著者
Nakazawa Yuichi Iwase Akira Akai Fumito Izuho Masami
出版者
Elsevier
雑誌
Quaternary International (ISSN:10406182)
巻号頁・発行日
vol.242, no.2, pp.416-433, 2011-10-15
被引用文献数
21

The effect of the Younger Dryas cold reversal on the survival of Late Glacial hunter-gatherers in the Japanese Archipelago is evaluated, through a synthetic compilation of 14C dates obtained from excavated Late Glacial and initial Holocene sites (332 14C dates from 88 sites). The estimated East Asian monsoon intensity and vegetation history based on the loess accumulations in varved sediments and pollen records in and around the Japanese Archipelago suggest an abrupt change to cool and dry climate at the onset of Younger Dryas, coupled with the Dansgaard–Oeschger Cycles as recorded in Greenland. The chronometric placement of sites based on an assessment of 14C dates show that the site numbers decrease from the Bølling–Allerød to Younger Dryas and increase from the Younger Dryas to Preboreal. However, human population dynamics inferred from a site distribution analysis was little changed from the previous Bølling–Allerød and to the following Preboreal. Moreover, hunter-gatherers consistently employed ceramic pottery technology since its emergence prior to the onset of Younger Dryas, while the quantity of ceramic vessels that were undermined during the Younger Dryas dramatically increased at the onset of the Holocene, implying that a substantial change in hunter-gatherer socioeconomy occurred after the end of Younger Dryas.
著者
山本 和也 薄井 宏行 浅見 泰司
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.54, no.3, pp.688-695, 2019-10-25 (Released:2019-11-06)
参考文献数
11
被引用文献数
1

今日では、高齢者の生活の質を維持するため、高齢者の歩行距離を軽減してモビリティを確保することが重要な課題の一つとなっている。公共交通機関の利用に伴う歩行距離を軽減する施策の一つとして、路線バスのフリー乗降制の導入が挙げられる。本研究では、フリー乗降制が導入されているバス路線における利用者の総所要時間を求めるモデルを構築した。また、都市部を走行する横浜市青葉区のみたけ台線に対してモデルを適用し、利用者の総所要時間を最小化するフリー乗降区間の配置を求めた。モデルの適用結果から、時間帯ごとにフリー乗降区間の配置を変えることで、総所要時間と総歩行時間を共に短縮できることが明らかになった。
著者
儀同 政一
出版者
日本ハンセン病学会
雑誌
日本ハンセン病学会雑誌 (ISSN:13423681)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.17-23, 2009 (Released:2010-12-21)
参考文献数
20

らい菌に対し強い殺菌作用を示すニューキノロン系抗菌薬(NQ)は、多剤耐性らい菌に対する治療薬として重要である。NQ などの化学療法薬はin vitro 活性がいくら強くとも血中半減期や組織移行性などの体内動態が劣るならば、強いin vivo 活性は期待できない。今回Buddemeyer 法とヌードマウス足蹠法を用いてニューキノロン系抗菌薬の構造式と抗らい菌活性の相関を検討した。実験結果からキノロン母核の1位にシクロプロピル基、3位にカルボキシル基、4位にオキシ基、5位にアミノ基または水素基、6位にフッ素基、7位に5員環または6員環の塩基性環状アミン、8位にフッ素基、塩素基またはメトキシ基に置換したNQ が、抗らい菌活性を最も強めることが示唆された。
著者
尾内 康臣
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.925-928, 2009 (Released:2009-12-28)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

ミクログリアは脳実質内グリア細胞の10%を占め,安静時ではramified型をして繊毛突起を出して絶えず移動して免疫監視作用にかかわっている.ところが,脳組織が傷害を受けると傷害された神経細胞やアストロサイトからの刺激によってameboid型と形を変え,ミクログリアが傷害側まで誘導される.血管障害や変性疾患などの神経疾患だけでなく,直接的な脳病理学的所見が不明確とされる精神疾患においても,神経細胞やアストロサイトの異常によってミクログリア活性が上昇していることが最近報告されている.活性化ミクログリアはグルタミン酸神経シナプスなどを剥離して異常興奮を抑制する神経保護に関与する一方,炎症性サイトカインを放出し細胞傷害を惹起する.すなわちミクログリアの活性化こそ脳内での炎症の存在を示す証拠となる.この神経炎症を死後脳でなく,生きた脳で捉えることは疾患の病態を評価し,治療方針の決定に重要となる.活性化したミクログリアには,末梢性ベンゾジアゼピン受容体が多数発現し,その受容体に結合するトレーサーとPETを使うことで可視化できる.様々なトレーサー開発がおこなわれているが,中でも[11C](R)-PK11195は感度は低いが世界で広く臨床利用されているPETトレーサーである.このトレーサーは傷害性ミクログリアと保護的ミクログリア(果たして末梢性ベンゾジアゼピン受容体の差で差別化できるか疑問であるが)の区別なく,活性化したミクログリアを検出することができる.本シンポジウムでは神経・精神疾患の患者脳におけるミクログリア活性について述べる.
著者
森田 敦郎 小森 大輔 川崎 昭如
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.491-496, 2013-07-01 (Released:2013-12-24)
参考文献数
13

