7 0 0 0 OA 戦争神経症

著者
目黒 克己
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.176-180, 1967-02-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
12

War neurosis is also called neurosis during the war, It is the general term of neurosis which has appeared in the army during the war.Total number of neuropsychiatric patients who entered in Kondodai Military Hospital between 1938 to 1945 was 10, 454, Concerning the rate of each disease, we found 54.4% in hysteria, 33.5% in neurasthenia and 12.1% in psychogenic reaction.The percentage of hysteria during the sencond World War was 54.4% in Japan, 45.1% in U. S. S. R. and 18% in U. S. A. The rate of hysteria in the United States armed force during the first World War was 30%.Speaking about the prognosis of war neurosis in our country after 20 years, 25% of them have not recovered as yet. In the group of this kind we find that the primitive reactions disappeared, and the type of illness moved to the symptoms of disturbance of the autonomic nervous systems in every case.
著者
中村 潤二
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.11-18, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
48

直流前庭電気刺激(Galvanic vestibular stimulation: GVS)は両側の乳様突起に貼付した電極から微弱な直流電流を通電することで,経皮的に前庭器官を刺激するものである.GVSは,姿勢制御や視空間認知に影響を与えるため,中枢神経系の調整的介入が可能であると考えられている.我々は脳卒中後の半側空間無視やPusher現象,パーキンソン病における姿勢異常に対するGVSの介入を実施し,それらの影響に関して報告してきた.特に,Pusher現象や姿勢異常に対する介入は乏しく,GVSはこれらの難渋する障害に対する介入となる可能性がある.また,GVSを応用することで,姿勢制御や筋緊張調節に重要な神経機構である前庭脊髄路の機能が評価可能であるとされ,前庭脊髄路の障害やGVSの影響について検討できる.本稿では,脳卒中後に生じるPusher現象や半側空間無視,パーキンソン病における姿勢異常といった障害に焦点を当て,GVSの基礎,GVSを用いた前庭脊髄路の機能評価の可能性や介入といった臨床応用のための取り組みを提示し,新たなニューロモデュレーションとしてのGVSの可能性について示したい.
著者
小川 潔 山谷 慈子 石倉 航 芝池 博幸 保谷 彰彦 大右 恵 森田 竜義
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.33-44, 2011-05-30 (Released:2018-01-01)
参考文献数
34

東京湾岸地域の造成地に1998年に人工的に播種されて成立したセイヨウタンポポ個体群を対象として、外部形態、生育密度の増減、実生の死亡・生残状況、倍数性構成を観察・測定し、移入されたばかりのセイヨウタンポタンポポ個体群の特徴を明らかにした。本個体群は、人工土壌の上で高密度の個体群を形成したが、2006年現在、個体密度が減少しつつある。現地での自然発生実生および播種実験による実生の生残調査では、実生出現期は主として初夏であるが、実生のほとんどは当年の秋までに死亡した。また秋発生実生は、1年後まで生き残るものがあったが絶対数は少なかった。本州の大都市では純粋のセイヨウタンポポが稀で多くは在来種との雑種であるのに対して、プロイディアナライザーによる痩果および生葉の核DNA量相対値測定の結果、本個体群では2006年現在、純粋のセイヨウタンポポの割合が高く。周辺からの雑種と考えられる個体の侵入は少ない。さらに、日本で初めて2倍体のセイヨウタンポポが個体数割合で約15%検出された。
著者
伊藤 隆 菅生 昌高 千々岩 武陽 仙田 晶子 王子 剛 海老澤 茂 大川原 健
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.299-307, 2010 (Released:2010-09-07)
参考文献数
14
被引用文献数
9 10

患者2530例に対する随証漢方治療の副作用を調査した。503例に569件の味の苦情を含む副作用がみられた。甘草含有方剤は2139例に投与され64例(3.0%)に副作用を認めた。年齢は63.4±13.8歳で全体の54.9±18.1歳より高かった。診断の契機となった症候は,血圧上昇45例,浮腫16例であり,低カリウム血症は5例と少なかった。甘草投与量は,34例にはエキスで2.0±1.0(Mean±SD)g/日,29例には煎薬で2.2±1.1g/日であった。両群の投与期間と回復期間に差はなかった。黄芩含有方剤は1328例に投与され13例(1.0%)で肝機能障害を認めた。黄芩は7例にはエキスで2.3±0.5g/日,6例には煎薬で2.8±0.8g/日が投与されていた。投与期間に有意差はなかったが,回復期間はエキス群69.0±52.5日が,煎薬群22.7±16.0日より長かった。副作用例の大部分で初診時の症状の改善は得ており,当初は証に合っていたと思われる。随証治療においても注意する必要がある。
著者
宮澤 仁
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.69-85, 2010 (Released:2010-04-06)
参考文献数
26
被引用文献数
4 3

