著者
大庭 真人
出版者
東京工科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

「棒読み現象」を指標とし、構音障害のない意味痴呆患者に対して、検証項目となることを確認した。専門用語の略語の説明文を学生とそれらを日常的に用いる言語聴覚士とにそれぞれ読み上げてもらい分析を行った。当初想定された基本周波数の単純化は観察されなかった反面、休止の挿入や特定文節の話速低下などに特徴が観られた。こうした読み上げは円滑な読み上げからの逸脱であり掘り下げ検査への適応可能性はあるが、失語症患者の呈する障害により有用性を検討する必要がある。
著者
田中 圭 森 拓郎 井上 正文
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

2011年3月11 日の東日本大震災では、多くの木造住宅が津波による浸水を受けたものの構造的な被害は免れた。また、東海・東南海・南海連動地震の新しい被害想定では、東海から九州に至る太平洋沿岸で最大36m もの津波到達が予測されている。この地域は、平野部に都市圏を抱えるため、仮設住宅で対応できる規模を大きく上回る住宅が浸水することが予測される。これを踏まえ、数時間から数日間水没を経験した木造住宅が余震の続く状況下で再使用が可能か、学術的に検証した。この結果、壁倍率は、1日養生後にわずかな低下が見られたが、3か月経過後は養生環境にかかわらず、コントロール試験体と同等の値まで回復する結果となった。
著者
中島 裕輔
出版者
工学院大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、HEMS導入住戸や一般戸建住宅のエネルギー消費特性とライフスタイルの調査分析をふまえて住宅用エネルギー情報収集・表示システムを開発し、長屋型アパートに試験設置して運用評価を行った。その結果、高効率器具への買い換えや温度データを参考にした住まい方の工夫などシステム導入の効果と見られる様々な省エネ行動の実践が見られ、それに伴う一定の省エネ効果も確認できた。
著者
高丸 圭一
出版者
宇都宮共和大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では,無アクセント地域である北関東,特に栃木県を対象として,自由会話音声を収集し,ピッチパタンの基礎分析を行った上で,現在のアクセントとイントネーションの様態について分析を行った。無アクセント方言の特徴的なイントネーションである句末・文末における尻上がり調の出現位置の傾向は標準語と大きな違いがなく,尻上がり調の出現頻度は標準語の上昇調・昇降調の出現位置と比べて顕著に多いとはいえないことを指摘した。文末のピッチ上昇の度合いを変化させた加工音声による聴取実験により,無アクセント方言の尻上がり調は標準語の上昇調と比べて,上昇の度合いが急峻であることが明らかになった。また,単語アクセントと若年層が用いる同意要求表現「じゃね?」先行部のアクセントについての調査を行った。単語アクセントは若年層の約90%が標準語化している一方,「じゃね?」の先行部は80%以上が平板化しており,当該地域での近年のアクセントの変容が明らかになった。
著者
平野 智之
出版者
大阪府立松原高等学校
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

同じ仲間どうしの教え合いという意味のビア・エデュケーションをテーマに、私の所属する府立高校において10年以上にわたって展開されてきた「るるくめいと」というエイズ・ピア・エデュケーショングループの実践について調査研究を行ってきた。まず、現役高校生のグループの1年間の活動のすべてにわたって付添い、公演活動の映像の記録、活動前後のミーティング、学習会の音声記録の収集を行った。また、活動を終えた卒業生のインタビュー調査を行い、それらのデータを原稿に起こして、分析を行った。そこでは、ピア・エデュケーションへの参加により、自分たちが伝えるために学び、対話するという主体的な学習によって、例えば、いじめや性に対する違和感などこれまでの被抑圧感から解放され、新たな自分の生き方や考え方の枠組みを獲得する過程が見られた。私は、その過程を坂本(2005)らの先行研究をもとに、<語る-聴く>場での学習主体の変容過程ととらえ、当事者性の獲得という視角から分析を行った。そこで見られた知見は、<語る-聴く>場が、「語る(伝える)」という実践が継続されて自己変容を伴うことである。このモデルが示しているのは、「聴いた」ことを「語る」実践に反映させてからまた「聴く」ことの連環の重要さである,「るるくめいとに入ったことによって、知識をいろいろ得たっていうのもあると思うけど、性的なことに限らず、他の明らかにおかしい差別的な言葉とかに違うと(言える)」という卒業生は、日常的な堤面での性や差別をめぐる言動を批判的に見ていこうとしている。「語り」、語るために「聴き」という連環は自己省察と新たな百説での実践を導いている。このように調査した高校生や卒業生の言葉から、関係性や相互作用で変容し続ける「主体」の可能性を見ることができたと考える。「語る(伝える)」ために「聴く」という関係性の実践がいわば生成的に継続されている学習活動の意義を発見できた。こうした学習活動を坂本(2005)が提唱した<語る-聴く>の相互作用モデルを拡張した学習の「関係性モデル」であるという仮説に到達できた。これが本奨励研究の顕著な研究成果である。
著者
志賀 健司
出版者
いしかり砂丘の風資料館
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

