著者
山崎 丈史 東 昌輝 マルコン シャンドル 前川 聡
雑誌
研究報告ヒューマンコンピュータインタラクション(HCI)
巻号頁・発行日
vol.2012-HCI-147, no.22, pp.1-4, 2012-03-14

The new optical device ‘DCRA’ can display floating images in free air1). The images are undistorted and can be observed at close range from different angles, thus they are suitable for hands-on interaction. However, the current device allows only small images and movement of objects can be difficult to recognize. It is known that combining sound with vision can enhance position sensing. We have investigated ways to place aerial sound sources inside the floating images, and developed a system using parametric speakers as a virtual aerial sound source. Our tests confirm that human position recognition is effective with this system.
著者
入口 亮介 渡辺 澄夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.588, pp.103-108, 2007-03-07
参考文献数
7

ニューラルネットワーク、混合正規分布、ベイズネットワーク、隠れマルコフモデル、ボルツマンマシン等の学習モデルは特異モデルと呼ばれ、パターン認識、時系列予測、システム制御等の様々な実問題に応用されている。しかしながらこれらの学習モデルは、階層的な構造や対称性に起因する特異点を持つため、最尤推定量が漸近正規性を持たない。そのため、従来の統計的正則モデルの漸近理論を適用することができず、理論的に最適なモデル選択や設計を行うためには代数幾何学的手法を用いた解析が必要となる。学習モデルの代数幾何学的な解析には、ブローアップによって学習モデルのゼータ関数の極を求める必要があるが、複雑なモデルになると困難である。本論文では、数値計算によりゼータ関数の極を求める新たな手法を提案する。
著者
村岡 裕由 野田 響 廣田 湖美 小泉 博
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.345-355, 2007-11-30 (Released:2016-09-16)
参考文献数
41
被引用文献数
2

植物の生理生態学が取り組んできた主要な課題の一つは、光合成に必要な資源の獲得と利用を司る形態的機能、および生理的機能と生育環境との関係を明らかにすることである。様々な種について、与えられた生育環境におけるこれらの機能の効率性や変動環境に対する可塑性に着目して研究することにより、個体の成長と物理的環境との関係を作るメカニズム、個体群や群落の中での個体の振る舞いとその適応的意義、さらに群落の維持・更新過程のメカニズムなど、個体から群落、生態系に至るまで、様々なスケールでの生態現象の解明が進められてきた。植物生理生態学の視点は、大気中の二酸化炭素(CO_2)濃度の上昇や温暖化などの環境変動が生態系に及ぼす影響、または生態系の反応の理解においても重要な役割を果たす。生態系の炭素シーケストレーション機能は、その生態系を特徴付ける植物の生理生態的特性に依存するため、CO_2フラックス観測結果の解析や炭素収支のモデルシミュレーション解析における植物生理生態学的視点と知見の貢献は大きい。また、数十m四方から流域、地域、地球スケールでの生態系観測に有効なツールであるリモートセンシングの解析精度の向上には、葉群をなす個葉の生理的特性に加えて樹形や葉群構造への着目が大きく寄与することが新たにわかってきた。本稿では、筆者らが取り組んできた研究を紹介しながら、植物の光合成生産に関わる生理生態学的特性が個体から生態系スケールでの生態現象に果たす役割について考えてみる。
著者
Yuko AKUNE Mitsuru OKIYAMA Suminori TOKUNAGA
出版者
JARQ編集委員会
雑誌
Japan Agricultural Research Quarterly: JARQ (ISSN:00213551)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.127-133, 2015-04-01 (Released:2015-05-15)
参考文献数
11
被引用文献数
2 8

This paper uses the dynamic computable general equilibrium (DCGE) model to evaluate the economic impact of technologies developed to foster adaptation to climate change in domestic rice production, related food industries, and economic welfare in Japan, where high temperatures in 2010 led to rice quality deteriorating and other serious problems over and above a mere decline in output. Three scenarios were simulated: one without temperature change, one with temperature change but rice cultivars unchanged, and one with both an increase in temperature and the adoption of high temperature-tolerant rice varieties. Our simulations indicate that new rice cultivars with high temperature tolerance would reduce economic welfare losses from 264 to 118 billion yen during the simulation period. Paddy-rice farming production increased because product prices increased. Farming inputs also rose correspondingly, triggering an increase in agricultural land rents. Non-agricultural household and small-scale paddy rice-growing household suffered welfare loss. Conversely, medium- and large-scale paddy rice-growing and other farming households saw their welfare boosted. These differences were attributable to the impact of changes in agricultural land rents to their total income. All impacts, not only on economic welfare but also production in the case with new cultivars of high temperature-tolerant rice were smaller than in the those without such cultivars, which indicates that adopting new adaptive technologies eases the economic impact of a warmer climate.
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1753, pp.42-46, 2014-08-11

