著者
佐々木 伸一 高島 知佐子 芹澤 知広 伊藤 泰信 八巻 惠子 田中 孝枝 平山 弓月 柳田 博明 河上 幸子
出版者
京都外国語大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、人類学を学び研究をすることによってどのようなビジネススキルが獲得されるかという問題提起であった。結論として、それはフィールドワークを行い、エスノグラフィを作成するために培われたスキルであることが判明した。まず、「見る」「聞く」力とその記憶の保持、次に俯瞰的な情報の収集力と聞き出す力、さらに情報への偏見を持たずに受容する力とその価値や意味をくみ取る能力である。この3点は当たり前のように思われるが、実際には多くのトレーニングが必要で、また対話型のコンサルティングで不可欠なスキルであることからすれば、ビジネススキルの一端をなすと言えよう。
著者
滝沢 龍
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

数万人規模の英国等で行われる複数の出生コホートの縦断的データを用いて、子ども期の逆境体験[虐待、いじめ、貧困(養育者の低い社会経済的地位)、本人の精神・行動障害(抑うつ・不安・精神病症状・自傷・希死念慮等)、養育者の精神障害等]が成人に至る一生涯の健康・生活への影響を立証するために生涯発達の視点から検討を続けている。英国ロンドン大学で行われる世界中の共同研究者との研究会議に定期的に参加し、解析・公表や次の計測計画について議論している。子ども期のいじめ被害体験が成人の健康サービスに及ぼす影響を社会的コストとして捉えて、英国King's College LondonとLondon School of Economicsとの英国大規模コホートを用いた共同研究で、子ども期のいじめ被害による50代までの社会的コスト[雇用・ヘルスサービス費用・貯蓄資産など]への影響が甚大であることを初めて明らかにし、学校での予防教育プログラムの費用の方が安価であることを示した(Brimblecombe et al, Social Science and Medicine. 2018)。これは逆境体験の累積インパクトを、「社会的コスト」によって<見える化>する試みであり、今後の健康政策・教育政策に示唆を与える結果である。
著者
岡村 弘行
出版者
日本歯科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

チタンは融点が高く高温においての活性化エネルギーが非常に高いので石膏系埋没材やりん酸塩系埋没材が含有するシリカと非常に反応しやすい。その上,現在チタン系埋没材の主材として用いられているZnO_2,Al_2O_3,Mg等もシリカより反応が少ない骨材として良好な鋳造表面を得るために使用されているが鋳造した鋳造体の品質が均一でなく優れたチタンの特性が生かされていないようである。今回,高温で安定な高純度(100%)酸化イットリウム粒子の4μと20μとの2種を水,ジルコニアゾル溶液で練和し混液比の決定を行った。その結果,水での練和は埋没材の表面に30分後に割れが生じた。しかし,ジリコニアゾル液の場合粉末50gに対し液20mlの比が最もよく練和しやすく割れはなかった。また,硬化は時間がかかるため60℃の恒温槽に1時間入れ硬化させた。硬化膨脹はレバ-タイプ電気マイクロメーターを使用し水銀浴上で無荷重の状態で行った結果60分で収縮があることがわかった。また,粒子の大きい方が小さい方より収縮は小さかった。このため粒子の配合比を変えることにより改良されることがわかった。熱膨脹でも硬化膨脹と同じ傾向がみられるが,ジルコニアを5wt%添加することにより約1.2%の膨脹がが得られることがわかった。今回このように基礎的データーしか得られなかったがチタンを一部鋳造した結果,表面性状の非常に良好な鋳造体が得られた。さらにこれらの酸化物系列としてネオジウム,セリウムも高温埋没材として有望であることがわかった。
著者
佐々木 淳
出版者
東京大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

