著者
神崎 順一
出版者
社団法人 日本印刷学会
雑誌
日本印刷学会誌 (ISSN:09143319)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.220-229, 2008 (Released:2010-12-15)
参考文献数
15

At the end of Edo period, Nagasaki magistrate's office reprinted many Dutch books by the printing machine made in Europe because they were really. necessary. The arrival of the black ships by Commodore Perry opened Japan, and required the people who can speak Dutch or have knowledge of science in the Western countries. The books were printed at the workshop of printed word that was established in 1856 by the office. The compositor was Zenziuemon Shiozawa, and four technicians supported him. They reprinted nine volumes of seven books include "Syntaxis, of woodvoaging der nederduitche taal" written from 1856 to 1859.
著者
田和 正孝
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.59-65, 2013 (Released:2013-04-19)
参考文献数
17

沿岸部に岩塊を馬蹄形や半円形に積んで構築された大型の定置漁具がある.これは一般に石干見(イシヒビ)と呼ばれる.石積みの高さは,満潮時には海面下に没し,干潮時には干あがるように工夫されている.上げ潮流とともに接岸した魚群の一部は,退潮時,沖へ逃げ遅れて石積み内に封じこめられ,それらが漁獲される.小論は,筆者が近年調査対象としている九州・沖縄の石干見を事例に,各地で進む復元および保存と活用をめぐる動きの中で,地域が地理学者に対してどのような知識を求めたのか,このような活動に関わるにあたって地理学者はいかなる立場に定位できるのかについて,若干の考察をおこなうものである.
著者
山田 文雄 友澤 森彦 中下 留美子 島田 卓哉 川田 伸一郎 菊池 文一 小泉 透
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement 第29回日本霊長類学会・日本哺乳類学会2013年度合同大会
巻号頁・発行日
pp.90, 2013 (Released:2014-02-14)

福島第一原発事故(2011年 3月)による放射性物質の生態系での動態や野生動物の影響を把握するため,地表や土壌中を生活空間とし短寿命のアカネズミなど小型哺乳類を対象に,1)原発から30kmの福島県川内村の国有林(高線量地,空間線量は平均 3.6 μSv/hr,2011年 10月測定)と,2)70kmの茨城県北茨城市の国有林(低線量地,空間線量 0.2 μSv/hr,2011年 12月測定)で継続調査を行った.放射性セシウム濃度(半減期約2年の Cs-134と約 30年のCs-137)は,1年目のアカネズミは高線量地(平均 4,415Bq/ kg生重,最大 18,034-最小 920Bq/kg, n=26)で低線量地(平均 1,124 Bq/kg,5,007-17Bq/kg,n=40)より 4倍,2年目は高線量地(平均 5,950Bq/ kg,最大 19,498-最小567Bq/kg, n=10)で低線量地(平均 370 Bq/kg,882-11Bq/kg,n=30)より 16倍高かった.ヒメネズミは高線量地(平均 5,360Bq/ kg,最大 26,218-最小 91Bq/kg, n=20)で低線量地(平均 221 Bq/kg,7,078-71Bq/kg,n=32)より約 24倍高かった.ヒミズは高線量地(平均10,664Bq/ kg,最大 29,061-最小 41Bq/kg, n=4)で低線量地(平均 650 Bq/kg,2,600-137Bq/kg,n=4)より 16倍高かった.高線量地のヤチネズミ(平均27,290Bq/kg,54,892-12,094, n=4)は高くアズマモグラ(1,017Bq/kg, n=1)は低かった.年変化(事故1年目と2年目)ではアカネズミは高線量地で変化は少ないが低線量地で70%減少し,アカネズミとヒメネズミの濃度は両地で類似し,アカネズミ,ヒメネズミ,ヤチネズミ及びヒミズが高濃度蓄積を示した.
著者
丸川 雄三 阿辺川 武
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.198-204, 2010 (Released:2010-07-01)
参考文献数
12
被引用文献数
1

「想-IMAGINE/GETA」は,興味や関心をきっかけに,利用者が自らの発想を広げることができる横断的連想検索システムである。国立情報学研究所連想情報学研究開発センターは「想-IMAGINE/GETA」を活用したサービスとして,書籍を連想で探すことができる「想-IMAGINE Book Search」を2006年7月に一般公開した。また,「想-IMAGINE/GETA」の開発をベースとして,従来のGETAの機能を大幅に拡張した「GETAssoc」を2009年7月に公開した。GETAssocを使った検索を手軽に体験できる「gss3 Protocol Analyzer」も同時に公開されている。「想-IMAGINE Arts」は文化財情報発信における「想-IMAGINE/GETA」を活用した取り組みである。「想-IMAGINE Arts」の一環として,国立美術館および早稲田大学演劇博物館と共同で開発したそれぞれの「想-IMAGINE」が一般に公開されている。
著者
稲邑 哲也 タン ジェフリートゥ チュアン 萩原 良信 杉浦 孔明 長井 隆行 岡田 浩之
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.698-709, 2014-06-15 (Released:2014-07-17)
参考文献数
19

