著者
岩佐 和晃 伊藤 晋一 大山 研司 佐藤 卓 富安 啓輔 横尾 哲也 益田 隆嗣 平賀 晴弘 奥 隆之 吉良 弘 倉本 義夫
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

電子の遍歴-局在転移、電子多極子秩序、さらに磁気・電荷秩序相と接する超伝導などの非自明な電子物性の機構解明には、磁気モーメントのミクロな秩序と揺らぎの観測が重要である。長年その目的に供されてきた中性子散乱法は、近年の線源性能の向上や高束線ビーム化により、従来は検出できなかった散乱シグナルの観測へと進展している。本研究では、ブリルアン散乱法や偏極中性子利用も視野に入れてこれまでアクセスできなかった測定への進化を目指しながら、遍歴-局在のデュアリティー性を示す近藤格子、鉄系超伝導の相図と磁気相関、ワイルフェルミオン系などを明らかにする成果を得た。
著者
土岐 祐一郎 宮田 博志
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

マウスの実験系を確立した。NY-ESO-1 発現 CT26を移植後5-FU を投与したマウスにマウス抗NY-ESO-1 抗体 E978を静注すると、72時間後に NY-ESO-1 抗原抗体複合体を観察し、抗腫瘍効果は Fc依存性であった。 研究室において樹状細胞を混合培養した場合、効果は飛躍的に亢進した。これらより、抗癌剤併用抗体療法は、腫瘍内抗原が特異抗体と複合体を作り、抗原提示細胞にFc受容体を介してとりこまれ、CD8T 細胞を抗原特異的に誘導・活性化し、抗腫瘍効果をもたらすことが証明された。
著者
豊田 新
出版者
大阪大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1994

石英中の格子欠陥のうち熱的に安定な酸素空格子に注目することにより、数百万年から十億年範囲のESR年代測定法の開発を試みた。申請者の昨年度までの研究により、この年代範囲において火山岩中の酸素空格子の量と年代の間によい相関のあること、また生成過程については以前に提案された石英中のα反跳核種よりも外部からのβ及びγ線による可能性の方が大きいことが示されていた。以下の3点について本方法の実用化に向けて問題点の検討を行った。1.年代を求めたい石英そのものをキャリブレーションに用いた。もとの信号の大きさと加熱後の照射で再生した信号の大きさが同じとなるγ線量に相当する年代が、即知の年代と一致するか否か調べた。約十億年の試料については一割以内で一致する年代が得られたが、二千万年から三億年の試料三点については、いずれも予想される年代の半分から5分の1の値となった。2.不対電子間の距離の相対的な違いを調べるために、パルスESRによる緩和時間の測定を試みた。しかし、自然の石英と人為的にγ線を照射して酸素空格子を生成させた石英とで、差があるのか否かを結論できる結果は得られなかった。3.ウラン鉱床中から抽出した直径約0.5mmの石英について、フッ化水素酸で処理する時間を変えることによって取り去る層の厚さを変えて酸素空格子濃度の変化を調べた。取り去る厚さを大きくするほど酸素空格子濃度は減少し、半減するのは0.2mm程度のところであるとわかった。この結果はβ線の寄与が大きいことを示しており、β線とγ線で酸素空格子の生成効率がことなる可能性をも示唆する。酸素空格子を用いたESR年代測定を実用化するには、測定例を増やすと共に、生成過程の解明が急務である。
著者
座古 勝 吉川 秀樹 菅野 伸彦 倉敷 哲生
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2004

材料設計の可能な繊維強化複合材料を用いた人工股関節を提案し, CT画像に基づき患者の骨の力学特性を計測して設計に反映する人工股関節設計手法を開発した.さらに, 損傷異方性を考慮したマルチスケール解析手法を開発した.実際に複合材料製ステムを製作し, 実験・解析によりその有効性を示した.本成果は, 従来品よりも高性能なテーラーメード複合材ステムの実現化に大きく貢献すると考える.
著者
松浦 健二
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(A)
巻号頁・発行日
2009

