著者
羽崎 完 藤田 ゆかり 山田 遼
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Ab0440, 2012 (Released:2012-08-10)

【目的】 筋連結とは,隣接するふたつの骨格筋において,筋膜,筋間中隔などの結合組織や互いの筋線維が交差して接続していることを指し,全身のいたる所で観察できる。Myersは,個々の筋連結による筋の全身におよぶ連続したつながりを経線としてとらえ,ほとんどの運動が経線に沿って拡がるとしている。つまりこれは,ある筋が収縮したとき,その筋に連なる筋にまで活動が伝達されることであり,この概念は広く臨床に応用されるようになっている。しかし,筋連結や経線についての概念は解剖学的な考察や経験に基づいており,筋の機能的な連結について明確にされていない。我々は,Myersの述べる経線のひとつであるラセン線上にある前鋸筋と外腹斜筋に着眼し,両筋が機能的に筋連結していることを明らかにし,第46回日本理学療法学術大会においてその成果を報告した。本研究では,その延長線上にある菱形筋と前鋸筋も機能的に連結しているか否かを明らかにすることを目的とした。【方法】 対象は,健常成人男性10名(平均年齢21.2±1.8歳,身長170.4±9.7cm,体重65.6±26.2kg)とした。測定は,前鋸筋に負荷を与えたときの前鋸筋と菱形筋の筋活動を導出した。測定肢位は,高さの調節できる椅子に膝関節90°屈曲位になるように座らせ,肘関節伸展位にて肩関節90°屈曲位,肩甲骨最大外転位とした。この肢位で,前腕遠位部に自重(負荷なし),2kg,4kg,6kgの負荷を加え,それぞれ5秒間保持させた。測定筋は第6肋骨前鋸筋,第8肋骨前鋸筋,菱形筋とした。第6および第8肋骨前鋸筋は肋骨上で触診できる位置に,菱形筋は肩甲骨最大外転位で,僧帽筋下部線維外側縁,肩甲骨内側縁,肩甲骨下角から第5胸椎棘突起を結んだ線でできる三角形内に電極を貼付した。なお、電極が正確に菱形筋に貼付できているか,超音波画像診断装置(日立メディコ社製Mylab25)を用いて確認した。筋活動の測定は,表面筋電計(キッセイコムテック社製Vital Recorder2)を用い,電極間距離1.2cmのアクティブ電極(S&ME社製)にて双極導出した。筋活動の解析は,自重時の平均筋活動量を1として,各負荷における筋活動量の変化率を算出し行った。第6および第8肋骨前鋸筋と菱形筋の関係は,Pearsonの相関係数を求め検討した。さらに,第6肋骨前鋸筋と第8肋骨前鋸筋のどちらがより菱形筋と関係が強いか検討するために重回帰分析を行った。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者の個人情報は,本研究にのみ使用し個人が特定できるような使用方法はしないことや研究の趣旨などの説明を十分に行った上で,対象者の同意が得られた場合にのみ,本研究を実施した。【結果】 Pearsonの相関係数を求めた結果,菱形筋と第6肋骨前鋸筋との相関係数は0.791,第8肋骨前鋸筋との相関係数は0.817となり、いずれも有意な強い正の相関が認められた(p<0.01)。重回帰分析の結果,第6肋骨前鋸筋の標準偏回帰係数は0.356,第8肋骨前鋸筋の標準偏回帰係数は0.517となり,第8肋骨前鋸筋にのみ有意な影響が認められた(p<0.05)。【考察】 五十嵐らは解剖実習献体を用いて,菱形筋と前鋸筋が肩甲骨内側縁で線維性結合組織で連結されていることを肉眼にて確認している。また,竹内らも解剖実習献体の大菱形筋付着部を観察し,それが前鋸筋筋膜に折りたたまれるように接着していることを確認している。このように菱形筋と前鋸筋が解剖学的に連結していることは明白であり,菱形筋の筋活動の変化率と前鋸筋の変化率が強い相関を示した今回の結果から,機能的にも連結していることが明らかとなった。一般的に菱形筋は肩甲骨の内転・下方回旋に,前鋸筋は外転・上方回旋に作用し,両筋は拮抗筋の関係にあるとされている。その一方でPatersonが経験に基づき推察しているように菱形筋と前鋸筋は共同筋として肩甲骨の安定に作用していることが知られている。今回の結果は,この推察を科学的に証明した。菱形筋と前鋸筋は,解剖学的にも機能的にもあたかもひとつの筋のように肩甲骨の安定に作用すると考える。また重回帰分析の結果から、第6肋骨前鋸筋よりも第8肋骨前鋸筋の方がより菱形筋との関係が深い傾向が認められた。これは,第6肋骨前鋸筋よりも第8肋骨前鋸筋の方が菱形筋の走行の向きに近似しており,肩甲骨の安定に対して共同筋としてより機能しやすいためと考える。Myersもラセン線は前鋸筋のより下部を通過するとしており,下方の前鋸筋の方が菱形筋との関係が深いことが明らかとなった。【理学療法学研究としての意義】 本研究の結果は,不安定な肩甲骨に対して前鋸筋のみにアプローチするのではなく,菱形筋と前鋸筋をひとつの筋としてアプローチする必要があることを示唆している。
著者
加藤 佑一
出版者
首都大学東京
巻号頁・発行日
pp.1-30, 2019-03-25