自我漏洩感とは、対入恐怖症や統合失調症等に広くみられる重要な症状であり、自分の内面的な情報(感情や思考)が他者に伝わったと感じる体験である。自我漏洩感については、これまで実証的な研究が行われてこなかったため、治療法開発に至っていない。本研究課題は、自我漏洩感による苦痛を長びかせる要因(維持要因)を対処方略の観点から明らかにし、治療法を考案することを目標とする。日本学術振興会特別研究員採用第3年度である平成19年度は、前年度に得られた維持要因についての知見に加えて、これまでの実証研究で示された知見に基づき、自我漏洩感に対してどのように認知行動療法的なアプローチがおこないうるか、そのプロセスの具体化を試みた。まず、自我漏洩症状をもっている人は、他者に気持ちがつたわってしまうと感じること自体に違和感を感じたり苦痛を感じたりしていること(佐々木・丹野,2005)が明らかになっている。よって、介入の第一段階として、自我漏洩感を持つことに対するノーマライジングを行なうことが必要である。その上で、自我漏洩感に没入してしまう対処行動は何か、自我漏洩感から距離をとることのできる対処行動は何か、について心理教育を行う必要がある。更に、自我漏洩感をどのようにとらえるかによって苦痛な体験となるか自然な心の働きと感じることができるかが決定されるため、その捉え方に焦点をあててその修正を試みる。今後は実際の事例に即して、プロセスの精緻化を行う予定である。
著者
諸岡 了介 相澤 出 田代 志門 桐原 健真 藤本 穣彦 板倉 有紀 河原 正典
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究プロジェクトでは、ケア実践との関連において現代日本における死生観の実態を明らかにすべく、各種の質的調査や、思想史的・宗教史的考察、海外事情の研究といった分担研究を集約しながら、在宅ホスピスを利用した患者遺族を対象とした大規模な調査票調査を実施した。調査票調査では、宮城県・福島県における在宅ホスピス診療所6カ所の利用者2223名に依頼状を送付して、663通の回答が得られた。その分析から、在宅療養時の患者や家族の不安感やニーズの詳細とともに、宗教的関心に経済的・社会的関心が絡み合った死生観の具体相が明らかにされた。
著者
新里 高行
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、特に魚や鳥の群れの代表的な振る舞いである形態形成、情報伝達、探索 行動の3つの振る舞いを同時に実現できる包括的アルゴリズムを解明することである。本研究では、申請者の提案する個体間の不完全な指示による相互作用モデルを包括的アルゴリズ ムの候補とし、他の2つの代表的アルゴリズムとの比較と、鮎の群れによる実験的評価を同時に行うことで、これまでのモデルに変わる新しい基盤となる群れのモデルの構築を目指す。
著者
酒谷 薫 岡本 雅子 小林 寛道 辻井 岳雄
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

現代社会に蔓延するストレスは、様々な疾患の主要原因の一つである。本研究では、近赤外分光法(NIRS)を用いて、前頭前野の神経活動を計測し、自律神経系・内分泌系機能及び心理状態とともに、ストレスを客観的に評価する方法を開発した。さらに本法を用いて、中高齢者における運動療法のストレス緩和効果について検討し、軽い運動でもストレス緩和効果があることを明らかにした。さらに高齢者に軽い運動を負荷することにより、前頭前野のワーキングメモリー課題に対する反応性が上昇し、パフォーマンスが向上することが示唆された。本ストレス評価法と運動療法を組み合わせることにより、ストレス性疾患を予防できる可能性がある。
著者
押田 龍夫 遠藤 秀紀 本川 雅治 木村 順平 Son Truong Nguyen Thida Oo Wynn Than
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

インドシナ半島に生息するリス科齧歯類等の小型哺乳類において,河川及び海洋による地理的隔離が種分化の要因であることが示唆された.しかしながら,現在のインドシナ半島に存在するメコン川等の地理的障壁では簡単に説明することが出来ない系統地理学的結果も得られたことから,今後さらに詳細な研究が必要であることが示された.また,研究計画の主目的とは逸れるが,新種のコウモリ1種及びリス1種をベトナムにおいて発見し記載・報告することに成功した.
著者
大浦 律子 南後 守 徳田 順子
出版者
大阪薫英女子短期大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

〈研究の目的〉繊維や河川の汚れ除去に漂白剤の役割は重要である。しかし近年、塩素系漂白剤がダイオキシン生成の一因となることが指摘され、環境保全の面から酸素系漂白剤の利用が注目されている。本研究は繊維や環境にやさしい酸素系漂白剤の有効利用のために、できるだけマイルドな条件で活性化できる諸種のポルフィリンの金属錯体を合成し、触媒として使用することを試みた。〈実験方法〉過酸化系漂白剤には過酸化水素を、触媒にはポリエチレングリコールと結合したマンガンポルフィリン誘導体を、被漂白物質にはC.L.Acid Orange 7とBC-1(紅茶汚染布)を用いた。分光光度計(島津製作所UV-160)を用い、色素の吸光度変化から擬一次速度定数(K_<obs>)を算出し、色素溶液の退色速度について検討した。また、分光式色差計(日本電色工業SE-2000型)を用い、汚染布の反射率の変化から漂白率を算出し、汚染布の漂白効果について検討した。〈結果〉pH8.0という温和な条件で漂白を行った結果、過酸化水素のみではほとんどC.I.Acid Orange 7の退色が見られなかったが、ポリエチレングリコールと結合したマンガンポルフィリン誘導体存在下では色素の退色が促進された。ポルフィリンの骨格をフッ素化したマンガンポルフィリン誘導体よりも塩素化したマンガンポルフィリン誘導体のほうが大きな効果が認められた。また、ポリエチレングリコールと結合したマンガンポルフィリン誘導体を触媒とした過酸化水素による漂白が酵素類似の反応として取り扱えることがわかった。さらに、汚染布での漂白効果においては、本条件下では顕著な差が認めらなかった。
著者
千田 佶 井上 千弘
出版者
東北大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1993

