著者
広瀬 統一 鳥居 俊 小野 高志 笹木 正悟
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は成長期男女サッカー選手の形態と運動能力が発達する時期を、身長発育急増(PHVA)で区分けした成長段階を用いて明らかにすることを主目的とした。PHVA評価指標の検討と、各年齢の運動能力リファレンスデータ確立も目的とした。本研究の結果、跳躍能力はPHVA年齢の1年後(女子)や2年後(男子)に変化し、除脂肪体重の変化以外の要因も影響すること、方向転換能力はPHVA前に変化し、減速能力向上が主に影響すること、間欠的運動能力の変化はPHVA区分で差がないことが明らかとなった。また、PHVA推定式のMaturity Offset法はPHVAを高く見積もり、補正が必要であることが明らかとなった。
著者
高杉 美佳子 山田 耕路
出版者
九州産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

加水分解性タンニン類のIgE産生抑制活性を調べた。その結果、テリマグランジンI、テリマグランジンII、カスアリクチンおよびペンタガロイルグルコースは濃度依存的にIgE産生を抑制した。これに対し、ストリクチニンのIgE産生抑制活性は非常に低かった。これらの結果は、加水分解性タンニン類のIgE産生抑制活性にはガロイル基が4つ相当必要であること、加水分解性タンニン類がIgE産生を抑制することでアレルギー症状を緩和する可能性を示唆している。
著者
柳原 崇男
出版者
近畿大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ロービジョン者および視力や認知機能が低下した高齢者にとって、サインの視認性(文字サイズや掲出位置等)は重要な課題であった。路面サインは通常の吊り下げ型のサインに比べ、歩行者との距離も近く、大型化も可能なことより、低視力者にはその有効性が高いと考えられる。しかし、まだ歴史も浅く、整備ガイドライン等も未だ検討の段階であるため、サイズや配色、および配置は現場裁量で設置されている例が多い。そこで、本研究では、ロービジョン者や高齢者等にも読みやすい路面サインの文字サイズを検討をした。その結果、床面サインの最適文字は、少なくとも120mm程度必要であることがわかった。
著者
原 むつ子
出版者
順天堂大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、マスト細胞が“かゆみ"惹起分子の1つであるIL-31を産生し、アトピー性皮膚炎の“かゆみ"症状の発現に関与するのか否かについて検証した。その結果、抗菌ペプチドによる刺激はマスト細胞にIL-31を誘導すること、かゆみ症状がある皮膚炎の病変部位においてマスト細胞がIL-31を産生していることを見出した。これらの知見は、マスト細胞由来のIL-31がかゆみに関与していることを強く示唆した。
著者
松原 伸一
出版者
滋賀大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は,学習者の自己教育力を高めるための自己意識形成を支援するシステムの開発に関するものである。本研究の成果は,【encircled 1】授業展開の学習モデルの提案とその支援システムに関するもの,【encircled 2】自己教育力を高めるための分析視点の育成に特化した二値応答接近法の開発に関するもの,【encircled 3】自己教育力を高めるための状況下における質問とその応答に関するものに大別される。【encircled 1】は主に初年度に行われたもので,抽象的で曖昧な自己の持つ意識・概念を分かりやすく表現し,思考活動を活性化させることにより,問題を自ら意識させ,反省を促して,行動変容を自然な形で起こさせるようなソフトな学習(変容)モデルを前提としている。このような視点に立ち授業展開の学習モデル構築のための支援システムとしてハイパーテキストファイル生成システム(HTFGS)を開発した。【encircled 2】は第2年度において開発されたもので,学習環境および支援環境を検討し学習者の思考活動をさらに支援することを目的に,連想の考え方を取り入れ分析的視点の育成に特化した手法であり,これを二値応答接近法(BRAM:Binary Response Approaching Method)と名づけた。この方法は,ある刺激語を学習者に与えて連想させることにより,表出された語(連想語)を対象として,それらを分析するための思考活動を支援する方法である。第3年度においては,本手法を充実させる上で分析手法の拡張・充実が急務であったので,これを整理し分析手法を開発した。ここで開発された二値応答接近法の分析体系は,項目分析,関連分析,応答パターン分析(列パターン分析,行パターン分析,マトリックスパターン分析,2次元ソート分析,応答距離分析)および理由分析である。【encircled 3】については,第3年度に成果を得たもので,情報教育または情報技術教育において学習者が発する質問を状況設定の条件のもとに,被験者による応答実験を行ったものである。
著者
佐藤 祐一 小早川 紘一
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

