著者
上 昌広
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.782, pp.16-18, 2014-05
著者
粕谷 太郎
出版者
渋沢栄一記念財団
雑誌
青淵 (ISSN:09123210)
巻号頁・発行日
no.782, pp.12-14, 2014-05
著者
門脇 大
出版者
神戸大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

主に以下の五点の調査・発表を行った。第一に、平田篤胤『勝五郎再生記聞』に関する発表を行った。口頭発表「『勝五郎再生記聞』小考」(第28回鈴屋学会大会研究発表会、本居宣長記念館、2011年4月)、論文「『勝五郎再生記聞』小考」(「鈴屋学会報」28号、2011年12月)である。十余点の関係資料を整理して、対象作品の特色を明らかにした。また、「産土神」に関わる例話が『玉襷』にとりいれられていることを明らかにした。第二に、弁惑物が同時代にどのように捉えられていたのかを発表した。論文「前近代における怪異譚の思想変節をめぐって」(「アジア・ディアスポラと植民地近代」成果報告書、科学研究費補助金(基盤研究(B)、2009年~2011年)、代表者・緒形康、2012年3月)である。弁惑物『太平弁惑金集談』が出版された四年後に、怪異小説『今昔雑冥談』が出版された。両者の関係を具体的に検討した。さらに『怪談見聞実記』の検討を行った。これらの検討により、怪異譚の思想変節の一端を明らかにした。第三に、弁惑物と心学書に共通する言説を発表した。論文「心学書に描かれた怪異-心から生まれる怪異をめぐって-」(「国文論叢」45号、2012年3月)である。心学書に記されている、怪異現象の正体や原因を人の心に求める話を検肘した。さらに、弁惑物との比較・検討を行い、両者に共通して見られる怪異否定の論理を明らかにした。第四に、近世怪異小説における弁惑物の位置づけを発表した。論文「弁惑物の位相」(「国文学研究ノート」49号、2012年3月)である。弁惑物、近世怪異小説に関する先行研究を整理して、弁惑物がどのような作品群であるのかを明らかにした。また、弁惑物の周辺分野を明示した。第五に、上記の一から四の調査・発表に加えて、前年度以前の研究成果を博士論文「弁惑物の研究-近世怪異小説をめぐって-」(神戸大学、2011年12月)にまとめて発表した。
著者
笠原 克昌 鳥居 祥二 小澤 俊介 清水 雄輝 増田 公明 さこ 隆志
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

LHCf実験はCERN LHC加速器を用いて,超高エネルギー宇宙線(UHECR)に匹敵するエネルギー領域で超前方に発生する粒子(ガンマ線=光子,中性子)のスペクトルを観測する.これにより宇宙線実験で使われているモンテカルロ(MC)シミュレーションで用いられる核相互作用モデルの検証を行い,UHECR の謎の解明に役立てるのが目的である.LHCfは2009年末に450GeV+450GeV衝突,2010年に3.5TeV+3.5TeV衝突の観測に成功した.これらは実験室系換算で4.3・10^<14>eVと2.6・10^<16>eVにそれぞれ相当する.MCのモデルとしてDPMJET(v3.04),PYTHIA(v8.145),QGSJET II(v03),SIBYLL(v2.1)およびEPOS(v1.99)を検証した.この全く未知の領域でのスペクトルは予想から全く外れている訳ではなかったものの,これらのどのモデルも実験結果を満足に再現するレベルには遠いことが判明した.光子のスペクトルは多くのMC モデルよりソフトな様相を呈し,ハドロンはハードな様相を呈している.また,LHCの他の実験(ATLAS,CMSなど)の中心領域での擬ラピディティ(η)分布の結果と合わせると,全てのモデルはLHC 領域で破綻すると言ってよい.DPMJETは低エネルギー領域では非常によいモデルであるが,LHCf での光子スペクトルはデータよりかなりハードである.η分布はLHC領域で突然データからずれる.PYTHIAはLHCのη分布を再現するように調整されたものを用いたが,光子についてはDPMJET と同じ様相を呈する.これらのことは,数年後に期待されるLHCの最高エネルギーでの実験を行い,破綻の傾向を調べ,モデルの検証行うことが重要なこと,新たなモデルの構築が必要なことを示している.
著者
齋藤 代志明 佐伯 智幸 杉山 和久
出版者
日本眼科学会 = Japanese Ophthalmological Society
雑誌
日本眼科學会雜誌 (ISSN:00290203)
巻号頁・発行日
vol.110, no.9, pp.717-722, 2006-09-10

