著者
中川 惠正 守屋 孝子
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.81-91, 2002-03-31
被引用文献数
2

本研究は,小学校5年生を対象にして,2つの教授法,即ち,(1)モニタリング自己評価訓練法(問題解決の方略,スキルの利用の意義づけを教授の中に含め,その方略の実行過程でのモニタリング,評価やエラー修正等の自己統制の訓練をし,さらに自己の解決方法を他者に説明する訓練をした後,到達度と実行過程を自己評価する方法)と(2)到達度自己評価訓練法を比較し,国語の単元学習を促進する要因を検討した。その結果,MS群は各ポストテストのいずれにおいても,CRS群に比べて学習遂行が優れており,また内発的動機づけもCRS群に比べて高かった。
著者
宇井 忠英 隅田 まり 大学合同観測班地質班 荒牧 重雄 大島 治 鎌田 桂子 小林 武彦 小屋口 剛博 佐藤 博明 中川 光弘 中田 節也 藤井 敏嗣 藤縄 明彦 古山 勝彦 三宅 康幸 横瀬 久芳 渡辺 一徳
出版者
特定非営利活動法人日本火山学会
雑誌
火山 (ISSN:04534360)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.45-52, 1993-07-01
被引用文献数
2

Small-scale pyroclastic flows due to the collapse of the lava dome have been frequently generated during the 1991-93 eruption of Unzen Volcano. We have recorded video footages which show the generation of pyroclastic flows during January-March 1992. Two types of phenomena have been observed : deformation of the lava dome due to flowage ; and a sudden discharge of gas and ash through fractures and peeling-off of rock fragments from the surface of cooling lava blocks. Pyroclastic flows were generated only in places on the lava dome where these precursory phenomena were frequently observed.
著者
早瀬 伸樹 中川 克彦 牛尾 一利
出版者
新居浜工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

アゾ染料の脱色によって生成する芳香族アミン化合物は変異原性等の毒性を有するため、更に完全に無害化する必要がある。そこで、本研究では、微生物及び酵素を用いたアゾ染料の脱色及び完全分解に関する検討を行った。1)アゾ染料であるオレンジIIのアゾ結合開裂により生成するスルファニル酸を分解するBradyrhizobium sp.No.168株を分離した。このNo.168株とアゾ染料脱色菌をオレンジIIに作用させることにより、オレンジIIが脱色され更にオレンジIIの脱色により生成するスルファニル酸の消失も確認できた。また、これら微生物を固定化することにより、連続的なオレンジIIの脱色及びスルファニル酸の処理が可能であった。2)白色腐朽菌が生産するラッカーゼを用いて、アゾ染料であるBordeaux Sの脱色により生じる4-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸の分解を確認することができた。また、アルミナに固定化したラッカーゼを用いて、4-アミノ-1-ナフタレンスルホン酸の連続分解が可能であった。
著者
太田 明子 (中川 明子)
出版者
熊本大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2002

平成17年11月に全国の全自治体を対象として、以下に示す歴史的建造物保存活用に関するアンケート調査を実施した。すなわち、1.歴史的建造物の保護を担う担当部署、2.歴史的建造物の保護に携わる専任職員の設置状況、専任職員の専門領域、3.市民団体との協働の度合い、4&5.歴史的建造物保存活用のメリット、6.自治体自身の歴史的建造物保存活用への取組に対する自己評価について質問した。その結果、全体の約6割の自治体からの回答を得た。特に都道府県レベルでは8割の自治体から回答を得、現在、これらの調査結果を集計しつつあるところである。故に、正確な結果はまだ得られていないが、データ入力の過程で、歴史的建造物に専門的に関わっている自治体職員は京都府、奈良県などのごく一部の自治体を除き、殆ど存在しないことは既に判明している。1997年、「建築文化財専門職の設置」の要望書が日本建築学会から各都道府県及び政令指定都市宛に出されているにもかかわらず、状況が殆ど改善されていない様子が明らかになったことは大変残念なことであり、再度、何らかの提言を行う必要があると考える。一方、自治体が、地域住民やNPO等と協働することによる、歴史的建造物の継承に踏み出し始めていることも判明し、この分野でも地方が自らの知恵を出し、活動する時代になっていることが明らかになっている。また、この作業と平行し、全国の自治体のHPから歴史的建造物に関する情報をどれだけ得られるか検証しつつあるが、市町村合併が振興している最中であるため、確認に時間がかかっている。今後、速やかの上記の結果をまとめ、HP上で公開する必要がある。また、これまでまとめた、フランスの歴史的建造物に関わる人材育成の様子、保存理念に関する研究と合わせ、今後の日本の文化財行政に対する提案を行う予定である。
著者
土江田 奈留美 中川 有加 土屋 円香 永森 久美子 小林 紀子 堀内 成子
出版者
聖路加看護大学
雑誌
聖路加看護大学紀要 (ISSN:02892863)
巻号頁・発行日
no.33, pp.85-92, 2007-03