Ni極を使用したアルカリ系二次電池(Ni-Cd電池,Ni-MH電池)は,使用時最後まで完全放電せず,浅い放電状態からの充電を繰り返すと,規定容量より少ない容量しか得られなくなるメモリー効果といわれる現象を生じる。その原因については様々な報告があり,Ni極で部分的な放電サイクルの間,一部の活物質だけが充放電に携わり,サイクルに関与していない活物質が蓄積し,内部抵抗が増大する,またCd極でNi-Cd合金が生成するために,メモリー効果が発生するという報告等がある。我々は原因解明のため,Ni-Cd電池を取り上げ検討したところ,主にその原因は正極活物質であるβ-NiOOHがγ-NiOOHに変化するために発生すると報告した。しかし企業から実用電池において,メモリー効果が表れてもγ-NiOOHの存在は確認できないと反論があった。そこで我々は,Ni極容量規制の試作Ni-Cd電池を使用して,さらに検討したところ以下のことを解明した。試作Ni-Cd電池で浅い放電と充電を繰り返した後,充電状態のNi極について,X回折(XRD)測定,X線光電子分光(XPS)測定を行った結果,通常充放電後には存在しないγ-NiOOHの回折ピークが確認でき,γ-NiOOHは集電体/活物質界面から徐々に生成し,浅い放電と充電のサイクル数が増加すると,その生成量は増大し,容量劣化が大きくなることを確認した。さらに交流インピーダンス法により,Ni極中のγ-NiOOHの生成量が増加すると、電荷移動抵抗が大きくなり,メモリー効果が発生すると推定した。そしてγ-NiOOHの生成がメモリー効果の原因であることをより明確にするため,メモリー効果の温度依存性について検討した結果,低温になるに従って,メモリー効果は発生しやすく,γ-NiOOHの生成量も増加することがわかった。
著者
伊藤 寿英 長尾 能雅 前川 厚子 植村 政和
出版者
修文大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

2019年12月に中国武漢でCOVID-19(新型コロナウイルス)感染拡大の報告があり、瞬く間に世界中にパンデミックをもたらした。わが国では2020年2月末頃から感染トレンドが増減し、生活全般、社会経済のインフラ、病院運営、看護マネジメントにも計り知れない変化をもたらした。本研究は、N大学病院における2018年から2021年までのCOVID-19蔓延前後で2期に分け、看護インシデントとDPCデータを統合した分析を行う。看護環境の変化、看護事故、インシデントの背景要因について遡り観察を行い、リアルデータに基づいた患者安全と看護の価値を創生するアウトカム評価方法を明らかにする。
著者
藤野 和典
出版者
滋賀医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

過大侵襲術後や多発外傷後、重症感染症等の重症患者は集中治療を必要とし、現代の医学をもってしても未だに高い死亡率を呈している。近年Intensive insulin therapyと呼ばれる治療法が集中治療領域にて注目を浴びており、血糖値を80mg/dl以上、110mg/dl以下にコントロールすることにより、重症患者の予後を改善させると報告されている。その成因について我々は、高血糖状態においてはインスリン産生細胞が骨髄、肝臓、脂肪細胞に認められ、これらの細胞は骨髄細胞に由来することをマウスにて観察した。(Kojima H, et. al. PNAS;101(8):2458-63,2004)、重症患者においても、骨髄細胞よりの異常な細胞の各臓器細胞への融合が関連しているとの仮説が成り立つと考えられた。そこで本研究では、多臓器不全にて死亡された患者において、病理解剖を行い、当院に臓器が保存されているケースにて病歴を調べ、血糖値が上昇している(空腹時血糖が110mg/dlが超えている)患者の主要臓器(心臓、肺、肝臓、腎臓)内に、インスリンの免疫染色を行った。糖尿病の既往のある多臓器不全死亡患者にては、マウスの実験と同様に各臓器にインスリン陽性細胞が認められた。糖尿病の既往のない多臓器不全死亡患者においては、3日以内に死亡されるような経過が急な場合ではインスリン陽性細胞は殆ど見られなかったが、3日以上経過し、死亡した場合には殆どの場合、特に肝臓、腎臓においてインスリン陽性細胞が認められ、その陽性細胞は抗TNF抗体による染色にても陽性であった。本研究により侵襲下の高血糖は、肝臓、腎臓にインスリン陽性細胞を誘導し、その細胞よりTNF-αが産生され、SIRS(systemic inflammatory response syndrome)の遷延、ひいてはMODS(multiple organdysfunction syndrome)への進行を導いている可能性が示唆された。
著者
佐野 統
出版者
京都府立医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

