著者
鈴木 健規 佐々木 嘉光 松浦 康治郎 小澤 太貴 榑林 学 高橋 正哲
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌 第28回東海北陸理学療法学術大会
巻号頁・発行日
pp.87, 2012 (Released:2013-01-10)

整形外科領域における体外衝撃波療法(ESWT)は、1988年にドイツで初めて偽関節に対する治療が行われ、1990年代には石灰沈着性腱板炎、上腕骨外上顆炎、足底腱膜炎などの難治性腱付着部症に対する除痛治療として、欧州を中心に普及してきた。本邦では難治性足底腱膜炎を適応症として2008年に厚生労働省の認可がおりて臨床使用が可能となり、当院では2011年10月に国内9台目となる整形外科用体外衝撃波疼痛治療装置を設置した。今回、足底腱膜炎に対しESWTを実施した症例を経験したので報告する。【方法】 〈体外衝撃波疼痛治療装置の概要〉 体外衝撃波疼痛治療装置は、ドルニエ社製Epos Ultraを使用した。電磁誘導方式で照射エネルギー流速密度は0.03~0.36 mj/㎜2と7段階に可変式である。照射方法は基本的に超音波ガイド下に正確に病変部(腱付着部)への照射を行う。Low energyより始めて徐々に出力を上げ、痛みの耐えられる最大エネルギーで照射を行う。当院では整形外科医師と理学療法士がチームとなり、Visual analogue scale(VAS)を、照射前、照射直後に測定した。〈症例〉 58歳男性、運動は週3回行っており、平成23年1月にジョギング中に右足底に疼痛出現。同年6月に100キロマラソンに2度出場した結果、疼痛増悪。近医受診し、右足底腱膜炎と診断され、ステロイド注射等の保存的治療を受けた。また、接骨院へも通院したが改善せず、同年11月ESWT希望し当院受診。平成24年3月までに5回実施した。自己管理型質問票により疼痛と活動制限レベルを4段階で示したRoles and Mausdley score(以下RM score)では、最も低い活動レベルのPoorであった。1回目を照射レベル3、総衝撃波数5,000発、総照射エネルギー396mj/㎜2で実施した。2回目以降、総衝撃波数を5,000発、総照射エネルギーを1,300mj/㎜2までとし、2回目を照射レベル5で実施。3~5回目を照射レベル6で実施した。【説明と同意】 ESWT実施前に期待される治療効果と副作用の報告について口頭および書面を用いて説明し、本人の同意を得た。【結果】 歩行時VASは、照射1回目の治療前42㎜、治療後26㎜。2回目は治療前10㎜、治療後9㎜。3回目は治療前10㎜、治療後4㎜、4回目は治療前10㎜、治療後2㎜、5回目は治療前0㎜であった。朝の1歩目のVASは1回目聴取できず、2回目17㎜、3回目10㎜、5回目14㎜であった。また、3回目以降では連続歩行可能となった。4回目以降は15㎞程度のランニングが可能となっている。最終的なRM scoreはGood(時折不快感)であった。【考察】 先行研究によると、足底腱膜炎に対する除痛効果は1回照射より複数回照射の方が除痛効果は持続するとされており、本症例においても同様の結果であった。今回、RM scoreでGoodとなったが、朝の1歩目の疼痛は残存した。足底腱膜へのストレスが増大する要因として下腿三頭筋の疲労による伸張性低下もそのひとつとして考えられるとされており、ESWT実施後、下腿三頭筋のストレッチを行うことで朝の1歩目の疼痛が軽減するか否かが今後の検討課題として挙げられた。【まとめ】 足底腱膜炎に体外衝撃波を行い、ランニング可能となった。
著者
吉川 博政 大石 正道 樋口 勝規
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.331-336, 1990-02-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
18

Two cases with severe cervical cellulitis which originated from the odontogenic infection were reported.Case 1 was a 48-year-old male who underwent extraction of the right lower third molar while it had acute infection. The inflammation promptly extended to the floor of the mouth, submandibular space and right cervical region.Case 2 was a 62-year-old male who had a past history of heart infarction. Although he had been receiving an antibiotic therapy for the apical periodontitis of the left lower second molar from his dentist, it soon progressed through parapharyngeal abscess to the bilateral cervical cellulitis and finally mediastinitis.The extended lesions of both cases could only be managed by wide ranges of curettage and drainage through extended incisions over the neck.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1749, pp.81-83, 2014-07-14