ロボカップ@ホームはHuman-Robot Interaction (HRI) 研究の発展のために,今後重要な位置づけを持ったコンペティションである.HRIにおける研究開発では,膨大な量の対話実験による経験データベースが必要となる場合が多いが,実機のロボットでは実験実施のコストが高く,また,シミュレーションでは人間とロボットとの身体的インタラクションに制約が生じる.そこで,没入型のユーザインタフェースと,複数のクライアントが同時に同一の仮想世界にログイン可能な機能の双方をロボットシミュレータに搭載し,HRI研究を促進させることの可能なロボカップ@ホームシミュレーションの枠組みを提案する.また具体的なシステム実装に必要となる基盤技術の設計指針を示す.
著者
岩田 孝仁 浜田 信生
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.621-634, 1986-12-25 (Released:2010-03-11)
参考文献数
18
被引用文献数
1 1

In the present study, we have accumulated most complete seismological data and reinvestigated the seismicity associated with the 1944 Tonankai earthquake. Because of poor observation and social difficulty during the World War II, incompleteness and insufficiency in observational data resulted in rather obscure view about the actual process and mechanism of the earthquake. Number of aftershocks and their location accuracy reported by existing studies seem to be dissatisfactory for detailed discussion.We found some observational data that are still available but have not been used yet, then, we applied a modern hypocenter location method to the newly compiled data and succeeded in increasing the number of accurately located aftershocks more than twice. The followings are important findings of the study.The mainshock initiated from the bottom of the fault plane, in the south-west corner of the focal region. This feature is in accordance with the results of some previous studies. Most of aftershocks concentrated in the vicinity of the Shima spur, which extends south-east from the Shima peninsula to the Nankai trough. Temporal broadening of the aftershock region toward south-east along the spur is recognized and this trend seems to continue over 40 years until now. Distribution of aftershocks around Shionomisaki, the southern top of the Kii peninsula, may suggest some overlapping of the focal regions of the Tonankai and the 1946 Nankaido earthquake. Aftershock activity or induced seismicity is also recognized in the middle part of Shizuoka prefecture where some seismologists assume the focal region of a future interplate earthquake, so called Tokai earthquake. Seismicity around the southern Izu peninsula may represent an induced activity along one of the active faults which strikes southeast from the peninsula. Other induced seismic activity in inland area of central Honshu indicates a large extent of the effect of the interplate earthquake on the tectonic environment of the mentioned area. This study will contribute to gain better understanding of the process and mechanism of the Tonankai earthquake.
著者
佐藤 浩 青山 雅史
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100197, 2014 (Released:2014-03-31)

1944年12月7日に発生した東南海地震(M7.9)では、紀伊半島沿岸で甚大な津波被害が発生した。その3日後には、米軍が偵察飛行によって被害状況を調べ、縮尺1/16,000の空中写真を残した。先行研究は、空中写真判読によって三重県尾鷲市中心部の被害状況を報告した。本研究では、尾鷲市南部に焦点を当てて、その空中写真判読によってその被害状況を報告する。
著者
朝長 健太 櫻井 康雅 矢寺 和博 川波 敏則 西田 千夏 山崎 啓 中村 武博 吉井 千春 城戸 優光 佐多 竹良
出版者
医療法人茜会・社会福祉法人暁会学術委員会
雑誌
昭和病院雑誌 (ISSN:18801528)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.060-064, 2007-10-01 (Released:2008-03-30)
参考文献数
7

症例は1日25本×50年間の喫煙歴のある67歳男性。15年前から糖尿病の治療歴あり。健診での胸部レントゲン写真異常と労作時呼吸困難のため来院。受診時に低酸素血症(room air SpO2 86%)を認め、胸部レントゲン写真では、両肺野全域にわたる斑状網状影、胸部computed tomography (CT)では気管支周囲の間質を中心としたびまん性の斑状網状影、すりガラス影を認めた。経気管支肺生検にてcellular NSIPに矛盾しない所見が認められ、総合的に非特異的間質性肺炎(NSIP)と診断し、副腎皮質ステロイドパルス療法を含む治療を行い、軽快退院に至った。
著者
木村 暁 中村 安秀
出版者
日本国際保健医療学会
雑誌
国際保健医療 (ISSN:09176543)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.81-90, 2014-06-20 (Released:2014-07-17)
参考文献数
29

