著者
大貫 崇
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.27-34, 2019-10-31 (Released:2019-12-24)
参考文献数
69

The diaphragm has been long-known as main gas exchange muscle for survival. However it has been revealed that breathing has many functions other than gas exchange, such as spinal decompression, postural stability, fluid dynamics, visceral health, and emotional regulation. For increasing attention to the core stability along with respiration, this article will review the fundamental structure and core stability function of the diaphragm as well as the recent research for low back pain. Then based on the diaphragmatic contribution to the core stability and low back pain, this article will discuss possibility of breathing exercises to normalize diaphragmatic position and function.
著者
Ken FUTAGAMI Thomas Kwong Soon TIONG Christine Li Mei LEE Yong Lin HUANG Yoko NOMURA Yasunari KANDA Sachiko YOSHIDA
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第47回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-5S, 2020 (Released:2020-09-09)

環境中や食品中の化学物質が身体に与える影響について、経済協力開発機構(OECD)による統一的な試験が試みられている。発達期の神経形に対する毒性は、確実に毒性を示すポジティブコントロール物質(P物質)と、毒性を示さないネガティブコントロール物質(N物質)が提案されているが、近年、従来N物質とされた物質の一部に発達期毒性があり、自閉症や発達傷害などの高次脳機能障害の増加を誘発することが示唆されるようになった。グリホサートは世界で最も多く使用されている除草剤ラウンドアップの有効成分であり、土壌中ではアミノメチルホスホン酸(AMPA)に代謝され、OECDテストガイドラインのN物質である。除草剤としての機能は、植物中の芳香族アミノ酸を合成するシキミ酸経路において、5-エノールピルビルシキミ酸-3-リン酸シンターゼ(EPSPS)を阻害することである。一方、このシキミ酸経路は動物には存在しないため安全であると考えられてきたが、動物の腸内細菌にはシキミ酸経路が存在するため、近年、胎生期グリホサート曝露により、神経障害の誘発や行動異常が報告されるようになってきた。本研究室では、胎生期に単回100、250 mg/kg-グリホサート曝露又は単回250 mg/kg-AMPA曝露させることにより、小脳の神経細胞異常と行動異常を報告してきた。そこで、本研究では、胎生期慢性グリホサート曝露による小脳皮質に与える影響を検討した。結果は、雄の仔ラットにおいて、プルキンエ細胞の有意な減少が観察された。さらに、雄及び雌の仔ラットにおいて、活性型ミクログリアのプルキンエ細胞層(PL)に対する有意な分布が観察された。従って、グリホサートは発達期に対する神経毒性があると考えられる。

50 0 0 0 OA 秘書類纂

著者
伊藤博文 編
出版者
秘書類纂刊行会
巻号頁・発行日
vol.〔第19巻〕, 1936
著者
清水 克哉
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.706-708, 2023-12-01 (Released:2023-12-01)
参考文献数
15
著者
楠見 晴重
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.109, no.1, pp.36-43, 2014 (Released:2018-02-16)
被引用文献数
1 1

京都盆地の地下には約211億トンという,琵琶湖に匹敵する豊富な水量の水瓶(京都水盆)がある。この京都水盆へは,京都府から滋賀県,三重県にまたがる7,050km2の地域に降った雨から毎年45億トンが供給される。平安京の昔から1200年間,京都の文化や伝統産業,たとえば茶道,京友禅,京豆腐や湯葉,伏見や京都の酒造りをこの良質で豊富な地下水が育んできた。この大切な地下水資源を将来にわたって守り抜くために,著者は3次元地質構造モデルを作成され,地下水汚染対策に利用されています。地球上では水不足が進行しており,2025年には48カ国17億人が深刻な水不足になると予想されている。この大切な水を守るために京都や日本から発信する必要があると述べられています。
著者
柳原 良江
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.4-12, 2015-09-26 (Released:2016-11-01)
参考文献数
19
被引用文献数
2

日本人は既に長年外国で卵子提供を実施しているが、その実態が明らかにされることはなかった。本研究では聞き取り調査をもとにその現状を述べ、卵子提供の持つ倫理的問題を考察する。 卵子提供には医学的リスクが伴うにも関わらず、それらに十分に研究されておらず、またその事実が周知されていない。しかし米国で日本人から採卵する斡旋業者はリスクを適切に伝えず提供者を募集している。そこで交わされる契約のもと、提供者は自らが想定外の健康被害を被っても放置され、保険で賄われない健康被害は提供者が負うことになる。また提供者の都合で卵子提供に不備が生じれば、その損失も提供者が支払わねばならない。こうした問題により訴訟も起きているが、この実態が第三者に伝わることはなく、それらの現実は人々に知られないままである。 卵子提供は他者による身体管理や生活管理を含むが、近代化された社会の中で、その隷属性が見えなくなっている。それにも関わらず卵子提供が問題視されてこなかったのは、卵子提供が臓器移植をはじめ近代医学の例外的措置を利用し、それらをつなげて作られた、人権の考慮されない言説の中に存在しているためである。
著者
伊藤 俊樹
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.88, no.1, pp.31-35, 2019-01-10 (Released:2019-09-20)
参考文献数
7

