著者
掃部 美咲 吉本 優子 小松万里子 八竹 美輝 森 加容子 渡邊 英美 小切間 美保
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.76, no.4, pp.65-76, 2018-08-01 (Released:2018-09-21)
参考文献数
27
被引用文献数
1

【目的】小学生に調理を伴う食育活動が実施されていることから「調理経験が食事観,自尊感情,心身の健康,学習に対する意欲・関心と関連する」という仮説を立て,検証した。【方法】2015年12月~2016年4月,近畿圏の市街地に位置する小学校3校の4~6年生749名を対象に自記式質問紙調査を行った。分析対象者は全ての質問項目に回答した485名とした。質問紙を6分類94項目で構成し,調理経験34項目,食事観8項目,自尊感情22項目,学習意欲12項目,教科に対する関心12項目,心身の健康6項目とした。分類ごとに探索的因子分析を行い,得られた因子を用いて仮説モデルを構築し,共分散構造分析により検証した。【結果】探索的因子分析の結果,全17因子が得られた。調理経験では6因子,食事観では1因子,自尊感情では4因子,学習意欲では2因子,教科に対する関心では3因子,心身の健康では1因子が抽出された。共分散構造分析を行ったところ,調理経験,食事観,自尊感情,教科に対する関心の4変数によるモデルの適合度は良好な値を示した(GFI=0.967,AGFI=0.939,RMSEA=0.045)。調理経験は食事観,自尊感情に対して有意なパス係数0.87,0.68を示し(p<0.001),食事観,自尊感情はいずれも教科に対する関心に対して有意なパス係数0.25,0.57を示した(p<0.001)。【結論】小学生の調理経験は,食事観,自尊感情に直接影響を及ぼし,間接的に教科に対する関心に影響を及ぼすことが示唆された。
著者
小谷 眞一 樋口 保成 内山 耕平 熊谷 隆 楠岡 成雄 厚地 淳 杉田 洋
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