広義の原発開放隅角緑内障に対するイソプロピルウノプロストン単独投与による眼圧と視野への影響についてレトロスペクティブに検討した. 2年以上観察した49例80眼のうち, 視力と視野の信頼性が良好な32例32眼を対象とした. 年齢68. 1±10. 1歳, 観察期間47. 8±14. 7か月であった. 眼圧と視野について無治療時と経過中の値を比較した. 視野はKaplan-Meier法による累積生存率も検討した. 投与前眼圧14. 7±4. 3mmHgに対し4年間下降し, 4年後は12. 7±4. 4mmHgであった. 視野(mean defectとloss variance)は, 4年間有意な悪化はなかった. mean defectが3dB悪化した時をend pointとした時の視野の悪化しない確率は, 4年後で80. 7±8. 0%であった. イソプロピルウノプロストンは, 長期間眼圧を下降させ, 視野を維持する可能性があると考えられた. (日眼会誌110:717-722, 2006) We retrospectively investigated the long-term effects of isopropyl unoprostone monotherapy on intraocular pressure and visual field for normaltension glaucoma and primary open-angle glaucoma patients. Among 80 eyes of 49 subjects receiving isopropyl unoprostone monotherapy for 2 years or more, 32 eyes of 32 subjects were analyzed because of the good reliability of their visual acuity and visual field(age, 68. 1±10. 1 yrs, follow-up period 47. 8±14. 7 months) . The mean values of intraocular pressure and visual field indices were compared with baseline data before medication. The visual field changes were also analyzed using the Kaplan-Meier life-table method. The mean intraocular pressure decreased for 4 years from 14. 7±4. 3mmHg(mean±SD)at baseline, to 12. 7±4. 4mmHg at 4 years. The global index of visual field(mean defect, loss variance)did not change significantly during the 4 years. The accumulative probability of survival was 80. 7±8. 0% after 4 years when the endpoint was defined as 3dB progression in mean defect. Isopropyl unoprostone might have the possibility of stabilizing the visual field for a long period of time. Nippon Ganka Gakkai Zasshi(J Jpn Ophthalmol Soc 110:717-722, 2006)
著者
関根 茂樹
出版者
独立行政法人国立がん研究センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

肝細胞特異的Dicer欠損マウスに発生した肝細胞がんの解析から、これらの腫瘍では、腫瘍により多様ながん関連遺伝子の発現異常が起きており、多数の腫瘍に共通して認められる発現異常や遺伝子変異は同定できなかった。Dicerの欠損に伴う発現機構を、より均質な背景を有する腫瘍を発生するモデルを用いて解析するために、マウス肝細胞に特定のがん遺伝子を導入し、発がんを可能とするモデルを確立した。
著者
晴佐久 悟 筒井 昭仁 境 憲治 劉 中憲 金崎 信夫 埴岡 隆 柏木 伸一郎 三島 公彦 鎮守 信弘 小川 孝二
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.122-131, 2004-04-30
被引用文献数
9

産業歯科健診に,口腔健康教育の効果および歯科保健意識と行動変容因子との関連性を検討した.事業所従業員208名に対し,口腔内診査後,歯肉辺縁部清掃技術,歯間部清掃用器其の使用法の指導,定期管理受診の説明を行い,介入前,直後,1ヵ月後,1年後に質問紙による調査を行った.歯肉近縁部を磨く認識のある者の割合は,介入1ヵ月後,1年後は,それぞれ,55,62%であり,介入前の35%と比較して有意に増加した.歯間部清掃用器其の使用割合は,介入1ヵ月後,1年後は,それぞれ,40,31%であり,介人前の24%と比較して,1ヵ月後には有意に増加したが,1年後では有意差は認められなかった.介入直後,歯科医院での定期管理受診希望者は87%であったが,1ヵ月後,定期管理受診者は15%であった.ロジスティック解析の結果,歯肉近縁部を磨く行動と歯肉近縁部を磨くという行動変容の定着には汁その部位を確実に磨く」という自信の因子が単独で関連した.歯間部清掃用器具を用いる行動では,「むし歯を予防できると思う」,「爽快感が感じられる」,「歯間ブラシ人手容易」が単独で関連した.口腔保健教育の目的とする行動変容の程度,それぞれの行動に影響を及ぼす要因について違いがみられた.このことから,変容を期待するそれぞれの行動に対する効果的な教育・指導内容を用いて,介入を行う必要性が示唆された.
著者
藤原 貞雄 座間 絋一 谷光 太郎 古川 澄明 米谷 雅之 陳 建平 横田 伸子 増田 正勝 藤原 貞雄
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

