著者
中村 真
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.109-110, 2011-04-05

超弦理論で提唱されたAds/CFT対応では、非平衡定常状態における輸送係数、特に強相関系の非線形電気伝導度を、微視的理論に基づいて計算可能な場合がある。ここでは3+1次元の強相関系における非バリスティックな負性微分抵抗の微視的理論に基づく導出について概説する。
著者
木山 昇 楠田 純子 藤井 彩恵 内山 彰 廣森聡仁 梅津 高朗 中村 嘉隆 大出靖将 田中 裕 山口 弘純 東野 輝夫
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.51, no.9, pp.1916-1929, 2010-09-15
被引用文献数
2

本論文では,大規模事故や災害時に発生する多数の傷病者の生体情報(バイタルサイン)をリアルタイムで一括監視し,現場での救命活動を支援する電子トリアージシステムの設計開発について述べる.本システムでは,IEEE802.15.4および生体センサを備えたセンサノードを傷病者に装着し,それらの間でアドホックネットワークを構築する.これを介して傷病者の生体情報をリアルタイムに収集すると同時に,センサノード間の無線通信情報を基にノードの位置推定を行い,%救命活動従事者医療従事者に対して傷病者の病状と大まかな位置に関する情報を提供することで救命活動を支援する.開発したシステムを大学附属病院で実施されたトリアージ演習などで使用し,システムの有用性を確認するとともに今後の改良に向けた情報収集を行った.In this paper, we consider situations where many persons are simultaneously injured in large accidents and disasters, and propose an advanced electronic triage system called e-Triage for sensing physical condition of those injured persons and collecting the sensed data in IEEE802.15.4-based wireless ad-hoc networks. The e-Triage system presents dynamic change of injured persons' location and physical condition on monitors in real time. We have evaluated our system through a triage training held in a hospital. From the experimental results, we have confirmed the effectiveness of the e-Triage system and obtained feedback from doctors and nurses.
著者
林田 義伸 渡邊 道治 中村 裕文 太田 明子
出版者
都城工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

円形のローマとアウグストゥス神殿(1C.B.C.)を構成する石材について、3Dスキャナを用いて実測し、その実測図を作成し、平面及び立面の各部寸法について復元した。また、本神殿はエレクテイオン(5C.B.C.)を殆ど模して建設されたものであるが、各部寸法や施工痕を分析し、エンタブラチュアの割付方や接合部等、当時の手法が用いられていたことを明らかにした。関連研究として、古代ギリシアのトロス等の設計法や、神格化されたローマとアウグストゥス崇拝に関し考察した。
著者
樋出 守世 中村 秀男 井上 一彦 今井 奨
出版者
一般社団法人 日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.244-250, 1990-04-30 (Released:2010-10-27)
参考文献数
34

1) Strontium-90 level was determined in May 1989 in 40 sample groups of Japanese teeth, for a total of 1022 third molars, obtained from donors born in 1900-1970.2) The teeth from donors born in 1925-1931, and which were extracted in the donors' twenties did not contain detectable strontium-90.3) Strontium-90 level of the teeth from donors born in and after 1942 suddenly increased, and reached peak value of 62.8 to 72.8mBq/g Ca in 1953. It abruptly decreased after 1954 and reached approximately 20mBq/g Ca by 1970.4) In the teeth obtained from donors born in 1900-1924, and which were extracted at the age of 30 to 69, a small amount of strontium-90 was detected.
著者
中村 建助 矢口 竜太郎
出版者
日経BP社
雑誌
日経コンピュ-タ (ISSN:02854619)
巻号頁・発行日
no.587, pp.50-71, 2003-11-17
被引用文献数
3

システム開発プロジェクトの成功率はわずか26.7%。本誌が大手から中堅・中小に至る1万2546社を対象に実施した調査で、衝撃的な事実が判明した。システム開発で守るべき3条件、すなわち「QCD(品質・コスト・納期)」をクリアできなかったプロジェクトが、全体のほぼ4分の3に達した。
著者
中村伸裕
雑誌
平成23年度 情報処理学会関西支部 支部大会 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, 2011-09-22

