1 0 0 0 OA 名家歴訪録

著者
黒田譲 著
出版者
黒田譲
巻号頁・発行日
vol.中編, 1901

1 0 0 0 OA 艸花繪前集

著者
[伊藤]伊兵衛 [画]
出版者
須原茂兵衛
巻号頁・発行日
vol.[2], 1699

1 0 0 0 OA 本草図譜

著者
岩崎常正
出版者
巻号頁・発行日
vol.巻5-96,

岩崎灌園(名は常正、1786-1842)は文化4年(1807)頃に起筆した『本草図説』を土台に、本書92冊(巻5~96:巻1~4は存在しない)を予約制で制作・配布した。最初は全巻を木版本として刊行する計画で、最初の4冊(巻5~8)を天保元年(1830)に刊行したが、費用調達が無理だったらしく、5年間の空白の後、筆写・手彩本とする方針に切り替え、天保6年に次の4冊(巻9~12)を配布した。以後は完結までこの方式を続け、天保13年(1842)に灌園が没した後は子息信正が継ぎ、弘化元年(1844)に配布を完了した。全体で草木2920品を取り上げるが、動物・鉱物は扱わない。『本草図譜』には出来栄えが劣ったり、絵の一部(枝の数など)を省略した本も見受けられるが、本資料は田安家への配布本で、全面的に優れている。当館には、幕府献上本を含めて、配布の巻数・日付を記録した『本草図譜記』(特1-2972)も残る。灌園は幕府の徒士(かち)という小身だったが、若年寄堀田正敦(『観文禽譜』解題参照)に見出されて、『古今要覧稿』の草木部の執筆を担当したり、薬園の設置を許されたりと、活躍の場を与えられた。(磯野直秀)

1 0 0 0 OA 草木写生

著者
狩野織染藤原重賢<狩野重賢>//〔画〕
出版者

本資料は優れた花木・草花図譜で、「春上・春下・秋上・秋下」の4巻から成り、夏と冬の巻は無い。「秋下」末尾に「狩野織染藤原重賢画之」とあるので、狩野重賢が著者だが、狩野家の系図には見出せず、経歴などは不明。美濃の加納(かのう)での写生が多いので、加納藩と関係があったように思われるし、狩野は加納のもじりかもしれない。本資料の特徴は、1.図には写生年月日と写生地を記すことが多いが、注記は少ない、2.図を種類ごとにまとめている、3.写生地は大半が加納である、4.年代は、明暦3年(1657)から元禄12年(1699)に及ぶが、万治2年(1659)と同3年が非常に多く、ついで元禄5年(1692)が目立つなど、特定の年に集中している、5.大半が園芸植物で、野生品や農作物は計1割ほどに過ぎず、針葉樹や羊歯類、キノコ類はまったく含まれていない、など。所収種数は「春上」が29種、「春下」が54種、「秋上」が18種、「秋下」が30種、総計131種、品数にすれば284品。アサガオの赤花、アラセイトウ、ウコン(鬱金)、センダイハギの図はいずれも初出と思われる。(磯野直秀)
著者
林田守広 阮佩穎 阿久津達也
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2014-MPS-100, no.11, pp.1-2, 2014-09-18

生物は進化の過程において,突然変異や組み換えなどによって DNA の塩基配列情報を変化させながらも自らの生命を維持させてきた.生物の持つ情報を DNA の塩基配列とすると,この配列を圧縮することによって大体の情報量を知ることができる.本研究では塩基配列の代わりにタンパク質ドメイン構成に基づき,個体の持つすべてのタンパク質について圧縮する.遺伝子重複や遺伝子融合などの進化現象により同じドメイン構成を持つタンパク質が複数生成されるとすると,複製元のタンパク質を参照することでデータ量を減らすことができる.このような参照によるネットワークは有向ハイパーグラフとなり,多数の参照候補を持つグラフから最小大域木を見つけることで圧縮する.しかし現実的な時間での,ハイパーグラフからの最小大域木の抽出は困難であるので,前処理としてハイパーエッジを削減する発見的な手法を提案する.本手法を数種の生物種に適用した結果,タンパク質進化における遺伝子融合の重要性が示唆された.
著者
鈴木 敦夫 長谷川 利治 伏見 正則 尾崎 俊治 澤木 勝茂 佐々木 美裕 鈴木 敦夫
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2004

