著者
三宅 定明 吉田 栄充 高橋 邦彦 飯島 正雄 浦辺 研一
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.471-475, 2010 (Released:2010-08-27)
参考文献数
22
被引用文献数
1 1

γ線スペクトロメトリを用いて,日本に流通している健康食品(サプリメント)73検体の放射能調査(134Cs,137Cs及び40K)を実施した。134Csは全て不検出であった。137Csは9検体から検出され(2.3~190Bq/kg),キノコやブルーベリーなど137Cs濃度が高いと考えられる原材料を使用したサプリメントは,137Cs濃度が高い傾向があることがわかった。また40Kは56検体から検出された(17.6~11600Bq/kg)。137Csが検出されたサプリメントを1年間摂取した時の成人における137Csの預託実効線量は約2.9μSvであった。
著者
上野 修 永井 均 入不二 基義 古荘 真敬 青山 拓央 郡司 ペギオ幸夫 小山 悠 勝守 真 中野 昌宏 三平 正明 山田 友幸 重田 謙 入江 幸男
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

独在的<私>と独今的<いま>が非常によく似た仕方で現実概念の根本にあることが明らかとなった。<私>と<いま>が世界のどの個人、どの時点を開闢点とするかは偶然である。にもかかわらず、いったん開闢されるとその特異点は諸個人のうちの一人物と歴史時間の現在に位置づけられ、特異性を失う。そしてこのことがむしろ現実性の条件となっている。このような二重性は、言語の使用者がまさにその使用によって言語世界の限界内に位置づけられる、その仕方によって理解されねばならない。
著者
今倉 康宏 早藤 幸隆 曽根 直人
出版者
鳴門教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

(1)身近な素材を用いた異分野を効果的に関連・融合させた創造力・独創力開発型の広領域型科学実験教材の開発(教師教育)(2)教育現場・科学体験広場などでの学習効果の高い実践的検証(学校支援・教師教育)(3)学習者(教師)が学習資源を効果的に活用できる大学,公的研究機関,民間企業等と学校現場との連携のための環境整備の推進と提案
著者
門田 光司
出版者
日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.15-20, 1992-11-30
被引用文献数
1

9歳6ヵ月の自閉症男児にビデオ教材を用いて質問訓練を実施し、言語レパートリーの拡大と共に、その効果を調べた。ビデオ教材を用いた理由としては、写真よりも社会的事象の文脈が理解されやすいと考えたこと、見慣れた活動や人物を訓練刺激として用いるため、獲得された返答技能が訓練以外の自由な遊び場面でも使用される可能性が高いと考えたことによる。訓練効果の分析としては、獲得された返答技能が自由な遊び場面でも使用されるかどうか、未訓練刺激への般化状況や自由遊び場面における言語相互交渉への本訓練の効果などを調べた。結果は、言語レパートリーの拡大と新奇なビデオ教材への般化が見られたが、自由遊び場面への般化は見られなかった。しかし、これは本児が質問を無視する態度と関係しているように思われた。
著者
伊藤 敬 高橋 謙 大久保 利晃
出版者
産業医科大学学会
雑誌
産業医科大学雑誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.7-18, 1996-03-01

クロムメッキ作業従事者の健康影響についての調査はまだ十分になされていない。我々はクロムメッキ作業者の死因パターンの特徴を調べるために,東京都にあるメッキ工場の従業員1,193名を対象に16年間の追跡調査を行った。同集団をクロムメッキ作業者群(623名)と非クロムメッキ作業者群(567名)に分け,1976年10月から1992年12月まで追跡した。標準化死亡比(SMR)およびその95%信頼限界(95%CI)を統計学的評価に用いた。クロムメッキ作業従事者における慢性肝炎および肝硬変の死亡リスクについて統計学的に有意な上昇(SMR 2.34; 95%CI 1.17-4.19)と,肺がんのリスクの上昇傾向(SMR 1.18; 95%CI 0.99-3.04)が示された。非クロムメッキ作業従事者においては,死亡リスクに関する有意なリスクの上昇を認めたものは無かった。我々は,各疾患における死亡数が少ないことから,今後もさらなる追跡調査が必要であると結論した。
著者
小倉 剛 佐々木 健志 当山 昌直 嵩原 建二 仲地 学 石橋 治 川島 由次 織田 銑一
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.53-62, 2002 (Released:2008-07-23)
参考文献数
40
被引用文献数
4