住友電工では、2006年よりCMMIのモデルを活用したプロセス改善による品質改善を進めている。品質改善の手法としてテストの強化があるが、コストや納期の悪化につながる可能性が高いという欠点がある。当組織では、できるだけコストを増加させずに品質を向上させる為に、欠陥の作込量削減とプロジェクト管理の一部である品質管理を改善することで出荷後の残存欠陥数の削減を実施してきた。本講演ではCMMIレベル4で求められている統計的手法を用いた品質管理とCMMIレベル5で求められている改善活動の進め方について具体的に紹介する。
著者
中村 高康
出版者
日本高等教育学会
雑誌
高等教育研究 (ISSN:13440063)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.47-61, 2011

<p> 「高大接続」といえば通常は「教育接続」であるが,高校生の視点から見れば「地域」の観点も接続問題にからんでくる重要なトピックとなりうる.そのことを示すために,本稿では,高校生を対象とするインタビュー・データを用いて,まず最初に,現代の進路多様校の高校生たちには「狭小ローカリズム」が作動していることを示す.続いて,このインタビュー結果を裏付ける量的データを示す.最後に,構造方程式モデルを用いて進学とローカリズムの因果の方向性を検討する.以上の結果から,大学進学率の上昇は若者たちのローカリズムを変容させる可能性があり,「教育接続」の議論の背後で進行するこうした社会変容の可能性を意識しておくことも重要であることを示す.</p>
著者
古賀 俊彦 中村 昌弘
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.251-255, 2000
参考文献数
6

気管支ファイバースコープ自動洗浄器系統より分離されたグルタールアルデヒド高度耐性のMycobacterium abscessusに対する消毒用アルコール(エタノール)の殺菌作用をsuspension testとcarrier testとで検討した。その結果, グルタールアルデヒドで殺菌されなかった分離株のM.abscessusも80%エタノールで1分間以内, 40%エタノールで5分間, 32%エタノールで15分間の処置で完全に不活化された。26%以下のエタノール濃度では長時間の作用でも不活化されなかった。この結果はsuspension testでもcarrier testでも同一の結果であることが確認された。この不活化の機序は恐らくエタノールによる細胞壁の破壊である可能性が電顕写真で示唆された。これらのevidenceは消毒剤としてのエタノールの強力な消毒効果を再認識すると共に日常の臨床の現場においてその有効濃度に常に留意しつつ院内感染の予防のためにエタノールの使用をより広く薦めるものである。
著者
古賀 俊彦 野田 哲寛 中村 昌弘
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.386-392, 2001
参考文献数
11
被引用文献数
1

我々は使用中の特定の気管支鏡から, ある時期に頻回に抗酸菌が検出されることに気付き, 気管支鏡を介する, 或は由来する抗酸菌のfalse positiveに関心をもち, 10年以上もその原因の探索に努力してきた。今回の報告では前半にその実体の詳細を述べ, 次にその抗酸菌の性状, 最後にその除去対策について検討したので記述する。まず, 多くの材料と年月から, 検出される抗酸菌が気管支鏡そのものに由来することがわかり, 更に自動洗浄器内の消毒液より抗酸菌が分離された予想外の事実に遭遇して, その分離抗酸菌が消毒液, 即ち, 3%グルタルアルデヒドに耐性である事を実験的に証明した。そして, 分離抗酸菌は患者からではなく, 外界よりの汚染と考えたほうが妥当であろうと推察した。このグルタルアルデヒド高度耐性抗酸菌は両性界面活性剤にはやや感受性はあるものの, これを用いても完全な殺菌効果が得られない抗酸菌菌株も分離された。換言すれば, 自動洗浄器で使用する消毒液グルタルアルデヒドは殆ど無意味であることが証明された。そこで, グルタルアルデヒドに代わる強力な消毒液を模索中, 消毒用アルコールが強力な殺菌力をもつことを見出した。即ちグルタルアルデヒド高度耐性抗酸菌の全てが, 例外なく日常使用する消毒用アルコール(原液)で瞬間的に不活化されることを実験的に確認した。この殺菌効果は等量に希釈した40%アルコールを用いた場合は5分間の処置で, さらに1/3に薄めた30%アルコールでさえ15分間の処置で殺菌効果が認められた。今後はグルタルアルデヒドの代わりにアルコールを使用すべきであり, アルコールをルーチン検査に使用する方法について若干の考察を試みた。
著者
崔 童殷 中村 顕輔 黒川 隆夫
出版者
一般社団法人 日本繊維機械学会
雑誌
Journal of Textile Engineering (ISSN:13468235)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.243-251, 2006 (Released:2007-03-06)
参考文献数
12
被引用文献数
2