1 本調査研究は、日・中・韓3国の環黄海地域の大学が協力し、自動車産業、電子産業という基幹産業を研究対象に取り上げ、それぞれの国や地域の産業政策と産業構造、産業組織の展開過程と現状を比較研究することによって、それぞれの国と地域の段階的、類型的特徴を明らかにすると共に、「環黄海経済圏」を構成する3カ国の国や地域の経済協力の現状と問題、将来方向を調査研究することを目的にしている。2 中国自動車産業については、現地の国営企業、日中合弁企業、郷鎮企業等の視察、国、省、市等における自動車産業政策についてのヒヤリングを行い関係資料の収集に努めた。3年間に中国の自動車産業及び自動車産業政策は大きな変貌を遂げたが。それを現地において確認しつつ研究調査できたことは大きな成果であった。3 1995年以前の中国自動車産業においては米国及び日本の自動車メーカーの関与はきわめて薄かったが、以後は米国のビッグ2及び日本のトヨタ、本田技研、ドイツのベンツ・クライスラーが完成車(乗用車)組立に本格算入することによって、様相は様変わりしつつある。つま1995年以後の中国自動車産業は世界自動車産業の一部に包摂されて発展をしている。この変化のプロセスを国内市場の変化、政策の変化とともに観察できた。4 中国の電子産業についても自動車産業と同様に、現地の国営企業、日中合弁企業、郷鎮企業等の視察、ヒヤリングを行い関係資料の収集に努めた。中国の電子産業及び半導体産業の発展はめざましく、現地において確認しつつ研究調査できたことは大きな成果であった。ここでは自動車産業とはちがって当初から外資系企業の導入が積極的に図られ、外資系メーカー主導の発展に特徴があり、全体としては労働力集約工程が集積しているが、研究開発工程の導入と自発的発展が課題となっている。5 韓国については主要非外資系自動車・電子企業及びそれらの研究所、労働組合に関する現地調査を行った。これについては現地研究分担者及び研究協力者と共に行った。6 研究成果の公開と研究交流を目的に中国韓国で計2回、日本で2回の合計4回の公開シンポジュームを開催した。これには3国の若手研究者も参加し、将来の共同研究の基礎を築いた。
著者
松村 一男 平藤 喜久子
出版者
和光大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本神話は戦前の軍国主義教育に利用された後遺症として、戦後は初等教育はもちろん大学においても学術的研究は行われてこなかった。しかし他の国々では人類文化史の重要な要素として神話を研究することが分子生物学をはじめとする諸科学との協同の中で目覚ましい成果を挙げている。その中に日本神話も位置づける目的で本研究は行われ、他地域の神話との比較によって日本神話が世界文化史上極めて重要な、日本が世界に誇ることが出来る文化文化遺産であることを示すことが出来たと考えている。日本神話は世界の始まりから王権の成立までの一連の流れを体系として保存しているが、それは文字使用の遥か以前からの古形に由来すると考えられる。
著者
植村 直子 マルティネス 真喜子 畑下 博世
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.10, pp.762-770, 2012-10-15

