著者
神澤 孝夫 伊藤 佐知子 澤田 誠
出版者
(財)脳血管研究所
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

ミクログリアは脳内のマクロファージ様細胞として知られ、悪性脳腫瘍においても腫瘍内部および浸潤域に、集蔟している事が確認されているが、その抗腫瘍作用は不明であった。しかし、活性化ミクログリアは悪性脳腫瘍細胞に抗腫瘍効果を発揮し、悪性脳腫瘍細胞に形態的にアポトーシスでなく、第二のプログラム細胞死:オートファジーを伴う細胞死を誘導することが、悪性脳腫瘍細胞に生じるオートファジーをモニターすることによって、判明した。そして、この細胞死はカスパーゼ阻害役で抑制はされなかった。抗腫瘍効果の機序として、ミクログリアが産生するNOが重要で必須であることが分かったが、NO単独では、悪性脳腫瘍細胞にオートファジーは誘導されるもの、細胞死は誘導されなかった。さらなるミクログリア由来の分子を解析したところ、TNF family分子および炎症性サイトカインが重要な役割を果たすことがわかった。TNF-α、CD40、Fas、IL-β、IL-6は、いずれも、単独で、細胞死を誘導することはなく、NO阻害薬がこの細胞死を完全に抑制するのに対して、TNF family分子および炎症性サイトカインの阻害は部分的な抑制のみであった。これらの結果から、悪性脳腫瘍に対するミクログリアの抗腫瘍効果において、NOは必須であるが、細胞死を誘導するには至らず、さらに、TNF family分子および炎症性サイトカインからのシグナルが、相補的に作用することによって、細胞死を制御していると考えられた。
著者
田中 雅人 尾崎 敏文 沖原 巧 渡邉 典行 瀧川 朋亨 塩崎 泰之
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

抗菌薬をリン酸化プルランに含有した新規骨補填材の有用性について検討した。骨補填材からの抗菌薬徐放能を検討し、新規骨補填材では従来の骨補填材と比較し良好な徐放能を示した。また、黄色ブドウ球菌をマウス骨髄内に注入し作成した骨髄炎マウスモデルを用いて検討を行い、従来の骨補填材と比較し有意に強い抗菌作用を認めた。以上より抗菌薬含有リン酸化プルランは感染治療に有用であることが示唆された。
著者
松尾 光一
出版者
広島大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

放射光真空紫外円二色性法により,蛋白質の精密な溶液構造情報の獲得を可能にすると共に,この手法を生体膜と結合した蛋白質の精密構造解析に応用した。またアルツハイマー病などの原因蛋白質であるアミロイド線維の円二色性スペクトルを,最先端の計算科学を用いて帰属し,アミロイド線維の形成や毒性に重要な分子間構造を明確にした。円二色性研究の国内外の専門家14名を招聘し円二色性国際ワークショップ(広島,2014年3月4日)を開催し,円二色性法による蛋白質構造解析の有効性を広く発信した。
著者
川平 友規
出版者
名古屋大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

複素力学系理論とは,複素数全体の集合(もしくはそれを拡張した空間)にある種の運動法則を与えた系を考え,その時間発展を解析する理論である.系の運動法則をわずかに変化させた場合,系全体が安定に変化する場合とカオス的に変化する場合があるが,じつは「ほとんどの場合」,安定していることが知られている.本研究では,その「ほとんど」を占めるものが何か特定することを目標とし,おもに幾何学的アプローチによる研究を行った.
著者
立花 英裕
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

今回の研究目的は、フランス語圏を中心にアメリカ諸地域について調査した上で、その社会や歴史を明らかにし、文学や思想との相関をとらえるものだった。研究成果をまとめるにあたっては、ある程度地域を限定しなければならなかったので、全般的な視野を踏まえた上で特にフランス海外領土のマルチニック島、グアドゥループ島、およびハイチ共和国、カナダケベック州を対象とした。「クレオール」の概念は、時代によっても、また言語圏によっても意味が大きく異なっているが、その相違を調査した上で、本研究ではベネディクト・アンダーソンに見られるような広い視点からとらえた。すなわち、アメリカ地域に形成された国民は基本的にクレオールであるという視点である。そのように見ていくと、カナダケベック州とカリブ海域という南北にへだたった地域においても、一定の通約性が浮き上がってくる。ケベックの歴史家ジェラール・ブシャールはそれを「アメリカ性」と呼んでいるが、この概念は、カリブ海文化の特性としての「アンティル性」を発想したエドゥアール・グリッサンの見方に繋がっている。このような「アメリカ性」「アンティル性」、あるいは「クレオール性」が近代史の中でどのように形成され、どのような文化や文学を生み出したかについて、今回は、上述の地域に限定して解明につとめた。いうまでもなく、これはきわめて大きなテーマであり、今回の研究がまだ不十分であることは否めない。今後、更に調査と研究を継続していきたい。とはいえ、研究の過程で予期しない視野が広がってきたことも事実である。コロンブスの大航海に始まった近代の曙はグローバリゼーションの最初の一歩だったと考えられる。アメリカ地域の「クレオール的性格」は、グローバリゼーションの時代を予告し、準備するものだったのである。
著者
淀川 雅夫
出版者
岐阜大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2008