慢性関節リウマチ(RA)の病態における視床下部-下垂体-副腎(HPA)系の異常を調べるため、RA患者およびモデルラット(SCWおよびアジュバント)関節炎を用いてcorticotropin-releasing hormone(CRH)やβ-endorphinの役割を検討した。1)RA患者滑膜(表層細胞、炎症性単核球、フィブロブラスト様細胞、血管内皮細胞)においてCRHとβ-endorphin蛋白の著明な発現を免疫染色法を用いて証明した。2)RA患者滑膜ではCRH及びβ-endorphin蛋白は変形性関節症(OA)患者に比べ、有意に強い発現(P<0.01)がみられた。3)RA患者滑膜ではCRHmRNAが滑膜表層細胞、炎症性単核球、フィブロブラスト様細胞、血管内皮細胞において強く発現していた。一方、OA患者滑膜では表層細胞において弱い発現がみられるのみであった。4)RAのモデルラット(SCWおよびアジュバント)関節炎でも炎症の増強に伴い滑膜、軟骨、周囲皮膚においてCRH及びβ-endorphinの発現増強がみられた。5)グルココルチコイド投与によりモデルラット(SCWおよびアジュバント)関節炎と同時にCRH及びβ-endorphinの発現も軽度抑制された。6)抗CRHまたは抗β-endorphin抗血清をAlzetポンプを用いて2週間雌Lewisラット腹腔へ投与するとアジュバント関節炎が抑えられた(約40-50%)。7)抗CRH抗体投与により、免疫染色では関節滑膜や軟骨におけるCRHの発現は抑制されていた。8)抗β-endorphin抗体投与により、同様に関節滑膜や軟骨におけるβ-endorphinの発現は抑制されていた。以上より、CRHやβ-endorphinは様々な免疫作用と同時に、炎症惹起作用を有すると考えられ、RAの病態に強く関与している可能性がある。今後、RAにおけるHPA系の機能異常の解析が進むとともに、その機能修復によるRA治療という新しいアプローチが試みられるものと考えられる。
著者
佐古 順彦 耳塚 寛明 池田 輝政 牟田 博光 藤岡 完治 野嶋 栄一郎 浅田 匡
出版者
早稲田大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

日本で唯一の大規模総合選択制高校である伊奈学園を多面的に評価した。学校の設置計画と運営の実際を概観した後で、多様な教科の選択制、3300の生徒を収容する大規模、大規模を小規模に分割するハウス制(学校内学校プランあるいはキャンパスプラン)というこの学校の独自の特質の効果を検討した。主要な結果は以下のとおりであった。1.教科教室制と大規模な学校建築が教師の空間利用を制限している。2.大規模校の場面の匿名性と小規模校の部分(特にホームルーム)の親密性の均衡が重要である。3.教科選択と満足の関係に男女差や学系(コース)の差がみられる。4.卒業生の自己像に自己実現と同時にシニシズム(冷笑主義)の傾向がみられる。5.進路指導の事例調査によると、進学や職業希望の形成に加えて高校生活の指導が重要である。6.進路選択に関する他校との比較調査によると、大学進学希望の要求水準は他校のように学力によって高低に二極分化せず、比較的に高い水準を維持する。7.学校経営の財政基盤の分析によると、建築や設備などの資本的支出はやや大きいが、本務教員あたり生徒数や生徒一人あたりの支出や標準運営費は平均的である。8.教育情報処理システムは、この学校の大規模とカリキュラムの個別化に必須のものであるが、情報処理にともなう作業の多様さと作業量の多さが特徴である。教務関連、情報教育関連、教科教育関連のシステムの増強と人材の育成が必要である。
著者
岡寺 良 山本 義孝 吉田 扶希子 藤岡 英礼
出版者
九州歴史資料館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、背振山の山岳信仰を考古学的な証拠を元に、その信仰の実態を明らかにするというものである。本研究における学術的成果としては①背振山系を領域とした山中修行(峰入り)の存在を示した②背振山系における主要霊山の実態解明のデータを提示した③山岳信仰・霊場遺跡としての二丈岳の実態について、経塚の発見により新たなデータを提示した、という3点が挙げられる。本研究の調査成果については、学会発表、展示、展示図録作成、シンポジウム発表、報告書作成などにより広く公表することができた。
著者
新江 賢 中江 進 松本 健治 須藤 カツ子
出版者
杏林大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