久慈川流域と阿武隈川流域はお互いの上流部である福島県の棚倉付近において接しており,この地域において,久慈川水系による阿武隈川水系の争奪を示唆する地形が存在している.このような指摘はこれまでも行われてきたが,争奪の年代について詳しく明らかにされてはいなかった.この河川争奪部およびその周辺には河成段丘が広がっており,段丘編年の確立により,争奪の年代を知ることができると考えらえる.そこで,本研究では棚倉付近の河成段丘を編年し,河川争奪の年代を求めることを目的とする.まず段丘区分図および縦断面図を作成し,その上で野外調査を行った.現地では,露頭探査を行い,露頭が不十分な場合には打ち込み式オーガーによる簡易的なボーリング調査も行った.野外調査の結果を基に各々の段丘面毎に被覆テフラや構成層を検討し,各段丘面を編年した.本研究で取り上げる久慈川水系による阿武隈川水系の河川争奪は主に3つある.これらは,2つの期間に分けて争奪されたとされており,本研究では,先の期間に争奪されたものについて古上台川,後の期間に争奪されたものについて古向原川,古下羽原川と名付けた.対象地域の河成段丘は,阿武隈川水系に形成時の侵食基準面を持つ,社川高位面(YH),社川中位1面(YM1),社川中位2面(YM2)と,久慈川水系側に形成時の侵食基準面を持つと考えられる,久慈川高位0面(KH0),久慈川高位1面(KH1),久慈川高位2面(KH2),久慈川中位0面(KM0),久慈川中位1面(KM1),久慈川中位2面(KM2),久慈川低位0面(KM0),久慈川低位1面(KM1),久慈川低位2面(KM2)に区分した.KM1面は構成層層厚2m,被覆層層厚3m程度の段丘で姶良丹沢テフラ(AT:30ka)に覆われている.被覆層はAT直下よりフラッドロームとなる.したがって離水年代は30kaより少し前である.KM2面は構成層層厚が4m前後で顕著なロームによる被覆は認められない段丘である.この面は山地の谷筋の出口付近に多く,礫径も大きく淘汰も良くないので,氷期に形成され,その後侵食されてできたできた段丘であると考えられる.ATより新しい氷期の段丘となると,その離水年代は20~15kaであると考えられる.KL1面は,被覆層は載らず,構成層は亜円礫で層厚が1~2mである.詳しい年代を推定する試料はないが,段丘面上に縄文晩期の遺跡を載せ,KM面群より低い段丘であるからその離水は15kaから2kaよりは新しいと考えられる.YH面は古上台川が形成しその後争奪された.被覆層層厚約8m,構成層層厚約4mの段丘であり,被覆層と構成層境界の1~2m上に那須白河テフラ6~12(Ns-Sr6~12:150~200ka)のいずれかの2枚が観察された.よって離水年代は200~150kaである.YM2面は古向原川,古下羽原川が形成し,その後争奪された.構成層層厚が2~3mであり,被覆層は多くとも1m以下である段丘である.KM2面と地形的・地質的特徴が似ていることから,KM2面と同時代の段丘であり,久慈川水系による争奪後に段丘化したと考えると離水年代は20~15kaごろかそのやや後である.以上から,各々の争奪の年代を推定する.古上台川が形成したYH面はその離水年代がMIS6末期である.一方,古上台川が形成したYH面は温暖期に形成されるであろう明瞭な開析谷を持たない.よって,MIS5eまでに上流部を久慈川水系に奪取されたものと考えられ,その争奪は200~125ka頃と推定される.古向原川,古下羽原川は,YM2面形成以降,KL1面形成までに争奪されたと考えらえる.すなわち争奪の年代は,20ka~2ka頃と推定される.これらの争奪の要因に,久慈川水系の侵食基準面が低いこと,また,いずれも氷期ないし氷期から温暖期にかけての期間に発生していることから気候変動が挙げられる.争奪の年代より,争奪前の地形から現地形までの侵食速度を求めることができる.ここでは,試算的に古上台川の争奪後からの侵食量を求めた.結果は,42.0~102.0m/10万年となり,これは先行研究でまとめられている段丘面からみた各河川の浸食速度とおおよそ似た値を示し,求めた争奪の年代が大きく間違ったものではないことを示す.久慈川の中・下流域の段丘と本研究を比較すると,本研究におけるKM面群は,中・下流域における低位面に対比される可能性が高く,KH面群は中・下流域の中位段丘に対比される可能性が高い.この点は今後の課題である.
著者
若林 克法 草部 浩一
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.344-352, 2008-05-05
参考文献数
57

