著者
内野 克喜 山村 喜一 齋藤 侑也 磯崎 貞夫 田村 善藏 中川 冨士雄 関根 一雄 小島 至
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.104, no.10, pp.1101-1107, 1984-10-25 (Released:2008-05-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 3

We developed a simultaneous detection method of 9 kinds of diuretics in the urine by using thin-layer chromatographic (TLC) method and/or high-performance liquid chromatographic (HPLC) method. The diuretic drugs were extracted from the urine according to modified Tisdall et al. method by use of 1M phosphate buffer and ethylacetate. The TLC method was performed with a commercially available chromatographic plate containing mixed fluorescent substance and isopropyl alcohol-ammonia mixture as a development solvent. The HPLC method was accomplished with UV detection at 271nm. To examine the limit of detection of the methods, normal subjects were individually administered with commercially available tablets of 11 kinds of diuretics, 9 drugs were detected from 24 h urine of normal subjects. However, 2 drugs were not detected. By applying these methods to urine samples of female patients with hypokalemia, furosemide (FD) and trichlormethiazide (TCT) were detected. The chromatographic peak of FD on HPLC method was further assigned by mass spectrometry. The quantitative determination of TCT in the urine was also developed by HPLC method, and the urine concentration in a patient with self-administration of TCT was 0.80μg/ml.
著者
酒井 正俊 飯田 三郎 森下 愛文 吉田 健 橋口 治 赤星 玄夫 藤仙 重俊 相良 勝郎 佐藤 辰男
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.28, no.9, pp.1238-1243, 1987-09-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

市販鎮痛剤の乱用によると考えられる劇症肝炎の39歳女性の1救命例を報告した.20歳頃より生理痛・頭痛のため,ブロム剤を20錠/日服用していた.36歳時,突然頭痛,全身痙攣を来たし,近医にて頭部CT上脳萎縮を指摘された.以後,セデスAを多い時で40錠/日服用するようになった.1週間来の全身倦怠感,頭痛,下痢に気付き,肝障害・prothrombin時間の延長あり,劇症肝炎を疑われ昭和60年8月18日当院に入院した.血漿交換,glucagon・insulin療法により救命し,第26病日の腹腔鏡下肝生検では急性肝炎再生像であった.しかし,第12病日よりJackson型の痙攣が出現し,第80病日の頭部CTで前頭葉の萎縮を認めた.劇症肝炎の成因として,IgM-HBc抗体およびIgM-HA抗体は共に陰性であることより,乱用していた鎮痛薬に含まれるacetaminophenの関与が推測された.脳萎縮はすでに3年前にみられており,稀であるがブロム剤によるものと思われた.
著者
佐藤 晋也 飯田 勝彦 高橋 憲正 菅谷 啓之 酒井 大輔 三枝 奨
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.159-163, 2020-04-30 (Released:2020-06-05)
参考文献数
13

本研究は僧帽筋下部に対して実践している筋力トレーニングの筋電図解析を行い,トレーニングの比較・検討を行うことを目的とした.対象は健常男性9名で,僧帽筋下部に対するトレーニング3種目(エクササイズ「Y」・「A」・「U」)を実施し,僧帽筋上部・中部・下部・三角筋後部の筋活動の%MVCの比較を行った.「Y」は「U」・「A」よりもすべての筋において有意に高い筋活動を示し,「U」は「A」よりもすべての筋において有意に高い筋活動を示した.以上の結果から「Y」は僧帽筋下部の強化に最も期待ができると考えられ,「U」は胸椎の伸展可動性を引き出しながら僧帽筋下部の強化を行う場合有効なトレーニングと考える.

4 0 0 0 放送教育

出版者
日本放送教育協会
巻号頁・発行日
vol.55(2), no.625, 2000-05
著者
M.J. Rhee
出版者
Ashgate
巻号頁・発行日
1997
著者
村田 勇太 和智 道生 治郎丸 卓三 大西 均 藤谷 亮 野口 真一 布留 守敏
出版者
The Society of Physical Therapy Science
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.289-293, 2023 (Released:2023-08-15)
参考文献数
14

〔目的〕ライフキネティックトレーニング(LKⓇ)の介入を行い,視覚機能と視覚と身体コントロールの協調性に対する効果の検証を行うこと.〔対象と方法〕対象者は,高校サッカー部に所属する男性52名とした.一般的なサッカーのトレーニングに加え,60分間のLKⓇを週1回,12週間連続で行うLKⓇ群と,一般的なサッカーのトレーニングのみを行うCON群に無作為に分類し,選択反応回数と周辺視野を計測した.〔結果〕LKⓇ群で選択反応回数,周辺視野ともに有意に増加を認めた.〔結語〕LKⓇによりサッカー選手の選択反応回数,周辺視野は向上することが示唆された.
著者
谷口 義明
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.69, no.11, pp.744-752, 2014-11-05 (Released:2018-09-30)