ダニの外殻に含まれるキチンが、インターロイキン-33 (IL-33)を介して、無害な抗原に対するアレルギー応答を誘発することを見出した。本研究では、抗原提示細胞の1つである樹状細胞(DC)に対するキチンの効果に着目した。その結果、キチンがIL-33存在下でのみDCを活性化し、炎症性サイトカイン(IL-1)の産生を介してTh2細胞を活性化することを明らかにした。さらに、野生型、IL-33R欠損、IL-1欠損DCを移入再構築したIL-33R欠損マウスにアレルギー性気道炎症を誘発することにより、キチンとIL-33により活性化されたDC由来のIL-1が、アレルギー応答を誘発することを明らかにした。
著者
上原 顕仁
出版者
群馬大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

亜鉛は生体において必須な微量元素である。高齢者では亜鉛欠乏症が多く、褥瘡患者では血清亜鉛値が低いことなどから「亜鉛欠乏によって褥瘡が生じやすいのではないか」と想定されているが、実際にこのことを科学的に証明し、機序を解明した報告はない。そこで、本研究では、亜鉛欠乏マウスと正常マウスを用いて、皮膚の圧迫による褥瘡モデルを作製して、実際に亜鉛欠乏によって褥瘡が生じやすいのか、また、その機序について解明したい。
著者
桜井 武
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ストレスや不安にかかわる大脳辺縁系と覚醒系の相互関係を神経科学的に解明するために研究を行なった。ノンレム睡眠のマウスに分界条床核のGABA作動性ニューロンを光遺伝学的に刺激すると直ちに覚醒に移行した。この作用はオレキシン拮抗薬によって阻害されなかった。一方、化学遺伝学的にこれらのニューロンを興奮させると覚醒時間が延びたが、この作用はオレキシン受容体拮抗薬によって阻害された。一方、オレキシンの下流における青斑核のノルアドレナリンニューロンが扁桃体外側部を介して恐怖行動を増強し、汎化に関与することを見出した
著者
齋藤 慈子
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

新世界ザルでは同種内に3色型色覚の個体と2色型色覚の個体が混在していることが知られている。また、ヒト以外の旧世界霊長類の色覚は均一であるとされてきたが、近年、旧世界ザルであるカニクイザルにおいて2色型色覚の個体が発見され(Onishi et al.,1999;2002)、さらに最近チンパンジーにおいても色覚異常の個体が、1個体発見されている(Saito et al.,2003;Terao et al.,2005)。2色型色覚は、赤い果実あるいは若葉の検出に、3色型色覚よりも不利だといわれている一方、2色型色覚の存在理由として、2色型色覚はその他の採食行動において3色型色覚よりも有利であるという可能性が指摘されている。特別研究員は、昨年度までにフサオマキザルと、チンパンジーを対象に、「きめ」の違いによって描かれた図形の弁別課題を用い、2色型色覚の有利性を検証してきたが、今年度は、フサオマキザル3頭(3色型:n=1;2色型:n=2)を追加し、さらにヒトを対象に同様の課題をおこなった。その結果、刺激がカラーカモフラージュされた条件では、フサオマキザルの2色型の個体は、有意にテスト刺激を弁別することができたが、3色型色覚の個体は弁別することができなかった。またヒトでは、カモフラージュされた条件とカモフラージュされていない条件を比較したところ、色覚異常と診断された参加者では反応時間に条件間で有意な差がなかったが、正常3色型の参加者では反応時間がカモフラージュ条件で有意に長くなった。このことから、この課題において2色型色覚、色覚異常の個体は、3色型色覚の個体よりも有利であったといえる。今回の実験により、ヒト以外の霊長類2種、さらにヒトにおいても、2色型色覚の有利性が個体間の行動の違いとして明確に示されたといえる。
著者
笹原 宏之
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2022-04-01