もとはまかない食だったという保昌の「牛バラ肉カレーご飯」。当初、常連客が酒と中華料理を楽しんだ後の裏メニューとして出していたが、次第に口コミで評判が広まり、正式メニューになった。 豆板醤を使ったコクのある辛さが最大の特徴だ。
著者
津野 丈彦 徳丸 隼平 小島 昌徳 木谷 洋輔 橋本 真也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.305-311, 2018 (Released:2018-10-03)
参考文献数
20

頭頸部同時化学放射線療法が引き起こす重篤な口腔咽頭粘膜炎に対する強オピオイド鎮痛薬は疼痛が改善したら速やかに終了すべきであるが,使用期間は患者個々で異なる.そこで,本研究では適正使用の観点から,頭頸部癌患者46例を対象に検討を行った.その結果,治療後の強オピオイド鎮痛薬の漸減期間中央値は30日であった.患者背景と強オピオイド鎮痛薬投与期間の関連を調べたところ,施行した化学療法によって有意差がみられ(TPF vs. S-1 vs. Cmab, 35.0 vs. 44.1 vs. 180.7, p≤0.001),セツキシマブ使用が強オピオイド鎮痛薬投与期間長期化の要因となることが示唆された.漸減の経過において身体依存やせん妄等の症状はみられなかった.患者背景把握や化学療法選択の段階から,強オピオイド鎮痛薬の使用が長期化する可能性について評価し,治療終了後の疼痛状況に応じて減量や中止を検討することが重要である.
著者
野村 恭子 中尾 睦宏 竹内 武昭 藤沼 康樹
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.619-625, 2005
参考文献数
20
被引用文献数
1

うつ状態の26歳男性にparoxetine 10mgを4カ月間投薬後, 家庭的・経済的理由により三環系抗うつ薬へ変更した.Paroxetine中止3〜4日後より衝動性, 易刺激性, 激越などが出現したが, うつ状態のコントロール不良が前景に立っていたため, SSRI退薬症候群の診断が困難であつた.患者は突然の症状に動揺し, 診察予約を無断キャンセルするなどその後の治療経過に難渋した.海外の疫学研究では, 同症候群は早期に自己寛解する経過良好の疾患群で, 希死念慮や投薬量について因果関係は検討されていなかつた.SSRIの投薬を中断する場合には, たとえ最低量の中断においても, 患者に予期される症状を十分に説明することが, 円滑な治療の継続のため重要であると考えられた.
著者
北川 卓史
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.115, 2005

