著者
佐藤 保和
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.378-385, 2005-12-15 (Released:2016-12-30)
参考文献数
15
被引用文献数
2

例えばメタンに比べると水素には,空気中での浮力が大きい,拡散が速い,ガス体積当りの燃焼熱が小さい,火炎の輻射率が小さいなどの安全側に働く性質がある一方で,ガス貯蔵で高圧を要する,可燃限界が広い,着火エネルギーが小さい,化学量論濃度において燃焼速度が大きいので爆風圧が大きい,爆ごうしやすい,火炎を視認しにくい,金属材料を脆化するなどの不安全な性質もある.水素の火炎伝播速度は濃度や乱流強度に大きく影響される.燃焼の伝播が管内あるいは障害物存在下で進むと,伝播がしだいに加速し,ついには爆ごうに転移することがある.可燃性ガスの体積の(1/3)乗で補正した換算距離を用いることで,ガスの種類,濃度,障害物の状況等が同一であれば,ガスの体積によらずに換算距離とピーク過圧の関係が定まる.
著者
Mikiko Fujita Tatsuya Fukuda Iwao Ueki Qoosaku Moteki Tomoki Ushiyama Kunio Yoneyama
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
SOLA (ISSN:13496476)
巻号頁・発行日
vol.16A, no.Special_Edition, pp.19-24, 2020 (Released:2020-11-07)
参考文献数
34
被引用文献数
1 4

We report experimental observations of precipitable water vapor (PWV) derived using Global Positioning System/Global Navigation Satellite System (GPS/GNSS) receivers mounted on autonomous surface vehicles (ASVs), which were deployed in the tropical Pacific Ocean from July to September 2018. The GPS atmospheric delay was estimated by precise point positioning and converted to PWV with ASV surface meteorological data. The GPS-PWV was in agreement with the PWV obtained from radiosondes, with a root mean square error of 3.02 mm and a mean difference of 0.16 mm. A similar accuracy was found in a comparison of GPS-PWV with satellite-based microwave measurements. In anticipation of real-time monitoring applications, PWV was also estimated using real-time clock and orbit data. These estimates were in agreement with the post-processing values. High-resolution temporal observations of PWV over the open ocean made possible by ASV technology could greatly improve our understanding of the rapid variations of developing convective systems.
著者
中村 正
出版者
法と心理学会
雑誌
法と心理 (ISSN:13468669)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.14-20, 2011 (Released:2017-06-02)
被引用文献数
1

筆者は、ドメスティック・バイオレンス(DV)、虐待、性犯罪の男性加害者を対象にした脱暴力へのリハビリテーション(更生)にかかわっている。広い意味での治療的司法の一環として位置づけている実践である。暴力や虐待をとおして満たされている欲求があり、それが習慣化し、長期間、反復されているので、行動的心理的な変容を促すことを主眼にした加害者臨床が必須となる。とくに、対人暴力を伴うので、規範と動機の形成が重要となる。彼らの特性からすると司法的な強制力は不可欠であるが、しかし、効果的な問題行動の修正のためには心理的なアプローチが接合されるべきである。筆者は人格や行為、生育過程や家族関係にかかわるミクロな視点と、男性性にかかわる暴力文化やその社会化というマクロな視点の統合が重要であると考え、両者のリンクが法と心理の連携をとおした修復的-治療的司法の枠組みのなかで可能になると考えている。本稿はそうした立論に包含されている論点を整序したものである。
著者
吉武 信彦
出版者
慶應義塾大学法学研究会
雑誌
法学研究 (ISSN:03890538)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.p59-88, 1995-04

はじめに一 前史 : 第一回国民投票までの経緯二 第一回国民投票後の混迷とエディンバラ合意 (一) エディンバラ合意への道 (二) エディンバラ合意の内容三 第二回国民投票をめぐるキャンペーン (一) 各政党の態度と国民投票キャンペーン (二) 世論の動向四 第二回国民投票の結果 (一) 投票結果 (二) 批准賛成の理由おわりに : EUの行方とデンマーク論説
著者
森田 裕介 下郡 啓夫 辻 宏子 竹中 真希子 瀬戸崎 典夫 江草 遼平 大谷 忠 北澤 武 木村 優里 齊藤 智樹
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究課題では,探究と課題解決・デザイン活動を融合したSTEAM教育カリキュラムの考案,ならびに,STEAM教育教材の開発を行う.そして,DBR(Design Based Research)による実践授業と評価を行う.考案するSTEAM教育カリキュラムは,幼稚園,小学校,中学校,高校,高等専門学校,大学を対象とし,教科横断型でかつ文理融合的に統合した学びのフレームワークである.「探究型」の学びである理数系(理学系)科目,「課題解決型」の学びである技術・情報系(工学部系)科目,「デザイン型」の学びであるアート・ものづくり系(芸術系)科目を融合し,STEAM教育プログラムの事例を作成する.
著者
小城 彰子
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.93-101, 2007-04-30 (Released:2017-08-31)