日本語の名詞の一種である固有名詞でありながら、その方法上の困難さなどから、内在する学術的な意義に比して研究が十分には開拓,実施されてこなかった日本の人々の下の名前に対して実証的な調査を実施し、そこに用いられている漢字に関して字種・字体・字音・字義・字訓など各面からの分析を行うことで、それらの実状を検証し、背景も検討する。研究成果は学術分野のみならず、行政全般の抱える諸課題、そして広く一般の命名意識に対して波及効果ももたらすものと考えられる。
著者
新井 紀子
出版者
国立情報学研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

初等中等教育向けに、学校のICT機能のワンストップシステムの研究開発を行った。特に、学校のICT機能のうち、(1)ポータル機能(2)校務の情報化(3)教育の情報化(4)広報の情報化をワンストップで実現できるシステムNetCommons3.0の研究開発を行った。(3)の教育の情報化には、情報モラル・情報リテラシー教育だけでなく、作文・プレゼンテーション指導、基礎学力定着、グループウェアによる知識共有などを含む。
著者
大田 えりか 本田 由佳 森崎 菜穂
出版者
聖路加国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は、研究代表者が一貫して実施してきた我が国の低出生体重児に関する包括的研究(平成24-25若手B 平成26-28若手B)の知見を基に、妊娠中の女性を対象とした適切な体重増加と食事摂取に関するパッケージを作成し、モバイルアプリケーションを用いた介入を実施することを目的としている。2020年度は、アプリケーションの開発に向けたプログラムをアプリケーション開発業者と議論を重ねながら開発した。エコチル調査を用いた妊娠中の体重増加量に関するデータ解析、アプリケーションのデータベース基盤構築・アプリのコンテンツ開発を実施し、アプリケーションに盛り込むプログラム作成を行った。また、倫理審査と実証調査用のプロトコールを作成した。今回開発しているのは、エコチル調査のコホートデータに基づいた健康な妊婦(基礎疾患のない)を対象とした体型別の週数別適切な体重増加量範囲である。週数別の胎児の出生体重がSGA(small for gestational age)やLGA(large for gestational age)のリスクが高い場合には、もう少し体重を増やした方が良い、または控えたほうが良いなど、体重を入力すると、週数別に個別にアドバイスがでる。
著者
五十嵐 素子 平本 毅 森 一平 團 康晃 齊藤 和貴
出版者
北海学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究は「アクティブ・ラーニング」の導入の影響を考えるために、学習活動の実際やそれが可能になる社会環境的条件、教師に求められる実践力の検討を行うことを目的としている。昨年度は、コロナウイルス感染対策のための学内業務(遠隔講義作成・各種事務対応)の増大や、学校現場における調査ができない状況が続いたため、今年度は現場の教員経験を持つ者を分担者に加えることによって体制の見直しを図った。その結果、新規分担者のアドバイスを得ながら、既存データの事例の検討、分析を進めることができた。その成果はすでに出版社に原稿として提出しており、次年度に出版される予定である。また、新規分担者の参加によって、現場の実践についてより理解が深まり、コロナ禍下での実践上の工夫について知見を得ることができた。具体的には、2021年6月12日(土)日本子ども社会学会(オンライン)においてラウンドテーブルⅡ「子どもの遊びと学びをコロナ禍の下で考える-相互行為とメディアの観点から-」を複数の分担者で企画した。そこでは、学校全体での感染防止対策によって導入された、行動に関わる制限的な規範の変化(黙食、児童同士が直接的な身体接触を避ける)などを、むしろ、新しい実践を導入していくきっかけとして捉えていく子どもたちの様子や、そうした試みを支援していく教師の実践があることが報告された。また、コロナ禍下の学校では、対面でありながら、直接的な身体接触を避けるという規範があるため、身体やコミュニケーションを媒介する、様々なメディア(音楽、相手に渡せる道具や物など)を活用し、そのメディアの性質を積極的に取り入れることで、新しい遊びや流行を創り出す様子がうかがえた。こうした研究は授業実践自体を対象としたものではないが、同様の児童と教師のあり方が授業実践でもみられた可能性があることが示唆された。