本研究では日米のヤマトシロアリ属8種およびイエシロアリから見つかったAthelia属の菌核菌に加え、西表島において高等シロアリのタカサゴシロアリの巣内から全く別系統のTrechispora属の菌核菌を発見し、菌核菌によるシロアリの卵擬態は少なくとも独立に2回進化したことを明らかにした。また、シロアリの卵保護行動に関わるフェロモンの分析から、卵の揮発物質が女王フェロモンと共通の物質であり、卵保護において重要な機能を果たすとともに、二次女王分化抑制の役割を果たしていることが明らかになった。
著者
青山 浩之
出版者
横浜国立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2010

本研究では、国語科の「文字を書くこと」に関する学習の効率化・最適化を図るために、これまで別立てのカリキュラムとして行われてきた書写学習を、国語の言語活動の学習などと効果的に関わらせる方法を実践的に考察し、「言語力」の育成に機能する書字教育カリキュラムを開発した。その過程で、紙面の書きまとめ方により内容理解が高まる点や、要点・キーワードを判断し、速く、見やすく書きとめるメモが内容理解の正確さにもつながる点などを確かめることができた。
著者
島根 哲哉
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

大学への出願行動を,入学による期待効用を最大化する受験生の離散選択問題として定式化する.また,大学側の受験機会の変更や教育内容の変更がこうした出願校および入学校選択に及ぼす影響を明らかにする.また,実際の出願数を計量的に分析することを通じて,受験生の大学への選好を明らかにし,受験生から見た大学の評価がどのような観点からなされているかを明らかにする.またこの結果を用いて,近年見られる大学の合併や学部組織の改組を,厚生の観点から評価する.
著者
内田 照久 大津 起夫 伊藤 圭 内田 千春
出版者
独立行政法人大学入試センター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

近年,世界的なグローバル化が進む社会情勢の中で,直接的な対話のためのコミュニケーション能力が問われるようになってきた。そこで,対話場面で必要とされる能力を検証し,音声コミュニケーション能力の教育測定のためのテスト開発に係わる研究を行った。本研究期間中は,(1)大学入試センター試験へのリスニングテストの導入に至る歴史的経緯と評価,(2)音声の韻律的特徴と話し方の評価・話者の性格印象の関係性の定量的モデル化,(3)声質変換音声を用いた英語リスニングテストの評価実験,を行った。
著者
北山 長貴 馬場 景子
出版者
山形県立米沢女子短期大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は視覚障害を持つ小学生が英語を学ぶための副教材として二次元ドットコードを利用した音声ペンによる学習支援のための教材作りをした。初年度は盲学校において小学部の英語の授業参観を行い必要な教材の支援方法を探し、教材を作成した。2年度目ではその結果をシンポジウムで紹介した。本研究の3年度目となる平成25年度には、これまで使用されていた小学校英語のテキスト『英語ノート』が『Hi,friends!』に改訂された。その内容が異なり現場では戸惑があった。そこで最終年度は2冊の教科書の内容比較を行った。今後、音声ペン利用の教材作成には教材変更に対応できるよう入力情報の汎用性が必要であることがわかった。
著者
青柳 裕
出版者
金城学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は環境に負荷をかけない化学、いわゆる調和型化学を基盤として、創薬シーズ化合物の創製を行うと共にそれらのアナログの構造活性相関を行うというものである。具体的には、1)栽培可能な植物資源から水-アルコール系を用いた二次代謝産物の単離とそれらの誘導化、2)低温活性酵素リパーゼTLを用いた光学分割反応を鍵反応とする生物活性天然物合成法の開発、3)高エネルギー効率反応であるマイクロ波を用いる創薬シーズ化合物合成への応用を行った。
著者
中村 貞吾
出版者
九州工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

棋譜中の着手に対して,着点の盤上の絶対位置,直前の相手方の着手からの相対位置,着点の周囲の配石状況の3つの観点からの特徴を用いて符号化して棋譜テキストを作成し, n-gramに基づく確率的言語モデルを構築した.このモデルは,最善手の予測だけでなく,次善手の候補着手数の削減や観戦記で解説対象となる着手の判別にも有効であることがわかった.また,人間の棋風を形成する要因を分析し,各棋風間で有意差のある特徴要素を見つけた.
著者
柳川 久 馬場 まゆら
出版者
帯広畜産大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