私たちは銀河系(天の川銀河)という銀河に住んでいる.銀河系には約2,000億個もの星があり,その大きさは10万光年にも及ぶ(1光年は光が1年間に進む距離で,約10兆km).宇宙には銀河系のような銀河が1,000億個程度あると考えられている.銀河には渦巻構造を持つ円盤銀河と回転楕円体構造を持つ楕円銀河(天球面に投影して観測すると見かけ上が楕円に見えるため楕円銀河と呼ばれる)がある.円盤銀河の円盤はもちろん回転運動をしている.楕円銀河の構造は星々のランダム運動(速度分散)でサポートされている場合が多いが,少なからず回転運動もしている.角運動量を持たない銀河はないということである.回転している銀河には中心があり,その場所は銀河中心核と呼ばれる.確かに銀河の写真を見てみると,銀河の中心部は明るい.そこには星の集団があるのだろうと考えられていたが,どうもそうではないケースがあることがわかった.1960年代のことである.銀河の中には,中心部が異様に明るく輝いているものがあり,それらは活動銀河中心核と呼ばれる.これらの中心核から放射されるエネルギー量は星の集団では説明できない.そのため,超大質量ブラックホールによる重力発電が有力なエネルギー源であると考えられるようになった.つまり,銀河中心核にある超大質量ブラックホールに星やガスが降着し(質量降着と呼ばれる),そのときに解放される重力エネルギーを電磁波に変換して明るく輝いているというアイデアである.では,活動銀河核を持つ銀河は特別で,普通の銀河の中心核には超大質量ブラックホールはないのだろうか?答えはノーである.最近の10数年の研究によって,ほとんどすべての銀河の中心には超大質量ブラックホールが存在することが明らかになってきたのである.その結果,驚くべきことがわかった.超大質量ブラックホールの質量は銀河の回転楕円体成分(スフェロイド:円盤銀河の場合はバルジと呼ばれる構造であり,楕円銀河の場合は銀河本体)の質量と非常に良い比例関係を示すことである.両者のサイズは約10桁も異なっているので,なぜこのような驚くべき関係があるのか大きな問題としてクローズアップされたのである.なぜなら,この事実は,ブラックホールが銀河と共に進化してきたことを意味するからだ.ブラックホールの重力圏は銀河のスケールに比べれば極端に小さいので,共進化はブラックホールと銀河とがお互いに何らかのフィードバックを与えつつ進化してきたことを意味する.さらに,最近では,宇宙の年齢がわずか8億歳の頃に,太陽質量の10億倍を超える超大質量ブラックホールが既に形成されていることが発見され,その起源も謎となっている.このような超大質量ブラックホールを短期間で作るには,種となるブラックホールの形成のみならず,どのような物理過程でブラックホールが大質量を獲得していくのかは不明のままである.銀河衝突などのトリガーの要素も取り入れた研究が行われている.本稿では,観測的な進展も合わせて,超大質量ブラックホールと銀河の共進化についての現状を解説し,今後の研究の展望について言及する.
著者
蒋 宏偉 佐藤 廉也 横山 智 西本 太
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.324-338, 2023 (Released:2023-08-18)
参考文献数
15
被引用文献数
1

焼畑・漁労・狩猟・採集を生業としているラオス中部の少数民族マンコン集落において,雨季・乾季に分け,成人住民を中心とする生活時間配分調査を行い,主に(1)想起法によって収集した経時的な活動内容の記録,(2)GPSロガーによる生活活動空間情報の記録,および(3)身体活動に費やすエネルギーの加速度計による記録,の3つのデータを収集した.データの分析結果は,労働時間配分における成人男女の分業および男女活動範囲とその相違といった生活活動の時空間パターンを明らかにした.さらに,開発が急ピッチで進んでいるラオス中部地域に生活している焼畑農耕民の各種の生業間の時間配分のつり合いから対象地域の土地利用と生業の変化の解明に重要な手掛かりを提供した.
著者
Taiki Kobayashi Moe Kitoh Dmitry A. Filatov Yusuke Kazama
出版者
Japan Mendel Society, International Society of Cytology
雑誌
CYTOLOGIA (ISSN:00114545)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.91-94, 2023-06-25 (Released:2023-06-24)
参考文献数
49

White campion (Silene latifolia, Caryophyllaceae) is a classical model species for studies of sex determination and sex chromosome evolution in dioecious plants. Deletion mapping in this species revealed the presence of two Y-linked sex determining genes—the stamen promoting factor (SPF) gene and a gynoecium suppressing factor (GSF), which inspired the development of the classic ‘two genes’ model for dioecy evolution. We recently identified a Y-linked GSFY gene that encodes a CLAVATA3 homolog and causes gynoecium suppression in S. latifolia via WUSCHEL-CLAVATA feedback loop. Interestingly, the WUSCHEL homolog in S. latifolia (SlWUS1) is also sex-linked and both GSFY and SlWUS1 are located in the oldest part of the sex chromosomes, suggesting that selection to prevent recombination between these genes may have contributed to the origination of sex chromosomes in this species. The WUS-CLV3 pathway is also involved in the sexual differentiation of gynoecium development in kiwifruits and melon, indicating that this pathway plays central role in gynoecium suppression in dioecious and monoecious plants.
著者
吉田 雅博
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.88, no.Extra1, pp.E35-E37, 2018-01-31 (Released:2018-02-28)
参考文献数
8
被引用文献数
1