サッカーボール状分子C_<60>,炭素ナノチューブの発見は,その興味深い形状と多彩な電子状態から,物理,化学,工学の各分野から強い関心を巻き起こし,ナノスケールにある炭素物質は,今やナノサイエンス/ナノテクノロジー研究における代表的な物質としての地位を占めている.最近では,グラファイトから一原子層のグラファイトシート(グラフェン)を引き剥がして得たサンプルにおいて,従来の2次元電子系とは異なった電子輸送特性が測定されたことを契機に,グラフェンの特異な電子状態を利用した電子デバイスの研究が精力的に行なわれている.本稿では,グラフェンにおけるメゾスコピック効果に着目し,ナノスケールにあるグラフェン,つまりナノグラフェンには端の形状によって特異な電子物性が現われることを概説する.
著者
坂井 雄吉
出版者
大東文化大学
雑誌
大東法学 (ISSN:02870940)
巻号頁・発行日
vol.26, no.2, pp.二六一-二七三, 1996-03-30
著者
棚次 亘弘 成尾 芳博 丸田 秀雄 秋葉 鐐二郎 倉谷 健治
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.13-54, 1983-03

宇宙科学研究所は昭和51年から行ってきた液水/液酸ロケット開発における最終段階の試験としてステージ燃焼試験を行った。ステージ燃焼試験は最初に7トン級エンジンと小形厚肉タンクシステムを用いて, 次に10トン級エンジンを用いて行った。これらのエンジンは昭和55年と56年にそれぞれ確認試験を行っている。ステージ燃焼試験は昭和56年10月から昭和57年4月に3期に分けて8回実施し, ステージシステムが計画した性能で自立運転状態になることを確認した。また, ステージシステムの起動と停止シーケンス, およびシステムの予冷運転の方法が確立され, タンクの推進剤を過不足なく消費するためのPU制御も試みられ良好な結果が得られた。
著者
逸見 竜生 淵田 仁 井田 尚 川村 文重 小嶋 竜寿 隠岐 さや香 小関 武史 飯田 賢穂 井上 櫻子 寺田 元一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