鉱山排水起源の集積培養菌による硫黄および鉄の酸化実験を行った。硫黄基質では、硫黄酸化細菌と原生動物が共存する硫黄酸化細菌による単体硫黄の酸化挙動と,純粋培養菌による酸化挙動を比較し,両者の挙動について検討するために,若干の酸化条件について実験を行い,また,鉄基質では鉄酸化細菌以外の微生物の存在を検討するために栄養塩無添加における酸化実験および有機物であるSDSを添加した実験を行った。また,高速液体クロマトグラフィーを用いて鉄基質集積培養における培養液中の物質の分析を行った。以上の結果,以下の結論を得た。(1)原生動物が生存する集積培養の場合,硫黄酸化細菌による酸化速度および増殖収率は純粋培養の場合よりも小さくなる。(2)Cu^<2+>を添加した集積培養において,硫黄酸化細菌は阻害作用を受けたにもかかわらず増殖したが,原生動物はCu^<2+>濃度100mgdm^<-3>以上では増殖できなかった。さらに,原生動物はCu^<2+>にたいする耐性を獲得しなかった。(3)鉄基質集積培養菌の栄養塩無添加における酸化挙動は,時間の経過とともに細菌によるFe^<2+>の酸化速度が大きくなり,細菌の増殖がみられた。(4)鉄基質集積培養において,SDSを添加した場合,鉄酸化細菌は1×10^<-5>moldm^<-3>以上の濃度で阻害された。しかし,この濃度で継代培養を行うと,鉄酸化細菌はSDSに対する耐性を獲得する。(5)鉄基質集積培養を行った培養液中からピルビン酸は検出されなかった。しかし,9K培地には含まれていない物質が検出された。栄養塩類無添加における鉄基質集積培養の実験結果と併せて考えると,それが鉄酸化細菌の栄養素となっている可能性がある。
著者
大塚 作一
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

近年、表示機器の利用環境が多様化し、視覚特性を新視点で研究する必要が生じた。心理物理実験の結果、(1) HDR(ハイダイナミックレンジ)環境では弁別力が低下すること発見し、従来困難とされていた全体処理のみを用いてHDR画像からSDR(標準)画像への変換方法を開発した、 (2) 色対比の評価において2色覚と3色覚の構造が連続的に変化することを発見した、(3a) 曲面ディスプレイ利用時に個人差が大きい「曲面残効」と名付けた新たな錯視を発見した、(3b) 視覚と平衡感覚の統合能力が優れた人ほど本残効が起きやすい、(3c) 新しい視覚インタフェースの利用には慎重な検討が必要である、こと等の知見を得た。
著者
小野 健太 渡邉 誠 樋口 孝之 渡邉 慎二 渡邉 誠 樋口 孝之 渡邉 慎二
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

現在,先進国が抱えている問題の多くは,人間関係の希薄化により生じている。本取組みはこの重要な課題に対し,相互扶助を促すデザイン行為をレシプロカルデザインと名付け,方法論・理論を構築し,この新しいデザイン概念の普及を通じて,問題を根本から解決することを目的に実施した。研究期間中,25プロジェクトを実施し,プロジェクト実施のためのルールの明確化を行い。また人間関係の希薄化の原因が,技術の一人化であると考え,調査・分析を行った。それらの内容は,2018年6月に開催されたThe 4th Aslla Symposium(韓国)にて口頭発表を行い,今後,IASDR 2019(英国)への論文投稿を行った。
著者
市井 雅哉
出版者
兵庫教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

研究I地域のボランティアによる3群で外部刺激への持続的注意を調べた。3群はPTSD群、高ストレス群、健常群である。PTSD群はPTSD症状と外傷経験ともに持っている。高ストレス群はPTSD症状はあるが、外傷経験はない。健常群はいずれもない。(1)外傷体験を経験しているPTSD群は、外部刺激へ注意を持続させる数唱課題得点が健常群および高ストレス群よりも低く、健常群と高ストレス群は数唱課題得点に差はなかった。(2)現在への注意の主観的得点がPTSD群は高ストレス群よりも低く、高ストレス群は健常群より低かった。外傷経験のみがこの違いを説明するとは言えない。研究II注意、自己没入、PTSD症状、抑うつ症状を含んだ質問紙データに重回帰分析を適用した。564名の健常成人を対象とした。結果、過覚醒症状が注意指標を説明し、注意指標が抑うつ症状を説明し、再体験(侵入)症状は抑うつ症状を説明した。研究III10名のPTSDクライエントに対して3回のEMDR治療前後で持続的注意指標を測定した。数唱得点、現在への注意得点ともに上昇した。研究IVEMDR治療によって改善した一人のPTSDクライエントにおいて、心拍数、外傷症状、注意指標の変化、関連を検討した。結果として、治療初期においては、過覚醒、侵入の改善に伴って、数唱得点の改善、外傷記憶想起時の心拍数のセッション内の低下が見られた。治療後半は回避が問題となり、心拍数との関連は見られなかった。以上から、PTSDと注意、認知指標の関連が認められ、注意、認知指標がEMDRの治療メカニズムの解明にも有効であることが示唆された。
著者
国枝 タカ子 桐生 敬子
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

