著者
富永 京子
出版者
関西社会学会
雑誌
フォーラム現代社会学 (ISSN:13474057)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.17-30, 2013-05-18 (Released:2017-09-22)
被引用文献数
1

本研究は、グローバルな社会運動において運動体間の連携がどのように行われるのかを問う。先行研究は「社会問題の被害者=主要従事者」「被害者以外の人々=支援者」と定義して分析を行うが、グローバルな社会運動は被害者と加害者の境界が曖昧であるために、主要従事者と支援者を判別することが困難である。本稿はサミット抗議行動を事例とし、グローバルな運動の中で主要な運動従事者が決定される過程と、運動主体間におけるレパートリーの伝達過程を分析することにより、グローバルな社会運動における運動体間の連携のあり方を考察する。具体的には、サミット抗議行動においてレパートリーの伝達がいかになされたかを参加者50名の聞き取りデータを基に検討する。分析の結果、本運動の主要従事者はサミット抗議行動が行われる地域で普段から活動する人々であり、レパートリーは毎回の抗議行動と同様に定例化・定期化されて行われる。しかし、主要従事者は定例化されたレパートリーを義務的に行う一方、設営や資源調達といった場面で自らの政治主張や理念を反映させることがわかる。グローバルな運動における運動体の連携に関する結論として、第一に、「場所」が主たる運動従事者を決定する要素となり、第二にレパートリー伝達をめぐって「前例」が大きな役割を果たしており、第三に主要な従事者は表立ったレパートリーだけでなく資源調達によって政治的主張を行うことが明らかになる。
著者
森 周平 山田 実 青山 朋樹 永井 宏達 梶原 由布 薗田 拓也 西口 周 吉村 和也 國崎 貴弘 市橋 則明
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ea0956, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 高齢者に於ける転倒は様々な要因との関連が報告されており,筋力・歩行速度・バランスといった身体機能の低下などの内的要因の悪化により転倒リスクが上昇することは多くの先行研究により証明されている.内的要因としては,身体能力以外に転倒恐怖感や自己効力感といった心理的要因が転倒と関連することが報告されている.しかしこれらで心理的要因の全てを説明しているとは言い難く,転倒者の性格が関与する可能性も示されている.そこで我々は熟慮的に行動する者よりも,衝動的に行動する者のほうが,転倒発生が多いという仮説を立て,本研究の目的を,地域在住高齢者に於ける衝動性と転倒との関連を明らかにすることとした.【方法】 対象は地域が主催する健康イベントに参加した65歳以上の高齢者246名(男性:40名,年齢:72.7 ± 5.8歳)とした.除外基準は認知機能の低下により会話・問診による聞き取りが困難な者,歩行の安定性を障害する明らかな疾患を有する者とした.性格の評価には,滝聞・坂元により作成された認知的熟慮性―衝動性尺度を用いた.この尺度は認知判断傾向に関する測定尺度で,「何でもよく考えてみないときがすまないほうだ.」などの10項目の文章に対し,自分があてはまるかを判断しそれぞれ4段階(4:あてはまる,3:どちらかと言えばあてはまる,2:どちらかと言えばあてはまらない,1:あてはまらない)で評価を行い(合計10~40点),点数が高いほど熟慮性が高い(衝動性が低い)ことを示すものである.さらに,過去一年間の転倒経験の有無と,転倒恐怖感の有無とを問診にて聴取した. 統計解析としては,転倒経験を有する群と有さない群との間の,認知的熟慮性―衝動性尺度の点数をMann-WhitneyのU検定にて比較し,その後転倒経験の有無を従属変数,転倒恐怖感の有無,認知的熟慮性―衝動性尺度の点数を独立変数として,年齢,性別を調整変数とした強制投入法による多重ロジスティック回帰分析を行った.有意水準は5%未満とした.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は京都大学医の倫理委員会の承認を受け,書面と口頭にて研究の目的・趣旨を説明し,同意を得られた対象者に対して実施した.【結果】 転倒経験の有る者は71名,転倒恐怖感を有していた者は125名であった.認知的熟慮性―衝動性尺度の点数に於いて,転倒経験を有する群(26.7 ± 5.7点)は有さない群(28.3 ± 4.9点)に比べて有意に低かった(p < 0.05).さらに多重ロジスティック回帰分析の結果,転倒恐怖感を有すること(p < 0.01,オッズ比 = 4.0),熟慮性が低い(衝動性が高い)こと(p < 0.05,オッズ比 = 0.9),共に有意な説明変数として抽出された(R2 = 0.19).またHosmerとLemeshowの検定の結果,p = 0.463と回帰式は適合していた.【考察】 先行研究に於いて,心理的特性として転倒との関連が報告されているのは転倒恐怖感や自己効力感などであり,性格との関連を検討した報告は存在しなかった.しかし今回の研究により,高齢者個々人の性格の要素に当たる認知的熟慮性―衝動性が転倒経験と関連しており,転倒経験を有する群では転倒経験を有さない群に比べて熟慮性が低い(衝動性が高い)ことが明らかとなった.また,同様に心理的特性である転倒恐怖感とは別の説明変数として抽出されたことから,それぞれは独立して転倒に関わっていることが示された.しかし,今回の研究は後ろ向きの研究であることから,転倒恐怖感については転倒後症候群として転倒の結果発生した可能性を留意すべきである.より衝動的であることが転倒と関連していたことから,日常生活の中で熟慮的に行動する者に比べ,衝動的に行動する者のほうが周囲への注意を怠り,転倒の起因となる危険な動作に結びつく可能性が示唆された.【理学療法学研究としての意義】 衝動性が高い,低いといった性格に関することは一概に善悪で語ることが出来ず,衝動的であるからといって性格を改める介入などは行うべきではないと考える.しかし今回の結果を踏まえ,衝動的な者は熟慮的な者に比べ転倒の可能性が高いということを本人,周囲が理解した上で,衝動的な動作などを抑えることが出来れば転倒を防止することが出来る可能性があると考える.よって,衝動的な性格であるが故に行ってしまいそうな危険行動に対して留意させる介入が必要であることが示唆された.
著者
清水 和裕
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.55-72, 1995 (Released:2010-03-12)