情報教育が盛んに行われ、他の教科や総合的な学習の時間でも積極的に活用されている中、技術・家庭科としての特色を明確にしていく必要がある。現行の学習指導要領において技術分野は2つの領域で構成されており、情報教育を担う「B情報とコンピュータ」では、ソフトウェアの活用を中心とした操作方法の知識・技能の習得や機器の使い方の確認が学習の中心となりがちである。「B情報とコンピュータ」の発展的学習内容の中に、(6)プログラムと計測・制御があるが、これからの技術・家庭科の授業を考えた場合、「A技術とものづくり」との融合が進められていることもあり、この内容を選択していくことが益々重要なのではないかと考えた。本校では「創造的に学ぶ生徒の育成」を研究テーマに掲げており、自立型ロボットの製作と制御を通して、生徒の学習意欲を喚起し、創造力を育成するための授業について、教材と指導方法からアプローチを試み、追究してきた。制御基盤、ギヤボックスなど基本となる部品は指定して与えるものの、ロボットにどんな目的で、どんな動きをさせるかの自由度は生徒に与え設計を試みた。そして、仲間との議論を重ねていく中で、グループに1台のロボットを製作した。生徒はロボットそのものに魅力を感じたようであるが、作る難しさも味わい、お互いにアイデアを交流していく中で、自分の考えたような動きを持たせていくことに喜びも感じることができた。また、他グループの製作の様子をビデオ撮影し、それを示していくことで、お互いの製作の刺激とした。その後、できあがったロボットを、フリーソフトで制御した。願う動きをさせるために、どのようにプログラミングを試みたらよいかを考えさせ、効率のよさ、簡潔で明解であることを求めて、学習に取り組ませた。今回の試みにより、ロボットを製作すること、制御することに対して学習意欲を喚起することはできたが、その過程における困難に対して、十分なサポートをしていかなければ意欲の減退につながるため、サポートのあり方について、今後、考えていきたい。
著者
桑原 裕史 下野 晃
出版者
都城工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

駅前ショッピングセンター内に「鈴鹿高専みんなの理科教室」を開設し、近隣の小中学生対象の科学寺子屋を運用した。元企業技術者の応援を得て、教員と学生により、各種教材を開発するとともに、それを用いた子供たちへの理科教育を実施できた。鈴鹿高専のホームページから、この理科教室のページのリンクを作り、これを活用して、活動内容や予定を掲示するとともに、理科教室の活動内容に関係する質問・解答もできるようにした。この結果、多数の小学生や保護者に付き添われた幼児が理科教室を訪れ、開発した教材を活用して「理科」をより身近に感じるようにできた。
著者
山本 真紗子
出版者
立命館大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