本研究の成果は3つテーマに関して得られた。具体的には,Iインフラストラクチャーの最適運用・設計に関する研究,その中に,I-1高速道路の最適運用に関する研究,I-2救急車の最適運用に関する研究,I-3ハブ空港の最適配置の研究,I-4配置の数学モデルに関する研究,I-5その他最適化手法の応用,派生研究として,IIセンサーネットワークに関する研究,IIIファイナンス工学に関する研究にまとめられる。IIは,都市内のインフラストラクチャーの維持管理にワイアレスセンサーを用いることができる可能性から研究を進めた。IIIは,都市の開発プロジェクトをリアルオプションと呼ばれるファイナンス工学の応用手法をもちいることで定量的に評価できる可能性から研究を進めた。Iでは,高速道路の交通量データの分析,災害時避難経路問題の解法、救急車の配置問題の解法の提案、競争化でのハブ空港の配置問題,都市内の商業施設の競争的な配置の問題の解法の提案を行った。災害時に地下街や大学キャンパスから避難する方法をシミュレーションの手法を用いて分析を行った。IIでは,都市内の配置問題から派生して,センサーネットワーク関連の配置問題に取り組んで成果を挙げた。センサーネットワークの問題は,例えば,都市のインフラのひとつである橋梁の保守などにも用いることができる。橋梁の要所にセンサーを配置し,亀裂などの崩壊の兆しを事前に感知して警報を発することなど広く応用が期待される。ここでは,効率的なセンサーの配置について研究を行った。IIIでは,金融商品の分析、特に転換社債のゲーム論的な分析を行った。今後は都市内のプロジェクトを金融派生商品として評価する金融手法の基礎となる研究成果である。
著者
大庭 真人
出版者
東京工科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

「棒読み現象」を指標とし、構音障害のない意味痴呆患者に対して、検証項目となることを確認した。専門用語の略語の説明文を学生とそれらを日常的に用いる言語聴覚士とにそれぞれ読み上げてもらい分析を行った。当初想定された基本周波数の単純化は観察されなかった反面、休止の挿入や特定文節の話速低下などに特徴が観られた。こうした読み上げは円滑な読み上げからの逸脱であり掘り下げ検査への適応可能性はあるが、失語症患者の呈する障害により有用性を検討する必要がある。
著者
笠川 脩 丸茂 仁 朝子 理 丸茂 岳 伊藤 裕子 大槻 勝紀
出版者
Japan Society for Laser Surgery and Medicine
雑誌
日本レーザー医学会誌 = The Journal of Japan Society for Laser Medicine (ISSN:02886200)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.112-118, 2008-07-15
被引用文献数
1

現在,本邦の外科臨床における内痔核根治術は旧くから普遍的なMilligan-Morgan法に基づく痔核結紮切除術が標準術式である.しかし,術中の出血制御と術後の局所における愁訴の緩解には解決すべき問題が残されている.<BR>この術式に常用されている金属メス・電気メスに替えてNd-YAGレーザー接触型プローブを用いると,痔核を基層から最小限の侵襲で容易に切除でき,出血がないため,手術手技は簡易となる.また,術後の局所疼痛・腫脹も軽微で,創部組織の治癒が早く,在院期間が短縮されるなど好ましい臨床成績が得られる.そこでNd-YAGレーザー接触型プローブの有用性についての知見を得るために,動物実験により,通常の金属メス・電気メスと比較検討した.<BR>レーザープローブの創部では表皮細胞の分裂が亢進しており,iNOS・KGF・KGFRの発現も金属メス・電気メスより亢進していることから,表皮再生が早期より起こると考えられた.すなわち,Nd-YAGレーザー接触型プローブを用いると,手技が簡易で,無血操作が可能となり,創部組織の治癒が早く,低侵襲術式として外科臨床上有用である.
著者
田中 圭 森 拓郎 井上 正文
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2011年3月11 日の東日本大震災では、多くの木造住宅が津波による浸水を受けたものの構造的な被害は免れた。また、東海・東南海・南海連動地震の新しい被害想定では、東海から九州に至る太平洋沿岸で最大36m もの津波到達が予測されている。この地域は、平野部に都市圏を抱えるため、仮設住宅で対応できる規模を大きく上回る住宅が浸水することが予測される。これを踏まえ、数時間から数日間水没を経験した木造住宅が余震の続く状況下で再使用が可能か、学術的に検証した。この結果、壁倍率は、1日養生後にわずかな低下が見られたが、3か月経過後は養生環境にかかわらず、コントロール試験体と同等の値まで回復する結果となった。
著者
加藤 貴彦 松尾 佳奈 黒田 庄一郎 盧 渓 小田 政子 大場 隆
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.211-214, 2014 (Released:2014-09-24)
参考文献数
3