This paper examines how Korean learners of Japanese (beginners) perceive a geminate stop; the effect of pitch type and a consonant in the initial syllable following the t-closure. 16 nonsense words (reto, retto meto, metto, keto, ketto, teto, tetto) which have a contrast in the voiceless and the voiced consonants of the initial syllable, as well as in the pitch type (High-Low, Low High) containing /t/ singleton or geminate contrast are presented in a carrier sentence spoken at a normal speaking rate. It was found that (1) error rate of perceiving geminate words as singleton words (t-dropping) is higher than that of perceiving singleton as geminate (t-insertion). (2) error is higher as following; voiced+LH>voiced+ HL≧voiceless+HL>voiceless+LH. (3) error rate of t-insertion is higher in LH singleton words and that of t-dropping is higher in HL geminate words.
著者
川崎 弘作 吉田 美穂
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.83-94, 2021-07-30 (Released:2021-07-30)
参考文献数
15

本研究は小学校理科の問題設定場面における,「なぜ」という探究の見通しを持たない疑問を「何が」や「どのように」といった探究の見通しを含む問いに変換する際の思考力に着目し,その育成を目指している。このため,本研究では先行研究で明らかになっている問いへの変換過程における思考過程や小学生の実態を踏まえた学習指導法を考案し,小学生を対象とした授業実践を行った。具体的には,問いへの変換に必要となる知識を理解させるための学習指導を1時間設けた後,普段の理科の授業の中で理解させた知識を繰り返し使用させるための学習指導を4時間設けた。そして,その効果の検証を行ったところ,考案した学習指導法は,小学生の問いへの変換に必要となる知識の獲得を促し,その結果,問いへの変換における思考力を育成することのできる学習指導法であったが,その効果は限定的なものであった。
著者
高橋 美樹
出版者
The Japanese Association for the Study of Popular Music
雑誌
ポピュラー音楽研究 (ISSN:13439251)
巻号頁・発行日
vol.10, pp.58-79, 2006 (Released:2009-10-29)
参考文献数
47

本稿の目的は1920-40年代に沖縄出身の普久原朝喜が丸福レコードにおける〈媒介者〉として、どのような実践をしていたのか明らかにすることである。制作者としての役割を果たしながら、歌手・演奏家、聴衆を仲介する人物として、朝喜の実践を分析した。結論は以下の3点である。第1に、朝喜はレコードを沖縄、日本、海外における沖縄系エスニック・コミュニティに向けて発信するスタイル、つまり〈内向き〉発信スタイルに基づきレコードを発売していた。第2に、レコード制作は沖縄固有のローカル性に富み、聴衆と販路は国境を越え流動化していた。ただし、丸福レコードの活動は国という地理的な境界は越えたが、沖縄人という民族的な境界は越えていなかった。第3に、大阪在住の朝喜の存在は沖縄移民の中継地として機能していた。朝喜は沖縄、日本、海外における沖縄系ネットワークを有効に活用し、レコード制作販売に反映させることで商業的成功を成し遂げたといえる。
著者
佐藤 誠 甲斐 創 梓沢 曜平 土屋 隆 岡田 直紀 高橋 一徳
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.J2-J5, 2016 (Released:2015-12-21)
参考文献数
1

日本テレビの制作現場では,音楽番組やドラマでの演出として映像の回転効果や,ロードレース番組で移動中継車の走行の揺れによる映像のブレを軽減させたいといった要望がある.映像の回転については,カメラの光学ブロックを物理的に回転できる専用のカメラを独自に開発しており,映像のブレ軽減については,移動中継車等にカメラの防振台を搭載し使用している.何れも機能としては高性能であるが,専用の高額な機材であるため,運用面,コストおよびメンテナンス性の点で課題があり,簡易に使用できる機器の開発が求められていた.今回,専用の回転カメラやカメラ防振台が使用できない状況でも,4Kカメラ等の信号から映像信号処理で回転やブレ補正を行い,HD信号として出力できる装置を開発した.今まで,機材やコスト面で運用制限を受けていた撮影現場での利用や,予備系システムとしての構築利用にも期待している.