著者
牧野 博明 戸田 雅裕 小林 英俊 森本 兼曩
出版者
日本観光研究学会
雑誌
観光研究 (ISSN:13420208)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.9-18, 2008-03-31 (Released:2017-04-01)

The purpose of this study is to measure and to analyze the effect of the stress relief which is caused by traveling through the experiment by the easy measurement method. We analyzed stress marker which are obtained from saliva. We collected saliva from the participants, women, on a short-term trip, three times a day, and five days total including a day before the trip and a day after the trip. As a result, it was assured that the effect of the stress relief is caused by travel and suggested the possibility of the disease prevention and the health promotion of the travel. In addition, the effectiveness of the group analysis based on subject's mental health status was confirmed, and there is possibility to propose the travel type according to the characteristics of subjects.
著者
倉片 憲治 久場 康良 口ノ町 康夫 松下 一馬
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.215-222, 1998-08-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17
被引用文献数
5 3

高齢者の聴覚特性に適合した報知音を検討するために, 現在市販されている家電製品の報知音の測定を行った. その結果, 以下の3点が問題として明らかとなった: (1) 4000Hz付近の高い周波数の音が多用されている. これらの音は聴力の低下した高齢者にとって聞き取りにくいものであり, より低い周波数の音の使用が望まれる. ただし, 家庭内で生じる環境音は低域の成分が相対的に強いため, 報知音の周波数を下げることによって, それらの音にマスクされて聞き取りにくくならないよう注意する必要がある. (2) 非常に小さな音を用いた製品がある. 高齢者の聴力に合わせた, 適切な音量設定が必要と考えられる. (3) 互いに似通った音色や鳴らし方のパターンが多いため, どの製品の音が鳴ったのかが区別しにくい. そのために混乱をきたす可能性があると考えられる.
著者
日本集中治療医学会JRC蘇生ガイドライン2015 ALS部門作業部会
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.151-183, 2017-03-01 (Released:2017-03-16)
被引用文献数
3

成人心拍再開後の集中治療および予後評価における改訂の要点(学会担当分)を示す。心拍再開後の集中治療【呼吸管理】酸素化に関して,低酸素症の回避を推奨し,高酸素症の回避を提案する。また,心拍再開(return of spontaneous circulation, ROSC)後,動脈血酸素飽和度または動脈血酸素分圧が確実に測定されるまでは100%吸入酸素濃度の使用を提案する。PaCO2に関してバンドル治療の一部としてPaCO2を生理的な正常範囲内に維持することを提案する。【循環管理】バンドル治療の一部として循環管理の目標(例:平均血圧,収縮期血圧)設定を考慮することを提案する。【体温管理療法】ROSC後に刺激に反応がない場合は,体温管理療法の施行を推奨/提案し,体温管理療法を行わないことには反対する。体温管理療法は,初期ECG(electrocardiogram)波形が電気ショック適応の院外心停止に対しては推奨し,初期ECG波形が電気ショック非適応の院外心停止および全ての初期ECG波形の院内心停止に対しては提案する。体温管理療法施行時には,32~36℃の間で目標体温を設定し,その温度で一定に維持することを推奨する。体温管理療法を施行する場合は,維持期間を少なくとも24時間とすることを提案する。ROSC直後,急速な大量冷却輸液による病院前冷却をルーチンには行わないことを推奨する。体温管理療法終了後も昏睡状態が遷延している場合は発熱を防止し治療することを提案する。【てんかん発作の管理】てんかん発作の予防をルーチンには行わないことを提案する。てんかん発作の治療を推奨する。【血糖管理】標準的血糖管理プロトコルを変更せず適応することを提案する。 予後評価【低体温による体温管理療法が施行されたROSC後昏睡患者の予後評価】ROSC後72時間以前に臨床所見のみで予後を評価しないよう提案する。鎮静や筋弛緩の残存が疑われる場合は,臨床所見を継続して観察することを提案する。 それにより予後評価の偽陽性を最小化することができる。単一の検査または所見のみを信用することなく,多元的な検査(臨床所見,神経生理学的な手法,イメージング,あるいは血液マーカー)を,予後評価のため使用することを提案する。予後不良を評価するには,ROSCから少なくとも72時間以後において,両側対光反射消失,もしくは両側の瞳孔および角膜反射消失を使用することを推奨する。予後不良を評価するためにROSCから少なくとも72時間後に計測された短潜時体性感覚誘発電位(short latency somatosensory evoked potential, SSEP)のN20波の両側消失を使用することを推奨する。予後不良を評価するために,BIS(bispectral index)の使用を避けるように推奨する。【体温管理療法を施行していないROSC後昏睡患者の予後評価】ROSC後72時間以降における対光反射消失を予後不良の評価に用いることを推奨する。ROSC後から72時間以内でのSSEP N20波の両側消失を,予後不良の評価に用いることを推奨する。
著者
小田 裕
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.555-564, 2010 (Released:2010-10-28)
参考文献数
15