_I_.はじめに.通信販売(以下通販)は,「距離の制約を越える」といわれ,19世紀アメリカで本格的に開始され,日本でも明治期にカタログ通販が展開するようになった.この通販には_丸1_宣伝広告,_丸2_受注,_丸3_商品配送,_丸4_代金決済の4つ機能が重要といわれている.これまで大規模な通販を行う事業者は,カタログやテレビといった広告媒体を使用した通販専門業者や,都市部の大型小売店などが目立った.また,郵政公社の「ふるさと小包」事業も見逃せない.しかし,消費者が実際に商品を手にとって選び,すぐに手に入れられないといった性質上,通販は商業全体から見ても傍流であるといわざるを得なかった._II_.インターネット通信販売の動向.インターネット通信販売は,広告媒体としてテレビやカタログを使用する場合と比較して,_丸1_検索機能による商品検索_丸2_商品の比較_丸3_在庫などの情報更新_丸4_24時間閲覧と注文,などが迅速かつ容易に行うことができ,事業者にも消費者にもその利便性が評価されている。『平成15年度電子商取引に関する実態・市場規模調査』によると,個人向け電子商取引(以下BtoC EC)の市場規模は4兆4240億円と推計されており,平成10年と比較して,約69倍に拡大している.これはドラッグストアやホームセンターなどの市場規模を越え,約7兆円規模のコンビニエンスストア市場に追いつく勢いである.この急成長に寄与したのは情報通信環境の整備が進行したためであろう。日本のインターネット世帯普及率は,50%以上であるといれており,都市部ほど普及率が高い.更にインターネット接続可能な携帯端末や常時接続サービスが広く普及している点も見逃せない.このように事業者も消費者も安価で手軽にインターネットを利用できるようになった.ただし,例えばインターネット上にホームページを作成する資本や能力に乏しかったり,作成できたとしても商品を並べただけでは集客にならない.実際BtoC ECを取り組む事業者数は約5万前後存在しており,そのうちで3万7千程度が従業員50名未満かEC売上高1億円未満の中小規模事業者であると推定されている.そのため,大多数を占める中小規模事業者は,インターネットショップ(以下ネットショップ)運営のシステムやノウハウをインターネットショッピングモールなどに出店することで,補完する事業者が多い.『インターネット白書2004』によるとネットショップを出店する事業者のうち約6割が,その第1店目を楽天市場のショッピングモールに出店している.楽天市場などでノウハウや顧客を掴んだ後,独立して自社独自のホームページを作成し,ネット通販を拡大する事業者も存在しており,インターネットショッピングモールが中小事業者のネット通販事業におけるインキュベーターの役割を果たしているという側面もみられる.また,商品配送機能や決済機能について言及すると,1980年代に全国津々浦々をカバーする個人向け宅配便ネットワークが完成した.さらに冷蔵・冷凍品への対応と航空機利用などにより配送時間の短縮が図られたため,生鮮食料品や花卉など劣化の早い商品も配送可能となり,通販取扱商品に幅が広がった.決済機能については,振込などだけでなく,運送会社による代金引換が重要である._III_.楽天市場について.1997年5月にインターネットショッピングモール事業を開始し,2005年6月時点で約11,000店が出店している.月平均注文件数は約150万件で,流通総額は月平均150ー200億円と言われている.
著者
山本 隆太 阪上 弘彬 泉 貴久 田中 岳人
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, 2017

1. 国際的な地理教育界におけるシステムアプローチ<br>国際地理学連合地理教育専門委員会(IGU-CGE)の地理教育国際憲章(IGU-CGE 1992)では,主題学習のカリキュラム編成原理としてシステマティックアプローチ(Systematic Approach)やシステムズアプローチ(Systems Approach)が示された。以後,地理教育にシステム論やシステム思考を導入するという考え方は世界に共通する地理教育論の一つとなっている。志村(2014)では,1970年にはすでに,IGU-CGEのローマ委員会が「空間システム的な環境&minus;人間関係」を地理教育として重視する方向性を示したことや,2000年頃の地理教育国際比較調査においてシステム思考が中等教育段階のカリキュラム編成原理の一つとなっていることが示されている。IGU-CGEのルツェルン宣言(大西2008)では,ESDを念頭に,自然,文化,社会,経済といった各圏・領域を包括的に扱う「人間-地球」エコシステム(Human-Earth ecosystem)の概念を地理教育として重視することを表明している。これに強く同調している国のひとつにドイツがある。ドイツでは地理教育スタンダードを2006年に公刊し,そこでシステムとしての空間を地理教育の中心的な目標として位置付けた(阪上2013)。また,この目標の下,地理教育システムコンピテンシーを開発し(山本2016),各州におけるカリキュラムに位置付ける動きがみられる(阪上・山本2017, 山本2016)。<br><br>2. 国内における地理教育システムアプローチの展開<br>ドイツの地理教育システムコンピテンシーは,「システム思考,ネットワーク思考ともいわれるシステム的な見方・考え方に基づき,ダイナミクス,複雑系,創発などのシステムの概念から地理的な事象や課題の構造と挙動を理解し,世界を観察・考察する教育/学習方法」と定義されている(山本2016)。この地理教育システムコンピテンシーに基づき,筆者らはシステムアプローチとしての授業実践を構想,実践した(実践一覧はhttps://geosysapp.jimdo.com/に記載)。なお,ドイツの定義に基づいて日本国内の教育実践を参照すると,例えば,鉄川(2013)では地理的事象を構造化するアプローチをとっている一方で,挙動については触れていない。システムアプローチの視座に立つと,地理授業においてすでに構造化については実践がなされている一方,挙動については課題があることが考えられる。<br><br>3. 授業実践事例 アラル海の縮小<br><br>アラル海の縮小を題材として,システムアプローチに基づく授業実践を行った。実践校は埼玉県内私立高校で,高校3年次の地理A(6時間)で実践を行った。授業は,(1)教科書や資料集を用いてアラル海の縮小に関する記述を理解する,(2)関係構造図(第1図)で問題の構造を解明する,(3)最悪シナリオ/持続可能な解決策を考えることで挙動を解明する,という展開で実践した。授業後,授業に関する生徒アンケートを実施した。<br><br>4.考察<br>システムアプローチを用いた実践では,持続可能な社会づくりを目指し,環境条件と人間の営みとの関わりに着目して現代の地理的な諸課題を考察する科目的特徴を具体化できることがわかった。また,関係構造図を用いることで,生徒自ら自分自身の思考を可視化できた。<br>
著者
上野 敏孝
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.593-598, 1997

