著者
早川 公
出版者
大阪国際大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

文化人類学界では、公共人類学に代表されるように、近年になって社会との具体的な関与のあり方やそのための理論の模索がさかんになってきた。本研究では、大きく2つの問題に応えるために以下の課題を設定する。第1に、これまで文化人類学者の余技とみなされてきた「アウトリーチ」の取組みに着目し、その具体的実践から制作の技法を抽出する。そして第2に、これまで文化人類学の学術的意義とみなされてきた他者理解とは別の仕方の特定を分析する。この2つの検討を通じて、公共領域の問題に関わる人文社会科学の具体的なあり様を提示することが本研究の目的である。
著者
大橋 隆弘 角田 敦 永井 恒夫
出版者
国士舘大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2016-04-01

使い捨て型などに利用可能な圧縮強さ100MPaを超えるスーパー繊維強化氷(FRI)の開発を行うことを研究目的とし、古紙パルプ繊維、ナノセルロース繊維、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維を用い検討を行った。動的圧縮試験では、圧縮強さはアラミド繊維≧紙パルプ≧炭素繊維≧ガラス繊維≧ナノセルロースの順となった。最も良い結果が得られた繊維濃度30wt%のアラミド繊維利用繊維強化氷において、試験冶具の強度限界まで圧縮しても割れによる荷重低下が見られない結果(公称圧縮強さ100MPa以上)が得られたが、真応力では30MPa程度にとどまっており、繊維の付着強度に起因する限界があるのではないかと推察される。
著者
千々岩 崇仁
出版者
崇城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

沖縄本島で土壌などの棲息環境が互いに独立している国頭村と糸満市で捕獲したハブについて、ホスホリパーゼA2(PLA2)を中心とした毒アイソザイムの組成と一次構造を比較した。その結果、沖縄島ハブ固有の毒アイソザイムの組成や一次構造は共通していたが、地域固有のサブタイプが含まれることも見出した。本研究は、個体の可塑性や小さい地域に由来する多様さと、それらが集団としての表現型へ収束するダイナミクスをタンパク質と遺伝子で実験的に観察・検証している。
著者
中田 友明
出版者
日本獣医生命科学大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

本研究では以下の3点について研究を展開する予定である。[1]多成分性雄性フェロモンの機能解析:雄イモリの肛門腺に発現するソデフリンとその類縁遺伝子を特異的に欠損させた動物を作成、正常雌との配偶行動や繁殖成功率を正常雄と比較し、個々の性フェロモンの役割を解析する。[2]各性フェロモン受容体および性フェロモン応答神経系の同定:イモリ性フェロモンの受容体タンパク質は同定されていないため、その遺伝子クローニングや脳内神経系の同定を行う。[3]各性フェロモンに対する応答神経系の調節機序の解明:生殖期には雌雄とも異性の性フェロモンに応答する感覚細胞が増加するので、その内分泌学的機序を探る
著者
亀野 陽亮 横倉 正倫 尾内 康臣 桑原 斉 山末 英典 和久田 智靖
出版者
浜松医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

うつ病患者数は年々増加し、その対策は喫緊の課題である。近年、神経炎症仮説とグルタミン神経仮説に基づく新薬の治験結果が報告されたが、いずれも効果は非常に限定的であった。そこで、活性化ミクログリアとセロトニントランスポーターのダブルトレーサーPET、1H MEGA-PRESS MRS、炎症性サイトカインとトリプトファン代謝物のメタボローム解析によるマルチモダル解析を行い、神経炎症とセロトニン/グルタミン神経系と抑うつ症状の相関性を検討する。そして、うつ病病態における活性化ミクログリアとセロトニン/グルタミン神経系の相互作用の役割を明確にし、新たな治療シーズの創出を目指す。
著者
北越 大輔 鈴木 健太郎 鈴木 雅人 山下 晃弘
出版者
東京工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

ICT機器(スマホ,タブレット等)と自宅に設置したセンサを用い,高齢者が要支援・要介護状態となることを予防する取組を,家族や地域を巻き込み継続的に実現可能とする包括的介護予防システムの構築を目指す.これまで個別に開発してきた認知訓練部,見守り部,対話エージェントの各々に改善や拡張を加えながら統合を図る.各部,各機能の有効性や,統合後のシステム利用を通した長期的・相乗的な介護予防効果について評価する.
著者
井川 正道 米田 誠 岡沢 秀彦
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