本稿は,聖路加看護大学看護実践開発研究センター主催,日本助産学会東京支部中央区分会の後援により2004年9月に開設した,ルカ子母乳育児相談室の2年間の事業報告である。本事業の主な内容は,病院,助産院などで勤務経験がある助産師で,大学院生と教員による,地域での母乳育児支援である。毎週金曜日に来室相談および随時訪問相談を行っており,2年間での総相談者は母児54組,総相談件数は289件であった。そして,主な相談内容は,「母乳分泌量の不足」「乳房のトラブル」「断乳・卒乳」「吸わせ方や抱き方」「哺乳拒否」であった。また,利用者の感想は,「不安が解消された」「子育てに自信がついた」「また利用したい」などであった。そして今後のルカ子母乳相談室の役割として,以下の3点を継続,拡大していきたいと考えている。1.授乳期全期にわたり悩みが尽きない母親たちの支援を行う場2.資源が少ない地域への貢献の可能性3.病院だけでは補いきれない育児支援を継続していく場
著者
野田 研一 山里 勝己 木下 卓 高田 賢一 中村 邦生 窪田 憲子 笹田 直人 中川 僚子 久守 和子
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

英米文学および英米文化の研究を通じて、英米圏における〈日本幻想〉の胚胎・生成とインパクトの諸相を総合的かつ具体的に検証することをめざした。(ただし、課題の性格上、日本文学に関する研究も含まれる。)理論的には表象論を基底に据え、コロニアリズム/ポストコロニアリズムにおける「接触界域」(contact zone)論を踏まえつつ、日本表象に内在する複雑なダイナミズムを明らかにした。具体的には、言説としての〈日本幻想〉生成のプロセスを複数のテーマ設定によって分析した。これらのテーマは、連続的な生成プロセスであり、明瞭な区分を与えることは困難であるが、このプロセス全体を通じて、所定の個別化された〈日本幻想〉が産出・消費されてきたものと考える。
著者
中川 一郎 中村 佳重郎 田中 寅夫 東 敏博 藤森 邦夫 竹本 修三
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

ジオイドは、地球表面におけるさまざまな測地学的測定の基準面であるばかりでなく、その起伏が地球内部の構造と状態とを反映することから、ジオイドの精密決定は、測地学のみならず、地球物理学においても、きわめて重要で、かつ、基礎的な課題の一つである。本研究は、人工衛星アルチメトリィ・データや海上重力測定データや検潮データに加えて、陸上における重力測定やGPS精密測位および水準測量などのデータを総合し、西南日本におけるジオイドの起伏を精密に決定するとともに、得られたジオイドの起伏と地殻および上部マントルの密度異常との関係を明らかにし、その物理的な意義を解明することを目的として、つぎの研究を実施した。1.西南日本におけるジオイド面の起伏を精密に決定にするためのデータ・ベースとして、重力測定データ、水準測量データ、鉛直線偏差データならびに検潮データなどに加えて、トペックス・ポセイドン衛星のアルチメトリィ・データを収集した。2.近畿地方から九州地方にかけての東西約600kmの範囲内で選定された26地点において、可搬型GPS受信機6台を用いたGPS観測を実施し、これらの地点の楕円体比高を求めるとともに、水準測量によって標高を決定した。その結果、すでに得られている結果とあわせて、西南日本における合計57地点のジオイド比高が決定された。3.鳥取,別府,紀伊半島および西国の各地域におけるGPS観測点において、ラコスト重力計を用いた精密重力測定を実施した。4.気象庁および大学の地震観測データを用いて、西南日本の地震波速度異常の3次元的構造を決定することを試みた。5.ジオイド面ならびに3次元地震波速度構造の空間表示を行なうための面像処理プログラムの開発を行なった。
著者
土井 まつ子 八島 妙子 中川 善之 脇本 寛子 篠田 かおる 高橋 知子 近藤 陽子 三善 郁代 三鴨 廣繁 仲井 美由紀 山岸 由佳 根子 亜弓
出版者
愛知医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究で作成した感染対策支援プログラムを使用して、中小規模の病院5施設と老人保健施設2施設及び軽費老人ホーム1施設の計8施設に対して、感染対策の向上を目指し、1年間の支援を実施した。支援終了後に、支援中の記録、視察、質問紙調査、環境調査の結果を分析し、支援の効果を検討した。その結果、感染対策チームや感染対策マニュアルが整備され、全ての施設において組織横断的な感染対策活動が進展した。
著者
森河 裕子 三浦 克之 西条 旨子 中西 由美子 中川 秀昭 北岡 和代 西条 旨子 中西 由美子 中川 秀昭 北岡 和代
出版者
金沢医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