The purpose of this research is to analyze Japanese women's breast shape based on body surface data described by a three-dimensional (3-D) human body shape model with a bi-cubic B-spline structure and to classify them. The data used for analysis were forty-nine 3-D control points selected from the right breast area on the model surface for each of 556 Japanese women aged 19 through 63 years. We examined the covariance matrix of the data using the principal component analysis method after normalization of their 3-D coordinates with the bust width for reducing the size factor. As a result, we obtained four principal components, which described 77% of breast shape. Then Japanese women's breast shape was classified into five classes in the principal component space using the first, second, third and forth-principal component scores. They could cover 92% of Japanese women's breasts. Therefore, we tried to analyze breast shape by clustering in order to classify all the breasts. For the cluster analysis we prepared two kinds of data; (1) principal component scores and (2) the normalized scores (μ=0, σ=1) of (1). With the clustering (1) and (2) we obtained four classes and five classes, respectively. Properties and advantages of the three kinds of classifications were also discussed. The classification of the principal component space is based on standard deviations of principal component scores, and therefore the resultant classes do not have clear boundaries. The classification according to the cluster analysis (1) can reflect the actual distribution of breast shape. In contrast the clustering (2) gives classification reflecting more principal components and tending to generate more classes than the clustering (1).
著者
池脇 香織 中村 雅彦 石附 亨 樋口 元剛 小川 敬之 山田 弘幸 永井 みどり 小緑 英行
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 (ISSN:13455451)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.149-155, 2013-03

In this study, in order to promote intake of γ-aminobutyric acid (GABA) routinely and continuously, we prepared several functional breads containing different percentages (0%, 1%, 2% or 3%) of GABA, designated as Taimatsu GABA (T-GABA), produced by fermented rice germ, which has been shown to have various physiological actions. The dough containing T-GABA (1%) showed greater expansion as compared with that containing T-GABA (0%, 2% or 3%). The quantity of wet-type gluten decreased in a T-GABA percentage-dependent manner. The stickiness of wet-type gluten containing T-GABA (1%, 2% or 3%) was decreased as compared with that of the control bread (T-GABA; 0%). Although the weight of the bread containing GABA (1%, 2% or 3%) was not altered as compared with that of the control bread (T-GABA; 0%) after baking, the height of the bread containing T-GABA (3%) was the lowest. In the sensory evaluation, referees judged the bread containing T-GABA (1%) as showing a slightly better level of taste, feeling of softness, crust, crumb and fragrance as compared with that of the control bread (T-GABA; 0%). Together, these findings indicate that breads containing T-GABA are of functionally high quality and value, and we propose to introduce these breads into some long-term care health facilities.
著者
松本 剛 中村 衛 新城 竜一
出版者
琉球大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