目的:石狩湾沿岸の海岸線に平行な波状地形、花畔砂堤列は、過去6000年間に徐々に陸化していく過程で形成された(松下1979)。現在は海岸林内だけに20列ほどの連続した砂堤列が残されている。繰り返す砂堤の形成には周期的な気候変動が関係している可能性があるため、本研究では、海岸林内の砂堤列の数や間隔を計測すること、堆積物から古環境を推定すること、を目的とした。方法:海岸林内を踏査し、春季に出現する融雪プール(雪解け水の水たまり)の分布を詳細に調べた。融雪プールは砂堤間低地に形成されるため、波状地形を反映している。また、砂堤間低地の2ヶ所で柱状堆積物を採取し、堆積物中の珪藻遺骸を観察し、植物片の放射性炭素年代を測定した。また、同様の砂堤列地形が見られる北見市常呂町の海岸部において、比較観察を実施した。成果:海岸林内で融雪プールもしくは明瞭な谷地形を精査したところ、海岸線と直交方向の長さ450m内に21の低地が見られた。平均すると砂堤・低地は21m間隔で繰り返していることが明らかになった。海岸線から約400m内陸の地点で採取した堆積物は、上部14cmは泥炭質砂、それより下部は中粒砂で構成されており、堆積環境は海浜~砂丘環境から湿地的環境へ移行したことがわかった。上部の泥炭質砂中では珪藻遺骸群集は淡水生種~陸生種で構成されており、今回の研究では、群集には明瞭な周期的変遷は確認できなかった。下部の砂層からは珪藻殻は検出されなかった。地表下6.5cmの木片の炭素年代は230年前(±30年)であった。平均堆積速度は28cm/1000年となり、この地点が砂丘・海浜的環境から林内の湿地的環境へと移行したのは約500年前であったことが判明した。
著者
大石 誠 平石 哲也 北浦 弘樹
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

脳組織において「てんかん原性」がいかに発現し獲得されるかは,いまなお解明されていない.本研究では,脳神経外科手術摘出直後の生きた大脳組織標本を実験に活用し,当施設で開発された蛍光イメージング(フラビン傾向反応)による組織の生理学的反応,特に刺激の易伝播性と,免疫組織学的所見・病理組織検索による抑制ニューロンの脱失所見が相関すること,しかもてんかん発症初期にすでにこの所見が見られていることを明らかにすることに成功し,てんかん原性の発現と獲得の過程の一部を視覚化し得ることができた.
著者
知花 博治 宇野 潤
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