人文情報学分野の発達で古典籍デジタル化の急速に進んだ今世紀初頭より、『百科全書』本文批判研究は新たな段階に入っている。そのなかでも緻密な実証にもとづく本文批評校訂手法の確立は、多くがなお未解明である。本研究は、18世紀啓蒙思想、科学史、人文学領域の研究者が協力しあい、欧米・韓国の研究者の協力もえて、『百科全書』編集史のわが国における初の包括的な文献学的解明を目指す。具体的には、{1}典拠批判により本文資料層の〈生成〉を包括的に分析するとともに、{2}識別が可能となった異なる資料層の断片の、テクストにおける編集的な取り扱い方(〈転位〉)を多面的に追究し、{3}その編集作業の背後にある『百科全書』編集意図とその史的状況との関連を総合的に明らかにする。本研究ではこれまで、{1}『百科全書』項目本文の文献批判論、特に典拠となる先行文献資料の本文への累積的な取込の様態の組織的解明(初年度2017年開始)を経て、2018年度は特に{2}項目校編者による編集意図を再建し、源泉資料の再生ないし改修、転位の様態に新たな光をあて、各々の校編者の関心や意図を包括的に明らかにする編集史的考証を行った。そのために研究代表・分担者が月例で都内に集まり定期的な会合をもち、編集史観点からの調査についての研究ならびに報告会を行った。典拠調査も継続した。また国際的学際研究組織の構築の一環として、セミナー、ワークショップをフランス・韓国研究者と6回に渡って実施した。
著者
山田 光胤
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.505-518, 1996-01-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
17

医療は専ら西洋医学を修めた医師によって行うこととし, 漢方を学んでも医師の資格は与えないという明治政府の処置によって, 明治16年 (1883) 以降漢方医学を学ぶ者は次第に絶え, 我が国の伝統医学・医療は絶滅に瀕した。これは, 日本人の特に当時の政府人の西洋崇拝, 伝統蔑視の思想が強く関与しているものと思われた。このような風潮は, 現在でも引き継がれていると考えられる。しかし, 幕末から明治にかけて, 日本漢方を西洋医学と対比するに, 外科手術の面は別として, 内科的治療のレベルは, むしろ日本漢方が優れていた。この具体的な症例を, 浅田宗伯は著書『橘窓書影』の中に記録している。そのような時流の中で, 東洋医学を学んで医師となった和田啓十郎は, 漢方医学の有用性・重要性を唱えて, 明治43年 (1910),『医界之鉄椎』を著した。この書は実に, 漢方医学復興の一粒の種子となった。金沢医専出身の医師・湯本求眞は, この書によって啓発され, 和田門下となって生涯を漢方医学の究明と, それによっての患者の治療に尽し, 昭和2年,『皇漢医学』3巻を著した。この書は, 西洋医学の知見を混えて, 傷寒論, 金匱要略の解釈を中心にした, 漢方最初の現代語による解説書である。湯本の『皇漢医学』は, その後の我が国に於ける漢方医学の復興に, 大きな影響を及ぼしたのみでなく, 中国に於ても, その伝統医学の温存に力を与えたといわれる。ともあれ昭和年代初頭では, ごく僅かな生き残りの漢方医と数名の医師によって, 漢方医学が伝承されていたが, やがて, 漢方復興の機運が, 次第に醸成され, 種々な運動が起こった。昭和11年 (1936), 当時新進の漢方医学研究者が志を同じくし, 漢方医学復興を目指してその講習会を開催した。偕行学苑と名付けられたが, 翌年より拓大漢方講座と名を改めた。この漢方講座は, 昭和19年 (1944) 迄8回, 毎回約3ヵ月乃至4ヵ月間ずつ開催され, 第2次大戦後の昭和24年 (1949) に, 第9回紅陵大学漢方講座として15日間開催された。通算9回, 700名以上の有志が聴講し, 中からはその後, 漢方医学界の柱石となる人物も輩出した (筆者も, 戦後の第9回講座を, 医学生の身分で聴講した)。第2次大戦前の昭和16年, 南山堂より『漢方診療の実際』という書が発行された。この書は, 従来の「証」に随って治療する漢方の本質から一歩踏み出して, 現代医学的病名に対して, 使用した経験のある漢方処方を列挙して解説している。当時とすれば画期的な漢方医学の解説書であった。そして, 第2次大戦後, 昭和29年 (1954) に改訂版が発行された。さらに昭和44年 (1969) に発行された『漢方診療医典』(南山堂) は, 漢方診療の実際を大改訂した書である。これらの書を通じて解説された, 現代医学病名に対応して用いられる漢方処方の延長が, 現在の日本で, 大量に使用されている漢方製剤の応用なのである。これらの書が, 現代日本漢方に及ぼした影響は多大なものがある。その『漢方診療の実際』初版は, 大塚敬節, 矢数道明, 木村長久, 清水藤太郎の共著となっている。これらの著者達こそ, 拓大漢方講座講師団の中核であって, その後の漢方復興運動を成し遂げた人達である。それらの人達の系譜こそはまた, 現代日本漢方の正統でもある。即ち大塚敬節は, 湯本求眞門下の古方派の学統を継ぎ, 木村長久は, 明治の大家・浅田宗伯の直門・木村伯昭の嗣子で折衷派の学統を継ぎ, 矢数道明は, 大正時代に活躍した漢方医・森道伯の流れを汲む後世派・一貫堂の後裔であった。
著者
門脇 悟志 畑 正 廣瀬 寛 大石 潔 飯田 哲史 高木 正志 佐野 孝 保川 忍
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.124, no.9, pp.909-916, 2004 (Released:2004-12-01)
参考文献数
21
被引用文献数
7 7

