著者
川端 浩平
出版者
関西学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、いわゆるエスニックコミュニティではなく、郊外地域などの非集住的環境で生活している在日コリアンの若い世代に対する参与観察と聞き取り調査をもとに、彼・彼女らが経験する差別・排除の現代的諸相を明らかにした。在日コリアンの個人化は、在日コリアンの自然消滅や彼・彼女らのエスニック・アイデンティティの喪失を意味するものではなく、むしろエスニックなものへの希求が高まっていることが明らかとなった。
著者
小松 太郎
出版者
上智大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

研究期間にわたり、ボスニア・ヘェルツェゴビナ国の住民参加型学校運営制度と地域社会の社会的結束の関係について確認した。一年目の調査では学校運営協議会の実態を確認した。二年目は紛争中に民族虐殺が発生したスレブレニツアにおいて、少数民族系の生徒に対し面接調査を行った。生徒自身が民族交流の場としての学校を評価していた。三年目は民族混在性の高いブルチコ地区を中心に、協議会委員へ面接調査を行った。多民族から構成される協議会は、学校運営の正統性(legitimacy)を高めていたことがわかった。学校は社会的結束を促進しうる。多民族住民参加型学校運営は学校の正統性を確保しその役割を促進することが示唆された。
著者
駒井 三千夫 伊藤 道子 古川 勇次
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1995

ラット生体内におけるK_1(フィロキノン=PK)からメナキノン-4(MK-4)への変換に関するトレーサー実験(1)と、各臓器で生成するMK-4の単離・精製と同定に関する実験(2)を行い、以下の結果を得た。(1)PKからMK-4への変換に関するトレーサー実験^<14>C標識PK(側鎖に標識したものとナフトキノン骨格に標識したものを別々に用いた)を用いたin vivoならびにin vitroの実験から、PKからMK-4への変換は各組織において行われることと、PKはそのイソプレン側鎖がはずれて一度K_3になってから別のイソプレン側鎖(ゲラニルゲラニル基)が付加すると考えられる結果が得られた。すなわち、PKのイソプレン側鎖は3カ所が不飽和化されてそのままMK-4になるのではなく、各組織において一度K_3になったものにゲラニルゲラニル基が付加して生成される機構を明らかにすることができた。また、この変換能は肝臓でよりもむしろ他の臓器(膵臓、唾液腺、腎臓、精巣、脳、等)で高いことが示され、MK-4は肝臓における凝固因子としての作用の他に、多くの臓器においてこの他の未知の生理作用を発揮しているものと予測される。(2)の単離・精製と同定に関する実験昨年度の結果からMK-4生成能が最も高いと考えられた膵臓(MK-4を増やすためにK含有固型飼料を8日間与えた)を用いて、HPLCにおけるMK-4の画分を分取し、不純物(他の脂溶性ビタミン類)を取り除いた後、質量分析装置によって物質の同定を試みた。その結果、PKを経口投与後に各臓器において増えるHPLC上でMK-4様物質であると予測された物質は、MK-4であると同定された。
著者
内海 麻利 小林 重敬 岡井 有佳
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、日本の各地域に対応した都市マネジメントにおける「主体」に関する課題を再確認した上で、地方分権改革や、都市計画法等の制度改革を進めるフランスを素材として調査、検討を行った。その結果、本研究では、フランスにおいて、住民や利用者など多様な関係者の意向を民主的な手続により聴取し、反映する手続(参加手続)と、多様な主体が都市マネジメントの担い手として活躍するための手続(公定化手続)を、法令制度として創設している実態を明らかにし、これらの具体的な仕組みと運用方策を地域類型に応じて提示した。
著者
糸長 浩司 石川 重雄 栗原 伸治 長坂 貞郎
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

