著者
高木 裕 石田 美紀 番場 俊 逸見 龍生
出版者
新潟大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

2015年4月25日に、京都国際マンガミュージアム、京都精華大学国際マンガ研究センターとの共催で国際シンポジウム「ANIMEのアイデンティティ:表現・物語・メディア」を開催し、アニメの〈声〉の表現様態と、そこに立ち現れる主体の擬似的な経験の特質について事例報告をもとに、討議と行った。アニメの場合、〈声〉の源となる仮想の身体の生成には、それに呼応する観客・視聴者・聴取者においても〈声〉の経験が不可欠であることを確認した。
著者
菱田 雅晴 天児 慧 高原 明生 厳 善平 唐 亮 Wank David 朱 建栄 大島 一二 諏訪 一幸 趙 宏偉 加茂 具樹 小嶋 華津子 福田 円 油本 真理 南 裕子 中岡 まり 岡田 実 鈴木 隆 呉 茂松 毛里 和子
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、パラドキシカルな中国の腐敗現象を対象として、1)刺激・行為間の誘引/制約に関するインセンティブ・システムおよび市場体制・行政機構の未発現情況に焦点をあてた制度論に依る実態論分析と2)腐敗学構築のための一般分析ツール開発とその検証・適用の両者から構成される。本年度にあっては、既往年度と同様に、研究分担者、連携研究者および研究協力者等から構成される研究組織(=廉政研究会)を法政大学中国基層政治研究所内に設置し、研究計画の全体調整および班別研究組織体制の再確認を行った上で、各種腐敗現象のビジネス領域との関わりに焦点をあてることを本年度課題の核として設定し、各国・地域における経済腐敗、不正ビジネスの構造の検討を行なうこととした。併せて、中国的腐敗の具体的個別事案の事例蒐集を進めると同時に政治社会学的手法に基づく腐敗関知度/寛容度に関する広範なアンケート調査を実施すべく調査票の設計等準備作業を本格化させた。また、中国の腐敗現象に関わる事案、データを中国内外から広く蒐集し、事例研究を進めると共に党・国家による反腐敗のさまざまな法律、制度規定類を併せ蒐集分類することで、公権力の行使に関わる公務員、党幹部らの内部昇任、賞罰制度、登用制度、各級党組織間の関係、更には、“党政関係”(党と行政機関との関係)、“党企関係”(党政機関と市場諸組織・アクター間の関係)等々のあらゆる組織内規定、規則、ルールを検討した。これらの作業を通じ、腐敗現象そのものをどのように把捉すべきか、腐敗研究の原点を再確認することができた。
著者
関谷 昇
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究は、プロテスタントの拠点であった東フリースラントのエムデン(神聖ローマ帝国北西部)で活躍したヨハネス・アルトジウス(1557-1638)の政治思想を本格的に考察するものである。彼は、宿敵ボダンとは異なる新たな主権論の軸に、水平的・重層的・分権的な政治秩序を構想していた。そこには、アリストテレスやローマ法の受容、中世団体論の影響が色濃く見られ、絶対主権の支配ではなく、主権者(立法者)と統治者(執行者)との双方向的な関係のダイナミズムが見出される。究極的な価値対立の時代において、いかなる政治を通じて共生の秩序を具現化しようとしたのか、主権国家のオルタナティヴとして、その核心に迫る。
著者
茂木 謙之介
出版者
東北大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、戦後から現代の天皇・皇族・皇室の表象について、特にポップカルチャーにおけるイメージを中心的に検討し、その様相を明らかにすることを目的とする。特に2010年代以降、ポップカルチャーにおける天皇表象の数は増加傾向をたどっている。これらは時に皇室に関するオカルト的想像力を喚起し、また時に同時代の歴史認識問題を浮き彫りにするものであり、現在の皇室をめぐる状況を考察する上で欠かすことのできない。本研究では特に昭和天皇と皇族女子の表象を中心的に検討し、同時代の主要メディアや絵画・映画・文学における天皇・皇族・皇室表象と比較を試み、それらを通して従来の近現代天皇制研究を刷新する。
著者
金坂 清則
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1996