<b>目的</b> 在日ブラジル人妊婦が,妊娠から出産までの日常生活をどのように過ごしているのか,日本の保健医療システムの中で,どのような点に戸惑いや困難を感じているのかを調査し,在日ブラジル人妊産婦の保健医療ニーズを考察した。<br/><b>方法</b> 対象者は A 県在住で,日本語理解が不十分で,日本での出産が初めてであるブラジル人妊婦10人とした。2007年 8 月から2009年 7 月に,研究者と通訳者が対象者の妊婦健診への同行,および家庭訪問によるフィールドワークを実施した。分析は,フィールドノートより各対象者の妊娠•出産についての思いや考え,日常生活の様子,保健医療の場面での戸惑いや困りごとに関する記述からラベルを作成し,意味の共通するものをグループ化する作業を繰り返しカテゴリー化した。<br/><b>結果</b> 対象者の年齢は20歳代が 8 人,30歳代が 2 人で,在日期間は 3 年未満が 8 人,10年未満が 2 人であった。出産経験は「なし」が 8 人,「あり」が 2 人であった。労働状況は10人とも妊娠後期までに退職し,経済状況は夫の収入のみでは生活は厳しい状況であった。同居家族は「夫」が 6 人,「夫,子ども」が 2 人,「夫,親」が 2 人であった。家族の支援状況は,実際に身近に手伝ってくれる者がいるのは 6 人で,友人等の交流状況は,退職後は10人とも「なし」であった。<br/>  日常生活の様子や保健医療場面での困難では,4 つの大カテゴリー:I. 身内との支えあいは強いが,友人や近所との日常的なつきあいはあまりない,II. 過酷な仕事により,不規則な生活を送らざるを得ず,体に負担がかかっている,III. 日本での出産に関する情報が十分得られておらず,理解できていないことによる不安がある,IV. 母国と違うシステム,習慣に戸惑う,に整理された。<br/><b>結論</b> 在日ブラジル人妊婦の日常生活は孤立しがちで,不規則な生活状況であった。保健医療の場面では,日本での妊娠•出産に関する情報を十分に得られておらず,体重増加など日本とブラジルの基準の違いに戸惑っていた。こうした在日ブラジル人妊婦の生活状況を理解し,産後孤立させないことを見越した妊娠期からの関係の形成や,ブラジルの情報を踏まえた対応が求められる。また,市町村や保健所,産科•小児科医療施設,国際協会や民間支援団体,雇用者(企業)などが協力し,通訳の配置,対訳表•異文化理解のためのマニュアル普及やセミナー実施,相談日を実施するなどの支援体制づくりが望まれる。
著者
石川 博將 石川 博将 (1992) WENG George KREMPL Erhar STEIGMANN Da ELLYIN Ferna 佐々木 克彦 但野 茂 村上 澄男 野口 徹 STEIGMANN David F.
出版者
北海道大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1991

1 国際共同研究実施案の作成:研究分担者EIIyin教授のKrempl教授が平成3年8月に国際材料学会のため来日した機会をとらえ,第1回研究会を北海道大学で開催した。そして,本国際学術研究計画の研究内容や研究分担,研究交流日程等の綿密な打合せを行い,具体的実施案を作成した。2 複合材料の力学的特性に関するデータ収集と総括的な検討:平成3年12月に,カナダ・アルバータ大学で本国際学術研究の第2回研究会を開催した。従来からなされてきた複合材料の力学的データを集計・整理した。さらに,各共同研究者がこれまで行ってきた均質材料の弾塑性挙動,繰返し塑性挙動,破壊挙動,粘性挙動,疲労ダメージの累積,疲労挙動等の研究成果を報告し,それらの複合材料への適用性を討論した。そして,今後の共同研究方針を明確にした。3 複合材料の力学に関する先端研究状況の調査:平成3年12月にアメリカ合衆国・アトランタで開催されたアメリカ合衆国機械学会の冬季通常総会に,本研究組織の研究者全員が出席した。本会議に於て複合材料の力学に関する先端研究が多数報告された。各共同研究者は,研究発表すると共に,複合材料の非弾性力学に関し,多数の著名な研究者と討論及び情報交換を行った。そして,当該分野における今野の課題や動向を調査した。4 複合材料の巨視的力学特性の検討:本研究組織の各研究者がこれまで行ってきた均質材料の弾塑性挙動,繰返し塑性挙動,破壊挙動,粘性挙動,疲労ダメージの累積,疲労挙動等の手法を複合材料に適用したさまざまな実験や解析を行った。複合材料の巨視的力学的挙動という観点から,材料力学の体系を総合的に再検討した。5 微視的構造の力学的評価:複合材料特有のマトリックス材と補強材の相互作用を明らかにするために,微視的構造への弾塑性力学,粘塑性力学,破壊力学,損傷力学の適用を試みた。まず,複合材料の力学的挙動を微視的観点から,弾塑性・粘塑性力学により捕らえるために,マトリックス材と補強材の相互作用を,モデル実験等によりその特徴をより詳細に把握した。そして,弾塑性・粘塑性力学により,マトリックス材と補強材の相互作用を説明できる可能性を見いだした。さらに,複合材料の破壊・損傷のメカニズムを微視的に探るために,破壊力学・損傷力学の適用を試みた。マトリックス材と補強材の相互作用を破壊力学・損傷力学で十分解明できる可能性を見いだした。6 微視的構造の疲労評価:微視的構造に対する疲労特性を拡大モデル物験によって行った。微視的構造に対する疲労特性は,巨視的構造の疲労特性に類似することが明確となった。しかし,巨視的構造の疲労特性に比べ微視的構造の疲労特性にはばらつきが見られ,微視的構造の疲労特性に対する各構成材料の依存性を明確にし,疲労ダメージの累積則を適用するためには,実験データの統計的な処理が必要であると推察された。7 微視的力学特性と巨視的力学特性の統一化:上記の結果を踏まえて,巨視的力学的特性がどのような微視的構造に起因するか,また,微視的構造変化が巨視的力学特性にどのような影響を与えるかを検討した。微視的構造変化を弾塑性力学,粘塑性力学,破壊力学,損傷力学的観点からの解明により,微視的力学的特性と巨視的力学特性の統一化の可能性を見いだした。8 第3回研究会の実施及び共同研究成果の取りまとめ:各共同研究者が行った研究成果を持ち寄り,情報交換および研究討論のために,平成4年9月に北海道大学に於て第3回研究会を実施した。そして,共同研究の成果を取りまとめ,複合材料の破壊と強度評価に関する将来の展望を行った。また,同時期に関催された日本機械学会材料力学部門講演会インターナショナルセッションで本共同研究の成果を各研究者により発表し,多数の研究者と本成果について討論した。
著者
鈴木 晃志郎 鈴木 亮
出版者
首都大学東京
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.85-93, 2009-03-30