植物浄化システムの実験研究の内、ハイポニックスシステムでは、コイ養殖排水の栄養塩が作物により顕著に吸収されることが確認できた。各槽固有の作物による栄養塩吸収能の比較検討を行ったが,特にハーブ類とトマトで顕著なDIN・DIP吸収が確認できた。農作物生産は,トマト,クウシンサイ,ハーブ類で比較的冬期間を含め,持続的に収穫を行うことができた。家畜汚水を植物で浄化するシステム実験研究では、浄化能力は、窒素で22mg/m^2/d〜61mg/m^2/d,リンで2.5mg/m^2/d〜8.2mg/m^2/dで窒素、リンとも高い浄化能力をしめした。曝気の有無に関しては窒素、リンとも曝気を行うと浄化能力が高いことが明らかとなり、浄化性能を上げるための一つの手段として曝気を行うことは重要である。個々の植物の浄化能で除去速度の高いものからは、窒素では抽水植物群(206),浮き草群(170),クワズイモ(133),ゲットウ(76),ミニトマト(73)。リンは浮き草群(31.6),抽水植物群(24.6),クワズイモ(19.9),ゲットウ(17.9),ミニトマト(17.5)であった。天然の水質浄化資材の複合的な開発実験では、稲わら・ヨシ・アシ・マコモ溶出液と木炭、ゼオライトの組み合わせで、NO_3-N除去率が向上した。本浄化素材の複合システムでNO_3-Nによる水質悪化を防止することの可能性が示された。稲藁の溶出液と組み合わせると特にNO_3-Nの除去能力の低下はなく,かつOrg-Nも抑制の傾向にあった。備長炭との組合せは,他の場合よりもCOD濃度が低く抑えられることが示された。自然素材であるストローは、ベイル内の相対湿度の増加とともにストローの含水率も増加した。ただ、相対湿度90%で含水率は15%以下であり、雨水対策を行うことで,ストローベイルの日本の高湿度環境での長期維持の可能性が示された。また、壁材+ベイルの調質性能は藁>荒木田>土佐漆喰であり、壁材利用で低下し、塗材の影響を大きく受ける。
著者
片山 幹生
出版者
早稲田大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

(研究目的)今年度は文体論、言語学的アプローチによる十三世紀フランスの演劇テクストの問題点についての考察を進めた。いかにして13世紀の作家たちは演劇テクストを作り出したかという問題である。初期の演劇テクストの作家たちがテクストに施した工夫を検証することによって、複数の演技者によって演じられることを前提に書かれた演劇テクストの特徴を明らかにことがこの研究の目的となる。(研究方法)13世紀の演劇作品の作者の前にモデルとしてあったのは、ファブリオ、宮廷風ロマン、武勲詩などの単独のジョングルールによる語り物文芸のテクストだ。彼らがこうした語り物のテクストのディアローグをどのようにして演劇的に書き換えていったかについて今年度は詳細に検討した。今年度の研究で主要なコーパスとして選択したのは、パリ、フランス国立図書館フランス語837写本(Paris BnF fr.837)に収録されている作品群である。この写本には単独のジョングルールによって朗唱されていたファブリオと複数の役者によって舞台上で演じられるために書かれたと考えられる演劇テクストの両方が収録されている。後者についてはリュトブフの『テオフィールの奇跡』、作者不詳『アラスのクルトワ』、そしてアダン・ド・ラ・アルの『葉陰の劇』の抜粋がこの写本に収録されている。興味深い点はこの写本に収録されている演劇テクストにはすべて、ファブリオ的な「語り」の要素が含まれていることだ。また写本のレイアウトから見ても、ファブリオとこれらの演劇作品の間には顕著な差がない。(研究成果)2010年3月に837写本を所蔵するパリの国立図書館を訪問し、写本の記述と写本に収録されたテクストの校訂を詳細に検討した。そこで明らかになったのは、これまでズムトールが指摘していた13世紀フランス文芸におけるジャンルの曖昧さ、流動性という問題がこの写本に収録されている演劇テクストでは典型的なかたちで現れているという事実である。837写本収録のテクストは演劇と語り物の間にある様々な段階の中間形態を示している。これらの調査結果については、平成22年度中に学会で発表し専門家の意見を仰いだ上で、論文の形にまとめて発表する予定である。また作成した研究書誌は平成22年4月中にウェブページ上で公開する予定である。
著者
樋田 一徳
出版者
川崎医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は、報告者のこれ迄の解析結果を基盤として、形態的特徴のみならず、化学的、電気生理学的側面からの機能を同定した嗅球ニューロンのシナプス結合を解析したものである。具体的には、米メリーランド大学・Michael T.Shipley教授の研究グループと共同実験により、tyrosine hydroxylase (TH)、glutamic acide decarboxylase (GAD)といった、嗅球ニューロンの代表的な化学マーカーをGFP標識したトランスジェニックマウスを用い、パッチクランプ法により各ニューロンの刺激反応性を比較検討した。その結果、入力の嗅神経を刺激した結果、スライス嗅球における介在ニューロン、投射ニューロンの電気生理学的・薬理学的特性が多様であり、また同じ化学的性質を有するニューロン群の中でも、嗅神経刺激に対する反応性に少なくとも2つのタイプがある事などがわかった。更に記録後にbiocytinを注入してニューロンの全体像を明らかにし、更にTH、GAD65ニューロンについて、抗GFP抗体を用いて免疫電顕によりシナプス結合を解析し、シナプス入力の頻度が異なることがわかった。遺伝学的に同定された化学的性質、形態的特徴、シナプスなどを対応し、異種のニューロン問での違いを明らかにする事により、ニューロンの多様性に基づく嗅覚神経回路の精巧さが示された。
著者
長洲 南海男 丹沢 哲郎 片平 克弘 熊野 善介 今村 哲史
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