台湾はフィリピン海プレートの運動に伴い、ルソン弧が東方より衝突することによって、現在の造山運動が引き起こされている。このような、台湾の造山運動・衝突テクトニクスを考察する上で、南西琉球弧がこれに果たす役割を検証することは重要である。そのため、台湾の衝突テクトニクスを解明するための米・台共同研究TAIGER Project(2004-2009)に参加し、2009年に実施されたR/V Marcus G. Langsethで実施された地下構造探査に加えて、EM-122測深機による精密測深データを取得した。また、これまでJAMSTEC船等で1990年以降に実施されて来た精密海底地形調査の結果を集大成し、沖縄トラフから琉球島弧・前弧域・海溝域・西フィリピン海盆北部に至る最新の海底地形図を作成し、それをもとに、当該域のテクトニクスを考察した。南西琉球弧から琉球海溝に至る海域は、次に示す東西方向の4領域に分類することが可能である。最北端の領域は、南岸沖の南落ち斜面に沿って南北方向に発達した海底谷の分布によって特徴付けられる。その南側では、スランプ性地辷り痕が発達し、平坦な前弧海盆へと続いている。更にその南側では、複雑な起伏、急斜面、東西向きのhalf grabenなどの、不規則な地形によって特徴付けられる。海溝域は、幅約40kmにも達する6500-6600mの深さの平坦面である。海溝軸の位置を特定することは難しい。海溝域の平坦面上には4個の海山が見られる。しかし、このような海溝の地形的特徴は、Gagua海嶺の衝突の起こっている123°Eの西側では不明瞭となっている。宮古~八重山域に掛けては、「島弧胴切り」型の正断層が多く発達しており、これらは活断層と認定されている。そのうち、石垣島東方沖の断層については、沖縄トラフの伸張に伴って北方に伝播している(すなわち、活断層の長さが長くなっている)ことが明らかとなった。これらの地形的特徴は、沖縄トラフ西部の伸張と呼応して、123°Eの東側で、海溝が南方のフィリピン海プレート側へ後退していることを示唆している。Gagua海嶺のある123°Eの西側の花東海盆は、その東側の西フィリピン海盆の特徴とは大きく異なる。後者が、拡大痕に相当する地塁・地溝地形とそれを直角に横切る断裂帯が多く発達するのに対して、前者は地形の起伏に乏しい。また、花東海盆の沈み込みが起こっているか否かは明瞭ではない。花東海盆の西端に当たるルソン弧と併せて、同海盆が前弧・背弧域と一体化し、これらの3海域全体が台湾ブロックに衝突している可能性が示唆される。花東海盆の北側前弧域では、明瞭な深発地震面が観察される。しかし、これはユーラシアプレートに対して北西方向に西フィリピン海盆が斜め沈み込みを起こしていることによる深発地震面であると見られる。
著者
黒川 朋広 中村 攻 木下 勇
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 : 日本造園学会誌 : journal of the Japanese Institute of Landscape Architecture (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.5, pp.245-248, 1996-03-29
参考文献数
3
被引用文献数
3

本研究では千葉県佐原市の山車祭りを事例に祭礼における都市空間の使われ方の変遷を見た。その結果以下の点が明らかになった。古い市街地の狭い道路も山車の通行の見せ所の舞台となっており,都市の変容とともに電線などの障害が生じてもそれを克服する工夫が見せ場ともなっていたように,都市の変容に合わせて祭礼の工夫がなされてきた。が,モータリゼーションや商業構造の変化といった大きな変化は祭礼における空間利用の意味をも変えつつある。祭礼における空間利用には歴史的にもまた人の関わりという面でも多義的な意味が内在している場合もあり,そのような場の意味を再評価しながら祭礼を都市空間の整備に活かしていくことが必要である。
著者
土岐 剛史 高橋 幸弘 山田 嘉典 福西 浩 中村 卓司 TAYLOR Michal J.
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.83-91, 1998-03

1996年8月に実施されたSEEKキャンペーンにおいて, 地上からの高感度イメージャーによる大気波動の観測が鹿児島県内の内之浦, 山川, 大隅と信楽の計4ヵ所で実施された。キャンペーン期間中の鹿児島地方は天候に優れない日が多かったが, 8月9日から22日の間に, 内之浦, 山川, 大隅でそれぞれ, 4夜, 7夜, 1夜, 大気光イメージデータが取得された。信楽での観測は8夜であった。今回の地上からの大気光観測の主な目的は, レーダーで観測される電離圏における準周期的イレギュラリティーと大気光に見られる中性大気中の重力波の特性を, ロケットによる観測とあわせてそのメカニズムを検討解明することにある。各観測データと比較する上で, 大気光の発光高度を正確に決定することは極めて重要な課題である。我々は鹿児島の3ヵ所の観測から, 三画法を用いてOH大気光の発光高度の推定を計画した。残念ながらロケット打ち上げ時は天候に恵まれず同時観測データは得られなかったが, キャンペーン期間中内之浦と山川に設置された2台の大気光全天イメージャによる同時観測に成功した。8月19日の晩, 2台のイメージャで同時に顕著なOH大気光の波状構造を観測した。これら2地点で同時に取得された画像に, 大気波動構造の発光高度決定としては初めて, FFT及び精密な三角法を用いて解析を行った。その結果, 波状構造の発光高度は89±3kmと求められた。これはロケット観測などによる従来の結果とほぼ一致する。MFレーダーによって, この高度の数km上空で回時に強い南向きの風速シアーが観測されており, 重力波の発生原因の有力な候補と考えられる。