著者
姜 聲敏 渡辺 順次
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

種々の新規バナナ型液晶分子をデザイン・合成し目的とする電場応答特性を有する液晶相を発見した。これらの応答性と約60°の屈曲角を持つ屈曲分子の配向制御との組み合わせで、面内で高速スイッチングが可能なディスプレイが期待できる。キュービック、カラムナー、バナナ液晶相を同時に有し、バナナ相のみならずカラムナー相においても強誘電応答が見られた。さらなる分子構造の最適化を行えば、キュービック相の電場応答も期待できる。強誘電相に加えて特異的ネマチック相を発見した。通常のネマチックと異なり、配向特性に加え長周期の位置の秩序を有する特性を見出した。ネマチック相のさらなる可能性を確認することができた。
著者
瀬尾 和大 栗田 勝実 山中 浩明 チャベス マリオ マルチン ラリアナ ヴィダル フランシスコ
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究は,これまで各々の地震国で独自に考えられていたサイスミック・マイクロゾネーションとその背景に存在する地震・地盤環境についての国際比較を試みることによって,それぞれの地域にとってより効果的な地震防災計画を共同で立案することを目的としている.以上の目的を達成するため,平成10年度から3年間に亘って実施した主要な研究内容は以下の通りである.(1)それぞれの地域において,地震・地盤環境を確認するために個別のフィールドワークを行い,地震活動度・想定地震の評価,地盤特性の評価,標準的な建物の振動特性評価などの項目について,サイスミック・マイクロゾネーションを実行した.それらの結果に基づく情報交換と議論は主として電子メールによって実施した.この間,エチオピア・スペイン・モロッコ・メキシコ・キューバにわが国から研究者を派遣し,各々の地域のフィールドワークを支援した.(2)毎年1回海外の研究分担者をわが国へ招聘し,研究内容の報告と意見交換のためのワークショップを開催した.招聘者は,F.ヴィダル(スペイン),L.マルチン(アメリカ),M.チャベス(メキシコ),B.ゴンザレス(キューバ),M.ハイレ(エチオピア),T.ムーラビ(モロッコ)等の研究分担者であり,平成12年度にはK.ベヤン(トルコ)も加わった.これらの会合には,同一研究分野の国内の研究者も多数参加して活発な討議を行い,異なる地域の異なる地震・地盤・建物の環境について理解が深められた.(3)研究期間内には各地で地震災害が発生したため,平成11年12月には台湾に,平成12年3月にはトルコに,また平成13年1月にはエルサルバドルに調査団を派遣し,本研究課題であるサイスミック・マイクロゾネーションについて現地調査を実施した.それらの研究成果は,地震被災国のサイスミック・マイクロゾネーション研究の基礎資料として還元された.
著者
鈴木 彌生子 國分 敦子 絵面 智宏 中山 和美
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.1-10, 2013-01-15 (Released:2013-02-28)
参考文献数
30
被引用文献数
2 2 3

