼僧寺院は、これら比丘尼御所と足利家との親戚関係をも見る者に訴えるのである。最後に小論は、三条西家と三条家に焦点を合わせ、本屏風の制作が、左大臣三条実香の娘と足利義晴との婚姻に何らかの関係があったと推理する。
著者
横田 秀樹 アンドリュー ラドフォード
出版者
日本第二言語習得学会
雑誌
Second Language (ISSN:1347278X)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.59-94, 2012 (Released:2017-12-20)
参考文献数
42

英語のWh移動は,普遍的制約(例:Attract Smallest Condition, Chain Uniformity Condition)とパラメータ化された制約(例:P-Stranding Condition, Left Branch Condition)によって,目標要素(Goal)へのアクセスが制限されている。本研究では,日本人英語学習者(JLE)によって関連する制約がどのように習得されるのかを調べるために行った実験の結果を報告する。結果として,Goalへのアクセスを制限する普遍的制約は,習得初期段階にあたるJLEの中間言語文法においても機能しているが,一方で,パラメータ化された制約に関してはL1からL2への転移が初期の段階で現れる。これは,Full Transfer Full Accessモデル(Schwarz and Sprouse, 1994, 1996)を支持するものである。さらに,パラメータ化された制約の中には,JLEが再設定できるもの(例:P-Stranding Condition)もあるが,再設定できないもの(例:Left Branch Condition)もある。JLEは,学習可能な(すなわち,インプットからの肯定証拠のみに基づいて学習されうる)パラメータ化された制約は再設定できるが,学習不可能な(すなわち,肯定証拠だけでは学習できない)パラメータ化された制約は原則として再設定できないことを議論する。