百貨店美術部ともかかわりが深い着物図案創出事業の調査として、近代以降の京友禅の調査をおこなってきたが、その結果を2015年7月の意匠学会大会にて口頭発表とパネル発表にて報告。また『デザイン理論』2016年春号に投稿し、掲載が決定した。2016年3月には、University of Zurichでおこなわれた国際シンポジウム『Katagami in the West 海外での「型紙」の姿』にて、とくに型友禅の現状について報告した。本シンポジウムの内容はスイスでの出版計画が進行しており、筆者の発表についても執筆の予定である。上記の調査を生かし、Google Cultural Institute 「Made In Japan 日本の匠」にも参加、「西陣織」「友禅染(手描き友禅)(型友禅)」ほか7件の展示を作成している。百貨店美術部という近代の枠組みのなかで変化していく画家の生活についての口頭発表を11月の国際共同ワークショップ「風景への眼差しの交叉-ベルリンと京都から-」で行った。また、2014年調査のため訪れた米国メトロポリタン美術館にて開催されていた"Kimono:A Modern History"の展覧会評を『民族藝術』(民族藝術学会)32号 に投稿・掲載された(2016年3月発行)。9月に実施したイギリスでの資料調査では、日英博覧会(髙島屋出品)の遺構の実見や、髙島屋(貿易部)や日本の工芸品輸出・現地での流通にかかわる関連文献を調査した。その他、昨年度発見した中井宗太郎旧蔵資料群の調査をおこなった。本資料群は、中井宗太郎が髙島屋に関与していた大正期から、戦後の立命館大学勤務時代のものが含まれている。現在棒目録を作成済みで、2016年7月に『人文学報』(京都大学)へ論文として投稿の予定である。
著者
時本 真吾
出版者
目白大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は,発話理解の実時間モデルの構築を目標に,統語的情報,韻律,作動記憶制約の実時間相互作用を実験的に検討するものである。本研究の新知見は,(1)文内の依存関係決定処理において,韻律特性の一つとしての統語的休止(syntactic pause)は確かに効果を持っているが,統語的情報を覆すほど強くはないこと,また,(2)統語的休止の効果は処理負荷の低い文よりも高い文において顕著に現れること,(3)さらに作動記憶制約の影響は高負荷の文よりも低負荷の文について顕著に現れることである。本研究の知見は,統語的・音韻的制約の運用機序が,作動記憶容量を含む心的資源の大小によって変化することを示唆している。また,本研究は,作動記憶容量の大きな話者の方が小さな話者よりも言語処理効率が高いという通説に反し,大容量話者は低容量話者よりも文理解が正確だが,低容量話者よりも処理時間が長い傾向を見いだした。この知見は言語処理の効率性の議論に再考を促すものであり,作動記憶容量の大きな話者がより効率的な認知処理を実現するなら,なぜ作動記憶にこれほどの強い容量制限があるのかという理論的問題に進化心理学的解決の糸口を与えるものである。
著者
神田 学 稲垣 厚至
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

対流性集中豪雨の予測精度を向上させるため都市気象学的なアプローチによって以下の成果を得た。(1)詳細な都市気象データベースの解析から、集中豪雨頻発域である東京-練馬-埼玉ライン上に都市化による海風遅延領域が見出された。(2)詳細な建物GISを利用した乱流計算により実都市の流体力学的粗度を推定する新しい推定式が提案された。(3)都市陸面に関する最新知見を導入した都市気象モデルによる豪雨シミュレーションにより、都市化により集中豪雨が強化されることが示された。
著者
森 一彦 伊藤 三千代
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

(目的)本研究はその公的環境の中で駅ターミナル施設に着目し、情報(視覚・聴覚)障害者の探索行動の特徴を明らかにすることを目的とした。(方法)具体的には、視覚障害者・聴覚障害者および比較のための健常者の探索行動実験を行い、情報(視覚・聴覚)障害者の探索行動の特徴を分析した。特に探索行動時の探索方法の内容および情報入手の状況を整理し、そのデータを基に被験者相互の迷い行動を比較分析した。(結論)結果として、以下の点が整理された。(1)情報障害者は、入手情報が制限されるものの、適切に情報が提供されれば、迷うことなく目的のプラットホームに到達する事ができる。(2)むしろ、健常者の方が複数の情報が入手可能なため、色々な行動が誘発されやすく、結果的に「迷い」が大きくなるケースが多くあった。(3)聴覚障害者は健常者に類似した傾向があるものの、補足データとしての聴覚的な情報が乏しく、迷いやすく、状況判断しにくく慎重な行動になる傾向がある。(4)視覚障害者は点字などのサインよりも、その場所に置かれたもの・機器を手がかりとし、場所・方向を認知して行動する傾向がある分かった。(5)視覚・聴覚共に情報障害者は、探索途中で適切な情報入手ができずに迷いが生じた場合に大きな問題が生じ、どのように迷いからブレイクスルーするかが重要な要件となる。
著者
池田 龍二
出版者
鹿児島大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

