著者
Mitsuru Takami Koji Fukuzawa Kunihiko Kiuchi Hiroyuki Takahara Kimitake Imamura Toshihiro Nakamura Yusuke Sonoda Kazutaka Nakasone Kyoko Yamamoto Yuya Suzuki Kenichi Tani Hidehiro Iwai Yusuke Nakanishi Mitsuhiko Shoda Atsushi Murakami Shogo Yonehara Ken-ichi Hirata
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Reports (ISSN:24340790)
巻号頁・発行日
pp.CR-23-0083, (Released:2023-10-28)
参考文献数
11

Background: There is a strong demand for remote monitoring systems to gather health data. This study investigated the safety, usefulness, and patient satisfaction in outpatient care using telehealth with real-time electrocardiogram (ECG) monitoring after catheter ablation.Methods and Results: In all, 38 patients who underwent catheter ablation were followed up using telehealth. At the 3- and 6-month follow-up, a self-fitted Duranta ECG monitoring device was sent to the patient’s home before the online consultation. Patients attached the devices themselves, and the doctors viewed the patients by video chat and performed real-time ECG monitoring. The frequency of hospital visits and the ECG monitoring duration were compared with conventional in-person follow-up data (n=102). The completion rate for telehealth follow-up was 32 of 38 patients (84%). The number of hospital visits during the 6 months was significantly lower with telehealth follow-up than with conventional follow-up (median [interquartile range] 1 [1–1] vs. 5 [3–5]; P<0.0001). However, the ECG monitoring duration was approximately 4-fold longer for the telehealth follow-up (median [interquartile range] 89 [64–117] vs. 24 [0.1–24] h; P<0.0001). No major adverse events were observed during the telehealth follow-up. Patient surveys showed high satisfaction with telehealth follow-up due to reduced hospital visits.Conclusions: A combination of telehealth follow-up with real-time ECG monitoring increased the ECG monitoring duration and patient satisfaction without any adverse events.
著者
猪瀬 優理
出版者
北海道社会学会
雑誌
現代社会学研究 (ISSN:09151214)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.21-38, 2004-06-18 (Released:2009-11-16)
参考文献数
44

本論文の目的は,信仰継承に関する知見を得ることである。分析には,札幌市在住の創価学会員を対象に行われた調査票調査から得られたデータを使用した。二世信者が信仰を継承する要因として,親の影響と本人の宗教的参加の程度に着目した。分析の結果,以下の知見が得られた。第一に,男性にとっては父親の信仰態度,女性にとっては母親の信仰態度が強いほど現在の信仰態度は強まる。第二に,親の教化態度が強いほど現在の信仰態度は弱まる。第三に,親子間の影響のあり方は,母親と娘,母親と息子,父親と娘,父親と息子の間で異なっている。第四に,子どものころから継続的に宗教活動を行うことは信仰継承する可能性を高める。第五に,信仰が同じ配偶者を持つ人は,信仰継承する可能性が高まる。第六に,女性の場合,家族関係が良好であることは宗教活動から離れることを抑止する。第七に,男性の場合,教育年数が増えるほど,現在の信仰態度が熱心になる。第八に,男性の場合,きょうだい数が多くなるほど宗教活動から離れる可能性が高まる。全体的な傾向として,男性よりも女性の方が活動から離れにくく,現在の信仰態度も熱心であった。男性と比べれば女性の方が信仰継承しやすい可能性がある。教団組織の発展や文化伝達のメカニズムを解くためにはジェンダーの視点が不可欠である。
著者
So Nakagawa Toshiaki Katayama Lihua Jin Jiaqi Wu Kirill Kryukov Rise Oyachi Junko S Takeuchi Takatomo Fujisawa Satomi Asano Momoka Komatsu Jun-ichi Onami Takashi Abe Masanori Arita
出版者
The Genetics Society of Japan
雑誌
Genes & Genetic Systems (ISSN:13417568)
巻号頁・発行日
pp.23-00085, (Released:2023-10-14)
参考文献数
53

Since the early phase of the coronavirus disease 2019 (COVID-19) pandemic, a number of research institutes have been sequencing and sharing high-quality severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) genomes to trace the route of infection in Japan. To provide insight into the spread of COVID-19, we developed a web platform named SARS-CoV-2 HaploGraph to visualize the emergence timing and geographical transmission of SARS-CoV-2 haplotypes. Using data from the GISAID EpiCoV database as of June 4, 2022, we created a haplotype naming system by determining the ancestral haplotype for each epidemic wave and showed prefecture- or region-specific haplotypes in each of four waves in Japan. The SARS-CoV-2 HaploGraph allows for interactive tracking of virus evolution and of geographical prevalence of haplotypes, and aids in developing effective public health control strategies during the global pandemic. The code and the data used for this study are publicly available at: https://github.com/ktym/covid19/.
著者
太田 洋一 高嶋 渉 池田 祐介 貴嶋 孝太 村田 正洋
出版者
日本トレーニング科学会
雑誌
トレーニング科学 (ISSN:13494414)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.177-195, 2011 (Released:2013-04-12)
参考文献数
13

