著者
七條 達弘 西本 真弓
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.229-236, 2003-09-30 (Released:2009-01-20)
参考文献数
14

近年、我が国では少子化が急速に進行している。国立社会保障・人口問題研究所の『日本の将来推計人口―平成13(2001)~62(2050)年―』(2002)では、出生力低下の主な原因として、有配偶率の低下に加え、若い世代の夫婦における出生児数の減少が新たに認められている。 そこで本稿では、若い世代の夫婦がどのような要因により子供数を決定するのかについて明らかにすることを分析目的としている。推定には、総務省統計局が1996年に実施した『平成8年 社会生活基本調査』のうち、妻が20歳以上40歳未満のサンプルを用い、若い世代の夫婦において子供数を減少させる要因について考察する。 推定結果から、若い世代の夫婦が、非就業あるいは就業時間が比較的短い母親と同居している場合に子供数が多くなる傾向があることが示された。よって、家事や育児に関する外部サービスの充実が子供数上昇を促すと考えられる。
著者
土井 康孝 辻田 美和 辻田 忠弘
出版者
甲南大学
雑誌
甲南大学紀要. 理工学編 (ISSN:13480383)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-26, 2003-07-31
被引用文献数
3

東洲斎写楽の現存する浮世絵版画141点のうち、第一期作28点は写楽の作品で最も人気があり、それらすべてが役者絵である。役者絵なので女性の絵もすべて男性が演じているものである。写楽は女性の絵画を1点も残していないとされている。しかしその女性絵画は男性が演じているにもかかわらず女性の特徴を持つ。そこで写楽の浮世絵版画の第一期作の役者絵を男女に分けて目に焦点を当てて分析をおこなった。ある男役の順に男女12種類の目を当てはめたものを作り、被験者10人に対して男性の目か女性の目かという判断を行った。その際、女性の目を男性の顔に当てはめても明らかに違和感があるものはなかったが、女性の目を男性の目と区別できる人が多かった。そこで判別分析を用いて目の形状から男女の目の判別を行った。その結果、F_x=4.713Z_1-2.804Z_2+2.274Z_3-2.788という線形判別関数で男女の目を判別することができた。そして男女の目の判別において目の交差角が最も影響を与えることがわかった。次に上で求めた線形判別関数に実際の数値を代入し結果を求めた。その結果、男性の目でありながら女性の目であると判別されたものは1点だけであった。この目は女性の目であると判断されることが多かった目であった。すなわち、すべて男性でありながら男役と女役ではそれぞれの目を用いて男女の区別を行い、役者の特徴を出していることがわかった。目の交差角の分布をもとに6グループに分類し各グループから1つずつ目を選び男女の順に当てはめたものを作った。それらを画面に一度に表示し、30ペア60種類の感情表現を表示し最も当てはまると思われる絵画を被験者に選んでもらうことから男女の目をいろいろと変えることによって、目だけを変えた役者からどのようなイメージをうけるかという実験結果を得た。その結果、男女どちらの場合であっても男役の目を当てはめたほうが多くのプラスイメージの感情表現を得ることができ、女役の目を当てはめたときにはマイナスイメージの感情表現を得た。また、ディスプレイ上に絵画を一枚ずつ表示し対になる感情表現を与えSD (Semantic Differential)法を用いて分析を行っても、女性の目を当てはめたときのほうがマイナスイメージを与えるということがわかった。
著者
羽鳥 隆英
出版者
京都大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2008

2009年度は、前年度末かち依頼を受けて編集部員として参加していた三省堂の出版企画『日本映画作品事典』(仮題、山根貞男/佐崎順昭編著、2010年刊行予定)のための調査が高く評価され、新たに署名入り原稿を多く執筆した。なかでも並木鏡太郎、佐々木康、渡辺邦男という、これまでの日本映画史の記述からは完全に漏れていた監督の作品解説を担当するなかで、一般にはアクセスすることが難しい彼らの膨大な作品群をほぼ網羅的に鑑賞し、またその同時代における批評言説の分析を通じて、日本映画におけるメロドラマ的想像力への知見を深めることができたのは幸運であった。とりわけ佐々木と渡辺はともに長谷川伸文学の映画化を複数回試みており、研究課題の遂行に益するところ大であった。また2009年10月からは、本年度より非常勤講師(映画研究担当)を務める京都造形芸術大学映画学科において長谷川伸の代表的な股旅物の戯曲『瞼の母』公演(2010年4月17日/18日、同大学高原校舎にて上演の予定)に演出補佐として参加した。この公演の独自性は男役・女役を問わず出演者全員が同学科の俳優専攻の女子学生である点にあり、女剣劇という日本文化史上の興味深い水脈の魅力を教えるだけでなく、メロドラマ研究における鍵概念(文化的性、身体、演技、異性装など)を再考察するうえでの貴重な機会となった。これらの成果を踏まえて、二本の研究論文を準備した。それは日本のメロドラマ映画史において独自の位置を占める映画作家・マキノ雅弘が長谷川伸の戯曲『刺青奇偶』を映画化した『いれずみ半太郎』(東映、1963年)のテクスト分析「運命《線》上に踊る男と女-マキノ雅弘『いれずみ半太郎』分析」(日本語版)および"Why Does Not Onaka Fall?: A Textual Analysis of Makino Masahiro's Odd and Even"(英語版)である。残念ながら年度内の発表はできなかったが、2010年前半までには両者とも査読制学術誌に投稿の予定である。
著者
西山 莉紗 竹内 広宜 渡辺 日出雄 那須川 哲哉
出版者
The Japanese Society for Artificial Intelligence
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.541-548, 2009
被引用文献数
1 2