これまでの研究は大きく次の2点に焦点化される。第一は科学リテラシ(SL)論研究に関わる各種文献の収集とそのデーターベース化、第二はそれらの分析による科学教育改革の方向性の解明である。先ず、1993年までの過去30年間のSL論に関する文献の要旨をICASEのPenick教授がまとめたのと、UNESCOによる科学、技術リテラシ(STL)論の1994年までのを集めた要旨集をデータベース化出来た。次にそれ以降現在に至るまでの及びOECDお含めたSL及びSTL或いは科学の本質に関する論文を欧米の代表的な雑誌類より収集したが、膨大な数のため、完全な分析には至っていず、次への課題となっている。結局、次のことが明らかになった。30年前のSL論に比して、近年のSL論で展開している用語としての「科学の本質」は同じであるが、その意味する概念は全く異なっており、かつてのに比べて現今のは新しい科学・技術論に基づいており、その科学教育の背景には構成主義を包含したSTS論を基にしている点である。この基調はAAASのプロジェクト2061、NRCの全米科学教育スタンダード(NSES)-これについては他の協力者の協力を得て訳本を出版できた。BSCSのBybeeのSL論とも軌を同一にしていることが明らかになった。この基本的立場はUNESCOのSL論は先進諸国のみならず、開発途上国においてもその基本的理念は同じであることが明らかになった。さらにプロジェクト2061が構成主義的観点より幼稚園より高校3学年までの発達段階を考慮にいれたSLの認知発達の事例を日本において初めて翻訳できた。以上により新しい科学リテラシ(SL)論に基づく科学教育改革の方向性が明瞭になった。これらの成果は次年度の関連学会で発表の予定である。
著者
新井 清美
出版者
首都大学東京
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、プレアルコホリックを早期発見し、早期介入するためのアセスメントツールを作成することであった。この目的に沿って、平成24年度にはアルコール依存症者とその家族に行ったインタビュー調査から、プレアルコホリックに該当すると考えられる質問項目を抽出し、質問紙を作成した。この質問紙を用いて平成25年度には医療機関に所属する者、平成26年度にはアルコール依存症者とその家族の自助グループである断酒会に所属する者に対して質問紙調査を行った。これらの調査によりプレアルコホリックの段階を明らかとし、飲酒のリスクに応じた支援の在り方について検討を行った。
著者
引田 弘道 大羽 恵美
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

11世紀にカシミールにおいて編纂された『ボーディサットヴァ・アヴァダーナ・カルパラター』の、サンスクリット語文献の翻訳研究を行った。三年間の助成期間で、第29章「カーシスンダラ物語」から、第38章「クシャーンティ物語」までの章、および前書きの和訳を行った。また本文献に基づく美術作品の分析を行い、説話図においてそれぞれの物語と情景の同定を行い和訳と同時に発表した。さらに、本文献と関連を示す類話や絵画の研究を行い、本文献を中心とするインド北部からチベットに至る仏教文化の諸相について数編の論文に表した。
著者
福島 宏器
出版者
関西大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

眉間を寄せる,口角を上げる,といった表情筋の操作によって,対象への印象などが左右される「顔面フィードバック」という現象の認知生理的メカニズムを検討した.具体的には,脳波(事象関連電位)を利用して,実験参加者が口角を上げたり口を閉ざしたりする操作が利益や損失の認知処理に及ぼす影響を分析した.その結果,表情筋の操作は,意識的な感情コントロールに比べ,より早い知覚プロセスと明確な自律神経系への影響を及ぼし,より深い水準での心身の態度に影響を及ぼしていることが示唆された.
著者
ディソン アニエス
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

今日のフランス詩の包括的な外観図を描き、その主要な内容上および形式上の特徴を捉え、文学における「超現代」という概念を定義することができた。本研究の目的は、超現代詩が逆説的にも古典的な詩をモデルとする(ジャック・ルーボーは日本の中世詩を取り込んでいる)一方で、バイリンガリズム(関口涼子)、映像および写真(S・ドッペルト、A・ポルチュガル)、先端的な科学的知見(細胞生物学、環境学、植物学)などを詩の素材として導入しているという点を強調することにあった。
著者
日高 真帆
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では日本と英語圏諸国に於けるワイルドの受容状況の比較研究を行うことによって、日本に於けるワイルド受容の複数の特徴を明らかにすることができた。また、従来日本で注目度が低かった喜劇作品の受容にも重点を置いた研究を行うことで、より均衡の取れた受容研究を進めることができた。その際、演劇に焦点を当てながらも、ワイルドの戯曲以外の作品受容にまで視野を広げてこそワイルド劇自体の受容の全貌が明らかになるため、作品の幅を広げた多角的な研究を行い、多岐に渡るワイルド受容の諸相について具体例と共に考察を深めた。
著者
保田 和則
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