交代勤務特に深夜勤務への適応・不適応(耐性)に伴う健康問題と、適応・不適応に関連する要因を検討した。一製造工場の男性夜勤交代勤務者を対象に全体調査と抽出調査を行った。夜勤交代勤務への適応に最も強く影響したのは年齢であり、慣れによって不適応感が軽減していくものではないことが示された。客観的睡眠モニターから深夜日の睡眠はコマ切れであり、効率の悪い睡眠であることがわかった。不適応者における睡眠以外の健康影響として、疲労蓄積による自然免役能の低下が示唆された。夜勤交代勤務による健康影響の最小化のためには、特に不適応感を抱いている者に対する適切な対応が必要である。
著者
峯松 信明 片岡 嘉孝 中川 聖一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告音声言語情報処理(SLP) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.100, pp.39-46, 1995-10-20
被引用文献数
23

本研究では講演調の話し言葉に対して,音響的/言語的,更には知覚的観点から分析を行なった。特に,講演調の話し言葉に対して人間が感じる「ポーズ(間,区切り)」が音響的(物理的)なポーズとどの程度対応がとれるのか,そして,知覚的ポーズの周辺にはどのような言語表現(間投詞,つなぎ語,終助詞)が頻出するのか,の2点に焦点を置いた分析を行なった。その結果,音響的ポーズと知覚的ポーズとの相関には発話速度が関与していることが示された。また,知覚的ポーズをほぼ確実に引き起こす言語表現として「え[?]」「え[?]と」「で」が観測された。なお本報告では,50年代より言語学者らによって行なわれてきた話し言葉に村する研究例のサーベイも行なっている。これらの研究例を考察することは工学的応用と言う観点から考えた場合においても,非常に有益なことである。Analysis of spoken language in lecture style was carried out from acoustic, linguistic and perceptual viewpoints. Especially, the correlation was investigated between pauses which human listeners perceive in lecture-style speech and those which were detected semi-automatically using some acoustic methods. Linguistic expressions(interjections and filled pauses) around the perceptual pauses were also analyzed. As a result, it was found that the correlation between the two types of pauses was influenced by speech rate and that "e[e]", "e[e]to" and "de" were observed as the linguistic expressions which caused perceptual pauses in quite high probability. And in this paper, some of the traditional researches for spoken language conducted not by engineers but by linguists were also surveyed. It is very beneficial to look into these researches in terms of technological application.
著者
中嶋 芳也 小形 恵一 宍戸 寿雄 柴 伸弥 中川原 克彦 安保 佳一
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.278-286, 1992-10-30