政府が大きな方針転換をしないとすれば、政投銀は今後、どこへ向かおうとしているのか。柳正憲・政投銀副社長は消防団に例える。「火消しを本業とする消防署とは違い、普段は別の仕事をしている」からだ。 柳氏は政投銀の役割を3つに分ける。
著者
大瀧 雅之
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.141-159, 2006-01-31

本稿では日本政策投資銀行(以下政投銀と略)を例として公的金融の役割と民営化問題について考察した.特に政投銀の情報生産能力に注目した.これについては,多くの実証研究が.政投銀が民間銀行の融資を引出すという,いわゆる「カウベル効果」の存在を認めている.すなわち政投銀の審査情報を利用し民間銀行も協調融資すると考えられている.政投銀の情報生産能力の淵源は日本政策投資銀行法にある「中立性」と「公共性」にあると考えられる.どの企業グループにも属さないという「中立性」は,借り手に安心感を与え,融資に当たっての情報収集を容易にする.ところで協調融資は,「クラブ財」と見なせる.融資に関する情報を生産提供するのが政投銀(クラブ)であってこれを共有し使用するのが民間銀行であると考えるわけである.そして政投銀の利潤を「クラブ」の使用料と捉える.このとき利潤極大化ではなく収支相償を前提とする「公共性」は,情報生産の本来の目的である民間銀行(「クラブ員」)の共同利潤を最大化できるという意味で優れている.
著者
金沢 敬
出版者
日本地図学会
雑誌
地図 (ISSN:00094897)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.1-7, 1966-09-30 (Released:2011-07-19)
著者
松下 浩一
出版者
日本万国家禽学会
雑誌
日本家禽学会誌 (ISSN:00290254)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.J8-15, 2015-04

山梨県は南の富士山に代表されるように,西に北岳や間ノ岳,北に八ヶ岳など標高の高い山がそびえており,かつ八方を山に囲まれていることから,その斜面を利用した果樹生産が盛んな地域である。甲府盆地は8月に気温が40℃になったと思えば,11月には氷点下を記録するという寒暖差の激しい地域である。そのため家畜を飼育する環境としては決して恵まれた地域ではない。そのような地域での養鶏産業といえば,採卵鶏は30戸足らずで約62万羽,肉用鶏はブロイラーだけでなく,甲州地どりや甲州頬落鶏などの特産鶏の生産を含めても20戸にも満たない状況である。このように決して養鶏が地域の主産業になっているわけではないものの,それぞれの養鶏農家が高い意識をもって経営に取り組んでいる。畜産試験場も養鶏科は技術面で,畜産普及科は経営面で養鶏農家をバックアップすべく農家との交流を頻繁にするように心がけており,良好な関係を維持している。一方,高病原性鳥インフルエンザの発生に伴って,衛生面を重視する必要から農場間の行き来は少なくなったものの,電話を使ってさまざまな要望が出されてくる。これを解決するために,基礎研究をベースに応用研究として極力農家の生産形態に近い状況で飼育することを心がけている。研究内容は品種改良や飼養管理から飼料栄養に至るまで実施しているが,中でも飼料栄養の調整による技術は農家レベルで実用化されやすく,成果発表会などでも反応が良い。本内容は,生産性向上や品質向上を目的に,飼料栄養の調整により実施した研究のうち,山梨県内を中心に農家レベルで実用化された技術の一部について紹介するものである。
著者
吉見 憲二 樋口 清秀
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.69-81, 2012-03-31 (Released:2016-11-30)

