著者
佐々木 修平
出版者
八戸工業高等専門学校
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

超電導バルク体を用いた磁気浮上型免震装置の実用化に向けて,免震対象物の許容重量となる磁気浮上力,鉛直振動伝達の抑制が重要な課題となる。本課題研究期間において,永久磁石の配列方法や,磁性体を用いた磁束密度操作によって磁気浮上力の向上を図り,一般家屋を磁気支持できるレベルに到達することができた。さらに,モデル装置を用いて鉛直振動伝達特性について検討を行い,超電導バルク体に超電導線材コイルを取り付けることで鉛直振動伝達を抑えることに成功した。
著者
田中 浩
出版者
山口県立山口博物館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2010

・研究目的ヤマネGlirulus japonicusは、ヤマネ科Gliridaeに属する1属1種の日本固有の小型哺乳類である。1975年に天然記念物に指定され、環境省のレッドリストでは準絶滅危惧に指定されている。主に夜行性で、樹上をおもな生活の場とし、さらに生息密度が低いため、調査が困難であった。近年、調査機器の発達と調査方法の確立により、生態や生活史特性が明らかになりつつある。しかし、関西以西の本州・四国・九州では調査はほとんどなされておらず、依然、生態や生活史については謎のままである。本州西端山口県におけるヤマネの冬眠、繁殖、個体間関係、生息環境利用などを明らかにし、ヤマネの生活史特性を解明し、東日本個体群との生活史特性の差異を明らかにしたい。・研究方法調査地に20m間隔の格子状のグリッドを設定し、その交点近くの木の1-1.5mの高さに、出入り口直径3cm、高さ20cm×幅15cm×奥行15cmの巣箱を150個設置した。利用個体調査は原則月2回以上実施した。また、トラップによる捕獲を試みた。ヤマネ捕獲個体は、すべて体重・頭胴長・尾長・後肢長・耳長などの計測を行い、幼獣以外の個体にはマイクロチップを皮下に挿入し、個体識別を行った。巣箱利用個体が撮影されるように、赤外線センサーによる自動撮影カメラや自動撮影ビデオカメラを設置し、巣箱の利用実態調査を行った。成獣には、発信機を体表面背中側に装着した。・研究成果ヤマネの巣箱利用は、4月の巣箱設置後すぐに利用する個体があらわれた。4月~11月は巣箱利用個体の撮影ができた。幼獣は9月から11月に観察され、11月の体重が15gにも達していない個体があった。早い個体は11月には冬眠に入ったが、遅い個体は12月になり冬眠した。これまで、調査が進んでいる中部地方の長野県の個体群に比べると、冬眠期間は短がかった。ヤマネが持ち込む巣材は、スギの樹皮で、細かく引き裂き持ち込んでいた。成獣と幼獣の巣の大きさに違いがあり、幼獣は単独で越冬していた。調査地には、複数個体のヤマネが生息し、繁殖・冬眠などの生態調査の適地であることがわかった。
著者
石谷 太 岡田 雅人 清水 誠之 佐久間 恵 石谷 閑 原岡 由喜也 龝枝 佑紀 小神野 翔平 Zou Juqi 古家 博信 梶原 健太郎 北野 圭介 大倉 寛也 河瀬 直之 Chen Ping-Kuan
出版者
群馬大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

本研究では、SrcとWnt経路の活性化が誘発する細胞競合の機序と、その脊椎動物における機能的意義、および腫瘍進展における役割の解明を目指している。まず、ゼブラフィッシュにおいて細胞競合可視化解析系を確立した。また、Wnt経路駆動性細胞競合の研究を行う過程で、発生プロセスで自然発生したシグナル異常細胞が細胞競合により排除されること、すなわち、細胞競合が発生プログラムのエラーを防ぐ発生ロバストネス制御機構であることを発見した。また、新たに構築した培養細胞系を用いた解析により、Src誘発性細胞競合におけるSrc活性化細胞の逸脱の方向性が細胞の種類によって変化することを発見し、その機序を明らかにした。
著者
青木 宏之
出版者
高知短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、日本鉄鋼業における1960年代前後の生産現場の管理諸制度の変化を、大手高炉メーカーの事例分析を通じて明らかにした。第一に、職務の設計においては、下級管理職までが機能的な観点が導入され、原価や品質に関わる管理職能が付与された。さらに、第二に、そうした柔軟な働き方を評価する職能ランク制度が導入された。第三に、目標管理制度による部門業績の管理が導入され、各級管理者はより主体的な努力を求められるようになった。こうした相互補完性を持つ諸制度の構築が、現代日本鉄鋼業の現場管理システムへの直接的な契機となっていると考えられる。
著者
森 和俊 親泊 政一 原田 彰宏 南野 哲男
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