十勝の農耕地帯の孤立林には多様な鳥類が生息しており、孤立林の鳥類多様性は周辺の景観構造から大きな影響を受けていることが明らかになった。記録された鳥類群集を樹洞営巣性、地表営巣性、樹上営巣性という3つのグループにわけ、各グループの個体数を説明する局所・景観要因を特定するための統計解析を行った結果、3 グループすべてで周辺の景観構造の重要性が示された。具体的には、樹洞営巣性鳥類の個体数は孤立林周辺に森林が多いほど多くなり、地表営巣性および樹上営巣性鳥類の個体数は孤立林周辺に自然草地が多いほど多くなることが分かった。また本調査地の孤立林には、生態系ピラミッドの頂点に位置する猛禽類(ハイタカ、ノスリ)も数多く生息しており、多数の孤立林においてこれらの営巣が確認された。
著者
三神 史彦
出版者
千葉大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究では,紫外レーザ光による干渉縞の微細な明暗パターンを,紫外線によって発色するフォトクロミック染料に照射することによって,マイクロスケール流れの中に,煙線ノズルを用いたような微細な流脈を生成する方法を開発した.本年度は,1.タイムラインを併用した可視,2.微小物体まわりのヘレ・ショウ流れの可視化,を行った.1.タイムラインを併用した可視化速度2成分を画像から定量的に算出するため,オプティカルチョッパを用いて繰り返し周波数40〜50Hzの擬似的なパルス波を生成し,流脈にタイムラインを重ね合わせた.内径590μmの石英毛細管内の流れを対象とし,数ms間隔の2枚の可視化画像をCCDカメラで撮影した.得られた画像から,一本の流脈に沿って明暗のパターンが下流に移動する様子が確かめられたが,相互相関法PIVを適用した結果には過誤ベクトルが多く含まれ,タイムライン間隔などの設定に課題が残された.2.微小物体まわりのヘレ・ショウ流れの可視化一般にヘレ・ショウ流れは速度ポテンシャルをもつ流れとして扱うことができるが,マイクロスケールの物体まわりの流れに対して有効であるか実験では確認されていない.そこで,100〜200μmの大きさの物体が置かれたヘレ・ショウセルを,スライドガラスおよびシリコン樹脂製マイクロ流体チップで作成し,流れのようすを可視化した.ヘレ・ショウセル内の流れは薄いシート状のため,いずれの場合も非常に明瞭な流脈画像が得られた.これをパネル法によって計算したポテンシャル流れの流脈パターンと比較した結果,完全に一致することがわかった.このことから,本手法が微小物体まわり流れの可視化に有効であり,またヘレ・シヨウ流れとなる条件では,マイクロ流体チップ内の流れをポテンシヤル流れとして予測できることがわかった.
著者
青木 芳隆 横山 修 日下 幸則 松田 陽介 土山 克樹 松本 智恵子
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

福井県住民健康診査受診者のうち、65歳以下のMetSではない5,234人を対象に、夜間頻尿とメタボリック症候群(MetS)の発症について縦断的調査を行った。平均年齢は55.6歳で、4年間でMetSは4%に新規発症していた。年齢および性別補正後、MetS発症の危険度は、夜間頻尿を有すると有意に高くなることがわかった。その危険度は、2.3倍(ときどき夜間頻尿あり)から2.9倍(いつも夜間頻尿あり)であった(それぞれp<0.05)。この結果から、夜間頻尿は将来のMetS発症の予測因子になりうると考えられた。
著者
稲場 圭信 櫻井 義秀 濱田 陽 金子 昭 関 嘉寛
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、環太平洋のアジアの国々(具体的には、日本、台湾、韓国、タイ、シンガポール、インドネシア、オーストラリア)を調査地域とし、宗教NGOの社会的活動、弱者救済活動、災害支援活動を実地調査した。様々なネットワークが交錯するグローバルな地域間連携が存在する環太平洋において、宗教NGOはローカルからトランスナショナルの様々なレベルで他の市民セクターと連携するネットワーク型へと変容し、市民社会を作る社会的アクターとして機能している実態が明らかになった。
著者
菅 磨志保 山下 祐介
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