異なる蒸煮条件下で処理したカラマツの第一胃内分解性(試験1),蒸煮処理カラマツ給与による第一胃内性状(試験2),第一胃内流出速度および消化管内滞留時間(試験3)をめん羊を用いて調べることによって蒸煮処理カラマツのもつ粗飼料効果をより明らかにしようとした。分解性の測定は,セルラーゼによるin vitro法とポリエチレン・バッグを用いたin situ法によった。in situ法では,得られた各培養時間の分解率をp = a + b (l-e^<-ct>)のモデルに当てはめて最大可能分解率(a + b)と分解速度(c)を測定した。測定試料には,蒸気圧3水準(10,12.5, 15kg/cm2,蒸煮時間20分),蒸煮時間4水準(5,10,15,20分,蒸気圧10kg/cm^2)で処理したカラマツと,対照として蒸気圧10kg/cm^2,蒸煮時間20分で処理したシラカンパを用いた。第一胃内性状は,15ks-/cm^2-15分で処理したカラマツ10%(W-10),20%(W-20)および30%(W-30)給与区と,対照として乾草30%(H-30)および70%(H-70)給与区を設けて調べた。また,第一胃内流出速度および消化管内滞留時間は,W-10,W-20およびW-30区と,対照としてH-70区について調べた。(1)処理条件の差異にかかわらず蒸煮カラマツの分解率はin vitroおよびin situのいずれにおいても未処理カラマツと比べて明らかな上昇は認められなかった。これとは対照的に,蒸煮シラカンパは,in vitro分解率46.6%,in situ最大可能分解率(a + b)80.6%および分解速度(c)1.5%/hを示し,著しい処理効果が認められた。(2)第一胃内性状では,飼料給与後6時間までの平均値で表したpHはW-30区で最も高い6.55で,H-30およびH-70のいずれの乾草区よりも高い値を示した。酢酸・プロピオン酸比はカラマツ区で2.03(W-20)-2.75(W-30)の範囲となり,W-30区はH-30区とH-70区の中間の値を示した。(3)カラマツ給与区の第一胃内滞留時間は,乾草H-70区の26時間よりも著しく長かった.カラマツの給与割合が増すにつれ滞留時間な短縮されたが,最も短い時間をを示したW-30でも約42時間であった。これとは逆に下部消化管内滞留時間は,給与割合の増加に伴って延長した。全消化管内平均滞留時間では,W-20区とW-30区が約103時間でW-10区よりも短く,しかし,乾草区の約55時間と比較すると約2倍の値を示した。(4)以上のことから,蒸煮処理カラマツは,現段階では,反芻家畜飼料の有効炭水化物源となり得ないが,30%程度の給与割合で粗飼料因子として十分な物理的効果を現わすことができるものと推察された。
著者
中川 直子 奥野 良信 森川 佐依子 伊藤 正恵
出版者
大阪府立公衆衛生研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

1.AH9型およびAH5型インフルエンザウイルスの早期診断AH9型のインフルエンザウイルスは香港でヒトヘの感染例が報告されており、次の新型ウイルスの最有力候補といわれている。AH9型の流行に備えて、A/Duck/HongKong/702/79(H9N5)対するモノクローナル抗体を作製した。既にAH5型のインフルエンザウイルスに対するモノクローナル抗体を樹立しているので、これらの抗体をPAP法に応用することにより新型ウイルスの迅速診断を行いたい。2.新しいタイプのB型インフルエンザウイルス(山形タイプ)の早期発見従来のB型に中和活性を示すモノクローナル抗体5H4を用いて抗原性を調べたところ、大阪府で採取された1998/1999シーズンの株の6%にあたる株は5H4で中和されない新しい抗原性を有した株であった。HA1領域のDNAシークエンス解析の結果、149番目のアミノ酸がアルギニンよりリジンに変化していることが、原因であると示唆された。149番目のアミノ酸がアルギニンであることは、山形タイプに特徴的で、10年来変異がなく、この知見は特筆すべきものであると考えられる。1999/2000シーズンはB型の流行がなく2株のみ採取されたが、この2株とも新しい抗原性の株であった。新しい変異が見られたことで、2000/2001のB型の流行が以前より大きくなることを予想していたが、懸念通り、ワクチン株と抗原性の差異がみられるウイルス株が流行し、その流行が長引いた。今後はワクチン株の選定に貢献したい。3.AH1型インフルエンザウイルスの早期診断1999/2000シーズンには4年ぶりにAH1(Aソ連)型の流行があり、流行株に対するモノクローナル抗体を作製した。次の流行時には、これらの抗体をPAP法に応用することにより、迅速診断ができるだけでなく、今回の流行株との抗原変異の解析が可能となる。
著者
奥野 良信 伊藤 正恵 加瀬 哲男 中川 直子 前田 章子
出版者
大阪府立公衆衛生研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