沖縄島に移入されたジャワマングース(Herpestes javanicus)の食性と在来種への影響を把握するために,沖縄島の北部地域において捕獲した83頭のマングースの消化管内容物を分析した.餌動物の出現頻度と乾燥重量は,昆虫類(71%,88mg),爬虫類(18%,27mg)および貧毛類と軟体動物(12%,33mg)が高い値を示した.また,哺乳類,鳥類,両生類および昆虫類以外の節足動物もマングースに捕食され,マングースの餌動物は極めて多岐にわたっていた.マングースが捕食した餌動物の体重を算出すると,哺乳類,鳥類,爬虫類および昆虫類がほぼ均等の重量で消失していることが示唆された.一方,餌動物の個体数と繁殖力を考慮すると,爬虫類への影響は極めて大きいと考えられた.さらに餌動物として,固有種や絶滅のおそれが高い動物種が同定され,マングースがこれらの動物に直接影響を与えていることが明確になった.現状を放置すれば,海外の多くの島嶼で起こったマングースによる在来種の減少および絶滅が,沖縄島でも繰り返されることは明らかである.沖縄島では2002年3月までの予定で,やんばる地域に侵入したマングースの駆除が実施されているが,やんばる地域における駆除の完了は急務であり,これ以降の駆除事業の継続が強く望まれる.さらに駆除した地域へマングースを侵入させない方法を早急に確立する必要がある.
著者
塚脇 涼太 越 良子 樋口 匡貴 深田 博己
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.80, no.5, pp.397-404, 2009
被引用文献数
3

This study examined the motives for different expressions of humor. University students (<I>n</I>=286) completed a questionnaire regarding motives for three types of humor expressions: aggressive humor, self-disparaging humor, and playful humor. Exploratory and confirmatory factor analyses indicated that the motives for the expressions of humor could be classified into five types: relationship construction, transmitting dissatisfaction, supporting others, managing self-impression, or supporting self. ANOVA was conducted to examine differences in the strengths of the motives among the three types of humor expressions. The results indicated that the motive for transmitting dissatisfaction was stronger in aggressive humor expressions than in the two other types of humor expressions. On the other hand, the motive for supporting others was weaker in aggressive humor expressions than in the two other types of humor expressions. Moreover, the motive for supporting self was stronger in self-disparaging humor expression than in aggressive humor expression.
著者
山口 守 長堀 祐造 飯塚 容
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究は20世紀の中国現代文学がアジア各地域でどのように受容され、その結果が各地域間でどのように越境・変容していくかを探る多面的、多層的な研究である。この視点に基づいて、五四時期新文学から文革後の新時期文学、更には台湾文学・香港文学・南アジアの文学までを見渡して受容や交流の過程を探るため、2010年度に各地域の中文文学研究者を招聘して「第八回東アジア現代中文文学国際シンポジウム」(於:慶應義塾大学)を開催、更に2011年度にはその研究と議論をまとめた学術論文集『跨海的東亜現代文学:漂泊・流亡・留学』を刊行した。この一連の研究活動を通して、中国語が越境することで生成する「中文文学」という新たな枠組みについて研究展望を切り開くことができたことも成果のひとつに上げられる。
著者
江花 昭一
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.655-661, 2005-09-01
被引用文献数
4

医療施設に勤務する心理士は, 初診時のインテーク面接, 心理的査定, 心理療法などの活動を担っている.したがって医師が心理士に求めるものの第一は, それらの業務の遂行に必要とされる専門的知識と技術である.また医療施設に勤務する心理士は, 医師, 看護師と並んでチーム医療の柱である.したがって医師が心理士に求めるものの第二は, チーム医療の運営への協力であり, そのために必要な知識と技術である.さらに医療施設での心理士の業務は, 医療の一環という面をもち, 心理士も潜在的には診療の補助者と位置づけられる.したがって医師が心理士に求めるものの第三は, 診療補助者として必要な法的, 医学的知識である.上記の課題を十分に達成するためには, 医療福祉分野の心理士の国家資格制度が整備されなければならないものと考えられる.
著者
戸所 隆
出版者
高崎経済大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