R.H.ブラントンの名は日本の灯台建設の父として知られ、幾つもの研究があるが、彼が作成した地図類、特に、帰国後に編纂しロンドンで出版した日本図Nippon〔Japan〕(1876)については、従来ほとんど注目されてこなかった。しかし、この図は、当時日本で出版されていた日本図のどれよりもすぐれた内容を備えた作品として、またブラントンのお雇い外国人としての事績が明確に盛り込まれた図として注目に値する。やはりお雇い外国人であったE.クニッピングの編になる日本図Stanford's Library Map of Japanが出版されたこの3年後の時点では、既に陸軍参謀局「大日本全図」(1877)は出ていたものの、内務省地理局編「大日本国全図」が出版されたのは1881年のことだったし、当時の日本に存在した大部分の日本図の水準はこれら欧州製日本図の水準を下回るものだった。このようないわば逆転現象が生じたのは、何よりもブラントンやクニッピングがお雇い外国人の立場を生かして、国の基本地図の整備を急務としていた当時の国家機関がその作成のために収集・保持していた最高の地図情報-それには伊能図、「官板実測日本地図」も含まれる-もを入手することができたからである。また、そのようなローマ字表記された日本図の需要があったことも無視できない。そこで、本研究では、近代日本図に関する研究の立ち遅れの克服とブラントン研究の展開をも目指して、ブラントン図に関する詳細な書誌的・地図学的検討を行い、新たな多くの知見を提示した。この成果については、雑誌「地図」に発表し、そこに、原寸大の精巧な複製図4シートを併せ出版することになっているが、このような研究のために、精緻な複製図の見本印刷を作成したり、国会図書館や内閣文庫・神戸市立博物館・横浜開港資料館での調査と、写真や複写の形で収集した所蔵資料の分析を行い、また、当時の世界の地図や地理学の水準を示す書籍を購入しての検討も行った。
著者
竹内 健互
出版者
駿河台大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

刑罰論は従来、応報刑論と目的刑論の対立軸の中で争われてきたが、近時、刑罰のコミュニケーション的意味に着目する「表出的刑罰論」というアプローチが主張されている。そこで、本研究では、まず、 犯罪に対する非難や否認の表出を刑罰の本質と捉える表出的刑罰論において、害悪賦課としての「科刑」は必要か、非難表出の権限が「国家」に帰属する根拠は何か、刑罰の名宛人は誰かを解明することを通じて、表出的刑罰論のあり方と課題を詳らかにする。また、表出的刑罰論では、功績概念を用いるなど、応報刑論との類似性が見られることから、両者の関係を明らかにし、表出的刑罰論が「第三の刑罰理論」たり得るかについて解明する。
著者
吉川 圭二
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

過去3年にわたって、量子宇宙における相転移とゲージ対称性の起源を追求する目的で始めた本研究は、後者の問題に関して物理的および数学的な基本問題を解決することができたこと(以下の項目1)、前者に関しては2次元宇宙模型に於てではあるが4次元問題にも共通して現れると考えられる極めて興味深い結果が得られた(項目2)。1.素粒子の相互作用のゲージ対称性は、一般には理論構成の原理として最初に仮定されるもので、高エネルギーではその全対称性が観測されるが、低エネルギーでは対称性の自発的破れによって、より低い対称性が観測されるのが一般である。しかしこの研究では、逆に高エネルギー領域の対称性よりも低エネルギーの対称性が高くなる例があることを発見し、そのゲージ対称性の発生機構を解明した。それはBerry位相機構で、従来はこの機構ではゲージ場の運動エネルギー項が生成されないとされていた。ここでは、その運動エネルギー項の誘発機構を例示し一般の条件を示した。具体的には、6次元時空におけるU(1)ゲージ理論がKaluza-Klein機構によって4次元時空と2次元のgenusがgのRiemann面の積にコンパクト化した場合、4次元空間におけるゲージ対称性はU(1)のg個の直積になる。これはKaluza-Klein機構とは別のもので、運動エネルギー項はRiemann面のソレノイド・ポテンシャルの自由度が転化する。この新機構は他の位相的に単純でない空間にも適用できるので、現在の標準理論の持つゲージ対称性が全てこの機構で誘発されている可能性も考えられ、今後の研究に大きな示唆を得ることができた。2.一方絃理論に関しては、従来非臨界次元の絃理論が2次元の量子宇宙論の模型として研究されていたのに対して、ここでは臨界次元の絃模型を2次元量子宇宙模型として解釈することで、宇宙の生成消滅や分離された一つの宇宙の持つ自由度などを求めた。とくに、1つの宇宙に棲む知的生物が観測し得る物理量を特定した点は重要な成果である。3.量子宇宙に関しては、3次元のChern-Simons重力理論において、トーラス、de Sitter及びanti-de Sitter宇宙解の古典的及び量子論的発展問題を論じた。
著者
東田 千尋
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

