著者
君塚 仁彦 王 智新 石 純姫 藤澤 健一 橋本 栄一 大森 直樹
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

本共同研究では、2003(平成15)年度から2005(平成17)年度までの3ヵ年の研究期間において、東アジアにおける戦争記憶の保存と表象のあり方に関して、歴史学を中心軸にしながら博物館学・植民地教育史学・言語学・哲学などの学術的視点をも援用し学際的かつ総合的な解明を行なった。特に調査研究の遂行にあたっては、日本のみならず中国・韓国・沖縄の研究者とともに行う国際的な研究体制を堅持した。研究期間内に、中国・韓国・沖縄・日本における戦争博物館・戦争遺跡の調査・研究を各年度の計画に基づいて実施したが、全体として、海外実地調査を5回、国内実地調査を6回、国内研究会を4回、海外での研究報告を3回、海外(中国・重慶)での特別講演会を1回実施することができた。その結果、これまで日本国内では、その存在さえも十分に認知されていなかった戦争遺跡等のいくつかを調査することができ、現地研究者との研究・情報交流を踏まえて、各地域における戦争記憶が、遺跡や博物館という形を取りながらどのように保存され、表象されているのか、またどのような歴史的背景存在するのかなどを具体的に解明することができた。また本研究成果の特色として、中国・韓国など海外、また沖縄などにおいて、日本が起こした近代以降の侵略戦争による加害・被害の史実認識、歴史認識共有化を目的とした現地研究者との学術研究交流を活発に実施したことをあげることができる。戦争記憶に関する歴史認識共有は今後の東アジアにとって極めて重要な課題であり、平和実現への欠かすことのできないステップでもある。研究代表者および分担者・協力者は、その目的達成のため、研究期間内での諸議論を踏まえて、本共同研究の研究成果発表の一環として、君塚仁彦編著『平和概念の再検討と戦争遺跡』(明石書店、2006年)を上梓し、その成果をより広く共有されるようにした。
著者
茆原 順一 小林 佳美 萱場 広之
出版者
秋田大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

気管支喘息に代表されるアレルギー性疾患は,アレルギー性炎症疾患として捉えられている.古典的な炎症の定義から考察するとアレルギー性炎症として「発熱」という現象に対する検討はまだされていない.そこで,気道炎症の「発熱」を呼気温度の測定にて捉え得るのではないかと着目し,基礎的検討を行った.フローボリウム測定と瞬時に温度変化を捉えられる高感度温度計を組み合わせ,はじめに安定した測定条件の検討を行った.最大吸気から呼出までの条件,最大呼気条件による呼気測定の温度センサーの位置をマウスピースの中央,マウスピースより咽頭側,鼻マスクで検討を行った.この結果最大吸気後ゆっくりとゆっくり呼出させる方法で,温度センサーをマウスピースを咽頭側で測定した際,最も安定した測定値が得られた.次に単位面積当たりの熱エネルギー量(W/cm^2)を表す呼気熱流速と呼気温度のピーク値の体温補正値(呼気温度測定値と体温の比で表したもの)を健常者の各条件で比較した.その結果,呼気熱流速は呼気温度に比べて温度変化に敏感な値を示した.さらに呼気温度のピーク値は性別や喫煙の有無で差が認められたが,熱流速には差を認めなかった.呼気温度と呼気熱流速の両方を用いることで気道炎症の新しい指標になりうると考えられた.
著者
安藤 喜代美 宮嶋 秀光 伊藤 俊一
出版者
名城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、現代家族が直面しつつある墳墓の継承問題と、そうした継承を支えてきた寺院・檀家を中心にしたコミュニティの変質と家族のメンタリティを探求するものである。質的調査であるインタビュー調査と量的調査であるアンケート調査を用いた結果、寺院・檀家との関係は、その結びつきが墓制の変化とともに家族から個人へと変化する傾向があり、墓制の変容は日本型近代家族そのものの変化と関係性があり、この変化が墳墓の継承問題に顕在化していると推測される。
著者
江刺 洋司 太田 宏 吉岡 俊人
出版者
東北大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1992