In the present study, it paid attention to the word of mouth marketing guideline that The Word of Mouth Japan Marketing Association had announced on March 12, 2010. And, examined how this guideline had effectiveness. Firstly, the definition and the previous work about the word of mouth marketing were confirmed. After that, picked up the guideline and analyzed cases that work or not. As a result, it reached the conclusion that the effect from the viewpoint of the consumer protection is limited. Finally, it paid attention to the case of penny auction. If stealth marketing is suspected, the guideline had not functioned effectively. As the reason, the guideline has stopped at moral regulation, and it was mentioned that things, such as a punitive clause or a research function, do not exist like U.S. regulation.
著者
窪薗 晴夫 梶 茂樹 岩田 礼 松森 晶子 新田 哲夫 李 連珠
出版者
大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究の目的は世界の諸言語(とりわけ韓国語諸方言、中国語諸方言、アフリカのバンツー諸語)と比較することにより類型論的観点から日本語諸方言のアクセントを考察し、その特質を明らかにすることである。この目的を達成するために年度ごとに重点テーマ(借用語のアクセント、疑問文のプロソディー、アクセント・トーンの中和、アクセント・トーンの変化)を設定し、それぞれのテーマについて諸言語、諸方言の構造・特徴を明らかにした。これらのテーマを議論するために4回の国際シンポジウムを開催し、海外の研究者とともに日本語のアクセント構造について考察するとともに、その成果をLingua特集号を含む国内外の研究誌に発表した。
著者
山中 一朗 仁科 健 三和 千里 阪口 仁寿 廣瀬 圭一 水野 明宏 吉田 幸代 矢田 匡 恩賀 陽平
出版者
日本脈管学会
雑誌
脈管学 (ISSN:03871126)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.59-64, 2016 (Released:2016-06-10)
参考文献数
11
被引用文献数
4

大動脈食道瘻(AEF)に対する治療戦略を示す。最近10 年に経験したAEF は5 例。1)食道抜去と頸部食道・胃瘻増設。2)感染大動脈に対する人工血管置換術。3)感染治癒,体力回復を待って食道再建という段階的手術を基本方針とした。80 歳以上の2 例が病院死した。死因は脳梗塞と感染再発。他の3 例は再発なく良好。AEF は早期に診断して可及的に治療介入し,段階的手術を行うことで予後の改善が期待できる。
著者
池田 幸弘
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.700-701, 2015

鶴橋の焼肉で腹ごしらえを済ませ,近鉄大阪線青山町行きの急行に乗車した.50分ほど乗っただろうか,ずいぶん山深いところまで来た.榛原で下車すると,ちょうど大宇陀行きのバスが待ち構えているかのように停車しており,乗車して20分ほどで終着の大宇陀に到着した.
著者
小浜 耕己
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.277, pp.84-87, 2016-05

Episode 8小浜 耕己あらすじニッケイIT社生え抜きの津川PMが、またもやニッケイインダストリー社の総務部の嶋森と言い争っています。要員不足を理由に、津川は嶋森が持ち掛けた機能追加の要望を退けているのです。歩み寄ることなく反目し合う2人を見比べている…
著者
立入 正之 タチイリ マサユキ Masayuki TACHIIRI
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要 = Shizuoka University of Art and Culture bulletin
巻号頁・発行日
vol.16, pp.79-84, 2016-03-31

ウィレム・デ・クーニングは、アメリカ抽象表現主義の旗手として、戦後アメリカのみならず20世紀後半を代表する芸術家の1人である。デ・クーニングは生涯に数多くの女性像を描いたが、1950~55年のいわゆる『女シリーズ』の女性像は、ひとたび抽象絵画を経験した画家の作品だけに、1940~45年に制作された初期女性像とは明確な違いがある。それはデ・クーニングという1人の芸術家の人間的成長ということでは片づけられない問題を含んでいる。本稿は、代表作《女Ⅰ》に焦点を当て、変形の問題、イコノロジー的な意味、画家自身の言葉などを分析し、『女シリーズ』のもっている意味を、デ・クーニングの抽象絵画体験との関連において考察しようとするものである。Willem de Kooning is considered as one of the great inventors of forms of twentieth century, and the fascination his drawings present, apart from their intrinsic qualities, is their revelation of this part of the creative act. De Kooning had always had a change of ainting style, probing creativity, pushing on from one style to the next style. The battle between figuration and abstraction was essential to his art as he had moved from black form to white color of the 1940s to the ferocious Woman Series of the 1950s, through the landscapes and lyrical abstractions. This thesis intends to reconsider the significance of woman series, especially "Woman I".