小胞体膜結合性転写因子ATF6は、小胞体ストレスを感知するとゴルジ装置へ移行し、プロテオリシスによる活性化を受ける。この小胞体ストレスの感知にATF6内腔領域のみが十分であることを証明した。ATF6αノックアウトマウスは正常に発育するが、腹腔に小胞体ストレス誘導剤を投与すると脂肪肝を形成して死亡する。その原因として、肝臓からの脂肪の放出を担う超低密度リポタンパク質形成に関与するApolipoprotein B-100の品質管理にATF6α非存在下では問題が生じることを突き止めた。
著者
西沢 理 田辺 智明
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

冷えストレスによる下部尿路症状(LUTS)はQOLを低下させることで悩んでいる人が多いが検討は十分とは言えない。基礎的検討では膀胱の尿路上皮に注目し, 前立腺肥大症患者において,自律神経系受容体mRNAの発現を検討したところ,アドレナリンα1D, β3受容体,セロトニン2b, 3a, 7受容体の変化が起こることが示された。臨床的検討では健康講座の受講生を対象として冷え症と冷え性でない2群に区分し,LUTSに対する体操の効果を検討したところ,冷え症群では,体操が蓄尿症状を改善させることが認められた。また,大建中湯が便秘症とLUTSを有する患者に対して冷え症とLUTSに有用なことが示された。
著者
加藤 泰浩 岩森 光 安川 和孝 藤永 公一郎 町田 嗣樹 大田 隼一郎 野崎 達生 高谷 雄太郎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2020-08-31

本研究は、海洋底の大部分を占める遠洋性粘土をキーマテリアルとして捉え、「化学層序プローブ」を用いて網羅的に解析することで、グローバル環境変動・物質循環のダイナミクスの全容を定量的に解明する研究である。また、有用元素の循環を定量的に議論することで、資源成因の支配プロセスの全体像を解明する。そして、環境変動や資源生成を統一的な枠組みで説明可能な,真に革新的なグローバル物質循環についての統合理論の創成を目指す。
著者
水内 智英 宮田 雅子
出版者
名古屋芸術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2018-04-01

平成30年度は、アクターネットワークセオリーをベースにしたデザイン方法論とその応用のための基礎理論を整理し、同時に実践メッソドの検討を行う期間と定めており、具体的には次のような活動を行った。1.アクターネットワークセオリーへの基礎的理解を得た上で、デザイン理論への展開方法を検討するため、関連文献を選定しそれらを基に研究会を重ね、議論を深めた。加えて、行動心理学や社会学などの関連分野の専門家に対する対談形式でのインタビュー調査を行い、デザイン方法論としての展開可能性について多視点から検討を加えた。2.実践メソッドの検討として必要となる、対象地域と対象課題の設定を行うため、候補として挙げられた地域に赴きフィールドワークを行い、必要に応じて、地方自治体関係者らとの打ち合わせを行なった。それらを通じて、次年度にメソッドの実践・検証を行う地域の選定と研究協力体制について確認することができた。3.国内外でサービスデザインや、多様なアクターを考慮に入れたデザインワークショップを実施し、その成果を研究会に持ち寄り報告・検証することで、実践メソッドの検討を進めた。加えてデザイン論、メディア論、サービスデザイン等を扱う研究会に参加し、本研究に関係する理論と実践の現状を把握した。研究推進に必要な関連基礎理論の理解、基礎的調査・準備は不可欠である。今年度に行なった一連の活動により、本研究の目的であるアクターネットワークセオリーを導入したデザインメソッドの開発とそれを支え得る基礎理論の構築に向けた準備を進めることができた。
著者
五味 郁子
出版者
神奈川県立保健福祉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

地域で暮らす生活保護受給者や高齢者は、食生活や身体状況、生活状況の変化による低栄養の予防が必要である。一方、地域には、住民の食生活をサポートする地域資源が多様に存在している。そこで本研究は、個別の食生活状況に応じて、必要な食生活サポート地域資源(サービス)をコーディネートするインターネット活用型システム「食生活サポートナビ http://shoku-support.com」を構築した。
著者
海保 邦夫 CRAMER Benjamin S. CRAMER Benjamin
出版者
東北大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