ナノインプリントリソグラフィ(NIL)は,ナノスケールの微細加工技術として有効な技術であることが示されてきた.本稿では,NANDフラッシュメモリやDRAMなどの先端デバイスへの適用に向け開発している新しいインプリント装置の紹介,技術開発の進捗状況,ほかの先端半導体デバイス量産装置候補よりも魅力的な生産コストで,かつ将来の要求仕様に適したインプリント技術の展望について報告する.
著者
森 千鶴夫 井上 一正 宮原 諄二 千輪 潔
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.54, no.10, pp.437-448, 2005-10-15 (Released:2011-03-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1

明星大学・図書館に所蔵されているキュリー夫人の実験ノートの表紙, 裏表紙, 等に付着している放射性物質の分布状態をイメージングプレートで測定した。また, α線の強度とエネルギースペクトルをシリコン検出器で, γ線スペクトルを高純度ゲルマニウム検出器で測定した。表紙, 裏表紙ともに, 手が触れる部分の放射能強度が強く, ノートの小口 (端) の部分にも付着していた。また, 多くの点状の汚染があり, 夫人の周辺には粉末状の汚染があったことが推察される。α線強度の測定によれば, 最も強く付着している部分においては, 我が国のα核種の表面密度限度 (4Bq/cm2) 以下ではあるが, それに近い値であった。α線及びγ線のエネルギースペクトルの測定では, 核種はウラン系列の226Raとその娘核種の壊変に伴うものであった。15年にわたる記入期間の各月ごとの記入ページ数を, 当時の状況を知る手がかりを得る目的で調べたが, このページ数には大きな変動があった。これらについて, 日本人研究者に関する事柄も記されている夫人の伝記を参考にして若干のコメントをした。
著者
小谷野 敦
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 : 国際日本文化研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.29, pp.301-323, 2004-12-27

一九八七年頃から、古代中世日本において女性の性は聖なるものだったといった言説が現れるようになった。こうした説は、もともと柳田国男、折口信夫、中山太郎といった民俗学者が、遊女の起源を巫女とみたところから生まれたものだが、「聖なる性」「性は聖なるものだった」という表現自体は、一九八七年の佐伯順子『遊女の文化史』以前には見られなかった。日本民俗学は、柳田・折口の言説を聖典視する傾向があり、この点について十分な学問的検討は加えられなかった憾みがある。
著者
堀田 昌寛 遊佐 剛
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.9, pp.613-622, 2014-09-05

現在広範なテーマを巻き込みながら,量子情報と量子物理が深いレベルから融合する量子情報物理学という分野が生まれ成長しつつある.なぜ様々な量子物理学に量子情報理論が現れてくるのだろうか.それには量子状態が本質的に認識論的情報概念であるということが深く関わっていると思われる.ボーアを源流とする認識論的な現代的コペンハーゲン解釈は量子情報分野を中心に定着してきた.この量子論解釈に基づいた量子情報物理学の視点からは存在や無という概念も認識論的であり,測定や観測者に対する強い依存性がある.本稿ではこの「存在と無」の問題にも新しい視点を与える量子エネルギーテレポーテーション(Quantum Energy Teleportation;QET)を解説しつつ,それが描き出す量子情報物理学的世界観を紹介していく.QETとは,多体系の基底状態の量子縺れを資源としながら,操作論的な意味のエネルギー転送を局所的操作と古典通信(Local Operations and Classical Communication;LOCC)だけで達成する量子プロトコルである.量子的に縺れた多体系の基底状態においてある部分系の零点振動を測定すると,一般に測定後状態の系は必ず励起エネルギーを持つ.これは基底状態の受動性(passivity)という性質からの帰結である.このため情報を測定で得るアリスには,必ず測定エネルギーの消費という代償を伴う.またアリスの量子系は量子縺れを通じてボブの量子系の情報も持っている.従ってアリスは,ボブの系のエネルギー密度の量子揺らぎの情報も同時に得る.これによって起こるボブの量子系の部分的な波動関数の収縮により,測定値に応じてアリスにとってはボブの量子系に抽出可能なエネルギーがまるで瞬間移動(テレポート,teleport)したように出現する.一方,この時点ではまだボブはアリスの測定結果を知らない.またアリスの測定で系に注入された励起エネルギーもまだアリス周辺に留まっており,ボブの量子系には及んでいない.従って対照的にボブにとってはボブの量子系は取り出せるエネルギーが存在しない「無」の状態のままである.このように,現代的コペンハーゲン解釈で許される観測者依存性のおかげで,エネルギーがテレポートしたように見えても因果律は保たれている.非相対論的モデルを前提にして,系のエネルギー伝搬速度より速い光速度でアリスが測定結果をボブに伝えたとしよう.アリスが測定で系に注入したエネルギーはボブにまだ届いていないにも関わらず,情報を得たボブにも波動関数の収縮が起こり,自分の量子系から取り出せるエネルギーの存在に気付く.そしてボブは測定値毎に異なる量子揺らぎのパターンに応じて適当な局所的操作を選び,エネルギー密度の量子揺らぎを抑えることが可能となる.その結果ボブは平均的に正のエネルギーを外部に取り出すことが可能となる.これがQETである.このQETは量子ホール系を用いて実験的に検証できる可能性が高い.一方,相対論的なQETモデルはブラックホールエントロピー問題にも重要な切り口を与える.
著者
末永 恵子
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.19, no.1, pp.52-59, 2009-09-22 (Released:2017-04-27)
参考文献数
31