It is important for R&D managers, consultants, and other people seeking broad knowledge in technology fields to survey technical literature such as research papers, white papers, and technology news articles. One of the important kinds of information for those people regards the effectiveness of new technologies in their own businesses. General search engines are good at selecting documents revealing the details of a specific technology or a technology field, but it is hard to obtain useful information about how a technology will apply to individual business cases from such search results. There is a need for a technology survey assistance tool that helps users find technologies with suitable capabilities. In this paper, two technical tasks were tackled to develop the prototype of this assistance tool: Extraction of advantage phrases and scoring for the advantage phrases to find novel applications in the target technology field. We describe a new method to identify advantage phrases in technical documents and our scoring function that gives higher scores to novel applications of the technology. The results of evaluations showed our phrase identification method with only a few phrasal patterns performs almost as well as human annotators, and the proposed scoring conforms better to the decisions made by professionals than random sort.
著者
上村大輔 久野琢也 鈴木翔太 濱川礼
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.279-281, 2011-03-02

本システムは,ストリーミング動画配信およびコミュニケーションを仮想空間で実現したシステムである.この仮想空間とは,ユーザの分身がインターネット上の電子空間に存在する仮想世界である.近年,注目されているUstreamなどのストリーミング動画配信サービスのコミュニケーションのあり方について考察し,より面白いものを作ることを目的とする.本システムをFlashによるウェブアプリケーションで実現した.動画通信はサーバに過度な負担を与えるため,Peer to Peer通信をすることで負担を軽減させている。Peer to Peer通信を実現するためにFlashのRTMFP(Real Time Media Flow Protocol)を利用している.
著者
丸森 寿夫 香村 俊武 宇根 司
出版者
筑波大学物理学系
雑誌
年次研究報告 (ISSN:09155317)
巻号頁・発行日
vol.1992, pp.17-20, 1993
著者
丸森 亮太朗
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

最先端成膜プロセス技術の一つ,マイクロ波プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)成膜技術により,白金加金表面へのチタニアコーティングを試みた.その結果,(1)結晶相の主要な生成物としてルチル型チタニアおよびTiOが認められた.(2)測色結果では,白金加金は金属色を十分に遮蔽しているとはいえない結果であった.(3)SEMによる観察では,等方性の結晶組織が観察された.
著者
森本 芳樹
出版者
公益財団法人史学会
雑誌
史學雜誌 (ISSN:00182478)
巻号頁・発行日
vol.107, no.3, pp.355-357, 1998-03-20
著者
坂東 昌子
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:07272997)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.255-264, 2006-06-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。
著者
村田 潤子 土井 勝美 小畠 秀浩 北原 糺 近藤 千雅 奥村 新一 久保 武
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.102, no.5, pp.605-612, 1999-05-20
被引用文献数
3 1

真珠腫性中耳炎の手術時に内耳に瘻孔が形成されていた症例についてその臨像を検討し, 特に瘻孔の位置や進展度と術前・術後の骨導聴力との相関について調べることを目的とした. 対象としては大阪労災病院耳鼻咽喉科, 大阪大学医学部耳鼻咽喉科, および関連各施設耳鼻咽喉科で平成4年から平成8年の間に初回手術を施行した症例のうち, 骨迷路にびらんまたは骨欠損がみられた症例を選び, 瘻孔の進展度にはDornhofferとMilewski<SUP>1) </SUP>の分類に準じてI, IIa, IIb, IIIの4段階に分類した. 内耳瘻孔症例としては, 進展度IIa以上の24症例24耳を対象とした. このうち半規管, 前庭にのみ瘻孔を有したのは21症例であった. 蝸牛に瘻孔を有したのは残りの3例で, すべて蝸牛に単独に瘻孔があり, 進展度はIIIであった. 軸位断での術前CT診断を施行していたのは14症例で, 内耳瘻孔についての陽性率は71.5% (10症例) であった. 術前骨導聴力は蝸牛に瘻孔を有した症例が, 半規管, 前庭に瘻孔を有した症例よりも悪かったが, 半規管, 前庭に瘻孔を有した症例の中で, 進展度による大きな差異はみられなかった. 全例に鼓室形成術を施行した. 半規管, 前庭に瘻孔を有した症例の中で, 進展度IIaの症例13例中で術後骨導聴力低下と判定されたのは2例 (15%) で, 進展度IIb以上の症例8例では, 3例 (38%) であった. このように, 進展度IIaの症例に比べてIIb以上の症例で術後に骨導聴力の悪化が起こりやすい傾向がみられた.
著者
Owada Michio
巻号頁・発行日
1991

