著者
王 珏
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.57-64, 2022-01-07 (Released:2022-01-07)
参考文献数
34

消費者の認知,感情,行動に広く影響を与える重要な心理状態を示す概念として,勢力感という概念がある。近年,消費者勢力感の影響に関する研究が徐々に増えてきている。しかしながら,当該領域全体の俯瞰的なレビュー論文はまだ存在しない。そのゆえ,消費者勢力感に関する既存研究の知見を整理し,今後の研究課題を明らかにすることは重要なことである。本稿は,消費者勢力感に関する既存研究を(1)勢力感と補償的消費,(2)勢力感と広告コミュニケーション効果,(3)勢力感と観光,(4)勢力感とSDGs,(5)勢力感と社会的過密という5つの研究潮流に分けて概観する。その結果,今後の研究課題として,(a)補償的WOMの検討,(b)広告の掲載場所と広告の視覚的要素への注目,(c)過密環境セッティングの多様性の探究を抽出する。
著者
長尾 悠里
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.70, no.2, pp.233-251, 2018 (Released:2018-07-02)
参考文献数
19

少子化傾向にあるなか,学校統合が課題となっている。学校は教育を施す機能だけでなく,校区住民に活動場所や交流の機会を与える機能や,校区の象徴としての機能を持つ。そのため,学校統合によって校区社会に大きな影響が及ぶと指摘されている。しかし,その中でも学校の持つ象徴性に関する分析はこれまで十分になされていない。そこで本稿では,公立学校が立地しない地域である埼玉県秩父市大滝地区において,学校の持つ機能に着目して小学校の消失過程を分析し,学校統合に関する従来の研究枠組みを再考した。その結果,大滝地区では人口減少や産業不振,ダム建設に伴う校区への諦めから,将来性の欠如した校区で小学校統合に反対しても仕方がないという考えが生じ,小学校統合が消極的に支持されたことが判明した。加えて,小学校統合に伴い校区内の子どもや若年層の存在を感じられる場所が消失し,将来性の欠如が可視化され,諦めが強まる可能性があることも明らかとなった。ここから,小学校の存否と校区の将来性の認識との間には密接な関連があることが示唆され,小学校は校区の「将来性の」象徴としての機能を持つと考えられる。そして,校区の将来性の認識の有無によって,学校統合に関する住民間の対立構造が変化し得ることが指摘できる。
著者
吉田 勲 河野 洋 宇田 毅 岡崎 耕三
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.127-131,a1, 1988-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
6

両眼立体視カメラモデルから得られる画縁処理による体積測定法の開発を目的とした。これは画像の二次元情報からもとの三次元座標の復元を行い, これに基づいて体積を算出する手法である。三次元座標は三角測量の原理から求める。また, 解析の際に左右画像上の対応点を相関法に決定する。でき上がった多面体を三角形に自動分割し, 物体を近似した。この画像処理による体積測定プログラムの開発により従来の土木計測技術に比べて, 能率よく, コストも低くなるものと考えられる。また, 土木以外にも幅広い応用が可能となる。
著者
遠藤 正之 仁科 良 呉 瓊
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.5, pp.986-993, 2008 (Released:2012-08-02)
参考文献数
2

腎生検組織標本は光学顕微鏡,蛍光抗体法,電子顕微鏡の3種類で観察する事が必要であり,なるべく薄く切られた切片で観察する事が重要である.糸球体疾患は病理組織診断にて確定診断が下され,患者の腎機能予後の推定ならびに治療方針の決定がなされる.本稿では,腎生検標本の標準的な染色とその特徴,標本を観察する上で必要な基本的病変の定義,比較的頻度が高い腎疾患の組織像と,典型的病理像を示す疾患について概説した.
著者
Hidekazu Nishimura Michiko Okamoto Isolde Dapat Masanori Katsumi Hitoshi Oshitani
出版者
National Institute of Infectious Diseases, Japanese Journal of Infectious Diseases Editorial Committee
雑誌
Japanese Journal of Infectious Diseases (ISSN:13446304)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.421-423, 2021-09-30 (Released:2021-09-22)
参考文献数
8
被引用文献数
1 25

Green tea extracts effectively inactivated severe acute respiratory syndrome coronavirus 2 (SARS-CoV-2) in vitro in a dose-dependent manner. Ten-fold serially diluted solutions of catechin mixture reagent from green tea were mixed with the viral culture fluid at a volume ratio of 9:1, respectively, and incubated at room temperature for 5 min. The solution of 10 mg/mL catechin reagent reduced the viral titer by 4.2 log and 1.0 mg/mL solution by one log. Pre-infection treatment of cells with the reagent alone did not affect viral growth. In addition, cells treated with only the reagent were assayed for host cell viability using the WST-8 system, and almost no host cell damage by the treatment was observed. These findings suggested that the direct treatment of virus with the reagent before inoculation decreased the viral activity and that catechins might have the potential to suppress SARSCoV-2 infection.
著者
磯本 善男
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.106, pp.82-89, 2017-05-31 (Released:2017-09-22)