カンジダグラブラータの病原性には複数の因子が関与すると考えられているが、未解明な点が多い。最近の研究において、危険因子の中で特に問題となっているが留置カテーテルである。そこで、本研究では留置カテーテルの付着に関与すると考えられるβ-グルカン、マンノプロテイン、レクチンなど細胞表層を構成する成分や加水分解酵素などの分泌酵素、さらにバイオフィルムの形成に関する成分などをコードする遺伝子などを中心中心に遺伝子欠損株を作成し研究を進めた。
著者
中村 伸枝 佐藤 奈保 内海 加奈子 仲井 あや 出野 慶子 白畑 範子 谷 洋江
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本課題では、(1)糖尿病をもつ子どもが疾患や療養行動についてどのように学びながら成長していくのかを明らかにし成長発達に沿った看護指針・評価指標を作成する、(2)糖尿病を子どもと家族が活用できる絵本と冊子を作成することを目的とした。糖尿病をもちながら成長する子どもの体験と文献からの知見を統合することにより、以下が明らかとなった。子どもの療養行動の習得に向けた体験の積み重ねは、子どもの成長発達やサポートの広がり、母親の糖尿病管理や育児の習熟を含む複雑な過程であった。思春期では、新たな課題に対し療養行動と望む生活を対峙させ周囲のサポートを得ながら対処していた。これらの結果を基に看護指針および糖尿病をもつ子どもと家族に向けた絵本と冊子を作成した。
著者
峯島 道夫 茅野 潤一郎 大湊 佳宏 今井 理恵
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究は、日本人学習者が不得手であると言われる批判的思考力(クリティカルシンキング)を伸ばすための英語読解教材と学習形態を開発することを目的とした。英語読解教材としては、Steve Jobsのスタンフォード大学における卒業式でのスピーチスクリプトを題材とし、学習者の批判的思考力を伸ばすことをねらった発問やタスクを考案した。授業形態については、協同学習の一技法であるLTD(話し合い学習法)の手法を援用し、発問やタスクに対する学習者の回答のピアとの共有を活用してテキストの理解の深化と自己の世界観の拡充を目指した。
著者
清川 昌一 伊藤 孝 池原 実 山口 耕生 堀江 憲路 菅沼 悠介 尾上 哲治 奈良岡 浩
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は32-30億年前の太古代中期海底堆積物と22億年前の原生代堆積物をターゲットにし,地球の歴史上最も変化が大きいとされる環境変化の記録を地層から紐解いた。1. ピルバラにて地層掘削を行い200mの32億年前の縞状鉄鉱層の掘削に成功した.世界初,この時代の新鮮で連続性の良いコアを獲得した.2.同地区の縞状鉄鉱層の掘削現場の側方層序比較し,比較的浅い海の堆積物であることがわかった.3.掘削コアの化学分析:当時の海の硫黄同位体が現在と類似し,すでに酸素を供給するシステムの可動が確認できた.4.ガーナ,ベリミアン帯において,原生代の海底の証拠地層を復元し,海洋性島弧近傍環境を復元した.
著者
北澤 大輔 韓 佳琳
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

波エネルギーを吸収して、乗り心地を向上させた船を開発した。船は、フロート、サスペンション機構、キャビンから構成され、最大電力点追跡法によってエネルギー吸収量を最大化し、スカイフック制御によってキャビンの動揺を抑制した。フロートの運動をストリップ法によって計算した後、得られた流体パラメータを用いて、最大電力点追跡法とスカイフック制御を含む制御プログラムを開発した。規則波を想定して、波エネルギー吸収や動揺制御のための抵抗値等のパラメータを計算した。これらのパラメータを用いて、水槽模型実験を実施したところ、エネルギー吸収量やキャビンの運動に関して、シミュレーション結果と概ね同様の結果が得られた。
著者
木村 瑞生
出版者
東京工芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究では、痩身女子学生を対象に短期間(9週間)のマシンを使った筋力トレーニングが骨量に及ぼす効果と脱(筋力)トレーニングが骨量に及ぼす影響について調べた。その成果は、以下の通りである。1)痩身女子学生の割合と体力女子学生(1年次生)602名について体格と体力を調べた結果、痩身者(BMI18.5未満)の割合は、16.4%であった。一方、肥満者(BMI25以上)の割合は6.3%であった。BMI17.5未満の痩身者の体力(握力、背筋力、脚伸展パワー、上体おこし)は、普通体型の者の体力より有意に劣っていた。2)痩身女子学生の体重に対する意識痩身女子学生(1年次生)602名について、体重に関するアンケート調査を実施した。その結果、痩身者(BMI18.5未満)であっても実体重よりさらに1.3kg程度痩せたいと思っていた。このように、女子学生の場合は、痩身者であっても痩せ願望を抱いていることが示された。3)痩身女子学生の骨量に及ぼす短期筋力トレーニングと脱トレーニングの影響痩身で且つ骨量の低い女子学生12名(平均値:年齢18.7歳、身長158.1cm、体重43.9kg、BMI17.5、体脂肪率17.9%)について、9週間の短期筋力トレーニング(マシン・トレーニング)とその後6ヶ月間の脱(筋力)トレーニングを実施し、骨量および脚伸展パワーに及ぼす影響を調べた。その結果、被験者12名の9週間のマシン・トレーニング後の骨量相対値(88.8%)は、トレーニング前の骨量相対値(83.8%)に比して有意に増加した。そして、6ヶ月間の脱トレーニング後の骨量相対値(83.3%)は、マシン・トレーニング後の骨量に比して有意な減少を示した。脚伸展パワーについても、骨量の変化と平行して変化した。しかしながら、骨量の変化と筋力の変化の関係には有意な相関関係は示されなかった。骨量の変化と有意な相関を示したのは、各被験者のマシン・トレーニングの日数であった。*骨量相対値:17歳の平均的骨量に対する割合
著者
姜 聲敏 渡辺 順次
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

