著者
宮久保 知和子 上野 達也 倉本 宣
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.553-556, 2001-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
31

絶滅が懸念されているカンエンガヤツリには, 突如大きな個体群を形成する現象が見られる。その現象を本種の種子発芽特性の点から解明するため, 実験室内において10の温度条件と4つの光条件を組み合わせ, 計40の条件区を設定して発芽実験を行った。その結果, 発芽には変温効果が認められ, 発芽に最適な温度条件下においては緑陰感受性は確認されなかった。本種に見られる現象は, 埋土種子集団の形成ののちの撹乱という環境の変化と, 変温効果による種子の裸地検出機構によるものであった。そのため, 本種の保全には埋土種子集団を含む浚渫土等が有効な材料となると考えられる。
著者
野口 周作 望月 徹 吉田 奈央 上野 ひろむ
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.79-85, 2013 (Released:2013-06-05)
参考文献数
9

病院の感染制御において,薬剤耐性菌対策は重要な問題である.当院では2004年8月にInfection Control Team (ICT)が発足して以来,段階的に抗菌薬適正使用強化策を行った.その取り組みと効果について検討し,若干の知見を得た.2007年にオーダリングシステムと連動した特定抗菌薬使用届出制導入をはじめ,2010年より積極的に症例に関わる方法としてICT抗菌薬ラウンド導入に至るまで段階的に強化策を行った.その効果判定の指標として,カルバペネム系抗菌薬の使用量,投与日数,緑膿菌の感性率及び多剤耐性緑膿菌(MDRP)の年間検出件数を調査した.カルバペネム系抗菌薬の使用量は,1277バイアル(V)(2004年11月)から327V(2010年6月)に,平均投与日数は8.40日(2006年)から5.97日(2010年)に減少し,緑膿菌のmeropenemに対する感性率は72%(2008年)から90%(2011年)に回復した.MDRPの年間検出件数は28件(2008年)から1件(2011年)に減少した.段階的強化策を講じたことで,大きな問題なく医療従事者の抗菌薬適正使用に対する意識を高めることができ,緑膿菌の薬剤感受性の回復とMDRP検出件数の顕著な減少効果が表れたと考える.本結果を踏まえ,今後はより高い水準の抗菌薬適正使用と感染症治療支援に携わっていきたい.
著者
本田 彰子 正野 逸子 炭谷 靖子 荒木 晴美 赤沼 智子 栗本 一美 菊池 和子 王 麗華 上野 まり 平山 香代子 土平 俊子 川上 理子 藤本 奈緒子 安岡 しずか
出版者
東京医科歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、訪問看護師の継続学習と在宅看護学実習における連携融合教育-学習プログラムを開発し、訪問看護事業所と看護基礎教育機関とのユニフィケーションを推進することを目的に実施した。前半では、連携融合教育-学習プログラムに向けて、訪問看護事業所管理者、在宅看護学担当教員に対する学習支援の実態とニーズの質問紙調査、ヒアリング調査を実施した。後半は、連携融合教育-学習プログラムのモデルにつながる研究交流集会、ワークショップを企画実施した。
著者
牧野 浩之 栗原 俊介 荒金 陽助 上野 正巳
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. 情報学基礎研究会報告
巻号頁・発行日
vol.2013, no.5, pp.1-6, 2013-07-15

電力のピーク需要削減や全社的なエネルギーマネジメントに向けて,オフィスピルや設備の電力,温度,空調実態など 5,000 センサ規模の情報を 10 分間隔で把握でき,複数ピルからの情報を集約可能なスケーラピリテイを持つ電力可視化システム (DKS) の構築,運用を行った.DKS の実装として,MongoDB を用いたセンサデータのセミリアルタイム集計,および HBase を用いたスケーラブルな大規模データ蓄積が可能な基盤を構築した.予備実験では,フィールドトライアルを想定した条件において,目標とするセミリアルタイム性,スケール性を満たすことを確認した.その後,1 ピルでのフィールドトライアルを実施し,DKS を用いた節電対策によってシステムの有効性を実証できた.
著者
飯尾 能久 松本 聡 松島 健 植平 賢司 片尾 浩 大見 士朗 澁谷 拓郎 竹内 文朗 西上 欽也 廣瀬 一聖 加納 靖之 儘田 豊 宮澤 理稔 辰己 賢一 和田 博夫 河野 裕希 是永 将宏 上野 友岳 行竹 洋平 Bogdan ENESCU
出版者
公益社団法人 日本地震学会
雑誌
地震 第2輯 (ISSN:00371114)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.463-475, 2006-03-31 (Released:2010-03-11)
参考文献数
44
被引用文献数
1 2