チミジンホスホリラーゼ(TP)は、血管新生因子である血小板由来血管内皮細胞増殖因子(PD-ECGF)と同一で、血管内皮細胞の遊走刺激活性を有し、低酸素で誘導されるアポトーシスに対し抵抗性を賦与する。これまでに我々は、TPおよびその基質であるチミジンの分解産物の2-デオキシ-D-リボースが、低酸素下でhypoxia-inducible factor 1 alpha(HIF-1α)のユビキチン化を促進することにより発現レベルを低下させることを見出している。本研究では、低酸素下での2-デオキシ-D-リボースによるHIF-1αの分解促進反応の分子機構を明らかにすることを目的として実験を行った。HIF-1αとvon-Hippel Lindau癌抑制遺伝子(pVHL)の結合に2-デオキシ-D-リボースが与える影響を調べるために細胞にHIF-1αとpVHLを強制発現させた後、細胞抽出液を採取し、pVHLの抗体で免疫沈降後、HIF-1αの抗体でイムノブロット解析を行ったところ、2-デオキシ-D-リボースは、低酸素下でのHIF-1αとpVHLの結合を強めていることが判明した。さらに、プロリン水酸化酵素(PHD)は、主に3種類(PHD1/2/3)存在しており、2-デオキシ-D-リボースがPHD1/2/3の発現に与える影響をRT-PCR法で検討したところ、PHD1/2/3の発現には影響を与えていなかった。次に、HIF-1αとPHD2の結合に2-デオキシ-D-リボースが与える影響を調べるために、HL-60細胞を2-デオキシ-D-リボースで処理し、正常酸素下および低酸素下で培養し、HIF-1αの抗体で免疫沈降後、PHD2の抗体でイムノブロット解析を行ったところ、2-デオキシ-D-リボースは、低酸素下でのHIF-1αとPHD2のタンパク質の結合を強めていることが判明した。HIF-1αとpVHL、HIF-1αとPHD2との結合を2-デオキシ-D-リボースがどのような分子機序で亢進するのか、さらなる探求が必要である。
著者
丸山 千賀子
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

研究期間内に以下のような成果をまとめた。(1)日本の消費者運動の変遷とその時代に起きた消費者問題を時系列でまとめるとともに、現在の消費者運動の特徴と課題について整理した。(2)海外の消費者団体とそれを取り巻く消費者政策の動向について欧米諸国を中心にまとめた。(1)、(2)については、それぞれ書籍として出版した。最終年度においては、今後の研究に繋げられるよう、アジア諸国にも範囲を広げて、主要な国や特徴的な国を中心に調査を始めた。
著者
出水 力 渡邉 輝幸 遠原 智文 石坂 秀幸 義永 忠一 平塚 彰 向 渝 海上 泰生 出水 純子
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

日本企業の海外生産に伴う技術移転問題を、現場・現物・現実の視点に沿い多面的に調査した。アセアンと中国の8カ国で、約100社の個別企業の技術移転の達成度、それを支えた日本のマザー工場の役割を中心に調べた。海外生産は円高と人件費の高騰により、1990年代以降に急拡大した。その多くは大企業の海外展開に隋伴する中堅企業や中小企業であった。海外生産と国内生産を相互に補完することで、個別企業として利益の還流で所得収支を伸ばし、黒字という企業が多い。海外生産の利益が日本経済を支えており、今や生産のみならず開発の一部も海外に進みつつあるのが、現実である。
著者
鶴尾 隆 笹月 健彦 高井 義美 中村 祐輔 田島 和雄 谷口 維紹
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

総括班:研究期間内の毎年2回のがん特定領域6領域合同での研究代表者会議、夏、冬のシンポジウムを行った。また、がん、ゲノム、脳のミレニアム3領域合同でのシンポジウム、トランスレーショナルリサーチワークショップ、がん特定国際シンポジウムを開催した。総括班会議を開催し各領域の研究調整及び推進を行った。平成17年度には、「特定領域研究がん」の主要な成果を、次代を担う学生、若い研究者などを対象とした「がん研究のいま」シリーズとして、「発がんの分子機構と防御」「がん細胞の生物学」「がんの診断と治療」「がんの疫学」の4冊にまとめた本を刊行した。研究資材委員会:総分与数9300に達する腫瘍細胞株の供給を行ってきた。DNAバンクを設立し発足させる準備が進んでいる。スクリーニング委員会:9種の異なるスクリーニング系からなる抗がん活性評価系によって、これまでに約1500個の化合物を評価した結果、様々な特徴を持つ新規抗がん剤候補物質を見出した。研究交流委員会:290件の派遣を行い、日独、日仏、日韓、日中のワークショップを開催した。若手支援委員会:若手研究者ワークショップを開催し、延べ542名の参加者を得、18件の共同研究を採択した。がんゲノム委員会:臨床がん検体988症例、ヌードマウス移植腫瘍85検体(9臓器由来)、がん細胞株39株について遺伝子の発現情報解析を終了し、データベース化を行っている。腫瘍バンクについては、合計8000症例近い腫瘍組織とDNAが収集されて、平成14年度より研究者に配付している。動物委員会:末分化リンパ球NKT細胞の核を用いてのクローンマウスの作製に成功した。また、新しい遺伝子トラップベクターを開発した。分子標的治療委員会:耐性克服の研究を進めるとともに、イマチニブ、ゲフィチニブについては、その臨床効果と遺伝子発現パターンについての研究が進展し、臨床効果予測に有効な遺伝子群の同定に成功した。
著者
八木 清
出版者
山梨大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2010