地域主権の視点から知識情報社会の国土形成に適した大型公共事業・社会基盤整備の在り方を研究した。この研究は従来の中央集権型地域政策でなく地方分権型地域政策の視点から、国土政策の思考過程を都市の論理と村落の論理の対立から両者を止揚して把握することに努めた。具体的には八ッ場ダム建設や新幹線建設などを例に、大型公共事業の整備やその建設中止・延期が地域づくりや国土構造形成に与える影響を研究し、地域主権に基づく地域開発哲学の在り方を検討した。その結果、次の結果を得た。工業化社会から知識情報化社会への転換し、人口縮減時代に入った日本は、市民も行政も混乱しており、国民、とりわけ若者に夢と希望を持って住みたい・働きたい社会・まちを創ろうとする新しい開発哲学・まちづくり哲学が不可欠となっている。かかる開発哲学に基づいた地域論の構築には、"ものづくり"中心の社会構造から"ものづくり"を基盤に"ひとづくり"・"時間づくり"に重点を移した社会構造にする必要がある。また、交流・情報・文化・創造・個性化・コンパクト化・国際化・多様化・ボーダレス化・地域連携をキーワードに、地域性を無視した大規模開発から地域資源を活かした地域づくりへの転換が求められる。かかる開発手法は、資本の論理・生産者の論理・強者の論理による地域経営から地域の論理・消費者の論理・弱者の論理に重点を置いた地域経営への転換を意味する。そのためには統治形態を中央集権型から地方分権型へと転換させ、地域主権を確立するための新たな開発哲学を創造する必要がある。また、新たな開発哲学に基づく地域づくり・まちづくりに努め、21世紀のあるべき国のかたちへと日本を再構築しなければならない。東日本大震災の復興には新しい開発哲学に基づいた復興グランドデザインを構築して推進する必要がある。そのためにも、この開発哲学に関する研究を更に深化させることが重要である。
著者
相澤 益男
出版者
つくば3Eフォーラム委員会
雑誌
第4回つくば3Eフォーラム会議 プログラム
巻号頁・発行日
2010

第4回つくば3Eフォーラム会議 筑波大学大学会館 2010年12月12日(日)
著者
茂出木 敏雄 千葉 誠
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.37, pp.89-96, 2007-05-10

筆者らは、音源に携帯電話を向けるだけで情報が抽出できる音楽電子透かし技術の開発を進めている。そのためには、ヒトの聴感特性が鋭敏な音域を改変せざるを得ず、埋め込みノイズをいかにして抑圧するかが課題であった。これまで、筆者らは2チャンネル・ステレオ再生を応用して、データを埋め込んだL側スピーカで発生するノイズをR側スピーカで相殺する手法を提案してきた。しかし、音源から離れた位置で抽出することが難しいといった運用上の問題を抱えていた。本橋では、R側の雑音抑圧信号をL側に多重化し、更に視聴者に音脈分凝を誘導することにより埋め込みノイズを低減させ、モノラル再生で運用を可能にした改良手法について提案する。
著者
大成 高顕
出版者
Waseda University
巻号頁・発行日
2004

3DCG技術の発展により、映画などのちょっとしたシーンでも3Dグラフィックスが使われ、実際に撮影した映像と殆ど見分けのつかない映像をつくることが可能になってきている。このようなフォトリアリスティクな手法が進歩する中、アニメや漫画のように写真的でない映像を作る手法が生まれてきた。その中でも代表的な手法に「トゥーンレンダリング」がある。本研究の目的は、トゥーンレンダリングを、DirectXを用いて、実際に行なってみることでDirectXの使用に慣れるとともに、1つのモデルを利用し、多方向からの描画をアニメ的漫画的に違和感なく表現する方法についての模索を行なうことである。3Dでモデルをつくり、それをトゥーンレンダリングで違和感なく表現できるのなら、モデルを使いまわすことができ、描画という点に関して、かなりの負担軽減になるのではないだろうかと考えている。