本研究は省エネルギーを前提として国連が計画中の、国際植物遺伝子銀行設立に際してコンサルタントを依頼され、それを実現に導くための基礎的な種子の貯蔵条件を解明するために実施された。その結果、遺伝資源としての植物種子の長期間に亙る貯蔵を、永久凍土の年平均-3.5℃で行うためには、従来各国で採用されてきた方法を適用することは妥当ではなく、種子の劣化を招く主要因となっている水分と代謝生産物であるカルボニル化合物を除去することが必要なことが判明した。そのための最も簡便な方法として、定期的な真空脱気法の導入が望ましいことが明かになった。ただ、残念ながらこの場合には完全なエネルギーコスト消減は不可能ということになり、初期の目的には沿わないことになる。また、施設費も相当嵩むことになることから、相当長期に亙る運用を前提とした経済的な検討が、実際に建設に踏み切る場合にはなされる必要がある。ただ、そうだとしても、将来の化石燃料枯渇の時代を予測するならば、本計画は実行に移されるべき性質のものと私は判断する。幸運なことに、本研究の過程で、種子の老化機構についての実体が解明され、種子の貯蔵湿度に対応して二種類の劣化の道が作動することが判明した。一つは、高い湿度下でのみ進む補酵素群の消耗、ミトコンドリア発達能の低下によるものであり、通常採用されている乾燥種子の保存の場合には殆ど問題とはならないと思われる。二つめの種子老化の仕組は種子自らが貯蔵期間中に生成・放出するカルボニル化合物、主としてアセトアルデヒドと種子中の機能蛋白質のアミノ基との間でシッフ反応の結果、蛋白質の変成を来して老化する機構であり、この反応率も高湿度下で高いものの前者とは違って、通常用いられる低湿度下でも進行するものである。後者の仕組みは植物の老化に一般的に当てはまるものと推定され植物の老化の研究に新たな展望を与えることになった。
著者
前川 佳代 大矢 邦宣 宮崎 良美 島原 弘征
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、世界遺産となった平泉における都市造営の思想読解のために、地理情報システムであるGISを利用して、発掘調査で検出された遺構のデータベースの作成と、その個々のデータ間の地理的関係を分析し、それらを基に周囲の地理的環境からマクロ的視点で都市造営の思想を読み解くものである。遺構データベースを作成し、平泉の都市構造を復元した。平泉を取り巻く地理的環境からは、諸施設と山稜の関係や太陽運行の関係を考察した。GISソフトで遺構情報を管理し、データを集積していくことは、平泉における今後の継続的な調査と資料の集積と、それらの分析に有効だと思われる。
著者
竹内 隆夫
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

農村の主要な作物である米は、一層の商品化が進展し、農法も直播に変化した。稲作のみでは現金収入が不十分なため、農村工業が展開されている。自動車の普及によるその修理業と中心となる縫製業である。都市の業者の下請けでかつむらでは元請けとなりむら人を孫請けにしている。かれらの縫製技術は、村内で訓練されてきた。賃金は下請けの半額程度だが、量を確保してむらでの一か月の現金支出分くらいを稼いでいる。少子高齢化が一層拡大してきた。少子化は定着し、高齢化が拡大している。老親扶養は伝統的な末娘が中心だが、少子化は受け皿を減少させつつある。制度化された保健ボランティアとの役割の分担は、未成熟である。
著者
宮澤 康人
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1987

(1)予想していたとおり, 青年期教育における教師・生徒関係に焦点をあわせた歴史的研究はいたってとぼしい. 研究著書・論文ばかりでなく, この主題に迫るための便利な刊行史料の類もあまり期待できない. このことは, メァリーランド大学のバーバラ・フィンケルシュタイン教授との文通その他を通じてほぼ確認できた. とくに史料については, 現地へ行って個別学校レベルや, 地方公共図書館などを調査しなくてはならない. (2)先行研究と史料状況が上記のとおりであるから, 多様な文書等のなかに断片的に埋れている事実を効果的に掘りおこすことができるように, 方法論を工夫し, しっかりとした枠組を考案しなければならない. その点で, 少し古いが, デーヴィッド・リースマンの『孤独な群衆』はたいへん示唆的であった. これは歴史的研究ではないが, 巨視的な時系列に沿った変化をとりあつかっている. そのなかで, 「伝統指向」, 「内部指向」, 「他人指向」のそれぞれの時代における両親の役割, 教師の役割の特徴が描かれている. とりわけ「内部指向」の時代の教師と生徒の関係はインパースナルであることが特徴であったという指摘は興味ぶかい. 内面性を重視するがゆえに教師はそこへ介入することを控え, 知的な教育にとどまり, 価値の教育は両親の役割とみなされた, というのである. このほかリースマンは, 各時代ごとの仲間関係やメディアの影響にも目を配っている. これはもちろんおおまかなシェーマである. しかしこれを史実によって肉づけしたり精密にする仕事ですらあまり着手されていないが, 十分に啓発的であるように思う. (3)時代と領域を限った個別研究ではあるが, David F.Allmendinger Jr.のPaupers and Scholars(1975)は19世紀の中葉のカレッジにおける学生のライフスタイルの変化が教授の権威の変質を伴うことを描いていて参考になる.
著者
佐藤 真治 荒尾 孝 田中 史朗 田城 孝雄 都竹 茂樹 大槻 伸吾
出版者
大阪産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