本研究では,三陸産(45検体)·鳴門産(64検体)·中国(54検体)·韓国(46検体)において産地の明確な湯通し塩蔵ワカメを浜単位で入手し,炭素·窒素·酸素安定同位体比を用いて,産地判別の可能性を検証した.鳴門産については,炭素·窒素同位体比ともに,個体内変動·季節変動·地域変動が小さく,全般的に値が安定した傾向が見られた.また,鳴門産の窒素同位体比は10.7±1.1‰(平均値±標準偏差)となり,三陸産(1.4±1.9‰)·韓国産(0.5±1.6‰)·中国産(3.0±2.5‰)よりも有意に高い傾向が得られた.一部中国産については,炭素同位体比が低く,窒素同位体比が高くなる傾向が得られた.酸素同位体比は,韓国産が比較的高い値を示したが,日本·中国·韓国の平均値の差は2.1‰となり,地域差は小さかった.炭素·窒素同位体比の結果を用いて,鳴門産とその他(三陸·中国·韓国)の2群について判別分析を行った結果,判別関数を構築した試料について,正答率を計算すると,鳴門産は98.4% (64点中),その他産は99.4% (145点中)となった.交差検証法を用いて判別関数の精度を検証した結果,96.8%の鳴門産が正しく分類された.年変動といった検証が必要であるが,炭素·窒素同位体比によって,鳴門産を判別できる可能性が高いと考えられる.
著者
林 直人 樋口 弘行 吉野 惇郎 吉田 弘幸
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高性能両極性有機発光トランジスタの開発を目指し、電子供与性部位であるフラン環と、電子受容性部位であるピラジン環またはキノン環を併せもつ新規ヘテロ芳香族化合物を合成し、その構造物性評価を行った。フラン環については、縮環向きの異なる二種類の構造異性体を比較した。薄膜の結晶性が低かったために、合成した試料からなる薄膜の電荷移動度は低い値しか観測されなかったが、一方で予想外に高い固体蛍光量子収率を示した。これは、凝集誘起発光とよばれ、近年おおいに注目されている。この理由は、エキシマー蛍光の効率性の向上、ならびに結晶状態における分子運動の抑制ということに起因する。
著者
平安 恒幸
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、免疫レセプターと様々な病原体との相互作用を網羅的に調べた。その結果、活性化レセプターLILRA2が病原微生物によって破壊された抗体を認識し病原微生物に対して生体防御を行っていることが明らかとなった。この結果から、病原微生物は宿主の免疫から逃れるために様々な免疫逃避機構を進化させてきた一方で、宿主側は病原微生物による免疫逃避機構を検出し、生体防御に働くように進化して病原微生物に対抗してきたことが考えられる。
著者
喜田 聡 内田 周作
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.125, no.1, pp.17-24, 2005 (Released:2005-03-01)
参考文献数
12

情動行動は生命を維持するために生じる動物の本能的行動であり,外的・内的な様々な環境要因を反映して制御されると考えられる.我々は,核内受容体のリガンド結合ドメインをツールとして用いた遺伝子操作マウスの解析過程でヒントを得て,ステロイドホルモンや,ビタミンAの活性本体であるレチノイン酸などをリガンドとする一連の核内受容体群が情動行動制御に関わるのではないかと考え,この作業仮説を検討した.その結果,エストロゲン受容体,あるいは,レチノイン酸受容体のアゴニストを投与すると,マウスの不安行動が亢進すること,また,社会行動に変化が生じ,特に社会優勢度が上昇することが明らかとなった.さらに,野生型のエストロゲン受容体を前脳領域特異的に過剰発現するマウスを作製,解析したところ,過剰発現によってアゴニストを投与した場合とほぼ同様の効果が観察された.以上の点から,エストロゲンやレチノイン酸をリガンドとする核内受容体群が情動行動制御に関わっていること,さらに,生体内で恒常性維持に寄与するホルモンや必須栄養素が情動行動制御に関わる可能性が示唆された.
著者
増淵 勝一
出版者
立正女子大学短期大学部
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.16, pp.33-46, 1972-12 (Released:2012-01-18)
著者
増淵 勝一
出版者
立正女子大学短期大学部
雑誌
研究紀要
巻号頁・発行日
vol.18, pp.28-41, 1974-12 (Released:2012-01-18)
著者
鈴木 敦夫 李 明哲 佐々木 美裕 鵜飼 孝盛 大山 達雄 三浦 英俊 栗田 治 田口 東 稲川 敬介 小市 俊悟 古田 壮宏 鳥海 重喜 藤原 祥裕 高松 瑞代 田中 健一 腰塚 武志 石崎 文雄 伏見 正則 腰塚 武志
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

都市内の災害時の人の流動に関する総合的な研究として,本研究ではテーマを3つ設定した.1)交通ネットワークシステムの頑健性と効率性の評価:道路,鉄道,航空網それぞれについて,GISデータ,時刻表,交通量データを用いて頑健性と効率性の評価を行った.2)緊急時の都市内・都市間流動に関するモデル:過大な交通量が流れているときの鉄道の遅延を記述する数理モデルを開発した.また,都市内で早急な避難が必要なほどの重大な事故が発生したときの都市内経路の解析について研究を進展させている.3)コンパクトな都市空間の設計原理:鉄道網の発達が平面を時間的に縮小させる効果について数理的に分析した.
著者
土田 英俊 篠原 功 神原 周
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.824-827, 1963-06-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6
被引用文献数
3