本研究では,介護保険の開始以降,民間事業者により急増をみてきた有料老人ホームの立地特性を全国と都市圏の二つのスケールで分析し,供給の拡大要因について地理学的観点から考察した.その結果,近年,有料老人ホームは大都市を中心に供給され,特に東京大都市圏には全国定員の約4割が集中していることが明らかになった.そこで,東京大都市圏を事例地域に分析したところ,有料老人ホームは既成市街地に立地する傾向とともに,供給量と入居費用には大きな地域差が確認された.また,供給量とニーズの関係は弱く,むしろニーズの大きな地域で入居費用が高いことや,企業のリストラにより閉鎖された社員寮等を転用した施設が多数みられ,その多寡が地域的な供給量を左右したことが明らかになった.以上の結果から,(1)有料老人ホームの供給は,不動産流動の活性化といった経済動向の影響を受けやすいこと,(2)有料老人ホームは,近年の急増によりはからずも行き場のない高齢者の受け皿となっているが,入居費用には大きな地域差がある,といった問題点が指摘される.特に後者の問題に関しては,生活困窮高齢者の周縁化を社会的-地理的に強化しかねないことが危惧される.

7 0 0 0 OA ウェブの功罪

著者
笹原 和俊
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.6, pp.309-314, 2020-06-01 (Released:2020-06-01)

多様な情報と人々をつなぐはずのソーシャルメディアが,社会的分断や情報のタコツボ化を助長しているという問題が顕在化している。特に,エコーチェンバーやフィルターバブルといった閉じた情報環境は,自分の好みに合致した情報のみが来やすく,自分とは異なる観点からの情報が来にくいため,フェイク(偽)ニュースやヘイト(憎悪)の温床となる危険性を孕んでいる。本稿では,計算社会科学の観点から,偽ニュースが拡散する仕組みについて解説し,ウェブの負の側面について論じる。また,今後のウェブの技術が克服すべき問題について議論する。
著者
藤井 直人
出版者
日本生気象学会
雑誌
日本生気象学会雑誌 (ISSN:03891313)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.3-13, 2022-07-30 (Released:2022-09-03)
参考文献数
64

夏の暑い日には汗が出て,不快に思う人も多いかもしれないが,発汗は体温調節反応として重要な役割を果たし,我々にとって欠かせない機能の1つである.発汗研究はin vitroでの実験を中心に行われ,その結果,汗生成の様々なメカニズムが明らかとなった.しかし,in vitroでの汗腺の応答が,体温上昇時のヒトの発汗応答と必ずしも同様であるとは限らない.本総説では,in vitroの汗腺の研究結果を紹介しながら,最近の in vivoにおけるヒトの発汗メカニズム研究の知見について概説する.
著者
林 伯原
出版者
Japanese Academy of Budo
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.59-75, 2014

Prior to the times of Jiajing (A.D.1521-1566), Japanese swords were often imported into China as tributes, trading goods and complimentary gifts, but there was no record that Chinese troops or civilians had learned and widely used Japanese swordplay, except for the imperial guards. Since the year of Jiajing 31 (A.D.1552), the massive Japanese invasion of the southeast coast of China made Chinese people notice the advantage of Japanese swordplay. Meanwhile Chinese army and civilians who loved Chinese wushu needed better sword skills,therefore Japanese swordplay became rapidly known and absorbed by them and spread among the folk people. At that time some members of the Chinese army were equipped with Japanese long swords; the warriors used cane shields, and the archers and the cavalry were equipped with Japanese waist broadswords. Training involved the repetition of solo patterns or routines first, followed by matches with other people. Some civilians who learned Japanese swordplay exercised mainly the routines, others mainly practiced a single pose or stance. The kind of Japanese swordplay that spread among civilians could be divided into two types: in one, people were trained by original Japanese swordplay; in the other one, people practiced Japanese swordplay with Chinese swordsmanship together, integrating Chinese swordplay and Japanese swordplay into a new kind of swordplay. In both cases, the practice of Japanese swordplay introduced into China was characterized by the use of patterns or routines.But the routines used by the Chinese army and the folk people were greatly different. In the army, the routine was laid out from the perspective of group training, so it was brief and simple; while the folk routine was laid out from an individual point of view, so it was long and complicated.
著者
福山 千愛 竹林 崇 竹内 健太 山口 理恵 島田 真一
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.519-526, 2021-08-15 (Released:2021-08-15)
参考文献数
17

要旨:セルフアウェアネスの低下は,日常生活動作の改善やリハビリテーションの阻害因子の1つである.しかし,セルフアウェアネスに対する介入方法やその効果は十分に検討されていない.今回我々は,高次脳機能障害によりセルフアウェアネスの低下を呈した回復期脳卒中患者に対し,作業活動にセルフアウェアネスの促進を目的とした行動学的技法を組み合わせたアプローチを実施した.その結果,身体機能,神経心理学的検査結果に著明な変化がないにもかかわらず,活動パフォーマンスの向上を認め,セルフアウェアネスの改善を示唆する知見を得た.以上より,本アプローチが,活動だけでなく,セルフアウェアネスの改善に対して有用である可能性が示唆された.
著者
有終会 編
出版者
有終会
巻号頁・発行日
vol.昭和6年版, 1931
著者
海老田 大五朗
出版者
日本スポーツ社会学会
雑誌
スポーツ社会学研究 (ISSN:09192751)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.51-63, 2012-09-30 (Released:2016-09-06)
参考文献数
22