局所麻酔薬の中枢神経毒性は,血中濃度の上昇に伴って脳内の濃度が上昇した結果,GABA作動性抑制性ニューロンが広範囲に抑制されることによって生ずる.中枢神経毒性は心毒性にも密接に関与しており,中枢神経毒性を亢進あるいは減弱させる薬物は心毒性にも影響を与えうる.静脈麻酔薬,吸入麻酔薬はいずれも局所麻酔薬の中枢神経毒性を抑制するが,交感神経α2受容体作動薬であるデクスメデトミジン,β1受容体遮断薬であるプロプラノロールも脳に直接作用して同様の作用を有する.局所麻酔薬の脳内濃度の推移は,血中濃度と類似しているが,リドカインとレボブピバカインでは血液中から脳内への移行の度合に差がある可能性が示唆された.
著者
野口 啓介;NOGUCHI Keisuke 池永 訓昭;IKENAGA Noriaki 津田 敏宏;TSUDA Toshihiro 坂本 康正;SAKAMOTO Yasutada 平間 淳司;HIRAMA Junji 廣田 哲夫;HIROTA Tetsuo 大澤 直樹;OSAWA Naoki 深田 晴己;FUKADA Haruki 芦野 慎;ASHINO Makoto
出版者
金沢工業大学
雑誌
工学教育研究;KIT progress (ISSN:13421662)
巻号頁・発行日
no.27, pp.135-143, 2019-03-01

電気電子工学科(EL 学科)の平成 30 年度における新たな取り組みとして、プロジェクトデザイン入門(実験)(以下、PD 入門(実験))の検討を行い、前学期に実施した。ここではその内容について報告する。専門科目との接続を重視した PD 入門(実験)のカリキュラムにおける位置付けを示すとともに、EL 学科の実験科目との関係について説明している。これまでのいきさつとして電気系ワーキングの取り組みについても説明する。PD 入門(実験)の学習支援計画書に盛り込んだ内容を示し、6つのテーマ、運営方法などを紹介する。実施結果の検証として受講学生および TA 学生に対するアンケート調査を行い、その結果について検討している。さらに過去3年間の電気回路Ⅰの中間試験結果について比較検討し、PD 入門(実験)と並行して開講された電気回路Ⅰの理解度について考察する。;We have developed practical education of the introduction to project design (PD introduction (experiment)) as a new approach of the department of electrical and electronic engineering in this academic year. This paper reports the detail of the development. Position of the curriculum of PD introduction (experiment) is shown for orientation of major subjects. Relationship with the major experiment subjects is also explained. As the past efforts, related activities in our department are described. Contents of the developed syllabus are explained, and then it shows six themes and steering methods. As a verification of the implementation results, we conducted a questionnaire survey on students attending and TA students. The summary results and graphs are shown. In addition, based on the results of the intermediate test of Electric Circuit I in the past three years, understanding degree of students with respect to PD introduction (experiment) is discussed.
著者
赤口 諒 川崎 有可 大住 倫弘 森岡 周
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0348, 2015 (Released:2015-04-30)