この研究は平成7年度と8年度にわたって行った。内容については研究成果報告書にあるように我国で行われている確立論の多くの分野にわたることについて計12日の研究集会を開き,研究情報の交換を行った。特にその中でも,数学の他の分野,あるいは数学以外の分野との交流が多く持てたことに大へん意義があった。統計物理,数理生物,数理ファイナンス,数学の分野では討論,微分方程式,スペクトル理論,微分幾何,等々関連する分野の研究に親展があった。また7年度と8年度に1度づつ夏の学校を開き,若い研究者,学生に対して現在活発に進行中の話題,つまり「流体力学極限」と「エルゴ-ト理論と数論」の2つの主題について,専門の研究者に連続講演をお願いした。これは,若い世代に自分の研究の方向付けを与えるものとして非常に意義深いものであったと思う。さらに各分野を統合する研究集会を各年の12月に開催した。これにより,ともすれば狭い専門に限られて関心を広げることができたと思う。
著者
小島 勝
出版者
龍谷大学
雑誌
佛教文化研究所紀要 (ISSN:02895544)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.A42-A61, 2004-11-30
著者
高杉 潤 松澤 大輔 須藤 千尋 沼田 憲治 清水 栄司
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに,目的】じゃんけんは,幼少期から慣れ親しんだ手遊びの一つである。通常,勝つことを目的とし,後出しは反則のため,意図的に「後出しで負ける」ことは,「後出しで勝つ」よりも難しい。「後出し負けじゃんけん」は,反射的な行動を抑制する高度な認知機能を要する課題とされ,臨床では前頭葉機能の検査として利用されており,その神経生理学的根拠として,課題遂行中に前頭前野の活性化が機能的MRIや機能的近赤外線分光法(fNIRS)で確認されている。しかしこれら先行研究は,単回の介入結果であり,複数回の連続介入による経時的変化については,パフォーマンスレベル,神経生理学的レベルともに調べた研究はなく,明らかとなっていない。そこで本研究は,後出し負けじゃんけんを複数回連続実施した際の経時的な成績の変化および前頭前野の活動の変化を明らかにすることを目的とする。【方法】<u>実験1</u><u> パフォーマンス実験</u>対象は健常成人10名(男女各5名。平均年齢21.3歳±0.7歳。全例右手利き)。被験者は椅子座位で,正面のパソコン画面から3秒間ずつランダムに提示されるじゃんけんの手の写真15枚に対し,後出しで「負け」か「勝ち」の各課題を4セッションずつ行った。1セッション1分間,セッション間のレスト時間は90秒とした。画像提示は視覚刺激提示ソフト(アクセスビジョン社製Sp-Stim2)を用い,被験者がキーボードで回答するまでの1試行毎の反応時間や正誤も自動的にパソコンに記録された。被験者毎に各セッションの平均反応時間を算出した。各セッション1試行目と誤答した際のデータは解析から除外した。<u>実験2</u><u> 脳活動計測(fNIRS)</u><u>実験</u>対象は健常成人6名(平均年齢21.2±1.0歳,女5名,男1名)とし,実験1のパフォーマンス実験と同様の課題施行中の前頭前野の活動をNIRS(Spectratech社製OEG-16)にて計測した。NIRSは課題開始から終了まで刺激提示ソフトと同期させ,事象関連型デザインで活動を計測した。ただし各セッション前のレスト時間は30秒間とした。記録された各セッションの酸素化ヘモグロビン(Oxy-Hb)の濃度変化の平均値を算出し,各セッションの開始後および終了前の各10秒間のデータは解析から除外した。<u>解析方法</u>パフォーマンス実験では勝ち課題と負け課題の1回目から4回目までの各セッションの平均反応時間について反複測定分散分析を用いた。NIRS実験では左右半球の前頭極に位置する各4チャンネル全体のOxy-Hbの平均濃度について反復測定分散分析を用いた。有意水準は5%とした。【結果】実験1の平均反応時間±SD(ms)は,負け課題では,1回目980.3±132.2,2回目930.9±115.6,3回目891.1±160.2,4回目852.5±113.3と徐々に短縮が見られた。勝ち課題は1回目801.0±86.3,2回目794.3±82.0,3回目796.1±91.5,4回目769.5±74.9と大きな変動は無く,課題条件とセッションとの間に交互作用が見られた(p=0.022)。実験2のOxy-Hbの平均濃度±SD(mmol/l)は,右半球(チャンネル4~7)は,負け課題では,1回目0.202±0.17,2回目0.078±0.16,3回目-0.02±0.11,4回目-0.02±0.09と減少傾向を示したが,勝ち課題では,1回目0.02±0.16,2回目-0.04±0.08,3回目-0.0006±0.1,4回目0.04±0.2であった。左半球(チャンネル10~13)の負け課題では1回目0.21±0.22,2回目0.08±0.17,3回目0.005±0.08,4回目0.0003±0.11と,右半球と同様に減少傾向を示した。勝ち課題では,1回目0.05±0.13,2回目-0.04±0.06,3回目-0.05±0.08,4回目0.06±0.11であった。左右半球ともに,課題条件と回数との間に交互作用を認めた(p<0.001)。【考察】「負け課題」が「勝ち課題」に比べ反応時間が遅くなることは先行研究と合致する結果となった。しかし,複数回の試行によって徐々に短縮し,最終的に勝ち課題に近い時間まで短縮した点や,本課題と類似するstroop testでは学習効果を示唆する報告もあることから,本課題も学習効果の影響を受ける可能性が推察された。さらに負け課題の反復によって,左右半球ともに前頭前野の活動も有意に低下が見られたことは,学習効果の影響と推察される。【理学療法学研究としての意義】後出し負けじゃんけん課題は,学習効果があるため,臨床で複数回実施する際は十分考慮することが必要である。
著者
本田 正美
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報プロフェッショナルシンポジウム予稿集 第17回情報プロフェッショナルシンポジウム
巻号頁・発行日
pp.65-70, 2020 (Released:2020-06-19)

2012年に電子行政オープンデータ戦略が策定されて以降、日本政府および自治体においてオープンデータの取り組みが推進されている。オープンデータの推進が唱導される前から情報提供として情報を能動的に公開している自治体が存在している。本研究は、オープンデータと情報提供の関係に着目する。情報提供というかたちで情報を能動的に公開してきた自治体はオープンデータの推進という新たな政策課題を前にして、より適合的な動きを取ることが出来たのではないかという問いを立てる。かような研究上の問いについて、本研究では日本の都道府県を対象に実証分析を行った。その結果、47都道府県において情報提供を積極的に行ってきた団体がオープンデータにも積極的に取り組んでいるという関係は見出せなかった。情報公開担当部署とオープンデータ担当部署が異なることがその原因として考えられる。
著者
池田 忍
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書 (ISSN:18817165)
巻号頁・発行日
vol.259, pp.192-201, 2013-02-28