In AH352/AD963, Mu'izz al-Dawla, a Buwayhid ruler of Baghdad, introduced two official observances: the public lamentations for the martyrdom of al-Husayn at the Day of 'Ashura, and the festival of Ghadir al-Khumm. From that time on, the religious strife between Sunni inhabitants of Baghdad and Shi'is became more serious. And in this situation, Sunni people invented two counter-celebrations to the Shi'i's: the visits to the Grave of Mus'ab b. al-Zubayr, and the festival of the Cave. Each observation of Sunni's and Shi'i's worked as a place for sectarianism. Then, we must ask the historical meanings of the visit to the Grave of Mus'ab, and why Sunnis chose Mus'ab as a counterpart to al-Husayn.Mus'ab was appointed as a governor of Basra by his brother, Ibn al-Zubayr, the anti-Caliph of the Umayyad Caliphate in the Second Civil War. After he suppressed the Shi'i movement of al-Mukhtar, he waged several wars against the Umayyads and was killed by 'Abd al-Malik. Many historical stories depict him as a generous and brave man, but without piousness.We can point out at least three factors that led to the invention of visits to the Grave of Mus'ab, as a counter-celebration of that of al-Husayn. First, he massacred al-Mukhtar and his followers, who held up a slogan: Revenge for al-Husayn. Secondly, the tragic story of his death bears a structural resemblance to that of al-Husayn. And thirdly, these two graves are placed symmetrically with respect to the city of Baghdad. All these factors show that the visit to the Grave of Mus'ab bore a social significance only as a contrast to that of al-Husayn.In the Buwayhid Dynasty, we can see some religious symbols and symbolical acts of Shi'i's such as: (1) visits to the graves of Shi'i Imams, (2) Shi'i calls for prayer, (3) slogans written to the gates and paths of their quarters, (4) public insults for Sahabas, (5) Catapults which they brought with to the graves. These symbols promoted their internal cohesiveness and invoked their sectarianism more openly, while Sunnis, who had been offended by Shi'i usage of these symbols, began to seek their own.They then found a symbol, which corresponded to one of the most important Shi'i Symbols of “the Death of al-Husayn”, in a historical account of “the Death of Mus'ab”. That is to say, under the social situation of the aggravated religious strifes, they found a new meaning in the death of a governor who lived in the Second Civil war and symbolized it as a counterpart to “the Death of al-Husayn”, which led them to the visit of his grave.We can point out that the sectarian symbols of both parties became more open and complicated, which it brought more serious confrontations in the later rule of the Buwayhids, and must be considered as a significant feature of the religious strife during this period.
著者
溝田 智俊 佐々木 みなみ 山中 寿朗
出版者
日本鳥学会
雑誌
日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.115-130, 2007-11-01 (Released:2007-11-17)
参考文献数
25
被引用文献数
1 7