【はじめに】近年,慢性痛患者の中で痛みが強い者は,不公平をより強く感じている報告されており,その不公平感は痛みの破局的思考,抑うつの程度とも関連があるとされている(Scott, 2012)。不公平感は社会において自己が他者と公平でない場合に抱く感情である。このことから痛みを有する患者は他者と比較することで不安が高まる場合,痛みの感受性に影響を与えると考えられる。一方で,他者との比較で起こる情動には妬みがある。妬みとは他者が自己よりも優れた物や特性を有する場合に起こる情動であり,それが自己に焦点されると劣等感,他者に焦点されると敵対心を伴うとされている(Smith, 2007)。そこで,本研究は妬みの情動経験が痛みの主観的強度に与える影響を明らかにすることに加え,妬み情動の中の劣等感と敵対心のうちのどちらが痛みに影響を与えるかを明らかにする。【方法】対象は健常大学生20名(Affect群14名,Control群6名)とした。心理学的評価としてState-Trait Anxiety Inventory(以下STAI)を用いて状態・特性不安の評価を行った。実験は,①痛み刺激,②課題(Affect群:情動刺激,Control群:シャム刺激),③痛み刺激の手順で行った。痛み刺激には熱刺激装置PAIN THERMOMETER(ユニークメディカル社制)を用いた。刺激部位は非利き手の前腕とした。また,実験中の痛みの慣れの要素を除外するため,実験前に47-49℃の刺激をランダムに10施行(60秒インターバル)行った。痛み刺激の評価はVisual Analog Scale(以下VAS)を用いて行った。情動刺激には被験者本人が主人公となるように設定されているシナリオ課題を作成した。これは会社員の主人公が重大な企画を任されることとなっていたが,不運にも交通事故に遭い,ライバルに手柄をすべて奪われることで妬み情動を抱かせる内容となっている(スライド枚数約130枚,所要時間約7分)。情動刺激の評価には妬みだけでなく,妬みの要因である劣等感,敵対心の情動喚起量をVASにより行った。シャム刺激には世界格国の国旗を説明したスライドを作成した(スライド枚数約20枚,所要時間約7分)。統計解析は課題前後の痛みの主観的強度の比較において対応のあるt検定を用いた。情動喚起量と痛みの主観的強度の相関関係にはピアソンの相関係数を用いた。また,劣等感が高い群(評価結果が中央値以上の者)におけるSTAIと課題後の痛み増加量の相関関係にはピアソンの相関係数を用いた。なお,有意水準は5%とした。【結果】課題前後の痛み主観的強度の比較において,Affect群において有意な痛みの増加を認めた(p<0.01)がControl群では認められなかった。情動喚起量(妬み,劣等感,敵対心)と痛み主観的強度の相関関係は,敵対心のみ課題前の痛み主観的強度(r=0.543,p<0.05),課題後の痛み主観的強度(r=0.594,p<0.05)と正の相関関係が認められた。また,劣等感が高い群において,STAI1(状態不安)と痛みの増加量の間にのみ正の相関関係が認められた(r=0.829,p<0.05)。【考察】課題前後の痛みの比較では,Affect群にのみ有意な痛みの増加が認められたことから,妬みが痛みの主観的強度に影響を与えることが示唆された。一方で,情動評価における敵対心が課題前後それぞれの痛み評価と正の相関関係が認められた。つまり,自分よりも優れた他者と比較した際,敵対心を抱きやすい個人特性が痛みの感受性に影響を与えていると考えられる。また,劣等感が高い群において,STAI1と痛みの増加量に正の相関を認めた。これは自分よりも優れた他者と比較した際,劣等感を抱いた場合は,不安の程度に伴って痛みの増加量が変化することが示唆された。【理学療法学研究としての意義】理学療法における痛みの評価は感覚的側面のものだけでなく,情動的側面,認知的側面も一般化され始めている。本研究の結果から妬みの情動経験が痛みの主観的強度を増強させることが示唆され,劣等感を抱いた場合,不安の程度に応じて痛みの感受性が変化することが示唆された。さらに先行研究から痛みが原因で不公平感を強く訴える者程,痛みの破局的思考に陥りやすく,抑うつ傾向になるという報告がある(Scott, 2012)。このことも踏まえると,痛みを有する患者の評価には他者との関わり方のパーソナリティを評価する必要がある。つまり,患者特有のパーソナリティを多面的に評価し,理解することが適切な心理的アプローチを可能にし,痛みの慢性化を未然に防ぐことにつながる可能性を本実験で示すこととなった。
著者
髙橋 真 岩本 浩二 門間 正彦 水上 昌文
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
2020

<p>【目的】大学野球選手における投球側肩関節の外旋角度の増大に伴う上腕骨頭-肩甲骨関節窩後縁の骨間距離(以下,PGHD)を明らかにすることである。【方法】対象は大学野球選手11 名の投球側肩関節11肢とした。MRI 撮像時の肩関節肢位は肩90°外転位から90°,100°,110°外旋位の3 肢位とし,各肢位のPGHD を計測した。【結果】PGHD は肩関節90°外旋位よりも110°で有意に低値だった。【結論】肩関節外旋角度が増大すると,上腕骨頭と肩甲骨関節窩後縁が接近した。</p>
著者
馬杉 綾子 生坂 政臣 池原 泰彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
2001-07-15