種々の新規バナナ型液晶分子をデザイン・合成し目的とする電場応答特性を有する液晶相を発見した。これらの応答性と約60°の屈曲角を持つ屈曲分子の配向制御との組み合わせで、面内で高速スイッチングが可能なディスプレイが期待できる。キュービック、カラムナー、バナナ液晶相を同時に有し、バナナ相のみならずカラムナー相においても強誘電応答が見られた。さらなる分子構造の最適化を行えば、キュービック相の電場応答も期待できる。強誘電相に加えて特異的ネマチック相を発見した。通常のネマチックと異なり、配向特性に加え長周期の位置の秩序を有する特性を見出した。ネマチック相のさらなる可能性を確認することができた。
著者
瀬尾 和大 栗田 勝実 山中 浩明 チャベス マリオ マルチン ラリアナ ヴィダル フランシスコ
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本研究は,これまで各々の地震国で独自に考えられていたサイスミック・マイクロゾネーションとその背景に存在する地震・地盤環境についての国際比較を試みることによって,それぞれの地域にとってより効果的な地震防災計画を共同で立案することを目的としている.以上の目的を達成するため,平成10年度から3年間に亘って実施した主要な研究内容は以下の通りである.(1)それぞれの地域において,地震・地盤環境を確認するために個別のフィールドワークを行い,地震活動度・想定地震の評価,地盤特性の評価,標準的な建物の振動特性評価などの項目について,サイスミック・マイクロゾネーションを実行した.それらの結果に基づく情報交換と議論は主として電子メールによって実施した.この間,エチオピア・スペイン・モロッコ・メキシコ・キューバにわが国から研究者を派遣し,各々の地域のフィールドワークを支援した.(2)毎年1回海外の研究分担者をわが国へ招聘し,研究内容の報告と意見交換のためのワークショップを開催した.招聘者は,F.ヴィダル(スペイン),L.マルチン(アメリカ),M.チャベス(メキシコ),B.ゴンザレス(キューバ),M.ハイレ(エチオピア),T.ムーラビ(モロッコ)等の研究分担者であり,平成12年度にはK.ベヤン(トルコ)も加わった.これらの会合には,同一研究分野の国内の研究者も多数参加して活発な討議を行い,異なる地域の異なる地震・地盤・建物の環境について理解が深められた.(3)研究期間内には各地で地震災害が発生したため,平成11年12月には台湾に,平成12年3月にはトルコに,また平成13年1月にはエルサルバドルに調査団を派遣し,本研究課題であるサイスミック・マイクロゾネーションについて現地調査を実施した.それらの研究成果は,地震被災国のサイスミック・マイクロゾネーション研究の基礎資料として還元された.
著者
林 直人 樋口 弘行 吉野 惇郎 吉田 弘幸
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