カワウ,アオサギおよびゴイサギの営巣地下にある2地域の土壌(福島県本宮および福岡県久留米)について,窒素動態を無機態窒素含量と安定同位体比の時系列変動を指標として解析した.顕著に高い無機態窒素含量(8 g/kg乾土)が孵化と雛の成長期に見出された.巣立ちと営巣地から見られなくなった後,無機態窒素含量は急速に低下した.土壌の硝化活性は,やや冷涼な本宮営巣区にくらべて温暖な久留米営巣区で高かった.硝化と連動した脱窒過程が繁殖期後期に顕著であることが特異的に高い硝酸態窒素の同位体比から推察された.カワウは繁殖およびねぐらとして1年を通じて森林を利用するために,土壌に連続的に糞窒素が搬入される.その結果,一時的に利用するサギ類に比較してカワウ営巣区ではアンモニア生成速度が高く維持されると推定された.
著者
篠田 潤子
出版者
産業・組織心理学会
雑誌
産業・組織心理学研究 (ISSN:09170391)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.51-58, 2008 (Released:2019-08-05)

Previous studies on the career paths of professional baseball players have considered only the effects of “fielding position” on players' later careers as managers or coaches. Data for 1,180 Japanese professional baseball players who retired between 1991 and 2005 were analyzed. In addition to fielding position, eight other variables (years as a registered player, lifelong salary, university degree, playing for a company team before becoming professional, salary in the year before retirement, draft status, maximum number of years played for one team, and last team played for before retirement) were analyzed using chi-squared automatic interaction detector (CHAID) analysis. Major findings are as follows. (1) The most important variable in the promotion of managers or coaches was the number of years as a registered player. (2) Fielding position was influential only if they had been registered players for over 14 years. (3) If a player had been registered for 8-13 years, having a university degree had an effect on their subsequent career. For players without a degree, “having played for a company team before becoming a professional” was an important variable in later becoming a manager or coach.
著者
白石 直人 齊藤 圭司 田崎 晴明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.72, no.12, pp.862-866, 2017-12-05 (Released:2018-09-05)
参考文献数
11