症例:91歳,男性.床屋で髭を剃ってもらっていたところ,突然意識を失ったため救急車で来院.同伴者の話から意識消失時間は数分と推定され,また四肢のけいれんはみられていない.既往歴,家族歴に特記事項なし.来院時,意識は清明,血圧131/80mmHg,脈拍61回/分・整,体温35.1℃.身体診察では,頸動脈にbruitは聴取せず,胸腹部,四肢,神経学的所見に異常所見を認めない.来院時の心電図を示す(図1).
著者
庄田 清武 橋本 和男 熊谷 正志 小森 智康
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会年次大会講演予稿集 (ISSN:13431846)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.2-7-1-_2-7-2_, 2010

Authors are seeking universal services to be applied to broadcasting. As the one of them, we focused on assisting elderly viewers in audio, and built an audio processing system. The processes are based on compensating their hearing characteristics. Viewers can listen to the programs with processed audio without special devices.
著者
石川 寛
出版者
東洋文庫
雑誌
東洋学報 = The Toyo Gakuho (ISSN:03869067)
巻号頁・発行日
vol.84, no.2, pp.255-276, 2002-09

It is well known fact that the regime of the Rāshṭrakūṭas who extended their power throughout the Deccan and beyond between the 8th and 10th centuries was characterised by dynamic temple-building, including the Kailāsanātha temple of Ellora, and the promotion of Kannaḍa literature. However, a debate still exists over the original homeland and the capital・of the Rāshṭrakūṭas in their early days. A. S. Altekar holds the idea in his reputed “Rāshṭrakūṭas and their Times” (1967) that Dantidurga, the founder of the dynasty, originally hailed from Laṭṭalūra, (modern day Laāṭūr in the Osmānābād district, Mahārāshṭra state) and was a local chieftain under the overlordship of the Chālukyas of Bādāmi. By the time of independence he had migrated to the northern region of Mahārāshṭra where Elichpur, a proposed earlier capital by Altaka, was located.Judging from related records, including a new Kandhār inscription,it is clear that the Rāshṭrakūṭas had never migrated, and that they came from south-eastern and central Mahārāshṭra, the so called “Marāṭhavāḍā” regions, that they comprise the modern day districts of Osmānābād, Nānḍed, Parbhanī, Bīr and Auragabād, and that they used the Kannaḍa language as their mother tongue.Some inscriptions dearly show that Mānyakhēṭa in Gulbarga district, Karnātaka state was the capital city from the days of Amōghsvarsha I, the dynasty’s 6th king. Many scholars have expressed their opinions about an earlier capital. Altekar opines that Achalapura, (modern day Elichpur in Amarāvatī district, Mahārāshṭra state) was the earlier capital. Ellora was regarded as the capital by H. Cousens. But the present state of our knowledge, makes it impossible to identify the earlier capital of the Rāshṭrakūṭas as before establishing Mānyakhēṭa as the permanent capital, even though such locations as Ellora and Mayūrakhaṇḍī seem to have been temporary capitals. The author is of the opinion that Ellora was the capital during the reigns of Dantidurga and Kṛehṇe I, the 1st and 2nd kings, and that Mayūrakhaṇḍī occupied the same position during the time of the 5th king Gōvinda III.
著者
高橋 忠伸
出版者
日本ウイルス学会
雑誌
ウイルス (ISSN:00426857)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.101-116, 2016-06-25 (Released:2017-05-09)
参考文献数
82