比較舞踊研究の手法により,イタリア古典舞踊の「バッサダンツァ」と日本の京都大阪で生まれた「上方舞」の身体表象を,愛知県立大学所蔵のUSA製最新の「モーションキャプチャー」装置により3次元動作解析した結果,両者の共通な特性「みやびな」「上品な」「美しい」という「優雅さ」が,コンピュータによる定量化で実現した。2つの舞踊の動作の感性的表現は定量化されたのである。これにより,世界各地において多様に分布している民族的特性をもつダンスは,その質的表現を「身体づかい」の分析を経由して,定量化できる見通しが開けた。今回明らかにされた定性的特性の身体づかいは,上方舞の「らせん動作」(著者の命名による)と「連綿つなぎ動作」であり,バッサダンツァでは「ゴンドラ波動作」である。いずれも著者が命名した。このほかの成果は次の通り。(1)イタリア,ベネチアとフィレンツェ郊外のフィールドワークにより,クラシックバレエの基礎技法誕生のルーツである「バッサダンツァ」の再構築が確認された。シェア城中世祭で上演されているバッサダンツァと日本の研究グループで再現しているバッサダンツァの同一性と差異について証明できた。(2)バッサダンツァと上方舞の比較による動作辞書が試作された。(3)上方舞「らせん動作」の研究結果は,日本学術会議シンポジウム「アートの力〜文化変容の可能性」において,平成17年6月25日に京都大学で,一部報告される予定である。(4)日本の鹿鳴館ダンスに影響したプロイセンの宮廷舞踊に対するバッサダンツァの関係解明が進んだ。
著者
佐藤 由利子 白土 悟 竇 碩華 ファム タン バオ ダット
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、日本で理工系の学位を取得した元留学生の質問紙調査と関係者への聞き取りを通じ、彼らの定着・移動の選択に係る影響要因と職場環境・生活環境への満足度などを分析した。調査の結果、「キャリア形成/能力向上」は、理工系でも文系でも、日本留学生が就職先を選ぶ際に最も重視する要因であること、理工系では日本の技術力の高さが日本定着を促す要因であるものの、母国の経済発展に伴う「能力発揮・昇進」機会の増加や頭脳還流政策が、帰国促進要因になっていることが判明した。オーストラリア留学生との比較では、日本留学生に頭脳循環の傾向が強い傾向が見られた。
著者
比留間 洋一 天野 ゆかり
出版者
静岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

平成30年度は、本研究の最終年度として計画した「帰国介護人材を活用したベトナムの高齢化対策研究」を展開するために、(1)ベトナム人EPA介護福祉士帰国者の就労実態に関する調査研究、(2)ベトナムの高齢化対策に関する調査研究を遂行した。上記(1)の調査研究については、a)本研究プロジェクトの当事者メンバーであるEPAベトナム人介護福祉士1期生4名に、日本(浜松、山梨、千葉)およびベトナム(ダナン市)においてインタビュー調査を実施(2019.5.13時点で、3名が帰国)。b)上記4名に加えて、ベトナム(ハノイ市)においてEPA介護福祉士帰国者(看護師帰国者1名を含む、計8名)にインタビュー調査を実施した他、c)平野裕子教授(長崎大学)の共同研究に参加し、EPA帰国者(離脱者を含む)を対象としたアンケート調査(配票及びオンライン方式)を実施した(2019.5.13時点で集計、分析中)。研究成果として、上記a)のデータで学会発表1件をおこなった。上記(2)の調査研究については、a)研究プロジェクトの当事者メンバーである元留学生のベトナム人介護福祉士が、地元(中部の農村コミュニティ)の介護状況調査について研究会発表をおこなった(2018.12.16)他、b)研究代表者は、東南アジア学会(中部例会)等において学会発表2件をおこなった。このような調査研究を通して、EPAベトナム介護福祉士1期生(117名)について、(1)介護福祉士国家試験の合格率が高い諸要因のうち、日本語能力の高さ(殆どがN2以上)が自習を可能としたという視点、及び(2)合格後の帰国者も多く(定着率約50%)、その多くが日本への介護人材の送出し・養成機関で教師や通訳として就職しているその実態について明らかにした。ベトナムの高齢化対策については、特に認知症の高齢者の社会受容が大きな課題であることが浮き彫りとなった。