熱力学は理工系の大学生のほぼ全員が学ぶ基礎的な物理学の分野である.第一法則と第二法則を中心にした独自の論法から非自明で実用的な結論が導かれる様子に感銘を受けた人も多いだろうし,一方で,力学や電磁気学とは違って曖昧模糊としたマクロな対象を扱う奇妙な学問だと感じた人もいるだろう.いずれにせよ,熱力学は遠い過去に完成された学問であり,その周辺には研究すべき素材など残されていないと思っている人がほとんどだろう.しかし,実際には,熱力学に関わる未解決問題は数多く残されていて,現代的な研究の対象にもなっている.本稿では,その一例として,熱力学の定番の対象である熱機関に関する我々の新しい定理を紹介する.我々は,おそらくカルノーの時代から多くの人が抱いただろう「許される最大の効率であるカルノー効率を達成し,かつ仕事率がゼロでない熱機関は可能か?」という疑問に対して「不可能だ」という一般的かつ決定的な結論を得たのである.熱力学の教科書に登場するような一般的な熱機関を考えよう.高温の熱浴から熱を吸収し,低温の熱浴に熱を放出し,吸熱量と発熱量の差を力学的な仕事として外に取り出す装置だ.熱機関は石炭による火力発電などで今も用いられている.効率(吸収した熱のうち仕事として利用された割合)は熱機関の性能を表す重要な指標である.熱力学で学んだように,効率は熱浴の温度だけで決まるカルノー効率を決して超えない.一方,実用性を考えると,仕事率(単位時間あたりに生み出される仕事)も重要な指標である.有名なカルノー機関の場合,効率は望みうる最大のカルノー効率を達成するのだが,準静的過程を用いるため仕事率の方はゼロになってしまう.これでは使い物にならない.この状況は,効率を高くしたために仕事率が犠牲になったように見える.これはどのくらい一般的なことなのだろうか? 物理法則が許す範囲で,ありとあらゆる仕掛けを用い,様々な賢い工夫をするとして,効率はカルノー効率に一致するが仕事率はゼロにならないような熱機関を設計できるだろうか? 我々はこの自然な疑問を解決した.我々は,一般的な熱機関の効率と仕事率がきれいなトレードオフの関係を満たすことを証明し,その帰結として,このような「夢の熱機関」は決して作れないことを示したのである.この結果の背景には非平衡統計力学の研究の蓄積がある.そもそも,この研究では「マクロな系をマクロな視点から扱う」という熱力学の方法を離れ,無数の微小な粒子についての古典力学とマルコフ過程によって熱機関を記述している.このようなモデル化の方法はアインシュタインのブラウン運動の理論以来の長年の研究に支えられている.さらに,今回の結果が可能になったのは,非平衡統計力学の分野でこの20年ほどの間に急激に進展した「ゆらぐ系の熱力学」についての知見があったからだ.ゆらぎの定理,ジャルジンスキー等式などのキーワードを目にしたことがあるかもしれない.これらのテーマに関連して深められたエントロピー生成率の概念などが我々の仕事でも重要な役割を果たしている.「ゆらぐ系の熱力学」の従来の研究の多くはミクロな系で意味を持つ新しい物理を指向していたが,本研究のように,ミクロな視点に立つ非平衡統計力学からマクロな系のマクロな性質を議論する方向もこれからさらに発展していくことを期待している.
著者
三角 太郎
出版者
国公私立大学図書館協力委員会
雑誌
大学図書館研究 (ISSN:03860507)
巻号頁・発行日
vol.112, pp.2044, 2019-08-31 (Released:2019-09-12)

類縁機関とされる博物館(Museum)・図書館(Library)・文書館(Archives)の間の連携については,文化情報資源の共有化という点からも期待が大きい。一方で大学内の大学博物館,大学図書館,大学文書館の連携についての報告事例は少ない。しかし,デジタルアーカイブや企画展示などにおいては,今後連携の効果が期待できると考えており,本稿では,まずそれぞれの組織の性質,共通点と相違点を分析する。その上でデジタルアーカイブと企画展示について,東北大学の取組みを事例として紹介する。
著者
片山 俊明
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.40, no.156, pp.19-24, 2020 (Released:2021-02-04)
参考文献数
11

生命科学・医科学の分野では多数の公共データベースが公開されているが、ライフサイエンス統合データベースセンターではこれらを統合的に利用するための技術開発を進めており、セマンティック・ウェブ技術を使ったデータ統合を行ってきた。セマンティック・ウェブではデータがグラフ構造で繋がっているが、本稿ではそのデータモデルResource Description Framework (RDF)、検索のためのSPARQL Protocol and RDF Query Language (SPARQL)、SPARQL検索の結果をREST API化するSPARQListを概説し、RDF/SPARQLを用いて構築した統合ゲノムデータベースTogoGenomeとその可視化モジュールTogoStanzaを紹介する。さらに、汎用化したMetaStanzaによる任意のSPARQLの検索結果の可視化と、可視化の際に必要なd3spraql.jsによるデータの形式変換および、現在利用可能な生命科学・医科学分野のRDFデータセットについて解説した。
著者
西田 孝三 海津 一成 高橋 恒一
出版者
社団法人 可視化情報学会
雑誌
可視化情報学会誌 (ISSN:09164731)
巻号頁・発行日
vol.40, no.156, pp.8-13, 2020 (Released:2021-02-04)
参考文献数
13

