著者
氏家 清和
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

近年、食品安全問題が頻発する中で,食品安全を担保する消費者行政の拡充が求められている.そこで本研究では,(1)食品の品質情報についての非対称性への対応策として,食品ラベル制度の消費者評価(2)食品安全事故による外部経済性,について分析をおこなった.本研究の分析は次のとおりであった.まず『無知の費用』の概念に基づいた食品表示制度による消費者便益の分布を推定し,社会的合意形成のあり方によっては,表示内容のオーバースペックを誘引してしまう可能性を指摘した.また,冷凍食品を題材とし,実際に起こった食品安全事故前後の消費動向を分析し,責任企業以外にも事故の影響が広がっていることを指摘し,安全事故の外部経済性の存在を示した.
著者
伊藤 肇躬
出版者
九州大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

PSE豚肉のような異常肉質を惹起しやすい傾向を有するストレス感受性豚乃至豚悪性高熱症は遺伝性疾患であって、その疾患の有無は現在ハロセン麻酔時の四肢のケイレン等の有無により判定されているが、遺伝学に立脚した判定法の開発が待たれている。筋小胞体のカルシウム・チャンネルであるライアノジン・レセプターの生理機能の異常により誘起される豚のストレス感受性乃至悪性高熱症の分子遺伝学的解析を行うことを目的として、ライアノジン・レセプター遺伝子のうち、そのfoot領域及びチャンネル部位に相当する部分をPCR法により増幅を行い、遺伝学的変異の有無を解析した。その結果、foot領域の少くとも一ケ所に変異箇所が存在することが見い出されると共に,PCR増幅物がcDNAの塩基数より明らかに多いことから、ライアノジン・レセプター遺伝子中にはイントロンが存在することも明らかにされた。また、ハロセン・テストにおいて陰性と判定される豚のゲノムDNAのPCR増幅物中にも陽性のそれと同様の変異が見い出されたことから、ゲノムDNAの解析法の方がハロセン・テスト法よりもストレス感受性豚検出法として優れていることが明らかとなった。これらのことから、ストレス感受性豚のDNA診断を目的とする特定DNA断片を用いたサザンハイブリダイゼーションによるDNA診断法開発への道筋が開かれようとしていることが示唆された。
著者
前川 宏一 半井 健一郎 牧 剛史 千々和 伸浩 浅本 晋吾 石田 哲也 石原 孟 三島 徹也 石橋 忠良 田辺 成 坂田 昇
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

①ナノ流体モデルを拡張展開し,雨水の急速侵入,降雨後の蒸発散を高精度で評価可能とした。PC暴露試験体の曲率等の推移と水分計測から検証を重ねた。②水分準平衡と構造モデルを連成させ,中高層RC建物と原子力施設の中長期固有振動数の変化を予測できた。③浅地中ダクトの遅れせん断破壊を数値解析で予見し非破壊検査から現象を確認した。地盤との相互作用から長期せん断破壊が評価可能であることを示した。④ASRゲル,腐食ゲル,常温液状水,氷晶の混合移動を考慮できる数値解析モデルを開発した。⑤ASRに伴う構造損傷と凍結融解に伴う損傷に相互作用が強く表れること,これが部材のRC床版疲労延命化に寄与する機構が解明された。
著者
國友 直人 矢島 美寛
出版者
東京大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

この研究では経済変動の中でも時間とともに変化している動的変動を分析する手段として統計的時系列分析の中でも非正則時系列理論及びマクロ経済データや金融データを計量的に分析する計量経済分析への応用可能性を検討した。非正則時系列理論としては特にエルゴード性を持たない非定常時系列理論及び非線形時系列理論を検討し、計量経済分析との関連を特に以下の問題を中心に検討した。(i)新しい非線形時系列モデルとして定常同時転換(simultaneous switching)時系列モデルを開発し、さらに非定常時系列へと拡張した。経済時系列の変動における非対称性の例として市場データと金融資産価格の変動を分析を計画し、農産物市場データ及び日経インデックスのスポット・レート及びフューチャー・レートを使って比較分析を行い興味ある結果を得た。(ii)最近の計量経済分析では単位根と呼ばれている非定常時系列をしばしば用いるようになっているので、その分析方法を検討した。特に多次元時系列において構造変化が存在するときの非定常性の検出方法を提案した。新しい点は構造変化点が複数ある場合及び変化点がある個数以下であるがその個数は事前にはわからない場合も考察した。(iii)経済時系列理論における弱従属の場合ではスペクトル密度関数の連続性を仮定して様々な議論が組み立てられている。時系列が強従属である場合にはスペクトル密度関数が発散するのでその場合の理論を考察し、経済分析への応用可能性を検討した。(iv)経済時系列では観察値が欠落している場合があるが、最近しばしば実証分析で利用されている非定常性の検出方法についての結果を得た。
著者
中道 正之
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