「歩いて暮らすまちづくり」条例の施行が住民の身体活動量とソーシャルキャピタル(SC)に及ぼす変化を検証した。市内4モデル地区の成人389名を対象に、条例制定直後と1、3年後にアンケートを実施した。身体活動量の測定にはPhysical Activity Indexを用いた。SCとして、付き合っている人の数、地域への信頼、社会参加の程度などを求めた。身体活動量は、1年目に全ての地区で増加したが、3年目には低下傾向を認めた。SCは、地域への信頼(時間の効果:p<0.05)が高まった。
著者
木村 澄子
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

環形動物、棘皮動物など様々な無脊椎動物に存在するコネクチン様タンパク質のアミノ酸配列を決定した。そこには脊椎動物コネクチンには見られない特徴的な構造が存在した。特に、環形動物4000Kタンパク質に存在する47アミノ酸のリピート領域は、非常に細長い構造をしていた。これは同じアミノ酸数でも長い距離を担える事を示し、ゴカイ体壁筋のサルコメアが脊椎動物横紋筋に比べて2.5倍も長い事と関係していると考えられる。
著者
泉池 敬司 羽鳥 理 古谷 正 中路 貴彦 林 実樹広 大野 修一
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

研究代表者は(共同研究で)次の研究成果を得た。1)バイデスク上のハーデイ空間の不変部分空間において、zの掛け算作用素とwの掛け算作用素の共役作用素の交換子がランク1になる場合を調べ、ある条件の下で完全に決定することができた。同様に圧縮作用素S_zとS_wの交換子がランク1になるときの逆不変部分空間を決定した。2)有界解析関数空間の合成作用素の差の本質ノルムの上界と下界の評価式を与えた。また、加重合成作用素の差がコンパクトになるときの特徴づけを与え、位相構造を調べた。3)2次元のFock空間の中で主導項をもつ多項式の研究を行い、それに付随する準不変部分空間が相似になるときを決定した。4)1変数のハーデイ空間上で、ハンケル作用素の積がハンケル作用素のコンパクトな摂動となるときの特徴づけを与えた。5)有界解析関数環における、閉素イデアルに関するゴルキン・モルチニの問題の部分解を与えた。6)互いに特異である、単位円周上の特異測度に対して、その絶対連続測度に対応する特異内部関数の共通零点集合が互いに素であることを示した。またモルチーニ・ニコラウの特異内部関数のフロストマンシフトに関する2つの問題を解決した。中路氏は、可換持ち上げ定理はバイデスク上のハーデイ空間の2つの圧縮作用素の場合でも成立しないが、しかし多くの圧縮作用素では、可換持ち上げ定理が成立することを示した。大野氏は単位開円板上の有界調和関数空間上のハンケル型作用素のコンパクト性、完全連続性の特徴づけを行い、そのときのシンボルを決定した。また合成作用素の本質ノルムを決定した。その上ブロック空間上の2つの合成作用素の差のコンパクト性を特徴づけた。
著者
渡邉 裕美 後藤 隆 高野 龍昭 栗原 拓也 人見 朋子 青木 愛
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