千葉大学大学院人文社会科学研究科研究プロジェクト報告書第259集『空間と表象』上村清雄 編"Space and Representation" Report on the Research Projects No.259
著者
満薗 勇
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.197, pp.193-219, 2016-02-29

本稿は,長野県須坂に位置する田中本家の消費生活について,通信販売の利用という面に着目しながら分析したものである。田中本家は,明治期から昭和初期にかけて,三越をはじめとする東京の百貨店から,通信販売を利用して多くの買い物を行っていたことで知られるが,今回の共同研究において,本格的な資料調査が行われ,これまで未整理かつ未利用であった書簡資料にアクセスできたことから,通信販売の利用実態について,詳細な分析を行う準備が整えられた。検討の結果は以下の通りである。大正期における田中本家は,通信販売を積極的に利用し,実にさまざまな商品を購入していた。最も頻繁に利用していたのが三越で,次いで長野市のいくつかの業者と,三越以外の東京所在業者を多く利用していたことが確認された。東京との関係だけではなく,近傍の地方都市との関係が密接であったことは,地方資産家による通販利用の実態を考える上で,一つの重要な発見といえる。呉服類の単価を比較すると,最高級品は三越で,それに次ぐランクの商品は長野市の業者から買い求め,地元須坂では最も廉価な商品を購入していた。こうした棲み分けは,三越による流行の影響が及んでいたことを示唆するが,取引の実態に立ち入ってみれば,通信販売を通じた流行の伝播には大きな限界があった。田中本家に残る書簡から判断する限り,品切れによるキャンセルや代品送付が多く,注文した商品を入手できるかどうかは不透明であった。ここに長野市所在の商店が入り込む余地が生まれ,地理的な近接性を活かした機敏な対応と顔の見える関係によって,同家のさまざまな需要に応じていた。逆にいえば,それでも同家が三越との取引を止めることなく,繰り返し注文を行っていたことが注目される。その背景には,流行の影響力があったと考えざるを得ないが,それは多分に三越のストア・イメージというレベルの問題であったと想定される。
著者
佐藤 泉
出版者
成蹊大学アジア太平洋研究センター
雑誌
アジア太平洋研究 = Review of Asian and Pacific studies (ISSN:09138439)
巻号頁・発行日
no.42, pp.71-85, 2017

This paper considers two Japanese-speaking authors from the linguistic view. Park Kyong Mi places "translation" at the core of poetic experience, and senses the inner gap of language. Sakiyama Tami, a Novelist in Okinawa, tries to put a voice inside the language through conflict between Japanese as a literary language and everyday language.
著者
Kazuaki ANDO
出版者
The Society of Instrument and Control Engineers
雑誌
Transactions of the Society of Instrument and Control Engineers (ISSN:04534654)
巻号頁・発行日
vol.21, no.11, pp.1171-1176, 1985-11-30 (Released:2009-03-27)
参考文献数
7

Padé approximants of exp(-sT) have been widely used to realize dead-time elements. The companion form realization, however, is numerically ill behaved, if we use a high order approximant, because coefficients of lower order terms of the monic denominator polynomial become very large. In this paper, the realization based on Cauer type continued fraction expansion is shown to be well behaved. A simple method of getting coefficients of the expansion of the Padé approximant, using the continued fraction expansion of the exponential function, is proposed. By simulation, it is shown that the ballancing of the overshoot and the undershoot is attained if we choose the degree L of the mumerator smaller 2 to 5 than the degree M of the denominator, and that the rise time is inversely proportional to L+M.
著者
中村 恵美
出版者
日本民主主義文学会
雑誌
民主文学 (ISSN:13425587)
巻号頁・発行日
no.657, pp.94-104, 2020-06
著者
浅野 尚美 小郷 博昭 池田 亮 閘 結稀 髙木 尚江 山川 美和 吉岡 尚徳 小林 優人 淺田 騰 藤井 敬子 藤井 伸治
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.63, no.1, pp.3-8, 2017-02-28 (Released:2017-03-27)
参考文献数
16
被引用文献数
1 2