筋萎縮性側索硬化症(ALS)では,酸化ストレスが運動ニューロンの変性に関与していることが家族性ALSやモデル動物による研究から示唆されているが,患者生体脳における実証はまだない.本研究では,申請者らが開発した62Cu-ATSM PETによる酸化ストレスイメージングによって,ALSにおける神経変性への酸化ストレスの関与を明らかにした.62Cu-ATSMは,過還元状態と呼ばれる,おもにミトコンドリア呼吸鎖の機能不全により電子が過剰に滞留し,酸化ストレスを惹起している部位に集積するため,本PETは酸化ストレスを生体で画像化できる.12名のALS患者(平均年齢65歳)と同年代の健常対照者を対象とし,頭部の62Cu-ATSM PETを施行した.30分間のダイナミックPET撮影を行い,各被験者のstandardized uptake value(SUV)画像を作成し,Statistical Parametric Mapping 2(SPM2)を用いて,解剖学的標準化および全脳平均を行った.さらにSPM2を用いて患者群と対照者群で集積を比較し,SPM上で患者群で有意な集積増加が認められた領域のSUV値を算出し,群間での比較および重症度との相関を検討した.その結果,SPMにて両側の運動皮質と右頭頂葉皮質に,対照者群と比較して患者群で有意な集積増加が認められた.患者群における両側運動皮質のSUV値は対照者群より有意に増加しており,さらに患者群における同部のSUV値は,重症度と正の相関を示した.以上より,ALSでは,運動皮質における酸化ストレスが増加しており,症状が強いほど,すなわち神経変性が進むほど,酸化ストレスが増加することが示された.したがって本研究により,ALSにおける神経変性には,酸化ストレスが関与することが明らかとなった.
著者
尾崎 敬 村垣 泰光
出版者
和歌山県立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

甲状腺再生の有無を調査するため、再生に必要な幹細胞(もしくは癌幹細胞)存在の有無を検討した。幹細胞・癌幹細胞遺伝子としてOct4が重要な因子とされているが、この遺伝子発現を誘導する手段として我々はマイクロ波を利用した方法を確立し、甲状腺未分化癌から(癌)幹細胞を誘導する可能性を形態学的・分子生物学的に示した。マイクロ波照射(2450MHz、47℃)後、未分化癌の細胞形態が変化し、細胞接着が低下することが示された(spheroid形成)。さらにOct4遺伝子発現が有意に増加することが示され甲状腺(癌)幹細胞である可能性を示唆した。(癌)幹細胞の存在は今後の甲状腺再生の可能性を示すものである。
著者
白石 成二
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

臓器移植や造血幹細胞移植後などの患者に免疫抑制剤サイクロスポリンやタクロリムスを投与すると下肢を中心とした劇痛を発症する。この疼痛は鋭利な金属で刺されるような、電気が走るような発作性の痛みで、NSAIDsやオピオイドの効果がなく難治性であり、カルシニューリン阻害薬誘発疼痛症候群(Calcineurin inhibitor induced pain syndrome: CIPS)として報告されているが、未だに有効な治療法がなく、多くの移植患者のQOLを低下させており治療法の開発が求められている。本研究は、CIPSの発症メカニズムを明らかにし有効な治療法を開発することである。
著者
田巻 松雄 狩谷 あゆみ 文 貞実 中根 光敏 山口 恵子 山本 薫子 稲月 正 稲葉 奈々子 野村 浩也 佐藤 繁美 西澤 晃彦
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1999

本研究から得られた主な知見は以下の通りである。1.近年における野宿者の増大と寄せ場における労働市場の縮小とは密接な関係にある。ただし、寄せ場の縮小は不況の単なる反映ではなく、建設産業の大きな再編に起因する。建設日雇労働市場の就労経路が多様化するとともに、飯場の実態に見られるように、建設日雇の労働条件が一般的に悪化している。2.近年の寄せ場の著しい変容には、寄せ場を都市下層の姿を隠蔽しつつ同時に労働力をプールする場として利用してきた行政の寄せ場対策のドラスティックな政策転換が関係している。3.野宿者の増大と可視化にともなう社会問題化によって国及び自治体でのホームレス対策が本格化しているが、従来、福祉面での対応に比べて労働対策の遅れが著しかった。近年、「就労自立」を軸とするホームレス対策が急展開しているが、行政的な狭い枠組みでの「自立」をもとに野宿者を分類・選別するなど、改善すべき課題は多い。4.従来、寄せ場や野宿の問題を語ることは、とりわけ高齢単身の男性を語ることであった。しかし、女性の野宿者が増大している事態、さらに寄せ場の歴史を捉えなおす上でも、ジェンダー的視点を盛り込み、男性野宿者の周辺部にいる女性野宿者の位置から探題設定することが必要になっている。5.野宿者問題は産業構造の変容・再編に伴う労働問題や行政施策の仕組みなどが深く係わる現代の貧困問題であり社会問題であるが、野宿者や日雇労働者、さらには外国人労働者を社会に適合しない特殊な人々と見る社会的風潮は依然強く、このことに起因すると思われる社会的排除の現象が様々な形で生じている、
著者
鶴田 文憲
出版者
筑波大学
雑誌
国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)
巻号頁・発行日
2017