It is important to develop clear and reliable clinical practice guidelines through consensus. It is thought that this way of thinking should be considered with the selection of the member, the scope establishment, conflict of interest management, a systematic review, recommended making, and all finalized processes throughout.The Delphi method is known as one of the effective and popular consensus formation methods. However, it has rarely been used in the development of guidelines. Therefore, I investigated the utility of the Delphi method for this purpose.In this method, an expert votes independently on each theme, and subsequent votes are gathered based on these results, until consensus is achieved.Delphi is the name of a place in ancient Greece that housed the temple of Apollo, which is famous for an oracle. This method was named after this place because it was believed that the process involved the use of expertise to arrive at the truth (the Delphi oracle) that was known only by the Almighty God.
著者
駒井 洋
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2, pp.188-203, 2015 (Released:2016-09-30)
参考文献数
38
被引用文献数
1

本稿は, 日本に滞在する外国人移民を対象とする1980年代後半以降の主要な社会学的実証研究が, 日本の移民政策にたいしてどのような貢献をしたか, あるいはできなかったかを検討することを課題とする.日本の移民政策は, 1990年に改定施行された「出入国管理および難民認定法」により基本的方向が定められたので, 「90年体制」と呼ばれることが多い. この体制のもとでは, 移民管理政策ばかりがひとり歩きし, 包括的な移民統合政策はほとんど存在していない.90年体制は, 日系人と研修生・技能実習生を労働力として活用する道を開いた. また, いわゆる「単純労働者」は受けいれないとしたため, 非正規に滞在する外国人労働者が激増した. このような状況に対応して, 移民の社会学的研究の関心が向けられた主要な領域は, 外国人労働者の就労と生活, 移民の集住と地域社会研究, 移民のエスニック集団ごとの個別的適応様態, 移民第2世代の教育問題, 移民にたいする政治的権利の付与という5つに集約することができる.移民の社会学的研究あるいは研究者による, 非正規滞在者の部分的救済や地域的対応ないし自治体の外国人政策にたいする積極的寄与などの貢献はあった. しかしながら, 包括的な移民統合政策への道をどのように打開するかという社会学者の展望はほとんど開けていない.

4 0 0 0 OA PENTAX K-1の開発

著者
大久保 恵慈
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.80, no.3, pp.229-234, 2017 (Released:2018-08-31)

リコーはペンタックスブランド初の35ミリフルサイズデジタル一眼レフとしてPENTAX K-1を開発した.35ミリフルサイズフォーマットの撮像素子を採用するに至った背景とPENTAX K-1の特徴的な機能について解説する.
著者
宮本 聖二
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.4, pp.236-243, 2021-10-01 (Released:2021-11-15)
参考文献数
4

アジア太平洋戦争は、国家総動員の掛け声のもとで行われ、その戦争を人々が受け入れるにあたっては教育やメディアなどを通して様々な共通意識が醸成されていったと言える。そして、戦争体験者の言葉を読み解くことで、その意識とはどのようなものだったのかを浮かび上がらせることができないだろうか。デジタルアーカイブ化で公開されている戦争体験者の証言からキーワードを取り出して、その言葉がどのような文脈とともに紡ぎ出されたのかを見ていき、人々の戦争との向き合い方を探るオーラルヒストリーの実践を試みる。
著者
会田 薫子
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.446-455, 2022-10-25 (Released:2022-12-06)
参考文献数
35

長寿化に伴い医学的・倫理的に新たな課題が生じている.従来,末期腎不全患者には腎代替療法として血液透析を中心とする透析療法が行われてきた.しかし,高齢者のなかには体外循環に忍容性を持たない患者が少なくなく,血液透析によって益よりも害がもたらされる場合もあると報告されるようになってきた.老化が進行した高齢患者に対しては血液透析よりも対症療法と緩和ケアを軸とする保存的腎臓療法(conservative kidney management:CKM)のほうが生命予後と機能予後およびQOLに関して優位という報告もみられるようになってきた.こうした知見を背景に,西洋諸国ではCKMへのアクセスが拡大している.日本でも『高齢腎不全患者のための保存的腎臓療法―CKMの考え方と実践』(2022)が刊行された.これは日本における最初の「CKMガイド」である.暦年齢だけでなく高齢者総合機能評価等を踏まえた療法選択が望まれる.療法選択に関する意思決定支援について,同「ガイド」は共同意思決定(shared decision-making:SDM)を推奨している.SDMでは医療・ケアチーム側からは医療・ケアの情報を患者・家族側に伝え,患者側は自らの生活と人生の物語りに関する情報を医療・ケアチーム側に伝える.双方はコミュニケーションをとりつつ,患者の価値観・人生観を反映した物語りの視点で最善の選択に至ることを目指す.SDMのプロセスをともにたどりつつ,将来,本人が人生の最終段階に至り意思決定能力が不十分となった場合に備え,本人の医療・ケアに関する意向を事前に把握するために双方で対話を繰り返しておくと,それがアドバンス・ケア・プランニング(advance care planning:ACP)になる.ACPの適切な実施は最期まで本人らしく生きることを支援する.