生後4カ月以内の乳児では,母由来のIgG型抗A,抗B抗体の有無を確認した上で適合血を選択しなければならない.当院では,生後4カ月以内の乳児の外科的手術症例における輸血が比較的多く,限られた検体量の中で輸血用血液製剤の正確で迅速な準備が要求される.今回,母由来のIgG型抗A,抗B抗体が陽性であった生後4カ月以内の乳児に対し,赤血球輸血の際に選択された血液型について後方視的に解析を行った.2009年4月から2013年3月の4年間に,輸血検査を行った生後4カ月以内のO型以外の乳児は309人で,間接抗グロブリン試験でW+以上の凝集を認め母由来のIgG型抗A,抗B抗体が検出された症例が44例(14.2%)であった.1+以上を示した31例のうち24例がO型赤血球輸血を選択したが,省略してもよいとされているABO血液型ウラ検査(カラム凝集法)で,児の血液型と同型のウラ血球に凝集を認めた症例が17例あった.生後4カ月以内の乳児の輸血前検査として,A1またはB血球との間接抗グロブリン試験で1+以上の凝集を認めた場合に加え,血液型検査のウラ検査も,母由来のIgG型抗A,抗B抗体を検出できる場合があり,O型赤血球輸血の選択基準のひとつになり得ると考えられた.
著者
黒木 邦彦
出版者
神戸松蔭女子学院大学学術研究委員会
雑誌
トークス = Theoretical and applied linguistics at Kobe Shoin : 神戸松蔭女子学院大学研究紀要言語科学研究所篇 (ISSN:13434535)
巻号頁・発行日
no.21, pp.85-93, 2018-03

本稿では、西日本方言の否定過去動詞接尾辞-(a)naNda (e.g. 知らなんだ、上げなんだ) などが内包する-(a)naN- の起源を、東日本方言の否定動詞接尾辞{-(a)nap-} の同族に求める。-(a)naNda は、その音形と意味とを踏まえれば、-(a)naN- と-da {-(i)tar-} とに分析できよう。-(a)naN- の基底形は、テ形接尾辞に先行する動詞語幹の末尾子音n、m、b が東日本方言などにおいてN で実現することを考慮するに、{-(a)nan-}、{-(a)nam-}、{-(a)nab-} のいずれかであろう。これらのうち、{-(a)nan-} は、否定動詞接尾辞{-(a)n-} の連続体と見做しうる。しかし、このように考えるのであれば、種々の否定表現のうち、否定過去表現においてのみ否定接尾辞を重ねる動機や意義を説明せねばなるまい。一方、**{-(a)nam-, -(a)nab-} は、東日本方言の否定動詞接尾辞{-(a)nap-}に音形と意味との両面で類似するものの、その確例はどの時代・地域にも見当たらない。ただし、**{-(a)nam-, -(a)nab-} と{-(a)nap-} とについては、音声的・音韻的妥当性に富む派生関係を考えうる。更に、**{-(a)nam-, -(a)nab-}起源説は、「ナツタ」「ナムシ」とそれぞれ表記される、2 種類の否定過去動詞接尾辞の存在を説明するに良い。In this paper I consider that -(a)nan- in the negative-past verb suffix -(a)naNda and similar suffixes in Western dialects of Japanese is derived from cognates of the negative verb suffix {-(a)nap-} in Eastern dialects. -(a)naNda can be divided into -(a)naN- and -da {-(i)tar-} on the basis of its form and meaning. The underlying form of the -(a)naN- would be {-(a)nan-}, {-(a)nam-}, or {-(a)nab-} because {n}, {m}, and {b} at the ends of verb stems are realized as N as in Eastern dialects when followed by a sandhi verb suffix. Although {-(a)nan-} can be regarded as a sequence of the negative verb suffix {-(a)n-}, we cannot explain why this negative suffix is duplicated only in negative-past expressions. **{-(a)nam-} and **{-(a)nab-} resemble the negative verb suffix {-(a)nap-} in Eastern dialects both formally and semantically, whereas certain evidences of **{-(a)nam-} and **{-(a)nab-} are never seen in any area and period. However, as for **{-(a)nam-, -(a)nab-} and {-(a)nap-}, we can find out phonetically and phonologically valid derivation between them. The theory based on presumption that **{-(a)nam-} and/or {-(a)nab-} existed in former times is good to explain existence of the negative-past verb suffixes ナツタand ナムシ.
著者
納賀 勤一
出版者
一般社団法人 日本真空学会
雑誌
真空工業 (ISSN:18837174)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.82-89, 1956-03-05 (Released:2009-09-29)
参考文献数
6