高性能両極性有機発光トランジスタの開発を目指し、電子供与性部位であるフラン環と、電子受容性部位であるピラジン環またはキノン環を併せもつ新規ヘテロ芳香族化合物を合成し、その構造物性評価を行った。フラン環については、縮環向きの異なる二種類の構造異性体を比較した。薄膜の結晶性が低かったために、合成した試料からなる薄膜の電荷移動度は低い値しか観測されなかったが、一方で予想外に高い固体蛍光量子収率を示した。これは、凝集誘起発光とよばれ、近年おおいに注目されている。この理由は、エキシマー蛍光の効率性の向上、ならびに結晶状態における分子運動の抑制ということに起因する。
著者
平安 恒幸
出版者
大阪大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、免疫レセプターと様々な病原体との相互作用を網羅的に調べた。その結果、活性化レセプターLILRA2が病原微生物によって破壊された抗体を認識し病原微生物に対して生体防御を行っていることが明らかとなった。この結果から、病原微生物は宿主の免疫から逃れるために様々な免疫逃避機構を進化させてきた一方で、宿主側は病原微生物による免疫逃避機構を検出し、生体防御に働くように進化して病原微生物に対抗してきたことが考えられる。
著者
鈴木 敦夫 李 明哲 佐々木 美裕 鵜飼 孝盛 大山 達雄 三浦 英俊 栗田 治 田口 東 稲川 敬介 小市 俊悟 古田 壮宏 鳥海 重喜 藤原 祥裕 高松 瑞代 田中 健一 腰塚 武志 石崎 文雄 伏見 正則 腰塚 武志
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

都市内の災害時の人の流動に関する総合的な研究として,本研究ではテーマを3つ設定した.1)交通ネットワークシステムの頑健性と効率性の評価:道路,鉄道,航空網それぞれについて,GISデータ,時刻表,交通量データを用いて頑健性と効率性の評価を行った.2)緊急時の都市内・都市間流動に関するモデル:過大な交通量が流れているときの鉄道の遅延を記述する数理モデルを開発した.また,都市内で早急な避難が必要なほどの重大な事故が発生したときの都市内経路の解析について研究を進展させている.3)コンパクトな都市空間の設計原理:鉄道網の発達が平面を時間的に縮小させる効果について数理的に分析した.
著者
小田 達也 姜 澤東
出版者
長崎大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012

海藻類中には、多くの有用な成分が含まれている。近年、昆布やモズクに含まれる硫酸化多糖体であるフコイダンはアポトーシス誘導、抗酸化、抗腫瘍、免疫賦活、血圧降下、血糖値降下など多彩な作用を示すことから、硫酸化多糖体のさまざまな利用法が期待されている。これまでの研究により、アルギン酸の工業的原料として広く用いられている褐藻類アスコフィラム・ノドサム乾燥粉末からフコイダンとは異なる画分として硫酸化多糖体アスコフィランが比較的高収率で得られることを見出している。アスコフィラム・ノドサムにおけるアスコフィランの存在は古くから知られたが、その生理活性に関する研究はほとんどなかった。そこで、我々はアスコフィランの生理活性を主にとして、様々な研究を行った。その研究成果により、アスコフイランはU937細胞に対するアポトーシス誘導、哺乳類MDCK細胞の増殖促進、サルコーマ180担癌マウスに対して延命効果、マクロファージRAW264.7細胞からの一酸化窒素(NO)及びサイトカイン(TNF-α及びG-CSF)放出誘導活性など多彩な生物活性を示すことを見出した。最近の研究により、アスコフィランはJNKMAPK経路及びERK MAPK経路を介してRAW264.7細胞におけるNADPHoxidase (p67^<phox>とp47^<phox>サブユニット)を誘導させ、RAW264.7細胞から活性酸素(ROS)放出を誘導することを見出した。さらに、in vivoで、アスコフィランをマウスの腹内に投与した後、マウス脾臓からnatural killer (NK)細胞はマウスリンパ腫細胞(YAC-1)に対する細胞傷害作用が上がることが分かった。さらに、固形腫瘍担癌マウスへのアスコフィラン経口投与により、腫瘍サイズの減少が見出された。
著者
中嶋 哲彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

政府は、国の構造改革政策の一環として、学校制度基準を次々に規制緩和してきたが、これにより公教育のナショナルミニマムが低下したり、教育の機会均等原理が動揺したりすることが懸念されている。公教育は地方公共団体の自治事務とされ、国が規制緩和した学校制度基準にもとづいて公教育制度を具体化する主体は地方公共団体であるため、公教育の水準を維持し、教育の機会均等は地方公共団体の教育行政によって担保されることとなる。その際、地方公共団体に自律的自己規制力は、教育の住民自治、教育行政への住民参加、教育専門職の政策立案過程への参加によって担保される。