ニホンザルのメスは、生涯を生まれ育った集団で暮らす。このようなニホンザルメスの加齢に伴った行動変化、特に20歳を超える高齢個体の行動に焦点を定めて、2つの集団で行動観察を実施した。高齢個体の中で、老眼になっているものがいることを発見した。毛づくろいは、毛を分ける手指近くに目を近づけるのが一般的であるが、25歳前後の個体の中には目の位置を手指から離す個体がいる。これは老眼であると推測される。高齢メスは社会的孤立傾向が目立つが、特に優劣順位が低い個体において、毛づくろいを受ける個体が少なくなるなど顕著であった。他方、親しい個体を亡くした高齢メスが新しいパートナーを見つける柔軟性も保持していた。
著者
林 清忠
出版者
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

LCA(ライフサイクルアセスメント)に基づく土地利用の影響評価手法を発展させるため、文献調査と現地調査により評価構造を明確化するとともに、土地利用および土地利用変化に関するモデル作成の際の留意点を明らかにした。また、収集したデータを加工することにより、これまでに開発したインベントリデータベースを拡張する形でデータベース化を行い、土地利用に関わる直接的・間接的影響を評価する方法論を検討した。以上を踏まえ、持続可能な食料・エネルギー生産システムがどのように設計できるかを考察した。
著者
高橋 みや子 岡山 寧子 福本 惠 大平 政子
出版者
京都橘大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

目的:京都における近代から戦間期までの看護歴史の文献史料、写真を含む資料の発掘収集と利用可能な基礎的データの作成。研究方法:(1)京都看病婦学校(2)京都市立看護短期大学(3)看護史研究者故亀山美知子氏の業績・収集史料の整理とCD保存(4)京都府・市の看護関係、特に産婆、看護婦、保健婦の史料収集とPDF保存、(1)~(4)を分担し分担毎に研究を進めた。結果:原著、学会発表、CD・PDF作成を行い公表した。また、史史料の発掘・収集を行った。
著者
丸山 マサ美 吉田 眞一 小宗 静男 下川 元継 下川 元継
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は、本学医学部の古い史料を現在の教育に活用することにあり、新しい教育方法論を模索することにあった。研究成果として、これまでに講義・討論を中心とする教育から、調査・整理、成果報告において、学生の積極的参画は、本研究目的の第一段階の達成とする。研究成果『九州大学医学部標本・史料集(ISBN 987-4-9944005-10-9)』は、九州大学学術情報リポジトリ-により、広く学内・外に公開した。 今後さらに、倫理教育における古い史料の位置づけ、教育への適性など量的・質的な視点からの評価・考察から新しい教育方法論は構築される。
著者
佐藤 賢一 福田 舞子
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では近世日本科学史・自然災害史の史料に関する総合的研究を進め、以下の項目について成果を公開した。(1)和算家・石塚六郎兵衛と横川玄悦の事績を明らかにした。(2)近世日本の測量術におけるオランダ由来の技術の実態を解明した。(3)博物学者・田中芳男の史料群の構成を明らかにした。(4)仙台藩の和算の通史を刊行した。(5)宮城県の自治体史における災害記事の一覧を分析し、その歴史的背景を明らかにした。
著者
蒲生 英博
出版者
名古屋大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2011