2015年11月30日から12月2日にかけて,灰色文献の国際会議であるGL17とGreyForum4.1が開催された。従来のテキスト型だけでなく,研究データや視聴覚資料,ソーシャルメディア等,様々な形態の灰色文献に関する報告が行われた。現在日本でも活発になりつつあるオープンサイエンスの議論にも有用と思われる,世界の灰色文献の最新動向を紹介する。
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.81, no.6, pp.511-516, 2015-06-05 (Released:2015-06-05)
参考文献数
2
著者
白石 順二 宇都宮 あかね
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.53, no.6, pp.691-698, 1997-06-20 (Released:2017-06-29)
参考文献数
6
被引用文献数
15 11

Several methods of testing statistically significant differences were used to evaluate the usefulness of one diagnostic imaging system compared with any other imaging system using ROC analysis. Comparison of usefulness between conventional methods such as the two-tailed paired t-test and 95% confidence intervals, and Jackknife method for ROC analysis, which was reported a few years ago, were investigated with actual two experimental results from ROC studies. From the testing results, it was considered that conventional methods reguire large numbers of readers in order to improve the reliability of statistically significant test differenxes between the two imaging systems. When determining differences between two kinds of imaging modalities, the use of the Jackknife method was better than conventional methods in terms of the reliability of test results, because conventional methods do not consider variances between readers and case samples.
著者
佐々木 恒臣 門野 雅夫 菅原 剛太郎 寺田 雅生
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.337-344, 1967 (Released:2010-07-23)
参考文献数
61

A 7 years and 8 months old boy with precocious development of secondary sex characteristics and well developed external genitalia was presented. The urinary excretion of gonadotropin, 17-KS, 17-OHCS and estrogen were under 6muu/day, 3.1-2.18mg/day, 3.28mg/day and 9.0μg/day, respectively. The pneumoencephalographic and electroencephalographic examination revealed no abnormality. Testicular biopsy specimen demonstrated well developed spermatogenesis. From the results above mentioned it was noted that the diagnosis of the patient was an idiopathic precocious puberty.
著者
大毛利 健治
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.91, no.4, pp.230-234, 2022-04-01 (Released:2022-04-01)
参考文献数
10

電子デバイス向け電気特性評価の環境構築と,少し高度な電気的雑音について「計測」と「除去」という観点から解説します.また,計測自動化や極低温環境に関して,トランジスタや不揮発性メモリにおける雑音計測の具体例を示しながら紹介します.
著者
飯野 久和 青木 萌 重野 千奈美 西牟田 みち代 寺原 正樹 粂 晃智 水本 憲司 溝口 智奈弥 小泉 明子 竹田 麻理子 尾﨑 悟 佐々木 一 内田 勝幸 伊藤 裕之
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.71, no.4, pp.171-184, 2013 (Released:2013-09-11)
参考文献数
44
被引用文献数
2 3

【目的】プロバイオティクスを添加していないブルガリアヨーグルトの整腸作用を調べるため,ブルガリアヨーグルトの摂取による糞便中ビフィズス菌増加作用をランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験で評価する。【方法】女子学生62名をヨーグルト摂取群(ブルガリアヨーグルトを摂取する群)と酸乳摂取群(ヨーグルトと同じ乳成分からなる乳飲料に乳酸を加えてヨーグルトと同じpHとした酸性乳飲料を摂取する群)に分けた。両群ともに摂取前観察期(2週間),ブルガリアヨーグルトまたは酸乳を1日 100 ml摂取する摂取期(4週間:前半2週間,後半2週間),摂取後観察期(2週間)を設け,糞便中の腸内細菌叢の解析を2週間毎に行い,糞便中ビフィズス菌数を調べた。【結果】試験の除外対象者(過敏性腸症候群様の者,抗生剤の使用者等)および脱落者を除いた女子学生(ヨーグルト摂取群が20名,酸乳摂取群が25名)を評価対象として統計解析した。試験食品を4週間摂取した際の糞便中ビフィズス菌の生菌数は,酸乳摂取群に比較してヨーグルト摂取群が有意に高値となった。【結論】以上の結果より,ブルガリアヨーグルトの摂取によって糞便中ビフィズス菌数が増加し,腸内細菌叢が改善されることが示された。
著者
深谷 芽吏 鈴木 綾香 船津 太一朗 松島 友二 八島 章博 長野 孝俊 五味 一博
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.27-37, 2020-03-31 (Released:2020-03-28)
参考文献数
28