目的  途上国では処方箋を必要とする薬剤の販売規制が不十分であり、薬剤耐性の発現という視点からも、抗生物質による自己治療は世界の公衆衛生の大きな問題である。インドネシアにおいては処方箋薬による自己治療は一般的であるうえに危険な偽造医薬品の流通も社会問題となっている。インドネシア首都圏において抗生物質を買い求める顧客の行動様式とそれに対する薬剤師の対応を明らかにし、抗生物質を用いた自己治療に係る要因を考察することを目的とした。方法  南タンゲラン市チプタ地区における地域薬局6店で抗生物質を求めた200名の顧客に出口調査を行った。調査項目は健康保険加入・非加入を含めた一般属性のほか、来店時の処方箋の有無、購入にあたっての薬剤師の指示の有無など構造化質問表を用いた。また薬局に勤務する薬剤師、薬局経営者ら8名に半構造化インタビューを行った。調査項目は一日に抗生物質を買い求める顧客数、そのうち処方箋を持たない顧客の割合、薬剤師の顧客対応、経験した健康被害の有無などとした。調査は2012年5月下旬から7月初めにかけて実施した。結果  薬局に抗生物質を買い求めに来た顧客の48.5% (97/200)が処方箋を持っていなかった。医師の受診か自己治療か、という選択は健康保険の加入の有無と有意に関連していなかった。処方箋を持たない患者が抗生物質を購入するときは飲み残しサンプルを薬局で提示するケースが51.9% (54/104)を占め、家族・友人あるいは薬剤師の推薦などに従うケースに比べて有意に多かった。薬剤師は薬剤耐性とアレルギー発現に留意して問診を行い,処方箋を持たない顧客に抗生物質を交付することは慎重であった。薬剤師は自己治療の問題を軽減するために顧客や地域への働きかけと患者教育が重要であると考えていた。結論  健康保険の加入状況が処方箋の有無及び医師の受診頻度と有意に相関しなかったことは自己治療の選択が経済的要因だけではないことを示すものと考えられた。顧客の自信過剰な態度、飲み残しサンプルでの購入、家族・友人の勧めを薬剤師の勧めに優先させる傾向などから自己治療は限られた経験や情報に基づくヒューリスティックな選択であると同時に限られた選択肢の中でのリスクマネジメントであると考えらえた。  抗生物質は治療効果が短期間で明白となることから高い学習効果と成功体験をもたらして自己治療に好都合である。この成功体験が自己治療の選択行動を強化していることが考えられた。行動変容を促す患者教育は薬剤師の新たな役割と期待される。
著者
横山 祐典 阿瀬 貴博 村澤 晃 松崎 浩之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.111, no.11, pp.693-700, 2005 (Released:2006-03-01)
参考文献数
53
被引用文献数
5 6

宇宙線との相互作用によって地球表層で岩石中に生成される核種(TCN)は, 加速器質量分析計(AMS)の発達によって, 地球表層プロセスの研究に急速に広く用いられるようになってきた. TCN研究では半減期の違う複数の核種を組み合わせることによって, 侵食速度, 埋没履歴などを求めることが可能である. 現在はTCNのうち, 10Beや26Alの測定がAMSにより活発に行われてきている. 現在のところTCNの絶対量の誤差は約10%と大きいが, それでもこれらの測定結果を使って, テクトニクスや気候変動についての新しい知見が得られるようになった. チベットにおいての研究例も増え始めており, 今後サンプリング地点を増やし測定を活発に行うことによって, インドのユーラシア衝突によって引き起こされているチベット地域のテクトニクスの詳細や気候変動を細かく明らかにすることができる.
著者
後藤 浩之 澤田 純男 吉田 望 羽田 浩二
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学) (ISSN:21854653)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.I_1061-I_1070, 2014 (Released:2014-07-15)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

2011年東北地方太平洋沖地震の本震において福島県浪江町で記録された地震動の特徴と,地震動により被災した浪江町市街地の建築被害悉皆調査の結果を整理した.浪江町に位置する防災科学技術研究所KiK-net浪江(FKSH20)の観測記録は,他の浜通り地方の記録と比較してピーク周期の異なる強い地震動であったことを示唆している.この成因は,最表層が軟弱地盤であることのみならず,深い基盤構造の影響も考えられる.公益立ち入りが可能となった直後に実施した市街地の建築被害悉皆調査から,同地域の木造建物全壊率は11%と算出される.観測点周辺の木造全壊率とPGVとの対応は過去の地震におけるデータと比較して矛盾しない.また,市街地を代表的な3地区とその他の地区に分割して地区毎の全壊率を算出したところ,自然堤防上と考えられる地区の全壊率が有意に低いことが統計的に示された.
著者
Eun-Woo LEE Seong-Kyoon CHOI Gil-Jae CHO
出版者
公益社団法人 日本獣医学会
雑誌
Journal of Veterinary Medical Science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
pp.14-0189, (Released:2014-07-15)
被引用文献数
1 8