本稿は,チャオプラヤ・デルタにおける水管理の変遷と社会の関係を描き出す試みである.20世紀前半の開発は,デルタ全体を一つの灌漑システムへと再編するものであった.このシステムは,雨季の灌漑(水の均等な配分),乾季の灌漑(選択された地域への給水),雨季の洪水防御(指定氾濫地域への導水)という三つの目的を持つ.これらの三つの機能は,それぞれ絡み合いながら歴史的に発展してきた.だが,1990年代に進行した農業変化と産業化にともなって,三者の葛藤は顕在化しつつあり,水管理に新たな課題を突き付けている.
著者
飯島 正樹
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会誌 (ISSN:03864812)
巻号頁・発行日
vol.45, no.6, pp.575-580, 1995-02-15 (Released:2018-12-17)
参考文献数
9

新商品の開発は主として企業内のマーケティング部門とテクノロジー部門により行われてきた.ここ数年は, ダイレクトマーケティングや顧客満足のように, 顧客の要望を取り入れた商品開発が重視されてきている.顧客の意見には苦情(complaints)と要望(claims)があり, 本研究では苦情を中心とした口コミ情報が販売に及ぼす影響を考察している.商品を効率よく生産し販売するためのロジスティクス等のサービスや企業イメージ等の, 細分化された顧客の要求を満たす商品を販売するための情報メディアとして, 口コミは重要な役割を果たす.本研究で調査対象にした洋服は自動車に比べて, メーカーが新製品の品質向上に努力しているにもかかわらず, アフターサービスが伴っていないことを確認した.口コミ情報は, 商品購入や商品開発にとって重要なので, 顧客の意見を反映させやすいサービスシステムを確立することが肝要である.

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著者
ニコニコ倶樂部 [編]
出版者
ニコニコ倶樂部
巻号頁・発行日
1911
著者
武井祥 徳永幸生 杉山精 阿部匡伸
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.251-252, 2011-03-02

日常生活環境の中に存在している様々な環境音を組み合わせて創った音楽がある。<br />この音楽は、楽器音ではなく環境音を用いることで、音楽に付加価値を与えることができる。<br />しかし、多くの環境音は音楽を生成するのに必要な音高が認知しにくく、<br />そのような環境音のみで音楽を生成すると、音楽として認知しにくくなってしまう。<br />また、音高を認知しやすい音ばかりを用いてしまうと、付加価値が減少してしまう。<br />そこで、音高が認知しにくい環境音を用いてもどの程度なら音楽として認知しやすいかを検討した。<br />まずは、環境音を組み合わせて創られた音楽の例であるHondaのCM「Music」篇に着目し、検討した結果を報告する。
著者
片山 耕大 魲 洸平 寿野 良二 木瀬 亮次 辻本 浩一 岩田 想 井上 飛鳥 小林 拓也 神取 秀樹
出版者
Springer Nature
雑誌
Communications Biology
巻号頁・発行日
no.4, 2021

振動分光法を駆使した薬剤効能測定法の開発 --アセチルコリン受容体を標的とした神経疾患の治療薬開発への期待--. 京都大学プレスリリース. 2021-12-01.
著者
小松原 宏子
出版者
多摩大学グローバルスタディーズ学部
雑誌
紀要 = Bulletin (ISSN:18838480)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.31-52, 2021-03-31

2014 年、学研の「10 歳までに読みたい世界名作」シリーズ出版において、19 世紀米文学の名作『若草物語』(ルイザ・メイ・オルコット作)の編訳をする機会に恵まれた。Little Women という原題のこの物語は、日本ではA tale of young grass という意味の、『若草物語』というタイトルで翻訳されている。1934 年の矢田津世子の抄訳出版と、キャサリン・ヘップバーン主演のキューカー監督作品である映画(1933 年アメリカ)の公開時に吉屋信子によって選ばれた、と言われるこの邦題について考察し、命名の理由についての仮説を立ててみた。
著者
小川 暢祐 本島 佑香 村上 美音
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