カーボンナノチューブや天然のナノファイバーを分散させた流体や,高分子を溶解した流体は流動によってさまざまな特異な流れ現象を生じさせる。本研究では,そのようなファイバーがごくわずかであっても,特にマイクロスケールではマクロスケールとは流れが大きく異なることや,マイクロ流れでは流路の壁面の材質によって流れが大きく異なることを実験で明らかにした。さらには,流れによって誘起される複屈折の変化をとらえることで,高分子の配向状態を明らかにした。
著者
中村 聡史
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究プロジェクトでは,情報検索におけるユーザの検索意図やコンテキスト,プロファイルといった情報を,視線の動きによって推定したり,興味を持てるような観点語を質問応答サービスから取得して提示する手法などを実現した.また,本手法によって,検索結果をダイナミックに再ランキング,再サーチする手法を実現し,ユーザの情報検索行動を手助けする手法を実現した.さらに,マルチメディアコンテンツに対する対話的な検索も実現した.
著者
鳥越 文蔵 内山 美樹子 飯島 満 黒石 陽子 原田 真澄 坂本 清恵 神津 武男
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

古典芸能の人形浄瑠璃文楽で頻繁に上演される演目の大方は、享保から宝暦年間(1716~1764)に初演された作品である。しかしこれまで翻刻が著しく遅れていた。本研究では、国内外の諸本を書誌調査し、十行本なども参照したうえで、現存最善の翻刻本文を提供し、国内外の演劇研究進展への貢献をめざした。成果として、義太夫節未翻刻浄瑠璃作品集成第二期10冊を出版した。また、本文のデジタル・アーカイブ化を目標とし、本文データの整理分析を行い、近世上方語資料となる語彙索引2冊を作成、刊行した。
著者
荒井 紀一郎
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

目的本研究の目的は、市民の政治参加について動態的なモデルを構築し、そのモデルの妥当性を実証することによって、市民が政治的な活動に参加するメカニズムを明らかにすることにある。目的を達成するため、本年度は以下2点を中心に研究を実施した。(1)自律的な主体(市民)の相互作用がシステム全体(社会)にもたらす特性や影響をモデル化できるマルチエージェントモデリングを用いた新たな政治参加モデルの構築(2)有権者が持つ様々なアイデンティティ(以下ID)の変化が投票参加や投票方向にもたらす影響を明らかにするための実験の実施実施状況(1)市民が自身の行動と選挙結果をもとに学習しながら適応的に参加/不参加を決定していくモデルを構築し、シミュレーションによってモデルの振る舞いを観察した。その結果、従来の政治参加を表す数理モデルよりもより現実に近い参加率、選挙結果を予測することができた。また、有権者の若い時期での投票経験と支持政党の連勝がその後の参加に大きな影響を与えている可能性があることが示された。本研究で得られた知見をもとに昨年5月の日本選挙会及び、10月の国際シンポジウムにて報告を行った。(2)科学研究費補助金を用いて、インターネットによる実験世論調査を実施した。この調査は、日本の会社員1000名を対象に彼らの社会的IDと党派性を測定し、実験群と統制群に分けた上で実験群の被験者には彼らのIDに対する刺激を与え、IDが投票参加と投票方向に与える影響を明らかにしようとするものであった。調査は本年8月下旬に実施した。調査の結果、有権者は自分が属している政治集団が、自分が属している社会集団の中において少数派である場合には、政治的なIDには依らないで意志決定を行う可能性があることが示された。本研究の内容は、昨年10月に開催された実験社会科学コンファランスおよび、本年2月に行われた国際コンファランスにて報告を行った。
著者
谷田部 かなか 武者 春樹 河野 照茂 田口 芳雄 大山 正 糟谷 里美 藤谷 博人 油井 直子 立石 圭祐 寺脇 史子
出版者
聖マリアンナ医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