オミクス研究データの増加により,それらとパスウェイの統合と可視化をソフトウェアで自動化することが必要になっている.パスウェイ可視化はカスタマイズ性の高さとウェブアプリケーション化が求められるが,多くの生命科学研究者にとってその開発で用いられるJavaScriptは敷居が高い.また多くのパスウェイ可視化ウェブアプリケーションは公開後の第三者による改変や新たな応用を見据えた設計にはなっていない.我々はWebコンポーネントのように再利用可能でカプセル化されたパスウェイ可視化ライブラリをPythonのダッシュボードフレームワークDash用に開発した.本稿ではパスウェイ可視化がいかなるものかに加え,従来のウェブアプリケーションとDashを用いたものがどう異なるかを我々が開発したソフトウェアDash-Pathwayの機能,応用を交え紹介する.
著者
長瀬 勝彦
出版者
The Academic Association for Organizational Science
雑誌
組織学会大会論文集 (ISSN:21868530)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.179-184, 2018 (Released:2018-12-27)
参考文献数
11

Previous findings on the relationship between psychological traits and procrastination are inconsistent. Same applies to the relationship between procrastination and performance. Some researchers have reported negative influences of procrastination on performance, some researchers have reported positive influences, and the others have reported no influences. It is partly due to the fact that prior research has explored only each of the two relationships. Additionally, the relationship between psychological traits and performance remains hidden from view. In order to overcome these limitations, this study investigates the relationships among psychological traits, procrastination, and performance. Steel(2011) presented a scale of procrastination and scales of three psychological traits (expectation, value, and impulsivity). I translated them into Japanese language and made some modest amendments in order to improve the suitability for Japanese students. Respondents were 160 sophomores (82 females, 78 males) of a university in Tokyo. Students answered the questionnaires and described their GPAs, which were used as the indicators of their academic performance. Structural equation modelling (SEM) revealed that impulsivity acted on procrastination and that procrastination acted on performance. Expectation and value did not have significant influences on procrastination. None of the psychological traits had significant direct influences on performance. The model fit statistics indicated CFI=.864, GFI=.806, and RMSEA=.058.
著者
城生 弘美 志自岐 康子 金 壽子 武 未希子 長塚 靖子 川村 佐和子
出版者
日本保健科学学会
雑誌
東京保健科学学会誌 (ISSN:13443844)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.167-170, 1999-03-20 (Released:2017-10-27)
被引用文献数
1

本研究は日常的手洗いに関する継続研究である。平成9年に日常的手洗いのうち5つの方法で手洗い前後の細菌数の変化を観察したが, 擦式アルコール消毒剤を用いた場合にのみ, 手洗い後の細菌数が減少していた。その他の方法で手洗い後に細菌数が増えた原因は, 手が十分乾燥していない状態で培地にスタンプをしたためと考えられた。そこで今回は, 擦式アルコール剤を除く他の4つの手洗い方法(流水5秒, 流水30秒, 固形石鹸, ポンプ式石鹸)で, 寒天培地接触法を用いて, 手洗い後の手の乾燥時間と細菌の除去効果との関連をみた。その結果, 細菌数は「手拭き直後」では流水5秒においてのみ手洗い前に比べ減少しており, 流水30秒・固形石鹸.ポンプ式石鹸においては, 増加する傾向にあった。しかし, 「手拭き後30秒」および「手拭き後60秒」では, 4つの方法いずれにおいても細菌数は減少しており, 除菌率にも有意な差が認められた。このことから, 手洗い後対象物に付着する細菌数は「手拭き直後」よりも「手拭き後30秒」以上経過し, 手を乾燥させた状態のほうが少ないことが明らかになった。
著者
Kosuke Ogata Chih-Hsiang Chang Yasushi Ishihama
出版者
The Mass Spectrometry Society of Japan
雑誌
Mass Spectrometry (ISSN:2187137X)
巻号頁・発行日
pp.A0093, (Released:2020-12-11)
参考文献数
47
被引用文献数
13