新生児期の脳は、時期領域特異的に精密なRNA代謝が行われている。近年、このプロセスが破綻すると発達障害につながることが示唆されている。これまでに我々は、脱ユビキチン化酵素USP15の機能が破綻すると、スプライソソームの機能低下につながり、グローバルなスプライシングエラーを引き起こすことを見出してきた。本課題では、USP15破綻によって産生されるSparcl1変異体の解析を行い、Sparcl1異常と小胞体ストレスの関連性を発見した。USP15やSparcl1は自閉症の責任遺伝子としても報告されていることから、本研究成果は、RNA代謝のみならず発達障害のメカニズム解明にもつながると期待している。
著者
勝本 雅和
出版者
京都工芸繊維大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

意匠権の書誌情報に基づき、企業のデザイン活動に関して、その量的水準、デザインマネジメントに関連する構造、デザイン活動の質を計測する手法を開発した。またそれらを用いて企業パフォーマンスへのデザイン活動の影響を分析した。その結果、デザイン活動の水準は企業パフォーマンスに正の効果があり、その効果は研究開発投資と比較すると概ね10分の1程度であることが明らかとなった。またデザイン活動の構造、質についても企業パフォーマンスに影響を与えることが示された。
著者
田野井 慶太朗 李 俊佑 中西 友子 西村 拓 二瓶 直登 山岸 順子 小林 奈通子 廣瀬 農
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-07-10

福島第一原発事故以降、放射性セシウムで汚染された堆肥の使用を差し控える傾向にある。汚染堆肥から作物への移行に関して不明であった。そこで、どの程度の汚染堆肥だとどういった量の放射性セシウムが作物に移行するのか調べた。高濃度に汚染した堆肥はソバへの移行も確認されたが、低い汚染レベルの堆肥の場合、連用してもソバへの移行は少なかった。堆肥から供給されるカリウムによる移行係数の低減効果が考えられた。
著者
宝来 聰
出版者
国立遺伝学研究所
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

PCR法(ポリメラ-ゼ連鎖反応法)の開発によって、極少量の鋳型DNAから標的とするDNA領域を増幅できるようになった。我々は、様々な民族からなる現代人128人のミトコンドリアDNAの、Dル-プ領域の塩基配列を決定している。このデ-タを基に、考古学的試料の解析に適当な233塩基対の多型性の高い領域を選び、2種類のプライマ-を作成した。本年度は、縄文時代の人骨を4個体、北海道の近世アイヌの骨を6個体の合計10検体の塩基配列を決定した。これら考古学的試料からの塩基配列のデ-タと現代人128人のデ-タをあわせた計139人について、相同な190塩基対についての解析を行った。各々の配列間に起きた塩基置換数を推定し、この領域の塩基多様性の度合を求めたところ、2.26%という値になった。次に、推定した塩基置換数を基に、UPG法で遺伝子系統樹を作成した。縄文人4人と近世アイヌ人2人の6人の系統が、系統樹上の最後のクラスタ-に入った。このクラスタ-には、他に15人の現代日本人とマレ-シアとインドネシアからの3人の東南アジア人が含まれる。このことは、日本の原住民である、縄文人と近世アイヌの一部が、現代日本人と東南アジア人の一部と系統的に近い関係にあることを示している。さらに、全ての縄文人と近世アイヌの系統は、より大きなクラスタ-に含まれる。これは、縄文人や近世アイヌが、系統樹の上で早くに分岐した現代日本人とは、系統的に異なることを示している。この観点からみると、縄文人とアイヌで代表される日本の原住民は、現代日本人のグル-プIIに相当することになる。これら原住民では、グル-プIに含まれる日本人と比べて190塩基対の領域の中に、3から8カ所の塩基の違いがある。したがって弥生時代以降に大陸から移住してきた人たちは、現代日本人のグル-プIの一部に該当するかもしれない。
著者
中土 純子
出版者
東京福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

生活保護法は、日本におけるセーフティネットとして重要な役割を果たす制度である。近年、社会構造や家族機能の変化に伴って、現代的貧困という見え難く複雑化した社会問題が深刻化しており、生活保護行政は、多くの生活課題を抱えたケースへの介入や問題解決の困難さに直面している。そこで本研究では、生活保護法におけるソーシャルワーク機能について、アウトソーシング(外部委託化)の可能性を阻害要因と効果の両側面から検証し、社会福祉専門職である社会福祉士が、現代社会の貧困問題や制度の狭間で支援困難となりやすいケースへ介入する意義を明らかにする。
著者
和田 正平
出版者
国立民族学博物館
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