夜間対応型訪問介護が創設されて2年経過したが、利用者が少なく経営が厳しい。事業所数も100箇所あまりで大都市圏人口地域に偏在し、夜間帯サービスの空白圏がある。どのような人にどのようなケアプランを作成すれば24時間ホームケアを支えられるか、サービスの利用効果やサービス利用方法が周知される必要がある。夜間対応型単独使用で24時間ケアが成り立つわけではなく、定期訪問介護に加えて夜間対応型訪問介護のコールと随時訪問が届くためには、ケアマネージャーが鍵となる。さらには医療ニーズへの対応も不可欠である。現在、夜間ケアを必要とする人の多くは病院や施設にいる。ケアマネージャーと医療機関間で、前方連携・後方連携がなされれば、地域で暮らし続ける支援となるであろうことが示唆された
著者
荒木 信夫 山口 隆司
出版者
長岡工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

都市下水処理UASB内に生息する嫌気性原生動物種ごとの季節変動を把握するため,顕微鏡観察による原生動物の計測と18SrRNA遺伝子を標的としたクローニング解析及びダイレクトシーケンス解析による同定を行った.原生動物は水温の変化によって増減し,最大11×103cells/mL(秋期),最低で0cells/mL(春期)となった.UASB内にはMetopuscontortusが優占していた.Metopusspの一細胞をマイクロマニピュレーターを用いて捕獲し,古細菌の16SrRNA遺伝子クローニングやFISH解析を行ったところ,酢酸資化性メタン生成古細菌が104cellsレベルで共生していた.原生動物の有無による連続実験の結果MetopusspはUASB内のバクテリア細胞を含む浮遊性成分を捕食していた.
著者
小西 克巳
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

厳密解の許容誤差を考慮した制御系設計のためのBMI問題の厳密解法の研究を行った。厳密解の許容誤差と制御対象のモデル誤差の関係を導くために、平成15年度は具体例として2自由度PID制御系設計問題を扱った。一般的なBMI問題を解くには、その問題から派生するBMI最大固有値最小化問題を繰り返して解く必要がある。BMI問題の解を固定し、BMI最大固有値最小化問題を解いたとき、得られた解が0以下であれば、元のBMI問題に解が存在することがわかる。ことのき、BMI最大固有値最小化問題の最適解が0以下出なく、ある値ε(<0)以下であるようにとけば、BMI問題の許容誤差をある程度大きくしても良い解が得られることがわかった。また、このようにして得られた解の精度はBMI問題のラグランジュ緩和問題を導くことである程度見積もれることもわかった。しかし、一般的な厳密解の許容誤差と制御対象のモデル誤差の関係を導くには至らなかった。これは今後の課題である。本研究では多くのBMI問題を解く必要があったため、本研究に付随する研究として並列分枝限定法の研究を行い、並列分枝限定法を実装した。これにより複数のPCを用いて並列にBMI問題が解けるようになった。8台のPCで解いた場合、1台のPCで解くよりも5倍程度の速さで解ける。この並列分枝限定法の実装により、BMI問題の厳密解法の研究効率の向上が期待される。
著者
谷口 陽子
出版者
岡山理科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

本研究では、世代間の経済的格差が拡大し、生き方についての価値観が多元化する少子高齢時代の日本社会において、高齢期を迎える人びとが自らの家族とどのような関係を取り結びながら生活しているのか、その関わりのあり様は高齢者にどのような充足感をもたらすものか、またもたらさないとするならばそれに必要な方策とはどのようなものであるかについて探るため、2004年の中越地震の災害復興地である新潟県長岡市山古志地域を中心に文化人類学的研究を行った。具体的には、聞き取りおよび参与観察調査を実施することから、山古志地域における個々の高齢者の家族間関係-近隣の家関係-地域復興支援員(中越大地震復興基金の運用により、住民主体による集落運営を支援することを目的に設置された制度)の三者関係に焦点を当て、高齢者の家族観を探った。当地域は、震災後の若年人口の流出により、家族と離れて地域に残り一人や夫婦のみで暮らすことを選択した高齢者も少なくない。2005年に内閣府が実施した「高齢者の生活と意識に関する国際比較調査」によると、日本の高齢者の心の支えは、家族、とりわけ配偶者と子どもに集中しているとの報告がなされているが、申請者の調査による限り、当地域の高齢者においては、家族、とりわけ子どもと離れて暮らす高齢者が家族や地域からの孤立に対する不安が生じにくい生活環境創出の工夫が観察された。それは、地域の災害復興プロセスにおいて、様々なイベントや活動が住民主体で運営され、地域の人たちと関わりを持つ機会が日常的に創出されていることによるものと考えられる。このことから、高齢者の家族観は、個々の人が取り結ぶ近隣関係や地域の各種サービスへのアクセスに大きく影響を受ける可能性が指摘され、今後の調査の継続により、高齢期の家族観を多世代間関係、および地域社会の各種サービスへのアクセスの問題としてより包括的に考察していくことが望まれる。
著者
辻 照彦
出版者
新潟大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