The insertion of ion mobility spectrometry (IMS) between LC and MS can improve peptide identification in both proteomics and phosphoproteomics by providing structural information that is complementary to LC and MS, because IMS separates ions on the basis of differences in their shapes and charge states. However, it is necessary to know how phosphate groups affect the peptide collision cross sections (CCS) in order to accurately predict phosphopeptide CCS values and to maximize the usefulness of IMS. In this work, we systematically characterized the CCS values of 4,433 pairs of mono-phosphopeptide and corresponding unphosphorylated peptide ions using trapped ion mobility spectrometry (TIMS). Nearly one-third of the mono-phosphopeptide ions evaluated here showed smaller CCS values than their unphosphorylated counterparts, even though phosphorylation results in a mass increase of 80 Da. Significant changes of CCS upon phosphorylation occurred mainly in structurally extended peptides with large numbers of basic groups, possibly reflecting intramolecular interactions between phosphate and basic groups.
著者
鈴木 宏昭 開 一夫
出版者
心理学評論刊行会
雑誌
心理学評論 (ISSN:03861058)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.211-232, 2003 (Released:2019-04-12)
被引用文献数
7
著者
渡部 真志 二宮 怜子 近藤 総一 鴨川 賢二 冨田 仁美 藤原 聡 奥田 文悟 岡本 憲省
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10714, (Released:2020-04-24)
参考文献数
18

要旨:症例は41 歳男性.習慣的に行っていた頸部回旋直後に後頸部痛を自覚した後,ふらつき,呂律困難,右半身の脱力が順に出現した.意識はJCS 1 で,右同名半盲,構音障害,右片麻痺,左上下肢の運動失調がみられた.頭部MRI,DWI で左小脳と左視床内側に急性期脳梗塞を認めた.頭頸部MRA ならびに造影CT にて右椎骨動脈解離による動脈原性塞栓症と診断した.脳血管撮影では左回旋位で右椎骨動脈の血流の途絶がみられた.撮影中,右頸部回旋時に後頸部痛を生じた.左椎骨動脈に狭窄性変化と右回旋位で血流の途絶を認めた.検査後から一過性の浮動感が出現した.翌日の頭部MRA にて新たに左椎骨動脈解離を認めたため,両側椎骨動脈解離によるbow hunter 症候群(BHS)と診断した.抗血小板剤内服と頸部硬性カラー装着にてBHS に関連する症状は速やかに改善した.頭蓋頸椎移行部における椎骨動脈解離を疑って脳血管撮影を行う際には,頸部回旋により新たな動脈解離を来す恐れがあることに最大限の注意を払うべきと考える.
著者
上瀬 由美子 松井 豊
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.170-179, 1996-03-30 (Released:2016-12-04)

The purpose of this study was to investigate the course of stereotype changes on cognitive, affective, and behavioral components. The blood-groups stereotype widespread in Japan was used for the study. One hundred and four female undergraduate students (average age 20.2) attended a lecture given by one of the authors concerning the denail of the blood-groups stereotype. For three times the students responded to the questionnaires about blood-groups stereotype: immediatelybefore, immediately after, and three months after the lecture. Statistically significant changes werefound in cognitive and affective components of the attitude, but not in the behavioral component. Although in the cognitive component the attitude changed in support of the 'bookkeeping model', inthe affective component some of the students changed according to 'conversion model'. The cognitive component did not change when 'subtyping' was formed.
著者
若林 大志 稲木 杏吏 廣正 智 森 博史 渡辺 悟 山瀬 喬史 赤谷 憲一 萱野 大樹 絹谷 清剛
出版者
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
雑誌
日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 (ISSN:21869545)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.255-258, 2018 (Released:2019-02-15)
参考文献数
19

手術不可能あるいは遠隔転移や局所再発を繰り返す悪性褐色細胞腫の治療として,131I-metaiodobenzylguanidine (MIBG)による内照射療法が行われる。131I-MIBGの腫瘍集積は極めて選択的かつ特異的であり,欧米では30年近い治療経験が蓄積されている。一方で,国内では放射線管理にかかる諸問題があり利用は限られていた。近年,悪性褐色細胞腫・パラガングリオーマに対する低用量131I-MIBG治療の多施設共同研究が先進医療Bとして実施され,2017年度には131I-MIBG治療の薬事承認取得を目的とした企業治験が国内で開始されるなど,131I-MIBG治療が我が国でも広がりつつある。本稿では131I-MIBG治療の現況と展望を紹介し,内照射療法の普及がよりいっそう進むことを期待する。