本稿の目的は、「柔道整復」の歴史の一側面を系統立てることによって「柔道整復」という名称の謎に迫り、「柔道整復」という概念がいかにして構成されたかを分析することである。世界中を見渡しても、「柔道」のような特定のスポーツの名称を冠した療法は他に類を見ない。 本稿ではまず、「柔道」の発展史を確認することで、柔道整復術が公認される時代というのは、柔道が発展普及していく時代と重なることを示唆した。こうした時代背景こそが、「柔術」ではなく「柔道」を使用することになった要因の一つといえよう。 次に、「整復術」の源流といわれている「接骨術」と現在の「柔道整復」の差異を検討することで、非観血療法と呼ばれる療法が受け継がれ、他方で薬の処方については受け継がれなかったという事実を確認した。 最後に「帝国議会衆議院請願委員会議」の議事録などを検討することで、「柔道」が柔道整復師にとって独自の職業アイデンティティの一翼を担っている可能性を示唆した。
著者
川田 伸一郎
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.119-134, 2017 (Released:2017-07-11)
参考文献数
86
被引用文献数
4

明治初年,日本の動物学は来日した外国人教師の下で,ようやく近代的な様相を帯び始めたころだった.哺乳類を専門とする研究者はまだおらず,現在の東京大学を中心とする学者たちによって世界の哺乳類に関する知見が紹介され始めた.帝国大学と東京動物学会の成立により,『動物学雑誌』の発行が開始されると,帝国大学動物学教室の飯島 魁や国立科学博物館の前身である教育博物館の波江元吉といった人物が,哺乳類に関する記事を掲載し始め,やがて20世紀を迎えると青木文一郎や阿部余四男といった昭和初期に日本の哺乳類学を形成していく人物が登場し始める.また,この間には欧米から来日した外国人たちにより,日本の哺乳類標本が海外に送られ,その地の研究者によって調査されて日本の哺乳類相に関する研究が活発化した時代でもあった.本稿は,この明治から日本で初めて哺乳類を専門とする学術団体である「日本哺乳動物学会」の1923年設立にかけて活躍した人物とその業績についてまとめ,すでに100年を経て忘れ去られようとしている哺乳類学の黎明期に起こった出来事を記録にとどめるものである.
著者
金田 智子
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.148, pp.13-27, 2011 (Released:2017-02-17)
参考文献数
16

「生活のための日本語」を身に付けることは,就労や結婚を目的に来日した人,つまり生活自体が滞在目的である人にとって,日本社会で十全な生活を営んでいくために必要不可欠である。この前提に立てば,生活のための日本語能力を測定するテストは,ライフステージに応じた日本語学習の指針となり,動機付けをもたらすものとして,また,日本語能力を適切に説明するものとして機能する必要がある。しかし,現行の公的テストは,留学やビジネスなどを目的とした学習者を対象としたものであり,生活のための日本語能力を測定しうるものではない。オランダの市民統合テストは大規模テストでありながら,パフォーマンス評価によって運用能力を測定し,ポートフォリオ評価によって,実生活でのオランダ語使用を評価の対象とすると同時に,社会の中でオランダ語を用いることの促進をねらっている。市民統合テストの方法やシステムから,生活を目的とする外国人の日本語能力を測定することの可能性と課題を考える。
著者
溝口 晴彦 原 昌道
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.105, no.3, pp.124-138, 2010 (Released:2012-02-17)
参考文献数
50
被引用文献数
7 6

酒母は麹造りと共に酒造りの大切な工程で,乳酸発酵を伴う生もと系酒母と乳酸を添加する速醸系酒母に大別され,従来よりいろいろな切り口で比較がなされてきた。今回,生もと系酒母の複雑な環境の場がそこで育てられて酵母に与える膜リン脂質の脂肪酸組成と関連づけて生もとの不思議な現象を明快に解明した本総説は,現場に従事する人にも興味を持って一読出来るものと確信している。
著者
川 英友
出版者
日本社会臨床学会
雑誌
社会臨床雑誌 (ISSN:21850739)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.35-80, 2018 (Released:2018-07-30)
参考文献数
42

本稿は、2000年代になって広がった発達障害について、その概念や医療、特別支援教育などについて、これまでの社会臨床学会の議論をふまえつつ、問い直すことを目的とする。 1章の「はじめに」についで、2章で、発達障害の薬物療法や医療の問題について論ずる。その後、3章で、診断や判定といったラベリングをされた者に及ぼす不利益、発達障害という概念が広まっていくことが人々の関係性にどのような影響を及ぼしていくかについて論ずる。そして4章で、特別支援教育に潜む問題点について論ずる。 さらに5章以降で、その概念が広まっていくことによって社会問題が個人病理化されていく可能性、発達障害以外の障害者への影響、貧困問題との関係について述べる。