Thesis--University of Tsukuba, D.Sc.(B), no. 674, 1991. 3. 25
著者
難波 功士
出版者
日本マス・コミュニケーション学会
雑誌
マス・コミュニケーション研究 (ISSN:13411306)
巻号頁・発行日
no.78, pp.19-33, 2011-01-31

In this paper I insist the increasing value of adopting media cultural studies, after I defined the media culture as peoples' ways of life surrounding by media based on the relative decline of situation of mass communication recently. And then as well as media cultural studies will refer to the recent condition of media actually, based on much wider perspective, I unfold the consideration about the essence of media and I also offer an opinion that they progresses by becoming both wheels.
著者
宇佐美 真一 工 穣 鈴木 伸嘉 茂木 英明 宮川 麻衣子 西尾 信哉
出版者
一般社団法人 日本耳科学会
雑誌
Otology Japan (ISSN:09172025)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.151-155, 2010 (Released:2011-11-30)
参考文献数
15
被引用文献数
10 8

低音域に残存聴力を有する高度感音難聴患者に対し人工内耳埋め込み術を施行した。症例は60歳女性。40歳頃から難聴を自覚した。50 歳頃からは右耳の補聴器の装用効果が認められなくなった。この症例にMED-EL社人工内耳(COMBI 40+:standard電極)埋め込み術を行った。電極挿入は、より低侵襲な正円窓からのアプローチにより行った。全電極を挿入したにもかかわらず、挿入後の低音部聴力が保存できた。残存聴力の保存が確認できたため、Electric acoustic stimulation用のスピーチプロセッサであるDUET®を用い、低音部は補聴器、高音部は人工内耳により音情報を送り込んだ。8ヶ月後の語音弁別能を評価した結果、術前15%であった最高明瞭度が50%にまで改善が認められ、日本語の聴取においても有用であることが明らかとなった。
著者
中野 浩
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.324-328, 1987-10-15

コンビーネーターを用いた作用的(applicative)プログラミングの実現系における実験から,2つのプログラミング技法を抽出する.また,これらの技法を,Lispにおける場合と比較し,コンビネーター法という新しいアーキテクチャにおいては,既存のものとは異なるプログラミング技法が有効であることを示す.
著者
Charles Riley
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告 デジタルドキュメント(DD) (ISSN:18840930)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.9, pp.1-8, 2011-01-14

In Africa, there are many countries where the official languages are written in Latin scripts, because of their historical formation. But their own writing systems has been developed since 19-20th century, and some of them are proposed to the international standards. The famous example is N'Ko script standardized in 2006. In this report, the status of the standardization for the scripts that are not standardized yet (Vah, Kpelle, Loma, Garay, Bete etc) is summarized.In Africa, there are many countries where the official languages are written in Latin scripts, because of their historical formation. But their own writing systems has been developed since 19-20th century, and some of them are proposed to the international standards. The famous example is N'Ko script standardized in 2006. In this report, the status of the standardization for the scripts that are not standardized yet (Vah, Kpelle, Loma, Garay, Bete etc) is summarized.
著者
宗近 秀夫
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.13-22, 2000-03-31
被引用文献数
6

子ども達の抱く溶解に関する既有概念を科学的概念に変容させるためには,どのような授業構成を行えばよいのか。また,どのような教授ストラテジーを採用すればよいのか。実験授業を通して理論的枠組みを明らかにしたいが,本研究は,そのための基礎研究として,広島県内の小学校第3学年から中学校第3学年までの児童・生徒2404名を対象に,小学校第5学年で扱う溶解学習事項について子ども達がどのような認識を持っているのかを実態調査したものである。調査結果より,以下の諸点が指摘できる。1.「透明か,透明でないか」という視点がないところでは,子ども達は自分の日常生活上の行為を基準にして「とける」という言葉を使い分けている。溶解学習において,溶液の透明性を強調することが重要である。2.小学校中・高学年を通して,50%以上の子ども達が粒子をイメージしている。粒子概念形成の教授方略の一つとして,小学校での粒子的イメージの導入の可能性は検討されてもよいであろう。3.溶液の均一性に関しては,小学生も中学生も共に認識は不十分である。また,飽和に関する認識も十分ではない。4.溶質の溶かし方に関しては,小学校中学年では多様な方法を考えるが,学年が進むにつれて加熱する,水を加える,攪拌するという方法に収束する。5.溶質の質量保存に関する理解も十分ではない。中学生でも,物は「とける」と重さが軽くなると考える子どもが多い。6.溶質の質量保存に関する理解が不十分な子どもは,砂糖や食塩,粉ミルクという溶質の違いによって溶かすと質量が変わると考えているようである。