本研究の目的は,自転車競技におけるレース分析から,速度変化,クランク回転数変化およびギア比と記録との関係を明らかし,トレーニングおよびコーチングへの示唆を得ることである.分析対象者は第10 回チャレジ・ザ・オリンピックの200mFTT, 250mTT, 500mTT, 1kmTT, 4kmTT に参加した選手計177 名である.レース中の自転車及び選手の全景をパンニング撮影し,走行速度,クランク回転数およびギア比を撮影動画から算出した.200mFTT,250mTT, 500mTT, 1kmTT においては,レース中の最高速度およびスタート区間速度が記録に強く影響する要因であった.一方,4kmTT ではレース中の速度低下量の小さい選手ほど記録が良いことが示された.また,200mFTT,500mTT, 1kmTT においては,ギア比と記録との間に有意な負の相関関係が認められた.以上のことから,200mFTT, 250mTT, 500mTT, 1kmTT においては,スタート区間速度および最高速度を高めるトレーニングが重要であり,4kmTT では高い速度を維持できる能力を高めることが重要であると示唆された.
著者
高橋 邦彦 星野 庸二 徳丸 雅一
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.619-622_1, 1992-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
5

オレンジを摂取した乳児の顔や首筋が赤くなったという消費者からの苦情があり, 検査したところ苦情品から約0.5%のエタノールが検出された. そこで, 果実中のエタノール含有量の実態調査を行った. 11種の果実の117検体のエタノール含有量を調査したところ, 9種97検体から検出された. 検出量はオレンジを除き, 他の果実はほとんど0.15%以下であった. オレンジは27検体調査したが, 最小0.01%, 最大0.71%, 平均で0.13%であり, なかには高い濃度 (0.21, 0.31, 0.71%) が検出されたものがあった.
著者
苅部 直
出版者
公益財団法人 日本学術協力財団
雑誌
学術の動向 (ISSN:13423363)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1_10-1_12, 2017-01-01 (Released:2017-05-07)
著者
尾田 高志
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.109, no.5, pp.903-909, 2020-05-10 (Released:2021-05-10)
参考文献数
10

近年,感染に伴う腎炎の疫学に大きな変化がみられ,小児期の溶連菌感染後急性糸球体腎炎(poststreptococcal acute glomerulonephritis:PSAGN)が減少し,合併症を伴う高齢者の腎炎が増加してきた.このような症例は,腎炎発症時に感染が終息せず進行中であるため,感染関連糸球体腎炎(infection-related glomerulonephritis:IRGN)と総称されるようになった.IRGNの診断は時に難しく,これは高齢者の不顕性感染症がしばしば把握困難であることに起因する.溶連菌由来の腎炎惹起性因子NAPlr(nephritis-associated plasmin receptor)は,PSAGNのみでなく,各種IRGNで糸球体内に陽性になることから,IRGN全般のマーカーとして診断上の有用性が注目される.
著者
片桐 正敏
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.97-106, 2014 (Released:2015-11-19)
参考文献数
77
被引用文献数
5 1

自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder, ASD)の知覚・認知特性の中には、定型発達者よりも優れるものも存在する。特にASDのある人がもつ細部への注意処理、部分処理特性は、対人相互交渉では不利に働く可能性がある一方で、膨大な視覚情報の入力を管理し、調整する適応メカニズムともいえる。本論では、ASDの部分処理特性について、最新の研究動向も踏まえてどのような議論が行われているかを概観し、部分処理特性の代償的側面と療育や支援の方向性について論じた。ASDにみられる部分処理特性は全体処理とは独立したメカニズムであるという近年の知見から、部分処理特性を伸ばすことは社会性を損なうことにはつながらず、むしろ部分処理の適応的側面にも注目すべきであることが示唆された。加えて、部分から全体への切り替えの問題に対処することが支援において重要であり、ひとつの方法として模倣を用いた療育の可能性を示した。
著者
松宮 邑子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.47-71, 2019 (Released:2022-09-28)
参考文献数
53
被引用文献数
6 1

本稿では,体制移行後のウランバートルで転入人口の増加とともに拡大した居住地「ゲル地区」を対象に,ゲル地区という住まい空間が形成され拡大していくマクロな過程を,居住者個々の移住・移動・定着というミクロな実践から描き出す.ゲル地区の形成は,遊牧生活に由来する住居「ゲル」,所有権を付与された広い土地,親族関係の紐帯に基づく居住地移動によって担われてきた.これを象徴するのが,移住や移動において活発に実践される親族のハシャー(居住区画)での一時的なゲル居住である.ゲル地区は,居住者が自らのハシャーを取得していく過程で外縁部へと拡大すると同時に,内部において固定的な家屋が建設されることで恒久化が進む.さらに居住者は,自らが定着を進める過程で新たなゲル居住者を受け入れていく.ハシャーという個々の空間につねに定住性と遊動性を有しながら,居住地としての恒常性を獲得してきた点に,ゲル地区という住まい空間の固有性が見出せる.
著者
富田俊基
出版者
野村総合研究所
雑誌
知的資産創造
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, 2005-04
著者
橋本 亮太 安田 由華 大井 一高 福本 素由己 山森 英長 武田 雅俊
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.69-75, 2010 (Released:2017-02-16)
参考文献数
17