1)試料採取と測定海洋掘削計画Site 762における白亜紀-第三紀境界の試料を得た。安定同位体比分析中。海洋掘削計画Sites 761,762,1209,Sites 525,527,528,577の白亜紀/第三紀境界セクションの堆積物の色分析を研究中。ベルギー南部のホニーとシンシンのフラスニアン/ファメニアン境界の磁化率測定を行なった。後期ペルム紀の初頭と末の大量絶滅を記録した中国のライビンとメイシャンの地層の磁化率測定を行なった。2)データ解析:スペインのカラバカの暁新世/始新世境界の掘削試料の色と磁化率に記録されたミランコビッチサイクルの解析を行なった。暁新世/始新世境界の極端温暖化を記録した堆積物へミランコビッチサイクルに基づく時間スケールを入れることを行なった。ミランコビッチサイクルと炭素同位体記録の間の関係を調べるためのボックスモデルの構築を行なった。ミランコビッチサイクルから時間スケールを求めるためのコンピュータープログラムの開発を行なった。後期ペルム紀の初頭大量絶滅を記録した中国のライビンの地層へミランコビッチサイクルに基づく時間スケールを入れることを行なった。3)調査旅行:2003年6月:ベルギーのホニーとシンシンのフラスニアン/ファメニアン境界の磁化率測定4)会議2003年6月:スペインのカラバカの生物事変国際会議で4件の成果発表を行なった。
著者
西川 淳 舘野 高 大高 友斗 橘 唯至 羽賀 健亮
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では,閉ループ電気生理を用いて特定の脳領域における神経応答特性を制御する新規手法を提案した.まず,フラビンタンパク質蛍光イメージングと局所電場電位計測を用いて齧歯類聴覚皮質における各サブ領域および層における時間周波数受容野(STRF)を体系的に調べた.特に,覚醒自由行動下のマウス聴覚皮質では,異なる2つの行動文脈においてSTRFの特性が動的に遷移することを明らかにした.得られた知見をもとに,各サブ領域および層にまたがる多点シリコン電極を刺入し,聴覚応答を計測しながらSTRFを実時間で推定し,その結果に応じて特定のチャンネルを多点電流刺激できるシステムを構築することに成功した.
著者
松田 法子
出版者
京都府立大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、日本の歴史的集住体が津波や洪水、氾濫などの水害に見舞われながらも、水の把握と制御によってその恵みを享受してきた居住史を振り返り直し、その具体相を明らかにすることを目的とする。そこでは、技術-空間-社会が統合された「社会的技術」とでもいうべき日常的な治水・防水システムが造りあげられてきた。本研究では、氾濫原-沼-潟に形成された集住体である新潟県の近世都市・集落である蒲原・沼垂・新潟の事例研究から、〈水際〉の居住史の具体相を探る。本研究が定義する〈水際〉とは、土地と居住との間に常に存在する一定の緊張関係と受給関係という両義性と相互の応答性を考察するためのキー概念である。
著者
杉田 聡 田中 誠二 後藤 芳美 丸井 英二
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、1945~1952 年の占領期において、厚生省等の日本の行政機関と、GHQ/SCAP/PHW(連合国最高司令官総司令部 公衆衛生福祉局)との協同や対立と構造を分析した。分析には、国立国会図書館に所蔵されるGHQ 文書、特に占領開始から終了までのGHQ/SCAP/PHWの業務日誌であるDaily Journalを用いた。厚生省とPHWの会合記録を集計分析した結果、占領開始時の厚生省衛生局長である勝俣稔が重用されていることが明らかとなった。また、①日本脳炎対策のための岡山県の野外調査と、②衛生教育のために全国を巡回した公衆衛生列車の立案実施の実態を明らかにした。
著者
臼杵 陽 加藤 博 長澤 榮治 店田 博文 鈴木 均 三沢 伸生
出版者
日本女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究ではこれまで看過されてきた戦時期日本の戦略研究としての回教・回教徒研究を積極的に再評価し、戦後展開した基礎的な地域研究としての中東イスラーム地域研究との断続性よりもそれへの継続性に力点を置いて検討することを目的とした。本研究による研究成果としては以下の四つの領域に分類することができる。第一に、アフガニスタン関係資料として、尾崎三雄家所蔵資料の整理・公刊である。第二として、戦時期日本の回教・回教徒研究に関しては、早稲田大学中央図書館に所蔵の大日本回教協会の映像資料「大日本回教協会関係写真資料(Photography of the Greater Japan Muslim League)Ver.1」のCD-ROM化、また、2006年1月にトルコ共和国アンカラにおいて行なったシンポジウム「戦時期日本のイスラーム政策」の成果の一端を『日本中東学会年報(The Annal of the Japan Association of Middle East Studies)』第23号の特集「第二次世界大戦前の日本と中東(Japan and the Middle East before World War II)」として刊行した。第三として、大日本帝国領に亡命していたタタール系ムスリムによって刊行されていたタタール語等の雑誌・新聞類の整理に関しては、第二次世界大戦中に旧満州国ハルビンで刊行されていたタタール語紙『ミッリー・バイラク』に掲載された写真を一枚のDVDにまとめた『Photography Collection of Milli Bayrak(Mukden,1935-1945)Ver.1』としてDVDを刊行した。第四として、戦前日本の回教・回教徒研究を推進・組織化した東亜経済調査局理事長であった大川周明が第一次世界大戦後に多くの論考を投稿していた道会雑誌『道』に掲載された大川周明の論考をデータ化してまとめた。
著者
松本 晃幸
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