脊髄損傷マウスの慢性期にニクジュヨウエキスを経口投与すると運動機能と骨格筋萎縮が改善すること、廃用性筋萎縮マウスにニクジュヨウエキスを経口投与すると歩行機能が改善することを明らかにした。エキス中の活性成分のacteosideは骨格筋に移行するとPKM2を分泌させ、PKM2は脳に到達してVCP刺激を介して軸索伸展させる。またacteosideが脳に移行すると神経細胞に直接作用しAktやMEKを介して軸索伸展を促す。臨床研究では、ニクジュヨウエキス服用によりロコモティブシンドロームの歩行機能が改善することが示された。
著者
今井 正司
出版者
名古屋学芸大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

注意制御とメタ認知(detached mindfulness:DM)がストレスに及ぼす影響について、小学生から大学生を対象に調査を行った。多母集団同時分析の結果、年齢が高いほど、注意制御や DMがストレス防御要因になることや、QOLの促進に寄与することが明らかとなり、特に、疲労症状において顕著な結果が示された。これらの結果をもとに、小学生と大学生を対象に、注意訓練課題を実施している際の前頭前野の活動性をNIRSによって測定し、疲労との関連性について検討した。その結果、小学生の疲労は前頭前野が過活動になりやすいことが要因であり、大学生の疲労は沈静化が促進されないことが要因であることが示唆された。
著者
櫻井 智美 森田 憲司 飯山 知保 渡辺 健哉
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

従前の石刻研究による基礎データと『全元文』を主に利用し、元は宋・遼・西夏・金の制度をどのように継承したのか、南北に差はあるのか、そして、元の制度はどのように明に引き継がれ、また影響を与えたのか、というような、朝代を越えた制度の関係性を明らかにするために、元代の粛政廉訪司を初めとする監察機関といくつかの地方都市行政組織に注目して、その成立・変遷・解体の様相を明らかにする。
著者
益田 喜和子
出版者
慶應義塾大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2022-04-22

台湾の先住民族による汎エスニシティは、1980年代の権利回復を求める原住民族運動を端緒に顕在化した。こうした異なる民族を「原住民族」としてまとめ上げる汎原住民意識は、既往研究において、運動における政治的戦略としての側面が強調され、その役割や機能が分析されてきた。一方、汎原住民意識の顕現や「都市原住民」の増加に伴い、現代の原住民諸民族間の関係や人々の帰属意識がいかに変化しているのかについては十分に明らかにされていない。本研究では、現代台湾の都市における汎原住民族規模の団体や異なる民族の共住関係に着目することを通じて、汎原住民意識が都市原住民の間でいかに共有・維持されているのかを明らかにしていく。
著者
丹羽 太貫
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