本研究課題は非調和振動理論を開発し,水素結合系の動的挙動の解明を目的としている。これまでに我々は孤立分子系に対する振動理論として振動擬縮退摂動論や瞬間振動状態解析法を開発してきた。本年度は,これまでの理論を周期系へ拡張した。エネルギーがサイズに対して無矛盾となる条件を見出し,それに基づき理論を定式化した。この方法をプログラムに実装し,高分子(ポリエチレン,ポリアセチレン)へ応用した。この方法により高分子の赤外スペクトルを高精度に求めることが初めて可能となった。また,非調和ポテンシャルを効率的に構築する方法論を新たに開発した。3次,4次の非調和定数からカップリングの強い振動モードを重点的に構築することで高精度かつ高効率に非調和性を評価することができる。この評価により,カップリングが強いと判断されたカップリング項は高精度な手法で構築し、一方、弱いと判断されたカップリングはレベルの低い手法で構築、あるいは無視することで、全体の精度を損なうことなく、効率よく計算することが可能となった。また,振動モードを局在化させることで効率的にポテンシャルを構築できることを理論的に明らかにした。系が大きくなるに従い基準振動モードは一般的に非局在化する傾向にある。これは系の様々なモードが偶然縮退するためであるが,このような広がった振動モードを用いてポテンシャルを多体展開すると収束が遅く不利であることを指摘した。この解決方法として,局在化した振動モードを用いることを提案した。従来の方法では異性体間におけるIRスペクトルの変化の方向性すら記述できず、定性的に破綻していたが、新しい方法は変化の方向性を正しく再現し、さらに実験精度に迫る計算が可能であることが分かった。
著者
小畑 文也
出版者
山梨大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

知的障害児のヘルスリテラシーを、主に症状の表出と周囲の理解の点から検討した。症状としては、「頭痛」「腹痛」「疲労」「めまい」「出血」「吐き気」が選ばれ、健常幼児(3-5歳)と比較しながら面接調査と質問紙調査を実施した。その結果、対象となった知的障害児の症状表出は、健常幼児3歳とほぼ同様であり、痛みを除き、自発的な表出が見られないこと、特に言語的な表出が困難なこと、母親の理解(気づき)にはばらつきが大きいことが明らかとなった。また。母親の子どもの体調への注意は、健常児の場合、加齢とともに減少しているが、知的障害児の場合、加齢とともに増加していることも明らかとなった。
著者
池田 一彦
出版者
成城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

明治二十年前後の、今日文学史的に忘れ去られたり埋没したりしてしまっている作家や作品の内、見直すべき価値のあると思われるものを、当時流行したボール表紙本を中心として発掘し、実証的に再検討して行くのが本研究の課題である。具体的には、南柯堂夢笑道人=萩倉耕造の『決闘状』、菊亭静=高瀬真卿の『滑稽新話明治流行嘘八百』(後にボール表紙本として『人間萬事嘘の世の中』と改題の上出版された)などの発掘と再検討を試みた。
著者
伊藤 有壱 小町谷 圭
出版者
東京藝術大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

本研究の為に作成した2体(クレイ、金属関節人形)を含めた3種類のアニメーションパペットと、そのガイドとなる実写人物、そして着ぐるみの5要素のキャラクターが、異なる3パターンの背景(アウトドア実景、ミニチュアセット、グレーグリッドセット)で同じアクションを繰り返す、立体視アニメーション撮影のベーシックとなりうる画期的な素材の作成に成功した。新たに撮影された背景等新要素によりその組み合わせパターンは無限となることから、次世代に向けての拡張性も含んでいる。さらに本研究の情報開示は、撮影対象物であるクレイやパペットの貴重な立体アニメーション制作技術の普及にも貢献するものである。