The present study was conducted to analyze the genetic characteristics of the Donggyeong dog and establish parentage conservation systems for it by using 10 microsatellite markers recommended by the International Society for Animal Genetics (ISAG). A total of 369 dogs from 12 dog breeds including the Donggyeong dog were genotyped using 10 microsatellite loci. The number of alleles per locus varied from 5 to 10 with a mean value of 7.6 in the Donggyeong dog. The observed heterozygosity and expected heterozygosity ranged from 0.4706 to 0.9020 (mean 0.7657) and from 0.4303 to 0.8394 (mean 0.7266), respectively. The total exclusion probability of 10 microsatellite loci was 0.99955. Of the 10 microsatellite markers, the AHT121, AHTh260 and CXX279 markers had relatively high PIC values (≥0.7). This study found that there were specific alleles, 116 allele at AHT121 in the Donggyeong dog when compared with other dog breeds. Also, the results showed two (Korean native dogs and the foreign dog breeds) distinct clusters. The closest distance (0.1184) was observed between the Donggyeong dog and Jindo dog, and the longest distance (0.3435) was observed between the Donggyeong dog and Bulgae. The Korean native dog breeds have comparatively near genetic distances between each other.
著者
伊藤 聡
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.99, no.8, pp.1871-1877, 2010 (Released:2013-04-10)
参考文献数
10

関節リウマチの治療に生物学的製剤が導入され,劇的な効果をあげている.我が国では4製剤が認可され,それぞれの特徴を考慮して使用されている.生物学的製剤は,神経Behçet病,多発性/皮膚筋炎,血管炎症候群などの,膠原病,膠原病関連疾患における神経・筋障害においても使用が開始され,有効例も報告されている.しかし,保険適用外であり,報告された症例数も少ないため,使用にあたっては,十分なインフォームドコンセントが必要である.
著者
阪上 弘彬
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.242-254, 2013 (Released:2013-11-01)
参考文献数
35
被引用文献数
2 1

ESDは地理教育における重要なテーマとなっている.国際地理学連合・地理教育委員会(IGU-CGE), ドイツ地理学会(DGfG)では,ESDの観点が盛り込まれた諸宣言や教育スタンダードを作成し,地理教育におけるESD推進を進めている.国際地理学連合・地理教育委員会は,社会,環境の変革に対するアプローチは諸宣言の重要な要素であると述べている.社会変革という点でESDとIGU-CGEの地理教育は共通点を有しており,諸宣言の地理的能力においても社会の変革の要素をみることができる.また各国に対し諸宣言を取り組むことを求めており,ドイツ地理教育では諸宣言の内容を反映したレールプラン(カリキュラム)が提案されてきた.ESDはドイツ地理教育においても重要なテーマの一つであり,「ドイツ地理教育スタンダード」では,ESDの要素とともにドイツ独自の観点をみることができた.
著者
日野 英忠 古橋 紀久 神田 直 田崎 義昭
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, pp.106-110, 1989-04-25 (Released:2009-07-23)
参考文献数
23
被引用文献数
1

頭部X線CTにより診断した前脈絡叢動脈領域梗塞7症例について臨床的検討を行った.神経症状として片麻痺, 半身感覚鈍麻, 半盲の三主要徴候のほか, 全例に著明な自発性低下, 記銘力障害を急性期に認めた.これらの発現機序として, 視床障害の関与を推察した.また見当識障害, 失計算も多くみられ, さらに大脳皮質症状である半側視空間失認, 病態失認も認められた.CT所見は特徴的な内包後脚全域の低吸収域のみならず, 外側膝状体に及ぶ病変も多くみられたが, 視床, 側頭葉, 中脳などのその他の灌流域での異常は認められなかった.脳血管写上, 多くの症例では本血管の主幹部または分岐部内頚動脈での狭窄所見を認めた.脳梗塞発症の原因として脳動脈瘤クリッピング, 高血圧症があげられる.その他蛋白同化ステロイド薬使用後, 再生不良性貧血, 妊娠中の発症があり, さらに性交を契機とした例もみられた.