1.研究目的本研究は、単独のMLA(Museum,Library,Archives)が内部に異種のMLA機能を持つ場合の相互の連携について調査し、得られた知見を元にして、名古屋大学附属図書館医学部分館(Library)内にある医学部史料室(Museum)を実践の場として、検証することを目的としている。2.研究方法最初に、MLA連携の全体像を整理するため、図書、雑誌等による文献調査とインターネットによる調査を行った。また、国内の単独館におけるMLA的機能の連携の事例調査を現地調査も含めて行った。次に、この調査結果をまとめ、適度な類型化を行い、実践方針を決定した。さらに、この実践方針に基づき、医学部史料室内の独自に電子化した史料と、附属図書館医学部分館の所蔵資料とをインターネットにより融合させ、単独館におけるMLA的機能の連携に取り組んだ。実践効果の検証は、広報用資料による利用調査と、インターネットによる利用分析を行った。3.研究成果実践の成果は、「近代医学の黎明デジタルアーカイブ」としてインターネットにより公開している。単独館においては、Museum機能を最大限活かすため、機関リポジトリも含めたLibrary機能と連携したインターネットの利用が現時点では最適と考えられる。なお、実践の過程や公開後において、医学部史料室の所蔵史料やデジタルアーカイブが、学内・学外の類縁のMLAでも活用された。
著者
辻野 泰之
出版者
徳島県立博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

タイプ標本は、種を定義する上で基礎的な資料であり、学術的に重要である。しかしながら、日本の古生物学分野において、タイプ標本の所有者や保管場所の情報は、記載論文以降、更新されていない。その後、タイプ標本が行方不明になったケースや、収蔵場所が変更になったケースも少なくない。また、タイプ標本の観察は、主に分類学において不可欠であるが、タイプ標本の閲覧が容易でないため、若手研究者が分類学を敬遠する原因にもなっている。そこで本研究は,日本産白亜紀アンモナイトを例に古生物タイプ標本の所在を確認するとともに、3Dスキャニングを行い、タイプ標本の3Dデジタルデータベースの構築を試みた。
著者
栃内 文彦 研谷 紀夫 玉井 建也 山本 博文 佐倉 統 宮本 隆史 佐野 貴司 添野 勉 飯野 洋
出版者
金沢工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2012-04-01

近現代科学史資料の体系的・効率的な収集・保存のための方法論の確立に向けた実践的考察を、東京大学大学院情報学環社会情報研究資料センター収蔵の地質学者・坪井誠太郎に関する資料(以下、「坪井資料」)の調査を通して行った。資料調査の結果、坪井資料が日本地質学史研究において高い価値を有することが示された。こうした資料の収集・保管に際しては、資料の付加価値を高めるためにも、研究者に着目して<研究者資料>として資料を体系化することが有効であることを実証することができた。
著者
伊野 良夫
出版者
早稲田大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