首都大学東京の南側斜面にある松木日向緑地は、十分な維持管理が行われていないため近年ササや竹林が繁茂し、荒廃が進んでいる。この背景には、大学側が管理のための予算を継続して取ってこなかったこと、維持管理のための組織体制が学内で統一できていないことが関係している。松木日向緑地は、大学移転前までは地域の里山であり、人々の生活と密接に関わりのある入会地的性格をもった緑地であった。しかし大学側は、移転当初から地域住民の立ち入りを禁止し、圃場のみ技術職員を配置して維持管理にあたらせた。これに熱心な教職員の緑地保全活動も加わった。しかしながら、こうした大学側の対応は、地域住民の生活から松木日向緑地を遠ざける結果へと結びついた。大学側の対応は、植生の維持管理についても、業者への委託によって不定期におこなわれる下草刈りにとどまった。自発的な緑地の維持管理主体を喪失したことが、現在の状況を生み出す要因になったといえる。今後は、教職員・学生のみならず、エコロジーに対する意識の高い地域住民を取り込み、三者が一体となった組織的かつ持続可能な緑地保全の在り方を探っていく必要があろう。
著者
寺尾 隆吉
出版者
フェリス女学院大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2006

平成19年度は、1990年代以降のラテンアメリカ小説に着目し、権威主義的政治体制をテーマとした小説の例としてニカラグアの作家セルヒオ・レミレスの『海がきれいだね、マルガリータ』(1998)と『ただ影だけ』(2002)や、グアテマラのロドリゴ・レイ・ロサの『聖域なし』(1998)、エル・サルバドルのオラシオ・カステジャーノス・モヤの『蛇とのダンス』(2003)と『崩壊』(2006)、メキシコのフアン・ビジョーロの『証人』(2004)などをとりあげて研究した。特に文学による想像力を駆使することで読者への行動を促し、独裁的政治体制の意味を問いただすという側面がいずれの作品にも共通する点に着目して、論文にまとめていった。前年度に引き続き、ベネズエラの作家エドノディオ・キンテロ氏の全面的な協力を得て、作家たちに直接インタビューができたことは大きな成果となった。ここにあげた作家の中では、レイ・ロサ氏とカステジャーノス・モヤ氏からは貴重な話を聞くことができた。今のところまだ論文業績にはしていないが、彼らとのインタビューはメキシコの出版社より近く出版する予定である。論文としては、「セルヒオ・ラミレス『海がきれいだね、マルガリータ』-ルベン・ダリオと独裁者象」を書き上げ、ベネズエラのメリダにおける国際学会で発表した。近くベネズエラの学術雑誌に出版されることが決定している。また、ラテンアメリカ文学特有の文学潮流とされる「魔術的リアリズム」と独裁者小説の関係についても考察を広げ、これまでの成果を集大成する形で『ラテンアメリカ文学の魔術的リアリズム』というタイトルの本を執筆し終えた。こちらも平成20年度中には日本で出版の予定。
著者
芝 清隆
出版者
(財)癌研究会
雑誌
特定領域研究(C)
巻号頁・発行日
2001