In a long-term large cohort study, we introduced an electronic money system for remuneration of research participants. In comparison with the delivery of cash vouchers, the operation and mailing cost, and the processing time were significantly reduced. The workers were also able to save the time and effort they spent on the inventory management of cash vouchers. In addition, risk management was improved, as demonstrated by the reduction of complaints and associated problems such as nonarrival or content differences of cash vouchers. This is because only card points as additional money need to be added once the electronic money card has been distributed to the recipients. Furthermore, the psychological stress of workers associated with inventory management and ensuring cash voucher enclosure was also reduced.
著者
金子 睦雄 米山 達哉 山来 貴 磯部 律元 中沢 潔 南家 俊彦 岸 良示 三宅 良彦 桜井 庸晴 松本 直樹 西崎 光弘 岡本 登 渡邉 佳彦
出版者
The Japanese Society of Electrocardiology
雑誌
心電図 = Electrocardiology (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.59-68, 2009-02-05

開発した合成心電図法を用い,標準12誘導心電図(St-ECG)から高位右側胸部誘導の波形を求め,Brugada型心電図自動検出に有用であるか検討を行った.対象はBrugada症候群と診断された19症例66件のSt-ECG,V<SUB>1</SUB>~V<SUB>3</SUB>誘導の一肋間上心電図(Hi-ECG),合成心電図法より求めた合成心電図(Syn-ECG)である.Hi-ECGとSyn-ECGではQRS-T部分の相関は0.74以上と高かった.循環器専門医がcoved型(A:J≧0.2mV),saddleback型(B),軽度coved型(C:J≧0.1mV)と判読したのはSt-ECGではそれぞれ29件,24件,0件で,Hi-ECGを加えると47件,19件,0件であった.Brugada型と判読された66件をSt-ECGのみで自動解析すると検出感度は68%(A:24件,B:20件,C:1件),Syn-ECGを加えると検出感度は85%(A:44件,B:11件,C:1件)に向上した.一肋間上の心電図と合成心電図は相関も高く,本法が臨床および検診でBrugada型心電図の自動検出に有用であることを確認した.
著者
藤高 道子 杉原 雄三 岡畠 宏易 池田 政憲 有田 昌彦
出版者
THE JAPANESE SOCIETY OF PEDIATRIC ALLERGY AND CLINICAL IMMUNOLOGY
雑誌
日本小児アレルギー学会誌 (ISSN:09142649)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.755-762, 2008
被引用文献数
1

広島県における小児科医師の喘息治療の傾向を知るために,2005年6~8月の間,これまで10年間開催された広島小児アレルギー研究会に参加した小児科医師80名にアンケート調査を行った.JPGL2002の認知度は全国調査と同様に高いが参考度は低かった.吸入ステロイド剤(ICS)の早期使用は積極的には支持しない意見が多く,ICS を使用するには副作用情報が最も多く必要とされ,スペーサーの選択基準等の具体的な吸入方法の情報を必要とする意見も多かった.重症度別の長期管理薬は,テオフィリン,LTRA,ツロブテロール貼付剤が全ての重症度で,ICS,DSCG とβ<SUB>2</SUB>刺激薬の混合吸入が中等症以上で支持された.ICS の使用優先順位は中等症でも3位と消極的な位置付けであった.自宅での吸入器の発作時使用法は,β<SUB>2</SUB>刺激薬を DSCG か生食水と混合して平均4時間毎に1日2回吸入して改善しなければ病院受診,と指導されていた.地域の治療傾向を把握した上で JPGL の啓蒙と意見交換を継続することは,地域の喘息治療の進展に繋がると思われた.
著者
中島 裕輔
出版者
工学院大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、HEMS導入住戸や一般戸建住宅のエネルギー消費特性とライフスタイルの調査分析をふまえて住宅用エネルギー情報収集・表示システムを開発し、長屋型アパートに試験設置して運用評価を行った。その結果、高効率器具への買い換えや温度データを参考にした住まい方の工夫などシステム導入の効果と見られる様々な省エネ行動の実践が見られ、それに伴う一定の省エネ効果も確認できた。
著者
Shuso Takeda Kentaro Yaji Kenji Matsumoto Toshiaki Amamoto Mitsuru Shindo Hironori Aramaki
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
Biological and Pharmaceutical Bulletin (ISSN:09186158)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.331-334, 2014-02-01 (Released:2014-02-01)
参考文献数
13
被引用文献数
1 4