インフルエンザA型ウイルスが結合する糖鎖分子として,シアル酸分子種の一つN-アセチルノイラミン酸(Neu5Ac)が最も知られている.細胞表面上の糖鎖末端のNeu5Acは,インフルエンザA型ウイルスの感染を開始する受容体として機能する.一方,インフルエンザA型ウイルスの中には,Neu5Acだけでなく,シアル酸の主な分子種の一つN-グリコリルノイラミン酸(Neu5Gc)にも結合するものがある.さらに,3-O-硫酸化ガラクトシルセラミド(スルファチド)は構造中にシアル酸を含んでいないにもかかわらず,インフルエンザA型ウイルスが強く結合する糖鎖分子である.Neu5Gcやスルファチドはウイルスが結合することから,感染時のウイルス受容体と考えられてきた.ところが,これらの糖鎖分子は感染時のウイルス受容体としての機能は認められず,ヒト細胞上のNeu5Gcは感染を阻害する機能があること,スルファチドはウイルス産生を促進する機能があることが分かってきた.これらの糖鎖分子の機能は,感染予防や新しい抗ウイルス薬の開発に利用できるものと期待される.
著者
河井 祐介
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.I-62_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】 股関節唇損傷患者について問題となるFAI(femoroacetabular impingement以下FAI)では股関節屈曲内旋または屈曲外旋でのインピンジメントによる疼痛が引き起こされる。治療としては保存療法および手術療法が選択される。とくに保存療法では股関節周囲筋の筋力や体幹筋力トレーニング、股関節可動域訓練などが行われている。現在体幹トレーニングについて有用性は示されているが、質量ともにどの程度行えばどの程度の効果が得られるのか述べられている報告はない。今回股関節唇損傷患者においてFront plank(以下プランク)による体幹トレーニングを実施し、その量的評価と股関節スコアを比較しその関係について比較検討した。【方法】 当院を受診し股関節唇損傷と診断された患者12名(男性1名、女性11名、年齢45.3±10.4歳)の体幹筋力評価としてプランクの持続時間を初診時測定し、同時に股関節機能評価としてJOAとharrisのスコアを評価した。またプランク60秒達成時にも同様にJOAとharrisのスコアを評価した。プランクの持続時間とJOAとharrisのスコアについてそれぞれ統計処理としてspearmanの相関分析を行った。またプランクの持続時間が59秒以下の群と60秒可能な群間でJOAとharrisのスコアそれぞれにおいて対応のないT検定を用いて比較した。【結果】 体幹筋力としてのプランクの持続時間と股関節機能評価としてのJOAとharrisのスコアとは正の相関関係が認められた(p<0.05)。またプランクの持続時間が59秒以下の群と60秒可能な群との間にはJOAとharrisのスコアに有意差が認められた。(JOAスコア 0-59秒以下の群:71.6±12.6 60秒可能な群:90.5±11.4 harrisスコア0-59秒以下の群:65.8±12.2 60秒可能な群:82.6±9.3)。つまりプランク持続時間が60秒可能な群の股関節機能評価スコアは59秒以下の群よりも高い傾向にあることが示された。【考察】体幹筋、特に腹筋の機能としては骨盤の後傾作用と安定化機能があり、骨盤後傾によりFAIによる疼痛を回避した姿勢が取れることと、体幹固定作用により十分な下肢筋力の発揮が可能になると考えられる。また、筋持久性に関して、有酸素性にエネルギー代謝が行われる1分以上の持久力が腹筋には必要と考えられる。そのために、プランクを1分保持を達成できる患者の股関節機能評価のスコアが高くなったと考えられる。【結論】股関節唇損傷患者において体幹筋力の改善は股関節機能の改善に寄与する可能性があり、なおかつ量的にはプランク1分以上可能な体幹筋力が有効である可能性がある。【倫理的配慮,説明と同意】京都下鴨病院倫理委員会の承認を得た。
著者
戸川 一夫 荒木 謙一
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリートジャーナル (ISSN:00233544)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.105-112, 1974-04-15 (Released:2013-04-26)
参考文献数
14

本研究の主目的は短く切った金属繊維をモルタルあるいはコンクリートに混入することによって曲げ強度の改善を行なうことと, 曲げ強度を合理的に表わす指標を究明することである。本実験でもちいた主要因は金属繊維の長さ, 径, 混入量, 付着強度およびモルタル, コンクリートのワーカビリチーである。本実験結果を要約すると次のようである。1) 直径360μ, 長さ30mm, のクリンプした金属繊維を30%混入したモルタルの終局曲げ強度は普通モルタルの5倍近い強度が得られた。2) 金属繊維補強モルタルの終局ならびに初期ひびわれ荷重時の曲げ強度は (付着強度) × (繊維の長さ) × (繊維の比表面積) × (フロー比) の関数として表わすことができる。3) モルタルの引張強度, コンクリートの曲げ強度も上記関数をパラメータとして推定することが可能である。
著者
大北 全俊
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.94-101, 2010
参考文献数
13

本論考では、感染症対策、なかでも薬剤を使用しない非医療的な対策(nonpharmaceutical interventions:NPI)である隔離や検疫などの感染症対策をめぐる倫理的な問題とそのような対策を実施するにあたって必要と考えられる倫理的な配慮について明らかにすることを目的としている。主な倫理的な問題は、感染拡大の防止という社会的な利益を保全するために、個人の移動の自由やプライバシーの保護などの諸権利を制限せざるを得ないところに生じる。社会的利益と個人の権利・利益、両者をなるべく一致させる考えもあるが、個人の権利・利益の制限という事実は依然として残る以上、両者の均衡を図ることが不可避となる。しかし、両者の均衡を実現するということも根本的な困難をはらんでいる以上、当該施策が適切なものであるか否かということを公的に議論する過程や施策の対象となる個人への意見聴取など、両者の均衡を不断に模索する過程が倫理的な配慮として不可欠である。