The improvement of adhesion characteristics is important in electric motor coach. We have already proposed the anti-slip/skid re-adhesion control system based on disturbance observer and sensor-less vector control. The effectiveness of the proposed method has been confirmed by the experiment and the numerical simulation using the tested bogie system of electric motor coach.Then, we apply the proposed method to the actual electric multiple units, which is Series 205-5000. In the experimental results of Series 205-5000, this paper discusses that the proposed anti-slip/skid re-adhesion control system has the desired driving wheel torque response. Moreover, this paper proposes the evaluation method of re-adhesion control test results.
著者
河股 久司 守口 剛
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.125-136, 2020-01-11 (Released:2020-01-11)
参考文献数
8
被引用文献数
1

近年,データを活用したマーケティング戦略を行う企業は増加の一途をたどっている。顧客の理解のために,顧客の製品利用に関するデータを活用した事例も存在する。本稿では,顧客の製品利用データを活用して効率的な顧客維持活動を行っているリコーに焦点を当てる。リコーは,「@Remote」と呼ばれる複合機の利用に関するデータ収集システムを活用し,効率的な顧客維持活動を行っている。インタビュー調査を通じて,複合機利用データを活用した既存顧客維持活動の成功の背景に,それまで属人的であった営業担当者のノウハウや知識が活かされていることなどが明らかとなった。このことは,データの利活用に際し,データと顧客をつなぐ架け橋となる営業担当者の役割の重要性を示唆している。
著者
岡本 佳男 八島 栄次
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.792-804, 1987-08-01 (Released:2010-01-22)
参考文献数
68

Three different types of asymmetric polymerizaitons of methacrylates have been achieved successfully. Racemic α-substituted benzyl methacrylates were polymerized with a high enantiomer-selectivity over 90% in the polymerization by (-) -sparteine-Grignard reagent complexes. Optically active polymethacrylates with nearly 100% one-handed helicity were obtained in the polymerization of such bulky esters as triphenylmethyl methacrylate with chiral anionic initiators. These chiral polymers were found to be very effective in separating the optical isomers under HPLC conditions. A very high enantiomer selection by the growing chain end with a stable helical structure was also attained in the polymerization of a bulky racemic monomer phenyl-2-pyridyl-ο-tolylmethyl methacrylate.
著者
川田 伸一郎
出版者
日本動物分類学会
雑誌
タクサ:日本動物分類学会誌 (ISSN:13422367)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.41-50, 2006-02-20 (Released:2018-03-30)
参考文献数
46

The taxonomy of Japanese moles, genus Mogera, has been confused since the early 1990s, because of the poorly defined type locality of M. wogura and morphological variability within the genus. Genetic research in recent decades has clarified the taxonomic problems of Japanese moles. This paper uses Japanese moles to discuss the importance of karyological study in mammal species recognition. Chromosomal rearrangements are considered likely to have an important role in species diversification of Japanese moles, resulting from postmating isolation mechanisms induced by abnormal meiosis in heterozygotic hybrids. It is well known that recombination leads to gametes with an unbalanced complement of chromosomal segments in inversion or reciprocal translocation heterozygotes. In the case of Japanese moles, four species of Japanese moles, M. etigo, M. imaizumii, M. tokudae and M. wogura, each have a distinct karyotype and/or morphological traits, and are thus considered to be full species endemic to Honshu, Shikoku and Kyushu.