Few studies have examined xanthocidin, a biotic isolated from Streptomyces xanthocidicus in 1966, because its supply is limited. Based on its chemical structure, xanthocidin has the potential to become a lead compound in the production of agrochemicals and anti-cancer drugs; however, it is unstable under both basic and acidic conditions. We recently established the total synthesis of xanthocidin using the FeCl3-mediated Nazarov reaction, and obtained two stable derivatives (#1 and #2). The results of the present study demonstrated that these derivatives exhibited the inhibitory activity of topoisomerase IIα, known as a molecular target for cancer chemotherapy, and this was attributed to the respective exo-methylene ketone group without DNA intercalation. The results obtained also suggest that these derivatives may have value as lead compounds in the synthesis of topoisomerase IIα inhibitors.
著者
高丸 圭一
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,無アクセント地域である北関東,特に栃木県を対象として,自由会話音声を収集し,ピッチパタンの基礎分析を行った上で,現在のアクセントとイントネーションの様態について分析を行った。無アクセント方言の特徴的なイントネーションである句末・文末における尻上がり調の出現位置の傾向は標準語と大きな違いがなく,尻上がり調の出現頻度は標準語の上昇調・昇降調の出現位置と比べて顕著に多いとはいえないことを指摘した。文末のピッチ上昇の度合いを変化させた加工音声による聴取実験により,無アクセント方言の尻上がり調は標準語の上昇調と比べて,上昇の度合いが急峻であることが明らかになった。また,単語アクセントと若年層が用いる同意要求表現「じゃね?」先行部のアクセントについての調査を行った。単語アクセントは若年層の約90%が標準語化している一方,「じゃね?」の先行部は80%以上が平板化しており,当該地域での近年のアクセントの変容が明らかになった。
著者
千葉 耕司 卜部 周二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.728-734, 1997-05-25
被引用文献数
10

自動車携帯電話方式では, システム的に間欠受信をしやすくする方法を採用し, 待受け時の低消費電力化を実現し, 大幅な待受け時間の拡大を果たしてきた. これは電源ON時間を少なくすることを基本として, システム上の設計およびその後のハードウェアの進展, また従来あまり検討されていない圏外状態での低消費電力技術の手法について, 携帯電話の低消費電力化に関する待受け制御技術について述べる.
著者
ハージ ガッサン 水谷 智[訳]
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.86, pp.11-37, 2010-02

論説本稿の議論の対象は多文化主義的な統治性の限界である。とりわけ,現代オーストラリアにおいて,「統治不能なもの」がなぜ,いかにレバノン系のムスリム移民像に具現化されているかを検証する。This essay is concerned with the limits of multicultural governmentality. It investigates the spaces where this governmentality fails: the spaces where it comes face to face with the `ungovernable'. In particular, the essay examines how this `ungovernable' has become embodied in the figure of the Muslim immigrant in contemporary Australia.翻訳:水谷智
著者
平野 智之
出版者
大阪府立松原高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

同じ仲間どうしの教え合いという意味のビア・エデュケーションをテーマに、私の所属する府立高校において10年以上にわたって展開されてきた「るるくめいと」というエイズ・ピア・エデュケーショングループの実践について調査研究を行ってきた。まず、現役高校生のグループの1年間の活動のすべてにわたって付添い、公演活動の映像の記録、活動前後のミーティング、学習会の音声記録の収集を行った。また、活動を終えた卒業生のインタビュー調査を行い、それらのデータを原稿に起こして、分析を行った。そこでは、ピア・エデュケーションへの参加により、自分たちが伝えるために学び、対話するという主体的な学習によって、例えば、いじめや性に対する違和感などこれまでの被抑圧感から解放され、新たな自分の生き方や考え方の枠組みを獲得する過程が見られた。私は、その過程を坂本(2005)らの先行研究をもとに、<語る-聴く>場での学習主体の変容過程ととらえ、当事者性の獲得という視角から分析を行った。そこで見られた知見は、<語る-聴く>場が、「語る(伝える)」という実践が継続されて自己変容を伴うことである。このモデルが示しているのは、「聴いた」ことを「語る」実践に反映させてからまた「聴く」ことの連環の重要さである,「るるくめいとに入ったことによって、知識をいろいろ得たっていうのもあると思うけど、性的なことに限らず、他の明らかにおかしい差別的な言葉とかに違うと(言える)」という卒業生は、日常的な堤面での性や差別をめぐる言動を批判的に見ていこうとしている。「語り」、語るために「聴き」という連環は自己省察と新たな百説での実践を導いている。このように調査した高校生や卒業生の言葉から、関係性や相互作用で変容し続ける「主体」の可能性を見ることができたと考える。「語る(伝える)」ために「聴く」という関係性の実践がいわば生成的に継続されている学習活動の意義を発見できた。こうした学習活動を坂本(2005)が提唱した<語る-聴く>の相互作用モデルを拡張した学習の「関係性モデル」であるという仮説に到達できた。これが本奨励研究の顕著な研究成果である。