[目的] 大学期の青年は、少なくとも食の面ではほぼ自立段階に達するが、生活リズムの乱れや偏食等、好ましくない生活習慣が固定化してしまうのを、大学教育等の介入を通じ是正させることは可能だろうか。本発表はそのような問題意識に立ち、前提となる、現代の大学生の嗜好・喫食パターンを、いわゆる学食の販売データから推定し、栄養摂取状況改善に寄与できる新規メニューを企画することを目的とした。<br>[方法] 大学学生食堂の販売月次データに基づき、各メニューに対する選好傾向を把握してソーティングしたうえで、使用食材や価格、あるいは期間限定フェアといった要因ごとに選好理由を推定した。その際、たとえば「鶏の照焼」と「ローストチキン」といった、いわば同工異曲的なメニューの併存にも注意を払い、選択式/記述式アンケートにより選好理由を絞り込み、要因の特性をある程度明確化した。次いで、得られた要因から、栄養機能のより高い食材・調理法を用いるメニューへの展開可能性を検討した。<br>[結果] 友人同士で談笑しながら昼食を摂る、というかつての喫食パターンにもまして、携帯電話の画面操作をしながら喫食する等の事例が増加していることに伴い、ある特徴をもつ品目の被選好傾向が高いこと等が明らかとなった。それをふまえ、学生食堂の既存メニューにはない、栄養機能の高い、かつ選好されることが期待される新商品のコンセプトを策定した。
著者
鈴木 伸幸 水谷 潤 加藤 賢治 近藤 章 八木 清
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.737-740, 2020-04-20 (Released:2020-04-20)
参考文献数
3

近年,Lateral Interbody Fusion(LIF)手技の発展により,脊椎手術の手術時間と出血量の軽減が実現されている.しかし,その合併症の1つとして分節動脈損傷がある.今まで椎体側面の分節動脈の走行は研究され,注意喚起がなされてきたが,椎体前方でも,前方レトラクターの設置やAnterior Column Realignment(ACR)手技の際には重要であり,L1/2では89.1%,L2/3では81.0%,L3/4では34.5%と高頻度に分節動脈が椎間板と交差しておりこれらの手技の際には注意が必要である.
著者
中嶋 信美 西沢 徹 玉置 雅紀 青野 光子 久保 明弘 佐治 光
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.909, 2006

除草剤耐性遺伝子組換えセイヨウアブラナ(以下GMセイヨウアブラナ)の一般環境中での生育状態の把握を行うことを目的として、関東地方の幹線道路沿いや河川敷に生育しているセイヨウアブラナ(<I>Brassica napus L.</I>)やカラシナ(<I>Brassica juncea L.</I>)の種子を139地点から採取した。種子を閉鎖系温室で播種し、除草剤耐性試験と除草剤耐性遺伝子の存在を調べた。その結果、鹿嶋港の5 地点および国道51号線沿いの8地点からグリホサート(商品名:ラウンドアップ)耐性GMセイヨウアブラナが検出された。これらの個体よりDNAを抽出して、グリホサート耐性遺伝子の有無を確認したところ、1地点を除くすべての個体でグリホサート耐性遺伝子が確認できた。また、鹿嶋港の1地点、国道51号線沿いの2地点及び国道124号線の1地点でグルホシネート(商品名:バスタ)耐性GMセイヨウアブラナが検出された。これらの植物ではグルホシネート耐性遺伝子が1地点を除くすべての個体において確認できた。一方、上記以外の地点から採取した種子からは除草剤耐性個体は検出されなかった。以上の結果、鹿島港、国道51号線および国道124号線沿いにはGMセイヨウアブラナが生育していたと考えられ、それらは輸入した種子が輸送中にこぼれ落ちたことに由来すると考えられる。
著者
小西 伴尚 石井 智也 福永 真之 森田 健太郎
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.131, 2020

<p> 昨年度より、三重高校(中高一貫高校部)1年生140名全員で、目標とした『自分から行動をとる生徒を増やす』『地域への関心を高め、その魅力や課題を発見し、行動がとれる』に向けて、近隣の大台町旧宮川村にて、高校 1年生全員が学ぶことができるプログラムを計画・実施してきた。1年目は、できる限り生徒自身が何事も行うように仕向け、教員は大枠(実行委員会を組織すること、取組の途中に遠足を利用すること、対象地域を旧宮川村にすること、最低一年間地域のことを考え・課題をみつけ・自分(達)ができることを考え・行動にでること)のみを設定することとした。これにより、実行委員会の生徒は感化され、目的に合った生徒が育ってきたが、他の生徒の変容は少なかった。その後、引き続き旧宮川村や自分の地元、学校のある松阪市の課題を見つけ、行動に出る機会を作り、動き出す生徒を増やしている。</p><p> また、同様の企画を本年度の1年生にも引き継いで実施した。そこでは、一年目に組んだ教員が学年団におらず、さらに準備期間が短くなった中で、実施にこぎつけ、生徒が動く内容は少なくなったが、良い経験となった。発表では、引き継ぎの難しさも踏まえて報告する。</p>