東北地方においてイタコ、カミサマ、ゴミソなどと呼ばれる民間巫者を介して施行されている冥婚習俗の実態調査を行なった。まず金木町川倉地蔵堂、木造町弘法寺では、夭折した不幸な男女を供養する目的で、1955年頃から死霊結婚を具象する花嫁花婿人形の奉納が始まり、1970年代後半からその数が急増していることが判明した。これは、一般に言われているように冥界結婚が日本列島から消滅したのではなく、東北地方の一部では、むしろ新しい習俗として蘇生したことを意味している。おそらく、巫者の口寄せが人形製作者の商業主義とむすびついたと推察されるが、中牧弘允(民博助教授)の指摘するとおり、東北地方における深刻な農村の嫁不足に対応して、こうした冥婚習俗の施行が盛んになったと解釈されるのである。同様に、山形県山寺立石寺でも掲額されている死後結婚の絵、写真、肖像画、肖像写真は、現代風俗に合せた花嫁花婿人形に変りつつある。また、天童市鈴立山若松寺では、死者の彼岸での幸福な結婚を祈願して、婚礼場面を描いた絵馬が奉納されている。この種の絵馬は、この地方では「むかさり絵馬」と呼ばれ、古い風習として存続していた、「むかさり絵馬」の奉納者は山形県北部と宮城県の在住者が圧倒的に多いが、東京方面から奉納された絵馬も散見され、裾野の広いことが分る。通常、冥界結婚は民間巫者の口寄せ、すなわち、死者の結婚したいという烈しく切ない声を伝えることによって親兄弟等が死霊の怨念を除去するために施行されるが、最近では、病や事故で早世した未婚の子どもを不憫におもう親心から自主的に行なう事例が多くなってきた。東北地方の冥婚習俗はまだ調査を開始したばかりで、資料の整理も不十分であるが、民間巫者によって奉納物に変化があらわれても決して消滅しないものと考えられる。
著者
本郷 一美 山田 昌久 那須 浩郎 米田 穣 姉崎 智子 茂原 信生
出版者
総合研究大学院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は高精度の古環境情報を有効に抽出し、人工遺物や遺構などに関する考古学的な情報を統合する研究手法を確立することである。長野県のノンコ岩1岩陰と天狗岩岩陰遺跡において発掘調査を実施した。ノンコ岩1岩陰遺跡では、縄文晩期の遺物が出土した。天狗岩岩陰遺跡では、弥生時代前期から古墳時代前期までの文化層序が確認され、環境考古学的なデータを有効に抽出できた。人工遺物の他、多量の動・植物遺存体を採集し、C14年代測定、動植物遺存体の同定分析作業を実施した。
著者
佐藤 洋介
出版者
東北福祉大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2020-04-01

腱・靭帯付着部症は,腱・靭帯が骨と結合している部位に誤った身体の使用を繰り返すことで過剰な負荷がかかり発症する炎症性疾患である.これまでに腱・靭帯付着部症の神経メカニズムについて検討した報告は少なく,有病者の運動時にどのような脳活動が生じているのか明らかになっていない.本申請課題では,腱・靭帯付着部症の有病者では健常人と異なる脳内神経回路が再構築されているという仮説のもと,代表的な疾患である上腕骨外側上顆炎の有病者を対象に申請者がこれまで使用してきた神経生理学的手法を用いて運動時の運動関連領野の活動量を計測し,健常者と比較して過剰な脳活動が生じているか明らかにする.
著者
松方 冬子 蓮田 隆志 橋本 雄 岡本 真 彭 浩 高野 香子 川口 洋史 木村 可奈子 清水 有子 原田 亜希子 北川 香子 西澤 美穂子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

主たる成果として、松方冬子編『国書がむすぶ外交』(東京大学出版会、2019年)を刊行し、前近代のユーラシアの全域にみられた「国書外交」とその周辺にあった通航証について明らかにした。おもな論点は、今までtributary system(華夷秩序・朝貢体制・東アジア国際秩序などと訳される)と呼ばれてきたものは、その実態からみるならば国書外交と呼べるものであること、国と国をつなぐ仲介者(商人や宗教者、国書の運び手となることが多い)の役割が重要であること、である。台湾の中央研究院で日明勘合底簿の手掛かりとなる史料を発見するなど、多くの実証的な新知見を明らかにした。
著者
土橋 祥平
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究では、成長期、特に発達早期の運動不足が将来的な認知機能に悪影響を及ぼす可能性について検討を行い、その対抗策の基盤となる分子メカニズムの解明を目指す。初年度は、生活習慣病に起因した認知機能低下を想定し,2型糖尿病を誘導するモデルラットを対象に、通常飼育群、活動制限による運動不足群を設定し、成長期の運動不足が成年期以降の認知機能に影響するか否かについて、エピジェネティック制御機構の観点から解明する。2年目以降は、成長期の中でも最も脳の可塑性が活発な発達早期における運動不足経験がその後の認知機能の変化に及ぼす否かについて実験動物を用いて検討する。