栽培きのこの一種、ウスヒラタケ(Pleurotus pulmonarius)で見出された子実体が発生後、正常に傘と柄の分化を行うことができない(子実体の奇形化)自然突然変異の原因遺伝子を連鎖地図、ゲノム配列情報、発現解析等により探索し、候補を1遺伝子に絞り込んだ。この成果は栽培現場で偶発的に発生する子実体奇形化の説明につながる可能性がある。今後相補あるいは破壊実験などにより検証し、当該遺伝子の変異検出用DNAマーカーを開発する予定である。
著者
大谷 泰志
出版者
九州歯科大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2018-04-01

粘膜疾患の診断支援システム構築のため、ディープラーニングのデータセット作成に着手した。また、粘膜疾患のデータ収集は継続して進行中である。並行して臨床経験による専門医と一般開業医の病変認識の差異に関し、基礎データからクラスタリングを行い、違いの傾向を発見しつつある。同時に、これまで開発したソフトコンピューティングベースの診断支援システムのwebアプリケーション化を行い、データ収集をさらに進める予定である。
著者
山崎 幸治
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、アイヌ木製盆について、そのソースコミュニティの人々とともに調査をおこない、そこに作風と呼べるものが存在することを確認するとともに、制作地や制作者について検討をおこなった。数は多くはないが、制作地や制作者などの背景情報をともなわないアイヌ木製盆が、本研究をつうじてソースコミュニティの人々と再会し、地域の歴史のなかへと帰還したことは一つの成果といえる。また、民族誌資料データベースと先住民族との共同調査のあり方について検討した。
著者
津田 雄一
出版者
独立行政法人宇宙航空研究開発機構
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究が理論的な基礎としている状態遷移行列の近似法に関する理論(申請者とコロラド大学教授との共同執筆論文)は,摂動の作用する実環境の状態遷移行列を解析関数群で近似する手法である.本研究により,左記の近似を施しても,状態遷移行列がそもそも物理的に本来保存すべき数学構造を保存する定式化が可能であることが示された.ここで本来保存すべき数学構造とは斜交群構造(simplecticity)であり,この構造を保存することで良好なエネルギー保存・運動量保存特性が得られるのが特徴である.また,本理論の具体的応用先として,実摂動環境下での編隊飛行の相対軌道設計に適用する手法について,網羅的に示された.具体的作業としては,前年度に引き続き,理論面では状態遷移行列の特異値構造に基づく最適編隊飛行軌道の設計法を構築した.結果として得られた手法は,地球周回の編隊飛行ミッションにおいて,実際の摂動環境下で制御コストの推算および最適相対軌道設計が容易となるものである.本手法は,摂動源の数学的・物理的構造に着目した手法であるため,場当たり的な数値最適化とは異なり,摂動源ごとの挙動の分離が可能であり,最適設計の指針が得やすい(設計者に自由度が残される)のが特長である.本年度の研究活動により,当該設計法を実現する計算プログラムコードの開発・評価を行い,妥当な結果を得た.研究成果は,年度中盤の3回の国際学会にて発表を行うとともに,理論構築の基礎部分について,学術論文としてまとめた.
著者
冨田 秀一郎 畠山 正統
出版者
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

カイコを材料にして、これまでabd-Aの発現が腹脚の発生に必要であることを示した。本研究でカイコ胚でのDllの発現を調べたところ、腹脚原基の先端部で発現していることを確認した。これはabd-Aによる抑制は受けないものの、Dllが発現することにより腹脚の発生が誘導される、というこれまでの説をおおむね裏付けているように思われた。そこで、腹脚形成へのDllの関与を検討するために、Dllのノックダウンを行ったところ、正常な腹脚が発生し、先端構造が欠損することはなかった。これらの結果より腹脚の形成おいても胸部体節同様の位置情報分子メカニズムを利用していると考えられ、腹脚は付属肢であることが示唆された。