The 2004 Mid Niigata Prefecture Earthquake (MJMA 6.8) occurred on 23 October 2004. The mainshock was followed by four aftershocks with MJMA≥6.0. This earthquake is located in the Niigata-Kobe Tectonic Zone in which large strain rates (>0.1ppm/y contraction) have been observed by GPS data. We deployed three temporary online seismic stations in the aftershock area. Combining data from the temporary stations and from permanent stations around the aftershock area, we determined aftershock locations, and estimated the structures and the stress change in and around the aftershock region. Based on these results, we suggested a generating process of the 2004 Mid Niigata Prefecture Earthquake supposing that a very weak region exists in the weak zone in the lower crust just beneath the seismogenic fault.
著者
川崎 晃一 上野 道雄 尾前 照雄 松岡 緑
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.69, no.10, pp.1293-1298, 1980
被引用文献数
4

収縮期(SBP)ならびに拡張期(DBP)血圧,口内温(Temp)および脈拍(PR)の日周(cir-cadian),月周(circatrigintan)および年周リズム(circannual rhythm)を検出するために, 1健康女性(34才)の1日4回(起床時,昼食前,夕食前,就寝前), 1年間にわたる自己測定値をコサイナー法を用いて分析した. DBP, Temp, PRの推計学的に有意な日周,月周および年周リズムならびにSBPの有意な日周リズムが検出された. 1年間を通じてSBP, DBPのメサー(余弦曲線の基線)は115.2±0.2(SE)/85.4±0.2mmHgであり, TempとPRのそれは36.04±0.01°C, 79.8±0.2/分であつた.日周リズムの頂点位相はそれぞれ7:08(SBP), 10:40(DBP), 17:00(Temp)および18:48(PR)に検出された.また月周リズムの頂点位相は月経開始後7日目(SBP), 8日目(DBP), 22日目(Temp), 19日目(PR)に,年周リズムのそれは1月10日(SBP), 12月1日(DBP), 12月4日(Temp)および11月23日(PR)に検出された.日周リズムを1カ月毎に検出すると, SBPとDBPの頂点位相は冬季では3:00すぎに,夏季では午後遅く認められ,季節的変動が大きかつた.しかしTempとPRの頂点位相は1年を通じて著しい変動はなかつた.今回分析し得た諸変数の自己測定はたとえ1日4回の測定頻度であつても日周リズムから年周リズムまでのリズム分析に有用であつた.またこの成績はリズム分析を行なうことによつてより適切で,より効果的な治療を行なうために,個人個人の高血圧治療に"chronotherapy"が適用されうることを示唆する.
著者
中嶋 暉躬 安原 義 吉田 久信 上野 弥生 大塚 智恵 浜本 昌子 信森 光子 平井 裕子
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.139-147, 1984
被引用文献数
8

本邦産スズメバチ科のハチ毒キニンを単離し, その構造を解析した。すでにわれわれが構造を解析したものも含め, 9種類の本邦産ハチ毒キニンのアミノ酸配列からPolistes属, Vespa属およびVespula属のハチ毒キニンの構造上の特徴を提示した。
著者
上野 貴弘 宮嶋 照行
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.7, pp.898-906, 2012-07-01

スパース通信路はそのインパルス応答が非常に少数の非ゼロタップをもつものであり,様々な通信環境において観測されている.本論文では,OFDMシステムにおけるスパース通信路のブラインド推定について検討している.通信路推定は,パイロット信号を用いない非ゼロタップ検出と,その検出結果を用いたタップ係数推定の二段階で行われる.提案するブラインド非ゼロタップ位置検出法はサイクリック・プリフィックスの性質を利用した統計的な手法によりタップ係数の大きさを求め,しきい値判定により非ゼロタップを検出する.この非ゼロタップ検出結果を従来のSIMOシステムにおけるブラインド通信路推定法に組み合わせる方法を検討している.推定すべきタップ数が減少するため,通信路推定性能が大幅に向上することが期待できる.計算機シミュレーションにより,提案法により通信路が既知の場合と同等のビット誤り率特性が得られることを示している.
著者
小山 幸伸 佐藤 由佳 金田 直樹 米田 瑞生 新堀 淳樹 田中 良昌 林 寛生 梅村 宜生 堀 智昭 阿部 修司 上野 悟 元場 哲郎
巻号頁・発行日
2012-05-21