放射線照射精子受精でうまれたF1マウスでは、初期胚・胎児発生期において母親由来の遺伝子における組換え突然変異頻度が上昇していることが、超可変ミニサテライト配列と網膜色素上皮細胞におけるpink-eyed unstable遺伝子の復帰突然変異の解析により明らかになった。これは精子が持ち込んだDNA損傷がゲノム不安定性を誘導し、2次的に突然変異頻度が上昇したためと考えられる。この機構を明らかにするため、照射精子受精卵について解析したところ、まず受精卵においては照射された精子がもちこむDNA損傷によって雌性前核に微小注入したp53依存性転写レポーター遺伝子が活性化されることが明らかになった。この細胞質を介してみられるp53依存性のゲノムクロストークの生物学的な機能を解析したところ、これまで知られていなかったp53依存性のSチェックポイントの存在が明らかになった。マウスの初代培養繊維芽細胞を用いた解析から、このp53依存性SチェックポイントはATM依存的損傷シグナル伝達のもとに、DNA複製フォークの進行を遅くさせる機能を果たすことが示された。このSチェックポイントにはp53のDNA結合ドメインが必要で、転写には非依存的であった。初代培養細胞では、複製フォーク進行速度の遅延に呼応して、姉妹染色分体交換の頻度が上昇し、p53は損傷依存的にDNAの相同組換え頻度を上昇させることが明らかになった。従来p53は相同組換え頻度を抑制するといわれてきたが、今回の結果はそれとまったく相反する結果である。これには、これまでの研究が細胞株に相同組換えの検出用レポーター遺伝子で行っていたためと考えられる。姉妹染色分体交換は間違いの少ない相同組換えであるので、これがp53により高められるのはまことに合目的性に富んでいる。すなわちこれまで我々が明らかにしてきた照射精子受精F1マウスにおいてみられる母親由来のミニサテライト配列とpink-eyed unstable alleleの非標的組換え突然変異は、p53が損傷存在下で複製フォーク伸長抑制を行い、これが姉妹染色分体間の組換え頻度を上昇させるためであると推測される。
著者
新井 誠 宮下 光弘
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、ヤマブシタケ由来抽出成分を服用し、顕著に統合失調症の幻覚、妄想が奏功した症例に着目し、従来の病態仮説に依拠しない統合失調症の分子病態を明らかにすることを目的とした。当該症例の末梢血、尿検体を採取し、CE-TOFMS、LC-TOFMSによる代謝産物の測定を行った。CE-TOFMSにより155の物質ピークが検出され、LC-TOFMSによる測定からは114のピークが検出された。症例の服薬量の漸減、漸増に伴い、特徴的代謝産物の変動が認められた。抗精神病薬服用を必要としない状態にまで回復した症例の分子基盤を探ることは、難治性統合失調症の治療戦略を再考する上で重要な知見を与えるものと期待できる。
著者
野津 寛 納富 信留 吉川 斉 葛西 康徳
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

葛西(研究分担者)が令和31年度3月13日から22日まで米国の大学及び学会(テキサス州南メソディスト大学ロースクール及びボストンのAssociation for Asian Studies学会)に出張する予定だったが、コロナウイルスにより先方から通知が来てキャンセルすることになった。そこで、令和2年度中に改めて出張ないし海外研究者を招聘するため、当該費用は令和2年度に繰り越した。この予算は、海外からの研究者招聘に使用する予定であった。しかし、令和2年度もコロナウイルスにより、研究分担者の海外出張と海外研究者の招聘に使えなくなり、再び次年度に繰り越すこととなったた。そのため、この繰越金に関する研究実績はあげられなかった。
著者
藤田 裕嗣 吉田 剛 高橋 清吾 鈴木 康之 宇根 寛 牛垣 雄矢 安藤 哲郎 深瀬 浩三 宮里 修 上島 智史 堀 健彦 仁木 宏 山元 貴継 塚本 章宏
出版者
神戸大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

歴史地理学研究で取り上げられた地図・絵図資料の中には地震・水害など、災害に関わる古地図も多数含まれるが、現在の地図情報には反映されておらず、実際の対策に活かされてきたとは言い難い。そこで本研究課題は、地域中心として機能し続けた城下町に特に注目し、全国各地に残る過去の古地図情報をGISデータ化し、それらをデジタル地図情報に反映させて、防災・災害復興に向けた歴史災害情報をデータベース化し、情報発信することで各地の防災・災害復興への寄与を目指す。2022年度の高校教育「地理総合」必修化も念頭に置き、中等教育に貢献できる歴史災害GISコンテンツの提供も視野に入れる。
著者
丸田 章博
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2001