「人体の不思議展」は、プラスティネーションという技術で作製された人間の死体の標本を有料で一般公開する展示である。本稿は、同展の倫理的問題点について考察することを目的とする。死体には尊厳が存するので、安易な利用は許されず、相当の目的と意義が認められる利用に限定されるべきである。同展は、教育的展示を謳っているものの、標本の展示方法に問題があり、かつ教育効果についても疑問である。中国における献体といわれる標本の由来にも不透明な部分が多い。そもそも日本では現行法によって無償の「献体」を展示商品とすることは、不可能である。よって、同展は日中間の法律の間隙をぬって開催されていることになる。研究・教育用に真に必要な遺体供給の条件を整えるためにも、提供者の厳密な意思確認や倫理的条件を明記した法律が不可欠である。このような法の構想のためにも、現行法の間隙をついて開催される同展の倫理的問題点を抽出すことは、必要な作業であろう。
著者
岡部 晋典 佐藤 翔 逸村 裕
出版者
情報知識学会
雑誌
情報知識学会誌 (ISSN:09171436)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.333-349, 2011-09-27 (Released:2011-12-13)
参考文献数
43
被引用文献数
2 2

本稿ではオープンアクセス運動の契機となったBudapest Open Access Initiative(BOAI)について分析し,これがどのような意図のもとで公開されたか調査した.まず,BOAIを提唱し,オープンアクセス運動を支援している財団であるOpen Society Institute(OSI)と,その設立者であるGeorge Sorosについて紹介し,彼らの思想的根拠であるKarl R. Popperの提唱した「開かれた社会」概念について概観した.また,BOAI中にその思想が影響していることを明らかにした.次に,オープンアクセス運動に関連する文献群中でのPopperおよび「開かれた社会」への言及状況とBOAIの受容状況の定量的計測から,オープンアクセス関係者の間での「開かれた社会」関連思想の認知状況を検討した.その結果,OSIは「開かれた社会」という政治思想の実現を目的にオープンアクセス運動に関与しているにもかかわらず,他のオープンアクセス運動関係者はこの思想の存在には言及していないことがあきらかになった.
著者
西森 栄太 尾形 哲 小林 聡 尾下 雄紀 依田 淳 仲 元司 田中 直樹
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.65, no.7, pp.369-376, 2022-07-30 (Released:2022-07-30)
参考文献数
28

本研究では糖尿病専門医の脂肪肝・肝癌の診療の現状および課題を明らかにするため,長野県の糖尿病専門医に対してアンケート調査を行った.特に,糖尿病との関連が大きい非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を対象とした.専門医69名中44名(64 %)から回答を得た.肝逸脱酵素および血小板の測定頻度は回答者の約90 %が6ヶ月以内としていたが,FIB-4 index算出は64 %にとどまっており,エビデンスと診療のギャップが認められた.画像検査は73 %が自施設で実施しており,その割合は病院勤務医で有意に高かった.糖尿病からの肝癌は半数以上が経験し,消化器病専門医との連携の提案があった.本研究から,糖尿病専門医へのNAFLD線維化スクリーニングの周知と実施,画像検査を含めた評価システムおよび消化器病専門医との連携の必要性が明らかとなった.糖尿病専門医がNAFLDを診療する意義・役割は大きいと考えられた.