ここ数年、鹿児島市では1840年代誕生の石橋群を守る運動が繰り広げられた。「治水」事業として、西田橋などの多連アーチが撤表され、同時代の海頭工太鼓橋が今や風前の灯火である.ことの本質は災害対策での、川の三面側溝化・直線化にある。川の直線化で水質が悪化し、人間を含む生態系が衰退しないのか。本稿ではかっての水循環システムの復活をめぐり、治水・文化・環境など、多様な側面を論じたい。
著者
新關 良三
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理研究 (ISSN:18841066)
巻号頁・発行日
vol.13, no.75, pp.265-291, 1918-03-01 (Released:2010-07-16)
参考文献数
2
著者
花岡 悟一郎 大畑 幸矢 松田 隆宏 縫田 光司 ATTRAPADUNG Nuttapong
出版者
国立研究開発法人 産業技術総合研究所
雑誌
Synthesiology (ISSN:18826229)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.93-104, 2014 (Released:2014-08-27)
参考文献数
20

この論文では新たに設計される高機能暗号技術が提供する機能や安全性について第三者が理解することが容易でないことが同技術を実社会へ導入する際の大きな障壁となっていることを指摘し、それを軽減するための設計思想について議論を行う。そのような高機能暗号技術の例として代理再暗号化技術を取り上げ、提案する設計手法によってそのような障壁が軽減されていることを論ずる。
著者
Satoshi Suda Yuki Sakamoto Seiji Okubo Junya Aoki Takashi Shimoyama Takuya Kanamaru Kentaro Suzuki Akihito Kutsuna Noriko Matsumoto Chikako Nito Yasuhiro Nishiyama Masahiro Mishina Kazumi Kimura
出版者
The Japanese Circulation Society
雑誌
Circulation Journal (ISSN:13469843)
巻号頁・発行日
vol.82, no.10, pp.2647-2654, 2018-09-25 (Released:2018-09-25)
参考文献数
22
被引用文献数
1 7

Background: This study investigated changes in anticoagulant use, treatment, and functional outcomes in acute ischemic stroke (AIS) patients with non-valvular atrial fibrillation (NVAF) over a 6-year period. Methods and Results: Patients with AIS and NVAF admitted to our department from April 2011 to March 2017 were analyzed retrospectively. Patients were divided into 3 groups based on the time of the initial visit (Periods 1–3, corresponding to April 2011–March 2013, April 2013–March 2015, and April 2015–March 2017, respectively). Associations between prescribed medication prior to event and stroke severity, reperfusion therapy, and outcomes were assessed. There was no significant change in the rate of insufficient warfarin and inappropriately lowered doses of direct oral anticoagulant (DOAC) treatment over time. The number of patients receiving prior DOAC treatment increased, but neurological severity on admission was milder than in the other 2 groups. The rate of reperfusion therapy increased from 19.9% (Period 1) to 42.7% (Period 3) for moderate-to-severe stroke patients. Multivariate logistic regression analysis revealed that reperfusion therapy was independently positively associated with good functional outcomes, but negatively associated with mortality (odds ratios [95% confidence intervals] 7.14 [3.34–15.29] and 0.13 [0.008–0.69], respectively). Conclusions: Inappropriate anticoagulant use for stroke patients with NVAF did not decrease over time. An increase in reperfusion therapy was a strong factor in improved functional outcomes and mortality.