アナログ-ディジタル(A/D)変換における標本化および量子化の操作を光領域で行なう方法として、ファイバの非線形光学効果を用いる方法についての原理確認実験を行なった。本年度は、ファイバ中の四光波混合(FWM)による標本化操作とソリトン現象を用いた量子化操作の連続実験(実験I)を行なうとともに、周波数の異なるパルスとの衝突によって、高次ソリトンを複数個のソリトンに分裂させる実験(実験II)を行なった。まず、実験Iでは、中心波長1556.5nm,パルス幅6ps,繰り返し周波数25MHzの光パルス列と中心波長1561nmの連続光を全長261mの分散シフトファイバ(DSF)に入射させ、発生したFWM光を帯域幅1nmの光フィルタによって切り出し、さらに全長1036mの非零分散シフトファイバ(NZ-DSF)に入射させた。連続光のDSFへの平均人射電力を変化させ、ファイバ出射端で自己相関波形を観測した。ソリトン次数(含まれるソリトンの数)に特徴的な自己相関波形が観測されたことから、標本化されたパルスの振幅に応じた個数のソリトンが発生していることを確認した。次に、実験IIでは、パルス幅2.7ps,中心波長1554nmの2次ソリトンと、パルス幅2.6ps,中心波長1550nmの基本ソリトンを、全長10049mのNZ-DSF入射端で衝突させ、出射端でその自己相関波形を観測した。3つのピークを持つ自己相関波形が観測されたことから、2次ソリトンが18ps離れた2つのソリトンに分裂したことを確認した。この操作によって、高次ソリトンに含まれるソリトンの個数を数えることができる。以上、2つの実験結果から、連続的に変化するアナログ信号の振幅を離散的なソリトンの個数に変換することによる光領域での量子化操作は原理的に可能であることを示した。
著者
ROTH Martin
出版者
立命館大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2022-04-01

遊びは、既存の枠組みに規定・制御されながらも、固定化されない逸脱的な側面を持つ行為として、デジタル化した社会・文化において重要である。本研究はその重要性を理解するために1遊びと日常生活との融合、2遊びの動画配信プラットフォームでの展開、3遊びがプラットフォームにおける共同体形成で果たす機能を問う。動画配信プラットフォームYouTubeで人気ゲーム『あつまれどうぶつの森』(任天堂2020)に関して日英韓中国語圏で共有される動画を対象に、各言語での動画を巡る遊びと共同体形成の関係を特定・比較し、デジタルプラットフォームでの遊びのための新たな分析方法を提案することを研究目的とする。
著者
勝又 竜
出版者
公益財団法人東京都医学総合研究所
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は脊髄及び脳に存在する運動神経細胞が変性し、四肢の筋及び呼吸筋の筋萎縮をきたす疾患である。ALSは急速に症状が進行し、発症から死亡もしくは人工呼吸器などの侵襲的換気が必要になる期間は20-48ヶ月と予後が悪い。現在、ALSに対する根本的治療法は乏しく治療法の開発、あるいはその病態解明は急務である。本研究は、ALSの神経細胞内に確認される異常構造物でありながらその成り立ちが不明であるBunina小体に注目し、その構成蛋白を明らかにすることを目的とした。それによりALSの病態を深く理解することができる様になり、ひいては治療法や早期診断法の開発に寄与できると考えている。
著者
吉永 真理 野井 真吾 鹿野 晶子 大西 宏治 そとあそびプロジェクト・せたがやのメンバーと世田谷区子ども若者部児童課のみなさん
出版者
昭和薬科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

自然環境に恵まれた都心部で1776組の親子を対象にした質問紙調査を行なった。子どもたちが放課後を過ごす場は低学年では学校や公園で、高学年は塾や習い事の頻度が高く、外遊びが少ない実態が明らかになった。体を動かして遊ぶ、自然環境で遊ぶ、水辺で遊ぶ時間が多いほどSDQの情緒、仲間関係、向社会性は良好だった。ゲーム時間は多動に関連していた。DSM-5/ADHDでは、からだを動かして遊ぶ時間が30分以上であると不注意傾向が少なくなることが示された。まち探検&遊び活動のアクション・リサーチでは活動量の個人間のばらつきが大きく、最後の30分間に活発に活動している群は不活発群より有意に覚醒度が上昇した。