特性不安の高い競技特性では、あがり条件によって生化学指標変動に相違(p<0.05)がみられ、練習内容や測定時期による精神負荷や身体的疲労に特異的傾向が示された。また、情緒不安定特性別による弁別・判断・選択時間の遅延(p<0.05)については、発育期世代では更にパフォーマンスに対して影響を与えることが示唆された。一方で個々の就寝時間を含めた生活時間、対人関係の改善を行うだけでも、行動や感情を適切に調節する効果的な指導となり、外傷・障害の第一予防に繋がると考えられた。
著者
神林 崇
出版者
秋田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

(1)傍正中視床下部の脱髄性病変により2次性にオレキシン神経が障害された過眠症の報告は多くなされているが、なぜ視床下部の正中部が特異的に障害されるのかが非常に不可解であった。2004年にMSのサブタイプであるNMO(OSMS)に特異的に検出される自己抗体(NMO-IgG)が発見された。その後NMO-IgGの標的抗原は脳内の水分子チャネルであるアクアポリン4(aquaporin-4, AQP4)であることが見出された。Pittock(2006)らはNMO-IgG陽性患者の脳病変についても検討しており、間脳・視床下部と第四脳室周囲の病変の分布が、AQP4の高発現部位に一致すると報告している。当初は視床下部脱髄の7症例の血清を検討したところ、3例でAQP4抗体が検出された(Kanbayashi2009)。視床下部の病変はAQP4抗体の免疫反応により引き起こされたものと考えている。その後も継続的に症例の集積を進めて、10例以上のAQP4抗体陽性例を集積しており、傍正中視床下部脱随による、2次性の過眠症の一つの疾患概念を確立しつつあると考えている。(2)ナルコレプシーでの脳内鉄代謝とむずむず脚(RLS)/周期性四肢運動障害(PLM)の病態の検討:PLMの有病率はナルコレプシーでは25-50%と非常に高率に認められる。加えてRLS/PLMでは脳内の鉄イオンの減少が原因のひとつであり、髄液中のフェリチンが低値でトランスフェリンが高値と報告されている。PLMの合併の多いナルコレプシーでの、鉄代謝の変化を調べるためオレキシン欠損のナルコレプシー患者のCSFでフェリチン、トランスフェリン、鉄イオンの測定を行った。RLSの患者の場合とは異なり、フェリチンは健常群と差が無いが、トランスフェリンと鉄イオンはむしろ有意に高値であった。特に約3割の患者では大幅に逸脱した数値であった。脱力発作の有無やHLAタイピングは鉄代謝には関連が認められなかった。オレキシン神経系が脱落することによって、脳内の鉄代謝の調節機構が機能不全に陥るのではないかと考えている。
著者
岩坪 秀一 木下 冨雄 四方 義啓 内田 達弘 伊藤 圭
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

理工系分野の早期教育の真の在り方を探るために、かつてわが国において実施された「飛び級」制度(小学校五年から中学校に進学する「五修」と中学校四年から高等学校に進学する「四修」を導入することによって、普通課程と比較して二年早く教育課程を終了するもの)、及び終戦前後(昭和20年1月〜昭和23年3月)に実施された「特別科学教育」制度(小学校四年から六年、中学校一年から三年までの六学級から理数系の学力に特に秀でた児童・生徒を選抜して英才教育を施したもの。東京高等師範学校、東京女子高等師範学校、広島高等師範学校、金沢高等師範学校、京都帝国大学が中心となって教育に当たった。学級数は実施機関によって異なった。)を取り上げた。これらの教育制度の経験者からの情報収集及び追跡調査から教育の実態を明らかにし、その得失を十分に検討することによって、わが国の理数系早期教育の発展に資することを目的とした。具体的活動としては、経験者から経験談及び資料提供を受けるために11回の研究集会を開催し、さらに面接聴き取り調査を行った。また、中国における早期教育のための教員養成についての講演会を開催した。アンケート調査も計画したが、個人情報に深く関わる内容であるために質問項目について慎重に吟味して実施へと繋げることができた。主要な研究成果の概要は以下の通りである。(1)飛び級については、その経験者の協力を得て、京都府師範学校附属小学校第二教室の教育の実態が明らかになった。また、兵庫県立神戸第一中学校の四修修了者の特徴について統計的な検討を行った。(2)京都府立第一中学校において実施された特別科学教育(京都帝国大学が協力)の経験者諸氏の協力が得られ、従来余り知られていなかった事実が明らかにされた。(3)理数分野の早期教育の実をあげるためには、理数分野と人文社会分野の教育のバランスが必要不可欠であることが明らかになった。理数系分野だけに特化して効率を図ることは、優れた人材養成に繋がらない。(4)早期教育のための教員養成、上級学校との接続の確保、中途からの転向の保障など、制度面での支援が重要であることが明らかになった。