ポストゲノム・プロテオーム研究から得られるゲノム知識、特にタンパク質の構造と機能に関する知識を活用するために、これらの知識を人工タンパク質上に人為的に再構成する新しい人工タンパク質創製システムを確立するのを目標とすている。既に確立しているマイクロ遺伝子重合法とマイクロ遺伝子のデザインアルゴリズム、CyberGeneを利用することにより、人為再構成の実例、使用例を蓄積していくことを目標とし、a)アコヤ貝のもつ炭酸カルシウムの結晶化に関与すると思われるモチーフをもった人工タンパク質の作製の試み、b)デザインアルゴリズムの高速化、c)無細胞翻訳系を用いた人工タンパク質の産生の試み、をおこなった。a)では、マイクロ遺伝子のデザインは完了したものの、重合体翻訳産物の精製に手間取っており、期待した機能が再構成されているかどうかの確認がとれていない。b)では、ジペプチドが内包する他の読み枠のコドンにも注目し、あらかじめ終止コドンを内包するジペプチドコドンを排除したコドン表を用いることにより、マイクロ遺伝子のデザイン時間を大幅に短縮することに成功した。この手法に関して特許を申請した。c)ではa)で得られた繰り返し性の高いタンパク質は大腸菌内で発現が見られなかった。そこで、大腸菌、小麦胚芽由来の無細胞翻訳系を用いた発現を試みたが、考えられるあらゆる条件を検討したにもかかわらず十分な発現が確認できなかった。唯一、融合タンパク質としてのみ発現を確認することができた。今後の課題としては、アコヤ貝のモチーフをもった人工タンパク質は、そのマイクロ遺伝子のデザインから再度やりなおす。また、最近、同じように非常に短い単位の繰り返し構造をもつ蜘蛛の絹糸タンパク質が、大腸菌・酵母で発現しないものの、動物細胞で発現した例が報告されているので、動物細胞でも発現も試みてみたい。
著者
岡島 幸男
出版者
日経BP社
雑誌
日経systems (ISSN:18811620)
巻号頁・発行日
no.177, pp.38-41, 2008-01

プロジェクト基盤と言っても大げさに考える必要はない。プロジェクト・ファシリテーション注1に取り組む岡島幸男氏は手軽な準備でうまくいく現場を演出している。その現場を紹介してもらう。
著者
上村 純平 若宮 直紀 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.689, pp.31-36, 2004-02-26

センサネットワークにより長期間の観測を行うためには,電力効率のよい情報収集機構が必要不可欠である.センサ端末は主として情報の検出,送信,受信で電力を消費する.特に情報送信の消費電力は通信距離の2乗に比例するため,近接するセンサ端末でクラスタを構成し,クラスタヘッドと呼ばれる代表がクラスタに属するセンサの情報を集約して基地局に情報を送信する,クラスタベースの情報収集機構が有効である.LEACHでは,クラスタメンバからの情報受信および基地局への情報送信による電力消費の大きさを考慮して,クラスタヘッドを交代制にすることにより,センサネットワークの長寿命化を図っている.しかしながら,センサ端末間の残余電力の差異を考慮していない,クラスタ形成に際して領域全体へのブロードキャストが必要であるなど,端末種別や導入時期によって残余電力の異なる多数のセンサ端末からなるセンサネットワークでは効率的な情報収集が行えない.そこで,本稿では,局所的な情報交換にもとづいてセンサ端末が自律分散的に適切なクラスタを構成するクラスタリング手法を提案する.シミュレーションによる評価を通して,クラスタベースの情報収集機構のひとつであるLEACHと比較して,残余電力が均一な場合とばらつきがある場合の両方において,提案手法がより長期間に渡り,多数のセンサから情報収集を行えることを示している.