自閉性障害やアスペルガー障害などの広汎性発達障害は,対人的相互作用の質的な障害,コミ ュニケーションの質的な障害,限定された反復的で常同的な行動・興味・活動などによって特徴づけられるものである。広汎性発達障害は,遺伝因子と環境因子との相互作用が重要な役割を果たしている多因子疾患と考えられている。しかし,広汎性発達障害の一卵性双生児における一致率は,60-90 %といわれており,統合失調症の約 50 %と比較して遺伝因子が強く,その遺伝率は,90 %とされている。遺伝因子の研究では,自閉症スペクトラム障害関連症候群,連鎖解析,関連解析,染色体異常と CNV(コピー数変異)解析,遺伝子発現解析,中間表現型解析がなされており,これらの解析技術の進歩が著しい。 その結果,2003 年にX染色体上にある Neuroligin3 と Neuroligin4 遺伝子が自閉症の原因遺伝子として報告され,続いて 2006 年に 22 番染色体上の SHANK3 遺伝子が報告された。さらに,新たにできたDNA の変異のうち CNV(copy number variant)と呼ばれるゲノムの一部の領域の欠失や重複が,孤発性の自閉症では多いことが報告された。2008 年には,この CNV の全ゲノムサーチにより,2 番染色体の Neurexin 遺伝子が関連することが見出され,興味深いことに,Neuroligin と相互作用することから注目を浴びている。これらの遺伝子群は,すべてシナプスにて機能する分子であり,広汎性発達障害では,シナプス機能の障害があることが示唆される。本稿では,広汎性発達障害の遺伝子研究の歴史と最新の知見に加えて,今後の方向性について概説したい。

6 0 0 0 OA 憲政之本義

著者
尾崎行雄 著
出版者
国民書院
巻号頁・発行日
1917
著者
杉浦 郁子
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.46, no.3, pp.73-90,222, 2002-02-28 (Released:2016-11-02)

Since Saitama Medical University applied to carry out a sex reassignment surgery (so called "sex change surgery") in 1995, medicalization of "gender identity disorder" is actively encouraged in Japan. There has been a corresponding increase in number of treatises on this mental disorder published by specialists. By analyzing those professional discourses, I will illustrate how a domain of "the sexual" is socially constructed. The social constructionism has argued two important views: First, objects are produced in and through a series of linguistic practices of signification; second, some knowledge is cited/referred when the practices are intelligible. The question of how "the sexual" is constructed will not be limited to the work of showing the particular way of construction of "the sexual." I will also show how and what kind of knowledge is cited in the constructing process. Having learned constructionism from Judith Butler, this paper keeps the interest of describing gaps and fissures that are produced in the very process of the constructing practices. Those gaps and fissures are observed as logical discontinuity, and are taken as the possibility to change the hegemonic meaning of "the sexual." I hold the attention of its changeablity because I am anxious that the construct of "the sexual" by professionals becomes standard and legitimate knowledge. Examining carefully the practices, we will find cited knowledge there operates against not only other "sexual minorities" but also transsexuals themselves.
著者
下村 吉治
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.97-103, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
46
被引用文献数
2 2

分岐鎖アミノ酸(BCAA:ロイシン,イソロイシン,バリン)は,タンパク質の構成材料としてばかりでなく,タンパク質代謝および糖代謝を調節する生理作用の強い栄養因子であることが明らかにされつつある。よって,体内のBCAA 濃度の調節機構は種々の代謝を正常に保つために極めて重要である。体内には BCAA の分解系が存在するが,その分解系の調節がBCAA 濃度に影響を及ぼす。BCAA 分解系の律速は,その系の第2ステップに存在する分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素複合体(BCKDC)である。BCKDCは酵素タンパク質のリン酸化による活性調節を受けるが,そのリン酸化を触媒する酵素が分岐鎖α-ケト酸脱水素酵素キナーゼ(BDK)である。この総説では,著者等がおこなってきたBDK に関する酵素化学的研究,および種々の生理状態におけるBDK によるBCKDC 活性調節に関する研究を中心に紹介し,BCAA代謝調節機構を解説する。
著者
多氣 昌生
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.308-313, 2002-03-10 (Released:2009-02-05)
参考文献数
25

携帯電話の急速な普及により,世界の大多数の人々が電磁波に照射されるようになった.これに伴い,電磁波の安全性の再検討が必要になった.これまでの防護指針にはっきり疑問を投げかける研究があるわけではない.しかし,昨今のように,人体の近傍で電磁波に日常的にばく露される経験は人類の歴史上初めてのことである.工学と医学生物学の共同研究によって研究の信頼性が高まり,これまでの研究が見直されている.健康に大きなリスクはなさそうだが,しかし絶対に安全と証明することはできない.この不確かなリスクにどう対処したらよいか,さまざまな議論がある.無線通信の健全な発展のためには,このような研究も必要である.