日本海側の最大積雪1.5m以上の地域にはヒメアオキ、ユキツバキ、エゾユズリハなお、太平洋側に近縁種をもつ常縁低木がブナ林床などに分布している。これらは多雪環境に適応して太平洋側の近縁種より小型、ほふく型になったと考えられている。平成3年度〜4年度の一般研究(C)「多雪環境に生育する常緑低木の生理生態学」において、それらの光合成活性と生育環境を近縁種アオキ、ヤブツバキと比較し、機能面から環境適応を考察した。1.5m以上の積雪による圧力は大きなものであり、これら常緑低木は積雪期間を地表に押しつけられた状態で過ごしている。しかし、春になって、積雪量が少なくなると、上部の雪をはね除けて直立し、常緑葉で盛んな物質生産をおこなすことが判明している。秋には雪をかぶるとひれ伏し、春には雪をはね除けるということは茎の弾性が冬の間に変化するか、弾性にある閾値が存在するかを示している。本研究ではこの茎の弾性の季節変化とそれに関わる構造炭水化物量の季節変化について、ヒメアオキ、ユキツバキ、エゾユズリハとアオキ、ヤブツバキを比較し検討した。ヒメアオキ、ユキツバキでは11月あるいは12月と5月の茎の性質(重さと曲がりの関係)はあまり違わなかった。しかし、アオキ、ヤブツバキでは生重の増加に対する曲がりにくさの増大は大きく、枝の肥大が木化とつながっていることが明らかであった。一方、エゾユズリハでは12月の枝はやわらかさがあったが、5月の枝では著しく曲がりにくくなっていて、雪に埋もれている間に枝に構造上の変化があったことが推測された。茎に含まれる炭素は細胞壁などの成分となっている構造性のものと、移動可能な非構造性のものとに分けられる。非構造性の炭素は主に澱粉とスクロース、グルコースの形態とをとている。トータルの炭素含有率は年間で大きな変化は認められなかったが、非構造性炭素含有率は変化し、多雪地の種類で雪解け前後にその含有率が高かった。少雪地の種類では冬前のトータルの炭素含有率が高く、非構造性炭素含有率は低かった。これらのことから構造性炭素の含有率が茎の曲がりやすさと関係あることが推察された。
著者
大谷 吉生 瀬戸 章文 吉川 文恵 古内 正美
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ガス分子に近い大きさを持つナノ粒子をエアフィルタで捕集できるかどうかは、ナノ粒子製造工程における有害なナノ粒子への曝露に関連し、労働衛生の分野で大きな関心事である。本研究では、マクロ分子を単分散ナノ粒子代替粒子として使用し、エアフィルタのナノ粒子捕集効率を測定する試験法を提案し、その評価を行った。その結果、エレクトロスプレーと微分型静電分級器(DMA)を用いてポリエチレングリコール(PEG)分子を発生させ、荷電中和後、DMAで分級すれば、PEG分子量を変えることにより、粒子径2.6μm以上で、マクロ分子イオンをフィルタ試験用ナノ粒子として使用できることを明らかにした。
著者
金森 修
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

フーコーが1970年代に模索的に使用した生政治・生権力という概念は、その後生物学・医学の急速な進展による日常生活の変化に伴い、新たな含意を獲得するに至った。本研究はその事実を背景に、アメリカ的な生命倫理学をメタ的に対象化して現代的な特質や偏向を探るという目標を掲げた。当初は比較的理論的な問題設定、クローンや臓器移植などの問題群への注視を想定していた。だがこの研究期間中思いがけずに福島第一原発の大事故が勃発したので、放射線障害の多寡や、それを巡る日本社会の多様な政治的・思想的発言の分析に思いの他重点が置かれることになった。人間の生命をどうしても二次的に捉えがちな我が国の政治風土の剔抉ができた。
著者
藤吉 亮子 岡本 一将
出版者
北海道大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

レジスト材料の感度増加を目指すため、電子線とレーザーまたはXe光を同時または逐次的に照射する新規プロセスについて研究を行った。電子加速器からの電子線とNd:YAGレーザーを逐次的に照射する「パルスラジオリシス-レーザーフォトリシス法」による光吸収分光実験により、レジスト分子の電子線誘起中間体の光分解反応が起こることを明らかにした。さらに、電子線とXeランプの可視光域の同時照射を行い、レジスト感度が増加することを示し、本プロセスの有効性を明らかにした。
著者
村上 瑞代 (須藤 瑞代)
出版者
一橋大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

平成24年度においては、「民国初期の節婦烈女」を執筆し、辛亥革命百周年記念論文集編集委員会編『総合研究辛亥革命』(岩波書店、2012年)収録の論文として発表した。当該論文においては、民国初期において節婦烈女の道を選んだ女性たちのうち、女子学校などで教育を受けた経歴を持っていても夫への貞節を重視している、つまり少女時代には近代的価値規範に基づく女子教育を受けながらも、結婚後の貞節については旧来の価値規範を固守している事例を分析し、従来二項対立的にとらえられてきた新旧の女性のあり方が、実は整合をはかりながら受容されていたことを明らかにした。当時の女性論において節婦烈女批判が強力には行われておらず、寡婦の生き方として、節婦烈女とは異なるあり方は提示されていなかった。すなわち、近代中国におけるジェンダー改変の主なターゲットであったのは、端的に言って生殖可能性のある未婚女性から若い妻にあたる層であった。結婚後寡婦となった女性はその対象から外れていたのである。そして、褒揚条例の対象として節婦烈女が明示されなくなった1930年代になってもなお、夫や婚約者に殉死する烈婦/烈女の行為により褒揚されている女性が見られることも明らかにした。女性の貞操の重視は、夫の死後再婚しない、もしくは殉死する女性の出現を促し、政府がそれらを「節婦烈女」としてオーソライズすることによってさらに貞操重視の観念が強化されるというサイクルは長期にわたって続いてきており、条文から節婦烈女が消えても、そうした意識は根強く残っていたことを指摘した。また、上記の日本語論文をベースに英文論文("The Chaste Widows and Exemplary Daughters(Jiefu Lienu)of the Early Republic of China")も作成し、欧米の雑誌への投稿を準備している。
著者
三野 博司
出版者
放送大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