インフルエンザウイルスのHA蛋白は構造的に頭部と幹部に分かれるが、我々は以前に幹部に共通中和エピトープの存在することを証明した。このエピトープを利用するために、幹部だけをコードするヘッドレスHAのcDNAを構築し、これを広域反応性のDNAワクチンとして活用することを考えた。昨年度までは、HA遺伝子を発現させるベクターにpEF-BOSを用いていたが、マウスに有効な免疫を賦与できなかった。そこで今年度は、高発現ベクターのpNOW-GKTに変更してDNAワクチンを作製し、マウスに免疫して抗体価の測定とチャレンジテストによりこのワクチンの有効性を検討した。フルサイズのHA、あるいはヘッドレスHAをコードするcDNAをベクターに挿入し、遺伝子銃を用いて3週間隔で2回マウスに免疫した。2回目の免疫から2週後にマウス肺に強い親和性を示すA/FM/1/47(H1N1)をマウスの鼻腔内に接種してチャレンジテストを行った。ベクターだけを接種したマウスは著明に体重減少し、半数のマウスが死亡した。一方、フルサイズのHAを免疫したマウスはすべて体重減少を示すことなく生存した。ヘッドレスHAを免疫したマウスの20%は死亡したが、生存したマウスは体重減少を起こさなかった。経時的にマウスより採血し、血清抗体価をELISAと中和試験で調べた。フルサイズのHAを免疫したマウスは有意な抗体上昇を示したが、ヘッドレスHAを免疫したマウスは抗体価の上昇を認めなかった。以上の結果より、ヘッドレスHAを免疫したマウスがコントロールのマウスよりも生存率が高かったのは、液性抗体よりも細胞性免疫が働いているためだと推測された。今後は、ヘッドレスHAの免疫方法を変え、抗体価の測定だけでなく細胞性免疫も調べてヘッドレスHAのDNAワクチンとしての有用性を検討したい。
著者
中川 正男 中山 義雄 安江 勝夫 上野 将司
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.199-211, 1971-12-01

昭和46年7月18日,兵庫県西南部を襲った集中豪雨により相生市周辺で山地崩壊が相ついで発生した.相生市周辺の地質は後期中生代に噴出した流紋岩質溶結凝灰岩より構成される.一般に播磨地方の流紋岩質溶結凝灰岩地域は特異な山容をなし比較的安定した地貌を呈しており,崩壊等の災害は予測できそうもない地域である.この報文は相生市周辺の勾配 30° 以上のいわゆる急傾斜地の崩壊と法面崩壊の現場を観察し,地質状況や崩壊の形態を3つのタイプに分類してその数例を写真でしめしたものである.
著者
丸山 貴司 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.219, pp.41-46, 2008-09-18

製品開発において,使いやすさの評価は重要な部分を占めており,製品の良し悪しは使いやすさで決まることも少なくない.製品の使い心地というものは非常に重要な要素の一つであるといえる.現在,製品の使い心地の評価には,モニターアンケートやSD法が一般的に使われる.しかし,これらの手法は評価対象が「曖昧な抽象的な概念」であり,個人の主観が強く影響することから客観的且つ定量的に使い心地を評価することが非常に困難である.その問題点を解決するために,本論文では,脳波を用いた製品評価を行った.具体的には製品を使用している際の脳波を用いて,感性フラクタル次元解析手法を適用することで,被験者が感じる使い心地の評価を行った.また,感性解析結果を用いて,多変量解析を行うことで各被験者の感性に影響を与えるパラメータを因子分析した.その結果,感性並びに主観評価に大きく影響を与えるパラメータを見出すことができた.このような結果は従来手法ではアンケートの得点から評価することが困難であるため,感性を指標とした新規評価法として期待される.
著者
安倍 大介 中川 匡弘
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.50, pp.27-31, 2009-05-15

世の中には,人間が移動する手段として自動車や電車など様々な交通機関が存在する.技術的な進歩により機械的要因での事故は減少しつつあるが,人的な操作や判断ミスによる事故は未だに絶えない.人的要因での事故を解析する為に,現在では心拍などの生体情報を用いた運転時における人間の心理状態の変化について実験や研究が行われている.それに対して我々はフラクタル解析を用いて,人間の脳波から定量的に運転者の心理情報を取得する手法を提案する.本手法を用いる事で,これまで困難だった時間的に変動する人間の心理状態を定量的に計測する事が可能である.これを用いてドライビングシミュレータを使った運転時における人間の心理状態を計測し,運転状況と心理状態の移り変わりの解析を行った.