災害が多発する昨今、市民による自発的な支援活動が不可欠になっているが、支援効果を高めるための組織化・制度化や、受援者(被災者)との関係性において問題も顕在化してきた。支援の制度化に関しては、特に公的主体との連携体制の構築が求められる中、従来から尊重してきた共同的な実践を可能にしつつ、トップダウン型の意思決定にも対応できる体制の構築が課題となっている。支援-受援関係に関しては、原発避難者が抱える問題構造を分析、支援が避難者同士を分断していく過程等を明らかにした。他方、過疎問題に悩む地域の復興調査から、良好な支援-受援関係が、復興の推進のみならず、従前の社会課題の解決にも寄与することが見出された。
著者
関 剛斎 小野 新平 好田 誠
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、ユビキタス元素である炭素をベースとする有機半導体単結晶を用いたスピントロニクスデバイスの開発を目指し、マイクロスピンポンピングという微小磁性体の磁化ダイナミクスを利用する手法により有機半導体および非磁性金属におけるスピンの注入、輸送および検出を試みた。その結果、微小強磁性電極の磁化ダイナミクスを制御できる素子構造の最適化に成功し、マイクロスピンポンピングによるCu細線へのスピン注入、およびCuにPtを接合させることによるスピンの蓄積量の変化を観測した。さらに、有機半導体単結晶であるルブレンと磁性電極の複合化し、ゲート電圧印加下での強磁性共鳴の評価に成功した。
著者
安田 真
出版者
東北大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

口腔外科手術時に頻用される静脈内鎮静法には、誤嚥のリスクがつきまとう。これまで、各種静脈麻酔薬が咳反射の反射経路を抑制させるのかは不明であった。そこで、咳反射と同様に延髄を介する副交感神経反射である、口腔領域の反射性血管拡張反応をモデルに検討を行った。その結果、反射中枢へのGABA,GABA_A・GABA_B受容体作動薬の微量注入により、舌神経電気刺激により生じる口腔領域の反射性血管拡張反応は有意に抑制され、各受容体拮抗薬により拮抗された。
著者
上田 新也
出版者
大阪大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究は近世ベトナムにおける集落の成立過程と地方有力者の検討を目的とし、ゾイテー集落において野外調査を行い、以下のことを明らかにした。第一にゾイテー集落は清化集団の一員である張雷の一族が入植することにより15世紀に成立した田庄であった。17世紀前半には張族の田庄経営は崩壊したが、その後も張族は集落の徴税請負人として影響力を維持している。第二に17世紀中頃の碑文に現れる張曰貴は、上記の張族の子孫である。この村には彼を祀ったデン(神社)が20世紀前半まで存在しており、そこでは彼は張族の祖先神としてではなく、集落全体の守護神として祀られていた。これらは、清化貴族集団の土着化を示す一事例といえる。
著者
平岡 美紀
出版者
奈良県農業総合センター
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

バイオマスの水熱処理による燃料化技術は、現在、化石燃料に比べ高コストとなることが課題である。このコスト負担は、消費者にとっても分担可能なものかを検討した。次の想定でバイオ燃料を活用して製造された食品に対する消費者の購買行動について調査を実施した。豆腐油揚げ製造工程で出る「おから」や廃食油を、バイオ燃料として変換して製造工程で再利用し、化石燃料由来のCO2排出を30%削減する工場において製造される豆腐(CO2排出抑制豆腐)を対象とした。主に奈良県内在住者を対象に調査票配布により実施した(有効回答数228、回収率45.6%)。豆腐の持つ特徴を3属性【原料産地(外国、国内、県内)、CO2排出抑制の有無、価格(100〜160円)】の組み合わせで表現、提示し、購買意思を問う選択型コンジョイント分析により消費者の支払い意思額と購買確率を推定した。結果、バイオ燃料利用によりCO2排出を抑制することに対し、20.1円に相当する価値があると評価された(支払い意思額)。つまり、通常製法の豆腐より20.1円評価が高まり、通常品と同価格であれば購入確率が高まると解釈できた。これは、原料大豆の産地に対する評価(国内産使用なら160,8円等)に比べて小さい額であるが、環境配慮に対して少なからず支払い意思を表明していることになる。なお、性別、年齢、居住地や日頃の環境行動といった個人特性の違いによる価格評価の差については、統計上、次の点のみ関連が見いだせた。日頃の生活で「リサイクル、省資源化、エコドライブ」などの行動頻度が高い人、また、「食品購入時の原産地表示確認や、有機農産物等の購入」頻度の高い人は、CO2排出抑制製品に対し、さらに高い評価を行っていた。反対に、70歳代以上の人は否定的な評価を行っていた。