アルベール・カミュは、二つの世界大戦をもたらした激動の時代である20世紀を生きた。彼は、人間を襲う暴力的なるもの(病気、死、災禍、テロ、戦争、全体主義)に対抗して、一貫して超越的価値(キリスト教や左翼革命思想)を拒否し、人間の地平にとどまって生の意味を探し求めた。この観点から、カミュが生きた時代状況をつぶさに検討し、作家の全作品を読み直し、その特性を明らかにした。その成果は、2016年6月に刊行した単著『カミュを読む―評伝と全作品』、日本語およびフランス語によって研究誌に発表した論文として結実した。
著者
長井 栄子
出版者
自治医科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

認知症高齢者を対象としてユニットケアを実施している施設における安全なケア提供についての実態を知るため、2009年度に施設スタッフおよび管理者を対象にインタヴュー調査を実施した。2010年度は2009年度の調査で得られた結果をもとに質問紙を作成し、無作為抽出した全国の高齢者施設の管理者・看護師・介護士に対し、質問紙調査(郵送法)を実施した。因子分析を行った結果、「安全なケア提供への工夫と困難」として、"全入居者の安全確保因子"、"職員の資質向上因子"、"多職種間での情報共有・支援因子"などの25の因子が抽出できた。さらに、施設群ごとの因子得点(平均値)を多重比較したところ、ユニットケア実施施設と非実施施設間における有意差は認めなかった。しかしながら、各因子を構成する項目ごとには有意差を認めるものがあるため、今後さらに分析を進め、認知症高齢者を対象としてユニットケアを実施している施設でのケアの特徴を見出す必要がある。
著者
岡田 宏明 池田 透 岸上 伸啓 宮岡 伯人 小谷 凱宣 岡田 淳子 黒田 信一郎
出版者
北海道大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

平成3年度から継続して、平成4年度にも2回の研究集会を札幌と網走で開催し、研究会は計4回を数えた。その間に、代表者をふくめて、研究分担者全員が、順次研究発表を行ったが、研究集会以外にも、北海道立北方民族博物館で毎年秋に開かれるシンポジウムにも、半数以上の研究分担者が参加し、研究発表や討論を通じて、情報や意見を交換する機会をもった。平素は、別々の研究機関に促し、それぞれ独立に調査研究に従事している代表者および分担者は、2年間に、かなりな程度までお互いの研究成果を知ることができ、このようにして得た広い視野に立って、最終的な研究報告をまとめる段階に到達した。研究報告書は10篇の論文から構成され、アイヌ文化に関するもの2篇、北西海岸インディアン2篇、イヌイト(エスキモー)1篇、サミ(ラップ)1篇、計7篇は文化人類学に視点をおくものである。その他に、東南アラスカの現地の人類学者による寄稿1篇が加えられている。その他の2篇は、言語学関係のもので、北欧のサミと、北東アジアのヘジェン語を主題としている。研究報告書には、シベリア関係の論文がほとんど掲載されていないが、平成4年5月に刊行された「北の人類学一環極北地域の文化と生態」(岡田、岡田編、アカデミア出版会」に代表者および分担者による8論文のうち、3篇はシベリア原住民に関するものである。平成4年度未に刊行される研究報告書は、上記の「北の人類学」と一対をなすものであり、両者を総合することによって、わが国の環極北文化の研究は確実に一歩前進したと見ることが可能であろう。論文に掲載されなかった資料やコピー等は、北海道大学と北海道立北方民族博物館に収集、保管し、今後の研究に役立てたいと考えている。