日本地球惑星科学連合2012年大会(JpGU Meeting 2012), 2012/05/20-25, 幕張メッセ(千葉県)
著者
上野 卓郎 早川 武彦 高津 勝 内海 和雄 尾崎 正蜂 岡本 純也 藤田 和也
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

3年間の研究成果の概要を示せば、以下のようになる。第1に、1990年を前後して、情報化社会の成熟と共に多国籍化した「メディア・スポーツ・生産複合体」(media-sport production complex)が「国際スポーツ機構」と提携し、スポーツのメディアイベント化・メディアソフト化を大規模で進め、トランスナショナルな体験の機会を地球的な規模で提供するようになった。その過程で、スポーツは世界共通の言語であるとともに、夢や感動を生み出す「グローバルドリーム」として受け入れられていった。第2に、その影響力は、国民国家やインターナショナルな境界を超え、個人や社会集団に直接・間接に影響を及ぼすようになった。第3に、そのような「スポーツのグローバリゼーション」とローカルなスポーツ文化の関係は、一方向ではなく、双方向的であり、互いに孤立したものではなく、相互に影響し合っていることが明らかになった。第4に、ただしヘゲモニーは「生産複合体」と「国際スポーツ機構」の側にあり、その影響力の浸透によって、スポーツの商品化と公共性の矛盾は複合化・顕在化し、ローカルなスポーツ文化主体の衰弱という事態も起こっている。第5に、そこには葛藤や主体的な営みも存在する。従って、「スポーツのグローバリゼーションとローカリゼーション」研究は、文化の伝播や変容、一方向的な変化の過程としてだけでなく、生活世界の変容・再構成を視野に入れて考察する必要がある。最後に、「研究成果報告書」の構成を示しておく。(1)グローバリゼーション・文化・スポーツ、(2)グローバリゼーションとメディア・スポーツ、(3)スポーツインターナショナリズム、(4)グローバリゼーションとローカリティ、(5)グローバリゼーションと政策・運動。
著者
黒柳 正典 梅原 薫 柴田 和利 砂山 玲子 遠藤 深春 佐藤 裕子 白須 直美 上野 明
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.36, pp.9-16, 1994-09-20

Although much attention has been given to cell differentiation inducers as new types of anti-tumore agent, only a few studies has been reported on differentiation inducers from plant sorces. Therefore, we have searched for naturally occouring substances which induce differnciation of leukemia cells. From Condurango Cortex (Marsdenia condurango) (Asclepidaceae) and Periplocae Cortex (Periploca sepium B.) (Asclepidaceae), many kids of pregnan derivatives and some cardenolides. From withania (Withania somnifera) (Solanaceae) (using Indian market withania and withania cultivated at the medicinal plant garden of this university), more than thirty kinds of withanolides were isolated. From Physalis alkekengi (Solanaceae), physalin and neophysalin derivatives were isolated. Structural elucidation of these 60 kinds of steroid derivatives were carried out by means of spectral methods, especially using NMR spectroscopy including H-H COSY, H-C COSY, HMBC, NOE technics. These steroidal derivatives were tested on cell differentiatio inducing activity against mouse myeloid leukemia (M1) cells. Many kinds steroid derivatives showed the activity. Of these active compounds, some kinds of withanolids, 27, 33, 34 and 35 having 4β-hydroxy-5β,6β-epoxy-2-en-1-one structure of AB ring, showed potent differentiation inducing activity.
著者
上野 眞也
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究は、過疎が進み、集落機能や農地・水・環境などの地域資源の維持に限界が見られ始めた農村に対する公共政策のあり方を研究テーマとして、ソーシャル・キャピタルを活かした農村政策の有用性を科学的に位置づけ、農村集落単位でソーシャル・キャピタルを測定する方法の開発、及び国や自治体の農村政策形成へ寄与するための知見を得ることを目的とした研究を行う。