歯科用CT装置(CBCT)は,診断に必要な部位とその周囲組織の3次元的形態を評価できるだけでなく,指定した部位からの距離や角度の計測も可能である。デンタルX線写真などから推測した骨欠損形態は,実際の骨欠損状態とは異なる場合がある。特に歯周組織再生療法を行う場合,事前に正確な骨欠損状態を把握しておくことは手術の成功に大きく係わる。そこで当講座では,歯周組織再生療法を予定する患者に対しCBCTの撮影を行い,さらに3Dプリンターで模型を作製し,事前に歯周組織再生療法のカンファレンスを行うことを義務づけている。本症例報告は,当講座における歯周組織再生療法のカンファレンスの流れと,実際に行った2症例について報告する。本症例は,検査所見にて垂直性骨欠損を確認した。その後,手術予定部位のCBCT画像,3次元模型,臨床データを基に術前カンファレンスを行った。歯周組織再生療法時に比較したところ,3次元模型は実際の骨欠損形態をほぼ再現していた。歯周組織再生療法を予定している患者に対して,CBCT撮影及び3次元模型を作成することにより,手術部位の骨欠損形態を事前に把握することができ,手術前の十分な討論が可能となった。我々の取り組みにより,手術をより安全かつ効果的に行うことができると示された。また手術前に十分なカンファレンスを行うことは,若手歯科医師の育成,および患者への説明のツールとしても有用であった。
著者
戒野 敏浩 鈴木 智博
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2010年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.72, 2010 (Released:2010-11-15)

音楽市場における消費者ニーズの多様化とデジタル化の進展に伴い、ヒットの確率をあげる音楽マーケティングが求められている。しかし、既存の音楽ビジネスや楽曲そのものに関する研究は定性的なものが中心で、定量的な研究はあまり多くはない。本研究は、J-POP楽曲のヒット要因について感性情報処理による分析を試みる。具体的には、オリコン年鑑2007の邦楽売上ランキングにおける上位1位から1,000位までの楽曲について、楽曲のヒット要因と思われる感性ワードの形容詞対によるSD法に則った質問紙調査を行い、因子分析によるヒット曲の感性要因抽出を試みる。また、2人の実務家へのインタビュー調査を通じ、実務への活用の可能性について検証する。
著者
杉山 昌秀 青木 悠 篠原 佳祐 宮田 智陽 関口 展貴
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.512, 2018 (Released:2018-12-18)
参考文献数
4

潰瘍性大腸炎に対するタクロリムスの治療は,早期に高トラフ値に保つことの重要性が示唆されている。我々は添付文書より多い初期投与量で開始し,連日TDMによる用量調節を行なった2症例について検討を行なった。2症例とも10~15ng/mLの高トラフ域を維持されることで症状の改善が認められた。高トラフ域に入ったのが開始後9日目であり,添付文書の投与法と同程度の日数を要した。
著者
岡部 繁男
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学会年会要旨集 第95回日本薬理学会年会 (ISSN:24354953)
巻号頁・発行日
pp.1-SL03, 2022 (Released:2022-03-21)

生体内での神経回路の発達には、シナプスの形成、除去、再構築が正確に制御されていることが重要である。マウスの大脳皮質では、シナプスの動態に2つの段階があることが、2光子イメージングによって確認された。第1期(生後20日まで)では、シナプスのターンオーバーが高く維持され、第2期(生後3週間以降)では、シナプス動態が強く抑制され、大脳皮質の神経ネットワークとしての成熟が起こる。このようなシナプス動態の変遷は、神経発達障害や精神疾患の病態生理の背景にあると考えられているが、その正確なメカニズムはまだ明らかになっていない。私たちの研究室では、(1)神経回路やシナプス形成過程の多様なメカニズム、(2)シナプスの動的変化の過程での構造・機能連関、(3)脳疾患とシナプス機能障害の関係、に焦点を当てて研究を行っている。最近では、スパインシナプスの超微細構造を定量的に解析する方法や、スパイン内部の分子ダイナミクスを測定する方法など、神経回路を研究するための新しいツールを開発している。さらに、これらのツールは脳疾患の研究にも応用可能である。本講演では、これらの研究を紹介するとともに、精神疾患の病態をシナプス障害として理解することの妥当性と展望について議論したい。