スチレン- 四塩化炭素系のテロメリ化反応により, 重合度範囲3~400のオリゴスチレンを合成した。反応はAIBNを開始剤とし, 重合温度80および60℃で実施した。[CCl4]/[Styrene] が0.2~50の範囲, 温度80℃ では生成物の分子量は300>Pn>3となり,生成オリゴスチレンは一定の重合度分布を持つ帯電現象の著しい白色の粉末である。両末端の塩素定量値と氷点降下法で測定した平均重合度を比較して,生成物がα,α,α,ω-四塩化物であることを確かめた。氷点降下法による数平均分子量と25℃におけるベンゼン溶液の極限粘度を測定して, 次の関係式を得た。[η]=3.64×10-4M0.64これらの結果から必要とする平均重合度のオリゴスチレンを合成する条件が得られた。
著者
鬼塚 健一郎 星野 敏 橋本 禅 九鬼 康彰
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.26(第26回環境情報科学学術研究論文発表会)
巻号頁・発行日
pp.137-142, 2012-11-26 (Released:2014-09-20)
参考文献数
8

近年,高速なインターネット環境の整備に伴い,地理的条件が不利な中山間地域においても,ブロードバンドや高速モバイル回線が利用可能になりつつある。同時に,地域コミュニティ形成を目的にSNS を活用する例も増えてきており,農村地域でも地域内外における交流促進や情報発信に大きな役割が期待されるが,ICT の学習機会の提供や効果的な普及手法など,ソフト面での対策が必要とされる。本研究では,農村地域におけるコミュニケーション基盤としてSNS の活用を推進するプロセスにおいて,京都府下 3 地域のキーパーソンに着目し,その役割と効果を明らかにするとともに,他地域に対する提言を行った。
著者
松原仁
出版者
哲学書房
雑誌
人工知能になぜ哲学が必要か
巻号頁・発行日
1990
被引用文献数
3 4
著者
小田 達也 姜 澤東
出版者
長崎大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

海藻類中には、多くの有用な成分が含まれている。近年、昆布やモズクに含まれる硫酸化多糖体であるフコイダンはアポトーシス誘導、抗酸化、抗腫瘍、免疫賦活、血圧降下、血糖値降下など多彩な作用を示すことから、硫酸化多糖体のさまざまな利用法が期待されている。これまでの研究により、アルギン酸の工業的原料として広く用いられている褐藻類アスコフィラム・ノドサム乾燥粉末からフコイダンとは異なる画分として硫酸化多糖体アスコフィランが比較的高収率で得られることを見出している。アスコフィラム・ノドサムにおけるアスコフィランの存在は古くから知られたが、その生理活性に関する研究はほとんどなかった。そこで、我々はアスコフィランの生理活性を主にとして、様々な研究を行った。その研究成果により、アスコフイランはU937細胞に対するアポトーシス誘導、哺乳類MDCK細胞の増殖促進、サルコーマ180担癌マウスに対して延命効果、マクロファージRAW264.7細胞からの一酸化窒素(NO)及びサイトカイン(TNF-α及びG-CSF)放出誘導活性など多彩な生物活性を示すことを見出した。最近の研究により、アスコフィランはJNKMAPK経路及びERK MAPK経路を介してRAW264.7細胞におけるNADPHoxidase (p67^<phox>とp47^<phox>サブユニット)を誘導させ、RAW264.7細胞から活性酸素(ROS)放出を誘導することを見出した。さらに、in vivoで、アスコフィランをマウスの腹内に投与した後、マウス脾臓からnatural killer (NK)細胞はマウスリンパ腫細胞(YAC-1)に対する細胞傷害作用が上がることが分かった。さらに、固形腫瘍担癌マウスへのアスコフィラン経口投与により、腫瘍サイズの減少が見出された。
著者
中嶋 哲彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

政府は、国の構造改革政策の一環として、学校制度基準を次々に規制緩和してきたが、これにより公教育のナショナルミニマムが低下したり、教育の機会均等原理が動揺したりすることが懸念されている。公教育は地方公共団体の自治事務とされ、国が規制緩和した学校制度基準にもとづいて公教育制度を具体化する主体は地方公共団体であるため、公教育の水準を維持し、教育の機会均等は地方公共団体の教育行政によって担保されることとなる。その際、地方公共団体に自律的自己規制力は、教育の住民自治、教育行政への住民参加、教育専門職の政策立案過程への参加によって担保される。