『ハムレット』の3種類のテキストのうち、Second Quarto (Q2)とFirst Folio (F)の間に見られる3行を超えるパッセージの異同に注目し、異同発生メカニズムの解明を試みた。First Quartoも含めたテキストの詳細な比較分析の結果、Fのみに見られるパッセージはFolioへの新たな加筆ではなく、Q2の基になったマニュスクリプトに存在していた可能性が高いこと、そして、現在までに提出されてきた作者改訂説は、シェイクスピアがQ2をFのように改訂したと考えられるほど説得的でないことを明らかにすることができた。
著者
酒井 大輔 持田 讓治 檜山 明彦 中井 知子
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

椎間板障害は、脊椎の様々な疾患の原因となる。本研究は線維輪細胞を解析する基礎的研究である。我々はC57BL/6マウス尾椎線維輪由来の細胞培養法を確立した。さらに様々な臓器由来の間葉系幹細胞のマーカーのひとつであるCD146発現に着目し、細胞増殖および分化との関連を検討した。マウス線維輪組織を採取し、酵素処理で得られた細胞を培養、表面マーカーと多分化能を調べるた。その結果、マウス線維輪細胞は培養系で間葉系三系統の多分化能を示した。またCD146陽性線維輪細胞は、低酸素状態、TGFβ-1、R3-IGF1刺激に応じて増大し、線維輪再生に有益な分化の指標であると考えられた。
著者
劉 勇
出版者
会津大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

バランスのとれたアンサンブル学習法は負の相関学習から構築された。バランスのとれたアンサンブル学習法は、弱い学習モデルを作成することができる。本研究で用いた学習誤差関数は、ターゲット値をシフトすることによって変更することができます。そのようなシフトの学習機能は、訓練のニューラルネットワークアンサンブルの複雑さを制御するのに役立ちます。また、分類の精度を向上させることができます。負の相関学習は、多くの場合、強力な学習モデルを生成します。これは、1つの学習プロセスの学習には負の相関を学習移行バランスアンサンブルに興味深いものになる。学習モデルの複雑さは、遷移期間中に制御することができる。
著者
浅野 泰昌 大久保 一康 衣斐 美和子 栗田 正明 本田 誠 中村 美恵 管 麻未 幾田 美恵子 松村 歩実 川田 陵
出版者
くらしき作陽大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

人形劇と幼児は,「無生物に対する生命感の付与と感受」という本質的要素を共有しているために親和性が高く,人形劇は幼児の情操教育に有効であると考えられる。これに基づき,人形劇専門家ならびに保育者を志望する学生と協働し,人形劇表現の特質をふまえた児童文化財を制作し,地域公演を通した幼児の情操教育を展開した。学生集団による部活動の形態を採用し,組織運営や制作・練習・上演の計画と実施など,「実体験を通した学び」や「教えることによる学び」によって自己学習力のある創造的集団の形成を試み,保育者養成に取り組んだ。参加学生は,児童文化財の制作と上演の知識と技術や,その基礎となる思考力・判断力・行動力・コミュニケーション力を培い,総合的な実践力を高めたと考えられる。
著者
高橋 晋也
出版者
東海学園大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

環境色彩が人間の心理・行動に影響を与える上で、積極的な快適性であるプレザントネスの喚起が鍵を握ることを検証するため、実験室実験、質問紙実験、実地調査を行った。色照明下で推論課題や計算課題を行わせた一連の実験では、色による課題成績への影響は見られなかった。色嗜好特性という切り口からプレザントネス感受性の個人差を検討した質問紙研究では、黒嗜好・紫嗜好とプレザントネス感受性との関連が見出された。国外の実地調査ではプレザントネスを伴う特異な環境色彩事例が収集され、我が国における適用可能性が示唆された。今後、この成果をフィールド実験に展開することで、効果的な環境色彩の導入・普及に繋げていけよう。